中国製造2025についてのまとめと経緯

ここでは、中国の習近平が重視する中国製造2025を中心に、中国の製造業強国への途についてまとめていきます。

以下に米中貿易摩擦・米中対立の副本として中国製造2025及びファーウェイ、ZTE等に関して2018年以降の動きを網羅的にまとめています。kindle unlimitedで無料でご覧いただけます。

中国の製造業全般を網羅する事で、政策としての中国製造2025と直接的に結びつかないケースもありますが、ファーウェイやZTE、その他中国を象徴するような製造業・メーカーの動きを知る事で、新興国への投資についての重大なヒントを得ることが出来るはずです。

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習近平についてのまとめと研究

中国製造2025のハイテク重点分野 半導体、ロボット、情報技術、AI(人工知能)など

中国製造は決して最近できた政策ではなく、2015年から習近平が推し進めていた政策です。

次世代情報技術や新エネルギー車など10の重点分野と23の品目を設定し、製造業の高度化を目指すものです。

第一段階は製造強国への仲間入り

第1段階である2025年までの目標は「世界の製造強国の仲間入り」です。

品目ごとに国産比率の目標を設定していて、

  • 産業用ロボットでは「自主ブランドの市場占有率」を2025年に70%、
  • 「5G」のカギを握る移動通信システム設備では2025年に中国市場で80%、世界市場で40%

といった高い目標を掲げています。

また、これに伴って、関連産業に対する金融支援や、基盤技術の向上支援などの施策を相次ぎ打ち出し、国を挙げてのシンボリックな近代化政策の一つとなっています。

中国のむき出しの野心が先進国から見て脅威に

こうした中国の隠さぬ野心に対してアメリカを中心とした先進諸国は警戒を強めています。

これまでアメリカをはじめ世界の企業は、中国に不当な技術移転を余儀なくされ、中国企業が政府支援の下で安さを売りに世界シェアを一気に上げて台頭を許してきたという反省があります。

MEMO
2018年から始まった米中貿易戦争もその脈絡で語る事が出来ると思います。

2049年までに製造強国の先頭グループに

2025年で目標を達成した後は、2049年が節目になります。

建国100年を迎えるのが2049年だからです。

この時までに「世界の製造強国の先頭グループ入り」を目指すのが超長期戦略の目標です。

2019年現在、既に「世界の工場」の地位からは脱却

日本の内閣府が作成したあるレポートによると、中国は既に生産機械のような付加価値の高い製品や部品の輸出拠点になっています。

つまり、2018年から起きている米中貿易摩擦等によって中国からの輸出が減れば、世界各国に広く影響を及ぼしかねないという事です。

これまで中国は付加価値の高い部品を輸入して国内で消費財にして輸出する「世界の組み立て工場」の役割を担ってきました。

その過程で、様々な技術を取得し、内製化を進めてきた、というのがよく耳にする中国の戦略です。

しかし、データを読み解けば、既にかつての繊維製品や玩具といった品目や組み立てを中心にしたものから、電気製品や高品質な部品、生産機械といった付加価値の高い製品の生産・輸出へとシフトしており、製造強国の仲間入りを一定程度果たしてるというのが実際と思われます。

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例えば電気機器などの分野では、中国で生産・輸出される付加価値の高い部品がアメリカの製造業には欠かせないものになりつつあります。

アメリカが輸出する製品に含まれる海外生産部品などの付加価値は2018年は約13%でしたが、その内訳を国・地域別シェアでみると中国が12%と2000年の4.9%から割合を大きく高めています。

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因みに日本の場合は2000年の13.6%から5.6%へとシェアが低下しています。

産業のバリューチェーン全体をも支配する戦略

中国製造2025で自らの技術力を高める一方で、バリューチェーンを支配するための動きもこの戦略の付属戦略のような形で動いています。

例えばEV。

EVで必要とされるバッテリー技術やAI、再生エネルギー関連の技術投資を積極的に行うと同時に、彼らはEV向けリチウムイオン電池の製造に欠かせないコバルトの世界的な供給源の大半もすでに押さえています。

