ここではアメリカとヨーロッパの貿易摩擦問題についてフォローしていきます。直接新興国への投資と関連するわけではありませんが、世界経済に及ぼす影響が大きいのでこのブログでも触れる事にしました。
2021年10月
アメリカ、対EU関税を一部免除
バイデン米政権は30日、EUから輸入する鉄鋼とアルミニウムに課す追加関税について一部を免除すると表明しました。
EUも報復関税を取り下げます。
トランプ前政権下で始まった米欧貿易摩擦をめぐり、双方が妥協し、当面は関係修復を優先させます。
鉄鋼とアルミにそれぞれ25%、10%上乗せしている追加関税は維持するものの一定の輸入量への関税は免除します。
関税割当と呼ばれる仕組みで、具体的な数量枠は今後発表されます。
報道では、鉄鋼ではEUからの輸入が年330万トンを超えた分から関税を課します。
輸入制限を始める前の2017年の輸入量(英国を除く)は470万トンでしたが、関税上乗せ後の19年は390万トンまで減っていました。
今回の免除はあくまで一部にとどまり、輸入制限自体は形を変えて残る予定です。
2021年5月
米欧、中国睨み歩み寄りを模索
バイデン米政権が中国との通商問題に力を入れるため、同盟国・地域との連携を急ぎます。
EUと鉄鋼・アルミニウムを巡る関税合戦の「休戦」で合意しました。
米国内には関税維持を求める声も根強く、米欧関係の完全修復に向けた課題は大きいと言えます。
トランプ前政権は2018年、中国などの過剰生産で流れ込んだ輸入を制限するためとして、EUや日本を含む各国・地域に追加関税を課しました。
今回、EUとは21年末までに関税に代わる解決策の合意を目指します。
米欧の対立は激化する恐れがありました。
なぜならEUは6月1日、米国製品への報復関税を50%へと2倍に引き上げる予定だったからです。
しかし、交渉中は追加策を控えることで一致し、対立激化を回避しました。
両者を休戦に突き動かしたのは中国の存在でしょう。
2021年3月
アメリカとEUは歩み寄りへ
USTRのタイ代表は3月29日、欧州委員会のベステアー上級副委員長に対し、EUとの間でより前向きで生産的な通商関係を構築したい意向を伝えました。
USTRの声明によると、両氏は気候変動やデジタル経済、中国など大規模な非市場経済国への対応における米欧の協力強化といった優先課題に共に取り組むことで一致したという事です。
ベステアー氏はかねて、グーグルやフェイスブック、アップルなど巨大IT企業に公正な納税を求める取り組みを欧州が主導することを支持してきました。
ただ、両氏は今後も定期的にやり取りすることで合意しています。
2020年11月
対米報復関税を発動
2020年11月9日、EUはアメリカ政府がボーイングに不当な補助金を与えているとして、最大40億ドルのアメリカ製品に10日から、関税をかけると発表しました。
アメリカはすでにEUによる欧州エアバスへの補助金が不当としてEU製品に関税をかけており、この対抗措置となります。
11月9日のEU貿易担当相会合で決まりました。
この措置を通じてアメリカ側にEUへの関税を取り下げるよう圧力をかけるとともに、次期米大統領への当選を確実にしたバイデン前副大統領の協調路線への方針転換に期待をかけます。
EU、来週にも対米報復関税を発動
アメリカ政府による航空機大手ボーイングへの補助金に対抗する措置として、EUが航空機や航空機部品を含む40億ドル相当のアメリカからの輸入品に対し来週にも関税を課す可能性が高いことが分かりました。
EU各国の大半がすでに関税を支持しており、11月9日のEU貿易相会合後、10日か11日に実施される見通しという事です。
新たな関税は、米国の航空機や航空機部品、果物やナッツ類などの農産品、オレンジジュースなどの加工品、特定の蒸留酒、建設機械などに課される見込みです。
バイデン氏大統領で米仏関係は良化
フランスのリエステール貿易・魅力担当相は、アメリカの大統領選でバイデン氏が勝利した場合、米仏の貿易関係はより円滑になるだろうと述べました。
トランプ大統領は欧州の航空機大手エアバスへの補助金を巡り、フランス産ワインに関税を課したほか、デジタル課税に関連しシャンパンや高級ハンドバックに課税する方針を示しています。
リエステール貿易相はバイデン氏が大統領となれば米仏関係は改善するかとの質問に対し、
