中国民間・国営企業の債務問題、シャドーバンキング問題

ここでは、中国の債務問題やシャドーバンキング問題について記述していきます。

隠れ債務問題やシャドーバンキングは経済を中長期的にむしばむもので、中国政府も以前より問題視していました。

一時はその処理に本腰を入れて取り組もうとしたものの、目先の景気が思った以上に悪く、また米中貿易摩擦などの影響もあって、金融緩和を続けざるを得ない状況に陥ってしまいました。

ただ、もちろん問題は解決していません。

ここではその問題についての経緯をフォローしていきます。

過去の経緯を一気に確認されたい場合は以下をご参照ください。

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中国民間・国営企業の債務問題、シャドーバンキングに関する動向と経緯 新興国への投資 | invstem | 金融・投資 | Kindleストア | Amazon

2024年3月

地方銀行で膨らむ不良債権

中国の不動産問題が地方銀行に重くのしかかっているようになっています。

2023年12月末の不動産向け不良債権は1年前から約3割増となっており、これによって財務体質が悪化して新しい融資を増やせず、中国の景気回復の足かせになるかもしれません。

2023年12月

シャドーバンキング破綻に対する対応

中国はシャドーバンキング大手の中植企業集団の経営が行き詰まった後、異例のスピードで処理手続きを進めています。

中国経済が苦境に陥っていることもあり、金融リスクの抑制は当局にとってかなり大切な問題です。

中植の債権者は金融機関でなく主に裕福な個人との報道がありますが、それでもこの経営危機が消費者や投資家のセンチメントをさらに圧迫する危険があります。

2023年9月

隠れ債務対策に30兆円

中国政府は地方債務問題の抑制に乗り出します。

地方政府に新たな債券の発行枠を与え、傘下の投資会社が抱える「隠れ債務」の借り換えを促すというものです。

中国メディアによると発行枠は30兆円規模に上っています。

地方政府本体による発行で金利を低く抑え、返済負担を軽減する狙いです。

2023年8月

主要不動産11社で債務超過の懸念

中国の不動産開発会社に債務超過リスクが浮上しています。

主要11社の6月末の開発用不動産は約6兆3500億元(約130兆円)にのぼっています。

単純計算ではこの評価額がおよそ3割下落すれば現在の資本は枯渇し、債務超過に転落するとのことです。

中国政府は政策金利引き下げや住宅購入規制の緩和などで住宅市場の活性化を狙っていますが、消費者は引き渡し不能を恐れて未完成物件の購入をためらうようになっており政策効果は限られていると言われています。

碧桂園控股、上期の赤字が約1兆円

中国不動産最大手の碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)が8月30日に半期決算を発表しました。

2023年1~6月期連結決算は、最終損益が489億元(約9800億円)の赤字でした。

住宅と学校の一体開発で成長した同社ですが、共産党の政策変更で経営モデルが崩れ、過去最大の赤字を計上したという顛末です。

債務超過への懸念が増します。

万科、大きく減益

中国不動産大手の万科企業が8月30日発表した2023年1〜6月期連結決算は、純利益が前年同期比19%減の98億元(約2000億円)でした。

1〜6月期として2年ぶりに減益となりました。

やはり主力の不動産開発事業の売上高が減り採算が悪化したわけです。

売上高は3%減の2008億元となりましたが、これは全体の9割超を占める不動産開発事業が4%減と苦戦したことが要因です。

恒大の赤字額は6600億円

中国不動産大手、中国恒大集団の2023年1〜6月期連結決算は、最終損益が330億元(約6600億円)の赤字でした。

前年同期の663億元の赤字から縮小しましたが、1〜6月期として3年連続で最終赤字となったようです。

中国の金融が大きな問題に

中国で金融リスクの懸念が増加しています。

経営再建中の中国恒大集団は8月17日、米国で連邦破産法15条の適用を申請しました。

不動産などで運用し、個人や企業が投資目的で保有する信託商品の一部では償還停止が表面化しています。

ずっと言われてきている事ですが、不動産不況を契機にして金融システム全体への不安が広がるのではないかと一部では身構えています。

中植企業が債務再編へ

中国の民営複合企業、中植企業集団が資金繰り問題に直面しています。

8月17日、投資家に対して「流動性危機にひんしており、債務再編を実施する」と説明したという事です。

中植は中国の信託大手である、中融国際信託の主要株主です。

同社が設定・運用する信託商品は一部償還停止となっていて、中植の経営問題が信託商品の運用などに波及した可能性もあります。

中国不動産不安、碧桂園を震源に再燃

 中国で不動産業界不安が再び高まっています。

今注目されているのは碧桂園です。

債券の利払い不履行を起こし、債務再編の準備を進めているとの観測が台頭し、、8月11日に株価は最安値を更新しました。

同社は8月6日が期限だったドル建て債2本の利払い、合計2250万ドルについて支払いができなかったとしています。

更に、8月10日には、業績悪化を理由に、上半期が最大550億元(76億ドル)の赤字になるとの見通しも示しています。

2023年7月

緑地控股集団がデフォルト

中国・上海市政府系の不動産開発会社、緑地控股集団が米ドル債をデフォルトしました。

元本の5%分を部分償還する予定でしたが、期日までに支払いがありませんでした。

中国では不動産会社の信用問題が再び浮上しています。

恒大が11兆円の赤字

中国不動産大手、中国恒大集団が7月17日発表した2021年12月期と22年12月期連結決算は、2年間の最終損益が単純合算で約5800億元(約11兆2000億円)の赤字となりました。

