中国民間・国営企業の債務問題、シャドーバンキング問題

ここでは、中国の債務問題やシャドーバンキング問題について記述していきます。

隠れ債務問題やシャドーバンキングは経済を中長期的にむしばむもので、中国政府も以前より問題視していました。

一時はその処理に本腰を入れて取り組もうとしたものの、目先の景気が思った以上に悪く、また米中貿易摩擦などの影響もあって、金融緩和を続けざるを得ない状況に陥ってしまいました。

ただ、もちろん問題は解決していません。

ここではその問題についての経緯をフォローしていきます。

2021年11月

不動産業界は資金集めに必死

中国の不動産業界は歴史的な流動性逼迫を和らげようと躍起で、各社が資金集めを急いでいます。

金融の安定を長く重視してきた中国当局は不動産会社との10月26日の会合で、全ての債務を履行する必要があると伝えています。

少なくとも4社が同月先にオフショア債務の返済を怠ったものの、その会合後にドル建て債務を不履行とした不動産開発会社は1社もありません。

ただ、当局は不動産各社への金融支援には消極的です。

市場におけるモラルハザードを減らそうとする中国政府の決意が背景です。

不動産業界、創業者が身銭を切ってデフォルトを回避

中国不動産開発会社を所有する資産家が苦境に陥った自社をデフォルト(債務不履行)から救うため、これまでに投じた私財は少なくとも計38億米ドル(約4300億円)に上っているようです。

資金難が業界全体に広がっている事が浮き彫りになりました。

投資家にとって、ぜいたく品の売却や人気の上場企業の持ち分などオーナーの個人資産状況は、業界各社が債務を履行できるかどうかを判断するための重要な鍵となっているようです。

この数週間に少なくとも7社の不動産会社の創業者兼会長が自社を支えるために身銭を切りました。

こうした動きは、今回の流動性危機がいかに深刻かを浮き彫りにしています。

中国の住宅販売・価格が下落し、銀行は融資に消極的で、オフショア債券市場の利回りが急上昇している今、多くの不動産開発会社にとって創業者が最後の頼みの綱となっています。

中国不動産の佳兆業集団、理財商品の支払い不履行

 中国の不動産開発会社、佳兆業集団が、子会社が発行した理財商品の支払いを実行できなかったようです。

4日、明らかになりました。

佳兆業の資金繰りに対する不安が一段と高まっています。

佳兆業などの不動産開発会社は、比較的容易な資金調達手段として理財商品を発行しています。

理財商品を購入するのは主に個人投資家です。

中国不動産のヤンゴーグループ、不履行回避を狙った提案

中国の不動産開発会社、ヤンゴー・グループ(陽光城集団)は1日、同社の米ドル債の一部を現金と新発債の組み合わせと交換する案を債権者に示したと明らかにしました。

新たに発行する債券には、創業者の保証を付けます。

流動性を改善し、デフォルトを回避することが目的で、残る米ドル債についても条件変更に向け債権者の同意取り付けを目指しています。

香港取引所への提出文書によると、既存の米ドル債1000ドル分につき、現金25ドルと1000ドル相当の新発債との交換を提案しています。

2023年2月および22年の1月と3月に満期となるドル債が対象で、額面の総額は7億4700万ドルです。

2021年10月

S&Pが中国の不動産開発会社を格下げ

S&Pグローバルは27日、香港に上場する中国の不動産開発会社、佳兆業集団(カイサ・グループ)の格付けをシングルBからトリプルCプラスに格下げしたと発表しました。

佳兆業は2015年にオフショア社債がデフォルトになった経緯があります。

複数の債務再編によって経営再建に成功していましたが、再びデフォルトの可能性が高まっています。

S&Pによると、佳兆業は12月7日償還の4億ドルの米ドル債を含め、2022年10月までの1年間で計32億ドルの米ドル債償還を控えているようです。

債務不履行を回避するには、資産処分や資本構造の改善が必要になりそうです。

IMF、中国の恒大集団のリスクは今のところ限定的

IMFは中国恒大集団の債務危機が中国経済に及ぼすリスクについて、今のところ「食い止められている」との認識を示しました。

IMFの中国責任者は、不動産セクターのリスクは、現時点で同セクターに限定する形で抑え込まれていますが、事態悪化に備えて当局は状況を引き続き注視すべきだとしています。

IMFは中国の不動産セクターが高度にレバレッジに依存しているとした上で、デレバレッジに向けた当局の動きは歓迎されるものの、速すぎたり遅すぎたりすることのないよう慎重を要すると指摘しました。

新力が一部デフォルト

中国で不動産開発大手、中国恒大集団の問題の影響を受けて、同業の新力控股集団が一部債務のデフォルトに陥りました。

新力が18日期日のドル建て債2億5000万ドル相当の利払いと償還を怠ったのを受け、S&Pは同社の格付けを「CC」から「選択的デフォルト(SD)」に引き下げました。

19日明らかになりました。

新力は今月、ドル建て債の償還ができるとは見込んでおらず、その他2銘柄でクロスデフォルトを招く恐れがあるとしていました。

同業の花様年控股(ファンタジア・ホールディングス・グループ)も今月早くにデフォルトに陥っています。

中国当局が不動産業界のレバレッジ抑制やバブル防止を目指す中、不動産市場は恒大危機で大きく揺さぶられています。

中国の不動産業界、信用収縮の波

中国の不動産業界に信用収縮の波が押し寄せています。

中国恒大集団の経営問題が波及し、金融機関が不動産会社への融資に慎重姿勢になっていることが背景です。

中国では、関連産業を含めた広義の不動産業のGDPへの貢献度が2~3割に達するという推計もあり、影響は甚大です。

格付け会社や金融機関によると、サプライチェーンまで含めると不動産業は、中国GDPに25~30%の貢献度があり、狭義の住宅建設がGDPに占める割合は数%なものの、住宅以外の不動産建設や不動産サービスまで含めると20%を超えると考えられています。

