ここではインドネシアの金融政策に的を絞ってフォローしていきます。
2019年、ジョコ政権も二期目となり様々な成果が求められている中、金融政策もジョコ政権の産業政策や経済政策と連動して成長を支えるべく動いてくると思います。
インドネシアへの投資を検討されている方や既に投資をしている方はしっかりとウォッチしておくべきものでしょう。
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2021年2月
政策金利を引き下げ
インドネシア中央銀行は2月18日、主要政策金利の7日物リバースレポ金利を0.25%引き下げ3.50%としました。
利下げは新型コロナウイルスの流行が始まってから6回目です。
融資ルールも緩和しました。
2021年1月の消費者信頼感指数は、前月から急低下するなど、景気の動向は予断を許さない状況になっています。
また、物価動向を見ても、1月の消費者物価は前年同月比+1.55%とインフレ目標レンジを引き続き下回っています。
こうした中、中銀は、景気支援のため今回の利下げを決定しました。
2021年の経済成長見通しを従来の4.8ー5.8%から4.3%-5.3%へ下方修正しました。
第4・四半期実績が予想よりも低迷したことを受けた措置です。
政策金利は2016年に7日物リバースレポ金利を主要政策金利と位置付けて以来最低となりました。
なお、今回の利下げはペリー中銀総裁が2⽉9⽇の国会で利下げ余地があると発⾔したことを受け、幅広く予想されていました。
2021年1月
金利据え置き
インドネシア銀行は1月21日、2カ月連続で政策金利を据え置きました。
昨年は新型コロナウイルス禍を乗り切るため、計5回利下げしていました。
中銀は7日物リバースレポ金利を3.75%に維持しました。
マーケットの予想も据え置きが大半でした。
また、中銀総裁はこの日、インフレ率が目標の2-4%のレンジ内にとどまり、今年の経済成長率は4.8-5.8%になるとの見通しを示しています。
また、中銀は今後も政府などとの政策協調を図るとともに、財政ファイナンスを継続する考えを示しました。
ただし、感染対策が景気の足かせとなり、感染収束に手間取れば景気の下振れが懸念されます。
利下げ余地が限られるなかで、異例の対応が長期化すれば、リスクが一段と高まる可能性もあります。
2020年12月
財政ファイナンスを継続する姿勢
中央銀行は先行きの景気見通しを据え置く一方、景気下支えに向けて来年も財政ファイナンスを継続する姿勢を示しました。
現在の異例の緩和が長期化する可能性を示唆したわけです。
また、さらなるルピア高を容認する姿勢を示しました。
ただ、足下の新型コロナウイルスの感染動向は厳しさを増しており、政策対応の見直しを迫られる可能性もあります。
政策金利、据え置き
12月17日、インドネシアの金融政策決定会合が行われ、政策金利が据え置かれました。
これは市場予想通りの結果です。
政策金利は3.75%に据え置かれた一方で、中銀は景気回復をサポートするために、政策総動員の方針を継続すると改めてコメントしました。
今後も追加利下げや中銀による国債買い入れが続くと予想されます。
中銀の独立性を損なう法案が廃案に
中銀の独立性を損なう中銀法改正案が国会で廃案になりました。
この法案は元から外国人投資家を中心に懸念されていたものです。
今回廃案となった事で、インドネシアルピアを考える上ではポジティブです。
2020年11月
海外の起債を増加
インドネシア中央銀行のペリー・ワルジヨ総裁は11月24日、インドネシア政府が財政赤字の穴埋めのため、海外市場で起債を増やすことを明らかにしました。
中銀は、融資促進や財政赤字の穴埋めのため、ルピア建て国債360億ドル以上を購入しています。
今年の財政赤字はGDP比6.34%と、数十年ぶりの高水準となる見通しです。
来年は同5.7%と予想されています。