債務超過に転落しました。

住宅用地など開発用不動産の評価額を大幅に引き下げた結果ですが、外貨建て債務の債権者と交渉中の債務再編案は未決着で、再建の道筋には不透明感が強いままです。

2023年6月

地方財政難深まる 隠れ債務は1100兆円

中国の地方財政が厳しさを増しているようです。

地方政府傘下の投資会社、融資平台が抱えるとされる「隠れ債務」の残高は2022年末に1100兆円を超えました。

新型コロナウイルス流行前の19年から5割増えた水準であり、かなり膨れ上がっています。

過剰な借金でインフラ開発などを進めてきたことが背景ですが、当然中国経済に対するボディーブローとして効いてくるはずです。

2023年5月

中国の不動産向け不良債権が増加

中国の銀行で不動産業界向けの不良債権が増え続けています。

2022年末時点で中国工商銀行など4大銀行の残高は前年比6割増え、直近10年で過去最大となってしまったようです。

不良債権を処理する政府系資産会社の業績悪化も鮮明となっており、解決はまだまだ先となりそうです。

米地銀破綻や欧州のクレディ・スイス救済問題に続き、世界の金融システムを揺さぶるリスクにもなりかねません。

2023年1月

銀行の融資姿勢が一変

金融監督当局が国有銀行に融資を指導し、銀行の融資態度が一変しています。

危機に瀕していた不動産各社にとっては生き残りの道が見えてきたことを意味するので朗報ですが、不動産バブル問題の解決は先送りされることになりそうです。

3つのレッドラインを緩和

中国政府は不動産企業への資金調達制限などを緩め、支援政策に転換します。

大手に対して定めた財務指針「3つのレッドライン」を緩和することがその具体的な内容です。

政府の関係部門が優良不動産会社に関してバランスシート改善行動計画」を策定しており、これまで負債額に厳しい上限を設けるなどしていたところを主要30社を対象に緩和する事が柱です。

同指針は企業の資金繰りを悪化させ、住宅市況失速の要因となっていました。

業界再編に向けた資金計画も支援する予定で、3期目に入った習近平政権は構造改革より安定成長を重視する姿勢を鮮明にした形です。

2022年12月

不動産支援に転換

中国が不動産業界の支援に乗り出しました。

政府の包括的な金融支援策に呼応し、国有銀行が相次ぎ不動産会社向け融資枠を設定する動きに出ています。

総額は3兆1950億元(約63兆円)を超え、かなりの規模です。

9月末の融資残高の約2割強に相当する規模で、不動産各社にとっては助け船でしょう。

ただ、一方、過剰債務という構造問題の解決はいつもの通り先送りされます。

2022年9月

中小銀行で強まる不安

中国で中小銀行の経営への不安が強まっています。

今春、小規模な地域金融機関で預金が引き出せなくなった問題は、地方銀行大手の取り付け騒ぎに発展しました。

農村部を基盤とする2行の破綻も明らかとなっており、政府は地域発の金融不安が全国に広がりかねないと警戒しています。

不良債権処理の加速や公的資金の注入で中小銀行の経営健全化を急ぎます。

不動産向け不良債権が急増

中国で不動産業界向けの不良債権が急増しています。

香港に上場する主要銀行の2022年6月末残高は21年末に比べて27%増えました。

不動産大手、中国恒大集団などのデフォルトや市場悪化が響いたと言えます。

銀行から不良債権を買い取って処理を進める専門会社の業績も悪化しています。

シャドーバンキングが拡大

中国で銀行の帳簿に計上されない「影の銀行」からの資金調達が増えています。

2022年8月の純調達額は2017年3月以来5年5カ月ぶりの大きさとなったようです。

地方政府傘下の投資会社がインフラ建設のため銀行を介さない取引で資金を調達したようです。

銀行からの借り入れが難しい中小零細企業の調達が膨らんだ可能性もあります。

2022年8月

不動産問題が不良債権増加と地方財政悪化を促進

中国で不動産開発企業の経営難を起点に、金融と財政が同時に悪化しているようです。

銀行では不動産融資の焦げ付きが増え、工事が止まった物件で住宅ローンの返済拒否が広がっています。

地方政府が国有地の使用権売却で得る「土地収入」も落ち込んでいます。

不動産の苦境は政府の規制強化が発端と言えるでしょう。

バブル抑制のため2021年に開発企業向け融資や住宅ローンを絞りましたし、新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策では景気も悪化してしまい、22年1~6月の住宅販売面積は前年同期比27%減っています。

遠洋をジャンク級へ

中国不動産セクターが厳しい状況の中で、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは国有企業が出資している遠洋集団を投資不適格級に格下げしました。

ムーディーズが8月1日発表した資料によれば、同社は遠洋に「Ba1」を付与し、これまでの「Baa3」発行体格付けは取り下げました。

格付け見通しは「ネガティブ(弱含み)」。

遠洋は成約販売で中国20位の不動産開発会社で、筆頭株主は国有の中国人寿保険です。

2022年7月

恒大、暫定再編計画を提示せず

不動産開発企業として世界最大級の負債を抱える中国恒大集団は、7月中に約束していた「暫定再編計画」の提出を履行しませんでした。

中国の不動産業界全体に債務危機が広がる中、投資家が焦燥感を募らせるリスクが高まっています。

中国恒大集団が代わりに提出したのは、オフショア債に関する「暫定再編方針」というものでした。

同社の債務総額は約3000億ドルですが、このうちドル建て債は約200億ドルとなっていて、再編が行われるとなれば、中国史上最大クラスとなる可能性があります。

中国でローンの支払い拒否が相次ぐ

中国で住宅購入者のローン支払い拒否が続出し、不動産会社の経営悪化に拍車がかかり、1870億ドルに及ぶ不動産会社の外貨建て債券の不履行(デフォルト)リスクが再び高まっています。

不動産会社の建設資金不払いで工事が中止、物件引き渡しのめどがたたない事が背景ですが、これによって不動産会社の経営がもっと悪くなれば、銀行に波及する恐れもあります。

