2019年3月31日更新!
このブログは、
- 相場に左右されずに
- 気長に忍耐強く
新興国投資をする人たちのための情報提供ブログです。
特に、
- これから新興国へ投資をしたい人で基本的な情報を網羅的に学びたい人、
- 既に投資をしているが大きな含み損を抱えていて一旦冷静に状況を再確認したい方
を想定しています。
筆者はバリュー平均法なる方法で新興国に投資をしている個人投資家です。既にそうした方法で投資をして5年くらいです。
ずっと投資し続けています。
このブログはこのブログが対象としているトルコ、メキシコ、ブラジル、インドネシア、フィリピン、中国、ベトナム、インド、先進国とその他のトピックについて、2019年3月に更新した箇所をひとまとめにしている記事です。
各抜粋から本ブログを飛ぶことが出来ます。
【この記事は複数ページあります】
2019年3月30日
ベトナムの2019年1-3月のGDPは6.79%のプラス
2019年3月29日、2019年1~3月期のGDP成長率が発表されました。
前年同期比6.79%増でした。
1~3月期だけでみると過去10年で18年に続き2番目に高い伸びで、GDPの7割弱を占める個人消費を含む最終消費支出が7%増と全体をけん引したようです。
ベトナムは米中貿易戦争によって中国からベトナムへの生産シフトが起きていて対米輸出が3割弱伸びましたが、輸出全体の1/4を占めるサムスン製スマホの輸出が減少し、全体では低調となりました。
銀行が融資拡大、景気回復を優先
中国の大手銀行が貸し出しを増やしているようです。
4大国有銀の2018年末の貸出残高は52兆5千億元(約860兆円)と17年末に比べ9%増えました。
背景は中国当局の中小企業に対する積極融資の促進です。
もちろん景気対策なわけですが、将来的に不良債権を増やし、ゾンビ企業を増やしてしまうリスクがあります。
米中協議で中国のサイバーセキュリティ法について協議
3月29日には中国のサイバーセキュリティー法が議論の中心となり、アメリカはアメリカ企業への不利な扱いを是正するよう要求しました。
既報の通り、クラウドコンピューティングについて色々と要求をしていて、それに付随して情報セキュリティーや越境データのフローなどハイテク業界に関する中国の規制について話し合われたようです。
中国の未上場企業への資金が細る。今後は全体の景気次第
中国の未上場企業の資金調達が不況などから急ブレーキがかかっているようです。
2019年1~3月の調達額は1兆円強。これは前年同期(約1兆9400億円)からほぼ半減した数値となっています。
件数でみると、1億ドル相当を超える案件は20件強となっていて、30件を超えていた前年同期を大きく下回っています。
景気減速や不動産価格の頭打ちでVCへの資金流入が減った事が大きな要因です。
VBでも、EVやシェアサービスを手掛ける企業への投資が細ったというのが特徴のようです。
中国政府はEVへの補助金を絞りつつあって、大手にも影響が及んでいます。
未上場企業への資金流入は14年ごろから急増し、「BAT」と呼ばれる百度、アリババ、テンセントによる有望新興企業の「青田買い」に加え、VCの投資が積極的に行われました。ここに加えて不動産の高騰で資金力を増した富裕層による投資も膨らんでいました。
2018年は多くのユニコーン(評価額10億ドル以上の未上場企業)が株式公開を果たし、投資の成功で資金余力を増したファンドが次のスタートアップ企業を探す循環が強まりました。
これはこれで良い循環ではあったのですが、少しバブル気味であったようです。
2018年の調達額は9兆円を超え、11兆円規模とされるアメリカに近づいていましたが、米中の制裁関税の掛け合いによる悪影響も鮮明になり、未上場企業への投資意欲も冷え込みました。
やはり今後の景気回復の状況に左右されるのがPE投資です。ネタは沢山あるので全体の景気が回復すれば再び活気を取り戻す可能性はあります。
例えば2019年は動画投稿アプリ「TikTok」を手がける北京字節跳動科技(バイトダンス)が上場を計画しているとされます。また配車アプリの滴滴出行、トラック配車の「満幇集団」、AI関連などが後に続いています。
EUは4月12日の合意なき離脱の準備加速
2019年3月29日の離脱案否決を受け、EUは4月12日に合意なき離脱に突入する公算が大きくなったとの認識を示しました。
EU首脳は、離脱協定案が英議会で承認されない場合、4月12日まで離脱日を2週間延期し、それまでに新たな計画を示すか、合意なき離脱を選ぶか決断するよう求めています。
その上でEU報道官は「EUは4月12日の合意なき離脱シナリオへの準備を完全に整えた」と説明しました。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
米中貿易協議は追加関税の所でなお壁
3月29日、米中両国政府は北京で開いていた閣僚級の貿易協議を終えました。
追加関税の扱いをめぐり、双方の主張にはなお隔たりがあるもようですが、首脳会談での最終決着も探っており、4月3日からワシントンに舞台を移して協議を続ける予定です。
中国側は協議決着後、双方がただちに追加関税を全廃すべきだと主張してますが、アメリカ側は中国が合意を守るよう圧力をかけるため、管理の期間にわたって追加関税を残す方針を示しています。
イギリスの離脱案、三度目の否決。総選挙を示唆
3月29日、離脱協定案を3度目の下院採決に付したが、三たび否決されました。
合意なき離脱、又は早期の総選挙の可能性が少しずつ現実味を帯び始めています。
メイ首相は採決後に、「このやり方は限界に達しつつあるのではないかと懸念している」とコメントし、場合によっては総選挙の実施が必要になることもあり得ると示唆しました。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
2019年3月29日
イギリス下院議長が同じ離脱案の再々採決受け入れ
2019年3月28日、イギリス下院のバーコウ議長は離脱協定案を巡る29日の投票実施要請を受け入れました。
議会が膠着状態にある中で、メイ首相は協定案の一部のみを採決することで、離脱延期に万全を期したい考えです。
投票はEUとの合意案のうち離脱条件を定めた離脱協定についてのみ行われ、離脱後の新協定の大枠を定めた政治宣言は含まれないようです。
