トルコ・リラの動き、経緯とまとめ

ここではトルコへの投資でも特にトルコリラの動きについてフォーカスして記述していきます。

トルコリラはエルドアン大統領の言動など政治的な影響を受けて乱高下するのが最近の動きです。このため、単純なテクニカルチャートでは上手い具合に投資成果を上げるのは難しいでしょう。トルコの政治と経済政策といったものにも注意を払っておくと一喜一憂せず長期的にこの通貨を付き合うことが出来るかもしれません。

トルコ・リラのチャート

直近5年間にわたるトルコリラー日本円のチャートです。(出所:TradingView)

グラフ左上の「TRYJPY」がトルコリラー日本円、「USDTRY」がドルートルコリラのチャートです。


2015年1月以降ずっと下がり続けてきたのがわかると思います。

トルコ・リラはかなり政治に左右される

トルコ・リラに投資をする際は、政治的な意思決定に大きく左右されるという事をしっかり認識する必要があります。

特にトルコリラへ投資を行う個人投資家が注意しなければならないのが、エルドアン大統領の金融政策へのアプローチの仕方でしょう。

エルドアン大統領は大統領就任以来、自らの権力基盤強化に執心してきました。

国民からの支持を何とか取り付けて自身の権力基盤を安泰にするため、トルコに多いイスラム教徒が嫌がる利子という考え方を否定している可能性もあります。

エルドアン大統領の金融政策への考え方

有名なところですが、そもそも「利子」や「金利」というものを嫌っており、インフレを抑えるために金利を引き上げるという考え方も否定しています。

むしろ、インフレは金利を引き下げることで抑える事が出来るという、現代の金融理論とは真反対の考えを持っています。

エルドアン大統領は、インフレに対して利下げで対応するというやり方について、海外の金融マーケットから批判を受けている事を知っており、金融政策や経済政策について演説するときは、頻繁に自説を繰り返し主張しています。

エルドアン大統領の発言は、時々トルコリラにとってとてつもない爆弾となってしまう事があります。

例えば、2021年11月23日にリラは暴落したのですが、これはエルドアン大統領が11月22日夜、競争力のある為替レートが「雇用や投資を拡大する」などと発言したことが要因でした。当局が通貨安を容認し、緩和的な金融政策を続けるとの受け止めが広がったのです。

こうした予想もしない大暴落がリラには起こりえるのです。

トルコ・リラやトルコ債券に投資をしてきた個人が、大損してきた過去のイベント

トルコの中央銀行総裁、財務大臣の更迭

上記の通り、エルドアン大統領は金融政策に対して独自のアプローチを持っている人です。

元々は金融政策に対して中央銀行に一因する姿勢を見せていたものの、大統領となってより独裁色を強めてからは、金融政策に介入するようになってきました。

具体的には、エルドアン氏の主張に相いれない中央銀行や経済省庁の大臣を更迭し、代わりに自分の言う事を聞く人を任命する、というやり方です。

直近で、金融マーケットを驚かせたのが2021年3月のアーバル総裁の更迭とカブジュオール氏の新総裁就任でした。

【2021年のUSD-TRYの動き(出所:TradingView)】

©Trading view

アーバル総裁は金融市場からの信任も厚く、現代金融理論に則った政策を運営していました。このため、アーバル総裁の時はトルコリラはかなり安定的に推移したのです。

しかし、インフレを利上げによって乗り越える至極まっとうな政策をエルドアン大統領は嫌い、急に更迭してしまったのです。

カブジュオール氏が総裁となってからは、高いインフレ率にもかかわらず、金利据え置きか引き下げがなされるようになり、高いインフレ率とともに、トルコリラへの信任が下がってしまい、大幅なリラ安となってしまいます。

そしてリラ安が輸入物価高騰を招き、更にインフレ率を高めてしまうという悪循環となってしまったのです。

2021年11月と12月、トルコリラに何が起きたか

上記グラフを見ると特に11月以降の動きが目立っています。

これは元々11月15日の週に予定されていた金融政策決定会合で追加利下げが決定されるとの思惑から、軟調な推移が続いていたところ、実際に3か月連続の利下げが決定されたことで、最安値更新をしたものです。

