アルゼンチンの通貨危機、デフォルトの経緯とまとめ(2018年~)

この記事では、現在のアルゼンチンの通貨危機に関する経緯とまとめを記したいと思います。

新興国通貨や新興国株への投資で気を付けなければいけないのは通貨危機。新興国ならどの通貨も潜在的なリスクは先進国よりは高め。

こういった危機がどういう時に起きるのか、また起きた後どうやって復活していくのかを見ていくためにこの記事を書いています。

新興国への投資を行う上で重要な知見をこの記事でまとめていきたいと思います。

主に新しいイベントが上に来るように、順次更新していきます!

アルゼンチンペソ 通貨危機の概要まとめ

アルゼンチンペソ・日本円の為替チャート

【直近5年間のアルゼンチンペソー日本円のチャート(出所:TradingView)】


invstem.com

かなりアルゼンチンペソが下落しているのが分かると思います。2015年より前の水準にしっかり戻れるでしょうか。。。

アルゼンチンペソ急落 アメリカなど先進国の金融政策が影響

2018年4月から始まるアルゼンチンペソの急落・通貨危機は、アメリカなど先進国の金融政策の変更によって引き起こされたものと言えます。

具体的には、アメリカを中心とした先進国が利上げをしたために、資金の逆流が発生し、アルゼンチンにあった資金が急激に先進国に戻り、結果としてペソが急落したのです。

その意味では、1997年から始まったアジア通貨危機と本質的には同じと見ることが出来ます。

アルゼンチンのファンダメンタルズも悪い

ただ、そうは言っても全ての新興国が通貨危機に陥っているわけではありません。

では、なぜアルゼンチンだけこんなに通貨が急落したのでしょうか。

1つはアルゼンチンは国際経済・金融の世界で、長年、典型的な問題児といわれ続けて来ました。

経常収支の赤字、財政赤字、高インフレ、これまでの歴史

アルゼンチンは、慢性的に経常赤字・財政赤字が大きく、インフレ率も高い国です。

invstem.com

つまり、経済のファンダメンタルズが弱いのです。

これまでも国として7回、デフォルト(債務不履行)を起こしています。

invstem.com

何度も同じことを繰り返しており、これが問題児と呼ばれる所以です。

通貨急落を受けた、アルゼンチンの金融政策

詳細は、以下に記している経緯をご覧頂きたいと思いますが、2018年4月の通貨急落を受けて、アルゼンチン当局は主に以下の事を行いました。

  • 金利を大幅に引き上げ
  • IMFに支援を要請(緊急融資を依頼)
  • 日次で政策金利を変更

これによって、少しずつですが通貨のボラティリティを下げていくという手法を取っていきました。

2019年10月の選挙で改革派のマクリ氏が敗北

こうした危機対応を主導していたのがマクリ大統領(当時)でした。

しかし、その経済政策は国民に不人気で、2019年10月の選挙でポピュリズム政策を掲げるフェルナンデス氏に敗北しました。

政治によって新興国通貨は翻弄されます。

invstem.com

トルコがいい例ですよね。

よく見ておかなければなりません。

フェルナンデス大統領の就任時の主要政策(2019年12月)

2019年12月10日に、左派のアルベルト・フェルナンデス大統領が就任しました。

就任演説ではポピュリズム色が目立った政策で、マーケットは警戒を強めています。

実際、同日の株価指数は5%近く下落してしまいました。

以下が、同大統領の掲げる主な政策です。

債務問題

国の経済成長が戻るまで返済は行わないとしています。

貧困層支援

低い利率で融資が出来るような特別なシステムを構築

若年層支援

補助金を使って、雇用を保証

インフラ事業

道路の補修、公的な建物を補修、低所得者向けの住宅を建築

2020年3月

IMF、改めて民間支援を再度要請

2020年3月20日、IMFはアルゼンチンの債務問題に関する報告書を発表し、同国の政府債務が持続不可能として、民間債権者による十分な助けが必要としました。

IMFが債務再編の必要性を示すのは2月に続き2度目ですが、これは国債を保有する欧米ファンドなどが表だって反応を見せていない為です。

IMFのゲオルギエバ専務理事はアルゼンチンと民間債権者の仲介に意欲を見せています。

IMFの報告書によると、アルゼンチンの2020年の債務返済額は約490億ドルで、GDPの13.3%に達するという事です。

政府が債務再編案を提示

2020年3月10日、政府は民間債権者に対する同国債務の再編案を提示し、総額688億ドル規模の債務の繰り延べを求めました。

アルゼンチン政府は経済再生のため、当面債務返済を停止すると主張しています。

3月末までの決着を目指すとしていますが、予断を許しません。

債務再編の権限をグスマン経済相に与え、再編の対象となる外貨建ての債券のリストを公表しました。

今回対象としたのは政府債務全体の2割程度にあたりますが、最大の債権者であるIMFに対する債務は含まれていません

IMFは2月、アルゼンチンの債務について民間債権者に負担を求める旨の声明を発表していました。

欧米の債券ファンドなど、民間債権者側が債務再編案に応じるかは分かりません。

2020年2月

IMF、民間債権者に損失負担を暗に求める

2020年2月19日、アルゼンチンとIMFは同国の政府債務を巡る協議を終えました。

IMFは同国の債務返済について持続不可能になるとの認識を示しました。

その上で、「民間債権者の意味ある貢献」を促しました。

つまり、アルゼンチン債務の持続可能性を回復させるには、民間債券保有者が債権放棄など何らかの損失負担をしなければならない、という事です。

具体的には同国の国債を保有する国内外の金融機関や投資ファンドに元本削減などの負担を求めたものとみられます。

これまでIMFはアルゼンチンの債務を「高い可能性ではないものの持続可能だ」と評価しており、今回は判断を転換した形です。
アルゼンチンの政府債務は約3000億ドルに上り、このうちIMFの融資額は約14%で、民間債権者が約30%を占めています。
2010年代に債務危機に陥ったギリシャでも、民間が保有する国債の元本が削減された例があります。
EUとIMFが実施した第2次金融支援では、IMFやECBなど公的な貸し手の保有分は元本削減の対象外でした。

今回も、IMFは金利の引き下げや支払期間の延長といった条件の見直しに応じる可能性はあるものの、元本削減には応じないとの見方が強いようです。

ただ、フェルナンデス大統領は、IMFからの560億ドルの借り入れを含む多額の債務の再交渉を目指し、動いているとされています。

IMFとの交渉は平行線

IMFとアルゼンチンの債務問題に関する交渉が難航しているようです。

アルゼンチンは債務減免や返済期日の繰り延べを求めていますが、IMFは退けています。

デフォルトへの懸念から国債価格は大きく下げ、ペソは連日最安値を更新しています。

【アルゼンチンペソーUSドル 2020年1月18日~2月18日(出所:TradingView)】

インフレ率も約50%と2桁のインフレ率が常態化しており、このままだと2020年の実質経済成長率見通しは1.5%減と3年連続のマイナス成長が不可避です

アルゼンチンにとってIMFは最大の債権者です。

441億ドル(4兆8400億円)の融資は政府債務の約14%にのぼっています。

IMFは2月12日から査察団をアルゼンチンに派遣していますが、19日までの協議期間中に交渉がどこまで進むかは不透明です。

アルゼンチン、13日期限の国債償還を9月末に延期すると一方的に通告

2020年2月11日、アルゼンチン財務省は13日が期限となっていた国債の償還金14億7000万ドルの支払いを9月末まで延期すると一方的に通告しました。

グスマン経済相は国会演説で

「(IMFの融資条件だった財政赤字の削減について)目指さない」

と明言しています。

返済義務を守らないアルゼンチンの瀬戸際戦術にIMFは不信感を募らせています。

アルゼンチンは引き続き厳しい状況

2020年1月末に償還期日を迎えたブエノスアイレス州債は辛うじてデフォルトを免れましたが、引き続き政府は強硬姿勢でどうなるか見通せない状況です。

アルゼンチン、債務2.5億ドルを償還

アルゼンチン最大の州であるブエノスアイレス州は、債務不履行を回避するため2億5000万ドルの債券の元本支払いに応じると発表しました。

この数日前、支払い遅延に投資家の十分な支持を取り付けることができず、必要な資金がないと表明したばかりだったため、投資家にとって今回の発表はサプライズとなりました。

