2020年8月の主な出来事

ここでは、2020年8月の主な出来事を記します。

2020年8月31日 トルコの第2Qは▲9.9%

トルコの第2四半期はマイナス9.9%

2020年8月31日発表となった4~6月期の実質GDPは前年同期比マイナス9.9%でした。

新型コロナウイルスの影響でほとんどの主要セクターが落ち込みました。

ただ、エコノミスト予想中央値では10.7%減だったので、予想は上回りました。

足元で製造業などには景気回復の兆しがみえますが、外貨収入源の観光業は不振が続いており、経常収支の悪化が懸念されています。

内訳は、
  1. 製造業はマイナス18%、
  2. サービス業は同25%
  3. 輸出は同35%
  4. 金融・保険サービスは28%増

新型コロナの拡大後も政府は2020年通期のプラス成長に自信を示していましたが、8月に入り「マイナス2~プラス1%成長」と予想を修正し始めました。

トルコの経済データのまとめトルコの経済データのまとめ

2020年8月29日 ブラジルの政府内対立

ボルソナロ大統領とゲジス経済大臣の関係が悪化し懸念

ボルソナロ大統領と経済政策を統括するゲジス経済相の対立が表面化しており、懸念が上昇しています。

次期大統領選を見据え、大統領周辺が現金給付策の拡充をもくろむ中、財政規律の堅持を唱えるゲジス氏が反対しているのが直接のきっかけです。

改革路線が停滞するとの見方から、通貨安懸念も再燃しています。

ボルソナロ政権は現在、「ボルサ・ファミリア」と呼ばれる、貧困家庭向けの現金給付策を刷新し、名前も「ヘンダ・ブラジル(ブラジル所得計画)」と変えた上で、支給額の増額や支給対象の拡充を計画しています。

ボルソナロ氏は「小さな政府」を標榜し、2016年まで政権の座にいた左派陣営が設立したボルサ・ファミリアについても票の買収だと批判していました。

しかし最近、方針を一転させ、世帯あたりの給付額を毎月300レアル(約5800円)と、現行水準から6割近く増やし、対象人数も従来の1420万世帯から4~6割程度拡大する計画を掲げています。

ゲジス氏がこれに反対しているのです。

ゲジス氏は新自由主義的な改革路線を進めており、昨年には財政赤字の要因となっていた年金制度の改革を主導。経済界や投資家からの信頼も厚い人物です。

新型コロナ対策で財政支出が増加する中、ゲジス氏は給付額を削減するよう主張しています。

また、財源として、既存の受給者の一時給付金を削減するという案も提言しましたが、ボルソナロ氏は貧しい人からもっと貧しい人に分け与えることはできないと述べて、経済省の提案する法案を議会にかけないと発表しました。

ボルソナロ氏がかつて批判していたバラマキ色が強い政策を推進するのは、2022年に予定されている大統領選での再選を目指すためとみられます。

格差が大きいブラジルでは近年、大衆迎合策を掲げる左派政党が低所得者層の支持を独占してきました。

2018年の大統領選で当選したボルソナロ氏も、中間層以上からの支持を固めたものの、低所得者層が多い地域では左派候補の後じんを拝しているのが現状です。

最新の世論調査によると、ボルソナロ氏の支持率は37%と、6月の前回調査から5ポイント上昇し、不支持率も34%と、10ポイント低下しました。

低所得者層の間で、新型コロナ対策として政府が実施した月額600レアルの緊急支援策が評価されたといわれています。これがボルソナロ氏のバラマキ路線への傾斜を強くしているのです。

