中国製造2025についてのまとめと経緯

ここでは、中国の習近平が重視する中国製造2025を中心に、中国の製造業強国への途についてまとめていきます。

以下に米中貿易摩擦・米中対立の副本として中国製造2025及びファーウェイ、ZTE等に関して2018年以降の動きを網羅的にまとめています。kindle unlimitedで無料でご覧いただけます。

中国の製造業全般を網羅する事で、政策としての中国製造2025と直接的に結びつかないケースもありますが、ファーウェイやZTE、その他中国を象徴するような製造業・メーカーの動きを知る事で、新興国への投資についての重大なヒントを得ることが出来るはずです。

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ZTE問題についてのまとめ

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米中貿易摩擦問題について整理してみた2018

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習近平についてのまとめと研究

中国製造2025のハイテク重点分野 半導体、ロボット、情報技術、AI(人工知能)など

中国製造は決して最近できた政策ではなく、2015年から習近平が推し進めていた政策です。

次世代情報技術や新エネルギー車など10の重点分野と23の品目を設定し、製造業の高度化を目指すものです。

第一段階は製造強国への仲間入り

第1段階である2025年までの目標は「世界の製造強国の仲間入り」です。

品目ごとに国産比率の目標を設定していて、

  • 産業用ロボットでは「自主ブランドの市場占有率」を2025年に70%、
  • 「5G」のカギを握る移動通信システム設備では2025年に中国市場で80%、世界市場で40%

といった高い目標を掲げています。

また、これに伴って、関連産業に対する金融支援や、基盤技術の向上支援などの施策を相次ぎ打ち出し、国を挙げてのシンボリックな近代化政策の一つとなっています。

中国のむき出しの野心が先進国から見て脅威に

こうした中国の隠さぬ野心に対してアメリカを中心とした先進諸国は警戒を強めています。

これまでアメリカをはじめ世界の企業は、中国に不当な技術移転を余儀なくされ、中国企業が政府支援の下で安さを売りに世界シェアを一気に上げて台頭を許してきたという反省があります。

MEMO
2018年から始まった米中貿易戦争もその脈絡で語る事が出来ると思います。

2049年までに製造強国の先頭グループに

2025年で目標を達成した後は、2049年が節目になります。

建国100年を迎えるのが2049年だからです。

この時までに「世界の製造強国の先頭グループ入り」を目指すのが超長期戦略の目標です。

2019年現在、既に「世界の工場」の地位からは脱却

日本の内閣府が作成したあるレポートによると、中国は既に生産機械のような付加価値の高い製品や部品の輸出拠点になっています。

つまり、2018年から起きている米中貿易摩擦等によって中国からの輸出が減れば、世界各国に広く影響を及ぼしかねないという事です。

これまで中国は付加価値の高い部品を輸入して国内で消費財にして輸出する「世界の組み立て工場」の役割を担ってきました。

その過程で、様々な技術を取得し、内製化を進めてきた、というのがよく耳にする中国の戦略です。

しかし、データを読み解けば、既にかつての繊維製品や玩具といった品目や組み立てを中心にしたものから、電気製品や高品質な部品、生産機械といった付加価値の高い製品の生産・輸出へとシフトしており、製造強国の仲間入りを一定程度果たしてるというのが実際と思われます。

invstem.com

例えば電気機器などの分野では、中国で生産・輸出される付加価値の高い部品がアメリカの製造業には欠かせないものになりつつあります。

アメリカが輸出する製品に含まれる海外生産部品などの付加価値は2018年は約13%でしたが、その内訳を国・地域別シェアでみると中国が12%と2000年の4.9%から割合を大きく高めています。

invstem.com

因みに日本の場合は2000年の13.6%から5.6%へとシェアが低下しています。

産業のバリューチェーン全体をも支配する戦略

中国製造2025で自らの技術力を高める一方で、バリューチェーンを支配するための動きもこの戦略の付属戦略のような形で動いています。

例えばEV。

EVで必要とされるバッテリー技術やAI、再生エネルギー関連の技術投資を積極的に行うと同時に、彼らはEV向けリチウムイオン電池の製造に欠かせないコバルトの世界的な供給源の大半もすでに押さえています。