この動きは海外投資家にとって危機の芽になっています。

地方政府が債務返済延期を金融機関に要請

中国の省政府が、傘下のインフラ投資会社などの債務について返済の繰り延べなどの支援をするよう金融機関に要請しているようです。

不動産市場の不振で財政が悪化する地方政府のあいだで、今後同様の動きが広がる恐れがあります。

今後ほかの地方政府にも金融機関との交渉が広がり、債務返済繰り延べなどを求める動きが広がると、負担を強いられるのは銀行や投資家です。

中央政府は、2014年の地方政府による地方債の直接発行解禁と並行して地方政府傘下の融資平台による資金調達を度々規制してきました。

隠れ債務として財政の透明性を低下させ、国際的な信認を損なうおそれがあるためですが、現実にはこうした資金調達は続いています。

不動産セクターは7月以降他のセクターと同様に下落方向です。

【直近半年のCSI300不動産指数の推移(出所:TradingView)】

©Trading View

地方財政破綻のリスク高まる

中国で地方財政の破綻リスクが上昇しています。

S&Pは、地方政府の最大3割が2022年末時点で、歳出削減など早期是正措置を求められる水準まで財政が悪化すると試算しました。

住宅市場の低迷で土地収入が落ち込み、インフラ債などの利払い費が膨らんでいる事が背景です。

新型コロナウイルスの封じ込めに必要な財政負担も重いと思われます。

住宅ローンの支払い拒否が続く

中国で建設工事が止まった未完成住宅の購入者が、住宅ローンの返済を拒否する動きが相次いでいるようです。

物件引き渡しの遅れに抗議するためですが、不動産開発会社も政府の規制強化で資金不足に苦しんでおり、こうした返済拒否が広がると、銀行の貸出残高の2割を占める住宅ローンの不良債権リスクが高まりかねません。

世茂集団、ドル建て償還できず

中国の不動産開発会社である世茂集団は、ドル建て社債10億ドル(約1350億円)相当について、7月3日の期日に償還できなかったと発表しました。

同国不動産業界では今年、オフショア債の元利払いが期日に履行できない例が記録的な数に上っています。

世茂集団は香港証券取引所への同日の届け出で、他の数本のオフショア社債についても元本の償還ができていないと報告しました。

債権者と協議を行っており、解決策の合意を目指していると説明していますが、合意に至らない場合は債権者が支払い加速を要求する権利を有する可能性があり、同社に対して執行措置を講じるかもしれないとしています。

2022年5月

不動産大手が債務不履行に

中国の不動産大手、融創中国は5月12日、一部のオフショア社債の利払いを期限までに実行できず、デフォルトに陥ったと発表しました。

この会社は2021年の住宅販売額で中国3位の大手です。

今回、23年10月に満期を迎える社債の金利2947万ドルを30日間の猶予期間内に支払えませんでした。

別の3つの社債の利払いも猶予期間に入っており、デフォルトの可能性を示唆しています。

このままだと、同社のオフショア市場における77億ドルの社債を含め、他の債務も債務不履行とみなす「クロスデフォルト」になる可能性があります。

債券の交換規則公表

中国は、企業のデフォルトリスク低減を支援する取り組みの一環として、銀行間市場で新たな債券を売却して既発債と交換することを認める規則を打ち出しました。

5月5日に発表となったもので、企業の債務管理を支援し、投資家の利益を保護することが狙いという事です。

デフォルトした債券の処理に関する規則も公表しました。

現金を伴わない債券の交換は、満期債のデフォルト回避につながる可能性があるほか、従来の借り換えと異なり債務返済プロセスを省略できます。

規則によると、債券の交換を行う企業は債権者に承認を求める必要があるという事です。

2022年4月

4大銀行にTLCA債の発行を認める

4月29日、中国政府は4大銀行とされる中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行に対し、総損失吸収力(TLAC)債の発行を認めると通知しました。

同国の金融システムに混乱が広がることを防ぐ措置です。

4大銀は、グローバルなシステム上重要な銀行に指定されており、TLAC目標を2025年に満たすよう求められています。

不動産開発会社、事業多角化を加速

中国の不動産開発会社は政府の呼び掛けに応じ、流動性危機の原因とされる高債務・高回転経営モデルへの依存を減らすため、不動産サービスや商業用不動産などの資産保有を圧縮するアセットライト事業への進出を加速しています。

中国のデベロッパーは長年、高レバレッジの資金調達に依存し、建設から販売まで迅速に行う経営モデルで急速な成長を目指してきました。
これは2021年に不動産販売が減速し、市場の流動性が逼迫(ひっぱく)するまでは機能していたモデルです。

ただ、中国恒大集団危機が中国経済に影を落とす中、政府は企業に変化を要求しています。

李克強首相は2022年3月の全人代で、不動産業界は新しい発展モデルを模索すべきだと述べていました。

もちろん、事業多角化で収支を均衡させるには時間がかかるわけで、この点で大規模デベロッパーは比較的多くの手持ち資金があるため有利だと思われます。

中小の民間デベロッパーは依然として債務返済に労力を多く費やしており、手持ちの土地が枯渇するにつれて事業から撤退していく可能性が高いかもしれません。

不動産市場、過度に弱気ではない?

ゴールドマン・サックスは、社債価格が額面1ドルに対して50セントを割り込んでいるがデフォルトには至っていない不動産業者全てが年内にデフォルトに陥る場合、デフォルト確率は47.4%になると分析しました。

ゴールドマンの基本シナリオでは今年のデフォルト率は19%、弱気シナリオでは31.6%としています。

弱気シナリオが現実となる可能性は高まったと指摘していますが、どこがデフォルトするか見分けるのは引き続き困難としています。

また財務体質が比較的弱い不動産業者が、中国の緩和的な金融政策でデフォルトを回避できるかは定かではないとの見方も示しました。

恒大、国内建設プロジェクトの95%を再開

多額の債務を抱え経営難に陥っている、中国恒大集団が、国内の建設プロジェクトの95%を再開したようです。

恒大は3月27日時点で734件のプロジェクトを再開したようです。

このうち、424件は建設が通常レベルに戻っているとのこと。

銀行が不動産融資に慎重姿勢

中国の銀行が不動産業向け融資に慎重姿勢を強めています。

香港に上場する主要32行のうち17行が2021年に融資残高を減らしました。

2021年末の不動産業向け融資残高が20年末と比べて減ったのは、中国中信傘下の中信銀行や民営最大手の中国民生銀行、中国恒大集団が大株主の盛京銀行など17行です。

地方銀行の減り方が大きく天津市を拠点とする渤海銀行は32%減、重慶銀行は21%減、貴州銀行は12%減でした。

中国工商銀行など大手の伸び率も縮小しています。

財務内容が悪い不動産会社の資金繰りは一段と厳しくなるとの見方が出ています。

中国不動産で信用収縮進む

中国で不動産関連の金融商品を巡るトラブルが相次いでいるようです。

開発資金を得るための信託で、市況の悪化で物件売却が思うように進まず、配当などが約束通りに支払われない違約に陥った商品の総額は2021年に917億元(約1兆7000億円)と1年で2倍に急増しました。

