【2020年7月】中長期的に見れば買って良いブラジルレアルの現状と今後の見込み

ここではスポット記事として、2020年7月時点のブラジルレアルの現状と見通しを記述します。

ブラジルレアル全般について現状を整理しつつ今後の見通しなどを展望します。このほかブラジルレアルの年金改革のスケジュールやボルソナロ政権の状況についての簡単な説明をします。

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下記から過去の見込み記事をご覧いただけます。
参考 ブラジルの見込み記事一覧

ブラジルレアルの現状と動向

2020年7月時点のブラジルレアル

1BRL=20円台

レアル円のチャート推移(直近1年)

【2019年6月末から2020年6月末までのレアル円のチャート】出所:TraingView

引き続きの世界的なマーケットクラッシュでブラジルレアルが最安値を更新しました。

レアルは5月下旬以降急反発、その後下落

ブラジル・レアルは、年初から5月13日までに対米ドルで32%下落したものの、そこから6月上旬までに20%程度上昇しています。

要因

反発の要因として、

  1. 世界的な投資家心理の改善
  2. 国内の政治的不透明感の後退
  3. 実需の資金フローの改善

などがあげられそうです。

ブラジルでは引き続き新型コロナウイルス問題の収束の目処は立っておらず、投資家を不安にさせています。

しかし、相対的な経済の弱さは貿易収支を改善させ、また、渡航制限の継続もブラジルのサービス収支にとっては好材料となります。

単に新型コロナウイルスの新規感染者数が多いことや経済の弱さが通貨安に直結するとは限らないと言えそうです。

5月にはボルソナロ大統領の汚職疑惑でレアルが最安値を更新

2020年5月12日、レアルが対ドルで前日比1.1%安の1ドル=5.88レアルで取引を終え、ブラジル市場の終値で最安値を更新しました。

対円では1レアル=18.01円程度でこちらも最安値です。

ボルソナロ大統領が家族のために警察人事に介入した証拠が出たと地元メディアで報じられ、通貨安が進みました。

新型コロナウイルスによる1日の死者数も過去最多を記録し、政治や経済の混乱が嫌気されています。

レアル投資家にとって受難の状況が続きます。

今後のレアル相場については、当局の通貨安けん制姿勢が下支え要因となるとみられる一方で、大統領を巡る政治動向がマイナス方向に働きそうです。

大統領の言動を巡る政局の混迷は、国内で急拡大するコロナ禍への政策対応の妨げになるだけでなく、構造改革の進展にも悪影響を及ぼすと懸念されます。

まずはコロナ感染者の拡大がどこまで進むのかに注目する事になりそうです。

感染拡大が進めば、結局その影響が多方面に出て最安値更新が続く可能性があります。

2020年5月時点での水準は、レアルの実質実効為替レートの過去10年平均に対し約30%以上割安な水準にあるとのレポートもあり、時間分散をきかせて仕込むのもありです

ドル・レアルのチャート推移(直近1年)

【2019年6月末から2020年6月末までのドル・レアルのチャート】出所:TraingView

新型コロナウイルスの影響はかなり大きいと言わなくてはなりません。

ブラジルの最大の輸出相手が中国だからです。

中央銀行も為替介入でレアル買いをしているようですが、下げをくい止められていないようです。

ブラジル株もコロナウイルスで大暴落

2020年3月9日の週でブラジルの主要株価指数ボベスパは大暴落し、1年7か月分の上昇が一気に無くなりました

背景

他国同様、新型コロナウイルスの懸念深刻化による売りが殺到したためです。

3月12日の取引時間中では、2度にわたりすべての株式売買を中断する措置(サーキットブレーカー)が発動されました。

これで前週末比からの下落幅は約26%となり、1年7カ月分の上昇分が帳消しとなりました。

その後4月は比較的落ち着いた動きとなりましたが、まだどうなるか見えない状況です。
ボルソナロ政権の政治問題にも振られる展開が考えられます。
【ボベスパの推移(2020年1月31日~2020年6月30日)出所:TradingView】
地元メディアによると、1日に2度の発動は2008年の金融危機時でも実施されておらず、1日の下落率としては22年ぶりの大きさだという事です。

コロナウイルス蔓延に対する経済対策

支援策の総額は7500億レアル

2020年3月26日、ボルソナロ政権のパウロ・ゲデス経済相が政府の景気支援策は中銀・公的銀行による資金支援策も含めると総額7,500億レアル(GDP比10%、約15兆円)に達するとの見通しを示しました。