コバルトの生産量世界一はコンゴ民主共和国なのですが、その産出量の大部分は中国企業が押さえているとされており、ある調査によると、世界で採掘されるコバルトの8割は中国が精錬しているという事です。

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いわゆるレアアースというやつですね

他の国からしたら恐ろしい事です。

中国の科学技術分野における研究開発費はアメリカと同水準

ハイテク分野や科学技術分野での中国の躍進を支えるのは、豊富な資金力と言えるでしょう。

2016年の中国の研究開発投資は官民で約45兆円(2016年)。

これは、アメリカの51兆円に迫る勢いです。

中国の得意分野とアメリカの得意分野

この様に先端技術の研究開発で米中両国の実力が突出するのは分かりましたが分野別にはどの様な形になっているでしょうか。

ライフサイエンス、生命科学で優位に立つアメリカ

アメリカが優位に立つのが生命科学です。

質の高い論文を分析すると、生命科学の46領域のうち「がん研究」「遺伝学」「発生生物学」「分子生物学」など40領域でアメリカが首位でした。

遺伝子を効率よく改変するゲノム編集や再生医療などの研究で世界をリードし、スタートアップなどを通じた産業応用でも先行します。

もっとお中国も46領域の多くで2位に付け、米国を猛追しています。

倫理的なハードルが低い中国でも研究が進みやすい

中国は生命倫理や規制などの面で他国に比べ制約が少なく、研究が早く進みやすいとされています。

最近でも中国でゲノム編集の技術を使った双子の女児が誕生し波紋を呼びました。

製造業、ものづくりでは中国が圧倒 中国製造2025のたまもの

工学・化学・材料の分野では中国の存在感が圧倒的です。

同分野39領域のうち「航空宇宙工学」「電気電子工学」「機械工学」「材料科学」「金属・合金」など31領域でトップに立ちました。

MEMO
まさに「中国製造2025」の成果が出始めていて、ものづくりに関わる研究で力を高めているようです。

5G関連の特許は中国(ファーウェイ)が世界一?

ある中国専門誌によると、次世代高速通信である「5G」関連特許について、ファーウェイが占める割合は29%となっていて、世界トップです。

次に続くのがスウェーデンのエリクソン(22%)や韓国サムスン電子(20%)という事で、5G関連の技術で中国がトップレベルである事はある程度本当のようです。

ファーウェイ幹部は「当社なしではオーストラリアの5G構築コストは最大40%上昇する」とのコメントさえしているとの事です。

中国は2025年までには国内の全世帯の80%にワイヤレスの『5G』機器等の利⽤に不可⽋な光ケーブル通信を普及させる計画で、広⼤な国⼟の⾼速データ化を急ピッチで進めています。

これらは将来的に周辺国へも拡⼤するとみられます。

invstem.com

一帯一路等がこれにあたって活用されるのでしょう。

5G通信と4G通信の違い 何が凄いのか

ところで「5G(第5世代)」は何が凄いのでしょうか。

例えば、

  • 現行の通信規格と比べて実効速度が100倍という超高速通信
  • 通信の遅れがほとんど発生しない
  • 大量のデータを一気に送ることができる
  • 1平方キロメートルあたり100万台までの機器接続が可能

といった所がよく出てくるワードのようです。

これがあるので、自動運転や遠隔医療など社会インフラとしての期待が高まり、大きな変化をもたらすというからくりです。

そこの首根っこを中国が全部つかんで、世界をモニタリングして支配しようというのが中国の思惑だったわけです。

AI(人工知能)でも中国優位になりつつあるか

人工知能(AI)でも中国の勢いは止まりません。

ある報告書によると、1997年から17年までに発表されたAI分野の論文数は中国が約37万本で、アメリカ(約33万本)を抑えてトップに立っています。

影響力の強さを示す論文引用数でみれば上位10社はマイクロソフトやグーグルなどアメリカ企業が多く、中国企業は殆どゼロですが、最近ではかなり質が高いものが量産されつつあると言われています。