市況悪化や個人の資産運用環境の悪化で建材や家電など関連消費の裾野が広い不動産離れが一段と進めば、中国経済の停滞が長期化しかねません。

強硬姿勢を崩さない当局も、不動産市況が一段と深刻化するなかで対策に乗り出す姿勢が見え始めました。

地方政府が住宅購入の融資要件を一部で緩和しています。

国営新華社は3月16日、財務省が日本の固定資産税にあたる不動産税の試験実施地域の拡大について年内見送りを表明したと報じました。

2022年3月

恒大、建設中プロジェクトの権益売却へ

中国恒大集団は、東部の浙江省杭州で建設中の「水晶城」プロジェクトの権益を5億7545万ドルで国有企業2社に売却する予定です。

香港証券取引所への3月30日の提出文書で分かりました。

売却益について、水晶城を含む杭州のプロジェクトの建設費の返済や運転資金に充てるとしています。

3000億ドル超の債務を抱える中国恒大は、サプライヤーへの支払いや債権者への返済、プロジェクトの完成に苦慮しています。

恒大については、市場の懸念を緩和するために国有企業が債務再編の支援に乗り出し、資産の一部を引き受けています。

香港財閥が不動産業へ積極投資

香港の大手財閥が不動産不況下で積極投資に動いているようです。

中国恒大集団などが経営危機に陥るスキを突き、財務力を武器に事業拡大を狙います

攻めの戦略は「共同富裕(共に豊かになる)」の名の下に監視を強める中国当局との関係が潜在的なリスクとなると思われます。

恒大が7月末までに債務再編案を発表

中国恒大集団は3月22日、7月末までに債務再編案を公表すると発表しました。

この中には子会社2社の売却も含まれています。

恒大新能源汽車と恒大物業の再編および戦略投資家の導入に向けて、第三者の投資家と接触の努力をしている、と同社は言っています。

これに先立ち、中国恒大は2021年の決算を上場規則で定められている3月末までに発表できないとの見通しを示しました。

監査が終了していないためという事です。

子会社で香港に上場する電気自動車の恒大新能源汽車集団と不動産管理サービスの恒大物業集団も決算発表の遅延を見込んでいると明らかにし、中国恒大と子会社2社の株式は3月21日、取引停止となりました。

恒大の株式が売買停止

中国恒大集団の株式が3月21日、香港証券取引所で取引停止となりました。

子会社で不動産管理サービスの恒大物業集団と電気自動車を手掛ける恒大新能源汽車集団の取引も停止されました。

不動産問題が建設業界に波及

中国の不動産会社の経営問題が周辺業界にも波及し始めています。

マンションなどの新築プロジェクトで資金の流れが滞り、工事業者の財務に打撃を与えています。

農村からの出稼ぎ労働者など多くの雇用を支えてきた建設業界で連鎖的な倒産が起きれば、社会の動揺にもつながりかねず、注意が必要です。

景気循環や社会ステージの変化に合わせた建設市場の縮小は避けられないことですが、産業政策で急ハンドルを切りにくい事情もあります。

中国で建設業に従事する人は18年末に6759万人となり、労働力数の9%弱を占めており、一つの変化で大きな影響が起きるわけです。

習近平指導部にとって雇用の安定は最重要課題の一つであるため、不動産市場のコントロールによる副作用をどれだけ許すのか、難しいかじ取りが要求されます。

2022年2月

債券デフォルトリスク抑制へ新しい規制

政府は債券のデフォルト(債務不履行)リスク防止や解消に一段と重点を置き、債券発行制度の改革や規制強化に取り組む方針を表明しました。

2月18日に行われた会議の内容がウェブサイトに掲載され発覚しました。

政府は開放性や透明性をより重視し、債券発行登録制度の改革を深化させる必要があるとの認識を示しています。

規制メカニズムを改善し、実体経済の発展と国家戦略の実施に一層貢献する方針という事です。

不動産企業の社債利回りが乱高下

中国で不動産企業の社債利回りが乱高下しています。

中国恒大集団の部分債務不履行(デフォルト)に加え住宅販売が減少し、業界大手の世茂集団(シーマオ・グループ)など同業他社にも資金繰り不安が波及しているためです。

中国政府は2022年の住宅市場の政策目標を「安定」とし、不透明感の払拭に躍起になっていますが、先行きは予断を許しません。

恒大の部分デフォルト以降、中国の不動産会社の流動性圧力は一段と高まっており、さらに多くのデフォルトが発生する可能性があると格付け会社は考えています。

国家統計局によると、中国の住宅販売は21年12月まで6カ月連続で前年同月を下回りました。

顧客が不動産会社の破綻を恐れて契約を見送っているためです。

不動産会社にとって住宅販売の不振は、土地買収や建設代金の支払いに充当した資金の回収遅れに直結します。

これが不動産会社の資金繰りを悪化させる主因となっています。

2022年1月

恒大集団、海外資産売却し債務返済へ

中国恒大集団の再建を主導する広東省政府が、同社の海外資産を売却し対外債務の返済に充当する意向のようです。

報道によると、広東省政府は3月までに債務再編計画の枠組みを発表することを目指しており、国家が主導する投資主体が中国恒大の海外資産を購入し、その売却収入を海外債務の支払いに充てることを提案しているという事です。