ただ、既述の通り、事態はかなり不透明です。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
対中国の一部関税を撤回か
2019年3月28日、アメリカのカドロー米国家経済会議委員長は、中国製品に対する一部の関税を撤回する可能性があると述べました。
この措置の背景に何があったのかは分かりませんが、何かしらの進展があったのかもしれません。
ただ、その他の関税措置は米中通商合意の施行メカニズムの一部として温存されるとの事です。
英情報機関が華為製品について警告、但し中国政府の関与は否定
2019年3月28日、イギリスの情報当局がファーウェイ製品の安全性に関して、技術上の重大問題について新たな指摘を行いました。
イギリスの国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)は2015年から、ファーウェイ製品の安全性について報告書を出していますが、2018年版では「いくつかの脆弱性がある」として、同社の協力姿勢を評価しながらも懸念の払拭に向けた改善を求めていました。
今回の2019年版では、見つかった問題がイギリスの安全保障に影響を及ぼすとしています。
2019年2月時点でイギリス高官はファーウェイ製品について「リスクは制御可能」との認識を示していたわけですが、今回の報告書はソフトウエアの開発過程やサイバーセキュリティーに関する欠陥が修正されるまで「リスク制御が難しいとしました。
ただ、今回見つかったサイバーセキュリティー上の問題は技術的なもので中国政府の関与によるものとは考えていないとの認識も示しています。
米中、クラウド分野で歩み寄りか
中国は急成長している国内のクラウドコンピューティング市場の開放を検討しているようです。
アメリカが要求しているハイテクセクターの開放に関して、歩み寄りの姿勢を示しているようです。
2019年3月25日、李克強首相は海外企業の首脳らとの会合で、外資系クラウド企業にテスト運用を認める計画について説明しました。
これでアメリカ側がいかにリアクションするかですが。。。
メイ首相の辞任表明は不発、合意なき離脱リスク残る
既報の通り、メイ首相は2度否決された離脱案が可決されれば「辞任する」と表明しましたが、反対派の切り崩しは進んでいないようです。
議会も代替案を導き出せず、次の期日である4月12日まで依然として混とんとした状況は続いています。
3月29日までに離脱案が可決できれば、5月22日まで離脱を延期できるようになっていますが、どうなるか分かりません。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
トルコの外貨準備高が危機的な水準
中央銀行の外貨準備高が、トルコリラ防衛でかなり減少したことで、トルコの
- 国際収支
- 外貨建て債務を繰り越す能力
- 必要な場合に緊急の資金をどのように、どこから調達するか
を巡って疑念が生じています。
トルコでは外貨に対する国内の需要がかなり強く、外貨準備高の多寡が注目を集めています。
最近公表されたデータによると、中央銀行の外貨準備高は3月15日までの1週間で約30億ドル減少して737億8000万ドルとなりました。
一方でトルコの個人が保有する外貨建ての預金およびファンドの総額は1057億4000万ドルと過去最高を更新しています。
もし外国からの資金流入がすべて停止した場合に、輸入を継続できる期間は、
- 南アフリカ:6カ月強、
- ロシア:1年半
- トルコ:約4カ月
となっていて、かなり厳しい状況です。
原油価格に慎重な見方も
2019年の原油価格の先行きについて、市場参加者から慎重な見方が出ているようです。
現在、主要産油国の減産で価格は上昇し、年初比で20%強高い水準にあるわけですが、アメリカのシェールオイルの増産やトランプ米大統領による減産批判もあり、原油価格上昇の勢いは鈍ると予想しています。
ポイントはアメリカのシェールオイルです。
注目点は、以下の様な感じでしょうか。
- 増産が続くシェールオイル、特に南部の米最大鉱区パーミアンでパイプラインなどのインフラが整うことから輸出が再び勢いを増すとの見方が広がってること。ある識者はアメリカの原油輸出量が日量100万バレルほど増えると予想したりしています。
- トランプ米大統領によるOPEC減産への口先介入。有権者に不人気なガソリン高(=原油価格の上昇)は容認できません。特に年後半からは再選を狙う2020年の次期大統領選も意識し、よりOPEC批判を強める可能性があります。
- サウジアラビアが対アメリカで弱腰になる可能性。2018年10月の記者殺害事件をめぐり、実力者のムハンマド皇太子に対するアメリカの追及を蒸し返したくないサウジアラビアは、アメリカが嫌がる減産をあまりしなくなる可能性があります。
トルコ・リラの下げは続く
2019年3月28日の取引でも下落しました。
既報の通りの政策のまずさでリラの値下がりが続いています。
リラは25、26両日は上昇しましたが、3月27日は下落しました。
国内企業や個人がドルを買っていると見られます。
3月28日も続落で始まり、選挙がある日曜日以降もどうなるか分かりません。
メキシコ、金利据え置き
中央銀行は2019年3月28日の金融政策決定会合で、政策金利を8.25%に据え置くことを決めました。
据え置きは2会合連続となります。
物価上昇が急速に鈍化していて、中央銀行の目標範囲内に入ってきています。
また、アメリカの利上げが遠のき、通貨ペソも安定した値動きが続いている事を受けての措置でしょう。
むしろ、市場では景気減速の動きが鮮明になっていることもあり、年内の利下げを予想する人も出ています。
中央銀行がまとめる民間機関の予想平均では、年末の政策金利が8.10%となっています。
メキシコに投資すべきか? メキシコペソ・メキシコ株の投資ブログ
新興国通貨全体の下落で、ペソも過去最安値圏
元々ファンダメンタルズが脆弱なアルゼンチンは、新興国全体に懸念が生じると、アルゼンチン自体に問題がなくても下落します。
アメリカの利上げ路線の修正で一旦緩和相場ムードとなりましたが、ここ最近投資家の関心は世界経済の弱さに向かっています。
