アルゼンチンの通貨危機、財政危機の経緯とまとめ(2018年~)

この記事では、現在のアルゼンチンの通貨危機に関する経緯とまとめを記したいと思います。

新興国通貨や新興国株への投資で気を付けなければいけないのは通貨危機。新興国ならどの通貨も潜在的なリスクは先進国よりは高め。

こういった危機がどういう時に起きるのか、また起きた後どうやって復活していくのかを見ていくためにこの記事を書いています。

新興国への投資を行う上で重要な知見をこの記事でまとめていきたいと思います。

主に新しいイベントが上に来るように、順次更新していきます!

2018年以降の経緯を網羅的にご覧いただきたい場合は以下をご参考ください。

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アルゼンチンペソ 通貨危機の概要まとめ

アルゼンチンペソ・日本円の為替チャート

【直近5年間のアルゼンチンペソー日本円のチャート(出所:TradingView)】


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かなりアルゼンチンペソが下落しているのが分かると思います。2015年より前の水準にしっかり戻れるでしょうか。。。

アルゼンチンペソ急落 アメリカなど先進国の金融政策が影響

2018年4月から始まるアルゼンチンペソの急落・通貨危機は、アメリカなど先進国の金融政策の変更によって引き起こされたものと言えます。

具体的には、アメリカを中心とした先進国が利上げをしたために、資金の逆流が発生し、アルゼンチンにあった資金が急激に先進国に戻り、結果としてペソが急落したのです。

その意味では、1997年から始まったアジア通貨危機と本質的には同じと見ることが出来ます。

アルゼンチンのファンダメンタルズも悪い

ただ、そうは言っても全ての新興国が通貨危機に陥っているわけではありません。

では、なぜアルゼンチンだけこんなに通貨が急落したのでしょうか。

1つはアルゼンチンは国際経済・金融の世界で、長年、典型的な問題児といわれ続けて来ました。

経常収支の赤字、財政赤字、高インフレ、これまでの歴史

アルゼンチンは、慢性的に経常赤字・財政赤字が大きく、インフレ率も高い国です。

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つまり、経済のファンダメンタルズが弱いのです。

これまでも国として7回、デフォルト(債務不履行)を起こしています。

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何度も同じことを繰り返しており、これが問題児と呼ばれる所以です。

通貨急落を受けた、アルゼンチンの金融政策

詳細は、以下に記している経緯をご覧頂きたいと思いますが、2018年4月の通貨急落を受けて、アルゼンチン当局は主に以下の事を行いました。

  • 金利を大幅に引き上げ
  • IMFに支援を要請(緊急融資を依頼)
  • 日次で政策金利を変更

これによって、少しずつですが通貨のボラティリティを下げていくという手法を取っていきました。

2019年10月の選挙で改革派のマクリ氏が敗北

こうした危機対応を主導していたのがマクリ大統領(当時)でした。

しかし、その経済政策は国民に不人気で、2019年10月の選挙でポピュリズム政策を掲げるフェルナンデス氏に敗北しました。

政治によって新興国通貨は翻弄されます。

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トルコがいい例ですよね。

よく見ておかなければなりません。

フェルナンデス大統領の就任時の主要政策(2019年12月)

2019年12月10日に、左派のアルベルト・フェルナンデス大統領が就任しました。

就任演説ではポピュリズム色が目立った政策で、マーケットは警戒を強めています。

実際、同日の株価指数は5%近く下落してしまいました。

以下が、同大統領の掲げる主な政策です。

債務問題

国の経済成長が戻るまで返済は行わないとしています。

貧困層支援

低い利率で融資が出来るような特別なシステムを構築

若年層支援

補助金を使って、雇用を保証

インフラ事業

道路の補修、公的な建物を補修、低所得者向けの住宅を建築

2021年5月

21年インフレ率は若干上昇

5月7日に発表されたアルゼンチン中央銀行の月例アナリスト調査によると、2021年のインフレ率の予想中央値が前月の46%から47.3%に上昇しました。

また今年のGDPの予想中央値は6.4%増と、前月の6.6%からやや縮小しました。

12月時点のペソの対ドル名目相場平均の予想は1ドル=112.64ペソ、22年末までに159.09ペソになると予想されています。

4月のインフレ率は前月比3.8%前後との見方が中心的でした。

2021年4月

アルゼンチン、政府内部で論争?