コバルトの生産量世界一はコンゴ民主共和国なのですが、その産出量の大部分は中国企業が押さえているとされており、ある調査によると、世界で採掘されるコバルトの8割は中国が精錬しているという事です。

invstem.com

いわゆるレアアースというやつですね

他の国からしたら恐ろしい事です。

中国の科学技術分野における研究開発費はアメリカと同水準

ハイテク分野や科学技術分野での中国の躍進を支えるのは、豊富な資金力と言えるでしょう。

2016年の中国の研究開発投資は官民で約45兆円(2016年)。

これは、アメリカの51兆円に迫る勢いです。

中国の得意分野とアメリカの得意分野

この様に先端技術の研究開発で米中両国の実力が突出するのは分かりましたが分野別にはどの様な形になっているでしょうか。

ライフサイエンス、生命科学で優位に立つアメリカ

アメリカが優位に立つのが生命科学です。

質の高い論文を分析すると、生命科学の46領域のうち「がん研究」「遺伝学」「発生生物学」「分子生物学」など40領域でアメリカが首位でした。

遺伝子を効率よく改変するゲノム編集や再生医療などの研究で世界をリードし、スタートアップなどを通じた産業応用でも先行します。

もっとお中国も46領域の多くで2位に付け、米国を猛追しています。

倫理的なハードルが低い中国でも研究が進みやすい

中国は生命倫理や規制などの面で他国に比べ制約が少なく、研究が早く進みやすいとされています。

最近でも中国でゲノム編集の技術を使った双子の女児が誕生し波紋を呼びました。

製造業、ものづくりでは中国が圧倒 中国製造2025のたまもの

工学・化学・材料の分野では中国の存在感が圧倒的です。

同分野39領域のうち「航空宇宙工学」「電気電子工学」「機械工学」「材料科学」「金属・合金」など31領域でトップに立ちました。

MEMO
まさに「中国製造2025」の成果が出始めていて、ものづくりに関わる研究で力を高めているようです。

5G関連の特許は中国(ファーウェイ)が世界一?

ある中国専門誌によると、次世代高速通信である「5G」関連特許について、ファーウェイが占める割合は29%となっていて、世界トップです。

次に続くのがスウェーデンのエリクソン(22%)や韓国サムスン電子(20%)という事で、5G関連の技術で中国がトップレベルである事はある程度本当のようです。

ファーウェイ幹部は「当社なしではオーストラリアの5G構築コストは最大40%上昇する」とのコメントさえしているとの事です。

中国は2025年までには国内の全世帯の80%にワイヤレスの『5G』機器等の利⽤に不可⽋な光ケーブル通信を普及させる計画で、広⼤な国⼟の⾼速データ化を急ピッチで進めています。

これらは将来的に周辺国へも拡⼤するとみられます。

invstem.com

一帯一路等がこれにあたって活用されるのでしょう。

5G通信と4G通信の違い 何が凄いのか

ところで「5G(第5世代)」は何が凄いのでしょうか。

例えば、

  • 現行の通信規格と比べて実効速度が100倍という超高速通信
  • 通信の遅れがほとんど発生しない
  • 大量のデータを一気に送ることができる
  • 1平方キロメートルあたり100万台までの機器接続が可能

といった所がよく出てくるワードのようです。

これがあるので、自動運転や遠隔医療など社会インフラとしての期待が高まり、大きな変化をもたらすというからくりです。

そこの首根っこを中国が全部つかんで、世界をモニタリングして支配しようというのが中国の思惑だったわけです。

AI(人工知能)でも中国優位になりつつあるか

人工知能(AI)でも中国の勢いは止まりません。

ある報告書によると、1997年から17年までに発表されたAI分野の論文数は中国が約37万本で、アメリカ(約33万本)を抑えてトップに立っています。

影響力の強さを示す論文引用数でみれば上位10社はマイクロソフトやグーグルなどアメリカ企業が多く、中国企業は殆どゼロですが、最近ではかなり質が高いものが量産されつつあると言われています。

AI国家プロジェクト

中国政府は2017年、

  • ⾃動運転、
  • スマートシティ、
  • 医療映像、
  • ⾳声認識

の4部⾨からなるAI国家プロジェクトを認定し、着実な成果を積み上げているようです。

政府・中国共産党が手厚い保護をするBATIS

国家プロジェクト「AI発展計画」なるものが中国にはあります。

その中に企業名の頭文字を取って名付けられたBATISなるものが出て来ます。

2017~18年に指名した5大プラットフォーマーで、

  • 百度(バイドゥ、自動運転)、
  • アリババ(スマートシティー)、
  • テンセント(ヘルスケア)、
  • アイフライテック(音声認識)、
  • センスタイム(顔認識)