ボルソナロ氏との路線対立が表面化したことで、通貨レアルは対ドルで落ち込み、年初来からの下落率は3割近くに達しています。

仮にゲジス氏が政権から去れば、さらなる通貨安は避けられない状況です。

ブラジル大統領ボルソナロ氏の経済政策に関するまとめ

2020年8月28日 安倍首相辞任で日本株急落

米株は引き続き好調

2020年8月28日、アメリカ株式市場はハイテク株の上昇が主導し、S&P500が6営業日連続で終値での最高値を更新しました。

ナスダック総合も反発し、終値での最高値を更新したほか、ダウ工業株30種は年初来プラスを回復しました。

日本の安倍首相辞任の意向で金融市場はリスクオフ

2020年8月28日、日本の安倍晋三首相が辞任の意向を固めたと伝わり、金融市場では投資家のリスクオフ姿勢が一気に強まりました。

日経平均株価は一時600円を超える値下がりとなり、ドル安・円高が進行しました。

債券相場も一時急落(金利は上昇)しました。

安倍政権はこれまで外交政策でトランプ大統領との良好な関係、経済政策はアベノミクス、金融政策は黒田氏との関係と三つの面で安定していたと見られていましたが、これがどの様に変化していくかが今後のポイントです。

マーケットの急落・急騰についてのまとめ

2020年8月27日 FRB、物価2%超を容認

FRB、物価2%超を容認

2020年8月27日、FRBはゼロ金利政策を長く続けるため、2%の物価上昇率を目指す政策指針を修正すると決定しました。

金融政策の目標として「当面の間は2%を上回るインフレ率を目指す」と明記し、利上げは少なくとも2023年以降になる見通しです。

アメリカの金融政策の経緯とまとめ

2020年8月26日 アルゼンチン、IMFと新たな交渉開始と発表

アルゼンチン、IMFと新たな交渉を始めると発表

2020年8月26日、アルゼンチン政府はIMFと債務再編や追加支援についての交渉を始めると発表しました。

現政権は持続不可能な債務を押しつけたとしてIMFを批判してきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、債権者との対話路線に転じました。

グスマン経済相がIMFのゲオルギエバ専務理事あてに公開書簡を送り、マクリ前政権が2018年に結んだ融資について「持続不可能だ」と合意が拙速だったと主張しています。

その上で、2021年から24年にかけて、支払いの調整が重要だと指摘し、債務減免や返済猶予の要求を示唆しました。

また、アルゼンチン政府は債務再編交渉と並行して、追加支援も要請する構えです。

ゲオルギエバ氏は26日、アルゼンチンのフェルナンデス大統領と電話で協議したことを明らかにしたうえで、「IMFの新たな支援プログラムについて、議論を始めるという要請を受けた」と発表しました。

アルゼンチンは、650億ドルの債務再編案が最終段階に近づいています。

額面1ドル当たり平均55セント相当のオファーの受け入れ期限は28日で、成功すればIMFとの協議開始に道が開かれるという形になっていました。

アルゼンチンの通貨危機、財政危機の経緯とまとめ(2018年~)

2020年8月25日 日本株、一時コロナ前を回復

日経平均が一時コロナ前を回復

2020年8月25日、日経平均株価が新型コロナウイルスの感染拡大で2月に急落する前の水準を一時回復しました。

新規感染者の増加がピークを超えたとみられ、経済再開への期待が高まった為です。

各国中央銀行の金融緩和策は続いており、株式市場に投資マネーが流入しています。

半年間でコロナ後を見据えた銘柄選別が進んでおり、相場をけん引する銘柄の顔ぶれは大きく変わりました。

先進国・その他の状況

2020年8月24日 久しぶりの米中協議

米中が第一段階の合意に関する協議を実施

2020年8月24日、ライトハイザーUSTR代表とムニューシン財務長官は、中国の劉鶴副首相と電話会談し、米中通商合意の「第1段階」を履行する決意を再確認しました。

両国の正式協議は5月初旬以来です。

USTRの声明によると、双方は知的財産権保護の強化や金融サービス・農業分野での米企業に対する障壁の撤廃、技術移転の強制の廃止を確実にするために、貿易合意が求めた構造改革の実行に向け中国が講じた措置を議論したようです。

米中関係が技術の安全性や香港問題、新型コロナウイルスへ対応などを巡り悪化する状況にあって、貿易は両国が協調する数少ない分野の1つとなっています。

ただ、中国が第1段階合意で公約したアメリカの農産品とエネルギー、工業製品の購入ペースは今年の目標を大きく下回っている状況です。

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2020年8月21日 イギリスとEUの交渉、目立った進展なし