IMFの高官は4月8日、アルゼンチンの連立政権はIMFとの交渉や経済政策を巡って内部で対立しているようだと述べました。

450億ドルの借り換えに向けIMFと交渉を進めているアルゼンチンについて、新たな合意の鍵となる持続可能な借り入れに向けた経済政策に大きな不透明感があると指摘しました。

アルゼンチンは新型コロナウイルス流行で長期にわたるリセッションが悪化する中、2018年のIMFとの合意に置き換わる新たな合意と返済の先送りを求めています。

交渉は今年6月までの合意が目標とされていましたが、アルゼンチン政権内で反対の動きが出たことから停滞しています。

多くの投資家は、10月の中間選挙の後にならなければ合意を得られないと見込んでいるようです。

アルゼンチンとIMFの交渉、また難航

アルゼンチンの450億ドル相当の債務返済計画がIMFとの間で6月までに決着する可能性は低いとグスマン経済相が明らかにしました。

グスマン氏は従来の返済プログラムの条件変更には、米国や中国、ドイツ、日本、フランスといった各国の支持が必要になるだろうと語っています。

アルゼンチン政府は、2021年9月ー24年に必要な450億ドルのIMFへの支払いを履行できないという事です。

2021年3月

IMFからSDRで43億ドル超を調達

アルゼンチン政府は3月24日、IMFから43億5400万ドルを調達すると発表しました。

特別引き出し権(SDR)を活用します。

債務問題の抜本的な解決には遠いものの、当面の債務返済や外貨準備高の補充に活用される見通しです。

SDRは危機時などにドルやユーロなどを引き出せる権利の事です。

アルゼンチンは、パリクラブ(主要債権国会議)に対する24億ドルの支払いが5月末に控えているほか、外貨準備高の減少も問題となっていましたが、今回のSDR活用で、当面のデフォルトの懸念は遠ざかったと言えます。

GDP成長率、3年連続マイナス

アルゼンチンが3月23日に発表した2020年のGDPは前年比9.9%減でした。

マイナス成長は3年連続です。

新型コロナウイルスの感染拡大に加え、通貨安やインフレが響きました。

新型コロナ対策として経済活動の制限を長期にわたり実施したため、家計消費が13.1%の大幅減となりました。

アルゼンチンはブラジルなど周辺国に比べ経済活動を厳しく制限したものの、新型コロナの感染拡大を止めることができず、経済は大きな痛手を負ってしまいました。

2020年10~12月期のGDPは前年同期比4.3%減で、周辺国に比べて回復が遅れている状況です。

通貨安とインフレも重荷です。

フェルナンデス政権は資本規制によりドルの購入を制限していますが、市民が手持ちのペソを外貨に替える動きは止まっていません。

輸入物価の上昇を受けて、物価上昇率は年率40%前後で推移しています。

5月の返済を巡って債務交渉開始

アルゼンチン政府が再び債務再編交渉に乗り出します。

5月に24億ドルの返済期限が迫っており、返済にはIMFとの交渉で合意する必要があります。

ここに加えて追加融資も要求しています。

アルゼンチンのグスマン経済相は3月15日、アルゼンチンの債務問題は過去にIMFが巨額融資をした影響が大きく、貸し手に非があるという従来の主張を繰り返しました。

2月末時点のアルゼンチンの政府債務額は3349億ドルです。

2019年12月に発足したフェルナンデス政権は返済負担の軽減を求め、20年8月に米欧の金融機関と約45%の債務減免で合意しており、国際機関や主要先進国の債務にも同様の措置を求めています。