ブエノスアイレス州のキシロフ知事によればこの支払い完了後、アルゼンチン中央政府と歩調を合わせ、外貨建て債務の再編手続きを開始するという事です。

注目されていたブエノスアイレス州の州債償還がデフォルトにならなさそうという事で、アルゼンチン国債は急騰しました。

2020年1月

36億ドルの返済先送りを検討

アルゼンチン経済省は、額面2140億ペソ(36億ドル)余りの国債に関連した債務スワップの入札を計画しているようです。

背景

既存債務の返済を先送りするためとみられます。

2020年1月17日、アルゼンチン経済省は既発5年債を、今年9月18日と12月22日に償還される2本のペソ建て債に交換する入札を1月20日に実施すると発表しました。

新政権の経済運営に、国際金融市場は。。。

アルゼンチンの新政権は、トルコと同じようにマーケットの定石からかけ離れた価値観に基づいて経済運営をしようとしているのかもしれません。

通貨ペソの公定レートはバンド制への移行や資本規制を通じて安定する一方、闇レートの暴落などに伴いインフレ率が上振れする展開が続いています。

そもそもそうした闇レートが跋扈している時点でかなりしんどい所ではありますが、こうした状況にも拘らず、中銀は過去1 ヶ月のうち計4 回、累計1400bpもの利下げを実施してきました。

当然、これは現代の金融理論では説明がつかないもので、マーケットとのコミュニケーションを軽視していると言わざるを得ないものです。

不透明な政策運営をどこまで続けるのか、はたまた路線変更するのか注視する必要があります。

債務再編交渉、最初の正念場

2020年1月がアルゼンチンの債務再編交渉の最初の正念場となります。

2021年満期のブエノスアイレス州債に、金利や分割償還として2億7700万ドルの支払いが発生するためです。

これを巡る協議は、フェルナンデス新政権が債権者をどう扱うかを考える上で手掛かりになると考えられています。

この支払い期限は1月26日で。ブエノスアイレス州のキシロフ知事は209112月、返済義務を完全に履行できる状況ではなくなったとして、債券保有者に「一時的な支払い免除」のための話し合いを要請しています。

ブエノスアイレス州債は、他の全ての州債の合計よりも規模が大きいため協議の行方は関心を集めているという事で、フェルナンデス新大統領の言動に注目が集まります。

左派政権誕生でシェール開発に遅れ?

シェールガスやシェールオイル開発が政治に揺れているようです。

開放経済への政策転換を主導したマクリ大統領が2019年10月の選挙で敗れ、左派のフェルナンデス政権が同12月に発足したことで、保護主義への回帰が懸念されるためです。

アルゼンチンのシェール鉱区は世界最大級の埋蔵量を持つとされ、今後の経済運営に不可欠ですが、歴代左派政権は資源を政治の道具に使ってきた歴史があるという事で、また同じことが繰り返されるのではと考える関係者が多いようです。

フェルナンデス政権の現状認識

左派政権であるフェルナンデス内閣も財政と経常の双子の赤字を解消するにあたり、シェール鉱区の開発は必要不可欠だという認識を前政権と同様に持っているようです。ただ、そういって何度も裏切られ続けてきたのがアルゼンチンの資源開発なのです。

実際、水面下で外資は投資計画の見直しに着手しているとされており、今後の動向に注目が集まります。

2019年12月

アルゼンチンが部分的デフォルトに

2019年12月20日、フィッチ・レーティングスはアルゼンチンの長期国債と短期国債について、部分的なデフォルトを示す「RD」に格下げしました。

デフォルト状態への格下げは8月以来となります。

12月10日に発足したフェルナンデス政権は債務繰り延べを主張していて、12月19日にはドル建ての短期国債の返済延期を発表していました。

格下げの直接的な要因

今回の格下げの原因となったのが、12月19日にフェルナンデス政権が発表した、総額90億ドルにのぼるドル建ての短期国債の返済延期案です。

2020年8月31日まで支払いを停止するとしていて、これがデフォルト状態にあたると判断されたものです。

総額91億ドル相当のドル建て短期国債の返済を延期

2019年12月19日、アルゼンチン政府が91億ドル相当のドル建て短期国債の返済を来年8月末まで延期すると通達しました。

これは一部デフォルトしていると同然なので、史上9回目のデフォルトまであと少しの所まで来たことになります。

ただ、アルゼンチン債利回りは2カ月ぶり低水準を付けています。

アルゼンチン、高インフレななか利下げ

2019年12月19 日、中銀は政策金利を63%から58%に引き下げる決定を行いました。

声明文では

「政策金利の水準は不適切であり、潜在的に経済指標の見通しに沿っていない可能性があった」

と指摘しています。

高インフレなのに利下げする理由

インフレ率が高止まりするなかでの金融緩和は普通はありません。ただ、ペソ相場はバンド制に移行されたため、こうした対応を可能になっていると思われます。いずれにせよ政権交代を印象付けるためのパフォーマンスでしょう。

外貨準備がIMFが想定する『適正水準』を大きく下回るなかで、こうした対応をする事はアルゼンチン経済をより一層危険な目に会わす可能性があります。

グスマン大臣、農産品の輸出と在外資産への増税を表明

2019年12月17日、グスマン経済相は農産品に適用する輸出税率を引き上げ、在外資産に新たな課税を実施する方針を明らかにしました。

グスマン氏は、小麦とトウモロコシの税率はそれぞれ12%から15%、大豆も30%から33%に変更、また海外に保有されている金融資産を課税対象にするとともに、外貨購入には30%の税率を課すとの事です。

これらを原資に福祉に資金を使うとの事です。

GDP、小幅成長ながら苦境は変わらず

2019年12月17日に発表された7~9月期のGDPは前期比0.9%増となりました。

通貨ペソが対ドルで弱含む中、輸出が同2%増と好調でした。

ただ、前年同期比では1.7%減と苦しい状況で先行きは見通せません。

前年同期比では輸出を除く全ての部門で前年実績を下回っていて厳しい状況です。

特に設備投資など固定資本形成は10.2%減で、大きく落ち込んでいます。

メキシコの様に人気取りばかりの政策で、更に経済を貶めるような事だけは避けてほしいものです。

経済担当大臣、事実上のデフォルト状態と発言

2019年12月11日、グスマン経済相はアルゼンチンは事実上のデフォルト状態にあると発言しました。

同大臣は、

「IMFのプログラムは機能していない」

とも述べ、2020年にはIMFからの融資条件である財政均衡を実施しないと表明しました。

新政権の対IMF強硬姿勢がついに現実に動き出します。

グスマン氏はIMFとすでに交渉に入っていること明かし、債務再編や債権者の返済猶予の受け入れが重要との認識を示しました。

IMFと民間債権者との債務再編交渉に臨むとの観測

新政権の樹立を受けて、市場では新政権がIMFとの交渉と同時に、民間債権者との債務再編交渉にのぞむとの観測が浮かんでいるようです。

2019年12月現在、発行済みのアルゼンチン債のうち、主にアメリカの投資家が保有するドル建て債券は約500億ドル程度とみられており、2018年からのIMFの融資総額(441億ドル)を上回る規模となっており、こちらも大きな問題となっているためです。