AI国家プロジェクト

中国政府は2017年、

  • ⾃動運転、
  • スマートシティ、
  • 医療映像、
  • ⾳声認識

の4部⾨からなるAI国家プロジェクトを認定し、着実な成果を積み上げているようです。

政府・中国共産党が手厚い保護をするBATIS

国家プロジェクト「AI発展計画」なるものが中国にはあります。

その中に企業名の頭文字を取って名付けられたBATISなるものが出て来ます。

2017~18年に指名した5大プラットフォーマーで、

  • 百度(バイドゥ、自動運転)、
  • アリババ(スマートシティー)、
  • テンセント(ヘルスケア)、
  • アイフライテック(音声認識)、
  • センスタイム(顔認識)

の事を言います。

MEMO
この5社は政府・共産党から補助金や許認可で手厚い支援を受け、研究開発を加速化させています。

EV(電気自動車)も中国無しに語れぬ分野に

EVの生産コストの大部分は電池なわけですが、2018年の世界車載電池出荷ランキングでは、中国勢が上位10社のうち7社を占めています。

駆動用モーターでも中国企業は存在感を増しています。

中国の自動車販売は年間2800万台(2018年)ですが、その内700万台が電気自動車となれば、コストを賄えるほどにまでなっています。

もしそれを中国が達成すると、EVのデファクトスタンダードは中国が握る可能性がかなり高くなるでしょう。

中国は宇宙戦略も重視

中国製造2025では宇宙戦略についても言及されています。

中国の宇宙戦略は軍民複合 2030年に「宇宙強国」を目指す

共産党最高指導部は2014年に宇宙開発を民間に開放しました。

中国の宇宙開発は軍民融合で発展を促す戦略をとっており、宇宙関連事業の会社やスタートアップの創業者・幹部には人民解放軍と関係の深い国有企業の出身者が少なくないようです。

また、スタートアップが運用する衛星も軍系企業が打ち上げることが多いようです。

こうして、中国は2030年の「宇宙強国」を目指し、軍と共産党が民間企業の成長を後押し、先行するアメリカ企業にとっても無視できない存在になりつつあります。

宇宙関連のスタートアップが多数

中国では宇宙開発分野のスタートアップが台頭しています。

ロケットの開発や打ち上げ、人工衛星の製造・運用などに参入が相次いでいます。

民間企業が計画する10年間の人工衛星の打ち上げ数は約1500基にのぼると言われています。

今後は中国以外の国からどれだけ受注できるかが問題です。

2022年11月

半導体の自立に逆風

中国の半導体関連メーカーが、技術開発の加速や増産対応を相次ぎ表明しています。

米国による輸出規制の強化を受け、習近平(シー・ジンピン)総書記はハイテクの戦いでの勝利を目指すことを強調し、半導体自給率の引き上げに力を入れています。

ただ規制対象は人にも及び、足元では米国籍の企業幹部の流出が始まるなど、習氏が目指す科学技術の自立自強への道のりは容易ではありません。

2022年10月

中国のAIスタートアップ、AIチップ生産可能と判断

中国の半導体設計会社、壁仞科技はバイデン米政権による対中輸出規制を検証し、先端半導体を製造するためファウンドリー(受託生産)で世界最大手のTSMCを利用し続けることができると結論付けました。

AI半導体を開発している壁仞科技は、米エヌビディアのグラフィックチップと競合する製品を手掛ける有望な中国スタートアップ企業と見なされています。

エヌビディアは中国に最先端のAI製品をもはや売ることができないと説明済みです。

軍事転用可能なテクノロジーの開発を制限する米国の輸出規制措置は、先端半導体へのアクセスを妨げますが、壁仞科技は同社が設計しTSMCが製造するAI半導体は制裁対象に含まれないと考えているようです。