今回焦点となっているのは日米欧などで構成するパリクラブ(主要債権国会議)に対する24億ドルの支払いで、5月末に支払期限を迎えます。

現在、アルゼンチンは新型コロナの感染拡大を理由に債務返済を中断しています。

従来の契約に従った金利負担は年9%で、グスマン氏は金利は持続可能な水準ではないと不平を述べています。

パリクラブは債務再編交渉の条件として、アルゼンチンの最大債権者であるIMFとの合意を挙げており、IMFとの合意は必須です。

グスマン氏は3月23日にもワシントンを訪れ、IMFのゲオルギエバ専務理事との会談に臨む予定です。

ここで交渉が決裂して24億ドルの返済ができなかった場合、2カ月の猶予期間を経て、同国として10度目のデフォルトとなります。

交渉を複雑にするのが、アルゼンチンがIMFに返済猶予を求めると同時に、追加融資を要求している点です。

新型コロナの影響でアルゼンチン経済は大きく傷んでおり、外貨準備高は減少している状況です。

資本規制で通貨安を食い止めている状況で、IMFを含む国際機関からの融資抜きでは何もできない状況になっています。

ゲオルギエバ氏は2月に、支援そのものには前向きな姿勢を示したものの、返済猶予や元本の削減については態度を明らかにしていません。

フェルナンデス氏は19年10月の大統領選で圧勝し、新政権を発足させたものの、今の所目立った成果をあげられていません。

むしろ、新型コロナの封じ込めに失敗して感染者数が増加した上、インフレによる経済の低迷も深刻になっています。

足元ではワクチンを閣僚や高官が秘密裏に接種していたことが明らかになり、不支持率が支持率を上回る状況となっているのです。

大統領選で国民のIMFに対する悪感情をあおった手前、債務再編交渉での譲歩はさらなる支持離れにもつながりかねません。

IMFとの新しい合意を急がず

アルゼンチンのフェルナンデス大統領は3月1日、IMFからの新たな支援に関し、性急な合意は望まないとの意向を示しました。

IMFとの交渉をめぐっては、5月に設定された合意目標の達成は困難との懸念が広がっています。

フェルナンデス大統領は議会演説で、政府は前政権とIMFの合意について調査を行うため法的措置も取り得ると述べました。

同大統領は先に、この合意によりアルゼンチンの債務水準が高まったとも批判していました。

2020年11月

コロナワクチンやアメリカ大統領選挙が終わっても軟調なペソ

2020年11月中旬ごろからこぞって新興国通貨高・ドル安が進み、相場のマーケットオンが進みましたが、アルゼンチンペソは弱いままです。

まず、新興国通貨高とドル安となった背景ですが、

  1. 米大統領選挙を通過したことで、各国の金融市場でリスク選好とみられる動きが強まったこと、
  2. バイデン氏の次期大統領就任が確実となったことで、民主党主導で財政支出が拡大するとの見方が高まっていること
  3. 米ドル安が進行すれば、新興国の米ドル建て対外債務の実質的な軽減が見込まれること

などが挙げられます。

しかし、アルゼンチンペソは、9月に同国政府が対外債務再編を行ったことで債務不履行から脱却したにもかかわらず、同国に対する市場の信頼回復が進んでいないとみられ、他の新興国通貨の上昇から置き去りにされるかたちとなっています。

政策金利を引き上げ

2020年11月12日、アルゼンチン中央銀行は政策金利のLELIQ金利を36%から38%に引き上げました。

インフレ加速を受けた措置で、物価抑制のほか、ペソ建ての国内貯蓄を促進する狙いがあります。

中銀は翌日物と7日物のリバースレポ金利も引き上げました。

10月の前月比物価上昇率は3.8%と、今年最も高い伸びを記録しました。

新型コロナウイルス対応の封鎖措置の段階的な緩和が背景にあります。

2020年10月

富裕層の海外逃避が急増

アルゼンチン政府が富裕層への課税を強化する一方、ウルグアイでは新規移住者への税優遇措置を打ち出したことを受けて、アルゼンチンからウルグアイに移住する富裕層が増えているようです。

富裕層にとって最大の不満は、多くの人が厳しすぎると受け止めている税制です。

アルゼンチン議会は間もなく、純資産300万ドル(約3億1000万円)以上の国民を対象とする時限的な「連帯」税導入について審議入りする予定です。

政府関係者らは最大40億ドルの税収が見込めると話しています。

すでに昨年12月、既存の富裕税が2.25%に引き上げられ、全世界でスペインに次ぐ高税率になっていますが、更にここから増税となる可能性があるわけです。

野党議員は新たな連帯税は新政権への信用をさらに損なうだけだと指摘しています。

すでに新政権は穀物輸出の最大手企業を国有化する計画に失敗したほか、突如として通信料金の凍結措置を打ち出すなどしており、社会が混乱しています。

政情不安と経済危機のせいで外国企業がアルゼンチンから逃げ出しているさなかに、現政権は緊急事態だからと言って恣意的な税を導入していると野党議員は批判します。

富裕層の資産への課税については、既存の税の徴収効率化と慢性的な脱税の摘発のほうがはるかに税収を増やせると多くのエコノミストが指摘するなど、効果を疑問視する見方が広がっています。