既に政府が計画済の新型コロナウイルス関連の支援策は、総額3,876億レアル(約7.8兆円)という規模になっています。

これには、経済弱者対策や雇用維持対策、医療支援策、州・地方政府への財政支援などの幅広い政策が含まれています。

航空・自動車業界の救済を巡り銀行と協議

ブラジル経済省は、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける航空、自動車、電力業界や小売り大手の救済について金融機関と協議しているようです。

計画では、ブラジル経済社会開発銀行が約800億レアル(152億ドル)のキャッシュの一部を活用して、銀行や投資家とともに苦境に陥っている企業の社債や転換社債を購入する、というものです。

2020年7月、ボルソナロ大統領自身もコロナに感染

2020年7月7日、ボルソナロ大統領は新型コロナウイルスの検査を受けて陽性反応が出たと発表しました。

ボルソナロ氏はこれまで新型コロナを「ただの風邪」だと主張し、都市封鎖を批判したり、マスクを着用せずに支持者や閣僚と接触していました。

同大統領は、感染が分かった後も、調子は普通だと述べ、重症ではないとアピールしました。

当面、テレワークで職務を継続するという事です。

重症化して国政が混乱しない事が望まれます。

2020年6月には大半の商業施設で営業再開

ブラジルでは新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかっていないものの、政府は過去数週間、徐々に規制措置を緩和しています。

2020年6月9日、ブラジル・ショッピングセンター協会は国内の大型商業施設577カ所のうち、半数以上が営業時間を短縮してすでに再開したと発表しました。

営業を再開したのは133都市の298施設です。

多くの州都が経済活動再開に向けて準備を行っているため、今後数日内に一段と再開する店舗数が増加するとみられるという事です。

隔離政策に対する批判も

ブラジルは中南米で最も感染が深刻で、サンパウロ州やリオデジャネイロ州など多くの州は外出自粛令を出し感染防止に動いています。

大多数の国民は隔離政策を支持しているようですが、ボルソナロ大統領は経済活動を優先すべきだと主張し、支持者が呼応した形で抗議活動も広がっています

特に個人事業主を中心に、十分な所得補償がないなどを理由に反対論が根強く、社会の分断が深まっています。

ボルソナロ大統領は一貫して隔離政策に反対する立場で、抗議活動をあおっているとの批判も強く、議会でも問題視されているようです。

当然、議会で少数派になっているボルソナロ氏が、これ以上議会で敵を増やすと今後の改革推進が怪しくなってきてしまいます。

ブラジルの保健大臣が再び辞任

2020年5月15日、ブラジルのタイシ保健相が辞任を表明しました。

新型コロナウイルス危機が始まってから保健相の退任は2人目です。

中南米で最も深刻なコロナウイルス感染状況となる中、ブラジルの危機対応を巡る混乱は一層深まる可能性があり、目が離せません。

年金改革の次のメニューは?

公的部門のムダの見直しが一番のポイントでしょう。その次は税制改革です。しかし、そもそもボルソナロ大統領がコロナウイルスで失った議会との信頼関係をどう戻すかが当面の焦点かもしれません。

年金改革の成立は大変すばらし成果ではあるものの、これでブラジルのムダが全て無くなったわけではありません。

最優先事項は肥大化したブラジルの公的部門の見直しで、その次は税制改革と言われています。

具体的な項目

公務員給与抑制を図る行政改革と民営化政策の推進です。

公務員給与・手当は中央政府の歳出の2割強を占め、年金支出に続いて財政をひっ迫させる問題となっています。

民営化については、2020年の国営電力公社の動向が目先の注目材料となりそうです。

今回の年金改革法案成立の流れをそのままにどんどん国家財政の立て直しが行われる事を期待します。

行政・財政改革案の概要

2019年11月5日、ブラジル政府は行政・財政改革案の概要を発表しました。

概要

  • 公務員の給与に代表される硬直化した予算の仕組みを改め、財政を立て直すこと
  • 国から地方自治体への税の配分の仕方の見直し

等です。

10月に成立させた年金改革法案に続く重要課題として、2020年の成立を目指します。

課題

この改革は市場からの評価は相当高いですが、実現には憲法改正が必要で、かなりの抵抗も予想されるため、一筋縄ではいかないでしょう。

ブラジルでは公務員給与や教育関係予算など支出が固定化していて、歳出削減の余地が乏しい問問題がありました。

これを新たな改革案では労働時間と給与を削減できるようにして、柔軟性を持たせます。

政府案が実現した場合、初年度に247億8000万レアル(約6750億円)の予算削減効果が見込めるという事です。

税収の配分も見直します。

予算不足でインフラや治安の維持に苦労する州が多い中、公共政策を地方分権型に移行させて構造を抜本的に変えるという事です。

注意

上記提案の実現には憲法改正が必要で、上下院で議席の5分の3の協力を得る必要があります。年金改革と同様に、時間がかかるでしょうし、どうやって議会を説得していくかという問題が立ちはだかります。