中国、国内半導体企業と緊急会合

中国のテクノロジー業界監督当局は、国内主要半導体企業と一連の緊急会合を持ったようです。

米国の半導体技術への中国のアクセスを制限するためにバイデン政権が発表した措置の影響の見極めと、半導体セクター支援の約束を伝えるのが目的です。

中国工業情報省は米政府が半導体輸出規制を公表して以来、半導体メーカーのYMTCやスーパーコンピューターメーカーなどの経営幹部を集め、非公開会合を開いてきました。

2022年9月

中核技術の発展へ体制強化

 中国の習近平国家主席は9月6日、米国との緊張が高まっているのを背景に、中核技術の飛躍的な発展に向けて国家主導体制を強化すると述べました。

習氏は最高指導部の会合で、中国が中核技術開発のメカニズムを向上させ、技術革新での共産党の指導力を強化すると語りました。

指導部は中核技術の飛躍的発展を推し進めることを目指した「新全国体制」を向上させるための指針を決めています。
この「新全国体制」とは、中国の政治体制に依拠しながら国家資源で技術プロジェクトを支援するとともに、外国の「締め付け」を打破し、1960年代の核爆弾開発の成功を生かすとしています。

中国のAI開発企業、米企業に接近試みる

中国・上海で1日、世界人工知能(AI)大会が開幕し、米半導体大手クアルコムなど欧米のハイテク大手の経営幹部が参加しました。

米中のハイテク対立は先鋭化するものの、米国企業などは巨大な中国市場の商機を無視できず、また中国側はAI開発の加速に先端半導体の活用が不可欠な事情もあり、事情は複雑です。

中国側は、米政府と米企業の分断を狙っています。

中国勢にとっては、自動運転技術など戦略領域で主導権を握るためには高度技術が欠かせず、欧米企業との一層の提携を模索しています。

ビッグデータやAIが国や企業の競争力を左右する時代を迎える中、米国は政治でも企業活動でも中国の台頭を抑え込むことをめざしています。政治と絡んだビジネスの主導権を得るための駆け引きが激しくなりそうです。