更に11月23日にもリラは暴落したのですが、これはエルドアン大統領が11月22日夜、競争力のある為替レートが「雇用や投資を拡大する」などと発言したことが要因でした。当局が通貨安を容認し、緩和的な金融政策を続けるとの受け止めが広がったのです。

そして、更に12月も1%の利下げを行って、政府閣僚が「利上げを行わない」旨のコメントを発表したことで、史上最安値を更新したのです。

ただ、その後今度は実質的なトルコリラのドルペッグ制を導入したことで、一気にリラが買われるといった事態が起きるのです。

この辺りは、過去の経緯を上記で紹介している書籍でご確認ください。Kindle unlimitedで無料でお読みいただけます。

アメリカとの関係(バイデン氏就任以降)

エルドアン大統領は外交によって内政の失政を挽回してきた大統領です。

このため、アメリカとの関係が良好か否かは、トルコリラを売買するときに結構重要です。

アメリカがトランプ大統領の時は、エルドアン大統領と馬が合い、対米関係では大きな問題を抱えながらも、トランプ大統領との関係を利用して、何とか切り盛りしていました。

しかし、これが2021年以降大統領がバイデン氏になってからよりアメリカのトルコへの姿勢は厳しくなったと言えるでしょう。

アメリカの民主党政権が、トルコのアメリカとロシアを天秤にかけるような外交姿勢に対して拒否反応を強めているからです。

エルドアン大統領もこれは分かっていて、アメリカの大統領がトランプ氏からバイデン氏に替わると分かった瞬間から、対欧州やその他これまで外交的協議がほとんど行われなかった所への積極的な関与を試行し、トルコの外交的孤立が起きないように方針転換したことが窺えます。

トルコリラは今後どうなるか? これまでの経緯を知ることで心の準備をする

上記の通り、引き続きトルコリラは政治的な思惑に左右され続けると思います。

2022年現在におけるトルコリラ

常に史上最安値付近にあるため、なかなかどこが下値のめどだというのは分かりません。ただ、市民生活を考えるとこれ以上のリラ安は基本的に容認できないはずです。

国民からの支持を取り付けるためにエルドアン大統領は金利を低くすると言っているわけですが、これをそのまま放置し、リラ安に伴う輸入物価の高騰に対して座視し続ければ、それこそ支持率がどんどん下がっていく可能性もあります。

普通は利上げして通貨の動きを安定させることが望ましいわけですが、それが出来ない場合でも何らかの形で通貨の動きを緩やかにする政策は採られるでしょう。

いずれにせよ、政治に左右されるわけです。

トルコ政府と中央銀行はなんとか金利引き上げ以外の方法でリラ相場を上昇させ高位維持したいと考えているようですが、なかなかうまくいきません。

例えば、2022年6月下旬に発表されたリラ強制買いの政策についても、結果的にすぐに元の水準に戻ってしまったのです。

【2022年6月中旬~7月中旬のUSD-TRYの動き(出所:TradingView)】

©Trading View

トルコショックの際の動き

2018年に起きたトルコショックで大きな損失を被った投資家も多いでしょう。

もっとも、2022年から見れば、トルコショックも、大したショックではなかったと言えるものではありますが、当時はそれなりのインパクトでした。

【2018年のUSD-TRYの動き(出所:TradingView)】

トルコ・ショックに関しては以下の書籍で経緯をご確認できます。Kindle Unlimitedで無料でお読みいただけます。

これまでの経緯は以下をご参考ください。

kindle unlimitedであれば無料でご覧いただけます。

トルコのまとめブログは↓

トルコリラと中長期的に付き合う 基礎から学ぶ4つのポイント

トルコの政治的な動きについてのまとめは↓

トルコへの投資、政治と外交のまとめ2019

トルコの経済・財政政策についてのまとめは↓

トルコの経済・財政問題と政策についてのまとめ2019

トルコ・リラのチャート

トルコリラの5年チャートです。(出所:TradingView)