また、広東省政府は再建案を10月までに発表されるとしています。

IMFが不動産リスクを懸念

IMFは28日発表した中国経済の年次報告で不動産部門の先行きが国全体の経済に悪影響を与えるリスクを懸念を示しました。

不動産部門の先行きが想定以上に失速すると、金融や財政に悪影響を及ぼすリスクがあるとの懸念を示しました。

政府の規制強化で不動産開発会社は資金不足に陥っています。

開発や売買がさらに落ち込むと、融資元の銀行の資産が傷み、土地収入が減る地方財政も一段と逼迫しかねないとIMFは考えています。

2022年の実質経済成長率は4.8%と予測しました。

これは2021年10月の前回予測の5.6%から大幅な引き下げです。

不動産開発投資が伸び悩むほか、新型コロナウイルスのまん延がサービス消費を中心に家計の支出を抑える事を踏まえてです。

恒大、半年以内に債務再編計画

中国恒大集団は26日、半年以内に初歩的な債務再編計画を提案すると表明しました。

同社が米ドル債の利払いを見送り、格付け会社から部分的なデフォルトと認定されてから、投資家向けに公式な説明の場を設けたのは初めてです。

同社は

「ステークホルダーの権利を保護するための計画策定を視野にグループの状況を評価する。今後も債権者の意見や提案に真摯に耳を傾ける」

と表明しています。

恒大、国有不良債権処理会社の幹部を取締役に

中国恒大集団は、中国国有の不良債権処理会社、中国信達資産管理の香港部門トップである梁森林氏を非常勤取締役に任命したと発表しました。

信達は恒大が2021年12月に設立したリスク管理委員会に委員を派遣しています。

今後の経営再建に当たって重要な役割を果たすと期待されています。

信達は1999年に国務院(政府)の批准で設立された四大不良債権処理会社の一つで、中国財政省が大株主です。

副総裁は恒大が設立したリスク管理委員会の委員を務めます。

一部海外メディアによると、広東省政府は3月5日までに恒大の債務再編案の枠組みを公表する予定となっています。

恒大の資産を中国政府が主導する投資家に売却すると報じ、信達が何らかの形で経営再建に関与する可能性があります。

恒大のドル建て債が急上昇

中国恒大集団のドル建て債が21日の取引で4カ月ぶりの大幅上昇となりました。

債務再編に進展の兆しが見られたことが材料視されました。

同社の債務再編は、中国で過去最大級となる可能性が高いと言われています。

同社の2025年償還債は額面1ドル当たり16.9セントと前日から4.9セント上昇し、昨年9月後半以降で最大の上昇を記録する勢いです。

中国不動産開発業者がデフォルト

不動産開発の中国奥園集団は19日夜、20日と23日に満期を迎える米ドル建て社債を償還せず、他のオフショア債務も返済しない方針だと発表しました。

オフショア債務について

「債務不履行(デフォルト)が起きるか、すでに起きた」

と認めました。

オフショア債務の総額は現時点で10億8600万ドルという事です。

奥園は広州を拠点に不動産開発や販売、投資を手掛ける中堅不動産会社。2021年12月に格付け会社S&Pグローバルが部分的なデフォルトに相当する「SD」に認定していました。

恒大の海外投資家が批判声明

経営再建中の中国恒大集団のオフショア債を保有すると主張する投資家グループは20日までに、恒大が海外債権者と実質的な交渉を行っていないと批判する声明を発表しました。

彼らは法的権利を守るために必要な措置を講じる用意があると警告しています。

投資家グループは恒大と交渉を試みたものの詳細を欠くあいまいな返答しか受けていないとして、強制的な措置を真剣に検討するしか方法がないと指摘しています。

恒大に財務状況を明らかにして、投資家グループに相談せずに資産を売却しないよう求めていますた。

カントリーガーデンホールディングスの社債が急落

中国の不動産セクターを巡る危機が収まる気配がない中、中国不動産開発大手のカントリー・ガーデン・ホールディングスの社債が17日、急落しました。

先週に過去最大の下げとなった同社の社債は、17日にも一時17ポイントも下落しました。

アナリストによると、同社は先週、転換社債(CB)発行により3億ドルを調達しようとしましたが、投資家からの需要が足りずCB発行を中止したとの報道が要因という事です。

広州富力、部分デフォルト

フィッチ・レーティングスは14日、中国不動産大手、広州富力地産の長期債務格付けを「シングルC」から部分的な債務不履行(デフォルト)を示す「RD」に引き下げました。

13日に満期を迎えた米ドル債について償還延期など条件を変更したためです。

広州富力は2021年の物件販売額で30位前後です。

債務の元本7億2500万ドルのうち、金利を含めて1億ドルあまりしか支払っていません。

S&Pも広州富力の香港部門を部分デフォルトと認定しており、グループが脆弱な流動性を大幅に改善するのは難しいとの見解を示しています。

恒大、人民元建て債の早期償還を延期提案

債務危機に陥っている中国の不動産開発会社、中国恒大集団は本土部門である恒大地産集団の2023年償還債(表面利率6.98%)の保有者と7-10日にオンライン会合を持つ予定です。