2022年8月

SMIC、1兆円で半導体新工場を建設

中国の半導体受託生産最大手、SMICは8月26日、天津市に半導体工場を新設すると発表しました。

総投資額は75億ドルです。

米国が新法で半導体産業を支援するなか、半導体の国内自給率向上をめざす中国政府の指導下でSMICは生産能力を増強します。

SMICが海外売り上げの比率を引き上げ

中国の半導体受託生産最大手、SMICは8月12日、中国市場に依存する経営体質を見直す方針を示しました。

世界の半導体市場が停滞期に入ったうえ、中国政府による新型コロナウイルスの感染対策も響き、2022年4~6月期の純利益は3年ぶりに前年同期実績を下回りました。

海外比率の引き上げで成長持続を目指します。

米国並みの科学技術強国へ

中国が米国に匹敵する科学技術大国の地位を固めつつあるようです。

文部科学省の研究所が8月9日に公表した科学技術指標では、これまで米国しか達成していなかった科学技術論文の量と質に関する3指標で3冠を達成しました。

ヒトやカネを戦略的に投じ、2050年までに目指す米国並みの「科技強国」実現へ着々と歩みを進めています。

中国が科学技術分野で急速な成長を遂げたのは、政府主導で戦略的に資金を出し、人材育成を進めてきたためです。

政府は売上高の拡大を最重視していた中国の国内企業に対して研究開発の強化を急ぐように指導してきました。

スピード競争の科学技術研究ではトップダウンで予算投入や政策を迅速に決められる中国の政治体制が有利に働く面があるようです。

科学論文の数は国の研究活動の状況を示す基本的な指標と言われており、これを分析することでその国の科学技術の水準が分かります。

研究論文は他の研究者による引用が多いほど質が高いと評価されます。

引用上位1%に入るトップ論文はその分野をけん引する最も優れた研究といえます。

中国のトップ論文の数は4744本となり、米国の4330本を上回りました。

シェアは中国が27.2%、米国が24.9%と3位の英国の5.5%を大きく引き離しました。

現在の研究力が人工知能(AI)や量子技術など最先端分野の将来の市場獲得を左右し、安全保障などにも直結するので、かなり重要なのです。

中国の成長は著しく、2年前の調査で総論文数、前年調査で質が高いと評価される引用上位10%に入る注目論文の数で首位となりました。

中国の半導体、摘発の連鎖

中国当局が半導体業界を巡る摘発に乗り出しています。

国策ファンドや紫光集団の元トップといった業界の大物が相次いで身柄を拘束されました。

業界に集まった約18兆円に上る強化資金の一部が不正流用された恐れがあるとの事です。

資金の投下ほど産業の競争力向上は進んでおらず、米国の制裁に加え、腐敗の横行が「半導体強国」の道を阻む可能性もあります。

2022年7月

紫光、半導体を自前調達

中国半導体大手、紫光集団が投資ファンド傘下での経営再建に動き出しました。

ファンドが抱える半導体関連企業などと連携して自前のサプライチェーン(調達網)構築を目指すほか、将来の子会社上場も視野に入れます。

再建の行方は習近平が進める半導体国産化の成否を握りますが、米中対立の余波など経営課題は残っています。

貨物ハブ空港を稼働

中国初の本格貨物ハブ空港となる鄂州花湖空港がこのほど稼働を始めました。

国内外を結ぶ輸送インフラの整備で、電子部品関連など地域産業を育成します。

2022年中に大阪などとの貨物航路が順次就航するといい、新型コロナウイルス対策で旅客需要の回復が遅れる中国航空業界にとっては、貨物事業の追い風となる期待もあります。

この空港は、上海や北京、広州など中国の代表都市からほぼ等距離にあり、周辺地域には液晶パネル関連などの部品工場も多いことから貨物ハブとしての機能を期待されています。

ハイテク分野で外資を排除

中国政府は業界ごとに製品の技術などを定める「国家標準」で、ハイテク製品での外資排除を拡大しています。

中核部品を含めて中国で設計、開発、生産をするよう求めているのです。

外資企業は中核技術を渡すか、中国市場から事実上撤退するかの判断を迫られています。

今回は、複合機やプリンターなどのオフィス機器を対象とした国家標準を刷新する検討に着手しており、2023年の実施を見込みます。

この動きはパソコンやサーバーにも広がる可能性があるという事です。

検討の草案によると、半導体やレーザー関連などの中核部品を含めた中国国内での設計、開発、生産を新たに要求しているようです。

従来は情報漏洩の防止などの安全技術が柱でしたが、中国で完結するサプライチェーン(供給網)の構築を求めたのです。

通信や情報サービス、エネルギー、交通、金融などの重要情報インフラ企業は国家標準に適合した製品のみを購入することが義務付けられます。

これまで中国は政府調達のリストによって外資のハイテク製品を排除してきたのですが、国家標準に国産要求を組み込むことで幅広い顧客層で外資排除が広がる恐れがあります。

各国政府は情報流出を警戒しています。

2022年6月

半導体自給率の議論

中国の半導体産業の実力を測る指標として、自給率に関心が集まっています。

中国政府が産業振興策に数値目標を盛り込み、その達成度合いは経済安全保障を巡る議論などで目安となっていますが、自給の定義など見方次第で数値が大きく変わるため、中国半導体への評価がブレる一因にもなっています。

元々は、中国政府が2015年に発表したハイテク産業振興策「中国製造2025」が出発点となっています。

同年5月の「中国製造2025に関する通知」は「核心的な基礎部品・カギを握る基礎材料」について、20年に40%、25年に70%の「自主保障を実現する」との目標を盛り込んだのです。

米調査会社ICインサイツは2022年5月中旬、中国でのIC生産は2026年時点で中国のIC市場の21.2%に相当するとの予測を公表しました。

これは2026年における中国のIC生産額を582億ドル、IC市場規模を2740億ドルと予測し、割り算で自給率を導き出しています。ちなみに21年実績は16.7%でした。

