ここではトルコへの投資でも特にトルコリラの動きについてフォーカスして記述していきます。
トルコリラはエルドアン大統領の言動など政治的な影響を受けて乱高下するのが最近の動きです。このため、単純なテクニカルチャートでは上手い具合に投資成果を上げるのは難しいでしょう。トルコの政治と経済政策といったものにも注意を払っておくと一喜一憂せず長期的にこの通貨を付き合うことが出来るかもしれません。
これまでの経緯は以下をご参考ください。
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トルコ・リラのチャート
まずトルコリラの5年チャートです。(出所:TradingView)
2022年5月
世界的なリスク回避姿勢から下落
5月中旬、トルコ・リラは円や⽶ドルに対して下落しました。
世界的なリスク回避姿勢の⾼まりによる円⾼・⽶ドル⾼に加え、トルコ住宅市場の更なる過熱への懸念、ウクライナ紛争の⻑期化懸念、ロシア産天然ガスの欧州への供給不安、など不安材料が目白押しで下落となりました。
2022年4月
4月中旬以降は小幅下落ながら、他通貨に比べると緩やか
4月中旬以降のトルコ・リラは円や米ドルに対して下落していますが、そこまで大きなものではありません。
多くの欧州通貨が売られる中でリラの下落率は比較的小幅にとどまっています。
4月下旬まで上昇が目立っていた株式指数も落ち着きを見せており、海外からトルコ株式市場への資金流入も一服した可能性が高そうです。
一方、金利は低下傾向が続き、FTSEトルコ国債指数は連日で史上最高値を更新しています。
2022年3月
ウクライナにおける停戦合意期待から上昇
3月最終週のトルコリラは上昇しました。
中国・上海のロックダウンによる商品価格の下落、ロシア国防省のウクライナの⾸都キーウなどにおける軍事活動を縮⼩するとの発表やロシアとウクライナの停戦合意への期待などから、トルコ・リラは円や⽶ドルに対して上昇しました。
リラ据え置きで、引き続きリラ安定のため更なる対応が必要
金融政策決定会合では、市場予想通り政策金利を14%に据え置くことが決定されました。
インフレ目標達成まで、リラ化戦略(liraization strategy)の枠組みの中で利用可能なすべての手段を用いると言っていますが、引き続き利上げの見込みは薄いでしょう。
リラ化戦略により、トルコの個人・企業の外貨預金残高は減少し、外貨からリラに資金を移していることが示唆されます。
しかし、同時に外貨準備高も減少しているため、リラを支えるために為替介入に頼っていると思われます。
持続可能な為替相場の安定のためには、更なる対応が必要で全く予断が出来ません。
2022年2月
ウクライナ危機で21日の週は、週間で3%程度下落
ウクライナ危機で、トルコ・リラは、円や米ドルに対して2月18日から1週間で3%弱下落しました。
金利も急騰しています。
リラは、年初から米ドルに対して狭いレンジで推移していたわけですが、24日にロシアがウクライナへの軍事攻撃を開始したことで原油価格が上昇し、またリスク回避姿勢が強まったことでリラ売り圧力が強まり、このレンジを下に突破しました。
ウクライナ危機でリラが下落
2月22日、トルコリラが一時、ドルに対して前日比1・6%下げ、1月上旬以来の安値を付けました。
ロシアによるウクライナ東部の親ロシア派地域の独立承認と派兵決定を受け、ロシア、ウクライナ双方と結びつきの強いトルコ経済の不透明感が強まるとの思惑が広がった事が背景です。
トルコにとってロシアはガス輸入の約半分を占める供給元になっています。
ロシアからの観光客数は2021年に460万人と国別で最大で、ウクライナ情勢を巡ってロシアとの関係が悪化すれば、エネルギー価格の上昇に加えて供給制限、観光客の減少などのリスクが懸念されるのです。
このままでは輸出増によって達成しようとしている経常収支の黒字化や中長期的な為替相場の安定が厳しくなります。
トルコはNATO加盟国で、友好関係にあるウクライナには軍事用ドローンを供給しています。
エルドアン大統領は2月22日、ウクライナのゼレンスキー大統領に電話して支持を伝えたもようで、外務省も同日、ロシアによる独立承認を「受け入れられない」などと非難しましたが、制裁などの対抗措置には触れず立場の微妙さをにじませました。
トルコはこのまま板挟みに苦しむかもしれません。
リラの先行きは明るくない
ここ最近のリラ相場は安定していますが、経済の状況はもちろん悪く、リラの先行きは決して明るいとは言えません。