の事を言います。

MEMO
この5社は政府・共産党から補助金や許認可で手厚い支援を受け、研究開発を加速化させています。

EV(電気自動車)も中国無しに語れぬ分野に

EVの生産コストの大部分は電池なわけですが、2018年の世界車載電池出荷ランキングでは、中国勢が上位10社のうち7社を占めています。

駆動用モーターでも中国企業は存在感を増しています。

中国の自動車販売は年間2800万台(2018年)ですが、その内700万台が電気自動車となれば、コストを賄えるほどにまでなっています。

もしそれを中国が達成すると、EVのデファクトスタンダードは中国が握る可能性がかなり高くなるでしょう。

中国は宇宙戦略も重視

中国製造2025では宇宙戦略についても言及されています。

中国の宇宙戦略は軍民複合 2030年に「宇宙強国」を目指す

共産党最高指導部は2014年に宇宙開発を民間に開放しました。

中国の宇宙開発は軍民融合で発展を促す戦略をとっており、宇宙関連事業の会社やスタートアップの創業者・幹部には人民解放軍と関係の深い国有企業の出身者が少なくないようです。

また、スタートアップが運用する衛星も軍系企業が打ち上げることが多いようです。

こうして、中国は2030年の「宇宙強国」を目指し、軍と共産党が民間企業の成長を後押し、先行するアメリカ企業にとっても無視できない存在になりつつあります。

宇宙関連のスタートアップが多数

中国では宇宙開発分野のスタートアップが台頭しています。

ロケットの開発や打ち上げ、人工衛星の製造・運用などに参入が相次いでいます。

民間企業が計画する10年間の人工衛星の打ち上げ数は約1500基にのぼると言われています。

今後は中国以外の国からどれだけ受注できるかが問題です。

2022年1月

政府、革新的な製品製造のための指針

1月10日、国内の消費財メーカーに対してより革新的な製品の開発を促す内容のガイドライン案を提示しました。

同案では国内消費財メーカーについて、中・高性能の製品の供給が少ない点や、世界的に知られたブランドがないことを指摘しています。

その上で、開発が望まれる製品の具体例として、コンピューター制御の炊飯器、位置特定機能が付いた子どもや高齢者向けの靴、若年消費者向けのアルコール度数が低い酒類などを挙げました。

さらに、2025年までに中国ブランドの評価と、世界の製造業バリューチェーンにおける地位が高まることを望むとしました。

2021年12月

ロボット産業発展計画を公表

中国政府は28日、今後5カ年のロボット産業発展計画を発表しました。

2025年までに世界の先進レベルに追いつき、同産業全体の売上高について年率20%を超える成長を目標に掲げました。

米中対立の長期化をにらみ、国際競争力を持つ世界大手をつくりだし、米国の経済制裁に影響されない「製造強国」をめざします。

2020年の全体の売上高は1000億元(約1兆8000億円)に達しましたが、基礎的な技術力や高い技術水準を備えた製品の生産に弱みがあることから、ロボット産業の技術革新の能力を高めることを目標にしました。

具体的には、

  1. 大手企業を中心に再編・統合を支援して、国際競争力を高めること
  2. 産学官の連携を強化して材料や中核部品などのレベル向上をめざすること
  3. 積極的な金融支援を行うこと
  4. サプライチェーンの多元化を進めること

等です。

ロボットを工業、サービス、特殊型の3分類にして成長戦略を示した。工業ロボットでは自動車、航空宇宙、交通、半導体など製造分野を中心に開発に力を入れる。

SMIC、2021年12月期、約40%の増収

中国の半導体受託生産最大手、SMICの2021年12月期の売上高が前期から39%増える見通しであることが28日、明らかになりました。

同社が11月に開示した7~9月期の決算資料で、通期の売上高の前期比成長率目標を従来の30%前後から39%前後に引き上げており、目標を達成する見通しとなったようです。