つまり、信用収縮が収まらなければ、中国経済、ひいては世界経済に大きな影響を与えかねないわけです。

中国企業の資金調達には銀行融資、社債発行、影の銀行(シャドーバンク)、株式発行の大きく4種類があると言われています。

このうち銀行融資は9月が前年同月比35%減となりました。

深刻なのは、デフォルトが相次ぐ海外社債市場です。

リフィニティブによると、10月の中国の不動産会社の米ドル債の発行は18日時点で1本にとどまっています。

信用力の低い不動産会社にとって重要な資金調達源だった影の銀行からの調達も難しくなっています。

用益金融信託研究院によると、9月の不動産向け信託商品は318億元(約5600億円)で前年同月の半分以下に減ってしまいました。

こえrが不動産会社の資金調達難がさらなる信用不安を招く悪循環につながっているのです。

信用収縮は不動産開発の停滞に直結し、鉄鋼やセメント産業、住宅設備機器の売り上げ減を招きます。

土地購入が減少し、土地売却収入が税収の5割超を占める中国財政にも悪影響を与えてしまいます。

社債市場、中国不動産に厳しい視線

中国の不動産会社の資金調達が一段と難しくなってきています。

社債市場では中国恒大集団以外にも債務不履行(デフォルト)の懸念が高まり、これまでに発行した社債の価格が急落しています。

10月の発行事例はこれまでなく、市場での調達環境の悪化を映しています。

当局の規制で銀行融資も減少しました。

中国の不動産会社は日本のGDPを上回る巨額債務を抱えており、金融市場で警戒が高まっています。

当局が金融当局への検査で腐敗を調査

中国共産党は、国内で金融規制を担当する機関や大手国有銀行、保険会社、不良債権処理会社を対象にした検査を6年ぶりに行います。

54兆ドル規模の金融システムにおける腐敗の一掃に向けた取り組みを強化します。

共産党が率いるチームは銀行保険監督管理委員会に対して2カ月間の反腐敗検査に着手し、12月15日まで内部告発者からの通報を受け付ける予定です。

チャイナ・プロパティーズ子会社がデフォルト

中国不動産開発会社のチャイナ・プロパティーズ・グループ(CPG)は15日、子会社が発行した社債について、同日の償還期限までに元本と利息を支払うことができず、デフォルトに陥ったと発表しました。

期限を迎えた社債は2億2600万ドルで、金利は年15%。CPGは債務の借り換えや資産売却が償還期限に間に合わなかったと説明しました。

債権者と連絡を取りつつ、早期の資金調達を目指すと強調しています。

花様年の問題あるも、恒大問題で進展が見られ、一服

花様年控股集団の問題があったものの、恒大問題が少し前進したことで不動産業界全体への懸念は後退しました。

花様年が4日に期限を迎える米ドル建て社債に対して返済できなかったことや、恒大集団と関連会社の株式の取引が4日に停止されたことを受け、デフォルト連鎖懸念が一段と強まる場面がありました。

しかし、恒大集団の資金調達に進展がみられたことで、ポジティブな雰囲気も生まれ、また花様年控股集団の規模が小さいこともあり、懸念の拡大が止まりました。

花様年が2億ドル返済できず

中国の不動産開発会社、花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)は4日、同日に返済期限を迎えた2億600万ドルの債務を返済できなかったと発表しました。

2016年に調達した5億ドルのうち、2億600万ドルが未返済のまま、4日に期限が到来したという事です。

中国恒大が米ドル債の支払いを再び見送り

中国恒大集団が欧米市場で発行した米ドル債の利払いを再び見送りました。

同社は9月29日に米ドル債の金利5000万ドル弱の支払期限を迎えていました。

一方、個人向け投資商品は元本の10%を30日に支払ったと発表しています。

恒大の広報担当はドル建て債の利払いの有無について「把握していない」としています。

恒大は23日の米ドル債の利払いも見送っていますが、いずれも公式に債務不履行と認定されるまで利払い日から30日間の猶予期間があります。

隠れ地方がGDPの半分に

中国の地方政府の隠れ債務が、GDPの半分を上回る規模に膨らんでいるとの事です。

ゴールドマン・サックス・グループの調査です。

地方政府の資金調達事業体の総負債額が昨年末時点で約53兆元(約918兆円)に達しているようです。

これはGDPの約52%に相当し、公式発表の政府債務より大きいという事です。

なお2013年時点では16兆元でした。

冷え込む資金調達

中国で企業や個人による資金調達が急減速しています。

政府が不動産向け融資の規制を強めた影響が大きく、銀行による企業向け中長期融資は8月に前年同月比で28%減りました。

中国企業の債務返済能力への懸念から外債発行も減少。中国政府にとって適切な債務管理は重要な課題ですが、調達環境の悪化は先行きの成長率を大きく鈍化させるリスクもあります。

銀行融資以外の「シャドーバンク」も金融当局が締め付けを強めています。

銀行の帳簿に計上されない委託融資、信託融資、手形引き受けは8月、1058億元のマイナスとなっており、返済が調達を上回ったことを示しています。

1~8月の累計では1兆3534億元の返済超過で、前年同期の8倍となりました。

20年夏までは新型コロナ禍の打撃を被った経済状況を考慮し規制を緩めたとみられますが、21年は改めて締め付けを強めている状況です。

2021年9月

当局が恒大の資産買取を促す

中国当局は政府系の企業や不動産開発業者に、中国恒大集団の資産の一部を買い取るよう促しているようです。

中国の中央政府が救済の形で直接介入する可能性は低く、第三者の資産の買い取りによって、中国恒大が破綻した場合の社会不安を回避または軽減することを当局は望んでいるという事です。

今になって中国の債務問題に注目が集まる理由

中国の過剰債務問題は古くて新しい問題ですが、最近注目を集める背景には習近平指導部が訴える「共同富裕」も影響しています。

近年の中国では格差拡大が問題化するなか、足下の中国経済はマクロ面で新型コロナ禍を克服する一方で当局の感染対策は格差拡大を助長してしまいました。

他方、当局の不動産投資抑制策や事実上の金融引き締めにより恒大集団の資金繰り懸念が表面化する一方、当局は明確な対応を示せず金融市場の疑心暗鬼は増幅されてしまいました。