イギリスとEU交渉、目立った進展なし

EUとイギリスの交渉は、進展がほとんど見られなかったようです。

年末の期限が刻一刻と迫る中、双方の首席交渉官は膠着状態を互いに非難しました。

イギリスのフロスト首席交渉官は、離脱後交渉での合意はまだ可能で、引き続きイギリス側の目標ですが、合意達成は容易でないと指摘しました。

イギリス側によれば、EU側はまずイギリスが国家補助と漁業権に関する立場を受け入れる必要があると主張しており、それがネックになっているようです。

EUは、年内の批准を可能にするためには、10月15ー16日開催のEU首脳会議での承認に間に合わせる必要があるとしていますが、移民、安全保障、紛争解決メカニズム、人権保証などの分野でも意見の相違が続いています。

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2020年8月20日 トルコ、政策金利据え置き

トルコ、政策金利を据え置き

2020年8月20日、トルコ中央銀行は金融政策決定会合を開き、主要な政策金利の1週間物レポ金利を年8.25%で据え置くと決めました。

通貨リラは史上最安値圏で推移しており、利上げをしなければならない状況ですが、低金利で景気を支えたい政権の意向をくんだとみられます。

中銀は声明で、新型コロナウイルス対策のために導入した流動性措置を継続すると表明しました。

最近取った引き締めステップが金融市場の安定を支えると判断した、としています。

トルコの金融政策の経緯とまとめ

2020年8月19日

インドネシア、政策金利を4%に維持

2020年8月19日、インドネシア銀行は政策金利の据え置きを発表しました。

通貨ルピアを支えるとともに、これまでの緩和の効果を見極めるまでは利下げ余力を温存します。

中銀は7日物リバースレポ金利を4%で据え置きました。

この据え置きはほぼ予想通りでした。

インドネシアは今年既に計1%の利下げを実施しており、ルピアは年初来でドルに対して6%余り下落しています。

インドネシアの金融政策のまとめ2019年4月~

米中、貿易協議を再び計画

米中国が貿易協議の日程を再調整する計画のようです。

両国は第1段階の合意発効から6カ月の節目に合わせて、履行状況を点検する協議を先週末に予定していましたが、直前になって延期していました。

日程はまだ決まっていないものの、協議自体は近く開催されるとの報道があります。

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イギリス・EU交渉が再開される

2020年8月19日、難航している交渉が再開されました。

決裂すれば人身売買や密輸など組織犯罪の摘発に悪影響が出るとの懸念が強まっています。

イギリスがEUの犯罪者データベースにアクセスできなくなったり、EUとの情報共有のホットラインが切れたりするためです。

関税ゼロの貿易の維持など経済関係に注目が集まりがちですが、テロや組織犯罪への協力なども重要な焦点の一つです。

今回の交渉はブリュッセルで21日まで対面式で行う予定となっています。

今回交渉が決裂すれば移行期間の終了と同時にイギリスは上記の様な仕組みを原則として利用できなくなり、EUもイギリス側の情報を入手しにくくなってしまいます。

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2020年8月18日

トルコリラ、連日の最安値を更新

リラが対ドルで連日の最安値を記録しています。

トルコリラは17~18日、対ドルで史上最安値を更新し、一時1ドル=7.4リラ台に迫り、2019年末からの下落率は20%近くに達しました。

通貨危機の再燃を懸念する金融市場では20日の金融政策決定会合で、中央銀行の利上げを期待する声が強いようですが、エルドアン大統領は反対しています。

国営銀行を通じて間接的に為替介入する中銀の限界も近づいています。

外貨準備高(金を除く)は8月7日時点で460億ドルとなっており、19年末から4割超も減りました。

政策金利が8.25%と足元のインフレ率(12%)を大きく下回る実質的なマイナス金利状態で、リラには下落圧力が継続的に働いています。

マーケット関係者からは通貨を安定させるためには5%前後の利上げが必要との声が上がっています。

しかし、トルコ国内では20日の会合で中銀は利上げを見送るとの見方が大勢のようです。