そこにトルコのまずい政策によるリラの乱高下が拍車をかけアルゼンチンペソも過去最安値圏に沈んでいます。2019年3月28日時点でのアルゼンチンペソは1ドル=43ペソ台後半となっています。
2019年3月28日
3月も中国景気は持ち直しの傾向
あるメディアによる集計では、2019年3月も中国経済は回復傾向にあるとの事です。
ポイントは、
- 中国経済は3月も引き続き回復の兆しがあるが、景気に対する下方圧力は残る
- 株価や中小企業の景況感が景気回復のけん引役
- 貿易も景気回復のトレンドを示した
- 銅価格や生産者物価は今後の景気低迷を示唆
政策効果で景気は浮揚させられているものの、自律回復には至っていないという所でしょうか。
メイ首相、離脱案可決なら辞任表明
メイ首相最後の手段ですね。
3月27日、保守党の会合で、メイ首相は自身の離脱案を議会が承認した場合、辞任する考えを表明しました。
しかし、一部の与党の反対派は姿勢を変えないと表明していて、まだまだ不透明です。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
親NAFTA、批准に各国問題あり
親NAFTAの批准について国内政治上の問題が出てきています。
アメリカの問題
- ねじれ議会
- 下院で主導権握る民主党が合意内容の修正を求める
- 鉄鋼・アルミ関税への対応
カナダの問題
- 10月の総選挙で妥協姿勢見せたくない
- 首相のスキャンダルで与党の支持率低下
- 審議時間自体が短い
メキシコの問題
- 批准に必要な労働法案の審議に時間
アメリカの下院議長はペロシ氏といって、トランプ大統領の政敵です。ペロシ氏がどのような対応をするかはまだ分かりません。
アメリカ議会は8月に閉会しますが、それまでに批准できなければ新NAFTAの批准は、2020年の大統領選挙までに間に合わない可能性が高くなります。
イギリスのEU離脱時期の延期が確定
イギリス議会は3月27日、EUからの離脱時期を当初の3月29日から4月以降に延期することを決めました。
しかし、依然として離脱の具体的な方針は何も決まっていない状況です。
また、メイ首相の離脱案に代わる選択肢も27日に議論しましたが8つの議員提案を全て否決しました。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
トルコ国債のCDSスプレッドが1,000%超
2019年3月下旬に投資家がトルコの債券と株式の投げ売りに動きました。
これは、完全に人為的というか、政策ミスでしょう。
地方選挙を控え通貨リラの下落を阻止するために当局が演出した「リラ不足」が原因だからです。
3月27日、外国人投資家が取引をするスワップ市場でリラを借り入れる翌日物レートは一時1000%を超えました。
これは、外国人投資家によるリラの空売りを防ぐため、政府が国内銀行に対して流動性を提供しないよう圧力をかけた結果です。
この悪政の為、リラを買い戻してポジションを解消したい投資家は債券や株式などのトルコ資産を売って現金を確保するしかなくなったわけです。
2年物トルコ国債の利回りは20%を上回り、株式相場も昨年の7月以来で最大の下落となってしまいました。完全に政府の思惑とは逆効果になりました。
短期の政治的目的のために、マーケットの色々な機能を犠牲にしています。
このようなやり方は、外国人投資家にとってリラが合理的な投資先ではないと思わせ、中長期的なリラ下落を招かざるを得ないでしょう。
アメリカが最大の産油国に。中長期的に様々な変化
アメリカのエネルギー情報局(EIA)が2019年3月26日に公表した月次エネルギー報告書によると、18年の米国の原油生産は17年より17%増え、日量1095万バレルとなって世界首位に浮上しました。
シェール革命のため、アメリカの原油生産は10年前の2倍に膨らんだ形です。
トランプ政権はシェールオイルのさらなる輸出に注力し、貿易協議などの交渉で「米国第一」のための取引材料に使います。
実際に米中貿易協議でも、中国がアメリカから原油などのエネルギーを大量購入する方針を示しています。この傾向は日本にも及ぶでしょう。
エネルギー覇権が変わると、アメリkの「脱・中東」を招き、様々な所で秩序が変わってくる可能性があります。
つい最近のアメリカの親イスラエル寄りの外交もその一つと言えるでしょう。
中国ZTEの2018年通年決算は1100億円の赤字
2019年3月27日に発表された2018年12月期の決算は、最終損益が69億元(約1100億円)の赤字でした。
アメリカからの制裁で半導体の調達ができなくなった事で、一時的な業務停止に追い込まれた事や、制裁解除のための罰金10億ドル(約1100億円)も響きました。
売上高は21%減の855億元で、欧米などでイメージが悪化したことに伴う同地域の売り上げが半分近く減ってしまいました。
中国自体の売り上げも12%減少しています。
ただ、2018年1-9月の最終損益が1170億円の赤字でしたから、回復傾向ではあります。
2019年3月27日
FRBが新しい金融政策を検討
FRBは景気悪化時に備えた新しい金融緩和の手法を検討しているとの報道がありました。
利上げの停止で政策金利は歴史的な低水準にとどまっており、利下げ余地が乏しいからです。
新しいやり方として、長期金利を操作して低めに誘導するやり方が検討されているそうです。
また、2%の物価上昇率目標の見直しも議論していて、早ければ年内に結論を出すとの事です。
EU首脳が、ヨーロッパの分断を懸念
2019年3月26日、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル首相とEUのユンケル欧州委員長はがパリで習近平と会談しました。
ヨーロッパ首脳の三者が、一回に習近平と会うというのは少し異例かなと思います。
EU加盟国の対中政策の足並みが乱れる中で、ヨーロッパ全体で中国と向き合っていく姿勢をアピールする事が目的なのでしょう。
それだけ、中国の各国、各地域にに対する影響力が「順調に」拡大しているという事でしょう。
会談の中でマクロン氏は習氏に「EUの結束を尊重するよう求める」と要請したとの事です。
一帯一路を巡り、中国がEU全体でなく加盟国ごとに交渉していることに不満を示したわけです。
メルケル氏も中国側に経済面でより互恵的な関係に改めるよう求めました。
離脱強硬派の支持で3月28日に採決?