2022年9月

サプライズの利下げでリラ安

トルコ中央銀行は9月22日の金融政策決定会合で主要政策金利の1週間物レポ金利を1%引き下げ、年12%に改めると決めました。これによってリラ安が進みました。

利下げは8月から2会合連続となります。

【直近5年のトルコの政策金利の推移(出所:TradingView)】

©Trading View

通貨リラは発表直後にもちろん売られました。

背景には2023年半ばに予定される大統領選・議会選に向け、支持率の回復を目指すエルドアン大統領の思惑があるとみられますが、効果は不透明です。

【直近1か月のUSD-TRYの推移(出所:TradingView)】

安定推移しつつお少しずつリラ安になっており、今回の利下げでまた一高いリラ安が進んだことが分かります。

2022年8月

サプライズ利下げの翌週は安定

先週のサプライズ利下げにもかかわらず、トルコ・リラは安定を保っています。

米ドルに対する下落は小幅にとどまっており、介入を行っているのかもしれません。

他方、国債利回りは大幅低下。トルコ中銀が8月20日に発表した施策によって、金融機関が国債の保有を増やす必要に迫られたことが主因と思われます。

【8月15日~26日USD-TRYの推移(出所:TradingView)】

©Trading View

【直近1か月の1年物のトルコ国債の利回り推移(出所:TradingView)】

©Trading View

利下げで年初来安値

トルコ中央銀行が8月18日、主要政策金利の1週間物レポ金利を年14%から13%に引き下げると決めた事で、リラは大きく下げました。

利下げは2021年12月以来8会合ぶりですが、足元のインフレ率は80%近いが景気減速を懸念したとみられます。

ただ、トルコ・リラが最安値付近で取引され、インフレ率が24年ぶりの高水準となっている同国の利下げは予想外で、市場に衝撃が走りました。

もちろんリラは急落し、発表後に対ドルで一時、前日比1%超下落し、1ドル=18リラ台の年初来安値を付けました。

【利下げ発表時のUSDTRYの推移(出所:TradingView)】

©Trading View

リラが大きく下げた後、一旦は買戻しがあったようですが、引き続き弱い状況です。

前週に続いて当局がリラを買い支え?

第二週も、トルコリラは米ドルに対してほぼ横ばいとなりました。

リラは、心理的節目の18リラ/米ドルを手前に下げ渋っています。

当局が実質的な為替介入を実施することで、リラを買い支えしている可能性があります。

そのため、米CPI発表後の全般的な米ドル安局面であっても、リラの反発はあまりありませんでした。

8月11日に少しだけ反発している所がありますが、これは中央銀行の外貨準備高が70億ドル超増えたことが明らかになった事が材料視されたようです。

ロシアの国営原子力会社ロスアトムがトルコでの原発建設事業のため数十~100億ドル超を送金し、トルコ国債などを購入すると伝わった直後で、外貨準備の枯渇懸念が和らいだとみられます。