理由は景気刺激を優先するエルドアン氏が利上げに反対しているからです。

金利が下がれば物価も下がるという独自の考えを持つエルドアン氏は8月10日に、

「金利がさらに下がることを望む」

と中銀に圧力をかけています。

エルドアン氏は2019年7月、利下げ要求に従わないことを理由に当時の中銀総裁を更迭した経緯があります。

後任として副総裁から起用されたウイサル現総裁は就任以降、20年5月まで9会合連続、計15.75%もの利下げを実施してきました。

大統領の意向をむげにできない中銀は「裏口」の金融引き締めに乗り出していますが、焼け石に水なのかもしれません。

8月7日には1週間物レポ金利を使った市中銀行への資金供給を停止して、より金利の高い後期流動性貸出金利(11.25%)などに誘導しています。またし、景気浮揚のため国営銀などに促していた、政策金利を大きく下回る水準での個人・企業向け融資の金利も引き上げさせました。

ただ、中銀は18年夏の通貨危機「トルコショック」の前も同様の引き締め策で解決を試み、失敗した経緯があります。

利上げの判断が遅れるほど傷口を広げ、最終的にはより大幅な利上げを余儀なくされる可能性があります。

トルコ・リラの動き、経緯とまとめ

S&P最高値更新で弱気相場は終了

2020年8月18日、アメリカ株式市場では、S&P総合500が終値として過去最高値を更新しました。

3月23日に新型コロナウイルス感染拡大を受けて付けた安値からは約55%上昇しました。

2月下旬に始まった弱気相場はS&P500の歴史の中で最も短かいものとなりました。

先進国・その他の状況

2020年8月17日

ブラジルレアル、売り優勢

財政規律のゆるみが嫌気され、ブラジルの通貨レアルが売られています。

2020年8月17日には対ユーロで過去最安値を更新し、対ドルでも約3カ月ぶりの安値を記録しました。

通貨安は輸入物価の上昇によるインフレを招く可能性があり、ブラジル経済にとって新たな不安要素となっているようです。

ブラジル市場の終値で1ユーロ=6.54レアルと、過去最安値を更新した。年初来の下落幅は31%に達しています。
対ドルでも1ドル=5.5レアルと同27%安で、約3カ月ぶりの安値となりました。
通貨下落の背景にあるのが、財政規律の緩みに対する警戒感です
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府内では失業者向けの現金給付の再延長や大規模な公共事業案が浮上しています。
経済政策を統括するゲジス経済相は財政赤字の拡大に反対していますが、次の大統領選を巡って財政支出を拡大させるべきという人間もおり、政権内での不一致が取り沙汰されています。
ゲジス氏とボルソナロ大統領は17日にも会談したようですが、結論は出なかったようです。
相次ぐ利下げで政策金利が過去最低の2%となる中、先進国との金利格差縮小で財政赤字と経常赤字の「双子の赤字」を抱えるブラジルの通貨は売られやすい地合いとなっていた所、今回の財政規律のゆるみ問題が出てきて一気に売り優勢となったわけです。
新型コロナ対策が長期化する中、ボルソナロ政権の改革路線が鈍化したとして、経済省からは幹部が次々と離脱しているのも気がかりです。
17日にもマクロ経済政策を担当する次官が辞意を表明しており、経済政策の先行きに不透明感が増し、これもレアル売りの材料となっています。

2020年8月14日

米中の通商会合は延期に

米中が8月15日に予定していた通商合意の履行状況を精査するための会合が延期されたようです。

8月14日、明らかになりました。

関係者によると、中国共産党指導部が例年8月に河北省北戴河で開く「北戴河会議」が継続しているため、米中会合が延期されたためで、通商合意履行に問題があったわけではないという事です。

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ブラジルの成長予想をマイナス5%に上方修正

2020年8月14日、ゴールドマン・サックスのエコノミストらは今年のブラジルのGDP予想をそれまでのマイナス7.5%からマイナス5.0%に上方修正しました。

ゴールドマンによれば、修正の背景には活動指数の回復、前向きな指標やセンチメント調査、景気刺激策が少なくとも年内は継続される公算が大きくなっていることがあると指摘しています。