生活必需品を中心に足下のインフレ率はかなりの高さになっており、中銀が重視するコアインフレ率も同様です。
中銀は本来なら利上げすべきところ、2月17日の定例会合で政策金利を2会合連続で据え置きました。
中銀は先行きのインフレ鈍化を期待しているほか、経済の「リラ化」を主眼においた対応が続く模様です。
ウクライナ問題は原油高に加え、ロシアとウクライナからの観光客減が懸念され、エルドアン大統領は仲介に乗り出しているものの、事態収拾は難しいでしょう。
問題は長期化し、経済の体力が着実に悪化する事を勘案すると、リラに強気になることは出来ないでしょう。
ネバディ財務大臣、リラの安定化を誓う
ネバディ財務大臣が2月8日にロンドンで投資家とのミーティングに出席しました。
そこで、為替レートを安定させること、インフレ率を1桁台に下げること、米ドル化を阻止することを誓いました。
また、家計が保有する金(ゴールド)をリラに替えることを奨励する新たな政策を今週末に発表すると述べました。
2022年1月
徐々にトルコリラは安定
少しずつですが、トルコ・リラの安定感が増しているようです。
1月10日から始まる週においては、対米ドルで数%程度、対円でも1%弱上昇した程度です。
特に、12日はエルドアン大統領がインフレ抑制にコミットすると議会で発言したことや米ドル安によりリラが上昇しました。
長期金利の上昇に一服感が出るなど、債券市場も徐々に落ち着きを取り戻しつつあるようです。
ただし、政府によるリラ相場安定策については有効性に不透明なところが多いのが実情と言えます。
政府のなりふり構わぬ対応で足下でリラ相場のボラティリティは低下しているものの、金融市場では利下げ観測がくすぶるほか、政府の奇策の影響を懸念する声も絶えません。
経済団体も政策を疑問視
1月6日、トルコリラが対ドルで一時1.7%下落し、過去9営業日の下落率は約22%に達しました。
トルコ中央銀行による一連の利下げ後に、インフレ率が19年ぶりの高水準となったことへの懸念が根強いと思われます。
リラは一時1ドル=13.89リラまで下落し、その後は下げ幅を縮小しています。
アナリストによると、中銀は5日、約1年ぶりに国債買い入れを行い、2027年と28年に満期を迎える3億リラ相当の国債を購入したようです。
これを受け10年債利回りは前日の23.11%から22.63%へ低下しました。
物価連動国債を検討
トルコ政府が物価上昇による不利益を防ぐ仕組みを取り入れたリラ建て国債の発行を検討していることがわかりました。
2021年12月に外貨換算での価値を保証するリラ定期預金を投入したばかりですが、急激に進む物価上昇やリラ安に対する国民の不満を避けるため、追加の施策を進めているようです。
通常の固定利付債では発行時の元本や利率も発行時から変わりませんが、物価連動債では物価上昇に合わせて元本を増加させることで受け取れる元利合計額を増やして、物価上昇による目減り分を相殺できます。
物価上昇分を補塡することでリラ建て国債への投資を促し、外貨に流れてリラ安になることを防ぎます。
インフレ率が極めて深刻
トルコでインフレが深刻になっています。
1月3日発表された2021年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比36%でした。
21%だった11月から急加速しましたが、この背景は11月以降だけでドルに対して一時4割安となった通貨の下落があります。
卸売物価指数(PPI)は80%増で、物価上昇はさらに加速する恐れがあります。
2021年12月
リラの年間下落率は44%
トルコリラの2021年の年初来下落率は対ドルで44%となり、IMFの支援で金融危機から脱した2001年以来の大幅な下落率を記録しました。
約20年にわたりトルコの政権を握ってきたエルドアン大統領の下で最大の下落率となったほか、ここ数年の新興国市場でも最悪のパフォーマンスを示しました。
エルドアン大統領は12月31日、市場の変動はほぼコントロールされているとして、国民に対し、全ての貯蓄をリラ建てにし金を銀行に預けるよう呼びかけました。
また、改めて高金利は物価を上昇させるという独特の見解を繰り返しました。
これを受けてリラは一時1ドル=13.63リラまで下落しましたが、終値では横ばいの13.1875リラまで回復しました。
インフレと独自の金融政策への懸念が強い
トルコリラは29日、一時5.6%下落しました。
インフレ高進と異例な金融政策への懸念が根強い事が背景にあります。