「間違いなく改善するだろう。持続可能な発展や多国間の問題に関する連携が強まる」
と回答しました。
バイデン陣営は選挙期間中、トランプ大統領が欧州に対して行った「人為的な貿易戦争」を終わらせると主張していました。
一方で、欧州との農業貿易の不均衡にも対処するとしていました。
2020年10月
アメリカ、EUの報復関税に遺憾表明
2020年10月26日、アメリカはWTOに対し、ボーイングの補助金に対するEUの報復関税は遺憾だと伝えた上で、航空機メーカーへの補助金を巡るアメリカEU間の紛争において、交渉による解決を望むとしました。
WTOの紛争解決機関はこの日、EUによる40億ドル規模のアメリカ製品に対する報復関税を正式に承認しています。
WTO、EUの対米制裁を承認
WTOはアメリカ政府によるボーイングへの補助金を巡り、EUが報復措置としてアメリカ製品に40億ドルの関税を課すことを承認しました。
EU会は、関税措置対象とする可能性がある品目の一覧表をすでに作成しています。
航空機のほか、ワイン、蒸留酒、スーツケース、トラクター、冷凍魚など広範な品目が含まれています。
EUは早くて10月26日のWTO会合後に報復関税措置を発動できますが、アナリストの間ではアメリカの大統領選直前に発動されないとの見方が大勢です。
欧米の交渉担当官も、16年に及んでいる問題の解決に向け協議は可能との見解を示しています。
2020年8月
アメリカ、EU製品への関税を維持
2020年8月12日、アメリカ政府は航空機補助金を巡るEUとの紛争で発動したエアバス製航空機に対する15%の関税と他のEU製品に対する25%の関税を維持すると発表しました。
USTRのライトハイザー代表は、WTOの決定を順守するために必要な措置をEUは講じていないと指摘しています。
また、長期的な解決策を目指し、アメリカ政府として新たな手続きに着手すると表明しました。
USTRは、報復関税の対象となっている75億ドル相当の欧州製品のリストを見直し、ギリシャと英国からの一部輸入品を対象から外す一方、ドイツとフランスからの同額の輸入品を追加する方針を示しました。
エアバスは7月、アメリカに関税撤回を促し、航空機補助金を巡る長年の紛争を解決するための最後の取り組みとして、フランスとスペインから借り入れた開発資金に対する支払金利の引き上げに合意したと発表していました。
なお、米欧の航空機紛争では、EU側もアメリカによるボーイングへの補助金を不当と主張し、WTOは今秋にもEUに対し、アメリカ製品への報復関税を承認する見通しで、業界団体は対立激化を予想しています。
アメリカの超党派議員がUSTRに対EU関税の撤廃を訴え
アメリカの超党派議員13人が、EUからの輸入品に課している25%の関税の撤廃をUSTRに要請したようです。
この関税は2019年10月、EUによるエアバス への補助金が不当として、アメリカがWTOの承認を受けて欧州産の食品や酒類など最大75億ドル相当の輸入品を対象に導入したものです。
新型コロナウイルスの感染拡大に終わりが見えないなか、コスト高による飲食店や小売店、輸入業者らが苦境を訴えているようです。
2020年7月
アメリカがフランス製品に報復関税を課すと発表
2020年7月10日、USTRは13億ドル分のフランス製品に25%の報復関税を2021年1月までに課すと発表しました。
IT企業に課税する「デジタルサービス税」が背景にあり、独自課税に動かないようフランスに改めて圧力をかけました。
追加関税の対象製品は化粧品やハンドバッグなど計21品目です。
デジタル課税に関する協議の時間を確保するため、発動日は180日間先送りして2021年1月6日に設定しました。
ルメール経済・財務相はアメリカのこの対応について、
「フランスの対応は今後も変わらない。2020年末までに国際的な解決に至らなければ、課税することになる」
と述べ、デジタル課税を巡る国際協議から先月撤退したアメリカに対し、OECD交渉に復帰するよう呼び掛けました。
2020年6月
アメリカ、対EU関税の拡大検討
2020年6月24日、アメリカ政府はエアバスへの補助金が不当だとしてEU各国に課している報復関税の拡大を検討すると発表しました。
オリーブやウオッカ、フォークリフト、ビールなど30品目計31億ドル分を関税の検討対象に加えました。