【直近1か月のUSD-TRYの推移(出所:TradingView)】

©Trading View

当局がリラを買い支えしている可能性

8月第一週はトルコ・リラは米ドルに対して横ばいとなりました。

ただ、節目の18リラ/米ドルに差し掛かっているため、当局が実質的な為替介入を実施し、リラを買い支えしている可能性があります。

【直近1か月のUSD-TRYの推移(出所:TradingView)】

©Trading View

2022年7月

【2022年7月のUSD-TRYの推移(出所:TradingView)】

【2022年7月のTRY-JPYの推移(出所:TradingView)】

©Trading View

止まらないトルコリラの下落

トルコの通貨リラの下落が止まらず、7月28日には一時1ドル=17リラ台後半と2021年12月下旬以来およそ7カ月ぶりのリラ安・ドル高水準を付けました。

足元では世界的に急なドル安が進んだものの、リラの売りが止まらない状況です。

トルコ中央銀行は7月28日、2022年末時点のインフレ見通しを60.4%と、4月に予想していた42.8%から引き上げています。

トルコの足元のインフレは80%に近いものの、エルドアン大統領は2023年の総選挙に向けて、金利負担を重くしたくないようです。

国民は苦しんでいるものの、トルコの大企業の多くはドルで経済取引を行っているため、リラ建ての融資を停止しても困らないとの指摘もあります。

【2022年7月最終週のUSD-TRYの推移(出所:TradingView)】

©Trading View

対ドルでは下落も、対円では上昇

トルコ・リラは⽶ドルに対して下落したものの、円に対しては上昇しています。

トルコ固有の材料に乏しい中で、⽶ドル⾼・新興国通貨安のトレンドに連れて、リラも⽶ドルに対してじり安の展開となっています。

しかし、円安・⽶ドル⾼の進⾏により、リラは円に対して上昇しています。

【直近一か月のTRY-JPYの動き(出所:TradingView)】

©Trading View

新政策の効果がほとんどなくなるレベルまでリラ安に戻る

6月24日に政府が、外貨を多く保有する企業が新規のリラ建て融資を受けられなくする政策を発表して以降、リラは少しずつ元のリラ安水準に戻っています。

高いインフレ率にもかかわらず利上げしない政策への信任がやはり低く、リラ安は当面続くでしょう。

【直近一か月のUSD-TRYの動き(出所:TradingView)】

©Trading View

2022年6月

リラが急反発

トルコリラがこのところ反発しています。

6月27日の外国為替市場では一時1ドル=16リラ台前半と1カ月ぶりのリラ高・ドル安水準を付けました。

規制当局が6月24日に企業にリラ買い・外貨売りを促す新たな規制策を発表し、足元で軟調さが際立っていたリラの買い戻しが膨らんだのです。

トルコの規制当局は6月24日、1500万リラ相当(約90万ドル)以上の外貨の現預金を保有する企業に対し、新規のトルコリラ建て融資が受けられないようにする政策を発表しました。こうやって外貨を売ってリラを買い戻す取引を強いることでリラ相場を下支えする狙いがあるとみられています。

もっともトルコのファンダメンタルズは弱いままですから、リラ高の持続性は疑問視されています。

【USD-TRYの動き(出所:TradingView)】

©Trading view

リラ相場はエルドアン大統領による利下げ圧力などを受けて1ドル=17リラ台まで下落しており、2021年12月に付けた18リラ台の対ドルの史上最安値に迫っていましたが、発表を受けて8%ほど上昇しました。

エルドアン大統領の発言でリラ下落

トルコのエルドアン大統領は6月6日、激しいインフレ高進に見舞われる中でも利下げを継続する方針を明確に示し、これを受けてリラは下落しました。

大統領は現政府が利上げすることはない、引き続き利下げしていく、と明言しました。

この発言を受けて通貨リラはドルに対して下げ幅を拡大しました。

一時0.9%安の1ドル=16.6リラ付近まで下落しました。

リラは年初からドルに対して19.8%下落しており、新興国通貨の中で最悪のパフォーマンスレベルとなっています。

このエルドアン大統領の発言を受けて、市場ではトルコ中銀が利下げを再開するとの思惑が浮上しているようです。

同行は将来のインフレ率鈍化を見込んで、昨年9月から12月にかけて政策金利(1週間物レポ金利)を19%から14%に引き下げたわけですが、通貨リラの暴落により、逆にインフレ率は急加速してしまいました。

その後は政策金利を据え置き、通貨の安定を重視する姿勢に移行していました。

早期の利下げ再開を市場参加者に意識されることはリラ安圧力の高まりを誘発し、それがむしろ利下げを難しくするため、トルコ中銀は利上げも利下げもしない(できない)状況が続く可能性が高いと考えられます。

2022年5月

トルコリラの下落が加速

5月下旬のトルコ・リラは円や米ドルに対して下落しました。

先週後半から今週月曜までは、心理的節目の16リラ/米ドル付近で持ちこたえていたようですが、その水準を抜けるとリラ安が加速しました。

大幅な貿易赤字の継続に加え、足元では外国人投資家によるトルコ株式の売却がリラ売り圧力を強めているようです。

世界的なリスク回避姿勢から下落

5月中旬、トルコ・リラは円や⽶ドルに対して下落しました。

世界的なリスク回避姿勢の⾼まりによる円⾼・⽶ドル⾼に加え、トルコ住宅市場の更なる過熱への懸念、ウクライナ紛争の⻑期化懸念、ロシア産天然ガスの欧州への供給不安、など不安材料が目白押しで下落となりました。