トルコ中銀が2022年政策報告を発表、為替市場に関連するリスクを注視し、円滑な動き確保に必要な措置を講じる方針を示しましたが、市場はほとんど反応していません。
中銀は、特定の為替相場にコミットせず、相場の水準や方向性を設定するために外貨の売り買いをしないと表明するとともに、物価・金融の安定目標の追求に所要準備を活用するとし、他国の中銀との外貨融通取り決めの協議を継続するとしました。
リラのインプライドボラティリティーは最近つけた最高水準付近にあります。
急騰から反落
トルコ・リラは27日、対ドルで急落。リラ安から預金者を守る政策の発表を受け、先週は前例のない急上昇を記録しましたが、反落しています。
エルドアン大統領は20日遅く、ハードカレンシーに対するリラの下げが銀行の約束する金利を上回る場合、リラ建て預金者が被る損失を政府が補てんすると表明し、ショック的な感じで急上昇しました。
しかし、徐々にこうした政策が予算とインフレに与え得る影響を巡り疑問が生じ、これがリラ売りへつながっています。
トルコの企業、通貨安で大混乱
急激な通貨安に見舞われるトルコで経済界に混乱が広がってきました。
通貨リラが1カ月でドルに対して3割超も減価したことを受け、調達費や人件費が高騰しているためです。
経済団体は是正を求めていますが、エルドアン大統領は低金利政策を堅持する考えを繰り返しています。
エルドアン氏の支持者が多い建設業界からも異論が出ている状況です。
そんな中でもエルドアン氏は自身の経済政策を撤回しない考えを繰り返しています。
19日夜の演説では、私から利下げ以外を期待しないでほしいと発言しています。イスラム教の教えに基づいて利下げを主張するのです。
中銀は16日の金融政策決定会合の際に公表した声明で利下げサイクルの終了を示唆しましたが、一段の利下げがあり得るとの見方も広がっています。
奇策頼みのリラ上昇で、効果は長続きしないとの予測
12月24日は1ドル=10リラ台で取引を終え、上昇率は20日の18リラ台の最安値から考えると、72%に上ります。
トルコでは自国通貨への信頼が低く、預金の6割超を外貨が占めています。
新たな仕組みは外貨資産をリラに替えさせる狙いです。
もっとも、リラの上昇はほとんど官製相場だとの指摘もあります。
トルコの銀行関係者によると、国営銀行による外貨売りは20~24日、100億ドルを超えました。
中銀の貸借対照表を基に計算すると、国営銀行を通じて間接的な介入を行ったとみられる中銀の外貨準備高は借り入れを除くとマイナスに転じています。
政府は日本を含む複数の国に通貨スワップ協定の締結を提案しているほか、外貨収入のある政府系企業にもドル売りを促しているもようですが、「弾切れ」は時間の問題なのです。
この状況で、リラが再び下落に転じれば、政府と中銀は預金保護のための為替差損を背負い込むことになります。
エルドアン氏がこの様なリスクを取る背景には、インフレに対する国民の怒りがあると思われます。
公式の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比21%、大学教授らでつくるENAグループは同58%としています。
食料品や日用品は毎週のように値上がりし、与党連合の支持率は、連携を目指す野党の合計を下回りました。
インフレ解消のためには政策金利の引き上げが定石ですが、トルコ中銀は逆に9月以降に5%引き下げてしまいました。
経済成長を優先するエルドアン氏は金利を悪いものとみなしているからです。
大統領選と議会選は23年6月の任期満了までに行う必要がある中で、インフレ対応は急務であることがエルドアン氏の行動に拍車をかけています。
元中銀エコノミストは政府の負担が増す一連の政策をいずれ破綻する時間稼ぎであるものの、選挙まで持ちこたえる可能性はあるとみています。
一時、14%超の上昇
23日の外国為替市場でトルコ・リラがドルに対し一時14%超上昇しました。
背景は、中央銀行が16日の政策決定会合の議事要旨と資本フローの週間データを公表した事です。
これによると、中銀はこの議事要旨で、輸出が増加基調を強めていることから来年は経常黒字が見込まれると予想したようです。
実質的なドルペッグ制導入で、トルコリラが急騰
エルドアン大統領は20日、通貨リラ建ての預金を外貨換算の価値で保証する新たな預金保護策の実施を表明し、トルコが急騰しました。
リラ安に苦しむ家計部門の支援に向けて、リラ建預金に対して為替変動による損失を政府が補填するというものです。