圧力を強めて補助金撤廃を迫る姿勢です。
フランス、アメリカのデジタル課税案件の交渉打ち切りを「挑発行為」
2020年6月18日、フランスのルメール経済・財務相はアメリカがデジタル課税案を巡る交渉を打ち切ると明らかにしたことを受け、挑発行為として不快感をあらわにしました。
他の欧州諸国でも反発が強まるとみられており、欧米の対立が再燃しそうです。
アメリカはフランスなど欧州諸国が進めるデジタル課税に報復することも検討しているとされています。
ルメール氏は
「言うことを聞かないと報復するのが同盟国への対応なのか。課税は予定通り実施する」
と発言しました。
貿易交渉は停滞
2020年6月9日、EU高官は、欧米間の貿易摩擦を緩和しようと努力しているものの、11月に控えているアメリカ大統領選などのため事態打開に時間がかかるとの見通しを示しました。
EUのホーガン委員は、長期にわたって懸案となっている航空機補助金を巡る交渉から過去数週間にアメリカは退いたと発言しました。
合意が成立しなければ、EUは7月にも数十億ドル相当のアメリカ製品に関税を課す可能性が出てきます。
ホーガン氏はアメリカが選挙前であることを指摘し、アメリカが国内政治に目が行きやすいと指摘しました。
フランス、デジタル課税では妥協難しい
アメリカのデジタル課税に関する調査を開始する事についてフランスが反発しています。
アメリカが通商法301条に基づき「デジタル課税」の調査を開始すると発表した事について、主要国の団結を求めるアメリカの主張と矛盾するというのがフランスの主張のようです。
デジタル課税はEUやインドなど、多くの国が導入を検討しています。
米仏政府は今年に入ってから、フランスのデジタルサービス税を巡る対立で休戦に合意しました。
これに従って、アメリカは制裁を控える一方、フランスは徴税を一時停止しています。
ただ、新しい世界的な課税規則に関するOECDでの協議で合意が成立しない限り、フランスは今年末に徴税を再開する予定です。
2020年2月
アメリカ、EU航空機への追加関税を発表
2020年2月14日、USTRはEUから輸入される航空機への追加関税率について、3月18日から現行の10%から15%に引き上げると発表しました。
EUによるエアバスへの不当な補助金で米ボーイングに被害が生じたとして、アメリカが講じている対抗措置の一環です。
報復関税の対象リストや関税率などを定期的に見直し、貿易を巡る不確実な状況をつくり出し、多くのEU産業にダメージを与えるのが狙いとされます。
USTRによれば、スコッチウイスキーやフランス産ワインなど他のEU産品の一部に対する関税率を25%のままとし、発表済みのリストに小さな変更を加えるとしています。
2020年1月
デジタル課税の徴収、年末まで先送り
2020年1月22日、アメリカとフランスは貿易戦争を回避するためにデジタル課税の世界的な枠組みで合意したと、ルメール仏経済・財務相が明らかにしました。
ダボス会議でムニューシン米財務長官とルメール大臣が会談し、IT多国籍企業からの徴税を2020年末まで先送りすることで合意した。
アメリカはそれと引き換えに、発動の構えを示していたフランス製品への懲罰的関税措置を控えます。
アメリカとフランス、デジタル課税を巡っては一旦休戦
フランスのマクロン大統領とトランプ大統領はデジタル課税を巡る紛争の休戦で合意しました。
今年はどちらの側も懲罰的な関税を課さないことになると関係者が明らかにしました。
米仏首脳が行った1月20日の電話会談に関してホワイトハウスは
「両首脳はデジタルサービス課税の交渉をうまくまとめることが重要だとの認識で一致し、その他の二国間問題も議論した」
とするにとどめました。
デジタル課税を巡る紛争が小休止となれば、欧米間の緊張は緩和一部される可能性もあります。
EU高官、米欧の貿易関係を見直す良い契機に
2020年1月16日、EUのホーガン欧州委員はアメリカ政府高官らとの協議について、通商関係をリセットするのに「良いスタート」を切ったとの見方を示しました。
ただ、まだ多くの課題が残されていて、すぐに妥結できる事はそこまで多くないようです。
EUも、日米貿易協定のような「ミニ」通商合意の検討や、衛生・植物検疫基準に的を絞ることが選択肢として考えられるとの見方を示しました。
EU、米中合意について精査