2022年4月

4月中旬以降は小幅下落ながら、他通貨に比べると緩やか

4月中旬以降のトルコ・リラは円や米ドルに対して下落していますが、そこまで大きなものではありません。

多くの欧州通貨が売られる中でリラの下落率は比較的小幅にとどまっています。

4月下旬まで上昇が目立っていた株式指数も落ち着きを見せており、海外からトルコ株式市場への資金流入も一服した可能性が高そうです。

一方、金利は低下傾向が続き、FTSEトルコ国債指数は連日で史上最高値を更新しています。

2022年3月

ウクライナにおける停戦合意期待から上昇

3月最終週のトルコリラは上昇しました。

中国・上海のロックダウンによる商品価格の下落、ロシア国防省のウクライナの⾸都キーウなどにおける軍事活動を縮⼩するとの発表やロシアとウクライナの停戦合意への期待などから、トルコ・リラは円や⽶ドルに対して上昇しました。

リラ据え置きで、引き続きリラ安定のため更なる対応が必要

金融政策決定会合では、市場予想通り政策金利を14%に据え置くことが決定されました。

インフレ目標達成まで、リラ化戦略(liraization strategy)の枠組みの中で利用可能なすべての手段を用いると言っていますが、引き続き利上げの見込みは薄いでしょう。

リラ化戦略により、トルコの個人・企業の外貨預金残高は減少し、外貨からリラに資金を移していることが示唆されます。

しかし、同時に外貨準備高も減少しているため、リラを支えるために為替介入に頼っていると思われます。

持続可能な為替相場の安定のためには、更なる対応が必要で全く予断が出来ません。

2022年2月

ウクライナ危機で21日の週は、週間で3%程度下落

ウクライナ危機で、トルコ・リラは、円や米ドルに対して2月18日から1週間で3%弱下落しました。

金利も急騰しています。

リラは、年初から米ドルに対して狭いレンジで推移していたわけですが、24日にロシアがウクライナへの軍事攻撃を開始したことで原油価格が上昇し、またリスク回避姿勢が強まったことでリラ売り圧力が強まり、このレンジを下に突破しました。

ウクライナ危機でリラが下落

2月22日、トルコリラが一時、ドルに対して前日比1・6%下げ、1月上旬以来の安値を付けました。

ロシアによるウクライナ東部の親ロシア派地域の独立承認と派兵決定を受け、ロシア、ウクライナ双方と結びつきの強いトルコ経済の不透明感が強まるとの思惑が広がった事が背景です。

トルコにとってロシアはガス輸入の約半分を占める供給元になっています。

ロシアからの観光客数は2021年に460万人と国別で最大で、ウクライナ情勢を巡ってロシアとの関係が悪化すれば、エネルギー価格の上昇に加えて供給制限、観光客の減少などのリスクが懸念されるのです。

このままでは輸出増によって達成しようとしている経常収支の黒字化や中長期的な為替相場の安定が厳しくなります。

トルコはNATO加盟国で、友好関係にあるウクライナには軍事用ドローンを供給しています。

エルドアン大統領は2月22日、ウクライナのゼレンスキー大統領に電話して支持を伝えたもようで、外務省も同日、ロシアによる独立承認を「受け入れられない」などと非難しましたが、制裁などの対抗措置には触れず立場の微妙さをにじませました。