今後も金融市場は当局の思惑に左右されてしまう可能性があります。

今回の債務問題は、当面は投資活動の鈍化が景気の足かせとなる懸念がある一方、金融市場は政策余力の大きさを理由に楽観視してもいます。

他方、過度な金融緩和への依存は「カネ余り」を通じて新たなバブルを生む懸念もあります。

政治の季節が近づくなかでは先延ばしとなる可能性に留意が必要です。

市場では恒大集団が大きく注目されたものの、こうした財務上の苦境は他の不動産デベロッパーも同様です。

中国不動産デベロッパーは、当局が昨年8月に制定した3つのレッドラインと呼ばれる財務目標および21年初に制定された不動産向け融資の総量規制を背景に資金繰りが悪化し、住宅の新規着工が前年比マイナスの伸びとなるなど不動産投資の鈍化が続いています。

こうした不動産投資の減速は、恒大の件を受け、銀行部門が他のデベロッパー向けの融資態度を厳格化することや、デベロッパーが新規投資を手控えることで当面続くと見られ、不動産価格への波及が懸念されます。

中国恒大集団の状況

中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)が経営危機に陥っているとの報道が相次いでおり、株価が急落しています。

同社は不動産業を中心としたコングロマリット企業で、積極的な経営で規模を急拡大させて来ました。

ただ、新型コロナウイルスによる世界的な景気減速や、中国政府による不動産業への融資規制などの影響で資金繰りが厳しくなっているとみられています。

中国恒大集団の負債規模ですが、6月末時点の負債総額は1兆9665億元(約33兆4000億円)と見られます。

これはGDPの2%に及ぶレベルです。

内訳は半分程度が買掛金、残りの半分程度が社債などを含めた借入金、残りは顧客への物件の引渡し義務などの契約債務や、その他債務と見られます。

次に中国恒大集団の社債についてですが、中国恒大集団に関連する社債で利払いが近いものは、主に外国人を対象とするドル建て債が13本で約195億ドル、人民元建て債が3本と見られます。

ドル建て債について、利払い期日が特に近い2銘柄(22年3月償還、利率8.25%と24年3月償還、利率9.5%)の価格動向を見ると昨年9月ごろから24年債は価格が軟調となっています。
当局が不動産開発業者の負債に上限を設定した「三条紅線(3本のレッドライン)」の時期にあたります。

直近では、同社が販売した理財商品(比較的安全性が高いと認識されている資産運用商品)が期限までに全額は償還されず、投資家が本社に押しかけたと報じられたこともありました。

こうした状況を受けて、中国恒大集団は18日、満期を過ぎた資産運用商品)について、現金に代わり不動産資産の大幅値引きという形で返済する手続きを開始しています。

投資家は住宅物件が28%、オフィスが46%、駐車スペースは52%のディスカウント価格で不動産投資が可能になり、既に購入した住宅の支払いについて割引を受ける選択肢も示されているようです。

中国恒大の多くの社員を含む7万人余りが理財商品を購入しており、現金で返済を望む場合、四半期ごとに金利と元本の10%の支払いを受ける選択も可能ということです。

不動産バブル崩壊の懸念が強まる

中国恒大集団の過剰債務問題をきっかけに、中国の不動産バブルへの懸念が高まっています。

格差是正を掲げる政府にとって不動産価格の高騰を容認しにくくなっているためです。

経済規模に対する民間債務比率などの指標はバブル期の日本を超えており、軟着陸は容易ではないでしょう。

現状、広東省深圳市ではマンション価格が平均年収の57倍、北京市も55倍に達しています。

バブルだった1990年の東京都でも18倍で中国の大都市圏は庶民に手が届く水準ではありません。

対応次第では、中国経済が低迷期に入る可能性もあります。

大手銀行の不動産関連不良債権が急増

中国大手銀行の不動産関連融資が悪化しています。

中国当局が過剰債務企業への監視を強めているためで、中国工商銀行の不動産業向け不良債権比率は6月末に4.29%と前年同期の1.41%から急上昇しました。

不動産大手、中国恒大集団の経営危機が金融市場を揺さぶるなか、当局は格差是正にむけた資産価格の抑制と不良債権問題というジレンマを抱えています。

低格付け債に売り圧力

中国の低格付け債に売り圧力がかかっているようです。

「共同富裕(ともに豊かになる)」の号令のもと習近平指導部が特定の業界を厳しく締めつけ、投資家の間でとくに不動産会社や教育産業の事業モデルが揺らぎかねないとの警戒が強まりました。

10兆円近い借金を抱える中国恒大集団など一部企業では信用リスクが高まっています。

習指導部は金融安定を保つ姿勢を明確にしていますが、不安は拭えません。

2021年7月

債務削減遂行に、手詰まり感

過剰債務の削減に手詰まり感が出ているようです。

第2・四半期のGDPは前年比7.9%増と、予想を下回りましたが、これは中小企業の苦境が続いていることが背景で、当然そうした会社の借金も減らないからです。

景気の回復は極めて不均一で、金融緩和が手っ取り早い解決策の一つになる可能性がありますが、その場合、習主席が積極的に過熱抑制を目指しているセクターに資金が回り、再び問題が先送りされることになりかねません。