フェルナンデス新大統領、「成長するまで債務返済なし」

2019年12月10日、フェルナンデス新大統領は議会での就任演説で対外債務について返済猶予を求めると主張しました。

同大統領は、

「もし国が成長を維持できなければ、借金の返済はない。このため、最初に成長があるべきだ」

「我々はIMFや我々の債権者と建設的で協力的な関係を模索するが、国は(債務を)払う意志を持っているものの、実行するための能力が無い」

と述べました。

IMFや海外投資家との債務交渉を前に、改めて強硬姿勢を示した形です。

経済政策では低所得者や中小企業向けの支援を手厚くすると主張し、低い利率で融資を提供したり、銀行ではない大規模な融資システムを設置すると宣言しました。

フェルナンデス新大統領が誕生

2019年12月10日、ポピュリストのフェルナンデス氏大統領に就任し、左派政権が誕生しました。

新政権はマクリ前政権が導入し、国民に不人気だった緊縮財政策から成長支援型の政策に転じる見込みです。

インフレ率は50%を超え、景気低迷を反映し貧困率が40%に迫る中、フェルナンデス氏は

「まず貧困対策から着手する。同時に債務問題にも対応していく」

と述べました。

急伸左派のクリスティナ前大統領の影響力前面に?

フェルナンデス次期大統領の閣僚発表について、クリスティナ・フェルナンデス前大統領の意向が強く反映されているようです。

地元メディアの反応

クリスティナ前大統領で国防相を務めたロッシ氏が再び国防相に任命されるなど、急進左派として知られるのクリスティナ前大統領の意見が色濃く反映されたと指摘している所が多いようです。

実際、アルベルト次期大統領は当初、穏健左派色を打ち出すために独自の人事の起用を模索していたとされますが、クリスティナ氏が何人かの閣僚候補について拒否権を発動したいう報道もあります。

2人の関係がどうなるかでアルゼンチンの政策も右往左往する可能性があります。

経済担当大臣に、反IMFのグスマン氏を任命

2019年12月6日、フェルナンデス次期大統領は6日、10日に発足する新政権の閣僚名簿を発表し、債務問題を担当する経済相には、IMFに批判的なエコノミストであるマルティン・グスマン氏を指名しました。

グスマン氏は債務返済や国債利払いの猶予を主張しており、IMFや海外投資家との交渉が激しくなりそうです。

フェルナンデス氏は同氏を

「若いが、アルゼンチンのマクロ経済や債務問題の対立についてよく理解している」

と紹介しました。

グスマン氏は37歳で、アメリカのコロンビア大ビジネススクールでエコノミストとして活動し、ジョセフ・スティグリッツ氏に師事していました。

グスマン氏の主張

グスマン氏は11月に発表した「政府債務危機の解決策」の中で、

  • 次期政権は2020年から21年にかけて債務返済を行うべきではないこと、
  • 経済を成長軌道に乗せた上で返済を再開すべきこと

と持論を展開しています。

新しい中銀総裁

新しい中銀総裁には資本規制などを訴えるペッシェ氏が就任することが明らかになりました。

事前には一部で「市場寄り」の人事になるとの期待もあったようですが、IMF への強硬姿勢一辺倒で行く感じが出ています。

中央銀行総裁が辞任

2019年12月4日、アルゼンチン中央銀行のサンドレリス総裁が辞任する事を発表しました。

円滑な政権移行に協力するため、10日の新大統領就任を機に辞任するとの事です。

サンドレリス氏は通貨安で混乱のさなかにあった2018年9月に就任し、マクリ政権やIMFと協力して事態の安定化に寄与した人物です。

サンドレリス氏は民間金融機関出身で、マクリ政権で財務副大臣としてIMFとの債務交渉を担いました。

2018年8月のトルコ・ショックを機にアルゼンチン通貨が暴落し、カプト前総裁が辞職したことを受けて中銀総裁に就任したという経緯があります。

総裁に就任して以降は、IMFと協議し為替介入を控える手法を推進し、一時は通貨安を抑えることに成功しました。

しかし、2019年8月の大統領選予備選でフェルナンデス氏の優位でペソ売りが再燃し、通貨を安定させるため、中銀の為替介入や政府の資本規制に頼らざるを得ない状況となっていました。

2019年11月

フェルナンデス次期大統領、債務返済計画をIMFに表明

2019年11月19日、フェルナンデス次期大統領はIMFに対し、経済を成長させ、同国の債務に対処する計画だと述べました。

フェルナンデス氏はゲオルギエワ専務理事との電話会談を行い今後について話をした模様です。

12月10日に大統領に就任するフェルナンデス氏は、財政の健全性の重要性を十分に理解していると述べたものの、アルゼンチンとIMFの新たな合意に財政緊縮を盛り込まないとする自身の選挙公約をあらためて表明しました。

同氏は

「事態が極めて複雑なため、これ以上の支出削減はできない」

と述べました。

次期大統領、IMFに返済繰り延べの意思を表明

2019年11月7日、フェルナンデス次期大統領はIMFからの債務について返済の繰り延べを求めました。

2019年10月27日の大統領選で当選後、返済猶予を求める考えを公言したのは初めてです。

IMFは次期政権との協議に前向きな姿勢ですが、交渉がまとまらなければデフォルトの可能性が高まります。

2019年12月10日に発足する次期政権は、2003年にIMFとの債務再編交渉に成功したウルグアイに倣った債務繰り延べを計画しているようです。

前途多難と思われます。

次期大統領、アルゼンチンの債務問題はIMFにも責任

2019年11月4日、フェルナンデス次期大統領は同国の債務が次期政権の大きな課題だと述べ、責任はIMFにもあると指摘しました。

アルゼンチンの政府債務は約1000億ドルに達しています。

フェルナンデス氏は緊急時に融資を受けられる総額570億ドルのスタンドバイ融資枠利用をアルゼンチンに認めたIMFにも、責任の一端があると指摘しました。

次期大統領、アメリカとIMF融資について協議

2019年11月1日、フェルナンデス次期大統領はトランプ米大統領と電話会談し、IMFとの債務問題について協議したようです。

フェルナンデス氏はIMFに対する債務繰り延べを主張していて、最大の出資国であるアメリカに理解を求めていく考えです。

IMFの対アルゼンチン融資の背景

IMFの支援はマクリ氏がトランプ氏に協力を要請し、アメリカが融資実行を後押しした経緯があります。

新しい政権はアメリカよりも中国寄りだとして、市場ではアルゼンチンが再びデフォルトを気にしています。

フェルナンデス氏は

「アメリカとの成熟した、心のこもった関係を維持したい」

とSNSに投稿し、IMFによる融資の判断に影響力を持つアメリカを敵視しない姿勢をアピールしています。

政権内の力関係に注目

新しい左派政権が誕生し、今後のその政権内の力関係が注目されます。

政権内の力関係には要注意です。

なぜなら、フェルナンデス氏が穏健派と思われていますが、副大統領に就くクリスティナ・フェルナンデス前大統領はかなりのポピュリストで、極めて急進的な政策をとった過去があるだけに、政権内で同氏の影響力が高まれば、政策にも影響するとみられるからです。