2020年1月16日、EUは米中貿易摩擦の第一段階の合意について、国際ルールに違反していないか精査する考えを表明しました。
同委員はこの合意が管理貿易的であるとして、EUに不利益が出れば必要な対応をとると主張しています。
米中合意には、中国によるボーイング社製航空機購入も含まれるとの観測もあり、ホーガン氏は管理貿易的な面もあるようだとの見解を表明しています。
エアバスを抱えるEUとして、今回の米中合意によってエアバスの利益が損なわれるのは受け入れられない、といった所でしょう。
アメリカ、イラン問題と絡めて欧州自動車への関税を示唆
トランプ政権が、英独仏がイランに対し核合意違反の責任を正式に問わない場合、欧州から輸入する自動車に25%の関税を課すと圧力をかけているとの報道がありました。
2020年1月14日、イラン核合意の欧州参加国である英独仏は、イランの核開発抑制に向け「紛争解決手続き」を正式に発動すると発表しています。
同手続きは参加国が核合意違反の存在を認めた場合の解決手段で、最終的にはイランに対する国連制裁再開につながる可能性があります。
上記の様なヨーロッパの行動があるにもかかわらずアメリカがこうした圧力をかける意味合いについてはよく分かっていないようです。
デジタル課税をめぐる米仏対立、15日間で解決?
フランスのデジタル課税について15日間で解決する方針を米仏で決めたようです。
2020年1月7日、フランスのルメール経済・財務相は同国のデジタル課税にアメリカが反発している問題について、15日間で問題の解決を目指す方針をムニューシン財務長官と一致したことを明らかにしました。
同大臣は、
「我々は互いに15日間の時間を与え、次回の協議に臨む。次回の協議は1月下旬のダボス会議の際に行う計画だ」
と述べました。
2019年12月
アメリカが欧州製品への関税引き上げを示唆
2019年12月17日、ライトハイザーUSTR代表は欧州製品に対する関税引き上げの可能性を示唆しました。
ライトハイザー代表は、エアバスへの補助金75億ドルに関連して、欧州製品への関税を引き上げる可能性を表明しました。
ただ具体的な品目には触れませんでした。
ライトハイザー氏はアメリカの対欧州貿易赤字が2019年は1800億ドルに達すると予想されるとし、アメリカは欧州への輸出拡大を模索する必要があるとの考えを披露しました。
その上で、
「対欧州貿易赤字を削減しなければ、全般的な貿易赤字の縮小はできない。この問題は極めて重要だ」
とも述べました。
アメリカの報復関税、フランスはWTO提訴も視野
2019年12月8日、フランスのルメール経済・財務相はアメリカの報復関税導入の検討について、世界貿易機関に提訴する用意ができていると述べました。
ルメール氏は、フランスは国際的なデジタル課税制度について経済協力開発機構の場でアメリカと話し合う意向だと表明しています。
ただし、こうした課税はインターネット企業が選択できるものではなく、OECDでグローバルな税制に合意が得られなければEUの枠組みでデジタル課税を再度協議するとしました。
アメリカが対仏報復関税ならEUが合同で報復も
フランスのデジタル課税に対抗し、アメリカが仏産品約24億ドル相当への報復関税を実施した場合、EUは合同で報復する意向であるとの報道がありました。
2019年12月4日、欧州委員会のホーガン委員はアメリカによる対仏関税への対応についてフランス閣僚と協議しました。
そこで、ホーガン氏はこれは欧州の問題であるとして、EUが一丸となって対応すると表明しました。
フランスが対米報復関税を示唆
2019年12月3日、フランス政府は、デジタル課税にアメリカが対抗措置を導入する場合、EUとして報復すると表明しました。
欧米間の応酬も激しくなりそうです。
アメリカ、フランス製品に最大100%の報復関税
2019年12月2日、アメリカはフランスのデジタルサービス税がアメリカのIT企業を不当に差別しているとして、食料品など24億ドル相当の輸入品に最大100%の追加関税を課す可能性があると明らかにしました。
シャンパン、ハンドバッグ、チーズなどが対象となっているようです。
ライトハイザーUSTR代表は、オーストリア、イタリア、トルコのデジタル課税についても同様の調査を行うか検討中だとしました。