そこで、中国恒大は8日に設定されている同社債の早期償還期日を7月8日に延期することを提案しています。

発表資料によれば、早期償還期日の延期はデフォルト(債務不履行)事由にはならないとの事です。

恒大株、香港で取引停止

香港取引所は3日、中国恒大集団の要請で同社株の取引を停止しました。

恒大は中身を明かさずに内部情報を開示するまで売買を止めると発表しています。

インターネット上では中国海南省の地方当局が恒大物件の解体を命じたとの情報が流れていますが、取引停止との関係は不明です。

恒大は中国政府の全面関与のもと、外貨建て債務の再編や住宅プロジェクトの完工・引き渡しを目指しています。

一部プロジェクトの頓挫で損失や解体などの追加費用が発生する可能性もあり、経営再建に向けた不透明感が高まっている状況です。

こうした中、恒大株は21年に89%下落していました。

2021年12月

人民銀行、不動産プロジェクト売買支援を金融機関に促す

中国人民銀行は金融機関に、不動産開発会社による資産売買のために効率的なサービスを提供するよう促しました。

リスクに直面している不動産開発会社が手掛ける質の良いプロジェクトについて、一部の優良な同業会社は取得に関心を持っていると指摘しました。

中国恒大の利払い期限到来なものの、支払われず

中国恒大集団は12月29日に2億5520万ドルの利払い期限を迎えましたが、支払われた様子はないとの報道がありました。

恒大は中国政府の全面的な関与のもと、外貨建て債務の再編と住宅プロジェクトの完工・引き渡しを目指していますが、ともに難航が予想され、経営再建には長い時間がかかる見通しです。

利払い期限を迎えた米ドル債は債務不履行まで30日間の猶予期間が設定されています。

恒大は別の米ドル債の利払い猶予期間が失効し、すでに格付け会社から「部分的なデフォルト」に認定されているます。

S&P、中国の不動産融資の不良債権比率が2倍超に

S&Pは12月15日公表の調査ノートで、中国の銀行による不動産融資について、不良債権比率が今年半ばから年末にかけて2倍超に拡大する可能性があるとの見方を示しました。

中国の不動産部門は今年下期に苦境が強まったとしています。

調査ノートでは、不動産融資の不良債権比率は2021年半ば時点で2.5%でしたが、年末には5.5%まで上昇すると予想しました。

因みに昨年末時点は2%でした。

債権者が恒大を提訴

中国恒大集団の中国の債権者は840億元(約1兆5000億円)相当の延滞を主張し同社を提訴しています。

不動産開発大手の中国恒大に対する民事訴訟を受け付ける中国の裁判所は、8月24日から12月9日の間に367件、合計840億元の支払いを求める訴訟を受理したという事です。

同社幹部は財源が限られており、これほど多くの債権者に対する支払いはできないと主張しています。

恒大以上の危機も?世茂問題

バランスシートの規模では恒大集団の3分の1にも満たないレベルで、売上高で中国不動産開発会社のトップ10に入らない世茂集団が突然注視されているようです。

多くの投資家にとって、世茂は今や中国不動産セクター最大の懸念事項になっています。世茂が比較的良質なアセットを持っていて格付けも高いのに、デフォルト懸念があるかもしれない、となっているからです。

世茂の問題は、格付けが比較的高い不動産開発会社の資金調達コストを押し上げる可能性があるほか、中国恒大の危機を受けて安全と見なされている開発会社に殺到している住宅購入者にも動揺が及ぶかもしれません。

世茂のような不動産開発会社が財務トラブルに陥ることを防ぎ、社会が不安定化するリスクを抑制するため、中国政府は不動産規制を一段と緩和せざるを得なくなるかもしれないと、金融関連のメディアは報じています。

恒大集団の問題でも中国金融市場は動揺せず

中国恒大集団の債務危機が中国の「リーマン・モーメント」になると警鐘を鳴らす向きがあったにもかかわらず、同社傘下のドル建て債保有者が期限までに利払いを受けられなくても、8日の中国金融市場に動揺は見られませんでした。

本土株のCSI300指数は上昇し、6週間ぶりの高値です。

人民元も対ドルで上昇し、2018年5月以来の高値を付けました。

2022年の大量償還に懸念高まる

格付け会社が9日、中国恒大集団を部分的な債務不履行と認定し、投資家の間で中国不動産業界への警戒感が再燃するかもしれません。

2022年には不動産会社が中国本土外で発行したオフショア社債だけで400億ドル程度の償還予定があり、デフォルトの不安が消えません。

信用力が低い中国の不動産会社は7~9月期以降、事実上、外貨建て社債の発行が難しい状況に陥っていました。

資金繰りが厳しくなり、住宅販売が低迷、投資家心理が冷え込む悪循環に入りつつあります。

市場参加者の関心は中国当局の政策運営に集中しています。

12月に入り、中国共産党の中央政治局会議が投機抑制を重視してきた不動産規制を修正する方針を示したほか、中国人民銀行も市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す「預金準備率」を引き下げると発表しています。