米国の制裁などを受けながらも、

  1. 生産能力の拡大
  2. サプライチェーンや製造設備・材料の購入の流れなどを見直したこと
  3. 新型コロナウイルスの影響を脱して中国経済の回復が進んだこと
  4. 世界的な半導体不足を背景にした価格上昇

等が背景とみられます。

2021年11月

ビッグデータの5か年計画を発表

中国政府は30日、企業や国家の競争力を左右するビッグデータ産業の5カ年計画を発表しました。

データに関する先端技術やデータ取引市場の育成を進め、国家のデータ安全を確実に保障することを骨子としました。

2025年のビッグデータの産業規模を20年の3倍に相当する3兆元(約53兆円)に引き上げます。

過去の5カ年計画でビッグデータ産業は20年に1兆元規模に育ちましたが、技術水準や市場取引、セキュリティーの能力などが不十分だったと総括し、25年まで年率25%の成長をめざす目標を掲げました。

こうした計画を通じて、データの技術開発や企業や社会での活用を支援します。

工業領域では原材料、製造設備、消費、電子情報の4分野でビッグデータの利用向上を進めます。

産業別では、通信、金融、医療、農業・水利、公安、交通、電力、就業などを重点的な利用拡大分野に挙げています。

データの国際標準の策定にも積極的に参画します。

国内では新型コロナウイルス対策でデータ活用が奏功したことを受け、統治や社会管理などへの利用も強化する予定です。

データを分類して管理を強化し、全国のデータ安全を監視するプラットフォームなどを構築するというものです。

外国技術の排除加速?

中国は米国など外国の技術を国産のものに置き換える計画を加速させています。

準政府機関に対し、クラウドや半導体など機密分野で国内サプライヤーを吟味し承認する権限を与えているという事です。

2016年に政府に助言するために創設された信息技術応用創新工作委員会は、信頼できるソフトウエアを運用するための業界標準の確立および人材訓練の支援を行う政府の組織です。

IT応用イノベーション計画の立案と執行を行い、銀行から政府データを保存するデータセンターに至る機密セクター向けに技術を提供するサプライヤーを選びます。

こうした市場は25年までに1250億ドル規模になる可能性があります。

これまでパソコンや半導体、ネットワーキング、ソフトウエアの国内サプライヤー1800社が同委員会に参加するよう招かれたようです。

数百社が今年これまでに委員会のメンバーとして認証を受け、この数年間で最も速いペースになっています。

SMICの純利益が25%増加

中国の半導体受託生産最大手、SMICが11日発表した2021年7~9月期決算は純利益が前年同期比25%増の3億2100万ドルでした。

売上高は31%増の14億1500万ドルです。

旺盛な半導体需要が続いており、21年12月期の売上高の前期比成長率目標を従来の30%前後から39%前後に引き上げています。

新型コロナウイルスの影響を脱して中国経済の回復が進むなか、スマートフォンなどIT製品に搭載する半導体の引き合いが増えています。

世界的な半導体不足を背景にした価格上昇も収益を押し上げました。

2021年10月

国務院がカーボン・ピーク行動計画案を発表

10⽉26⽇に、中国国務院が公式サイトで「2030年までのカーボン・ピーク⾏動計画案」を発表しました。

これは2020年9⽉の国連総会で、習近平国家主席は環境問題への取り組みに関する中国の⻑期構想を発表したものと重なっています。

2030年までにカーボン・ピークを達成し、2060年までにカーボン・ニュートラル(CO2の排出量をネットでゼロにすること)の達成を⽬指す内容です。

この計画案は、中国がどのようにカーボン・ピークを実現するかに関して初めて総合的に説明したもので、各産業のガイドラインが⽰されています。

⼀部産業においては数値⽬標も掲げられています。

CO2排出量の約40%を占める発電セクターにおいて再⽣可能エネルギーの⽐率を引き上げることや、蓄電能⼒の向上、交通⼿段におけるEV等クリーンエネルギー⾞の販売⽐率を向上させる内容等が含まれています。