中国経済は、年内にさらに失速するとの見方が多く、この状況が中国の手足を縛る可能性があります。

2018年に景気減速を受けて、デレバレッジ対策の中断を迫られましたが、同じようになる可能性があります。

上期の社債の不履行が2兆円

中国の社債の債務不履行が増加の一途をたどっています。

2021年1~6月のデフォルト額は約2兆円と上期として過去最高を記録しました。

海外投資家も警戒感を強め、外貨建ての低格付け債の流通利回りは平均で10%に乗せました。

習近平指導部は過剰債務の圧縮を優先していますが、企業の資金調達への悪影響が広がれば景気の重荷になります。

特に問題なのが、中央や地方の政府から利払いなどを支援してもらってきた国有企業です。

19年に起きたデフォルトの総数に占める国有企業の割合は1割強でしたが、20年にはほぼ半分に急増しました。

21年も約4割を国有企業が占めています。

国有企業はデフォルトしないとの『神話』のもと、企業は債務を積み上げてきました。

モラルハザードを問題視した政府もついに整理に乗り出すのかもしれません。

大型国有企業の相次ぐ不履行は、モラルハザードを打破しようとする政府の債務整理策の一環とも取れます。

2021年5月

地方で銀行再編

中国の地方で銀行再編の動きが増えています。

北部の山西省で5行が合併したほか、東北地方の遼寧省では12行を統合する計画があるようです。

新型コロナウイルス禍に伴う収益悪化が引き金ですが、地方景気は都市部に比べて出遅れており、不良債権などの構造問題は深刻な状況になっています。

新規人民元建て融資は

中国人民銀行が2021年5月12日に発表した中国の銀行による4月の新規人民元建融資は1兆4700億元(約24兆8000億円)となり、市場予想の1兆6000億元を下回りました。

質の改善を伴う経済の正常化が求められる中、とりあえず資金を供給するといった姿勢は改められているのでしょうか。

中国の債務問題に焦点

中国企業の債務問題に焦点が当たっています。

景気対策の公共事業を手掛けてきた土木や建築で債務が膨らんできたのは既述の通りです。

債務健全化を目指す政府は従来のように国有企業を支援しないとの見方から、外貨建て債に売り圧力がかかり上乗せ金利が上昇しているのです。

債務不履行が増えれば世界の市場を揺らしかねません。

中国企業が発行した社債のうち、2023年までの3年間に満期を迎える総額は2兆1400億ドルに達する見込みです。

18~20年の1.6倍の規模で、返済が重くのしかかります。

2021年4月

中銀がストレステストを実施

中国人民銀行は4月14日、人民銀が年内に国内の全4024銀行を対象にストレステストを実施し、金融リスクの防止を目指すと伝えました。

年次ストレステストは主要商業銀行に対しては2012年から実施されているもので、その後は範囲が拡大し、2020年には1550行を対象に実施されました。

中国経済は新型コロナウイルス流行から急速に回復しているものの、債務水準が拡大し、比較的小規模な企業を中心とする一部企業は引き続き財務面でのストレスを抱えています。

不良債権比率が再び上昇

中国景気が復調するなか、金融機関の不良債権が再び増え始めています。

中国工商銀行など四大国有銀行の2020年末の残高は前年末に比べ22%増えています。

4行は景気回復の追い風を受け、20年12月期決算でそろって増益を確保したものの、零細企業には景気回復の恩恵が行き渡っておらず、新型コロナウイルス対策に伴う返済猶予措置が終われば、不良債権はさらに膨らむおそれもあります。

不良債権残高は4行合計で9991億元(約16兆6000億円)となり、1年間で1810億元増えました。

不良債権比率は平均1.54%と、19年末を0.14ポイント上回っています。

ここ数年は比率が低下してきましたが、4年ぶりに上昇に転じました。

2021年3月

地方銀行の不良債権が経済の重荷に

中国が地方の金融リスクへの警戒を強めています。

新型コロナウイルス対応で中小企業に認めた借り入れの元利払いの猶予が3月末に期限を迎え、銀行の「隠れ不良債権」が明らかになる恐れがあるためです。

当局は中小銀行に新型債券の発行など資本調達を促すが、公的資金の安易な投入には慎重です。

中国は2019年から米中貿易戦争と、その後の新型コロナで、経済的に苦境しました。

この際、政府は新型コロナ対応で中小企業の元利払いの繰り延べを認めました。

その規模は20年末までに6兆6000億元(約110兆円)に達し、金利低下や社会保険料の減免などとともに、中小企業の経営を支えました。

この繰り延べ措置が21年3月末に期限を迎えるわけです。

中国政府は零細企業の繰り延べ措置を延長する方針ですが、対象範囲は明らかになっていないようです。

こうして、期限を迎えた「隠れ不良債権」が表面化する恐れがあります。

過剰債務問題の整理を急ぐ

中国が過剰債務企業の整理を急いでいます。

政府が関与する主要6社の負債総額は1兆8000億元(約30兆円)にのぼっています。

習近平指導部は2022年の共産党大会を前に、過剰債務問題が金融市場に波及して経済を混乱させる事態を未然に防ぐ狙いです。

2021年2月

不良債権が減少

中国の銀行の不良債権が昨年末時点で減少したようです。

新型コロナウイルス禍からの企業の回復が加速していることが背景にあります。

中国の商業銀行の不良債権残高は昨年12月末時点で2兆7000億元と、9月末時点から1336億元減少しました。

不良債権比率は12月末時点で1.84%で、9月末の1.96%から低下しました。

銀行部門全体の2020年純利益は1兆9400億元で、前年比2.7%減少しています。

2021年1月

紫光、債務不履行でも引き続き操業

半導体大手、紫光集団が債務危機に揺れている一方で事業は継続しています。

2020年末までに4度の社債の債務不履行を起こす一方、傘下企業は操業を続けています。

その背後には政府資本が複雑に入り込む中国独特の企業統治の仕組みと、22年の共産党大会を控えた政治情勢が見え隠れしていると言われています。

財務の厳しさは前から知られていました。

6月末の有利子負債は1566億元まで膨れ上がり、連結対象ではないグループ会社も多額の債務を抱えています。

元建て社債は、融資のような性質を持ち、債務不履行に陥っても取引を打ち切らないことが多いのが特徴です。

このことが信用不安がすぐに広がらない要因となっているのです。

また、米中間のハイテクの覇権争いが続くことは必至のなか、半導体産業の育成の観点からも紫光集団が重要であるとの背景もありそうです。

政府、企業破綻を容認

中国は新型コロナウイルスのパンデミックを機に自国の産業力強化を図るべく、財務改善できなければ退場せよと国内企業に迫っています。

これまで非効率な企業の生き残りを許してきた中国政府ですが、今は破綻を容認しています。

国による暗黙の保証があると以前見なされてきた有名企業を含め債券デフォルトは2020年に過去最大の300億ドルに達しました。

信用格付け会社に対する厳しい調査と処分も増え、本土取引所内の主力市場では昨年、少なくとも16銘柄が上場廃止となっています。

これは1999年以来の多さです。

この傾向は2021年も続くと思われます。

景気回復と人民元の強さが、政策当局に金融システム内の債務削減を重視する余力を大きくしているのです。

2020年12月

山東如意科技集団が債務不履行

中国の繊維大手、山東如意科技集団が12月14日に期限を迎えた社債の元利払いができず、デフォルトとなりました。

一時は「中国のLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン」とはやされた名門の苦境が一段と鮮明になりました。