フランスは2019年7月、巨大IT企業に絞って独自課税するデジタルサービス税を実施しました。同国はネット事業の売上高の3%に課税しますが、対象は世界で7億5千万ユーロ超の売上高がある大企業に限っていて、課税対象27社のうち17社はアメリカ企業になっています。ちなみに仏勢はネット広告会社のクリテオだけです。
2019年11月
アメリカ、関税正当化に向けた新たな調査を開始
アメリカはEUから輸入する自動車に対する関税措置決定の期限が過ぎたことに伴い、EUに対する関税措置導入を正当化するために、通商を巡る新たな調査の開始を検討しているようです。
アメリカは国家安全保障上の観点から外国製の自動車と自動車部品に追加関税を課す必要があるか、11月14日までに判断を示す必要がありました。
一方、EUはトランプ政権が14日までに当該決定を行わなかったことで、発動が見送られる公算が大きいとして、慎重ながらも楽観的な見方を示しました。
2019年10月
アメリカ、報復関税を発動
2019年10月18日、アメリカはEUの航空機補助金がWTO協定違反だとして航空機やワイン、チーズなどに最大25%の報復関税を発動しました。
米欧は自動車や農産品でも対立しており、景気減速懸念が広がるなか、新たな関税合戦は経済の重荷となるでしょう。
具体的な内容
- フランスやドイツなどから輸入する航空機に10%、
- 約160品目の食料品や工業品に25%を上乗せ
- 対象製品の規模は対EU輸入額全体の約2%程度
航空機と関係ないチーズやワインが含まれる理由
エアバス関連の工場を持つのは仏独などに限られますが、あえて関係のない品目も加えて巻き添えとなった他の加盟国で不満が広がれば、EUとして一枚岩で抵抗しにくくなるとアメリカは考えているのです。
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ただ、アメリカにも悪影響が出ます。
例えばチーズ輸入業の会社はEUからのチーズ輸入が3割減ると予想したりしています。
米欧の関税合戦は他の産業に広がる可能性もあります。
例えばアメリカは11月中旬までに自動車への追加関税を判断する予定です。
アメリカ、貿易摩擦解消に高関税も、現時点では配慮を示す
2019年10月16日、トランプ大統領はヨーロッパからの輸入品に追加関税を課せば、欧米の貿易摩擦を即時に解決できるとしつつも、現時点で追加関税を課す用意はないと語りました。
トランプ大統領は
「問題を早急に解決することは可能だが、欧州製品への関税を伴うため、それはあまりにも過酷だろう」
と述べて、現時点でその用意はないと語りました。
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航空機紛争、双方が本格対立は避けたい
WTOがアメリカの対ヨーロッパ報復関税を認めましたが、双方とも米中対立の様な本格的な対立にはしたくないと思われます。
世界二大航空機メーカーを抱える米欧の対立は15年続いている過去最大の通商紛争と呼ばれてきたものです。
組み立て産業の航空機は雇用を生み出す効果も大きく、国や地方が様々な形で支援しています。
一方で国産品を優遇するような補助金はWTOで禁じられており、米欧は互いに協定違反だと主張を続けてきたのです。
米欧の言い分は真っ向からぶつかるわけですが、双方とも航空機で米中貿易戦争のような全面対立を望んでいるわけではありません。
実際、WTOは100%の関税を容認したものの、アメリカは最大25%に抑えています。
対立を本格化させたくない為です。
お互いに景気減速のリスクを抱える中、どの様にこの問題を軟着陸させるか注目されます。
WTOがアメリカの対ヨーロッパ報復関税を承認し、18日に実施
2019年10月2日、WTOがアメリカのEUに対する年最大75億ドル(約8千億円)相当の報復関税を承認しました。これを受けて、アメリカはEUに対する報復関税を10月18日にも発動する方針を表明しました。
EUも報復を検討中で、米欧の貿易摩擦は一段と激しくなりそうです。
WTOはアメリカとEUを仲裁する形で、対抗措置の上限額を決めました。
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アメリカは年約105億ドルの報復関税の承認を求めていましたが、上記の額になったという事です。
対象は??