総裁は、市場のボラティリティーが高まった場合に政府を支援するため、来年もルピア建て国債入札に応札する用意があるとしながらも、大規模な介入は予想していないと述べました。
0.25%利下げで、政策金利は3.75%
インドネシア中央銀行は11月18、19両日の政策決定会合で、政策金利を4%から3.75%に引き下げると決定しました。
インドネシアの新型コロナウイルスの感染者数は50万人に迫り東南アジアで最も多い国です。
これもあり、インドネシアは1998年のアジア通貨危機後、初の景気後退局面に入っていて、利下げする事で経済を下支えします。
インドネシアの利下げは今年5回目となります。
中銀は7月に政策金利を4%に引き下げてから3カ月連続で据え置いてきました。
9月から続いていたルピア安が一服し、対米ドルで14,000ルピア近辺まで上昇したため、通貨の下落圧力を伴う利下げに踏み切る余地が生まれたと判断したようです。
2020年10月
中銀総裁、追加利下げの余地あり
2020年10月27日、インドネシア中央銀行のペリー総裁は低水準のインフレ率と軟調な経済成長を受け、追加利下げの余地があると述べました。
インドネシア中銀は10月13日の金融政策決定会合で政策金利を据え置きましたが、まだ利下げ余地があると指摘しました。
11月の次回会合では、インフレ率や為替レート、景気後退などの要因を協議するとした一方、最も効果的な経済支援策は量的緩和であるとの考えを改めて示しました。
政策金利、4%を据え置き
2020年10月13日、インドネシア銀行は政策金利を据え置きました。
7日物のリバースレポ金利を4%に維持しました。
通貨ルピアを支える一方で、景気は国債購入などで支援します。
この据え置きはほぼ予想通りの結果です。
ルピアは今年、対ドルで6%近く値下がりしており、いかにルピア安を止めるかが課題となっています。
中銀はルピア相場の安定を重視する一方、市場への流動性供給を通じて景気下支えを図る姿勢を強調し、先行きの政策運
営について、量的緩和が効果的との認識を示し、財政ファイナンスを今後も続ける可能性を示唆しました。
足下は「非常事態」を理由に金融市場は静観していますが、引き続き慎重な政策運営が求められます。
2020年9月
政策金利、4%で据え置き
2020年9月17日、インドネシア銀行は、2カ月連続の政策金利据え置きを発表しました。
成長減速で圧力を受けている通貨ルピアを支える事が狙いです。
中銀は7日物リバースレポ金利を4%で据え置きましたが、これはおおよそ予想通りの結果です。
ルピアは今年既に、ドルに対して6.6%余り下落しており、追加の景気刺激とルピア防衛でバランスを取るかじ取りが今後も必要となります。
ルピアのボラティリテイ抑制のために介入
インドネシア中央銀行は、ルピアのボラティリティーを抑制するため、外国為替市場に介入したようです。
中銀高官が明らかにしました。
中銀はスポット市場への介入のほか、国内のノンデリバラブルフォワード市場で入札も実施したようです。
中銀はルピアの下落について、米中間の緊張の高まりや、イギリスの合意なきEU離脱の可能性、新型コロナウイルスワクチン候補の臨床試験に関するネガティブなニュースなどを受けた世界の金融市場のリスクオフ地合いが要因だとの見解を示しています。
2020年8月
政策金利を4%に維持
2020年8月19日、インドネシア銀行は政策金利の据え置きを発表しました。
通貨ルピアを支えるとともに、これまでの緩和の効果を見極めるまでは利下げ余力を温存します。
中銀は7日物リバースレポ金利を4%で据え置きました。
この据え置きはほぼ予想通りでした。
インドネシアは今年既に計1%の利下げを実施しており、ルピアは年初来でドルに対して6%余り下落しています。
今回政策金利を据え置いた別の要因として財政政策へのシフトもあります。
インドネシア政府は新型コロナへの対応から、財政規律(3%下限)を緩和して一時的に財政政策を拡大しています。
