この記事では、2018年から始まっている中国の景気対策全般について特に時系列でまとめていきます!
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中国は世界で二番目の経済大国でいずれ世界一になると言われている国です。
この国の景気・経済状況はあらゆる国の景気にも関係しており、どの国への投資を行う場合でも知っていて損はありません。
また、中国は一党独裁制でもあるため、各種政策が効果を発揮するまでのタイムラグが他の国よりもくなる傾向があったりもしますので、より政策内容に対して敏感になっていた方が投資をするという観点では良いと思われます。
本来は本ブログに記述する所ですが、細かく追っていく為には一つの記事としてまとめ直すことが分かりやすくする上でベターと考えました。
本ブログは↓をご参考ください。
米中貿易摩擦についての記事は↓
中国の経済政策の核をなす中国製造2025については↓
中国の一帯一路政策についての記事は↓
基本的に、新しく起きたものが上に来るように記述していきます!
2021年1月
景気回復に必要な措置を講じる姿勢
中国国家発展改革委員会はコロナ危機時に導入された一時的な緊急対策は長期間継続しないとの認識を示す一方で、政策の崖が生じないようにする意図も見せました。
中国は今年、信用の伸びを緩やかにし、財政支出を削減するとみられていますが、関係筋によると、政府当局者は景気回復を阻害しないよう慎重な姿勢を取る見通しだという事です。
中国本土と香港での新規調達額が10年ぶりの高水準
2020年の中国本土と香港のIPOに伴う調達額は10年ぶりの高水準となったようです。
本土と香港で世界全体の約45%を占めました。
米中対立を踏まえて自国で資金調達する中国企業が目立ちました。
香港の政治問題や、アント・グループの上場中止はありましたが、成長資金を供給する資本市場としての存在感を世界に示しました。
20年の全世界のIPO調達額は2630億ドルと前年比23%増でしたが、このうち香港取引所は24%増の503億ドル、上海証券取引所は83%増の499億ドル、深圳証券取引所は95%増の185億ドルとなり、合わせて世界全体の45%を占めました。
因みに、香港と上海は取引所ランキングでそれぞれナスダック(92%増の535億ドル)に次ぐ2位と3位に入りました。
2020年12月
年金基金による株式投資を拡大
2020年12⽉30⽇、政府は、年⾦基⾦において株式に投資できる⽐率を従来の10%から将来的に最⼤40%まで引き上げる⽅針を⽰しました。
⻑期資⾦の流⼊拡⼤で、株価変動の安定にもつながると期待されます。
巨大IT企業排除でデジタル人民元の普及を目指す
中国政府がかつて保護していたアリババやテンセントの事業拡大阻止に動き始めましたが、この裏には政府のデジタル通貨戦略がありそうです。
アリババが金融業にも手を伸ばし、既存の金融システムを脅かし出した事は中国政府にとっては看過できませんでした。
こうしたなかでデジタル人民元がIT企業から決済事業を奪い、拡大に歯止めをかけるとの見方が浮上しています。
中央経済工作会議の内容
12月16~18 日の日程で開催された中央経済工作会議では、経済の正常化と安定を重視する姿勢が改めて示されました。
2021 年は景気の上振れが見込まれるなかで財政・金融政策の方向性は維持しつつ、持続可能性の向上に向けて徐々に「正常化」を図る方針が示されました。
加えて、昨今のネットプラットフォーマーへの規制などからも分かるように、共産党が幅広い経済活動への関与を強め、いわゆる「双循環戦略」を通じて景気回復を後押しする姿勢も見せています。
足下の中国経済は独り勝ちの様相をみせています。
習近平国家主席としては、さらに、様々な面で中国は「独自色」を強めるなど「中国の夢」の実現の取り組みが進むかもしれません。
ネットプラットフォーマーにブレーキ
2020年12月11日、「12月政治局会議」の内容が発表されました。
「資本の無秩序な拡張の防止」が盛り込まれたことで、アリババなどインターネットプラットフォームをはじめとする巨大企業の一段の拡張を規制しようとする共産党指導部の意向が示されました。
もっとも、その他の成長企業の市場参入を促し、ポジティブな面もあると期待する人たちもいます。
来年の経済成長目標は8%前後
中国の2021年の経済成長率の目標が8%前後になりそうです。
新型コロナウイルスの打撃をうけた国内経済はほぼ正常化しています。