トルコはこのまま板挟みに苦しむかもしれません。

リラの先行きは明るくない

ここ最近のリラ相場は安定していますが、経済の状況はもちろん悪く、リラの先行きは決して明るいとは言えません。

生活必需品を中心に足下のインフレ率はかなりの高さになっており、中銀が重視するコアインフレ率も同様です。

中銀は本来なら利上げすべきところ、2月17日の定例会合で政策金利を2会合連続で据え置きました。

中銀は先行きのインフレ鈍化を期待しているほか、経済の「リラ化」を主眼においた対応が続く模様です。

ウクライナ問題は原油高に加え、ロシアとウクライナからの観光客減が懸念され、エルドアン大統領は仲介に乗り出しているものの、事態収拾は難しいでしょう。

問題は長期化し、経済の体力が着実に悪化する事を勘案すると、リラに強気になることは出来ないでしょう。

ネバディ財務大臣、リラの安定化を誓う

ネバディ財務大臣が2月8日にロンドンで投資家とのミーティングに出席しました。

そこで、為替レートを安定させること、インフレ率を1桁台に下げること、米ドル化を阻止することを誓いました。

また、家計が保有する金(ゴールド)をリラに替えることを奨励する新たな政策を今週末に発表すると述べました。

2022年1月

徐々にトルコリラは安定

少しずつですが、トルコ・リラの安定感が増しているようです。

1月10日から始まる週においては、対米ドルで数%程度、対円でも1%弱上昇した程度です。

特に、12日はエルドアン大統領がインフレ抑制にコミットすると議会で発言したことや米ドル安によりリラが上昇しました。

長期金利の上昇に一服感が出るなど、債券市場も徐々に落ち着きを取り戻しつつあるようです。

ただし、政府によるリラ相場安定策については有効性に不透明なところが多いのが実情と言えます。

政府のなりふり構わぬ対応で足下でリラ相場のボラティリティは低下しているものの、金融市場では利下げ観測がくすぶるほか、政府の奇策の影響を懸念する声も絶えません。

経済団体も政策を疑問視

1月6日、トルコリラが対ドルで一時1.7%下落し、過去9営業日の下落率は約22%に達しました。

トルコ中央銀行による一連の利下げ後に、インフレ率が19年ぶりの高水準となったことへの懸念が根強いと思われます。

リラは一時1ドル=13.89リラまで下落し、その後は下げ幅を縮小しています。

経済団体も、インフレ率が前年比36.1%に跳ね上がったことは、政策手段を再検討する必要性を明確に示していると指摘しています。

アナリストによると、中銀は5日、約1年ぶりに国債買い入れを行い、2027年と28年に満期を迎える3億リラ相当の国債を購入したようです。

これを受け10年債利回りは前日の23.11%から22.63%へ低下しました。

物価連動国債を検討

トルコ政府が物価上昇による不利益を防ぐ仕組みを取り入れたリラ建て国債の発行を検討していることがわかりました。

2021年12月に外貨換算での価値を保証するリラ定期預金を投入したばかりですが、急激に進む物価上昇やリラ安に対する国民の不満を避けるため、追加の施策を進めているようです。

通常の固定利付債では発行時の元本や利率も発行時から変わりませんが、物価連動債では物価上昇に合わせて元本を増加させることで受け取れる元利合計額を増やして、物価上昇による目減り分を相殺できます。

物価上昇分を補塡することでリラ建て国債への投資を促し、外貨に流れてリラ安になることを防ぎます。

インフレ率が極めて深刻

トルコでインフレが深刻になっています。

1月3日発表された2021年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比36%でした。

21%だった11月から急加速しましたが、この背景は11月以降だけでドルに対して一時4割安となった通貨の下落があります。

卸売物価指数(PPI)は80%増で、物価上昇はさらに加速する恐れがあります。

2021年12月

リラの年間下落率は44%

トルコリラの2021年の年初来下落率は対ドルで44%となり、IMFの支援で金融危機から脱した2001年以来の大幅な下落率を記録しました。

約20年にわたりトルコの政権を握ってきたエルドアン大統領の下で最大の下落率となったほか、ここ数年の新興国市場でも最悪のパフォーマンスを示しました。

エルドアン大統領は12月31日、市場の変動はほぼコントロールされているとして、国民に対し、全ての貯蓄をリラ建てにし金を銀行に預けるよう呼びかけました。

また、改めて高金利は物価を上昇させるという独特の見解を繰り返しました。

これを受けてリラは一時1ドル=13.63リラまで下落しましたが、終値では横ばいの13.1875リラまで回復しました。

インフレと独自の金融政策への懸念が強い

トルコリラは29日、一時5.6%下落しました。

インフレ高進と異例な金融政策への懸念が根強い事が背景にあります。

トルコ中銀が2022年政策報告を発表、為替市場に関連するリスクを注視し、円滑な動き確保に必要な措置を講じる方針を示しましたが、市場はほとんど反応していません

中銀は、特定の為替相場にコミットせず、相場の水準や方向性を設定するために外貨の売り買いをしないと表明するとともに、物価・金融の安定目標の追求に所要準備を活用するとし、他国の中銀との外貨融通取り決めの協議を継続するとしました。