その一方、議会選挙などで現連立与党勢が予想を上回る票を獲得し善戦したこ事から、新政権に対しての一定の抑止力になるでしょう。

なお、政策面で特に注目される対外債務の再編は、IMFに対しては再交渉を、民間債権者に対しては債務の再編を提案するとされています。

まずは、上記の力関係と債務再編の交渉に注目が行く可能性があります。

2019年10月 左派出身の大統領が誕生

与野党の政権移行はいかに

新しい大統領が決まり、スムーズな政権移行が行われることがせめてもの願いです。

2019年10月28日、マクリ大統領は大統領府にフェルナンデス次期大統領を招き、政権移行で協力することで合意しました。

フェルナンデス氏は元々マクリ氏との対話を拒んできた経緯がありましたが、次期大統領となった今、柔軟な姿勢を示して市場の動揺を抑える方針に転換したようです。

株価の動揺

フェルナンデス氏が方針転換したのは株価が大きく下落するなど市場が不安定な状況になっているからでしょう。

実際、主要株価指数メルバルは2019年10月28日、前週末比3.9%安で取引を終えました。

これは単純に左派陣営の経済政策が大衆迎合的であるという事と、ブラジルのボルソナロ大統領が、アルゼンチンで左派政権が成立すれば、同国を関税同盟の南米南部共同市場(メルコスル)から追放すると示唆していた事からの連想売りです。

フェルナンデス氏が新大統領に

2019年10月27日、アルゼンチン次期大統領に左派のアルベルト・フェルナンデス元首相(60)が決まりました。

デフォルト(債務不履行)懸念や対米関係の悪化など地域の不安定要因が心配されています。

得票率は約48%で、マクリ氏との差は約8ポイント。当選条件である45%以上の得票率により、決選投票を待たずに当選を決めた形です。

新大統領はどの様な人物か

法曹界出身の官僚です。ブエノスアイレス州銀行の副総裁などを務めた後、00年にブエノスアイレス市議会議員となり、堅実な実務家との評価が定着しています。

元々、政治思想は穏健左派でしたが、急進的なクリスティナ氏と5月に電撃的に和解を発表し、それ以降はクリスティナ氏の主張に沿った大衆迎合策を打ち出すようになってしまいました。

invstem.com

こうした事から「クリスティナ氏の操り人形」との見方がくすぶっているようです。

アメリカは新しい政権を警戒しています。

反米的なクリスティナ・フェルナンデス前大統領(66)が副大統領に就任し、影響力を強める可能性がある為です。

アメリカとの関係が悪化すれば、IMFとの交渉が難航することは確実で、そうなると中国のアルゼンチンへの影響力が強まると思われます。

アルゼンチン大統領選挙、投票が始まる

2019年10月27日午前、大統領選の投票が始まりました。即日開票し、同日夜に大勢が判明する見通しです。

直前の世論調査でも引き続き左派の野党候補、フェルナンデス元首相が首位となっています。

再選を狙うマクリ氏は経済改革路線の継続を必死にアピールするものの、自国通貨下落に伴う高インフレや緊縮財政で経済が低迷し、支持率は上がりません。

一方、フェルナンデス氏はポピュリストとして最低賃金や補助金の増額など財政規律を無視した人気取り政策で政権批判票の取り込みを進めています。

マーケットがどこまで織り込んでいるか、何とも言えない所ですが、中長期的に見て今はアルゼンチンペソに手を出さない方が良いでしょう。

一般市民がドル買いへ殺到

2019年10月27日の大統領選前に、一般市民のドル買いが増えているようです。皆、自国通貨安、もっと言えばデフォルトに備えているのでしょう。

ドル調達に当たっては闇市場での取引も活発化していて、為替相場は不安定な状況です。

最新の世論調査では、フェルナンデス氏の支持率は54%で、マクリ氏の31.5%に大きく差をつけている状況です。

アルゼンチンでは1回目の投票で得票率で45%以上を獲得するか、40%以上で2位候補に10ポイント以上の差をつければ、決選投票を待たずに勝敗が決します。

フェルナンデス氏はポピュリストで財政規律を無視した大衆迎合策を掲げており、彼の当選確定が訪欧された後のペソが不安定になるとの見方が強くなっています。

左派陣営誕生なら中国の存在感が上昇

現在のマクリ政権は親米ですが、左派陣営は中国との親和性が高く、IMFに代わって中国を頼るべきだとの声が優勢のようです。南米の大国の対中傾斜は、米中の南米を巡る覇権争いに一石を投じ、複雑な状況につながりそうです。

中南米で影響力を拡大したい中国政府は国の威信をかけ、マクリ政権時からもずっとアプローチを続けてきました。

一方、アメリカは「裏庭」である中南米での中国の勢力拡大を快く思っていません。

アフリカやアジアでは対中債務が過大になり、中国の植民地の様になるのではないかとの懸念が出ていますが、左派陣営においてはIMFを警戒する声の方が優勢のようです。

IMF、融資再開の検討は選挙後に

2019年10月17日、IMFはアルゼンチンへの融資の再開は27日の大統領選以降になるとの見方を示しました。

世論調査ではIMFに敵対的な野党の左派候補がリードしており、IMFの対応が注目を集めていました。

IMFは2019年9月、19年の財政均衡の達成など融資の前提条件が崩れているとして、54億ドルの融資を凍結している状況です。

マクリ政権は融資再開を求めていましたが、選挙後になる形で収束しました。

2019年のインフレ率予想は54.9%

2019年10月3日にアルゼンチン中央銀行が公表した月例調査で、45人のアナリストによる2019年のインフレ率予想中央値が54.9%%となりました。

invstem.com

前回は55%だったのでほぼ同じです。

大統領選の予備選でポピュリスト候補のフェルナンデス元首相が現職のマクリ大統領に圧勝した事で、政治的不透明感がずっと続いています。

予備選の予想外の現職苦戦によって通貨ペソの相場が下落したわけですが、前回の調査は、予備選直後に発表されたものでした。

インフレ率は、2020年までに40.5%%になると予想されています。

因みに、2019年のGDP成長率予想は▲2.9%と、前回の▲2.5%から悪化しました。

左派優勢で現職の逆転は厳しい情勢

10月27日の大統領選に向け、最新の情勢では左派のアルベルト・フェルナンデス元首相(60)の支持率が50%を超え、中道右派のマウリシオ・マクリ大統領(60)に20ポイント以上の大差をつけています。

マクリ大統領は巻き返しのため大衆迎合策を打ち出していますが、その結果IMFの融資が一時停止となるなど悪い流れになっていて、かなり厳しい情勢です。

マーケットは左派のポピュリズム政権が出来る事を前提に動いていると見て良いと思われます。

足下のアルゼンチンペソについては、政権が9月に外貨購入や送金を制限する資本規制を導入したことで対ドルでは安定しているものの、その巨額の政府債務はGDP比で80%を超えており、いつでも暴落の萌芽を内側に宿しています。

ムーディーズのエコノミストも

「ある種の中長期的なデフォルト(債務不履行)があるだろう」

と分析している有様です。

マクリ大統領の逆転はありますか?

アルゼンチンでは、1回目の投票で得票率で45%以上を獲得するか、40%以上で2位候補に10ポイント以上の差をつければ決選投票を待たずに勝敗が決するシステムです。

このため、マクリ大統領は決選投票まで持ち込み、3位以下の票の結集で何とか逆転するというシナリオに望みをかけて選挙戦を戦っています。

2019年9月

左派政権の頼みの綱は中国??