年金改革法案がブラジル経済に与える影響

年金改革法案の成立は二つの意味でブラジル経済に好影響を与えたと思われます。

  1. 中央銀行が利下げシナリオを維持できたこと
  2. 年金改革の「次」の道筋をつけたこと

ブラジルのGDP成長率は15~16年ごろの最悪期からは改善しているものの、引き続き低水準で、金融緩和による刺激が必要な状況です。

ただ、ブラジル中央銀行は利下げを続けることが出来る要因として年金改革法案の動向をあげており、これがとん挫していたら、利下げして景気回復を行うというシナリオが崩壊していました。

次に、行政・財政改革案への道筋をつけた点です。

その詳細は以下に記していますのでここでは割愛しますが、この改革には憲法改正が必要で6割の賛成がなくてはなりません。

少数与党のボルソナロ政権は引き続き厳しい状況ですが、年金改革法案の2回目の採決で賛成が、1回目の採決より増えるなどボルソナロ政権の政策に支持拡大の動きが見られており、この勢いで以てすれば憲法改正を含む改革も可能となるかもしれません。

直近の経済成長率は+1.1%

2020年3月4日に発表された2019年のGDPは前年比で1.1%増でした。

伸び率は17~18年の1.3%から微減となりました。

理由

隣国アルゼンチンの景気低迷や中国でのアフリカ豚熱(ASF)のまん延で、経済をけん引してきた輸出が減少に転じた為です。

政府は20年に2%台の成長を目指していますが、新型コロナウイルスの影響もあり、達成は微妙な感じになっています。

輸出がマイナスとなるのは5年ぶりで、最大の貿易相手である中国への飼料用大豆の輸出が大きく落ち込んだのが響きました。

IMFは2020年の成長予想を▲5.3%と予想

2020年4月14日発表のIMF世界経済見通しでは、2020年のブラジルの成長率が▲5.3%になると見込まれています。

もちろん前回から大幅に下方修正されたものです。

また、2021年は+2.9%にとどまり、新型コロナウイルス問題が終息しても景気回復は緩やかになるとの見方が示されています。

直近の調査ではマイナス6.5%成長、中銀調査

2020年6月8日、ブラジル中央銀行が発表した週間市場調査によると、2020年のGDP成長率見通しは平均マイナス6.5%となり、17週連続で悪化しました。

前週の調査ではマイナス6.25%と予想されていました。

今回の数値は、政府見通しのマイナス4.7%をほぼ2%ポイント下回った数値です。

フィッチが見通しをネガティブに(2020年5月5日)

2020年5月5日、フィッチはブラジルの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げました。

フィッチはブラジル経済が今年4%のマイナス成長に陥ると予想しており、リスクは依然下向きとしました。

また、財政状況の急速な悪化や政治リスクの高まりも指摘しました。

2020年の財政赤字は対GDP比13%に拡大すると予想しています。因みにこれはブラジルと同じ「BB」格付け国の中央値(同6.8%)のおよそ2倍だそうです。

景気浮揚のための歳出増をどこまで許すか

上記の通り、ブラジルの景気は厳しい状況ですが、これに対するボルソナロ大統領の対応が注目されます。

ボルソナロ大統領は大統領選挙時に財政再建を公約の一つの柱としていた事から、他のポピュリズム政権と違ってのべつ幕無しの歳出増は出来ません。

ただ、景気低迷に伴う歳入鈍化を受けて、財政状況はひっ迫度合いを増している状況でもあります。

そこで大統領としても景気浮揚で税収アップを図るべく、政権の経済チームに対して歳出の伸びを前年のインフレ率以下に抑えることを定めた歳出上限法の見直しを指示したようです。