ブラジルレアルは上がるのか?現状から今後の行方まで色々なポイントで考えるブログ

ジョコ大統領が年次教書演説

2020年8月14日、ジョコ大統領は国会で年次教書演説に臨み、新型コロナウイルスで打撃を受けた経済を改革で底上げすると訴えました。

「経済回復の加速と改革の強化」を目指す2021年予算案を明かし、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとして、食品・エネルギーの安全保障強化、天然資源の国内加工拡大などを通じて経済を再起動させなければならないと呼びかけました。

今後の経済政策のポイントとしては、

  1. 2020年の成長率の目標は4.5%~5.5%
  2. 歳出は2747兆ルピア(約19兆円)で、2020年の当初予算案より約9%増
  3. 2021年の財政赤字は971兆ルピアでGDP比で見ると5.5%

となります。

演説では財政赤字の拡大に理解を求め、2021年も積極財政で成長率をV字回復させる考えを示しました。

インドネシア財務省は8月14日、2020年の成長見通しをマイナス1.1%~プラス0.2%に下方修正しました。

2021年の政策の柱には

  1. 経済回復の加速
  2. 生産性や技術革新、競争力を引き上げる構造改革の推進
  3. デジタル経済への適応
  4. 人口動態変化への対応

を掲げています。

インドネシア・ジョコ政権の経済政策のまとめ

2020年8月13日

メキシコが0.5%の利下げ

2020年8月13日、メキシコ銀行は金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%引き下げて4.5%にすることを決めました。

利下げは10会合連続で、2016年9月以来の低い水準です。

新型コロナウイルスの感染拡大で経済が落ち込んでいるのに対応したわけですが、2019年8月からの累計の引き下げ幅は今回で3.75%に達しています

中銀はこの日の声明で今後の政策運営について、利下げ余地はインフレとインフレ期待の動向次第だと指摘しています。

7月の消費者物価指数は、前年同月比3.62%上昇しており、中銀の政策目標(2~4%)の範囲内ではあるものの、今年2月以来の高い上昇率となりました。

【最新】メキシコの金融政策についてのまとめと経緯

2020年8月10日

銀行に融資促進を求めた規制を緩和するも、リラは最安値更新

トルコが通貨リラの安定を図るため、銀行に融資促進を求めた規制の緩和に動きました。

2020年8月10日、融資拡大を促す指標の資産比率を民間銀行は従来の100%から95%に、イスラム銀行は80%から75%に引き下げます。

資産比率規制は今年に入り、金融機関に融資や国債購入の拡大、中央銀行とのスワップ取引を促すために導入されていました。

ただ、これに対する通貨マーケットの反応はあまりなく、リラは対ドルで一時7.4084リラと最安値を更新しました。

トルコ・リラの動き、経緯とまとめ

2020年8月7日 雇用統計、回復ペース鈍る

雇用統計は改善したものの回復ペースは鈍る

2020年8月7日発表となった7月の雇用統計は、失業率が10.2%と前月から0.9ポイント低下し、3カ月連続で改善しました。

ただアメリカ経済は新型コロナウイルスの感染拡大が続き、経済対策の期限も一部切れます。

今回の統計は、新型コロナ感染拡大が引き起こした景気後退の底からアメリカ経済が抜け出しつつある中、労働市場が持ち直していることを示しています。

ただ、失業率は引き続き高く、今後もすぐに改善する事はなかなか難しいと思われます。

実際に週次で発表される米新規失業保険申請件数は、雇用市場の回復ペースの鈍さを示唆しています。

アメリカの金融政策の経緯とまとめ

止まらないトルコリラ下落

トルコは通貨リラの下落を食い止めようと、流動性措置を段階的に縮小すると発表しましたが、リラ売りは止まりません。

8月6日に発表された流動性措置の段階的な縮小は、利上げという強力な措置を回避するための代替策だと受け止められています。

ただ、利上げに踏み切るとなれば、エルドアン大統領の利下げ推進に反します。

しかし、今回の様な小手先の対応では事態の打開は見込めず、やはり適切な利上げを行うしか市場は納得しないと見られています。

トルコ・リラの動き、経緯とまとめ

2020年8月6日 トルコリラが最安値更新

インド、苦渋の金利据え置き

2020年8月6日、インド準備銀行は金融政策決定会合で、政策金利を年4%で据え置くことを決めました。

新型コロナウイルス拡大による経済封鎖でインドは大打撃を受け、中銀は4月開始の2020年度の経済成長がマイナスになると予測しており、利下げで景気底上げを狙うとの見方もありましたが、景気てこ入れのための追加措置の前にインフレ沈静化を待つ考えのようです。