リラのインプライドボラティリティーは最近つけた最高水準付近にあります。

急騰から反落

トルコ・リラは27日、対ドルで急落。リラ安から預金者を守る政策の発表を受け、先週は前例のない急上昇を記録しましたが、反落しています。

エルドアン大統領は20日遅く、ハードカレンシーに対するリラの下げが銀行の約束する金利を上回る場合、リラ建て預金者が被る損失を政府が補てんすると表明し、ショック的な感じで急上昇しました。

しかし、徐々にこうした政策が予算とインフレに与え得る影響を巡り疑問が生じ、これがリラ売りへつながっています。

トルコの企業、通貨安で大混乱

急激な通貨安に見舞われるトルコで経済界に混乱が広がってきました。

通貨リラが1カ月でドルに対して3割超も減価したことを受け、調達費や人件費が高騰しているためです。

経済団体は是正を求めていますが、エルドアン大統領は低金利政策を堅持する考えを繰り返しています。

エルドアン氏の支持者が多い建設業界からも異論が出ている状況です。

そんな中でもエルドアン氏は自身の経済政策を撤回しない考えを繰り返しています。

19日夜の演説では、私から利下げ以外を期待しないでほしいと発言しています。イスラム教の教えに基づいて利下げを主張するのです。

中銀は16日の金融政策決定会合の際に公表した声明で利下げサイクルの終了を示唆しましたが、一段の利下げがあり得るとの見方も広がっています。

奇策頼みのリラ上昇で、効果は長続きしないとの予測

12月24日は1ドル=10リラ台で取引を終え、上昇率は20日の18リラ台の最安値から考えると、72%に上ります。

トルコでは自国通貨への信頼が低く、預金の6割超を外貨が占めています。

新たな仕組みは外貨資産をリラに替えさせる狙いです。

もっとも、リラの上昇はほとんど官製相場だとの指摘もあります。

トルコの銀行関係者によると、国営銀行による外貨売りは20~24日、100億ドルを超えました。

中銀の貸借対照表を基に計算すると、国営銀行を通じて間接的な介入を行ったとみられる中銀の外貨準備高は借り入れを除くとマイナスに転じています。

政府は日本を含む複数の国に通貨スワップ協定の締結を提案しているほか、外貨収入のある政府系企業にもドル売りを促しているもようですが、「弾切れ」は時間の問題なのです。

この状況で、リラが再び下落に転じれば、政府と中銀は預金保護のための為替差損を背負い込むことになります。

エルドアン氏がこの様なリスクを取る背景には、インフレに対する国民の怒りがあると思われます。

公式の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比21%、大学教授らでつくるENAグループは同58%としています。