ただ、この法律改正には議会承認が必要です。

議会は同法及び経常歳出に向けた国債発行の禁止、プライマリーバランスの達成を財政政策の柱とみる傾向があり、なかなか実現が難しそうな情勢です。

 心配なのは、仮にそれが可決してしまった時にマーケットがどう反応するかということ。

注意

実現すれば金融市場では財政健全化に向けたストッパーが外れたと見る可能性もあり、そうなると年金改革でレアルが上昇する事を我慢して見守っていた投資家を裏切る事になる可能性もあります。

ブラジルレアルの金利はどうなるか

2020年7月時点の政策金利 2.25%

2019年7月に約1年4カ月ぶりの利下げをして以降、ブラジルの金融政策は緩和局面と言えるでしょう。

直近では、2020年6月17日に0.75%引き下げ、過去最低の2.25%としました。

2020年6月、0.75%の利下げ

2020年6月17日、ブラジル中央銀行は政策金利を0.75%引き下げ、過去最低の年2.25%としました。

新型コロナウイルスの感染拡大で経済の苦境が続く中、金融政策で景気を刺激します。

0.75%の下げ幅は前回会合に続く水準で、利下げは8会合連続です。歴史的に高金利国のブラジルとしては過去に例のない低金利となります。

中銀は声明で

「普通ではない、強い金融刺激策が推奨される」

と今回の利下げの目的を説明しました。

また、中央銀行は景気支援に向けた追加緩和策の余地が幾分あると指摘し、今年のインフレ率が目標を大幅に下回る水準で推移し、来年も目標を下回る見通しであることを踏まえて、今後数カ月に追加緩和を実施する可能性を示唆しました。

中央銀行は2020年、2021年のインフレ見通しを、それぞれ2.0%、3.2%としています。一方で、中銀のインフレ誘導目標(中央値)は、2020年が4.00%、2021年が3.75%と、インフレ見通しを大幅に上回っています。

この追加利下げの余地についてのコメントについては、追加利下げがあったとしても0.25%ポイントの小幅なものにとどまると思われますが、今回で利下げサイクルの終了を見込んでいた市場参加者にとってはややサプライズの内容だったと思われます。

2020年末政策金利予想は2%

2020年5月現在の、年末時点の政策金利の予想は、2%台前半です。

また、今年のインフレ見通しも一段と下方修正されました。

利下げ局面終了後は量的緩和の行方に注目

コロナウイルス対策のための利下げ一巡後は、量的緩和策導入の行方に注目が集まりそうです。

金利引き下げの余地は少しずつなくなってきています。

利下げ一巡後は、国債および社債の買い入れなど含む量的緩和策導入の行方に注目が集まりそうです。

ブラジルの政策金利の推移は↓

【最新】ブラジルの政策金利と金融政策の推移とまとめ2018~

ブラジルレアルの今後の見通し

今後の見通しを考える場合、まずは直近の最下限はどこなのかを知っておく必要があります。

それは、

2020年5月12日 1米ドル=5.88レアル
2020年5月12日 対円で1レアル=18.0円で史上最安値を更新

の二つでしょうか。

ただ、2020年4月だけでも何度も最安値を更新している状況ですので、何か一つショックがあるとすぐに最安値を更新してしまう状態です。

こういう時は焦らず、時間分散を心がけて少しずつ安い所で拾っていくのが良いでしょう。

外国人投資家がいつ戻ってくるかが問題

2020年6月現在、株式・債券市場の外国人投資家が政治的混乱を嫌気して資金を引き揚げ続けています。

外国人投資家は2月から5月までの4カ月間にブラジルの株式市場から118億ドルの資金を、2月から4月にかけては債券市場から187億ドルをそれぞれ引き揚げたようです。

ブラジルから国外へ流出した資金は、大半の新興国からの流出を大きく上回っています。

新興国全体としては、3月にほぼ830億ドルの資金流出に見舞われたものの、投資家が先進国で得られるより大きなリターンを求めたことから、4月と5月には計230億ドル近い資金が戻ってきて、一部には資金の流れに反転もみられます。

一方でブラジル人はブラジルに楽観的です。

外国人投資家は株式・債券市場から大量の資金を引き揚げたものの、ブラジル人投資家がほぼ同じ額を市場につぎ込んだと見られます。

外国人投資家の資金がいつ戻ってくるかが、ブラジル資産の戻りを試すポイントになりそうです。

コロナウイルスは引き続き重し

この先のレアルは、コロナウイルスの直接・間接的な要因でなかなか上値が重そうです。

中国での新型肺炎流行による景気減速懸念を受けて2020年初頭からレアル相場には下落圧力が掛かっていましたが、そこにコロナウイルスの間接要因であるOPECプラスの協調減産瓦解による原油市況の低迷が重なり、レアルはかなり厳しい状況となっていました。