既報の様に、離脱強硬派の一部がメイ首相案に賛成する事で28日にメイ首相案を採決する可能性が高まっているようです。
親EU派も何とか巻き返そうと必死に票集めや代替案の作成に専心している所と思われます。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
テメル前大統領の逮捕がボルソナロ政権を脅かす理由
既報の通り、前大統領であるテメル氏が逮捕され、マーケットは一気にボルソナロ政権の改革の行方に疑問符を突きつけました。
市場がテメル氏の逮捕を不安材料としてとらえた底流にあるのは、ボルソナロ政権の議会での基盤の弱さです。
ボルソナロ政権の改革路線の象徴である年金改革法案は議会での賛成が必要ですが、議会での基盤が弱いボルソナロ氏は、法案の成立にテメル氏が率いる中道政党との協力が不可欠なのです。
しかしその中道政党が今回のスキャンダルで年金改革法案どころではなくなりそうになっているという事で、そのまま年金改革法案の採決も流れてしまいかねないという事なのです。
3月26日、離脱強硬派の一部が首相案に賛意を示唆
離脱推進派のジェイコブ・リースモッグ議員がメイ首相の離脱協定案を支持する考えを示唆し、同案が可決される望みが出てきたようです。
もしそれが勢いを増せば、メイ首相と親EUの争いという構図になってきます。
離脱強硬派はメイ首相案に賛成する代わりに辞任など様々な交換条件を出しているのだと思われます。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
新しい記事を投稿
アメリカとヨーロッパの貿易協議に関する経緯をまとめた記事を新たに投稿しました!
アメリカ・ヨーロッパ(EU)の貿易摩擦問題についてのまとめと経緯
世界景気に対するネガティブな意見が増加
企業経営者向けのアンケートで、世界景気の先行きに対してシビアな見方をしている人が増えているようです。
あるメディアの調査によると、世界景気の見通しを「悪化」とした回答は全体の約25%と前回調査から倍増したそうです。
主な要因は中国景気の悪化。ただ、その一方で一方で中国の大型景気対策の効果を期待する意見もありました。
まだら模様な感じです。
メイ首相から議論の主導権を奪おうとする議員
イギリス議会は3月27日に、首相案に代わる複数の案について採決する予定です。
メイ首相の所属する与党保守党のオリバー・レトウィン議員が、代案としてどのような選択肢を議論するかを決定する超党派のプロセスを主導します。
メイ首相が掲げる離脱協定案とは別の選択肢への投票を実現させることが狙いなわけです。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
2019年3月26日
トルコ中央銀行が不安払しょくの為、新たな措置
中央銀行はここ最近の通貨急落を受け、政策金利であるレポ金利での資金供給を見送り、市中銀行に金利25.5%の翌日物ウィンドウで借り入れることを強制しています。
これにより市中銀行の資金調達金利は1.5ポイント上昇したことになると共に、1週間物スワップ入札による外貨供給も行わず、これによってこの週に25億ドル(約2760億円)の外貨積み増しとなるようにします。
トルコリラは3月22日、外貨準備高が予想に反して大幅に減少したことをきっかけに5%余り急落しましたが、25日は一時3.4%高の1ドル=5.5711リラまで回復しました。
ブラジルテメル前大統領の逮捕で懸念される政治・財政改革の進捗
2019年3月下旬、テメル前大統領が汚職に関わった容疑で逮捕され、ボルソナロ政権が推進する改革路線に対する不安材料となっているようです。
政界全体を揺るがした汚職問題の膿が出来っていないと分かり、政治の不安定化懸念が出ています。
政治不安で財政再建に不可欠な年金改革実現への懸念が急上昇し、レアルも一時年初来安値を更新。神経質な相場状況になっています。
日経平均650円安
3月25日の日本株は今年最大の下げ幅を記録しました。
各種指標から窺われる実体経済への不安がその底流にあります。
要因としては、
- 3月22日発表のユーロ圏のPMIの大幅な悪化
- アメリカの「逆イールド」が発生し、過去の経験則から不景気入りする可能性が高いと思われたこと
- 円高に進行して輸出関連株が売られたこと
でしょうか。
アメリカ株も引き続き不安定な動きをしています。
これに加えて定性的な理由として、
- 日本株は景気敏感株であり、景気低迷下の株高は長続きしないと判断した海外投資家が積極的に日本株を売っていること
- 近時、日経平均は21,500円付近で安定していた為、投資家の「心の準備」が不足していたこと
- 海外投機筋が株価指数先物に見切り売りを出していること
等も考えられます。
また、今後はトレンドをフォローするCTA戦略による売りが増えるという警戒論も出ています。
日銀の含み損が心配です。
マーケットの急落・急騰についてのまとめ(2018ー2019年)
ボルソナロ大統領の支持率、低下傾向
最新の世論調査によると、ボルソナロ大統領のの支持率が34%となり、就任時から15ポイント下落しました。
要因としては、
- 痛みを伴う年金改革に対する反発
- 閣僚や家族の醜聞、奔放な言動
- 選挙公約で掲げた汚職や治安対策で目に見える成果が出ていないこと
がその要因として挙げられています。
ボルソナロ氏は昨年の大統領選で汚職根絶を掲げ、テメル氏ら既存の大政党を厳しく批判してきたわけで、3月下旬に起きたテメル前大統領の逮捕劇は格好の人気回復の機会のはず。
しかし、年金改革法案成立には議会でテメル氏が率いる中道政党との協力が不可欠で、ボルソナロ氏は事件発覚後も基本的に無口です。
こうした歯切れの悪さも、国民からの支持が離れてしまう理由になっているのかもしれません。
大変難しい所です。
2019年3月25日