予想ではおよそ50%の確率で利下げされると予測されていました。

今回利下げはしませんでしたが、新型コロナウイルス危機を踏まえ、緩和スタンスを必要な限り維持する方針を示し、銀行の法人向け融資の再編を認めると発表しています。

【最新】インドの金融政策と政策金利のまとめ

トルコリラが対ドルで過去最安値を更新

2020年8月6日、トルコリラの相場が一時1ドル=7.3リラまで下がり、対ドルで5月上旬に記録した過去最安値を更新しました。

前日比の下落率は3%を超え、対ドルの下落率は19年末から18%に達しました。

当局は国営銀行を通じてリラを買い支えてきましたが、原資の外貨準備が減り続けており、原資の外貨準備が減り続けている状況で、防衛の目安の相場水準を切り下げたとの観測が市場に広がった結果となりました。

トルコは政策金利がインフレ率を下回る実質マイナスの状態で、リラが売られやすい状況です。

新型コロナウイルスの影響でトルコ経済も悪化しており、予断を許しません。

中銀の外貨準備(金を除く)は足元で509億ドル(約5兆3000億円)で、2019年末に比べ37%減っています

リラは対ユーロでも6日に一時、過去最安値を更新しました。

エネルギーを除く輸入の決済はユーロ建てが多く、足元で12%のインフレの加速につながる可能性が高まっています。

トルコ・リラの動き、経緯とまとめ

フィリピンの4-6月期のGDPは▲16.5%

2020年8月6日、フィリピン統計庁は2020年4~6月期のGDPが前年同期に比べ16.5%減ったと発表しました。

これは四半期の統計を取り始めた1981年以来、最大の落ち込みです。

もちろん背景は新型コロナウイルスに伴うロックダウンです。

これで20年通年は前年比5.5%減となる見込みです。

4~6月期のGDPの減少幅は、1~3月期の前年同期比0.7%減から一段と拡大し、市場予想の平均値だった11%減をも大きく超えました。

以下が詳しい数値です。

  • 4~6月期の設備投資は62.1%減
  • インフラ工事も停滞し、建設投資は32.9%減
  • GDPの約7割を占める個人消費は15.5%減
  • 国際送金の受取額は3月から3カ月連続で前年同月を下回る
  • 政府支出はコロナ対策などで22.1%増

20年通年について政府は、2%減~3.4%減としていた見通しを5.5%減に引き下げています。

フィリピン政府は4日からマニラなどの外出・移動制限を再び厳格化しており、経済低迷は長期化しそうです。

フィリピンの統計・データのまとめフィリピンの統計・データのまとめ

2020年8月5日 インドネシア、成長率マイナス5%

インドネシアの4-6月期GDP、マイナス5%

2020年8月5日、インドネシア中央統計局は2020年4~6月期のGDPが前年同期に比べ5.32%減少したと発表しました。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞が響き、1999年以降、四半期ベースで初めてのマイナス成長を記録しました。

新型コロナ感染拡大は外需の低迷やコモディティー価格の低下による輸出の落ち込みや、消費の抑制、企業の投資先延ばしなど、経済に幅広い影響が見られました。

インドネシア財務省は3.5~5.1%落ち込むと予想、市場予想は4.61%減でしたがいずれも下回りました。
以下、内訳です。
  • GDPの約6割を占める家計消費は5.51%減少
  • 約3割を構成する投資は8.61%減少だった。
  • 内・外需双方で景気に急ブレーキが掛かり、農林漁業やIT サービスなど一部を除いて多くの分野で生産に大幅な下押し圧力

インドネシアに限らずですが、今後も正念場が続きそうです。

インドネシアの統計・経済データのまとめインドネシアの統計・経済データのまとめ

ブラジル、利下げで実質マイナス金利

2020年8月5日、ブラジル中央銀行は政策金利を年率で0.25%引き下げ、過去最低の2%に改めると決めました。

これは物価上昇率を下回る水準で、実質金利はマイナスとなります。

新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、金融政策で景気を下支えする一方、通貨安を促す可能性もあり、注意が必要です。