恒大をデフォルト認定

7日に猶予期間を終了したドル建て債の利払い不履行によって、フィッチは長期発行体デフォルト格付けを「一部債務不履行(RD)」に引き下げました。

同社は恒大と同業の佳兆業集団の同格付けもRDと、これまでの「C」から引き下げました。

中国政府も不動産セクターの債務危機が経済全体に広がることを防ぐ課題に直面します。

中国人民銀行は6日に預金準備率引き下げを発表し、市場は一定の冷静さを維持しています。

恒大、ドル建て債の利払い確認できず

中国恒大集団は7日、米ドル建て債の利払い猶予期限を迎えましたが、複数のメディアは利払いが確認できないと報じました。

恒大の公募債としては初の債務不履行(デフォルト)になった可能性があります。

金融市場は恒大への関与を深める中国政府の方針を受けてひとまず落ち着いていますが、債務再編の合意形成には時間がかかるとの見方が多いようです。

恒大、リスク管理員会設置

経営難に陥っている、中国恒大集団は6日、リスク管理委員会を設置すると発表しました。

委員会の共同責任者に広東省政府系企業幹部が就く予定です。

恒大は広東省政府のほか中国人民銀行(中央銀行)などの政府の全面的な監督・指導のもとで外貨建て債務の再編を目指します。

同委員会は恒大の経営再建で重要な役割を果たすとみられます。

リスク管理委員会の主席には恒大創業者で董事局主席の許家印氏が就任する予定です。

S&P、中国奥園集団を一部デフォルトと認定

S&Pグローバルは6日、不動産開発の中国奥園集団を部分的なデフォルトに相当する「SD」に認定しました。

同社が借り入れたか返済を保証した6億5120万ドルを返済しなかったためです。

今後の債務返済見通しは非常に不透明であるとしています。

S&Pは同社の長期債務格付けをトリプルCからSDに下げました。

借入金などの不払いが他の債務もデフォルトしたとみなす「クロスデフォルト」についても可能性を指摘しています。

同社の一部社債は来年1月と同9月に償還期日を迎えますが、S&Pは流動性の低さなどから返済できない可能性があるとの見方を示しました。

2021年11月

恒大株が8.8%安

29日の香港株式市場で、中国恒大集団の株価が前週末比8.8%安と大幅安となりました。

12月6日の米ドル債の債務不履行の猶予期間切れを前に再び投資家の警戒感が高まっています。

恒大株の29日終値は前週末比0.22香港ドル安の2.28香港ドルでした。

恒大は11月6日に期限だった米ドル債の利払いを見送っており、デフォルトまで30日間の猶予期間に入っています。

不動産業界は資金集めに必死

中国の不動産業界は歴史的な流動性逼迫を和らげようと躍起で、各社が資金集めを急いでいます。

金融の安定を長く重視してきた中国当局は不動産会社との10月26日の会合で、全ての債務を履行する必要があると伝えています。

少なくとも4社が同月先にオフショア債務の返済を怠ったものの、その会合後にドル建て債務を不履行とした不動産開発会社は1社もありません。

ただ、当局は不動産各社への金融支援には消極的です。

市場におけるモラルハザードを減らそうとする中国政府の決意が背景です。

不動産業界、創業者が身銭を切ってデフォルトを回避

中国不動産開発会社を所有する資産家が苦境に陥った自社をデフォルト(債務不履行)から救うため、これまでに投じた私財は少なくとも計38億米ドル(約4300億円)に上っているようです。

資金難が業界全体に広がっている事が浮き彫りになりました。

投資家にとって、ぜいたく品の売却や人気の上場企業の持ち分などオーナーの個人資産状況は、業界各社が債務を履行できるかどうかを判断するための重要な鍵となっているようです。

この数週間に少なくとも7社の不動産会社の創業者兼会長が自社を支えるために身銭を切りました。

こうした動きは、今回の流動性危機がいかに深刻かを浮き彫りにしています。

中国の住宅販売・価格が下落し、銀行は融資に消極的で、オフショア債券市場の利回りが急上昇している今、多くの不動産開発会社にとって創業者が最後の頼みの綱となっています。

中国不動産の佳兆業集団、理財商品の支払い不履行

 中国の不動産開発会社、佳兆業集団が、子会社が発行した理財商品の支払いを実行できなかったようです。

4日、明らかになりました。

佳兆業の資金繰りに対する不安が一段と高まっています。

佳兆業などの不動産開発会社は、比較的容易な資金調達手段として理財商品を発行しています。

理財商品を購入するのは主に個人投資家です。

中国不動産のヤンゴーグループ、不履行回避を狙った提案

中国の不動産開発会社、ヤンゴー・グループ(陽光城集団)は1日、同社の米ドル債の一部を現金と新発債の組み合わせと交換する案を債権者に示したと明らかにしました。

新たに発行する債券には、創業者の保証を付けます。

流動性を改善し、デフォルトを回避することが目的で、残る米ドル債についても条件変更に向け債権者の同意取り付けを目指しています。

香港取引所への提出文書によると、既存の米ドル債1000ドル分につき、現金25ドルと1000ドル相当の新発債との交換を提案しています。

2023年2月および22年の1月と3月に満期となるドル債が対象で、額面の総額は7億4700万ドルです。

2021年10月

S&Pが中国の不動産開発会社を格下げ

S&Pグローバルは27日、香港に上場する中国の不動産開発会社、佳兆業集団(カイサ・グループ)の格付けをシングルBからトリプルCプラスに格下げしたと発表しました。

佳兆業は2015年にオフショア社債がデフォルトになった経緯があります。

複数の債務再編によって経営再建に成功していましたが、再びデフォルトの可能性が高まっています。

S&Pによると、佳兆業は12月7日償還の4億ドルの米ドル債を含め、2022年10月までの1年間で計32億ドルの米ドル債償還を控えているようです。

債務不履行を回避するには、資産処分や資本構造の改善が必要になりそうです。

IMF、中国の恒大集団のリスクは今のところ限定的

IMFは中国恒大集団の債務危機が中国経済に及ぼすリスクについて、今のところ「食い止められている」との認識を示しました。

IMFの中国責任者は、不動産セクターのリスクは、現時点で同セクターに限定する形で抑え込まれていますが、事態悪化に備えて当局は状況を引き続き注視すべきだとしています。

IMFは中国の不動産セクターが高度にレバレッジに依存しているとした上で、デレバレッジに向けた当局の動きは歓迎されるものの、速すぎたり遅すぎたりすることのないよう慎重を要すると指摘しました。

新力が一部デフォルト

中国で不動産開発大手、中国恒大集団の問題の影響を受けて、同業の新力控股集団が一部債務のデフォルトに陥りました。

新力が18日期日のドル建て債2億5000万ドル相当の利払いと償還を怠ったのを受け、S&Pは同社の格付けを「CC」から「選択的デフォルト(SD)」に引き下げました。

19日明らかになりました。

新力は今月、ドル建て債の償還ができるとは見込んでおらず、その他2銘柄でクロスデフォルトを招く恐れがあるとしていました。

同業の花様年控股(ファンタジア・ホールディングス・グループ)も今月早くにデフォルトに陥っています。

中国当局が不動産業界のレバレッジ抑制やバブル防止を目指す中、不動産市場は恒大危機で大きく揺さぶられています。

中国の不動産業界、信用収縮の波

中国の不動産業界に信用収縮の波が押し寄せています。

中国恒大集団の経営問題が波及し、金融機関が不動産会社への融資に慎重姿勢になっていることが背景です。

中国では、関連産業を含めた広義の不動産業のGDPへの貢献度が2~3割に達するという推計もあり、影響は甚大です。

格付け会社や金融機関によると、サプライチェーンまで含めると不動産業は、中国GDPに25~30%の貢献度があり、狭義の住宅建設がGDPに占める割合は数%なものの、住宅以外の不動産建設や不動産サービスまで含めると20%を超えると考えられています。