中国の通信3社の5G投資は今後数年で20兆円
中国通信大手3社による2019年の設備などの投資額が合計で4年ぶりに前年を上回ることが分かりました。
5Gに着手したためで、5G向けだけで投資額は5千億円規模。
これらの投資は今後数年で総額約20兆円に上る見通しです。
中国の副首相、経済目標達成に自信
中国の韓正副首相が、今年の中国経済について語り、より外部環境は厳しいものの主要経済目標を達成できると確信していると述べました。
同副首相は、
- 中国が市場を重視した改革を一段と深め、経済開放を進めること
- 中国のモノの輸入が向こう5年間で12兆ドルを超える規模になること
等について言及しました。
中国の景気テコ入れ策・経済政策の経緯とまとめ(2018年~)
米中協議の今後の交渉日程
アメリカは、ライトハイザーUSTR代表とムニューシン米財務長官が、3月28日から始まる高官級の通商協議に出席するため、北京を訪問すると発表しました。
また、その翌週、中国の劉鶴副首相が率いる代表団が、ワシントンで4月3日に開始する協議のために訪米すると明らかにしました。
立て続けに閣僚級会談が実施される形です。引き続き交渉が膠着状態になっているのでしょうか。
欧州委員会は5Gからファーウェイを排除せず
欧州委員会は5G網からファーウェイの排除を求めず、各国の国家安全保障上の判断に任せる見込みであることが分かりました。
この意向により最終的にはEU各国での法制化につながる可能性があります。
中国製造業2025 華為(ファーウェイ、HUAWEI)の5G戦略を巡る動き
イギリス首相に辞任圧力
メイ首相の辞任を求める圧力が急速に高まっているようです。
政治的な混乱とEUとの交渉が上手くいっていない事が主たる要因でしょう。
首相側は辞任を否定していますが、イギリス議会で25日の週に行われる離脱案の採決が否決されれば、辞任圧力がさらに強まることは避けられません。
報道では複数の閣僚が首相に辞任を促す計画があると報じていて、メイ氏が辞任した場合には、閣内から暫定首相を立てる案があると報じています。
2019年3月23日
EUはイギリスに4月12日までの決断を要求、3月29日の合意なき離脱はなし
EUは3月21日の首脳会議で、29日に迫った英国のEU離脱時期の延期で合意しました。
ただイギリスが求めた6月末までの延期は認めず、4月12日までに具体的な離脱方針を明らかにするよう要求しています。
これはいわばEUによる最後通牒で、引き続き合意なき離脱に陥るリスクは残っています。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
トルコの金融政策、一転引き締めへ
2019年3月22日、トルコ中央銀行は通貨リラ急落を受けて、金融引き締め策を発表しました。
主要な政策金利である1週間物レポ金利(年24%)を使った市中銀行への資金供給を停止し、今後は別の政策金利である翌日物貸出金利(25.5%)や後期流動性貸出金利(27%)に切り替えます。
中央銀行は引き続き高金利を嫌うエルドアン大統領からの圧力を受けていると思われ、使用する政策金利の切り替えという事で事実上の利上げをしようと試みたのだと思われますが、発表後もリラは下げ止まりませんでした。
習近平、イタリア大統領と一帯一路で意見交換
2019年3月、習近平はイタリアを訪問し、マッタレッラ大統領と会談しました。
会談後の共同記者会見で習氏は「インフラや港湾などの分野で協力を深めたい」と述べ、イタリアとの連携強化に意欲を示しました。
習近平はコンテ伊首相とも会い、一帯一路で協力する覚書を交わす見通しです。
イタリアは財政危機に瀕し、いざとなったら中国に支援を仰げるような形にしておきたいのかもしれません。
アメリカ株式市場、急反落、逆イールドも発生
2019年3月22日、アメリカ株式市場でダウ工業株30種平均が急反落し、前日比で460ドル下落しました。
ヨーロッパの景気減速やBREXITに対する懸念から売りが先行したと見られます。
債券市場では長期金利が一段と低下し、10年物が3カ月物を下回る「長短逆転(逆イールド)」が発生しました。
長短逆転は不況の前兆とされる現象と言われていて、株価は一段安となった形です。
アメリカの金融政策については↓をご参考ください。
トルコリラが一時5%超安に
2019年3月22日、トルコリラが主要通貨に対してかなり売られました。
対ドルでは一時1ドル=5.8リラ程度と前日比5%あまり急落しています。
トルコ中央銀行が2019年3月21日に発表した週間統計で個人や企業がリラを売ってドルを買う動きを加速させたことが明らかになり、リラの先安観が強まったと見られます。
高インフレで自国通貨の減価を嫌気し、トルコの個人や企業がドル預金を積み増しており、それが無視できないレベルになっているのです。
もちろん中東情勢の不安定化やトルコとアメリカの関係についての懸念も背景の一つとしてあるでしょう。
マーケットの急落・急騰についてのまとめ(2018ー2019年)
2019年3月22日
イギリスの合意なき離脱の可能性が急上昇で、ポンド投資家は混乱
既報の通り、イギリス議会がメイ首相案を承認しなければ、離脱延期を保証できないとEU側がいっている事を受けて、合意なき離脱に陥る確率が急上昇しています。
あるストラテジストはその確率が50%にも上ると指摘しています。
あるメディアの調査によると、合意なき離脱の場合にポンドは現水準から10%程度安くなる可能性もあるとの事です。
投資家たちは虚を突かれた感じでしょう。なぜなら2月末まで合意なき離脱に陥る可能性はほぼゼロと皆が思っていたからです。
オプショントレーダーはポンドの下落やボラティリティー拡大で利益が出るポジションを組み、ファンドマネジャーは生じ得る影響を評価するため、憲法専門家にまで話を聞いている状況との事です。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