具体的な数値⽬標が⽰されたことで、政府の強いコミットメントによる政策⽀援への期待や、企業の設備投資が加速する期待などに繋がっています。

中国通信3社が増収増益

中国国有通信大手3社の香港上場子会社の2021年1~9月期決算が出そろいました。

5Gの契約件数の増加などでいずれも増収増益だったようです。

政府機関や企業向けデータセンターやクラウドサービスの拡大も業績を押し上げたという事です。

最大手のチャイナモバイルの純利益は7%増の872億元(約1兆5500億円)、売上高は13%増の6486億元でした。

5G接続端末が4.5億台

中国政府は19日、5Gに接続しているスマートフォンなどの端末が2021年9月末で4億5000万台に達したと発表しました。

20年末には約2億台でしたが、9カ月間で2倍強に増えました。

中国の5Gへの注力ぶりが鮮明になりました。

中国政府は製造業や鉱業、交通、医療などの各産業で5Gの利用を促しています。

自動運転やスマートシティー、工場の自動化などを進めることがその背景にあります。

現地企業の5Gスマホの投入機種も多く、使う消費者も増えたようです。

5G基地局数は約115万カ所と6割増えました。

20年末時点で70万カ所超で、21年に60万カ所を新設してサービス地域を全国に拡大する方針を掲げていました。

ただ、基地局を整備する中国移動(チャイナモバイル)など中国国有通信大手3社の香港上場子会社は21年1~6月期にいずれも投資額が減ったことから、足元では整備が遅れている可能性もあるようです。

国産半導体は引き続き遠い道

中国政府が掲げる2025年に半導体自給率70%の目標達成が難しい情勢です。

調査によると、20年の自給率は10%台半ばにとどまったようです。

米中対立で製造設備の調達が進まないことなどが原因です。

政府は政府系ファンドの投資拡大や補助金、名門大学に専門学部を設立するなど政策を総動員していますが、実現は容易ではないようです。

米中対立が先鋭化するなかで、米国から中国の弱点として狙われる半導体産業の育成は習指導部にとって喫緊の課題でし。

15年に発表した産業政策「中国製造2025」では半導体を重点領域に選定し、当時で10%に満たない自給率を20年に40%、25年に70%まで高める目標を打ち出していました。

この目標を達成するための一つの武器が半導体産業に特化した政府系ファンドの投資拡大です。

規模が最も大きい「国家集成電路産業投資基金」(国家大基金)の第1期の投資額は約1400億元(約2兆4500億円)に上りました。

20年には半導体企業への優遇措置も導入しています。

半導体分野への投資額は20年に19年実績の4倍以上に達する1400億元に膨らみ、中国で生産した半導体の販売金額は20年、14年の約3倍の8848億元に伸びました。

一方、EVの普及や自動運転技術の導入など自動車をはじめ多くの産業で半導体の利用が広がり、20年の半導体輸入額は14年比で6割増の3500億ドルまで増えました。

ただ、輸入が急増した結果、20年の自給率は16%にとどまってしまいました。

加えて過半をTSMCや韓国のサムスン電子、SKハイニックスなど海外メーカーの中国拠点が占めており、中国系だけでみた自給率はさらに下がるのです。

もちろん政府は「半導体強国」への旗を降ろしたわけではありません。

中国政府の後押しを受け、異業種の有力企業も半導体分野に注力しています。

例えばスマートフォン大手のシャオミは関連するファンドなどを含め、21年に入って半導体関連企業20社以上に出資しました。

人材育成にも力を入れ始めています。

習氏の母校である清華大学は4月に半導体を学ぶ学科を学部に昇格させるなど、半導体を研究する専門学部や研究室を拡充しています。

習指導部は米国の制裁に影響を受けない半導体産業のサプライチェーン構築を目指していますが、元々半導体はグローバルな分業体制が前提なため、どの国も独自のサプライチェーンをつくることは難しいのです。

ネットなどでの外資の排除に加え、習指導部は社会や思想への国内統制を強めています。

米国に迫る経済大国となった中国がさらに内向きに転じれば、中国を商機とみる半導体関連のグローバル企業が協力できなくなり、高い自給率の目標達成はさらに遠のくことになるかもしれません。