しかし、アルゼンチン富裕層の大半は新税について公然と批判することには慎重です。

その理由はアルゼンチンの経済状況にあります。

アルゼンチン経済は10年前から低迷を続け、景気後退の3年目にあります。

そこに新型コロナウイルス危機の影響が重なり、状況の悪化が深刻です。

与党議員は、コロナウイルスが経済に大打撃をもたらし、国民の4割超が貧困状態にある状況で、アルゼンチンに富裕税が必要であることに疑問の余地がないと主張しています。

アルゼンチンの総税収はGDP比28.4%に相当しており、OECD平均の34.3%を大きく下回っています。

一方で、民間部門で働く人は総人口4500万人のうち800万人にとどまり、公務員や年金生活者、補助金受給者など2000万人以上が国のお金に依存しているのです。

そうしたなかで多くの個人と民間企業の税負担が「完全に重すぎる水準」になっていると指摘している人も多くいます。

世界銀行によれば、アルゼンチンは世界で最も税負担が重い国であるばかりか、富裕層に対する税率もすでに最高水準になっています。

国際金融協会(IIF)のエコノミストは、財政の観点からみて新税がゲームチェンジャーにはならず、逆にアルゼンチンの政策の方向性に対する疑問に輪をかけることになると指摘しています。

メキシコ同様、民間を軽視した左派政権で、なかなか景気浮揚は難しいのでしょう。

通貨ペソの下落止まらず

通貨ペソの下落が止まらず、政府も四苦八苦しています。

資本流出が進む中、中央銀行は外貨購入の制限など資本規制を相次ぎ強化していますが、逆に市民がドルを求める動きを後押しし、ペソは実勢レートで公定レートの半値以下となってしまいました。

アルゼンチンでは現在、外貨の購入が制限されています。

10月8日時点の政府の定める公定レートは1ドル=77.09ペソとなっていますが、闇市場ではペソの価値下落が止まらず、同日の実勢レートでは1ドル=155ペソと、既に公定レートの半値以下で取引されている状況です。

不利なレートにもかかわらず、市民が競うように手持ちのペソをドルに変えるのは資本規制の強化が止まらない中、自国通貨への不信感が高まっているためです。

中央銀行は何とか資本流出を止めようとあらゆる手を使っていますが、逆に市民の不安をあおる形となっています。

今後、大豆など穀物の輸出が本格化すれば外貨準備高は回復するとみられていますが、なかなk市場心理の改善にはつながっていません。

政府が進めている債務再編交渉の先行きが見通せないことも不安要素です。

10月6日からIMFと債務の返済見直しについての交渉を開始しています。

フェルナンデス大統領は、既に米欧の機関投資家と合意したような債務の大幅削減の再現を期待しています。

しかし、一方でアルゼンチンの厳しい経済状況を理由にIMFに対し追加支援も要請しています。

つまり、債務減免と追加融資を同時並行で進めようとしているわけで、早期妥結は難しいでしょう。

IMFは通貨安を止めるためには財政と経常の「双子の赤字」を改善する必要があるとして、財政支出の削減など、国民に痛みを伴う改革を要求しています。

フェルナンデス氏は

「債務問題は貸し手であるIMFに責任がある」

と主張して2019年の大統領選で当選した経緯があるため、表向きには公的支出の削減を拒否しています。

今後、市場の不安を取り除くために安易な妥協をすれば、支持者や与党内の急進左派勢力からの反発を招き、政治不安を招くリスクもありそうです。

かなり長い時間、投資家は事態を見守る事となるでしょう。

IMF、すぐに歳出削減を求める事はしない

2020年10月6日、IMFのゲオルギエワ専務理事はアルゼンチン政府が求める新たな支援プログラムを巡る協議について、直ちに歳出削減を求めることはないと述べました。

アルゼンチンの前政権はIMFからの借り入れに基づく合意を順守するためリセッション下で歳出削減を行わなければなりませんでした。

今は、新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、IMFとしてそうした緊縮財政をすぐに求めることはないと説明したわけです。