来年は輸出が引き続き好調なほか、民間投資にも回復が広がると見込む。2%程度の成長にとどまる20年からのV字回復を描いているようです。
中央経済工作会議を開催
来年の経済運営方針を決める中央経済工作会議が12月16日~18日に開かれるようです。
債務の拡大ペース抑制や米国との対立から国内経済を守ることが議論の中心となるでしょう。
共産党指導部は一連のコロナ対策で中国経済が今年もプラス成長を確保できる見通しであることを評価しています。
今回の中央経済工作会議では債務の急増や相次ぐ社債デフォルトを背景に、どの程度引き締めるのかが議論になるでしょう。
金融市場は既にこうした政策シフトに動揺していて、市場心理の重しになっています。
コロナ財政を縮小
中国が新型コロナウイルス対策で拡張した財政を縮小する方針のようです。
経済の正常化に自信を深める一方、大都市での不動産バブルなど副作用への警戒も強めているためです。
銀行の不良債権処理など金融システムの健全化にも注力したい考えです。
経済分野の重要会議である中央経済工作会議でも議論される予定です。
2020年11月
高齢化対応の政策を検討
中国は、2021ー25年の次期5カ年計画に、高齢化対応策を盛り込みます。
出産を奨励する新たな措置等が中心で、資金面や政策面で支援する方針という事です。
李克強首相、2021年の中国の成長は適切なレンジに戻る
中国の経済発展は来年、より適切なレンジに戻る可能性が高いと李克強首相がコメントしました。
李首相は来年は大きく反発すると予想していることを示唆しました。
李首相は24日、IMFのゲオルギエワ専務理事やOECDのグリア事務総長などと行った会合の合同会見で、2020年1-3月はマイナスとなったものの、その後は回復して今年全体で見ればプラス成長になる見通しだと語りました。
今後5年間の成長率目標は5%前後
中国は今後5年間の経済成長率の目標を年平均5%程度で定めることを検討しているようです。
中国政府は現在も2025年までの経済・社会発展の目標を策定中で、まだ何も決定していません。
中国共産党は先週、次期5カ年計画(2021-25年)の基本方針を明らかにし、経済成長の速さよりも質を目指す必要性を強調しました。
国家発展改革委員会は2025年までの経済の数値目標を提案する意向を示していますが、通常3月に開かれる全国人民代表大会(全人代、国会に相当)より前に公表される可能性は少ないと思われます。
また、中国政府系シンクタンク中国社会科学院の工業経済研究所も11月17日、政府の第14次5カ年計画について、年平均経済成長率の目標を5%前後に設定すべきだとの見方を示しました。
第14次5か年計画の数値を公表
2020年11月4日に次期5カ年計画と2035年長期目標の説明文が公表されました。
2035年までにGDPと1人当たりの収入を2倍にする目標が明らかになり、今後15年間の実質GDPに関して平均4.7%の増加を目指す方針が示されました。
習主席、中国が直面するリスクを警戒
2020年11月3日、習近平国家主席は次期5カ年計画について、中国が直面するリスクが大幅に増すとの見方を示しました。
習氏がどのようなリスクに言及しているのかは明らかではありませんが、貿易や香港問題、新疆ウイグル自治区の人権問題、新型コロナウイルス、などでしょう。
習氏は2035年までにGDPか1人当たりの収入を2倍にする際の数値目標は設定せずに、経済構造の最適化と開発の質を優先すると話しました。
ただ習近平は目標を達成するのは完全に可能として、2021年上半期に適度に裕福な国に変化する目標を達成したと宣言できると予想しました。
第14次5か年計画の草案を公表
2020年11月3日、中国共産党は2021~25年の第14次5カ年計画などの草案を公表しました。
新たな5カ年計画と35年までの長期目標の草案は、10月29日に閉幕した第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)で採択したものです。
新華社は、習氏自身による計画の解説も配信しています。
この中で習近平は2035年までにGDPと1人当たりの収入を2倍にすることは完全に可能だとの見通しを示しています。
アメリカとの対立が長引くとにらみ、ハイテク技術などの内製化を急ぎます。
2020年10月
質の高い成長達成のために数値目標を設定
2020年10月30日、中国の国家発展改革委員会(NDRC)は質の高い成長を推進するために2021ー25年の具体的な経済目標を策定すると明らかにしました。