- 航空機に10%を
- ワイン、ウイスキー、チーズなど農産品や工業品に25%を
それぞれ上乗せします。
2019年9月
アメリカの対EU報復関税の対象は可変
アメリカの対EU報復関税の対象品目が可変なようです。目的はよりEUの産業に打撃を与えるため。
アメリカ側は製品リストを固定せず、貿易を巡る不確実な状況をつくり出し、できるだけ多くのEU産業に打撃を与えることを目指し、対象品目を定期的に変更する事を検討しているようです。
WTOがアメリカのエアバスへの関税賦課を承認
航空機への補助金を巡る欧米の貿易摩擦について、WTOがアメリカによる欧州製品への関税賦課を承認したようです。
報復関税の規模は80億ドルと報道されています。
この判断は9月30日の週に公表される見込みですが、EU側も報復措置を取る可能性が高いでしょう。
欧米は15年前から、それぞれがエアバスおよびボーイングに対する補助金について不当であると主張しあい、相互に関税措置を準備してきました。
アメリカ、フランス産品への関税発動の可能性、排除せず
アメリカはフランスの「デジタル課税」計画への報復として、ワインなどの仏産品に対する輸入関税発動につなげる可能性を排除しない事を示しました。
2019年8月にフランスで開催されたG7の際にはそうした事態は回避されるとの見方が強まっていたのですが、ここにきてそれが覆った形です。
もちろん、なかなか進まない欧米の貿易摩擦問題に関するジャブのような所かもしれません。
2019年7月
アメリカ、フランスへの揺さぶりで事態打開を企図
アメリカがフランスが導入したIT企業へのデジタルサービス税への報復関税をちらつかせていますが、これは1年以上にらみ合いが続く欧米間の通商協議打開に向けた揺さぶりとみられています。
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ただ、こうした行動で感情のもつれが出て欧米の対立が激化すれば、世界経済へのさらなる重荷となる可能性が大きくなってしまいます。
こうした対応については、アメリカ議会もトランプ政権の強硬姿勢を支持しています。実際、与野党幹部は2019年6月にフランス人やフランス企業への税金を2倍に引き上げるよう財務省に提案しています。
米仏の対立激化はイラン問題にも影響を与えかねません。
EUの対米報復関税、従来の2倍弱に
2019年7月23日、EUはアメリカがEUの自動車・同部品への追加関税を実施した場合、アメリカ製品350億ユーロ相当に報復関税を課すことを明らかにしました。
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EU高官は2倍弱の新たな数字になった事について、最近の貿易統計を反映したにすぎないと説明しています。
この上で改めて、EUとしてこうした報復関税を行使する必要がないことが望ましいと付け加えました。
EU、アメリカの関税に備えるべき
ドイツ政府関係者で、アメリカのUSTRやホワイトハウススタッフと話をしたというピーター・バイエル氏は、アメリカの対EU関税が今後数カ月間に発動となる可能性があり、EU各国はそれに備える必要があるとの見方を示しました。
EU高官、エアバスとボーイング問題で報復しあう可能性を示唆
EU高官が、欧米間でボーイングとエアバスへの違法な補助金に対し報復関税を賦課し合う可能性が相応にある事を認めました。
こうした報復関税などのやり合いをしつつも、交渉を通じた決着を目指すのが望ましいとの考えをあらためて示しています。
同高官は、EUもアメリカも共に協定違反をしており、お互いに措置を講じることが認められるが、本来なら制裁の発動を控え『話し合おう』と言うべきだとしました。
EU、航空機補助金問題についてアメリカと交渉可能の姿勢を示唆
EUはアメリカが2019年7月1日に公表した関税リストに対して、EUは、公平で前提条件なしの交渉であればアメリカと話し合う事に前向きだと話しました。
ただ、上記関税リスト問題については、WTOが裁定すべきで、その裁定によって認められればEUは直ちに報復措置を取る準備をしているとしました。