2017年に発行した社債10億元(160億円弱)と、その利息の返済が滞ったものです。

総額40億ドルに達するとされる海外買収や傘下企業の不振で経営が悪化し、2020年に入り他の社債で利息の支払いを延期するなど資金繰り難が鮮明になっていました。

債務削減を織り込み始めるマーケット

中国では記録的な規模に膨らんだ債務の管理に再び真剣に取り組み始めたようです。

中国当局は金融システムの流動性を引き締め気味にしており、国内の債務水準安定化を目指しています。

債務削減に向けた過去の取り組みほど積極的ではないものの、こうした姿勢の変化で金利は上昇しています。

国債利回りは1年半ぶりの高水準近くで推移し、銀行間の借り入れコストは先月、今年1月以来の高さに跳ね上がりました。

国内で最も安全とされていた社債発行体の一部でデフォルトが相次ぎ、大手銀行も規模が小さめの金融機関への資金融通に慎重な姿勢を見せています。

2020年11月

再び企業債務圧縮の兆候?

 ここ最近、中国の有名国有企業が立て続けにデフォルトを引き起こし、再び政府が企業債務の圧縮に乗り出しているとの観測が出ています。

新型コロナウイルスのパンデミックで企業債務圧縮に向けた政府の取り組みは弱まっていました。

国有企業のデフォルトは、どれも優良企業で、社債投資家はかなり動揺しています。

格付けは最上級で、財務は健全そうで暗黙の政府支援もあるだろうと信頼していたからです。

苦境の国有企業を政府が支えなかったことは、もはや中国経済が回復したと当局が自信を深めている表れかもしれません。

中国企業の債務水準が過去最悪に

中国では今年、企業が新型コロナウイルスのパンデミックを乗り切るために大規模な資金調達をしたため、債務水準が過去最悪圏で推移しています。

中国企業は近年、債務への行き過ぎた依存を減らす取り組みをしてきましたが、ある程度相殺されています。

2020年9月末時点の債務総額はおよそ2兆7600億ドルで、前年同期比約12.5%増と過去1年で最も大幅な伸びとなりました。

過去最悪だった6月末の2兆8000億ドルをわずかに下回る水準です。

紫光の私募債が債務不履行に

国半導体大手の紫光集団が債務危機に揺れています。

私募債が債務不履行に陥り、他の社債や傘下企業の株価も大きく下落しています。

紫光集団は半導体の量産を開始し始めていただけに、共産党が掲げる半導体国産化の進捗にも影響を及ぼすかもしれません。

債務不履行を起こしたのは2017年に発行した13億元(200億円強)の私募債で、11月15日が償還期限でした。

紫光集団は前週末に投資家を集めた会議を開き、一部を返済したうえで残りを半年後に償還する案を提案しています。

同案は8割超の賛成を集めましたが、手続き上の不備があり無効になりました。

中国では社債の償還が遅れても、すぐに経営破綻に発展するわけではありません。

銀行がしばらくは運転資金の供給を続けるケースが多いためです。

数日遅れで元利を返済し、実質的に債務不履行を回避したと主張する事例があります。

社債不履行が多発

中国で企業が発行する社債の債務不履行が多発しています。

元本や利息を払えなかった社債の金額は計1570億元(2兆5千億円)となり、過去最高を上回るペースで推移しています。

当局は社債市場の動揺が金融システム全体に波及しないか警戒し、企業の返済逃れなどの監督強化に乗りだします。

中国の社債の債務不履行は2019年に計1670億元と過去最高を記録し、2020年はそれを上回る勢いとなっています。

新型コロナウイルスの景気対策として政府が打ち出した資金繰り支援が、景気回復に伴い縮小したことで資金難に陥る企業が相次いでいるのです。

特に債務不履行は国有企業に広がってきました。

もちろん金融当局は不安払拭に躍起です。

しかし、金融当局にとってはコロナウイルス発生時のような手厚い支援も難しくなっています。

中国の社債の投資家は多くが銀行で、実態は銀行融資が形を変えたものです。

公的支援で社債の債務不履行をなくすことは、銀行の不良債権問題を先送りすることも意味するのです。

銀行の不良債権は計6兆7千億元近くまで増えたとされていますが、企業の現金収入などを厳しく調べる先進国の基準で査定すれば、潜在的な不良債権は公表値の何倍もある、とみる専門家もいます。