食料品や日用品は毎週のように値上がりし、与党連合の支持率は、連携を目指す野党の合計を下回りました。

インフレ解消のためには政策金利の引き上げが定石ですが、トルコ中銀は逆に9月以降に5%引き下げてしまいました。

経済成長を優先するエルドアン氏は金利を悪いものとみなしているからです。

大統領選と議会選は23年6月の任期満了までに行う必要がある中で、インフレ対応は急務であることがエルドアン氏の行動に拍車をかけています。

元中銀エコノミストは政府の負担が増す一連の政策をいずれ破綻する時間稼ぎであるものの、選挙まで持ちこたえる可能性はあるとみています。

一時、14%超の上昇

23日の外国為替市場でトルコ・リラがドルに対し一時14%超上昇しました。

背景は、中央銀行が16日の政策決定会合の議事要旨と資本フローの週間データを公表した事です。

これによると、中銀はこの議事要旨で、輸出が増加基調を強めていることから来年は経常黒字が見込まれると予想したようです。

実質的なドルペッグ制導入で、トルコリラが急騰

エルドアン大統領は20日、通貨リラ建ての預金を外貨換算の価値で保証する新たな預金保護策の実施を表明し、トルコが急騰しました。

リラ安に苦しむ家計部門の支援に向けて、リラ建預金に対して為替変動による損失を政府が補填するというものです。

20日のエルドアン氏の演説の直前に一時前週末比10%超安い1ドル=18リラ台の史上最安値を付けたリラはその後、13リラ台に急騰しました。

どうやら国営銀行がリラ買いに参加してリラ高を演出したもようですが、21日も不安定ながらリラ買いの動きは続き、一時11リラ台を付けました。

20日の最安値からの上昇幅は50%を超えました

ただ、21日については不安定な動きで、押し戻されています。

一時1ドル=11リラ台まで上昇したものの、その後伸び悩み14リラ付近まで大きく下落しています。

今回の制度の特性上、リラが上昇しすぎるのも政府にとっては好ましくないため、為替相場を安定させるための介⼊が⾏われる可能性がある事にも注意です。

トルコリラが一時1ドル=17ドル台

17日、トルコリラが一時、前日比8%安の1ドル=17リラ台を付け、史上最安値を更新しました。

中央銀行は12月に入ってから5度目となる直接介入を行い、少しは戻しましたが、その後も前日比7%安の水準で推移しています。

トルコのエルドアン大統領は低金利による景気刺激を図っており、これに応えようと中銀は16日、主要政策金利の1週間物レポ金利を15%から14%に下げると決めました。

ただ、トルコの年初からの対ドル下落率は5割になってしまいました。

17日は株式市場でもトルコの代表的な株価指数BIST100が前日比8%超下落し、上場株式の全取引が停止されました。

株式相場の急落で、市場全体にわたるサーキットブレーカーが2回発動されました。

株式と株式デリバティブ、債券レポ市場の取引は1時間のうちに2回自動的に停止されました。

通貨安が進む中、株式投資で資産防衛する動きが広がり、BIST100は11月以降、今月16日までにリラベースでは5割上昇していました。

一週間で11%の下落

トルコ・リラは13日から始まる一週間で、円や米ドルに対して比10%を超える下落となりました。

13日にネバティ新財務相が「我々は金利を上げない」と発言したことを受け、リラは対米ドルで節目の14リラを突破し、史上最安値を更新しました。

直後にトルコ中銀が今月4回目となる為替介入を実施したことで、リラがごく短期的に上昇する場面もあったものの、再び下落に転じました。

そこに16日の金融政策決定会合で市場予想通り政策金利を15%から14%に引き下げることが決定されたわけです。

より小幅な利下げを予想していた市場参加者もいたため、発表後にリラは一段安となりました。

声明文では、前回会合で示唆されていた通り、利下げサイクルの中断が宣言されました。

2022年第1四半期にこれまでの利下げ効果を観察し、金融政策の枠組みを全面的に再評価するとしました。

金融政策決定会合後、過去最安値を更新

16日の金融政策決定会合で、1%の利下げが決まり、リラは一時、1ドル=15.689リラという過去最安値に急落しました。

トルコではこの4年間で2度目の通貨危機が発生し、リラの価値は今年に入って半分未満になってしまいました。

中銀が3度目の為替介入

トルコ中央銀行は10日、月内3度目の外貨売り介入を実施しました。

リラは下落が止まらず、1ドル=14リラへと近づいていました。

中銀は市場介入の実施を発表文で明らかにし、不健全な価格形成が理由だと説明しています。

エルドアン大統領が最近のリラ安について述べた際に使った表現をそのまま踏襲しています。

中銀が異例の介入

トルコ中央銀行は1日、通貨防衛のための為替介入をしたと発表し、その後、対ドルで一時、前日比8%反発しました。

トルコ中銀は声明で「不健全な為替相場が形成されているため(外貨の)売却によって市場で直接介入した」と述べました。

トルコ中銀は2018~19年、通貨安に対抗するため国営銀行を介して大規模な間接介入をしたとされますが、直接介入は2014年1月以来です。

リラは11月、1ドル=9リラ台から13リラ台まで下落し、1日で15%暴落することもありました。

11月30日夜にエルドアン大統領がテレビのインタビューで利下げ政策の堅持を繰り返したことで、再び13リラ台半ばの史上最安値を更新したところで、さすがに中銀もまずいと思ったのかもしれません。

12月1日の介入発表後、リラは1ドル=12リラ台まで急回復しましたが、直後にエルドアン氏が演説し、利下げを擁護すると再び13リラ台に下落しました。

何をやっているのかもはや分かりません。

2021年11月以前

以下をご参考ください。

kindle unlimitedであれば無料でご覧いただけます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です