アルゼンチンの9度目のデフォルトが懸念される中、左派陣営は相変わらずポピュリズム的な性格の旗を下げようとはしません。

左派の政策ブレーンの頭の中には中国からの金融支援があるのではないかと思われます。

しかし、中国自体が景気の下支えに躍起になっている中、どこまですぐに対応できるかは分かりません。

ただ、逆に中国にとって、自身の世界覇権を構築するうえで、アルゼンチンを足掛かりにするという大きなチャンスにもなりえるので、多少無理するかもしれません。

もう一つは、資源バブルの再来を願っているといった所でしょうか。

2000年代、アルゼンチンの左派政権は資源価格の高騰で得た富を分配し、高成長を実現したという「成功体験」があります。

ただ、現在は資源価格も落ち込んでおり、かつての手法の再現は難しそうです。

左派政権の誕生可能背高く、海外企業の撤退

アルゼンチンで海外企業の撤退が相次いでいるようです。

通貨ペソのデフォルトが懸念される中、10月の大統領選では左派への政権交代が確実視されていて、自動車や素材、衣料品など幅広い産業で企業撤退が目立っています。

当選が有力視される左派陣営の分配重視の経済政策を額面通り実行すれば、低迷する経済のさらなる悪化が不可避と考えられており、企業としては当然の行動と言えるでしょう。

4-6月期GDP、前回比▲0.3%

2019年9月19日にアルゼンチン国家統計局が発表した4~6月期のGDPは前期比0.3%減となりました。

通貨安やインフレで経済の低迷が続いています。

10月の大統領選で野党の左派陣営への政権交代が確実視されるなか、年後半にかけてさらなる景気悪化が見込まれそうです。

景気低迷の要因

  1. 年率55%を超えるインフレにより消費が低調だったこと
  2. 財政再建で政府支出が前期比で0.8%減少したこと
  3. 輸出が同0.6%減だったこと

等でしょうか。

IMFの対応に注目

IMFが2019年9月に予定する54億ドルの融資を実行するのか。

アルゼンチンの構造改革の先行きが不透明になってきたため、場合によっては実行しない可能性も取りざたされています。

IMFが追加融資を控えればアルゼンチン国債のデフォルト懸念は恐らく頂点に達するでしょう。

そうなると、新興国市場全体を揺るがしかねない事態に陥ります。

マクリ大統領は融資継続に楽観的な見方を示しているものの、それをそのまま素直に受け入れる人はあまり多くないでしょう。

invstem.com

IMFは具体的に何を懸念しているのでしょうか??

IMFが懸念するのは8月28日にアルゼンチンが発表した、IMF等への返済猶予の申請です。

アルゼンチン当局は、通貨市場が不安定にならないよう一定の流動性を確保するためと説明していますが、IMFは「影響を分析している」として、状況を注視している事を言明しました。

IMFの対アルゼンチン融資

IMFは2018年、563億ドルのアルゼンチン向け融資枠の設定で同国と合意しています。

7月までに5回で計441億ドルを融資し、9月には54億ドルを実行する予定でした。

IMFは支援条件として経済・財政の改善目標を示し、構造改革を約束させました。

この進捗を確認しながら何回かに分けて融資を実行するというやり方です。

しかし、1~3月期まで4四半期連続で前年比マイナス成長という不況に陥っていて、条件の一つである2019年の財政均衡が達成できないリスクが上昇していると言われています。

財政悪化の要因は不況による税収低迷だけではないと言われています。

2019年8月マクリ氏は選挙向けに、最低賃金の引き上げや公務員への特別一時金の支給など企業活動に打撃を与え、歳出拡大につながる政策を発表しました。

マクリ氏は元々、財政の改善や規制緩和を優先する構造改革を進めていたものの、選挙戦が苦しく、人気取り政策を前面に出し始めてしまったのです。

国民の間にはIMFへの拒否感も広がっていて、状況は厳しいです。

IMFが9月の追加融資を見送ると判断した場合、通貨ペソは一段と売られ、インフレが悪化する可能性があります。

そうなると、更にマクリ氏の立場は危うくなり、ポピュリストのフェルナンデス元首相の優位が強まりそうです。

フェルナンデス氏は当選後、IMFに融資条件の見直しを求める構えです。

野党大統領候補、改めてポピュリズムを掲げる

2019年9月5日、野党候補アルベルト・フェルナンデス氏は、当選した場合はエネルギー政策や債務問題で外国企業や投資家よりも自国の利益を優先する考えを強調し、ポピュリズムを掲げる姿勢を改めて示しました。

フェルナンデス氏は、世界最大級のシェール資源である「バカムエルタ鉱区」への外国からのアクセスを無条件には認めない意向を表明し、国家と国民にとって富を生み出すことが最優先だとの認識を示しました。

債務問題では、

債務返済を実行し約束は守りたいが、国民を犠牲にしてまでは行わない

と述べ、暗に現状の体制を批判しました。

資本規制で一旦は落ち着き

2019年9月2日、アルゼンチンの通貨ペソは先週末比3.5%高の1ドル=57.5ペソで取引を終えました。

【現地時間9月2日のUSD-アルゼンチンペソの推移(出所:TradingView)】

9月1日の資本規制を導入した結果、ペソをドルに替える動きがひとまず収まった形です。

主要株価指数メルバルも6%を超える上昇となりました。

発表から一夜明けた2日朝、ブエノスアイレスの銀行には開店前から行列ができたものの、外国為替取引市場でペソが上昇していることが判明するにつれ並ぶ人は減り、大きな混乱は見られませんでした。

2019年9月2日、ラクンサ財務相と中央銀行のサンドレリス総裁は、ペソ安定のための方策である事の理解を求めました。

ただ、このやり方はあくまで一過性のもの。

今後の先行きは不透明で、ある分析によればペソは12月までに1ドル=70.5ペソまで下落する可能性もささやかれています。

議会に長期債務の返済猶予についての法案を送付

アルゼンチン政府は長期債務の返済猶予についての法案を議会に送付する準備を進めています。

invstem.com

どういう内容でしょうか??

最大500億ドル(約5兆3000億円)の債務返済期間を変更する、というものです。

中央銀行は週末に外貨準備を増やす対策を検討していたところ、先週新規短期国債発行に失敗したため、多額の債務返済に必要な現金の調達に苦しんでいる状況です。

議会がこの法案に対してどのようなリアクションを取るかはまだ分かりません。

ただ、選択肢は2つありそうです。

  1. 政府と協力して今後の返済条件を明確にする
  2. 政府案を退けて不安定な状況を長引かせ、マクリ大統領を更に追い詰める

野党の多くは、政府が経済状況に関わる責任の一部を野党に転嫁しようとしている、と感じているようで、議会運営も今後の権力闘争を絡んで複雑な色合いを見せています。

政府と野党が対話をしない限り状況は悪化の一途をたどるでしょうが、次期大統領が決まるまでは対話へのインセンティブがないというのが野党の本音のようです。

ただ、野党や、ポピュリストの次期大統領候補フェルナンデス氏が現政権を追い詰めすぎると国が混乱に陥り、そうなると同氏が大統領となったとき大変な事になってしまいます

状況の悪化は国家にとっても野党にとっても利益にはならないので、お互いが大人の対応をする必要があります。

資本規制を導入し事態の鎮静化を図る

アルゼンチン政府は、外貨準備高の減少と通貨安に歯止めを掛けるため資本規制を導入しました。

invstem.com

どれくらい、外貨準備が減っているのでしょうか??

8月29、30両日だけで外貨準備は約30億ドル減少したようです。

このままいけば、150億ドルを切った純外貨準備高は数週間で底を突く恐れがあります。

2019年9月1日、中央銀行は輸出企業に対し外貨の国内還流に5日間の期限を設定するとともに、外国貿易決済の場合を除き、外国為替市場での企業のドル購入に中銀の許可が必要となります。

また、個人のドル買いは月当たり1万ドル(約106万円)に制限されます。

政府は短期債務の返済が困難になり、通貨ペソの下落に歯止めをかけられないでいる状況です。

2019年8月 マクリ氏再選困難な見通しで、デフォルト間近

8月一か月でペソは3割下落

為替市場でドル高・ペソ安が進み、8月30日終値は1ドル=59.5ペソと直近1カ月で3割弱下げました。

【USD-アルゼンチンペソの2019年8月の動き(出所:TradingView)】

一方で、中銀によるペソ買いで、外貨準備高は8月末時点で約541億ドルと1カ月で約2割減りました。

9月に入ってからも危機的な状況は変わらないと思われます。

アルゼンチン国債がデフォルト級に

格付け会社が相次ぎアルゼンチンの債務格付けを引き下げています。

格下げ相次いでいるアルゼンチン

  • S&P:一部債務に一時不履行が生じたと指摘
  • フィッチ:アルゼンチン国債について部分的な債務不履行を示す「RD」の格付けを付与

S&P

短期国債の格付けを「シングルB」から「D」(デフォルト)に格下げし、外貨建て債務も一部に不履行があることを意味する「SD(選択的デフォルト)」に変更。

フィッチ

長期国債を外貨建て、自国通貨建てともに「CCC」から「RD」へ格下げ。

ムーディーズも格下げを実施しています。

invstem.com

ここでこの様な格下げがあった理由は何でしょうか??