10月29日に閉幕した五中全会を受けて、2021年ー25年の「第14次5カ年計画」に対応する量的目標を発改委が公表するようです。
また、経済の自立強化を目指すことについて、核心技術の調達でどこかに頼ることはできず、自前の技術を構築する必要があるとしています。
習近平氏、長期政権へ準備着々
10月29日に閉幕した5中全会では党指導部の人事はありませんでした。
党トップの習近平総書記(国家主席)が後継者を決めず、2022年の党大会以降も続投して3期目を務める意思の表れと受け止めている見方が有力となっています。
五中全会閉幕
中国共産党の重要会議、第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)が10月29日に閉幕しました。
2021~25年の「第14次5カ年計画」の骨格などを固めました。
2035年に「1人当たりGDPを中等先進国並みにする」との目標を掲げました。
共産党は対米摩擦の長期化に備え、消費など内需を拡大し自力での安定成長をめざすとしましたが、厳しい状況です。
長期目標の実現に向けて、新たな5カ年計画は「2つの循環」を柱に据えました。
貿易を軸とする「外」と、消費を柱とする「内」の2つの経済循環で成長を実現する考えです。
より大切なのは「内」、すなわち国内消費です。
- 高品質な製品の供給能力増強
- テクノロジーの自立
- サプライチェーンの高度化
- 都市化やグリーン開発の促進
など製造業を中心に、様々な観点が含まれた成長を意味するようです。
人民元の国際化戦略を加速
2020年10月24日、中国人民銀行は人民元の国際化に向けた戦略を人民銀が再検討しており、一段の政策支援を計画していると述べました。
上海で開かれた金融サミットで、中国人民銀行当局者は市場の役割を高めるため政府が政策支援でより積極的になれると発言しました。
具体的には、人民銀が貿易や投資の一段の促進で2国間の為替スワップ協定を改善させたり、元の国際的な決済・支払いインフラを巡るさまざまな方法を調整しようと試みることを挙げました。
中国がデジタル通貨拡大に積極
中国がデジタル人民元の発行に向けた取り組みを加速し、他の先進国が警戒を強めています。
中国は実証実験を国内28都市に広げつつ、個人どうしでやり取りする機能など必要な技術の確立を急いでいます。
国際決済を巡るアメリカの覇権に挑む姿勢を隠さず、日米欧は中国がデジタル通貨の技術や制度づくりで主導権を握ることに警戒感を強めています。
中国がデジタル人民元の発行を急ぐのは資金取引の管理を強化するためでもあります。
海外との取引を捕捉し、急激な資金流出を防ぐことなどが従来よりも容易になるのです。
5中全会で次期5か年計画を策定
中国共産党は10月26~29日に重要会議である第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)を開きます。
2021~25年の5カ年計画と35年までの長期計画を議論する見通しで、市場関係者の注目度が高くなっています。
新たな5カ年計画などは、米中関係が過去にないほど緊張した状況での策定となります。
米国との緊張関係が常態化することも視野に入れ、新5カ年計画は需要と供給の両面から国内経済を底上げすることをめざします。
過度の海外依存を避けて、経済成長を持続させる「自立更生」の道を探る事になるでしょう。
現在の5カ年計画(16~20年)では年平均6.5%以上の成長率目標を掲げています。
エコノミストに新たな目標の予想は、21~25年は5.5%、35年までの長期は4.5%となり、中には今回は成長率目標を明示しないとの見方もあります。
ある専門家は内需と外需を好循環させて質の高い成長につなげる「双循環(デュアル・サーキュレーション)」と呼ばれる概念が今後5~10年の戦略的プログラムとなり、5カ年計画の指針となり得ると指摘しています。
これは内需を増やし外需への依存を減らすという事です。
内需シフトが政策の優先順位を変える可能性もあります。
場合によっては一帯一路の重要度が落ち、国家安全上の懸念がある対外投資も控えめになる可能性もあります。
2020年9月
次期5か年計画のGDP目標は引き下げの方針
中国指導部は次期5カ年計画(2021ー25年)の経済成長率目標を16ー20年と比べて引き下げるようです。
アメリカとのあつれきが深まる中、厳しさを増す環境に対応します。
指導部は10月後半に開催される共産党の重要会議で次期5年の経済・社会発展計画を協議・承認する見通しです。