足下も基本構造は変わっていません。

OPECプラスによる協調減産期待から底打ちしているものの、既に企業マインドは過去最低となっており、新型肺炎流行に伴う景気悪化や、財政悪化懸念はレアル相場にとって大きな重しです。

ビッグマック指数(≒購買力平価)で考えた場合のBRL

もう一つ、通貨が割安か否かを考える時のツールであるビッグマック指数と実際のレートを検討してみましょう。

ビッグマック指数の説明等は↓をご参考ください。

割安な新興国通貨はどれだ??購買力平価(ビッグマック指数)で考える簡単チェック

日本のビッグマックは390円、ブラジルでは17.5ブラジルレアル(2020年2月現在)。

1BRL 22.28円(2020年2月末時点)

が購買力平価説を基にした簡易的なブラジルレアル・円の為替レートになります。

こうした所からすると今の為替レートは高めになっているという事ですね。

ブラジルレアル安の理由は様々だが、政治の混乱である事が多い

2015年に史上最安値を更新した背景として、政治の混乱がありました

当時ブラジルレアルが回復したのは、ルセフ前大統領が辞職し、テメル大統領代行の大統領昇格となった後、政治機能の回復が見られたためです。

ボルソナロ氏を取り巻く政治的なリスク

現状、ボルソナロ政権はある程度安定的に政治運営しており、喫緊のリスクとして重大な政治問題があるわけではありません。しかし注意ポイントもあります。

例えば、ボルソナロ大統領が所属する少数与党内の分裂騒動です。

同大統領が所属する社会自由党の創設者で党首のビヴァール氏による政治資金の不正使用疑惑が明るみに出たのを契機に、同党指導部を中心とする古参議員と、2018年に入党したボルソナロ氏を支持する議員らとの間で内紛が起きているようなのです。

同党が分裂すれば、政権・議会運営に悪影響が及ぶでしょう。

一方、年金改革法案の可決を支えた中道勢力とボルソナロ政権との関係が強まる方向に展開すれば、更なる改革にとって追い風になるかもしれません。

ボルソナロ氏の政治リスク

ボルソナロ政権の改革を進める上で国民からの支持は欠かせませんが、ボルソナロ氏がめちゃくちゃクリーンな政治家なのか、というと必ずしもそうとは言い切れません。

実際に、不支持率が支持率を上回る状況が続くなど、決して好調というわけではありません。

ただ、ボルソナロ大統領は年金制度改革を含めた財政再建を行うなど、過去のブラジル大統領と比べ市場からの評価・期待は高い事はある程度確かです。

そのため大統領が支持を落とすことは市場の不安材料とみなされる可能性があり注意が必要と言えます。

ブラジル政治は少数政党が乱立し、連立での政権運営が行われているため、ボルソナロ大統領の立場はそこまで強いわけではありません。

それでもやっていられるのは国民からの支持があるからです。

これを失うと大統領の求心力が失われ、さらなる改革期待の後退や最悪の場合は政権交代の可能性もあるかもしれません。

特に与党内では大統領の息子達が幅を利かせたり、身内重用も目立っていて、こうした行動が支持率低下に拍車をかける可能性があります。

ブラジルの大統領は、スキャンダルで常に世間から見放され、下野する事が多かったこともあり、この問題に継続的に注意していく必要があると思われます。

相次ぐ閣僚の辞任で大統領の求心力低下を懸念

2020年4月、マンデッタ保健相とモロ法務・公安相がボルソナロ大統領との対立を理由に辞任しました。

マンデッタ氏はコロナウイルス対策の対立、モロ氏は法務大臣として適切に職務が遂行できていないという理由からです。

マンデッタ氏のコロナウイルス対策は国民や州政府、議会からも支持されており、また、モロ氏はその汚職追及の姿勢が国民から高い評価を受けていた為、どちらもボルソナロ大統領にとって大きな痛手となるはずです。