この時期の格下げの理由は8月28日、IMFと債務返済の猶予に向けた対話を始め、また機関投資家が保有する短期国債についても支払期日をリスケすると発表した事です。

10月の大統領選挙で政権交代が行われると海外投資家は見始めていて、通貨ペソを売り続けています。

アルゼンチン中央銀行はドル売り・ペソ買いの市場介入を繰り返していますが、外貨準備も減少しており、今後どうなるか分かりません。

約11兆円相当の債務の期限引き延ばしを企図

2019年8月28日、ラクンサ財務相は通貨ペソが急落し、国債相場が過去最安値に下落するなど混乱する市場の沈静化を図るため、民間投資家とIMF向け債務1010億ドル相当の満期の先延ばしを目指すと発表しました。

アルゼンチン政府は、年内に償還期限を迎える機関投資家向けの短期債130億ドルのうち70億ドル相当の支払いを先延ばしする一方、長めの債券500億ドル相当の「自主的な満期の延長」を促す予定です。

長めの債券については、外国法債券が300億ドル、国内法債券が200億ドル相当だという事です。

IMFからの債務440億ドル相当の返済についても交渉も開始する予定です。

ラクンサ財務相は、こうしたリスケを行って、国としてどういった財政プログラムの見通しを持っているかをはっきりさせることが大切だと述べました。

また、これは短期の流動性リスクに対応するためのものであって、債務の支払い能力には問題ないと強調しています。

要するに、市場でペソ買いの介入を中央銀行が繰り返していて、外貨準備がこれ以上減るのを避けたい、という事です。

8月27日、フェルナンデス候補のIMF批判でペソと国債が急落

2019年8月27日に、ペソは1.8%下落し、アルゼンチン国債も下落しましたが、材料視されたのは大統領選挙の野党候補、フェルナンデス元首相がIMFとの融資を巡る取り決めを批判したことだったようです。

invstem.com

どんな批判をしたのでしょうか??

フェルナンデス元首相はIMFから受けた融資の大半は資本流出への手当てに充てられ、有効に利用されなかったと指摘したのです。

27日、中央銀行は新総裁が就任した2018年9月以降で最大規模の市場介入を行いました。

介入がなければもっとペソは下がっていたかもしれません。

どうやら、総額3億ドルのドル売り介入を行ったようです。

IMFの専門家チームは現在、ブエノスアイレスで総額560億ドルの融資枠から次回融資を実行するかどうかを検討している最中です。

フェルナンデス元首相もIMF当局者らとの会合を行っており、その後のコメントでIMFから求められた経済・財政目標に同意すると述べる一方、IMFと現政権が現在の危機を招いたとして、両者は今の状況の責任を取る必要があるしました。

ただ、マーケットでこのコメントを評価する向きはもちろんありません。

マーケット関係者はIMFとの会合後のフェルナンデス氏のコメントが混乱を生んだと言っています。

invstem.com

今後目下の注目は何でしょうか??

まずはIMFが次回融資の実行を決めるか否かです。

決めれば市場の不安はひとまず解消されるでしょう。

IMF代表団がアルゼンチン当局者と協議

IMF代表団が、8月24日にアルゼンチンに到着し、すぐに政策担当者と協議を開始したようです。

9月に予定する次回融資53億ドルの実行を見送り混乱を悪化させるリスクを冒すか、プログラムの先行きが極めて不確実に見える状況で支払いを実行するかの決断をする為です。

IMF当局者は、ちょうど20年前に起きたアルゼンチンの状況が再現したかのような難しい選択を迫られそうです。

新しい財務大臣、通貨安定を最優先に

2019年8月20日、ラクンサ新財務相が就任しました。

会見で通貨ペソの安定が最優先課題という認識を示しました。

ただペソはこの日も1%値下がりするなど軟調地合いが続いています。

野党のフェルナンデス氏は、債務返済に関してIMFとの再交渉を示唆していますが、ラクンサ氏は合意した今年の財政目標を堅持すると表明しました。

マクリ政権に新たな受難、財務大臣が辞任

2019年8月17日、マクリ政権の財政政策を統括していたドゥホブネ財務相が辞職を発表しました。

MEMO

同氏はIMFとの交渉役や緊縮財政のかじ取りを務め、財政規律を重視していました。

invstem.com

通貨の大幅下落、アルゼンチン国債の格下げと続いて、ここでドゥホブネ氏辞職は市場にさらに影響を及ぼすでしょう。。。

地元メディアによると、マクリ政権が大統領予備選の大敗を受けて最低賃金の引き上げや公務員への特別一時金などを柱とする新たな政策を打ち出したことに、ドゥホブネ氏は反対していたという事で、抗議の辞職という背景がありそうです。

格付けがCCCに

2019年8月16日、格付け会社フィッチがアルゼンチンの長期債務格付けを「B」から重大な信用リスクがある「トリプルC」に引き下げました。

ポピュリズム政権の誕生の可能性が高まり、財政規律が緩む懸念があると判断しました。

自国通貨建て長期債務格付けも「トリプルC」に引き下げたほか、2019年の実質成長率を年▲2.5%と、従来予測の▲1.7%から下方修正しました。

また、S&Pも同日、格付けを「B」から「Bマイナス」に引き下げており、今年の経済成長見通しも従来の▲1.6%から▲2.3%に下方修正しています。

マクリ大統領、野党に対抗して新たな経済対策を発表

2019年8月14日、予備選の結果を受けて、新たな経済政策を発表しました。

内容としては、

  • 所得税減税(月3500円程度)
  • 最低賃金の引き上げ
  • 育児給付や奨学金の拡充といった社会福祉事業への助成金増額
  • ガソリン価格の90日間凍結
  • 公務員へ、5000ペソの特別一時金の支払い
  • 中小企業の借金返済の猶予

等の景気対策が中心です。

ただ、野党への対抗措置といった所なので、これで通貨安に歯止めはかかっていないようです。

invstem.com

問題は、放漫財政を志向する野党の支持率上昇なので、マクリ大統領が野党寄りの政策を出してもあまり意味はないでしょう。

引き続きアルゼンチンペソは受難が続きそうです。

フェルナンデス氏、自身の政策でデフォルトになる事はない

2019年8月14日、大統領選予備選挙で首位に立った野党候補、フェルナンデス元首相は自身の政策で国がデフォルトになる事はないとの認識を示しました。

また、マクリ大統領と電話で話し、市場変動の安定化が望ましいとの考えで一致したことも明らかにしました。

同氏は、自身の政策が国家の責務を無視したものではないと言明しています。

invstem.com

ただ、これを信じる海外の投資家はいないでしょう。ただのポピュリズム政権です。メキシコと同じように最終的には行き詰まる可能性が高いのかもしれません。

ペソの下落、止まらず

8月13日も通貨ペソの下落は止まりません。

前日比5.7%安の1ドル=55.3ペソで取引を終え、終値で過去最安値を更新しました。

invstem.com

左派政権誕生による放漫財政復活に市場の警戒感は増すばかりです。

左派政権のフェルナンデス氏は、当選の可能性が高くなってきたにもかかわらず急進左派的な政策を改める気配がありません。これに市場が怯えているのです。

2019年8月12日、フェルナンデス氏は市場の混乱が全てマクリ政権にあると主張し、13日も「マクリ氏は問題を解けなかっただけでなく、状況を悪化させた」と政権批判を繰り返しました。