2020年10月

国営企業が子会社の外貨建て社債の救済を拒否

中国の国有企業で子会社が発行した外貨建て社債の救済を拒否する動きが出ているようです。

一部で元利払いが滞り、今後償還を迎える分も債務不履行に陥る可能性が高くなっています。

同様の事例が広がれば海外投資家が損失を被るだけでなく、中国企業の外貨調達に悪影響を及ぼしかねず、注意が必要です。

2020年9月

中国の社債のデフォルトは低水準との見解

中国の国家発展改革委員会の報道官は企業債について、適切なリスク回避手段があると指摘し、デフォルト(債務不履行)の割合は低いと述べました。

同委員会は、これまでに81億4000万元(12億ドル)相当の企業債がでデフォルトになりましたが、発行残高の0.2%にすぎないと語りました。

金融持ち株会社への規制を強化

2020年9月13日、中国人民銀行は金融持ち株会社によるシステミックリスクを予防するため新たな規制を発表しました。

小規模の企業が相次いで金融業に参入しリスクが高まる中、監督制度の抜け穴をふさぐ狙いがあるようです。

人民銀が公表した声明によると、金融持ち株会社としての認可を得るには50億元(7億3174万ドル)以上の資本が必要になります。

また銀行を傘下に置く金融持ち株会社は少なくとも総資産を5000億元以上、それ以外は1000億元以上の資産保有が求められます。

中国、中小に3兆円注入

中国政府は国内の中小銀行に2000億元(約3兆1000億円)の公的資金を注入する方針です。

地方政府がインフラ債券の発行で調達した資金の転用を認めます。

まず浙江省を地盤とする温州銀行に注入するようです。

この銀行は新型コロナウイルスが企業経営を直撃し、不良債権が増えている為です。

資本増強を促し、金融システムの不安が広がるのを防ぎたい狙いです。

銀行の稼ぐ力は低下

中国が景気回復持続のため最も必要としている45兆ドル規模の国内銀行業界が苦境に陥りそうです。

新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた国民と企業の経済的負担を緩和するよう求められた銀行のストレスが高まっています。

不良債権が記録的規模に膨らみ、資本バッファーも摩耗したため、銀行幹部やアナリストは、今年7-12月(下期)もダメージは続くと見込んでいます。

増え続ける不良債権

2020年9月2日までに出そろった中国工商銀行など四大銀行の2020年1~6月期決算で、4行合計の不良債権残高は19年末に比べて1035億元(約1兆6千億円)増えました。

新型コロナウイルス流行で貸出先の業績が悪化したためです。

4行合計の不良債権残高は6月末に9216億元(約14兆3千億円)と半年前に比べて13%増え、貸出残高の伸び(8%)を上回りました。

不良債権比率は平均1.46%と、19年末に比べて0.05ポイント上昇しています。

17~19年は不良債権処理が進展して比率の低下が続いていましたが、再び上昇に転じています。

各行の利益を圧迫したのは貸倒引当金の積み増しです。

最大手の工商銀は前年同期比27%増の1254億元(約1兆9千億円)、2番手の中国建設銀行は49%増の1115億元(約1兆7千億円)の費用を計上しました。

1~3月はコロナの流行をうまく管理できていたものの、4~6月に影響が広がり大規模な引当金を積んで、収益が圧迫したと考えられます。

2020年8月

社債のデフォルトが急増する恐れ

中国経済の弱さが、4兆1000億ドル(約434兆円)規模の同国社債市場にリスクとして現れてきています。

一部のファンドマネジャーは今年のオンショア債のデフォルトが記録的水準に達すると予測しているようです。

4-6月(第2四半期)に落ち着いていた返済遅延は既に増え始めていて、年末までに3兆6500億元(約56兆円)相当の債券が満期を迎える中、借り手への圧力は高まりそうです。

アナリストは借入コストが上昇し、借り換えがより難しくなっていることから、非国営企業や低い格付けの不動産開発業者、一部の地方政府の資金調達事業体が特にリスクが高いとみています。

この問題について、アナリストたちは政府には支援する意思も能力もないと考えており、この結果、中国オンショア債のデフォルトが年間ベースで過去最高を更新すると予想しています。

不良債権に外資が食指

中国で不良債権問題が再燃しつつあり、外資が食指を伸ばしているようです。

新型コロナウイルス対策で金融当局が積極的な融資を銀行に指示した結果、不良債権が大幅増となっているのです。

この状況で外資系ファンドが食指を動かしていますが、資本が欲しい当局も容認しています。

この動きは外資による不良債権投資の第2幕と言って良いかもしれません。

第1幕は2000年代前半、国有銀行の不良債権比率が20~40%台に達していた時期でした。

中国政府は長城資産管理など処理会社を設立、1兆4千億元の不良債権を国有銀行から移転しました。

この時、最終処理の一翼を担ったのがゴールドマンなど外資でした。

今回も、外資が求める15%ほどの内部収益率(IRR)を満たせるようになった事で外資が出て来ていると思われます。

また、1月の米中貿易協議「第1段階合意」で、アメリカの投資会社は銀行から直接、不良債権を買えるようになったという事も追い風です。

足元ではコロナ禍で物件の視察が滞り気味で、20年の投資額は前年を下回りそうですが、不良債権増加は避けられないとみられる中、2021年は外資系ファンドにとって大きなチャンスとなりそうです。

2020年7月

地方の隠れ債務が膨張

中国の地方政府で「隠れ債務」が膨らんでおり、懸念が膨らんでいます。

新型コロナウイルスを受けた景気対策でインフラ投資を積み増している事が要因です。

中国の20年4~6月期のGDPは前年同期比で実質3.2%増と、新型コロナウイルスの影響から脱しつつあるものの、中身をみると所得や消費の回復は鈍く、不動産やインフラ整備への依存が続いているのが現実です。

国債、地方債と並ぶ資金源が融資平台による調達です。

「融資平台」とは地方政府傘下の投資会社です。

この会社の2020年の社債発行額はすでに50兆円規模に達し、起債のペースは前年を5割上回っています。

ここが苦境に陥ると、中央、地方政府が一部の救済を迫られるとの見方もあります。

融資平台の債務について、国務院は地方政府の合法的な資金調達ルートは地方債のみと定めており、中央、地方政府とも元利払いの保証や救済義務はないと繰り返し表明しています。

しかし、実際には融資平台の債務すべてを政府が見捨てる事はないというのが一般的な見方です。

人材や公共事業を巡って関係が深く、規模の大きさから金融システムすら揺るがしかねないためです。

融資平台が社債や銀行借り入れで積み上げた負債は、地方政府の「隠れ債務」とみなされます。

大手格付け会社は2019年末の隠れ債務は概算で43兆元近くあると推計しています。

6月末の地方政府の公式な債務残高である24兆元を単純に合計すると67兆元、円換算だと1千兆円程度です。

党指導部は企業への資金供給に万全を期すよう銀行に繰り返し求めており、現状融資平台の多くは問題なく資金を手にできており、景気回復の原動力になっています。

その一方で負債の重荷に耐えきれなくなっている融資平台や地方政府が出始めている事も事実で、景気対策は困難さを増していると言えます。

2020年4月

新型コロナウイルスで不良債権比率が増加

2020年4月22日、中国銀行保険監督管理委員会は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、第1・四半期はローンのデフォルトや延滞、不良債権がすべて増加したとコメントしました。