ただ、これは外資による中国内の生産量も入っているようで、中国の会社の生産というともっと少なくなりそうです。

これに対して中国の独立系調査会社、芯謀研究は、中国ICメーカーの21年の世界シェアが9.7%だったとの推計を明らかにしています。

いずれにせよ、実際の自給率の計測は難しく、また当初中国政府が思い描いているほど数値は伸びていないようです。

原材料高の打撃受ける製造業に支援

中国政府は原材料コスト上昇による打撃を利益面で受ける川下の工業企業を支援するため、新たな「桁外れ」の政策を計画しているようです。

工業情報省が供給サイド政策構造の強化や消費者需要の喚起、テクノロジー投資の後押しに向けた施策を検討しているようです。

新エネルギー車メーカーを含む多くの川下工業企業が今年、損失を計上しているという事で、サポートが必要と考えているのです。

政府系シンクタンク、中国国際経済交流センター経済研究部は川中・川下セクターが縮小すれば、今年後半の製造業投資は大幅に鈍り、中国経済に打撃となる恐れがあると上海証券報で分析しており、政府はこうした企業の投資マインドを安定させ、売掛金延滞などの問題解決を通じて資本回転率の改善を支援する必要があると指摘しています。

学術界への中国の影響が拡大

アカデミアの世界に対する中国の影響力はかつてなく広がっているようです。

100万人を超す大量の留学生を世界中に送り出し、政府機関や関連ファンドが多額の助成金で各国との共同研究を支えています。

イノベーションの促進には、開かれた国際交流が欠かせないわけですが、その自由な学術連携を中国の軍民融合政策が活用し、結果的に中国の軍拡を助けています。

習近平政権は民間の商業研究を国防分野に積極的に生かす「軍民融合」政策を推し進めています。

2017年には共産党内に司令塔組織をつくり、習氏が自らトップに就いています。

21世紀半ばまでに世界一流の軍隊を建設するとの目標を掲げ、軍事技術の強化を急いでいるのです。

もともと先端技術は軍事向けと民生用の明確な線引きが難しいものです。

そうしたなか、政治的な摩擦は、自由闊達な国際交流を願う研究者を萎縮させてしまいます。

米中対立のはざまで揺れる学術界にどう防波堤を築くのかが、中国と対峙する新時代の共通課題です。

半導体業界の成長止まらず

中国の半導体業界が成長する兆しを示しています。

米バイデン政権の対中規制にもかかわらず、半導体製造装置の輸入が増えており、米国で警戒感が広がっています。

国外への半導体製造装置発注額を2021年に58%増やした中国は2年連続で半導体製造装置の購入世界一となりました。

このデータは4月に公表されましたが、中国の輸入急増は今、一段と注目を集めています。

バイデン政権が重視する投資や奨励策を通じ米半導体業界を強化する法案の成立に向けた勢いが弱まる中で、米商務省が対中圧力強化に及び腰だとして、批判も出ています。

半導体産業は、米中貿易摩擦の主戦場です。

バイデン政権は一部の中国企業によるテクノロジーへのアクセス制限を狙った一連の規制を継承しています。

米政府内にはより包括的な禁止措置を目指すとの意見とともに、不要な対立激化につながるとして規制強化に抵抗する動きもあります。

自動車からスマートフォンに至るあらゆる製品の供給を混乱させた世界的な半導体不足が緊張をさらにあおっていまう。

バイデン大統領は昨年、サプライチェーンの脆弱性を見直すよう命じました。

ただ米国が半導体設計と製造装置で健全なシェアを維持している一方で、業界が海外、特に中国での販売に「大きく依存」していることも判明した。

ある分析によると、中国政府は多くの購入案件に資金提供する意向だとの事です。

米国がいつ制限を強化するか分からず、中国国内の半導体メーカーに余分に購入し、今可能なら何でも買うよう中国政府が奨励しているというのです。

例えば装置が1台だけ必要な場合でも、3台や4台を発注させ、その金額のサポートをしているのです。

2022年5月

SMIC、EV向けが好調

SMICが5月12日発表した2022年1~3月期の純利益は前年同期実績の約2.8倍の4億4700万ドルでした。

半導体製造設備メーカーなどとの関係強化で生産能力を高め、EVなど向けが好調だったようです。

売上高は67%増の18億4100万ドル。需要が低調なスマートフォン向けの比率が前年同期の35%から29%に減り、EVなどの新エネルギー車やパネル、工業分野の需要が伸びています。