BREXIT時期について、EUは5月22日までの延期を提案
EUは、イギリスの離脱期限を5月22日まで延期することを認める提案を行いました。
ただし、これには条件があります。2018年11月にEUとメイ首相が合意した離脱案をイギリス議会が3月25日の週までに承認すること、です。
ただ、EU首脳会議は進行中で、離脱期限はさらに変更される可能性もあるとの事です。
来週までに一度否決された離脱案を受け入れないと、合意なき離脱、という事になるかもしれません。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
アメリカの金融政策、2019年の利上げ見送り、資産縮小終了
FRBは2019年3月20日のFOMCで、2019年中の利上げを見送り、9月末で資産縮小も停止する方針を示しました。
海外経済に下振れ懸念がにじみ、FRBは「金融政策の正常化」を前倒しで終結させて、景気への警戒モードに転じる形となりました。
市場ではいつ利下げが起こるのだという予測も出始めています。
アルゼンチンの2018年成長率はマイナス2.5%
2019年3月21日、アルゼンチンの2018年のGDP成長率が前年比2.5%減だったと発表されました。
これで2年ぶりのマイナス成長に陥りました。
要因としては、
- 歴史的な干ばつによる農業生産の落ち込み
- 通貨下落と高インフレによる経済への悪影響
でしょう。
マクリ大統領は10月の大統領選で再選を狙いますが、改革路線に対する反発も根強く、厳しい運営が続きそうです。
かと言って、改革に後ろ向きなポピュリスト政治家が出てきても困ります。投資家としてはひやひやする所でしょう。
米中貿易協議、対中関税は長期間に及ぶ可能性
2019年3月20日、トランプ大統領は米中通商協議での合意事項を中国が確実に履行するよう、中国製品に対する関税を「かなりの期間」維持する可能性があると明らかにしました。
既報の通り中国側は合意の一環として関税の撤廃を求めていますが、それを拒否する形になります。
米中協議を複雑にする恐れがあります。
日米TAG交渉、4月に安倍首相の訪米でトランプ大統領と貿易交渉について協議予定
安倍首相が2019年4月末にも訪米し、トランプ大統領と首脳会談を行う方向との事です。
日米通商交渉についても協議する可能性が高いと見られます。
ここ最近、この交渉に関する日米間での認識の差が少し露呈しています。
例えば、
- 日本はこれを物品貿易交渉と認識するが、アメリカはFTA交渉だと認識
- 通商交渉継続中にアメリカが日本車に追加の高関税実施はないと昨年合意したものの、2019年2月、アメリカは自動車関税に関する報告書を提出し、これを受け5月18日までにトランプ大統領が、追加関税の妥当性を判断
この自動車関税の所でどうなるか分からないので、トヨタを使って日本の対米投資が積極的であることをアピールしたりしているのでしょう。
日米TAG(日米物品貿易協定)交渉の関連ニュースのまとめと経緯
2019年3月21日
ブラジルの政策金利は据え置きで新総裁でも金融政策に変更なし
2018年3月、中央銀行は政策金利を市場予想通り6.5%に据え置きました。
2019 年のインフレ目標は4.25%±1.5%としていますが、足元のインフレ率は目標中央値を下回って推移しており、インフレ期待も高まっていません。
中央銀行は景気回復を支援するため、政策金利を今の状態で据え置くことが良いと判断したのでしょう。
今後の金融政策については、引き続き経済活動やインフレなどの状況次第とされています。
因みに、今回はネト新中央銀行総裁にとって初めての会合でしたが、前回の金融政策決定会合の声明文と大きな変化はなく、前総裁の金融政策を踏襲する姿勢がうかがえます。
ブラジルレアルは上がるのか?現状から今後の行方まで色々なポイントで考えるブログ
イギリスの離脱時期について、EUが6月末までの延期を却下
イギリスを除くEU27加盟国の首脳は3月21日にイギリスのEU離脱の延期について協議しました。
その中でメイ英首相が提案した「6月末」までの延期案を却下することで一致しました。
報道によると、4月中旬までに長期延期と「合意なき離脱」のいずれかを選ぶよう英国に求める方向との事です。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
2019年3月20日
国際特許出願数、中国の存在感増大
国際特許の分野でファーウェイの突出ぶりが際立っています。
世界知的所有権機関(WIPO)が3月19日に発表した2018年の特許の国際出願件数で、ファーウェイは2位の三菱電機の約2倍となり、他社を大きく引き離しました。
これで2014年から5年連続で中国企業が首位となっただけでなく、国別でも中国からの出願件数が全体の2割を占めました。
アメリカに肉薄し、米中2強が争う構図が鮮明になっています。
まさに中国製造2025が目指す世界に近づきつつあります。
イギリスのEU離脱延期3か月か2年か、4月中旬までに決断を
あるEU高官によれば、メイ英首相は離脱延期の期間について、2020年になるまで延期するか、3カ月後に「合意なき離脱」の危険を冒すか、4月半ばまでに決断するようEUから迫られる可能性が高いとの事です。
つまり、メイ首相は4月中旬までに
- 国内の政治家を説得する自信があるなら3か月の延長を要請する
- 仮にそれで国内の説得がだめとなった場合は7月に合意なき離脱となる
- メイ首相が3か月以内に説得は無理だと判断すれば来年以降まで延長する
といった事を考えて決断しなければならないという事です。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
米中貿易協議で、中国の積極姿勢後退?