中央銀行、政策金利を74.78%に利上げ

2019年8月12日、アルゼンチン中央銀行は11日のペソ急落への対応として政策金利に相当する基準金利を10%引き上げて74.78%に設定し、ドル売りペソ買いの為替介入も実施しました。

しかし、現状、通貨売りの圧力に押され、大きな効果は発揮できていません。

アルゼンチンペソ、25%急落

せっかく戻る傾向を示し始めたアルゼンチンペソが、2019年8月12日、対ドルで大幅下落しました。

【大幅下落前後のドルーアルゼンチンペソの推移(出所:TradingView)】

2019年8月11日に投開票された大統領予備選で左派のアルベルト・フェルナンデス元首相(60)が現職のマウリシオ・マクリ大統領(60)に15ポイント以上の差をつけて大勝したことがその要因です。

フェルナンデス氏が率いる左派は、財政規律を無視した年金増額などの大衆迎合策を掲げ、得票率47.7%となった一方で、現職で財政規律を重視するマクリ氏は32%となりました。

マーケットははポピュリズムを掲げる左派政権の復帰を警戒したのです。

MEMO

25%という数値は、1日の下げ幅では、2018年4月末から5月にかけての緊急利上げ時や2018年8月の「トルコ・ショック」を大きく上回る水準です。

2019年7月 戻り始めたか?アルゼンチンペソ

インフレ率が半年ぶりに低下

2019年7月16日アルゼンチン国家統計局が発表した2019年6月のインフレ率は年率55.8%で、5月から1.5ポイント低下しました。

invstem.com

前月実績を下回るのは6カ月ぶりです。

昨年から下落が続いていた通貨ペソが足元で安定しつつあって、驚異的なインフレ率の高さも、徐々にピークを越えたとの見方が強いようです。

invstem.com

それでも、引き続き年50%異常なわけですが。。。
ポイント

この状況は、10月に大統領選を控える中、物価の安定は現職のマクリ大統領の追い風となりそうです。

invstem.com

もう少し細かい数値と背景を見ておきましょう

単月のインフレ率は2.7%と、5月から0.4ポイント低下。

単月では3月の4.7%をピークに、低下傾向にあります。

インフレが沈静化している最大の要因は通貨ペソの安定です。

【USD-アルゼンチンペソの動き(2019年4月17日~7月17日)出所:TradingView】

ペソは対ドルで1年で5割を超える下落となり、4月には過去最低となる1ドル=45.8ペソを記録しました。

しかし、その後アメリカの利下げ期待などを背景に足元でペソは持ち直しつつあり、1ドル=42ペソ台で推移しています。

invstem.com

マクリ政権が4月から生活必需品や公共料金の価格統制を始めたことも物価上昇の抑制に寄与していると思われます。

アルゼンチンの金融政策も、今後この国の景気回復に寄与していくでしょう。

アルゼンチンの金融政策

アルゼンチン中央銀行は資金需給に応じて政策金利を日々変動させる金融政策を採用しています。

通貨が比較的安定している中、7月15日の政策金利は58%と、5月に記録した74%から下落傾向にあり、景気の下支え要因にもなりそうです。

2019年6月 大統領選本格スタート

6月22日に立候補締め切り

6月22日に大統領選挙の立候補が締め切られました。

現職のマクリ大統領と野党候補が戦う構図がこれで確定しました。

マクリ氏(現職) アルベルト・フェルナンデス氏(左派)
支持率 34% 39%
経済政策 自由解放型経済、構造改革 年金増額、消費税撤廃
副大統領 ピチェット(穏健左派) クリスティナ・フェルナンデス元大統領

大統領選挙、野党候補が優勢

10月の大統領選に向けて有権者の関心が経済再建に向いているようです。

左派の野党候補であるフェルナンデス氏は所得分配を重視する政策への回帰を訴え、支持率で先行しています。

一方で中道右派の現職マクリ氏(60)は苦戦していて、このまま行くと自由な開放経済を志向した同氏の構造改革が頓挫する可能性があり、アルゼンチンペソが再び急落する可能性があります。

マクリ氏(現職) フェルナンデス氏(左派)
支持率 34% 39%
経済政策 自由解放型経済、構造改革 年金増額、消費税撤廃

フェルナンデス氏は自身の副大統領候補として出馬しているクリスティナ・フェルナンデス前大統領の影響を強く受けており、マクリ政権下で決まったIMFからの支援を批判しています。

当選後にIMFと再交渉する方針も表明しています。

通貨安で四半期連続でマイナス成長

2019年6月19日発表の1ー3月期の成長率は前年同期比で5.8%減と、4四半期連続でマイナス成長となりました。

invstem.com

通貨安によるインフレで、製造業・商業とも苦境が続いています。
失業率も高いままです。
同じタイミングで発表された3月の失業率は10.2%。
2018年12月から1ポイント上昇していて、2015年から続くマクリ政権発足以来、最も高い水準となってしまいました。

まだまだ景気回復には時間がかかりそうな感じです。

invstem.com

アルゼンチンに簡単に投資できる商品があれば、超逆張り戦略で仕込んでおきたいところですが。。。

2019年5月 不人気なマクリ大統領の政策

マクリ大統領に反対したゼネスト発生

2019年5月29日、アルゼンチンで主要労働組合による、マクリ政権の経済政策に反対する大規模なゼネストが実施されました。

これで、2015年12月のマクリ政権の発足以降、ゼネストは5回目となります。

今年の10月に大統領選を控え、労組が支持する左派陣営のサポートで動いているのでしょう。

このゼネストで、首都ブエノスアイレスをはじめとした主要都市で公共交通機関や空港が稼働せず、結果的に学校や商店、工場なども休業する形となりました。

労組はデモも実施していて、マクリ政権の財政健全化改革の柱であるIMFとの合意の撤回を要求しました。

マクリ現大統領の支持率、振るわず再選危機

最新の世論調査で、マクリ氏の支持率が26.2%となり、不支持率54%の半分以下に落ち込んでいます。

invstem.com

インフレや雇用の悪化で、支持率は18年以降下落基調で推移しています。

フェルナンデス前大統領が出馬しない事はマクリ氏にとっては良かったのですが、同大統領の改革を国民があまり快く思っていないのでしょう。

注意

再び左派の手に政権が渡ると、アルゼンチンペソは更なる苦境に陥ってしまう可能性もくすぶります。

左派のフェルナンデス前大統領は出馬せず

2019年5月18日、左派でポピュリストのフェルナンデス前大統領が10月の大統領選に出馬せず、副大統領候補として臨むと発表しました。

2015年まで大統領を務めたフェルナンデス氏は汚職疑惑を抱える一方で大衆迎合主義的な政策ゆえ、一部の国民から根強い支持を得ていて、世論調査でも現職のマクリ大統領を抑えて首位でした。

今回のフェルナンデス氏による出馬しない宣言は大きな影響を与えそうです。

MEMO

マクリ大統領が当選となれば、現状の改革も継続されるとの期待からアルゼンチンペソは上昇する可能性が高くなります。

マクリ大統領のほか、「非マクリ、非フェルナンデス」を前面に出している人気3位の穏健左派、ラバーニャ元経財相の動きにも注目が集まっていくでしょう。

マクリ大統領の再選は厳しいか??