20日のエルドアン氏の演説の直前に一時前週末比10%超安い1ドル=18リラ台の史上最安値を付けたリラはその後、13リラ台に急騰しました。
どうやら国営銀行がリラ買いに参加してリラ高を演出したもようですが、21日も不安定ながらリラ買いの動きは続き、一時11リラ台を付けました。
20日の最安値からの上昇幅は50%を超えました。
ただ、21日については不安定な動きで、押し戻されています。
一時1ドル=11リラ台まで上昇したものの、その後伸び悩み14リラ付近まで大きく下落しています。
今回の制度の特性上、リラが上昇しすぎるのも政府にとっては好ましくないため、為替相場を安定させるための介⼊が⾏われる可能性がある事にも注意です。
トルコリラが一時1ドル=17ドル台
17日、トルコリラが一時、前日比8%安の1ドル=17リラ台を付け、史上最安値を更新しました。
中央銀行は12月に入ってから5度目となる直接介入を行い、少しは戻しましたが、その後も前日比7%安の水準で推移しています。
トルコのエルドアン大統領は低金利による景気刺激を図っており、これに応えようと中銀は16日、主要政策金利の1週間物レポ金利を15%から14%に下げると決めました。
ただ、トルコの年初からの対ドル下落率は5割になってしまいました。
17日は株式市場でもトルコの代表的な株価指数BIST100が前日比8%超下落し、上場株式の全取引が停止されました。
株式相場の急落で、市場全体にわたるサーキットブレーカーが2回発動されました。
株式と株式デリバティブ、債券レポ市場の取引は1時間のうちに2回自動的に停止されました。
通貨安が進む中、株式投資で資産防衛する動きが広がり、BIST100は11月以降、今月16日までにリラベースでは5割上昇していました。
一週間で11%の下落
トルコ・リラは13日から始まる一週間で、円や米ドルに対して比10%を超える下落となりました。
13日にネバティ新財務相が「我々は金利を上げない」と発言したことを受け、リラは対米ドルで節目の14リラを突破し、史上最安値を更新しました。
直後にトルコ中銀が今月4回目となる為替介入を実施したことで、リラがごく短期的に上昇する場面もあったものの、再び下落に転じました。
そこに16日の金融政策決定会合で市場予想通り政策金利を15%から14%に引き下げることが決定されたわけです。
より小幅な利下げを予想していた市場参加者もいたため、発表後にリラは一段安となりました。
声明文では、前回会合で示唆されていた通り、利下げサイクルの中断が宣言されました。
2022年第1四半期にこれまでの利下げ効果を観察し、金融政策の枠組みを全面的に再評価するとしました。
金融政策決定会合後、過去最安値を更新
16日の金融政策決定会合で、1%の利下げが決まり、リラは一時、1ドル=15.689リラという過去最安値に急落しました。
トルコではこの4年間で2度目の通貨危機が発生し、リラの価値は今年に入って半分未満になってしまいました。
中銀が3度目の為替介入
トルコ中央銀行は10日、月内3度目の外貨売り介入を実施しました。
リラは下落が止まらず、1ドル=14リラへと近づいていました。
中銀は市場介入の実施を発表文で明らかにし、不健全な価格形成が理由だと説明しています。
エルドアン大統領が最近のリラ安について述べた際に使った表現をそのまま踏襲しています。
中銀が異例の介入
トルコ中央銀行は1日、通貨防衛のための為替介入をしたと発表し、その後、対ドルで一時、前日比8%反発しました。
トルコ中銀は声明で「不健全な為替相場が形成されているため(外貨の)売却によって市場で直接介入した」と述べました。
トルコ中銀は2018~19年、通貨安に対抗するため国営銀行を介して大規模な間接介入をしたとされますが、直接介入は2014年1月以来です。
リラは11月、1ドル=9リラ台から13リラ台まで下落し、1日で15%暴落することもありました。
11月30日夜にエルドアン大統領がテレビのインタビューで利下げ政策の堅持を繰り返したことで、再び13リラ台半ばの史上最安値を更新したところで、さすがに中銀もまずいと思ったのかもしれません。
12月1日の介入発表後、リラは1ドル=12リラ台まで急回復しましたが、直後にエルドアン氏が演説し、利下げを擁護すると再び13リラ台に下落しました。
何をやっているのかもはや分かりません。
2021年11月以前
以下をご参考ください。
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