米中貿易協議で中国側がアメリカの要求に抵抗しているとの懸念をアメリカ側は抱いているようです。
つまり合意に向けた協議の進展は鈍い、という事です。
その一方でトランプ大統領は再選の可能性を高め得る米中合意の実現に楽観的な見解を示しています。
中国側は、
- 知的財産に関する政策の変更には同意
- しかし、中国製品への関税を撤回する確約をアメリカから得られていないと考えている
- その点で進展がない限り、協議自体を前に進める気があまりない
といった感じのようです。
これが中国の交渉術でアメリカを翻弄しようとしているのかは分かりませんが、引き続き注目です。
ドイツの5G関連入札開始でファーウェイへの対応注目
2019年3月19日、ドイツ政府が5Gの周波数帯の入札を始めました。
ドイツテレコム、ボーダフォン、テレフォニカ、ドリリシュの4つの通信事業者が参加、落札総額は数十億ユーロになるとみられます。
ファーウェイは入札に参加していませんが、通信事業者向けにルーターなどの通信機器を供給しており、ここが問題です。
ドイツ政府が実質的にファーウェイを排除するのか否かという所です。
中国製造業2025 華為(ファーウェイ、HUAWEI)の5G戦略を巡る動き
イギリスのEU離脱期日の3か月延期要請、最大2年という案も
一度否決された離脱協定案の再採決が難しくなったことを受け、メイ首相は離脱期日を少なくとも3カ月延期するよう要請する公算が高まりました。
どの程度の期間の延期を要請するのかについては明らかになっていないのですが、基本は6月30日までを要請し、最大2年先送りする可能性についても要請していると一部のメディアが報じました。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
米中協議で、アメリカの半導体業界は中国の大量購入を拒否
アメリカの半導体業界はアメリカ政府に対し、中国との通商交渉で米半導体の輸入拡大を合意案に盛り込まないよう伝えました。
アメリカ政府は、中国に約1兆ドル相当を輸入するよう中国に要求していますが、半導体業界は自主的にその枠組みに入ることを拒否したのです。
アメリカの生産コストは極めて高いため、中国に対し強制的な購入枠を設ければ、米半導体メーカーは事実上、中国での新規工場建設を余儀なくされ、中国に生産をコントロールされる事態に陥りかねない、というのがその背景のようです。
日米TAG交渉、交渉対象の認識差露呈
アメリカの2019年の大統領経済報告で「日本とは自由貿易協定(FTA)交渉に入る」と明示しました。
安倍政権はモノに限った物品貿易協定(TAG)と主張している一方、アメリカはサービス分野も含めた包括的なFTAを目指しており、日米の温度差が改めて浮き彫りになった形です。
当該経済報告では、
- 日本とFTA交渉に入り、農産品や工業品、サービスの分野で貿易障壁を引き下げる事でアメリカは利益を得ることができること
- 豚肉や牛肉などの農産品だけでなく、物品やサービスの関税や非関税障壁が対日輸出の妨げになっていること
等に言及しました。
いずれも従来とあまり変わらない主張ではあります。
交渉で何を話し合うか決める所でまた時間がかかりそうです。
日米TAG(日米物品貿易協定)交渉の関連ニュースのまとめと経緯
2019年3月19日
メイ首相のBREXIT案を議会通過させるのに必要なこと
メイ政権は、3月20日までの可決を目指し多数派協議を進めているわけですが、それには何が必要なのでしょうか。
可決には、3月12日の2回目の採決で反対票を投じた与野党の計391人のうち少なくとも75人を翻意させる必要があります。
そして政権は見返りとして、反対派議員の地元に対する財政支援などを検討し始めたようです。
これまでの採決結果としては、
1回目:賛成202、反対432の230票差で否決
2回目:賛成242、反対391の149票差で承認失敗
上記二回の採決で、与党陣営として閣外協力する北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)はいずれも所属する10人の議員がすべて反対に回りました。
メイ首相派保守党とこれら閣外協力の与党のメンバーをどこまで説得できるか、という事です。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
2019年の全人代を受けた中国債券市場の動向
2019年の全人代は、目先の景気浮揚に注力するという内容で、大きなサプライズもなく終了しましたが、政策金利も含めた金利の引き下げへの言及があったことは中国の債券市場に投資をしている人にとっては注目すべき所だったと思われます。
これは、将来の利下げの可能性を示唆していると思われます。
最近は民間企業の資金繰りを支援するための預金準備率の引き下げに重点が置かれ、政策金利は一定の水準
で維持されてきました。
これは、利下げによる景気浮揚のメリットよりも、不動産市況の過熱や国内から海外への資金流出などの副作用への懸念が強かったためだと考えられます。
ただ、今後については利下げが実施される可能性が高まりつつあるのかもしれません。
2019年の全人代における利下げの可能性への言及は、ただちに債券利回りの低下に繋がるものではないかもしれませんが、債券利回りの上昇を抑制する要因にはなるでしょう。
海外投資家、日本国債への投資を増加、円高要因にも
海外投資家が日本国債に投資を増やしています。
世界的に金利が低下するなかで相対的に日本国債の魅力が高まり、ヨーロッパの投資家を中心に購入が増えているようです。
ヨーロッパは域内の景気減速感が強まるなか、ECBも年内の利上げを断念し、ドイツやフランスだけでなく、イタリアやスペインなど南欧の国債も金利が低下しました。これを受けてヨーロッパの投資家がマネーシフトをしているのだと思われます。
2019年1~2月の買越額が4兆円強の高水準に達しており、これが日本の金利低下を促し、外国為替市場で円高を防ぐ一因にもなっています。
2019年6月までの協調減産の意向を確認、それ以降は未定
OPECと非加盟国のロシアなど主要産油国は会合を開き、2019年6月末まで協調減産の規模を維持する方針を確認し、2019年4月に開く予定だった総会と減産参加国の全体会合の見送りも決めました。
6月以降の減産の規模や期間を決めるには早すぎると判断したようです。
この決定を受けて原油市場は堅調を維持しています。
因みにロシアは今後の減産延長について明確な支持を表明していません。
ロシアの慎重姿勢の背景には、増産を求めるロシア国内の石油会社への配慮があると思われます。
中国の地方都市で広がる不動産バブル
中国の不動産バブルはかなり前から問題視されていた事柄だったと思います。
当局もこのバブルを抑制しようと、大都市における不動産価格の沈静化に努めているものの、経済基盤の弱い都市については放置したままなのが実態です。
国内経済の減速を懸念する中国政府は、中小都市における不動産価格について特に何もせずに放置しているのです。
2019年3月の全人代で改めて目先の不況対策を前面に出したわけですが、最近の金融緩和によって価格急騰があおられ、住宅投資に関わる地方の債務負担が無尽蔵に膨らんでいるとの懸念が広がっているようです。
ある調査によれば、200を超える都市で不動産価格が2018年だけで2桁の上昇を記録したとのこと。
個人のレベルで言うと、住宅価格の対所得比で、現在の中国の住宅バブルはかつての日本の不動産バブルより深刻な状態になっているという事です。
メイ首相案、今のままだと3回目の採決不可能?