今年アルゼンチンの大統領選挙が行われる予定ですが、最新の世論調査によれば、2回目の決選投票で反市場派で左派のフェルナンデス氏がマクリ氏に勝つ可能性が高いとの事です。

これによってアルゼンチンペソを巡る先行きは不透明性が高まったと言えます。

ただその一方で、フェルナンデス氏はまだ出馬を正式表明していない状況でもある為、情勢はまだ推測の域を出ておらず予断は出来ません。

2019年4月 止まらないアルゼンチンペソ安

2019年4月25日、通貨最安値を更新

2019年4月25日、ペソが対ドルで前日比2.6%下落し、1ドル=45.04ペソで取引を終え、過去最安値を更新しました。

この10月に控える大統領選では反市場的な左派勢力が優位で、現在のマクリ政権が進めてきた改革路線の後退懸念が広がっている事が背景と思われます。

ペソも政治に翻弄されるフェーズに入っています。

食料品などの価格統制開始

2019年4月22日、アルゼンチン政府は生活必需品約60品目を対象にした価格統制策を開始しました。

10月の大統領選を前にインフレへの取り組みを国民にアピールする狙いがあると言われています。

ただ、統制策はアングラマーケットの拡大を後押しする事にもなりかねず、別の問題を指摘する人も大勢います。

政府によれば、今回の要請に対して大半の企業は協力を表明したという事です。。地方自治体にはガス・電気、公共交通などの値上げ停止も要請しています。

2019年3月 過去最安値圏のペソ

2019年3月のインフレ率は54.7%とマクリ政権以降で最高値

2019年3月のインフレ率は年率54.7%と、2015年のマクリ大統領の就任以降で最も高かい数字となりました。1月は50%も切っていて少しずつ落ち着いているのかと思わせていましたがそうはならなかったようです。

ずっとインフレが続いた事で、この1年によってペソの価値は対ドルで半減した形です。

輸入物価の上昇で景気は厳しく、失業率も9%台で高止まりしています。

新興国通貨全体の下落で、ペソも過去最安値圏

元々ファンダメンタルズが脆弱なアルゼンチンは、新興国全体に懸念が生じると、アルゼンチン自体に問題がなくても下落します。

アメリカの利上げ路線の修正で一旦緩和相場ムードとなりましたが、ここ最近投資家の関心は世界経済の弱さに向かっています。

そこにトルコのまずい政策によるリラの乱高下が拍車をかけアルゼンチンペソも過去最安値圏に沈んでいます。2019年3月28日時点でのアルゼンチンペソは1ドル=43ペソ台後半となっています。

アルゼンチンの2018年成長率はマイナス2.5%

2019年3月21日、アルゼンチンの2018年のGDP成長率が前年比2.5%減だったと発表されました。

これで2年ぶりのマイナス成長に陥りました。

要因としては、

  • 歴史的な干ばつによる農業生産の落ち込み
  • 通貨下落と高インフレによる経済への悪影響

でしょう。

マクリ大統領は10月の大統領選で再選を狙いますが、改革路線に対する反発も根強く、厳しい運営が続きそうです。

かと言って、改革に後ろ向きなポピュリスト政治家が出てきても困ります。投資家としてはひやひやする所でしょう。

2019年1月の動き

中央銀行、方針を大幅転換 大量のアルゼンチンペソ売り

アルゼンチンペソに関する中央銀行の対応が劇的に変わっています。

年明け後にアルゼンチンペソは大幅反発し、それに伴うものです。

中央銀行はペソ高に歯止めを掛けるために2019年1月中旬から1億9000万ドルのドル買い・ペソ売りの市場介入を実施していますが、ペソ急伸には国内外の要因が絡んでおり、さらなる介入を迫られそうです。

ペソの上昇はアメリカの利上げ観測の後退が一因です。

また、アルゼンチン政府がペソ相場安定のために2018年導入した金融引き締め策もペソの押し上げ要因となっています。

マクリ政権は、2018年にIMFと融資枠を563億ドルに引き上げる合意の中で、通貨供給量の伸びを凍結させました。

その結果、ペソの入手が難しくなった国内の中小企業は、納入業者への支払いや従業員への給与支払い、納税に充てるペソを確保するために手持ちのドルを売らざるを得なくなったのです。

こうした国内外の要因を背景にペソは上昇し、2019年1月10日に初めてIMFと合意したアルゼンチンペソのレート幅上限を突破し、中央銀行はその後5日間にわたって市場介入を行ったのです。

ただ、その介入にも制限があります。

中央銀行が為替相場安定のためのドル買い介入出来るのは1日当たり5000万ドルまで。このため、ペソ相場を中期的に取引バンド内に抑制するには金利を引き下げる必要があります。

ただ、むやみに金利引き下げをすればまた2018年と同じような事になる可能性もあり、更に大統領選を控えているという事からも、どの様になるのか予想が難しい状況です。

12月のインフレ率、物価上昇に歯止め??

2019年1月15日、12月の消費者物価上昇率が前年同月比47.6%であったとの発表がありました。11月の同じデータは48%でしたから少し下がっています。

12月の物価上昇率は前月比では2.6%と、こちらも11月から0.6ポイント低下しました。

2018年4月から始まった通貨ペソの下落で高インフレが続いている状況ですが、IMFからの支援や各種政策で為替水準が落ち着き始めており、物価上昇にも歯止めがかかりつつあると見て良いかもしれません。

2018年12月の動き

2018年12月 アルゼンチンのマイナス成長続く

アルゼンチン政府が18日に発表した2018年7~9月のGDPは前年同期比3.5%減で、2四半期連続で大幅なマイナス成長となりました。

通貨の大幅下落や高インフレで工業・商業とも大幅に落ち込み、本格的な景気後退期に入っています。

アルゼンチンペソは金融政策でもって少しずつその動きが沈静化しつつあるものの、マイナス成長がずっと続くとマクリ政権も追い込まれます。

のマクリ大統領は2019年10月の大統領選で再選をねらっていますが、経済が振るわないとダメなのはどこの国も一緒です。

ただ、インフレ率が50%近くになっていて経済成長というのも少し厳しすぎます。もう少し長い目で見守る必要があると思いますが、選挙の日程は必ず訪れます。

マクリ政権は間違ってはいないと思うものの、選挙でそれが評価されるかはまた別問題であるところが難しい所です。

2018年12月14日 11月のインフレ率は48%

2018年12月13日、11月のインフレ率が前年同月比48.5%だったと発表されました。

通貨ペソは下落が一段落し小康状態にあり、物価上昇のペースは落ち着きつつあると見られます。

IMFの支援や中銀の金融政策により、通貨ペソは9月末に記録した最安値から対ドルで9%高い水準で推移しています。

2018年11月の動き

2018年11月15日 10月のインフレ率は45.9%

2018年11月15日、アルゼンチン政府は10月の消費者物価上昇率が前年同月比45.9%だったと発表しました。

目先、通貨下落が止まったことで物価上昇のペースは鈍化しつつあるようですが、もちろん異常状態が続いている事に変わりありません。

年内に50%に達する可能性があると報じているメディアもあるようです。

引き続き注目していきたいと思います。

2018年11月6日 マクリ大統領、次期大統領選挙に出馬表明

マクリ大統領は2018年11月6日、2019年10月の大統領選への出馬を表明しました。

通貨ペソの下落を受け経済が低迷する中、マクリ氏の改革路線で少しずつマーケットも落ち着きを取り戻そうとしていますが、同大統領の手法には国内の反発も強いようです。

マクリ氏は安定的な経済基盤を構築するために引き続き大統領職にとどまり改革の継続を目指そうとしているわけですが、選挙情勢はそこまで優しいものではないとも思っているのでしょう。

早々に出馬宣言し体制を整えることで、今後の選挙戦に備えるとみられます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です