国有と民間の利益が逆転

中国で国有企業と民間企業の収益が逆転しました。

1~8月期の利益総額は、国有企業が民間企業を8%上回りました。

13年ぶりに通年で国有が民間をしのぐ可能性もあります。

民間は、当局の規制強化で資金調達が滞り、「川下」の消費財関連に多いため原材料価格の高騰で打撃を受けるのです。

政府の国有企業強化のひずみが表面化してきています。

2021年9月

ハイテク製造業強化を推進

中国は、ハイテクメーカーによる研究開発を後押ししています。

背景には、国内経済の他部門への締め付けを強める一方で、輸入テクノロジーへの依存を減らして「世界の工場」としての優位を強化したいという思惑があります。

生産性低下と低付加価値の経済生産の停滞という、いわゆる「中所得国の罠」を回避し、世界第2位の経済大国の舵取りをしていくため、中国政府はサービス部門から先進的な製造業へと産業政策の軸足をシフトさせています。

3月に決定された経済・社会発展の5カ年計画で、中国はGDPに占める製造業のシェアを安定させると宣言しています。

雇用創出のためにサービス産業に注力した2016ー20年の5カ年計画とは対照的となりました。

政府関係者がこのように思うきっかけとなったのは、新型コロナウイルスと米中貿易戦争です。

工場はいまや旧式経済の古ぼけた遺物ではなく、戦略的価値をはらんだ資産となっています。

パンデミックの間、中国各地の工場は、マスクや換気扇、リモートワーク用のエレクトロニクス製品に至るまであらゆるものを生産し、2020年初めの低迷から経済を回復させました。