中銀は

「経済はロックダウンの影響を受けている分野が衰弱している」

と指摘し、経済を支える為金融緩和が必要だと強調しました。

その一方で、利下げ余地が限られているとも説明し、利下げを続けてきた従来の金融政策を見直す可能性を示唆しました。

しかし、中銀はインフレ予想が目標レンジに十分近づくまでは、金融緩和策を維持する方針も示しており、予断は禁物といった所です。

【最新】ブラジルの政策金利と金融政策の推移とまとめ2018~

2020年8月4日 アルゼンチン債務交渉合意

アルゼンチン、再編交渉で合意

2020年8月4日、アルゼンチン政府は償還期限が過ぎるなどしていた総額650億ドルの国債に関して、主要債権者団と元本や利払いの減免で合意したと発表しました。

元本などを削減した新たな国債を発行して対象の国債と交換します。

また、債権者の合意を取り付けるため、新たに発行する債券の一部で利払いと償還期限を前倒ししたと政府は説明しています。

尚、強制的に債務交換に持ち込まれかねないと債権者側が懸念し、交渉の争点になっていた集団行動条項については、新たに発行する債券に関する文書で当該内容を一部調整するとしています。

政府からは具体的な減免額などは明らかにされていません。

今回の合意は、他の新興国の債務再編などの動きにも影響を与えるかもしれません。

アルゼンチンの通貨危機、財政危機の経緯とまとめ(2018年~)

オフショアでリラの決済できず、節目の1ドル=7リラを突破

2020年8月4日、複数の国際的な金融機関で、トルコの銀行を相手方としたトルコ・リラのポジションを決済することができなかったようです。

オフショア市場でのリラの流動性を制限する政策の結果のようです。

オフショアの投資家がリラを借り入れるコストが一時1050%も急騰したため、外国銀行はリラの支払いを履行できませんでした。

今回のような決済不能は以前にもあり、トルコ当局は一時的に国内銀行がシティグループとUBSグループ、BNPパリバと取引することを禁じていました。

今回のリラひっ迫は、トルコ国営銀行による先週の大規模な介入の結果と考えられます。

国営銀行による大量のドル売りの決済が祝日明けの4日に始まり、リラが不足しオフショア市場での翌日物借入金利は1年5カ月ぶり高水準に跳ね上がったのです。

当局はリラ売りを防ぐために外国人投資家が国内銀行からリラを借り入れることを禁止していて、トルコ中央銀行からの資金供給も利用できません。

このためリラが必要な際は、供給が限定的なオフショア市場で借り入れるしかないわけです。

こうした事もあり、8月5日は節目の1ドル=7リラを割り込んでいます

トルコ・リラの動き、経緯とまとめ

2020年8月3日 フィリピン株価が急落

フィリピン株価指数が3.8%下落

2020年8月3日、フィリピン株式市場は総合株価指数が一時3.8%下落し、2カ月ぶり安値を付けました。

新型コロナウイルスの感染者が急増しており、10万人を突破したことを受け、首都マニラとその近郊で4日からロックダウンを再開すると決定したことが主因と思われます。

指数を構成する30銘柄全てが下落し、GTキャピタルは7.7%安と下げが目立っています。

フィリピン株式の動きフィリピン株式の動き

2020年8月2日 米中貿易摩擦、TikTokへの影響

TikTokのアメリカ事業をマイクロソフトに売却交渉

中国のバイトダンスが、世界で人気の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」のアメリカ事業などの売却交渉に追い込まれました。

トランプ政権による排除が原因ですが、中国が個人情報取得などでネット事業者への統制を強めていることが跳ね返った形です。

ムニューシン財務長官も、ティックトックは1億人のアメリカ国民の個人情報を中国側に流出させるリスクがあると指摘しています。

米中の分断が加速するのは確実でしょう。

トランプ大統領は8月2日、今回の事業売却へ向け、45日間の猶予期間を与えたと報じられています。

マイクロソフトも同じ日に9月15日までの交渉継続を明らかにしています。

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