今後の求心力の低下で改革が停滞する事が懸念されます。

コロナウイルスを巡る対応でボルソナロ大統領と州政府が対立

新型コロナの感染拡大を受け、ブラジルでは州政府レベルでの都市封鎖が行われています。

しかし、ボルソナロ大統領は経済活動の混乱を嫌気し都市封鎖に反対しており、州政府と対立しているのです。

ブラジル国民は州政府による感染防止策を支持しており、ボルソナロ大統領への抗議活動が行われています。

これが原因で上記の様に国民からの支持が失われると、再び政治で混乱するブラジルに後戻りです。

世界の景気動向もあるが、上手く行けば1レアル=30円台も

やはり、ブラジルはファンダメンタルズの弱さがありますので、それをいかに計画的になくしていくか、という事でしょう。

その意味で年金改革が順調に進むか否かはかなり重要でした。

これが2019年10月に成立した事で、今後の改革進捗にも期待が持てます。

今後、税制改革などの構造改革の進展や、ブラジルの景気動向が注目ポイントとなり、場合によっては1レアル=30円というのも大いにあり得るでしょう。

心配なのがボルソナロ大統領の政治姿勢とアマゾン森林火災問題でしょうか。

アマゾン問題については自然環境問題という観点で極めて重要であるものの、この問題はこれそのものよりも個人的な怨嗟も絡んでいたりして、少し厄介です。

対応に忙殺されて、他の大切な問題が後回しとなって、最終的に足下を救われるといった事が無いように祈るところです。

年金法案などが決着した後だとすぐに上昇してしまう可能性もあるので、それまでは不安定な状態でも、5~6%くらいの金利をもらうつもりで少しずつ仕込み、来たる上昇に向けて準備しておいても良いかもしれません。

貿易摩擦問題

2019年12月20日、アメリカのトランプ大統領はボルソナロ大統領に対し、ブラジルからの鉄鋼・アルミニウム輸入への追加関税の発動を見送ると伝えました。

背景

トランプ氏は12月2日、ブラジルとアルゼンチンが自国通貨の操作で米国の農家の利益を損なっていると主張し、両国から輸入する鉄鋼・アルミへの追加関税を直ちに発動させると表明していました。

しかし、トランプ大統領は2019年12月20日、ボルソナロ大統領と電話での貿易協議を行い、その中で同関税を賦課する事を見送ると伝えたようです。

一瞬、ブラジルの新たな課題として認識されかけ始めましたが、何とか杞憂に終わったようです。

元々のアメリカの主張

ブラジルが自国通貨を切り下げてアメリカの輸出品が不利を受けていると主張しています。

確かに、レアルは2019年初から12月までの間に対ドルで1割安い水準で推移し、11月下旬に最安値を更新しています。

ただ、これはどちらかと言うと選挙対策の色合いもあるかもしれません。

保護主義的な政策を打ち出して、業績悪化に苦しむ鉄鋼メーカーや、中国との貿易戦争で打撃を受ける農家にアピールする、というものです。

これを受けて、ボルソナロ大統領は同じ日に

「私はこれは報復ではないとみており、私はトランプ氏にアルミ価格への関税で罰することのないように話す」

とコメントしています。

アメリカにおいて鉄鋼の輸入相手国のうちブラジルはカナダに次いで2番目に大きく、19年1~9月期の輸入量は前年同期比1割増えたという事です。

おすすめの投資信託やETF

個人的にお勧めするのは、やはり外資系の運用会社の商品か、国内の運用会社でもしっかりとした海外のブラジル運用に強い運用会社に外部委託している商品です。

ポイント
外資系の運用会社や外部委託をしている投資信託は、信託報酬が若干高くなる傾向にありますが、信託報酬の高さばかり気にして、肝心のリサーチ体制やパフォーマンスを置き去りにしてはいけません。

パフォーマンスは1年などの短期ではなく、なるべく長めのもののほうがパフォーマンスの差がしっかり出ます。

また、純資産が最低でも10億円はあるものが良いと思います。

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あまりに純資産が小さいファンドは、運用会社も入ってくる信託報酬が多くないので繰り上げ償還(途中でファンドの運用をやめてしまうこと)をする可能性が高くなってくるからです。

加えて個人的に重視しているのはレポートの充実です。

投資する前も投資した後も質の高いレポートがたくさん出ている事は大切ですね。特にしっかりと相場観を記している所は重宝するものです。

加えて、これは完全に個人の経験によるもので、何か科学的なデータがあるわけではないのですが、販売手数料のない商品(ノーロード)のものより、手数料かかる投資信託の方が何となくパフォーマンスが良いような気がします。。。いつもそういうわけではないのですが。。。

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