同氏は協議の行方を見守るとした上で、

「成長に向けた中期目標を明確にするため、アルゼンチンの手助けとなることを望む」

と語りました。

IMFの交渉担当者は同日、アルゼンチン入りしています。

大豆の輸出関税を一部引き下げ

2020年10月1日、アルゼンチン政府は主要輸出品の大豆にかけている輸出関税を33%から30%に引き下げたと発表しました。

輸出促進のための一時的な措置で、2021年1月には33%に戻す予定です。

鉱物や工業品の輸出関税も大豆と同時に引き下げました。

アルゼンチンは外貨準備減と通貨安で経常収支が悪化しており、輸出を促進する事で事態を改善したいと考えています。

アルゼンチンのグスマン経済相は、輸出振興の鍵となる分野の発展を促進すると述べました。

景気が低迷する同国では9月以降、通貨ペソ安が進んでいます。

中央銀行が保有する実質的な外貨準備は、公表値を下回っていたことが明らかになりました。

そのうえ、政府が資本規制を強めたため、市民が闇市場で手持ちのペソを売りドルを買う動きが活発になっていたのです。。

来週IMF代表団がアルゼンチンを訪問

2020年10月1日、グスマン経済相はIMFの代表団が来週、アルゼンチンに到着すると明らかにしました。

アルゼンチンはIMFと新たな金融支援プログラムを交渉したいと考えています。

アルゼンチンが2018年にIMFと合意した570億ドル規模の金融支援は経済危機を回避できず、同国は今年デフォルトに陥りました。

アルゼンチンは、この合意に代わる新たな支援をIMFから取り付ける必要があるとしています。

2020年9月

アルゼンチンの約半分が貧困に

2020年9月30日、アルゼンチン・カトリック大学は、第2・四半期にアルゼンチン国民の半分近くが貧困状態にあったとの推計を発表しました。

長期化している経済危機に新型コロナウイルス感染拡大が追い討ちをかけた事が要因です。

同大学によると、数カ月にわたる感染拡大抑制のためのロックダウンにより、6月末までの貧困率は46ー47%と、昨年末時点の40.8%から上昇しました。

全体的な貧困が拡大しており、また格差も拡大したようです。

アルゼンチンの来年の成長率、プラス5.5%

アルゼンチン政府は今年の経済成長率が過去最大のマイナスとなった後、来年は投資の急増に伴いプラス成長に転じると予想しているようです。

9月15日夜に議会に提出された2021年予算案で明らかになったものです。

GDP成長率は21年にプラス5.5%と、今年のマイナス12.1%から回復すると予算案は想定し、来年のインフレ率は前年比29%に鈍化し、アルゼンチン・ペソは1ドル=102.4ペソに下落すると予測しています。

プライマリーバランス赤字はGDP比4.5%を見込んでいます。

アルゼンチン中央銀行が集計した民間エコノミスト調査の結果によると、21年の成長率は政府と見通しが一致していますが、インフレ率は47%前後と政府予測を大幅に上回っています。

更なる通貨安が進む懸念

アルゼンチンで更なる通貨安が進む懸念が強まっています。

政府は資本規制の強化で資本流出を防ごうとしていますが、外貨準備高の減少が取り沙汰される中、民間では手持ちのペソをドルに替える動きが目立っています。

企業活動にも支障をきたしており、新型コロナウイルスの拡大で低迷する経済に追加で打撃となりそうです。

通貨ペソの実勢レートは2020年9月16日に1ドル=142ペソと、過去最安値を更新しました。

これで年初来からの下落率は47%と、主要国の中でも突出している状況です。

中銀はドル売りペソ買いの為替介入を繰り返していますが、外貨準備高が減少しており、ペソ買いに使える外貨準備は残り27億ドル程度との報道もあります。

中銀は15日に外貨の購入に税金を課すなど新たな資本規制を導入しましたが、市民は闇市場でドルを求めています。

4-6月期のGDPは前年同期比マイナス19.1%

2020年9月22日、アルゼンチンは2020年4~6月期のGDPが前年同期比で19.1%減だったと発表しました。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために厳しい外出制限を課したことでサービス業が打撃を受けました。