2019年3月18日、イギリス議会下院のバーコウ議長は議会で12日に否決された離脱案と同じ案を再び採決することはできないとの声明を発表しました。
イギリス政府は3回目の採決を20日までに行うため、与党の反対派の説得に当たっている最中ですが、離脱案の内容の変更や追加がなければイギリス議会に諮れなくなってしまいました。
その一方で、EUは再協議を拒んでいます。
つまり、3回目の採決の実現は難しくなりました。
議長はまた、「同じ提案を出せるようにルールを変更する動議を審議することは可能だ」との見解も示しました。
反対派への説得で離脱案を可決するメドがたてば、イギリス政府が今回に限ってルールを変更する動議を出すとの見方も出ています。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
米中貿易協議最終局面での対立点
3月中に予定されていた首脳会談もなくなりました。
ここで、米中の対立点を簡単にまとめてみます。
まず2019年3月中旬現在の対立点は「中国が合意事項を順守しているか監視し、違反した場合に罰則を科す仕組み」をどう構築するか、という事です。
その上で、
- アメリカは、アメリカが制裁関税を再発動しても、中国は報復措置をとらないと確約するよう求めている
- これに対して中国は、アメリカの一方的な制裁条項は不公平であると反発
- 中国は金融や農業の市場開放に応じる一方、中国の保険会社などの米国市場への参入拡大を要求
- また、中国はアメリカ企業が持つ高度技術(AIなど)の対中輸出の制限の緩和も要求
- 中国は、アメリカに追加関税の即時撤回を要求
- これに対してアメリカの一部では中国の合意履行を見極めるため関税を段階的に下げる案を主張
といった所でしょうか。
有力保守党議員がメイ首相の退任時期の確約を要求
英与党・保守党の有力議員がメイ首相に対し、メイ首相案を支持する条件として首相退任の時期を示すことを要求しているようです。
報道によると一部の保守党議員らが、EUとの将来関係に関する交渉をメイ氏が主導しないと確信できる場合に限り離脱案を支持する意向だとの事です。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
インドネシア大統領選挙、ジョコ大統領が支持率でリード
2019年3月現在の世論調査では、再選を目指すジョコ大統領が副大統領候補にイスラム教指導者を起用して保守層を取り込み、支持率で野党陣営に20ポイント以上の差をつけて優位に立っているようです。
ジョコ氏自身は既述の通りイスラム教徒であっても、宗教色の薄い世俗派とみられてきました。
しかし、副大統領候補に選んだマアルフ・アミン氏は同国のイスラム教指導者の最高団体「インドネシア・ウラマー評議会」の議長。生粋のイスラム教徒であり、他のイスラム教徒への影響力も相当です。
ジョコ氏は前回の大統領選で「イスラム色」が薄いとみなされ、最終盤で苦戦したという苦い経験があり、今回のイスラム色を前面に出す手法もそこから来ています。
2019年3月18日
メイ首相、ブレクジット強硬派に圧力
メイ英首相は、議会が離脱案を承認しなければ、離脱時期はさらに遅れ、欧州議会選挙への参加が必要となる可能性があると強硬派たちに警告しました。
イギリス国内での協議は迷走しており、いまだに最終的な見通しがたっていません。
メイ首相は自身がまとめた離脱案を3月21日のEU首脳会議までに承認しなければ、離脱は6月30日以降にずれこみ、最終的にはブレクジット自体もなくなる可能性も浮上すると指摘した上で、離脱協議が長期化すれば、5月下旬のEU議会選挙への参加や2019年のEU負担金の拠出を余儀なくされるとも付け加えました。
BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)
IEA、シェール革命は止まらない
IEA(国際エネルギー機関)のレポートで、「アメリカのシェール革命の第2の波が来る」という表現が使われました。
2019年3月11日に公表された2024年までの見通しで、アメリカの原油・石油製品の輸出量がロシアを抜く世界2位になると予想しました。
もしそうなると首位のサウジアラビアに迫る。シェールオイル増産で23年の産油量は18年より26%増えるという事です。
アメリカは既に最大の産油国ですが、生産も輸出もさらに増えれば、かつてほど他国に気を使う必要は薄れます。
トランプ大統領の「アメリカファースト」の背後には、もうエネルギーで他国に頼る必要はないという自信もあるようです。
中国の李首相、的を絞った刺激策継続
李克強首相は、全人代の閉幕と合わせて記者会見し、今後の政策について語りました。
要旨としては、
- 政策の新たな焦点は、成長減速による大量の失業者が出るのを防ぐこと。
- 「雇用第一」戦略では、雇用が財政および金融政策と同じレベルの優先順位となること
- 今年の雇用創出規模は1300万人となり、経済政策報告で示した目標の1100万人を上回る見込みであること
- 減税の規模は、提案されていた今年の計画の2兆元(約33兆円)を上回る可能性があること
- 引き続き銀行の預金準備率の引き下げが検討されていること
中国政府としては、目先の景気回復とともに、シャドーバンキングなどの問題を拡大させない事も重大目標としており、大変難しい綱渡り状態にある事は変わりありません。
中国の景気テコ入れ策・経済政策の経緯とまとめ(2018年~)
新興国株式上昇の裏で不良債権問題への懸念
新興国株が最近回復傾向にあるものの、多くの新興国で不良債権問題が増加していることへの懸念も増加しているようです。
インドでは、総与信残高に占める不良債権の割合が、世界的にみて高水準となる10%近くに達しています。
中国やトルコ、その他の新興国でも今年は不良債権比率が上昇する可能性が語られています。
不良債権問題は、金融セクターや経済成長をむしばみ、中長期マネーの退避を促すので要注意です。
やはりいつも語られている通り、その国のファンダメンタルズをしっかりと見て投資をしなければならないという事で、その瞬間のセンチメントだけで投資を決めてはならないという事かもしれません。
アメリカのシェール増産と口先介入が原油相場に与える影響
原油相場が4カ月ぶりの高値をつけました。
背景としては、
- OPECの協調減産、
- アメリカによる産油国イランとベネズエラにかける経済制裁
でしょう。
ただ、アメリカはシェールオイル増産を背景に供給国としての存在感を強めていて、トランプ大統領による度重なる高値けん制発言で簡単な上昇相場でもなさそうです。
トランプ大統領の口先介入が単なるブラフではなく、実際にシェールの増産と結びついている所がなかなか難し所です。
2019年3月16日
3月15日時点のブレクジット議論に関するまとめ
3月15日時点でのブレクジットに関するまとめを行ったスポット記事を投稿しました。
【2019年3月15日時点】BREXIT(ブレグジット)の今後のシナリオ
トヨタも北米向け投資を130億ドル
日米TAG(日米物品貿易協定)交渉の関連ニュースのまとめと経緯
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