不良債権率は現在2.04%とし、第2・四半期も引き続き上昇するとの見方を示しました。

ただ、急速な上昇にはならない見通しとしています。

第1四半期の不良債権処理額は4500億元以上と、前年同期から810億元増加したという事ですが、アナリストたちは、実際の不良債権額は公表をはるかに上回っていると見ています。

2019年12月

地方政府の債務膨張に警戒

地方政府の債務膨張が止まりません。中長期的に経済をむしばむもので対応が急務です。

地方政府系の投資会社「融資平台」の経営問題が浮上し、中国人民銀行は連鎖的に倒産が起きないか懸念を強めています。

地方政府の隠れ債務は2018年末に42兆元(650兆円)との推計があります。

政府系企業の債務不履行も起き始めていて、対応は待ったなしの状況になっています。

2019年8月

不良債権が増加、中小銀行が厳しい状況に

中国の不良債権が増加し続けています。

2019年6月末の残高は2兆2352億元(約33兆円)と18年末に比べ1割増えています。

ほかに要注意先債権に当たる「関注類」が3兆6318億元あって、合計すると貸出額の5%弱にあたる90兆円に迫っています。

invstem.com

背景は何でしょうか??

中堅・中小企業向け融資の不良債権化に歯止めがかからないためと言われています。

ただ、一気に処理を進めると景気を一段と減速させるリスクがくすぶっているため、なかなか思い切った方策を打てずにいるのです。

特にしんどいのは中小銀行だと言われています。

中小の銀行が厳しい状況に

  • 大手行の2019年6月末の不良債権額が2018年末に比べ約200億元の増加である一方、
  • 中小の都市商業銀行は1千億元超増加、
  • 農村商業銀行は500億元増加

やはり、地方ほど経済が振るわず、不良債権が出やすくなっているようです。

この問題は今に始まった事ではなく、ずっと前からあった問題です。

中長期的に中国経済をむしばむもので、本当は早く大ナタを振るって解決したい所ですが。。。

景気対策で再び債務膨張、中長期の停滞を招く可能性大

貿易摩擦が激化する中、何とか国内景気の悪化を食い止めようと、金融緩和のアクセルが踏まれ続けているようです。

2019年3月末のデータだと、金融を除く総債務のGDPに対する比率が248.8%と過去最高を更新しました。

これは昨年月末から5.1ポイント上昇していて、と3年ぶりの高水準です。

主な使い道は景気対策のインフラ建設。地方政府の借金はこれを受けて拡大しています。

実際に2019年1~3月は金融機関の融資が6.3兆元(約100兆円)となり四半期で過去最高を記録しました。

ただ、借り入れしているのが誰かという事に目を向けると企業債務の70%が国有企業で、民間企業にはあまり回っていません。

やはりインフラ投資をする主体が地方政府だからでしょう。

しかし、中国のインフラ投資はリーマン・ショック後の景気対策によって好採算事業の殆どが消化済みで、今残っているのは採算が取りにくい事業ばかり。

つまり、目先の雇用安定と引き換えに将来の債務問題はさらに深刻化する可能性が高く、中国経済が長期停滞に陥るリスクがより高まっていると言えるでしょう。

2019年5月

中小金融機関の再編に動き

中国が中小金融機関の再編に着手しました。

2019年5月下旬、内モンゴル自治区の地方銀行、包商銀行が当局の管理下に置かれました。これは2001年以来18年ぶりとなる銀行の破綻です。こういった動きが連鎖的に起きないか当局はかなり神経をとがらせています。

中国の商業銀行の不良債権は2019年3月末で2兆元強、要注意先が3兆6千億元あると言われています。二つの合計額は円換算で90兆円を超えていて、増加傾向が続いています。

米中貿易摩擦の影響で債務問題悪化を懸念

2019年5月に発表されたアメリカによる対中関税によって、多くの中国企業が苦境に陥ると観測されています。

こんな中、既に景気減速に対処すべく大規模な刺激策を打ったばかりの中国政府の対応は注目されると思われます。

もし、制裁関税の影響緩和の為に追加の資金を経済システムに注入するとなると、今のシャドーバンキング問題といった債務問題は、取り返しのつかないレベルまで事態を悪化させるリスクがあるからです。

目先の対策をするなとは言えない状況ですが、構造的問題を野放しにするどころかもっと厳しい状況に追い込むと長い期間苦しむことになるでしょう。

欧米系のファンドが不良債権問題を商機に

中国の不良債権問題は中国の今後の中長期的な成長を占う上でかなり重要な問題ですが、ここ最近外資系ファンドが不良債権の購入を拡大しているようです。

不良債権の定義は難しいですが、広義の市場規模は150兆円に上るという事で、外資系ファンドはこれを商機とみて最近活躍の場を広げているようです。

当局によると、中国の商業銀行が抱える不良債権は18年末に2兆元(約33兆円)に上っていて、最近は年1兆元(16~17兆円)ペースで処理を進めているものの新規発生が上回り、残高は1年で3千億元も増えました。

このほかに日本の債権区分で「要注意先」に当たるものも3兆4千億元あるとされていて、その規模はかなり甚大です。

しかし、中国の不良債権市場はこれだけではないのです。

1990年代後半、四大国有商銀が持つ不良債権を処理する受け皿として政府は資産管理会社「AMC」を設立しましたが、このAMCの保有分が別途4兆3千億元程度あるとされています。