前期比では16.2%減でした。

アルゼンチン経済は既に1~3月期の時点で景気後退入りしており、マイナス成長は3四半期連続となります。

アルゼンチン、IMFに24年までの返済の猶予を要望

アルゼンチンは、IMFとの融資条件見直し交渉で、2021ー24年の返済を猶予してもらいたい考えのようです。

グスマン経済相が明らかにしました。

IMFは2018年にアルゼンチンに対する融資を承認し、これまでに440億ドルが実行されています。

アルゼンチンは今年8月、債務再編で主要民間債権者の同意を取り付けたのに続き、IMFとの条件見直し交渉を開始しています。

グスマン経済相は、

「目標は非常に明確で、2021ー24年はIMFへの返済に直面したくないということだ。向こう数年の金融負担という意味で、目指すべき明確な展望を持つ必要がある。そのために交渉が必要で、ある程度の期間を要するとみられる」

と述べました。

アルゼンチンは2022ー2023年にIMFに400億ドル程度返済する必要がありますが、IMFはすでに、同国と建設的な取り組みをする意向を示しています。

S&P、アルゼンチンをCCC+に格上げ

S&Pは2020年9月7日、アルゼンチンの長期債格付け(自国通貨建て、外貨建て共に)をSD(選択的債務不履行=デフォルト)からCCC+に格上げしました。

見通しは安定的としています。

なお、他の格付け会社ではムーディーズがCa(CCに相当)として、見通しは弱含みとしています。

また、フィッチは長期発行体デフォルト格付けと自国通貨建て長期発行体デフォルト格付けをRD(部分的デフォルト)としています。

2020年8月

債務再編案に約94%の支持

2020年8月31日、アルゼンチン政府は650億ドルの債務再編を巡り主要債権団と合意した内容について、93.55%の債券保有者が支持したと発表しました。

これにより、99%の債務について再編が可能となりました。

アルゼンチン政府は8月4日に、3つの主要債権団と債務再編案で原則合意に達し、28日が債権者による受け入れの期限となっていました。

グスマン経済相は31日の記者会見で

「ここ数日に提案の条件調整に取り組んだことで、債権者による圧倒的支持を得られた」

と述べました。

今回再編対象となっている債務は集団行動条項が付与されており、債権者の一定の支持があれば政府は再編を進めることができる事になっています。

再編対象の1%の債券は当該条項が適用されず、一部の投資家は合意を受け入れなかったとみられますが、グスマン経済相は大きな問題ではないとし、解決が可能だとの見方を示しました。

2005年の債務再編では、約25%の債券を保有する債権者が再編案を拒否し、長年にわたる訴訟につながった経緯があります。

IMFと新たな交渉を始めると発表

2020年8月26日、アルゼンチン政府はIMFと債務再編や追加支援についての交渉を始めると発表しました。

現政権は持続不可能な債務を押しつけたとしてIMFを批判してきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、債権者との対話路線に転じました。

グスマン経済相がIMFのゲオルギエバ専務理事あてに公開書簡を送り、マクリ前政権が2018年に結んだ融資について「持続不可能だ」と合意が拙速だったと主張しています。

その上で、2021年から24年にかけて、支払いの調整が重要だと指摘し、債務減免や返済猶予の要求を示唆しました。

また、アルゼンチン政府は債務再編交渉と並行して、追加支援も要請する構えです。

ゲオルギエバ氏は26日、アルゼンチンのフェルナンデス大統領と電話で協議したことを明らかにしたうえで、「IMFの新たな支援プログラムについて、議論を始めるという要請を受けた」と発表しました。

アルゼンチンは、650億ドルの債務再編案が最終段階に近づいています。

額面1ドル当たり平均55セント相当のオファーの受け入れ期限は28日で、成功すればIMFとの協議開始に道が開かれるという形になっていました。

再編合意にもかかわらず、アルゼンチン買いは起こらず

2020年8月16日にアルゼンチン政府が提示した修正案に主要債権者が支持する姿勢を明らかにし、一山超えた形となっていますが、金融市場でアルゼンチンが買いが起きているかと言うと、そうではありません。