2022年4月

EV用電池増産で、中国企業が攻勢

EV用電池の主要4材料で中国企業が一斉に増産に動いています。

大手13社が計約710億元(約1兆4千億円)の設備投資計画をまとめ、セパレーター(絶縁材)世界最大手は2025年に生産能力を3倍以上に高める予定です。

世界の電池大手の需要に対応するためで、サプライチェーンの安定につながる一方、価格競争で収益への影響は不透明です。

加えて、中国大手の急激な増産を背景に、供給過剰への懸念は高まっています。

ロックダウン影響を考慮し、産業をサポート

中国政府は新型コロナウイルス対策で事実上のロックダウンをしている上海市の経済回復に向け、産業サポートを行う取り組みを始めました。

自動車や半導体など重点企業666社を指定する通知を出し、工場の稼働継続や再開を支援することが分かりました。

上海の市民生活に必要なインフラ運営企業や生活物資、医療サービスを提供する企業のほか、中国経済を支える重要企業666社が対象です。

産業別では自動車や部品メーカーなど車分野が最も多く4割近くを占めたようです。次いで医薬・医療分野が3割近くで、半導体産業やエネルギー・石油化工も約1割を占めました。

2022年3月

水素エネルギーの推進計画を発表

中国政府は3月23日、水素エネルギーの中長期発展計画を発表しました。

2025年に水素を使う燃料電池車(FCV)の保有台数で5万台を目標とし、バスや物流などで普及を進めるというものです。

国際的な連携を後押しするとともに、広域経済圏構想「一帯一路」の沿線国でのインフラ建設なども検討しています。

同計画は35年を最終年としています。

習近平国家主席が掲げる、2030年より前に二酸化炭素排出量をピークアウトさせ、2060年までに実質ゼロにするという目標達成に向け、水素を国家のエネルギーシステムの重要部分に位置づけました。

基本原則として、技術革新の推進、安全優先、市場主導と政府の誘導、モデル地区先行による安定した活用などを設定し、2025年に水素エネルギーの重要技術の掌握、中核部品などを含めたサプライチェーンの初歩的な整備、FCV保有台数5万台を目標として掲げました。

2030年には水素エネルギーの技術革新のシステムを構築し、秩序を保った活用を進め、脱炭素の目標に貢献するようにします。

2035年には交通や蓄エネルギー、発電、工業分野で活用を進める予定です。

2022年2月

5G基地局、200万か所

中国政府は、2022年に5Gの基地局を60万カ所以上、新たに設置すると発表しました。

2021年の設置数に比べ1割強減少する見通しですが、引き続き高い投資水準を維持し、22年は累計で約200万カ所の稼働を見込んでいます。

すでに5G基地局は142万カ所、5Gに接続しているスマートフォンなどの端末は5億2000万台と20年末に比べ2倍以上に達しました。

中国政府によれば5Gは中国の主要都市すべてと、農村の中心部の87%をカバーし、世界をリードしているとの事です。

今後は5Gを駆使して製造業や医療、教育などで新サービスの開発、効率や品質の向上を推進していきます。

一方、政府の政策に呼応し、中国の国有通信最大手、チャイナモバイルは、スペインのバルセロナで開催中のモバイル関連見本市「MWC」で、5Gのインフラ整備を推進する考えを示しました。

現在、チャイナモバイルは中国で70万カ所超の5G基地局を設置済みですが、2022年末までに100万カ所超の運用になるとの見通しを語りました。

USTR、中国の非市場政策に対抗する戦略立案を求める

USTRは2月16日、中国のWTOルール順守状況に関する年次報告を発表し、中国の「政府主導の非市場的政策・慣行」に対処するには新たな戦略を実施し、米国内の関連規制などを改正する必要があると表明しました。

トランプ前政権時代に締結された米中の第1段階の貿易協定について、中国の産業政策や大規模な資金資源を含む支援政策に対する米国の懸念に根本的に対処できていないと、レポートでは指摘されています。