最初に言及した市場規模が1兆4千億ドル(約154兆円)というのはこれらを合算した数値です。

アメリカの名だたるファンドが中国の不良債権に投資したと表明しており、政府が処理に手間取っている間に欧米系の外資ファンドがかなり活躍しているようです。

この傾向は2017年から増えていき、2019年も増加が見込まれています。

2019年4月

銀行が融資拡大、景気回復を優先

中国の大手銀行が貸し出しを増やしているようです。

4大国有銀の2018年末の貸出残高は52兆5千億元(約860兆円)と17年末に比べ9%増えました。

背景は中国当局の中小企業に対する積極融資の促進です。

もちろん景気対策なわけですが、将来的に不良債権を増やし、ゾンビ企業を増やしてしまうリスクがあります。

2019年3月

地方政府の隠れ債務は先送り困難な状況に

中国政府は2019年3月の全人代でも2兆元(約33兆円)の減税を行うと表明しました。

これは地方の税収が減ることを意味していて、債務返済遅延の可能性が高まります。

地方が抱える慢性的な債務問題の解決が再び困難な課題となりつつあるようです。

2019年2月

中国の民間企業による資金調達が再加速

中国で社債による資金調達が困難になっているとのニュースがあった中、その一方で中国の企業や個人の資金調達が再加速する兆しも出てきています。

銀行や市場からの調達総額を示す「社会融資規模」の残高の伸び率が、2019年1月に、1年半ぶりに拡大したのです。

シャドーバンキング(影の銀行)規制が緩んだ結果。。。

シャドーバンキングの規制が緩み、当局も中小企業融資向け融資の拡大を支援する中、当然と言えば当然かもしれません。

近視眼的には企業の急場をしのげるかもしれませんが、経済をむしばむゾンビ企業や過剰債務がさらに増加し、経済の腰骨を弱めてしまう可能性があります。

2019年2月 中国企業がドル調達難

中国企業がドルの調達に苦戦しているようです。

ドル建て社債の発行金利は直近3カ月の平均で7.8%と、1年前(5.6%)に比べ2%も上昇しました。

融資期間も0.7年ほど短くなっていて、調達環境の悪化が鮮明です。

国内で多発する債務不履行や、景気減速に伴う業績低迷が金利高につながっていて、この状況が続くと業績や資金繰りを圧迫し、中国経済の新たな重荷となるかもしれません。

中国の不動産業者向けは10%を超える事例も

不動産開発に携わる企業で利率が10%を超す事例も増えています。

緑地控股集団や、中国恒大集団など大手不動産業者でも8~9%台でドル債を発行している状況です。

資金繰りの悪化が表面化した複合企業、海航集団(HNAグループ)が18年10月末に発行した社債の利回りは12%でした。

中国国内で社債の金利が上昇している理由と背景

社債の発行金利が上昇している要因は2つあると言われています。

中国国内で多発している社債の債務不履行(デフォルト)

元建て債の不履行額は18年に1200億元(約2兆円)超に達し、19年も2月中旬までで100億元を超えました。

ただ、中国の社債は中国の銀行が買い手となっていることが多く、投資家にはまだ大きな影響は出ていないようです。

海外投資家の保有が多いドル債の不履行件数もまだ2019年2月現在では1桁にとどまっています。

しかし、中国企業には銀行の支援を前提に、元利払いをわざと遅らせる企業がいるとされ、海外投資家の警戒は強まりつつあります。

既発社債の相次ぐ償還

ある調査によると、2020年末にかけ四半期ごとに平均で330億ドル(約3兆6千億円)超のドル債が満期を迎えるようです。

それらの借り換えは本当に大丈夫か。

また、借り換え時に金利の上昇があったとすると、利払いは年十数億ドル規模で増えてしまいます。

利払い費の増加で資金繰りや企業収益が大丈夫か不透明な所が沢山あります。

また、債券の発行より償還の方が多ければ、中国からドルが流出することにもつながります。

中国共産党は債券投資の規制緩和などで海外資金を呼びこもうと必死です。企業のドル債発行が滞れば施策の効果が弱まり、中国の資本市場への海外投資家の評価も損なってしまいます。

中国共産党が懸念する債務問題

中国共産党は、2018年12月の会議でこれまでの「穏健で中立な金融政策を続ける」という方針から「中立」という文字を削除しました。

緩和方向への修正ですが、中国人民銀行は「政策の枠組みは変わっておらず、金融緩和ではないと方針転換をかたくなに否定します。

背景にあるのは、景気対策のために再び資金の蛇口を全開にしたら、過剰債務の泥沼からいよいよ抜け出せなくなる、という危機感があるからです。

中国の地方政府は困惑 間違えればゾンビ企業を増やしかねない

インフラ建設の実動部隊となる地方政府や企業には戸惑いがみられるようです。

景気刺激と債務圧縮のどちらに軸足を置けばいいかわからないからです。

中国共産党指導部は緩和マネーが悪さをする事を抑えながら、景気対策を軌道に乗せるという困難な道を行かなければなりません。

かじ取りに失敗するとゾンビ企業が経済をむしばみ、長期停滞を招いてしまいます。

2019年2月 中国企業の相互債務保証の問題が急増 CDSと似ている構造

中国で民間企業が債務保証し合うことで資金調達してきた仕組みがほころび始めているようです。

あるメディアの調査によれば、石油精製業と重工業の一大拠点である山東省で、少なくとも民間28社が債務再編を通じて経営破綻を回避しようとしていて、その様な状況に陥った主な原因は保証していた他の企業の債務が焦げ付いたことだったとの事です。

中国で融資を受ける場合、特に担保に入れるものがない時に、別の企業に保証してもらう必要が出てきます。しかし、保証を請け負う企業自体も、また違う企業から債務保証をしてもらっていて、誰が最終的なリスクテイカーかよく分からない状況になっているのです。

サブプライムの時のCDSと同じ構造ですね。

山東省における問題は、この相互債務保証が持つ本質的な危険性を示していると言えるでしょう。

つまり一度どこかが不良債権化するとそれが一気に連鎖して広がり、地域の金融システムが損なわれてしまう、という事です。

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