債務再編合意という好材料にも拘らず、アルゼンチンでは通貨、債券が下落するなど資金流出懸念がくすぶっています。

やはり、

  • 新型コロナウイルスの感染拡大が続いていること
  • 経済のファンダメンタルズの脆弱さへの不安
  • IMFとの交渉の行方に対する懸念

等が影響しているとみられます。

IMFとの協議へ移行

アルゼンチン政府が債務再編交渉で米欧の債権者団と合意したと発表し、今後はIMFとの追加支援を巡る交渉や資本流出対策に取り組むこととなります。

グスマン経済相は8月4日の記者会見でIMFと新たな支援プログラムを探ると述べ、IMFを敵視してきたこれまでの姿勢を転換し、追加支援交渉に意欲を見せました。

IMF融資の確保には財政規律の条件を受け入れる必要がありますが、左派のフェルナンデス氏はバラマキなどポピュリズム的な公約で当選した経緯があり、交渉は難航すると予想されます

市場でのアルゼンチンに対する信頼は失墜しています。

この市場の信用を取り戻すためには経済回復とともに経常赤字と財政赤字の「双子の赤字」を解消する必要がありますが、コロナウイルスの抑え込みに失敗しているアルゼンチンでは、20年の経済成長率はマイナス10%程度と、周辺国の中でも最悪の数字が見込まれており、前途多難です。

債務再編交渉で合意

2020年8月4日、アルゼンチン政府は償還期限が過ぎるなどしていた総額650億ドルの国債に関して、主要債権者団と元本や利払いの減免で合意したと発表しました。

元本などを削減した新たな国債を発行して対象の国債と交換します。

地元経済紙は約650億ドル(約6兆9千億円)の債務について、債権者が保有する国債を45.2%減免した額面1ドルあたり約54.8セント相当の価値で、新たに発行する債券と交換するよう提案していたと報じています。

また、債権者の合意を取り付けるため、新たに発行する債券の一部で利払いと償還期限を前倒ししたと政府は説明しています。

尚、強制的に債務交換に持ち込まれかねないと債権者側が懸念し、交渉の争点になっていた集団行動条項については、新たに発行する債券に関する文書で当該内容を一部調整するとしています。

政府からは具体的な減免額などは明らかにされていません。

今回の合意は、他の新興国の債務再編などの動きにも影響を与えるかもしれません。

債権者団、法律条項修正へ国際機関と協力

アルゼンチン国債を保有する主要な債権者グループが、債務再編を巡る法律の条項修正について、国際金融協会などの国際機関に支援を求めていることが明らかになりました。

アルゼンチン政府と債務再編について4日までの合意を目指していますが、期限を先延ばしされる公算が大きくなっています。

債権者グループの関係筋は、国際通貨基金、米財務省、国際資本市場協会とも非公式に接触したことを明らかにし、今後の対応について協議したものと見られます。

2020年7月

主要債権者、改めて政府最終提案を受け入れられないと表明

2020年7月27日、主要債権者はグスマン経済相宛ての書簡で、債権者の共同提案が、海外で発行した国債の半分以上を保有する投資家の支持を得たとし、政府側の最終案を受け入れない姿勢を鮮明にしました。

書簡によると、アルゼンチンが過去に債務交換した国債残高の60%を保有する金融機関と海外市場の国債発行残高の51%を保有する金融機関が今月20日に政府に提示した共同案に支持を表明したそうです。

総額約650億ドルの債務再編協議は、債権者側が一致団結して政府側の案に反対したことから停滞しています。

アルゼンチン経済省の報道官はコメントの求めに応じていません。

債権者団、共同戦線でアルゼンチンに譲歩を促す

2020年7月20日、アルゼンチン国債を保有する機関投資家で構成する3つの債権者団はアルゼンチン政府との債務再編交渉で、共同で新たな提案を提出したと発表しました。

共同戦線を組むことでアルゼンチン政府に対し譲歩を促す狙いがあります。

債権者団は声明で、債務再編交渉の対象となっている国債の3分の1を保有していることを明らかにし、今後9年間に350億ドル余りを免除する新たな債務再編案を共同で示しました。

つまり、政府案を拒否したわけです。

声明では、

「短期的にアルゼンチンの救いになると同時に、持続可能な解決策が提供されている」

としています。

アルゼンチン政府はこれ以上の譲歩は出来ないと言っていますが、8月4日の交渉期限までに合意できなければ法廷闘争に突入しかかねないため、国際金融市場からの締め出しを恐れるアルゼンチンが譲歩せざるを得ないとの見立てが市場では強くなっています。