つまり、信用収縮が収まらなければ、中国経済、ひいては世界経済に大きな影響を与えかねないわけです。

中国企業の資金調達には銀行融資、社債発行、影の銀行(シャドーバンク)、株式発行の大きく4種類があると言われています。

このうち銀行融資は9月が前年同月比35%減となりました。

深刻なのは、デフォルトが相次ぐ海外社債市場です。

リフィニティブによると、10月の中国の不動産会社の米ドル債の発行は18日時点で1本にとどまっています。

信用力の低い不動産会社にとって重要な資金調達源だった影の銀行からの調達も難しくなっています。

用益金融信託研究院によると、9月の不動産向け信託商品は318億元(約5600億円)で前年同月の半分以下に減ってしまいました。

こえrが不動産会社の資金調達難がさらなる信用不安を招く悪循環につながっているのです。

信用収縮は不動産開発の停滞に直結し、鉄鋼やセメント産業、住宅設備機器の売り上げ減を招きます。

土地購入が減少し、土地売却収入が税収の5割超を占める中国財政にも悪影響を与えてしまいます。

社債市場、中国不動産に厳しい視線

中国の不動産会社の資金調達が一段と難しくなってきています。

社債市場では中国恒大集団以外にも債務不履行(デフォルト)の懸念が高まり、これまでに発行した社債の価格が急落しています。

10月の発行事例はこれまでなく、市場での調達環境の悪化を映しています。

当局の規制で銀行融資も減少しました。

中国の不動産会社は日本のGDPを上回る巨額債務を抱えており、金融市場で警戒が高まっています。

当局が金融当局への検査で腐敗を調査

中国共産党は、国内で金融規制を担当する機関や大手国有銀行、保険会社、不良債権処理会社を対象にした検査を6年ぶりに行います。

54兆ドル規模の金融システムにおける腐敗の一掃に向けた取り組みを強化します。

共産党が率いるチームは銀行保険監督管理委員会に対して2カ月間の反腐敗検査に着手し、12月15日まで内部告発者からの通報を受け付ける予定です。

チャイナ・プロパティーズ子会社がデフォルト

中国不動産開発会社のチャイナ・プロパティーズ・グループ(CPG)は15日、子会社が発行した社債について、同日の償還期限までに元本と利息を支払うことができず、デフォルトに陥ったと発表しました。

期限を迎えた社債は2億2600万ドルで、金利は年15%。CPGは債務の借り換えや資産売却が償還期限に間に合わなかったと説明しました。

債権者と連絡を取りつつ、早期の資金調達を目指すと強調しています。

花様年の問題あるも、恒大問題で進展が見られ、一服

花様年控股集団の問題があったものの、恒大問題が少し前進したことで不動産業界全体への懸念は後退しました。

花様年が4日に期限を迎える米ドル建て社債に対して返済できなかったことや、恒大集団と関連会社の株式の取引が4日に停止されたことを受け、デフォルト連鎖懸念が一段と強まる場面がありました。

しかし、恒大集団の資金調達に進展がみられたことで、ポジティブな雰囲気も生まれ、また花様年控股集団の規模が小さいこともあり、懸念の拡大が止まりました。

花様年が2億ドル返済できず

中国の不動産開発会社、花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)は4日、同日に返済期限を迎えた2億600万ドルの債務を返済できなかったと発表しました。

2016年に調達した5億ドルのうち、2億600万ドルが未返済のまま、4日に期限が到来したという事です。

中国恒大が米ドル債の支払いを再び見送り

中国恒大集団が欧米市場で発行した米ドル債の利払いを再び見送りました。

同社は9月29日に米ドル債の金利5000万ドル弱の支払期限を迎えていました。

一方、個人向け投資商品は元本の10%を30日に支払ったと発表しています。

恒大の広報担当はドル建て債の利払いの有無について「把握していない」としています。

恒大は23日の米ドル債の利払いも見送っていますが、いずれも公式に債務不履行と認定されるまで利払い日から30日間の猶予期間があります。

隠れ地方債務がGDPの半分に

中国の地方政府の隠れ債務が、GDPの半分を上回る規模に膨らんでいるとの事です。

ゴールドマン・サックス・グループの調査です。

地方政府の資金調達事業体の総負債額が昨年末時点で約53兆元(約918兆円)に達しているようです。

これはGDPの約52%に相当し、公式発表の政府債務より大きいという事です。

なお2013年時点では16兆元でした。

冷え込む資金調達

中国で企業や個人による資金調達が急減速しています。

政府が不動産向け融資の規制を強めた影響が大きく、銀行による企業向け中長期融資は8月に前年同月比で28%減りました。

中国企業の債務返済能力への懸念から外債発行も減少。中国政府にとって適切な債務管理は重要な課題ですが、調達環境の悪化は先行きの成長率を大きく鈍化させるリスクもあります。

銀行融資以外の「シャドーバンク」も金融当局が締め付けを強めています。

銀行の帳簿に計上されない委託融資、信託融資、手形引き受けは8月、1058億元のマイナスとなっており、返済が調達を上回ったことを示しています。

1~8月の累計では1兆3534億元の返済超過で、前年同期の8倍となりました。

20年夏までは新型コロナ禍の打撃を被った経済状況を考慮し規制を緩めたとみられますが、21年は改めて締め付けを強めている状況です。

2021年9月以前

以下からご覧ください。kindle unlimitedでご覧いただけます。

中国民間・国営企業の債務問題、シャドーバンキングに関する動向と経緯 新興国への投資 | invstem | 金融・投資 | Kindleストア | Amazon

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