規制面で国内産業を優遇したり、輸入品・サービスの市場アクセスを制限するといった中国の支援措置は、往々にして生産や市場シェアなどの特定の目標を狙ったものだとしています。

SMIC、半導体の生産能力拡大

SMICは2月10日、2022年12月期の投資額を前期比11%増の50億ドルに引き上げると発表しました。

米国の制裁で最先端製造設備は輸入できないものの、中国政府が進める独自のサプライチェーン(供給網)構築に向け2期ぶりの投資増加で能力拡大を急ぎます。

21年12月期の投資額は45億ドルで、前の期の57億ドルから大幅に減りました。

前期の投資計画は当初、米制裁で海外の製造設備の輸入が難しくなることから43億ドルにとどめていましたが、米国当局が一部設備の輸入を認めたため、計画を2億ドル上回ったとみられます。

投資の詳細は明らかにされていませんが、SMICは昨年3月に広東省深圳市に総投資額が23億5000万ドルの新工場、同9月には上海市に総投資額が88億7000万ドルの新工場を建設するとそれぞれ発表しました。

投資拡大で生産能力の拡充を急いでいます。

2022年1月

半導体で外資と連携

中国政府は半導体の先端技術の移転を狙って、海外の半導体大手を巻き込んだ専門組織を立ち上げます。

インテルなどとの連携を想定し、ソフトウエアや材料、製造装置を含めた共同開発拠点の誘致などを進めるもようです。

米国の制裁に影響を受けない半導体のサプライチェーン(供給網)構築をめざすつもりですが、もちろん米国などが反発する可能性が高いでしょう。

中国政府が設立するのは「半導体越境産業サービス工作委員会」と呼ばれるものです。

2022年前半をめどに設置します。

同委員会の役割は中国と外国の半導体産業の連携強化ですが、共産党指導部は独自のサプライチェーン構築を目標にしており、日米欧の半導体関連の先端技術の獲得も狙いとみられます。

具体的には

  1. 海外企業と中国の大手企業や研究機関との共同開発などの連携を呼びかけ
  2. 地方政府などとの連携を後押しし、開発拠点や工場の誘致
  3. 拠点誘致では資金提供を含めて支援
  4. 中国企業が海外の半導体関連企業を買収する場合、資金面で支援することも想定
  5. 参加を呼びかける海外企業としてはインテル、米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、独インフィニオン・テクノロジーズなどの半導体大手に加え、最先端の半導体製造装置を手掛けるオランダのASMLなど
  6. 海外企業を含めた産官学の連携強化によって、人材の育成や技術開発を促進する狙いも

中国は半導体の世界需要の約4分の1を占めるとされます。

このため、多くの半導体企業にとって中国は売上高が最大級の成長市場であるため、中国政府の意向を無視はできないという見方も出ています。

中国側からも有力企業が参加する見通しで、SMICや半導体製造装置メーカーのAMEC、スマートフォン大手で半導体開発にも乗り出したシャオミなどが候補となっているようです。

「中国製造2025」で半導体は重点領域に選定されています。

実際、半導体産業に特化した2兆円以上の政府系ファンドをテコに、NAND型フラッシュメモリーを手掛ける長江メモリー・テクノロジーズなどを育てました。

ただ、それでも中国の20年の半導体自給率は16%。中国当局の見方でも30%前後にとどまっています。

今後、民間企業は板挟みの中で苦しむことも想定されます。

政府、革新的な製品製造のための指針

1月10日、国内の消費財メーカーに対してより革新的な製品の開発を促す内容のガイドライン案を提示しました。

同案では国内消費財メーカーについて、中・高性能の製品の供給が少ない点や、世界的に知られたブランドがないことを指摘しています。

その上で、開発が望まれる製品の具体例として、コンピューター制御の炊飯器、位置特定機能が付いた子どもや高齢者向けの靴、若年消費者向けのアルコール度数が低い酒類などを挙げました。

さらに、2025年までに中国ブランドの評価と、世界の製造業バリューチェーンにおける地位が高まることを望むとしました。

2021年12月以前

2019年1月以前の動きは以下からご覧ください。

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