アルゼンチンが債権団に譲歩を重ねる

アルゼンチンが債権団に対して譲歩を続けているようです。

当初強気だった政府も、新型コロナウイルスによる打撃もあり、経済は停滞状態で国民の不満も高まっており、交渉妥結で海外の信頼を取り付け、投資を呼び込みたいとの思惑があるようです。

アルゼンチンは支払期限が過ぎた外貨建て国債に関して、債権団と交渉を続けています。

政府側は債権団側の要求に応じるように徐々に条件面で譲歩しており、債権者団の希望に近づいています。

交渉期限はすでに6回も延長していますが、債権団側が訴訟に踏み切らないのは、政府側が譲歩を続けるという思惑があるためです。

法廷闘争になればアルゼンチンは市場から締め出される可能性があり、それはアルゼンチン政府にとって最悪のシナリオとなるからです。

もともとフェルナンデス大統領は選挙戦や就任当初において、デフォルトも辞さないなどの強硬な姿勢や発言も目立っていたわけですが、そうした態度から譲歩姿勢に大きく転換したのは、経済危機が深刻なためです。

経済危機で国民の不満は高まり、支持率も低迷しています。

こうした中、支持回復に必要なのがやはり外資導入による経済浮揚策となるのです。

そして、今回の債務再編交渉は外国投資家の信頼を獲得するには避けて通れない道なわけです。

債権団が訴訟に踏み込めば混乱が広がり、さらに外資系企業の引き揚げや取引中止などにも波及しかねません。

今後、本格化するIMFとの交渉も含めて、現在の債権団との交渉がフェルナンデス政権の外国投資家との関係を決める大きなポイントであることは確かです。

債務再編交渉は難航

まだまだ債務再編交渉が難航しているようです。

6度の交渉延長を経てアルゼンチン側が譲歩し、機関投資家も歓迎する姿勢とみられますが、依然として合意に至っていません。

アルゼンチン政府は7月に入り米欧の機関投資家ら国債保有者に対し、元本利回り削減などの条件を含んだ新たな国債と交換するよう申し出ており、前向きな回答があったという事ですがまだ交渉が妥結していないということは、まだ何か問題視される事があったのでしょう。

アルゼンチン、債務再編案を正式に提出

2020年7月6日、アルゼンチン政府は650億ドルの債務再編案をアメリカ証券取引委員会に正式に提出しました。

支持の有無を表明していないブラックロックやフィデリティなどがメンバーの主要債権者団体の対応に注目が集まります。

新たな最終案では支払い条件を改善したほか、争点となっていた法的条項で譲歩しました。

一部債権者は6日に提案に支持を表明し、合意が成立するとの期待からアルゼンチン債は4%値上がりしました。

ただ総額で約210億ドルの再編対象債務を保有する「アドホック」と「エクスチェンジ」の債権者グループは意思の表明を控えています。

グスマン経済相はまた、アルゼンチン政府は債権者の一部と合意することを検討するともしています。

今回提出された目論見書によると、交渉期限である8月4日までに再編対象債務の66.6%の保有者が支持した場合のみ、再編を推し進める事になっています。

2005年と2016年の債券契約が単独で扱われる場合は再編対象債務の50ー60%の保有者が支持する必要があるという事です。

十分な支持が得られた場合は9月4日に成立します。

アルゼンチン、債務交渉の期間延長を示唆

2020年7月5日、アルベルト・フェルナンデス大統領は米欧の機関投資家との債務再編交渉について期間延長の可能性を示唆しました。

大統領は8月末まで交渉の窓口は開いているとして、7月24日としていた従来の期限を越えて交渉を続ける可能性を示唆しました。

また、債権者団側に新たな条件を提案することを明らかにしました。

新たな再編案にはヘアカット(債務減免)額の縮小やクーポンの引き上げなどが盛り込まれているとの報道があり、債権団にとってより有利な条件を提示したとされています。

背景

アルゼンチン政府は手間と時間がかかる法廷闘争は債権者側の負担も大きいため、民間投資家が最終的にはこれを嫌がって妥協するだろうとのもくろみだったとみられますが、そうはなりませんでした。むしろ、こうしたアルゼンチン側の瀬戸際戦術は見透かされており、アルゼンチン政府も民間債権者が納得するような条件を出さざるを得なかったのだと思われます。

一部の債権者団はこの新たな案に合意の意思を示す一方、最大の債権者団が同意するかは依然不透明なようで、予断は許しません。

2020年6月以前

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