アメリカとEUは相互に関税措置を準備していますが、アメリカが先にWTOに112億ドル分の品目に関税を課す対抗措置を申請している状況です。
アメリカ、対EUの報復関税の対象リストを拡大
トランプ政権が高関税をテコに貿易相手国に譲歩を迫る戦略を加速しています。
2019年7月1日にEUに対する報復関税の対象を広げると発表しました。
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USTRは、EUがエアバスに出す補助金が不当だとし、最大100%の関税を課す89品目の「第2弾」リストを公開しました。
4月に示した210億ドル(約2兆3千億円)分の「第1弾」から、さらに40億ドル分を積み増します。
2019年5月 米中貿易摩擦の後は欧米か
2019年4月現在の欧米の経済対立ポイント
2019年4月現在におけるアメリカとヨーロッパの貿易・経済問題は以下の通りです。
- 自動車:アメリカが欧州車向けに高関税の脅し
- 農産品:アメリカがヨーロッパに対して協議を要求するも、ヨーロッパは拒否
- 航空機:補助金を巡りお互いに関税をかけあう
- 鉄鋼:アメリカが追加関税を導入中
米中貿易協議が落ち着けば、今度はヨーロッパ側にその矛先が向かうのか、はたまた日米交渉に向かうのか、まだ分かりません。
EU、自動車輸出規制に断固反対
2019年5月27日、EUはアメリカが言っている自動車関連の輸出制限に断固反対の姿勢を示しました。
貿易を巡り欧米間の緊張が高まるリスクが改めて浮き彫りになっています。
米中貿易戦争のみでなくヨーロッパの対米自動車輸出を巡る摩擦も大きな不確定要素となります。もちろん自動車輸出規制は日本も同じです。
2019年4月 具体的なリスト発表
EU、アメリカへの報復関税2兆円、軟着陸図りたい
アメリカのEU製品向け関税へのEUからの対抗策が2019年4月17日に発表されました。
アメリカ側が実際に関税をかければ、米工業品や農産品など幅広い分野の米製品200億ドル相当に関税を課す内容です。既報の102億ユーロ以上の規模です。
制裁関税の品目リストには
- トラクター
- 航空機
- ヘリコプター
- ゲーム機
- ハンドバッグ
- スーツケース
- 魚類
- チーズ
- フルーツ他
など幅広い製品が並びます。
ただ、あくまで対話を通じ貿易戦争の激化を避け、軟着陸を探りたい姿勢です。
2019年4月15日、EUが対米交渉の体制を構築、農産品は交渉せず
2019年4月15日、EU加盟国は欧州委員会にアメリカとの通商交渉に関する権限を与えることで合意しました。
これでEU側の交渉体制がようやく整った形です。
EUは近く交渉を始めたい意向ですが、欧州委の権限にはアメリカが強い関心を示す農産品は含まれていません。つまりEU側は農産品について交渉するつもりがないという事なわけで、アメリカの反発は確実でしょう。
EUの対アメリカ報復関税の具体案
EUはアメリカへの報復関税としてハンドバッグやヘリコプターなど幅広いアメリカ製品102億ユーロ相当に対する追加関税を検討しているようです。
アメリカ政府のボーイング補助金への対抗措置となります。
EUの執行機関である欧州委員会はブリュッセルで4月12日、加盟各国政府の通商担当者らに今回の報復計画を説明したようです。
2019年4月、アメリカが110億ドル相当のヨーロッパ製品に関税、EUも報復措置検討
2019年4月9日、アメリカはEUから輸入する110億ドルの物品に対し関税を導入することを明らかにしました。
欧米はエアバスおよびボーイングに対する補助金について互いに不当だと主張し、長期にわたって対立していました。
WTOはこれまで、ボーイングとエアバスへの補助金がともに不当と判断していましたが、こんな中、アメリカが2019年4月8日に、EUによるエアバスへの補助金に対する報復措置として関税を課すEU製品の暫定リストを公表、大型商用機やその部品のほか、乳製品やワインを盛り込んだのです。