さらに、米国との貿易戦争とそれに伴う米国政府の技術流出防止策によって、中国におけるハイテク関連ノウハウの欠如が露呈したのです。

イノベーション加速に向けた中国政府の決意はいっそう固くなったようです。

SMIC、新しい半導体工場を建設

中国の半導体受託生産最大手、SMICは3日、上海市に新しい半導体工場を建設すると発表しました。

投資額は88億7000万ドルです。

中国政府は米国企業からの輸入が多い半導体の国内生産の拡大をめざしており、SMICは半導体の生産能力を増強します。

SMICは上海市政府直属の組織で貿易や投資などの改革を進める自由貿易試験区の管理委員会などと共同出資で新工場を建設、運営する新会社を設立することで合意しました。

2021年8月

中国通信三社の投資額が25%減

中国国有通信大手3社の香港上場子会社の2021年1~6月期決算が19日、出そろいました。

5Gの普及で3社とも増収増益でしたが、3社の投資額合計は前年同期比25%減の1273億元(約2兆1600億円)にとどまりました。

半導体不足に加え、他社との基地局の共同建設の協議に時間がかかったためという事です。

国策で株価が二分

中国株の値動きが国策で二分されています。

政府が成長を後押しする電気自動車や半導体企業の株価が上昇する一方、社会への影響力を強めすぎたIT企業などが不振です。

政府は貧富の格差縮小を示す「共同富裕」を提唱し、その政策の矛先は不動産会社や教育産業に向かっており、一部企業は存続の危機にさらされています。

データ持ち出し制限の法律が成立

中国で個人情報保護法が20日成立しました。

個人データの海外への持ち出しを厳しく制限します。

米中対立の先鋭化を受け、中国に差別的な措置を取る外国への対抗措置も盛り込みました。

データ統制の法的枠組みが整い、外資企業も対応を迫られます。

中国の産業用ロボット会社が攻勢

中国の産業用ロボット7社が相次ぎ国内で能力増強に乗り出しています。

最大手のエステンは新工場を建設します。

中国市場では外資系に押され、国内勢のシェアは約30%と政府目標の50%に届いていません。

「製造強国」にむけ外資系に比べ約3割安い点を武器に顧客の裾野を広げ、ファナックやスイス・ABBなど日欧勢を追走します。

戦略的新興産業に複合国有企業を設立

中国政府は19日、戦略的新興産業に特化した中央政府所有の新たな複合企業を適切な時期に設立すると発表しました。

政府は国有大手企業は産業用機械、高性能半導体、新素材、新エネルギー車の分野で技術革新と研究を強化すべきだとしました。

因みに、同日発表した1-7月の国有企業の純利益は前年同期比112.4%増加し、1兆2000億元(1848億ドル)になりました。

原材料の値上がりは上流部門を独占する中国国有大手に恩恵をもたらした一方、中小企業はコスト上昇分を消費者に転嫁できずに苦しい経営を強いられている状況です。

ネット企業を対象にした不正競争を防ぐ規制

中国の規制当局は17日、インターネット上での不正競争行為に関する規定の草案を発表しました。

ネット企業が自社のサービスから競合企業を不当に排除することなどを禁止します。

アリババやテンセントといった巨大ネット企業が念頭にあるとみられます。

違反行為を明確にし、取り締まりを強化するものです。

重要インフラに関するデータ保護規制

中国政府は17日、通信など重要インフラ施設のデータ保護を目的とした条例を9月1日に施行すると発表しました。

情報の漏洩が国家の安全にかかわるため、インフラ運営者に専門の安全管理の仕組みなどの導入を求めました。

米中対立が先鋭化するなか、政府はデータの統制を強化します。

中国のCATL、1兆円の増資を発表

中国の車載電池最大手、CATLは最大で582億元(約1兆円)の増資を実施すると発表しました。

2020年以降、合計1000億元規模の増産投資の計画を公表済みで、今回の増資で調達する資金で充当する予定です。

EV向け電池の需要急増に対応し、韓国LG化学などの競合を引き離しにかかります。

中国通信会社の本土回帰

中国の国有通信会社による「本土回帰」の傾向が強まっています。

5月に米国の証券取引所の上場廃止が決まった大手2社は近く上海証券取引所に上場する方針です。

事業戦略面でも国内重視が鮮明で、かつてはグローバル化を志向していたものの、米中の対立や規制を背景に海外展開はしばらく停滞することになりそうです。

中国の研究力が引き続き勢い

中国が「科学大国世界一」の座を米国から奪おうとしています。

文部科学省の研究所が10日発表した報告書では注目度の高い論文の数で初めて首位となり、研究の量だけでなく質の面でも急速に台頭していることを印象づけました。

自然科学分野の論文の注目度の高さを示す指標でも中国が初めて世界一になっています。

戦後の科学研究をリードしてきた米国の優位が失われつつあり、産業競争力にも影響する可能性があります。

世界のIT、中国依存が増加

世界のIT・電子部品で中国依存が一段と強まっています。

主要な製品・サービスの市場シェアについて、中国企業がシェアの3割超を占めた品目は液晶パネルや電池部材など15に上ったようです。

米政権が先端製品の自国生産強化を打ち出すなどしているものの、中国に頼らない供給網構築の難しさが浮き彫りになっています。

規制強化のまとめ

ここ最近、中国において行われている規制強化のまとめを簡単に行います。

特色は独占禁止法などが多く適用されていることから、国家的な規模に成長した産業への規制強化です。

別の特色は格差解消の規制も多いことです。

教育や高騰した住宅投機への介入もこの分類に含まれそうです。

こうした特色は7月に急に実行されたように見えます。

これは、今年7月の共産党結党100周年で共産党体制の強化が示されたことと関係があると指摘する向きもあります。

中国ではここ数年、国家規模に成長した(独占的な)産業・企業に対し、独占禁止法や不当競争を理由に、規模を抑える動きがありました。

次に、中国の政策として格差是正への取り組みも見られます。

中国当局の政策の焦点である教育、医療、不動産に規制強化が図られています。

2021年7月

ネット企業統制を強化

中国政府は26日、ネット企業を対象に独占禁止法の順守やデータ安全など4分野に関して集中的に取り締まると発表しました。

期間は半年で、企業には自ら調査をして改善を求めます。

中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)など大手だけでなく、ネット企業全体への統制を強化します。

集中的に取り締まる4分野は独禁法の順守、利用者の保護、データ安全、当局の運営許可。独禁法では優越的な立場を利用してほかのネットに接続できないようにすることをやめさせます。

利用者の保護では広告サイトへの不適切な誘導などを認めない、というものです。

紫光、裁判所主導で再編

中国を代表する半導体大手、紫光集団が裁判所手動で再編する事が分かりました。

9日、破産や再編を進めるよう債権者が北京市の裁判所に申請したようです。

紫光集団は2020年末までに4度の社債の債務不履行を起こす一方、傘下企業は操業を続けています。

紫光集団は習近平国家主席の母校でハイテク人材を輩出する清華大学が51%出資する企業です。

傘下にNAND型フラッシュメモリーを手掛けるYMTCや半導体事業を展開する企業、クラウドサービスを手掛ける紫光などを抱えます。

2021年6月以前

2019年1月以前の動きは以下からご覧ください。

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