政策当局者は中国経済が「中所得国の罠(わな)」を切り抜けるのに5カ年の成長目標を設定することが不可欠だと考えている一方で、柔軟性をさらに持たせるためにこうした目標設定をやめるべきかどうかを巡る議論も内部であったという事です。
最終的には目標成長率は設定され、政府シンクタンクやエコノミストは、GDP年間平均成長率について、5%前後~6%位を提言しているそうです。
尚、第13次5カ年計画(2016~2020)の年平均成長率は6.5%以上を目標としています。
消費下支えを行う方針を改めて表明
中国政府は景気回復に向け消費を下支えする方針を改めて伝えました。
国営テレビが9日、国務院の見解として伝えました。
国務院は
「消費は今年、新型コロナウイルス流行を受け比較的大きな打撃を受け、景気回復における経済的つながりが弱くなっている」
と指摘しています。
政府はインターネットとデジタル技術に支えられた新しい消費形態を促進し、関連インフラの構築を加速し、内需拡大の支援に市場のイノベーションを促す考えも示しました。
インフラ頼みの経済対策が復活
中国がインフラ頼みの景気刺激策に戻りつつあるようです。
新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷から抜け出すため、地方政府は今年、インフラ整備に向けて記録的な借り入れを行う予定です。
世界的な金融危機後など過去の刺激策において、中国は道路や空港、鉄道に多額の資金を投じ、膨大な債務を抱えました。
ここ数年は、借入金返済に十分な収益が見込める事業関連の債券発行で資金を調達しています。
地方政府は10月末までにインフラ整備目的の「専項債」3兆7500億元(約58兆3500億円)相当を発行する必要があり、7月末までに2兆2700億元が発行されました。
これは昨年1年間をすでに上回っており、これが民間支出・投資を活性化させると政府は期待しています。
金融持ち株会社への規制を強化
2020年9月13日、中国人民銀行は金融持ち株会社によるシステミックリスクを予防するため新たな規制を発表しました。
小規模の企業が相次いで金融業に参入しリスクが高まる中、監督制度の抜け穴をふさぐ狙いがあるようです。
人民銀が公表した声明によると、金融持ち株会社としての認可を得るには50億元(7億3174万ドル)以上の資本が必要になります。
また銀行を傘下に置く金融持ち株会社は少なくとも総資産を5000億元以上、それ以外は1000億元以上の資産保有が求められます。
中国版ナスダック、本来の趣旨と違った使われ方
「中国版ナスダック」と呼ばれる株式市場が、本来の趣旨から外れた使われ方をされているようです。
本来の趣旨は新興ハイテク企業支援というものでしたが、自動車大手の吉利汽車が上海証券取引所の「科創板(STAR)」に上場して約30億ドルの調達を目指すなど、青天井のバリュエーションを追い求める成熟企業が、新興ハイテク企業向け市場に次々押し寄せる動きが多くなっています。
これでは、より規模が小さく、資金繰りが苦しい企業を後押ししようとする中国政府の狙いが台無しになりかねません。
中国は国家戦略として、バイオテクノロジーや人工知能などを手掛ける次世代の新興企業に十分な資金が回るようにしようとしてこのマーケットを作りました。
ただ、科創板は各種の上場基準を緩めるのと同時に、中国本土の主要取引所で非公式ながら幅広く採用されている、利益の約23倍というバリュエーションキャップを撤廃しており、既存の有力企業は科創板で取引される事でより株式時価総額を大きくしようとしているわけです。
資本市場の開放加速を表明
中国当局は外国人投資家を呼び込むため、資本市場の開放を加速させ、改革を深めると表明しました。
2020年9月6日、中国証券監督管理委員会が本土・香港証券取引所間の株式相互取引の投資範囲を拡大するほか、外国人投資家が取引できる商品先物の対象を増やすと表明しました。
適格外国機関投資家(QFII)に関する規則の改定版を可能な限り早く公表し、こうした投資家による対中投資の「意欲と信頼感」を高めるとも発言しました。
外国人投資家は現在、中国の流通株の4.7%を保有しているにすぎず、30%余りに達している日本や韓国を大きく下回っているとし、中国本土には海外資本を取り入れる「極めて大きな潜在力がある」との認識を示しました。
2020年8月以前
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