これを受け、EUも対抗措置の準備に着手しているようです。具体的には、ボーイングへの補助金を巡り、米製品を対象に報復関税を課す方向で準備しているという事です。
2019年3月 感情的な対立にも
ファーウェイ(華為、HUAWEI)製品を排除せず。欧米の対立の種となるか
欧州委員会は2019年3月26日、ファーウェイの製品を5G網の選定から排除しない旨の決定をしました。
これによって米欧の溝が更に深くなっていくかもしれません。
アメリカはこれまで、同社製品の全面排除を同盟各国等に強く要求していました。
米政府は同社製品の採用は同盟国間の軍事協力に影響するとけん制しており、通商問題などで対立する米欧の新たな火種となりそうです。
既に、ヨーロッパ各国は以下の様な動きをしています。
- ドイツ:特定の企業を排除しない方針
- イタリア:ファーウェイとの連携に前向きな姿勢
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ただ、引き続きEU内で中国製品を使う事のセキュリティー上の懸念はまだかなりあり、どうなるかは分かりません。
アメリカ・ヨーロッパ間の通商対立、再び深まる
アメリカとヨーロッパの通商対立が再び深まっているようです。
最大の争点は2018年7月の米EU首脳会談で合意が見送られた農産品の扱いです。
トランプ大統領は欧州車への追加関税で脅しをかけますが、EUは報復措置でけん制しています。
交渉を始める前から互いに不信感を募らせているのです。
遺伝子組み換え作物などに懸念を示すヨーロッパにとって、アメリカの農産品の輸入はとても重大です。
欧州委員会が交渉を始めるには加盟国の承認が要るのですが、農業大国であるフランスなどは慎重姿勢です。
トランプ氏としても次期大統領選に向けて農産品の輸出拡大を実績に掲げたい所ですが、今の所実績は挙げられておらず、いら立ち始めています。
そういった事もあり、棚上げで合意した自動車関税について2019年2月中旬に「交渉で合意できなければヨーロッパ製の車に関税を課す」と改めて警告したのです。
これに対し、EUは既述の通りキャタピラーなど米国の象徴的な製品を標的とした報復関税で対抗する構えをみせました。
2019年2月 欧米間で舌戦
欧州委員会、キャタピラーなどを報復関税の標的に
アメリカがEUからの自動車輸入に関税を課した場合、EUはキャタピラーややゼロックス、サムソナイト・インターナショナルといったアメリカ企業の製品に報復関税を課す方針だとの報道がありました。
欧州委員会は、アメリカからの追加関税が発動された場合に備え、報復措置のリスト作成を開始していると説明しています。
アメリカ、EUとの貿易・通商合意に達さなければ関税課すと表明
2019年2月20日、トランプ大統領はEUと通商合意に達することができなければEUからの自動車輸入に関税を課すとあらためて表明し、米欧関係が緊張する中で圧力を強めました。
トランプ大統領は、自動車・同部品輸入がアメリカの国家安全保障に及ぼす影響に関する報告書を受理し、これを利用して欧州の譲歩を引き出そうとしているようです。
トランプ大統領は、「取引できなければ、関税を課すだろう」と発言し、「われわれは取引をしようとしている。EUは取引相手として非常に手ごわい」と語りました。
2018年7月に米欧首脳は新たに貿易を巡る協議を始めることで合意しました。
トランプ大統領は交渉が続いている間は新たな関税を課さないと約束し、それ以来、「休戦」を守ってきました。
2019年1月以前
EU(欧州委員会)、アメリカが関税を課すなら200億ユーロに相当する報復関税をかける用意ある
2019年1月、欧州委員会はアメリカがEUからの自動車・同部品輸入に追加関税を発動した場合、200億ユーロ(約2兆5000億円)相当のアメリカ製品に報復関税を課す用意があると発表しました。
ただ欧州委は報復関税の対象となるアメリカ製品について、具体名は挙げていません。
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