インドネシア中銀は財務省と共に財政を負担するとしており、特にインドネシア中銀は国債引き受けにまで足を踏み込んでいる状況です。
普通に考えれば、その副作用として通貨安が懸念されます。
しかし、ルピアの動きを見ると、国債引き受け後、若干ルピア安傾向であるものの、足元改善も見られたrしています。
今回の声明で、財政負担(国債購入)について、インドネシア中銀は発行市場から82.1兆ルピ ア購入したと述べていますが、一応これは当初の計画通りの消化で、 透明性の高さが維持されています。
市場ではインドネシア中銀の国債引き受けに依然懸念を抱いている面もあるだけに当面、 通貨安を懸念させるような金融緩和に慎重になっているとも取れるわけです。
2020年7月
2か月連続の利下げ
2020年7月15日と16日にインドネシア中央銀行が開いた政策決定会合で、政策金利を4.25%から4%に引き下げることを決めました。
これで利下げは2カ月連続となります。
新型コロナウイルスの影響で景気の後退観測が強まっており、継続的な金融緩和が必要と判断しました。
今年に入り利下げは4回目となりますが、ペリー総裁は記者会見で、追加の利下げについて「金融政策で必要な手段をとる」と含みを持たせています。
ただ、先月の声明文でみられた利下げに前向きな文言「金利を引き下げる余地を模索する」が削除されたことで、中銀のハト派姿勢が薄まったと見る向きもあります。
中銀総裁はまた、4-6月期の成長率を前年比▲4%と1999年以来のマイナス成長となる可能性を示しています。
6月のインフレ率は目標レンジを割り込む動きとなっていることもあり、中銀は経済回復を促進するため今回利下げを実施したとみられます。
今現時点では、ルピア支援よりも景気を優先しているようです。
現状、財政規律の緩みや、インフレ懸念等、国債の貨幣化の副作用には注意が必要ですが、市場の反応は限定的となっており、むしろ、コロナ問題に対処するための政府の資金調達に目処が立ったことで、安心感をもたらしている側面もあありそうです。
周到に進められる国債直接購入
インドネシア中銀が用意周到に政府が発行する国債400億ドルの一部を直接引き受けようとしています。
この政府からの直接購入という手法は禁じ手とされており、どこもやっていません。
ただ、インドネシアの財政が厳しいのでそれに手を伸ばさざるを得ない、という事でしょうか。
新型コロナウイルス対策に伴う歳出拡大で、今年の財政赤字はGDP比で6%を超える見通しです。
中銀は2通りの方法で政府を支援する予定です。
- まずGDPの約2.5%に相当する280億ドルの新規国債を政府から直接引き受ける。
- 金利収入も政府に返還する。
- 入札で発行する新規国債120億ドルについては、財務省と中銀が共同で利払い費を負担する。
中銀が負担するコストは年間25億ドル前後です。
今回の方策をする為に、インドネシアは国債価格の透明性を保つ体制も整えています。
中銀が買い入れる国債は、流通市場で取引可能とする計画で、中銀には国債を売却するという選択肢があります。
長期国債を購入する投資家も、流通市場があれば、含み損が発生していないか確認することができるわけです。
もちろん、これで心配無用という事にはなりません。
今回の計画は一回限りの措置とされていますが、延長される可能性もゼロではありません。
こんなやり方がずっと続けば中銀の独立性が問われる事になるのは必至です。
そうなればただでさえ脆弱なインドネシアルピアは更に大きく下げる事になるかもしれません。
同じような問題を抱える新興国は、インドネシアの状況を注視しているでしょう。
国債の金利受け取りの辞退と国債の直接引き受けを拡充
インドネシア中銀は政府から直接引き受ける国債の金利受け取りを辞退し、国債の直接引き受けの拡充で政府と合意しました。
- 国が発行する約400兆ルピア(約3兆円)の国債を中銀が直接購入した上で、中銀は利息の受け取りを事実上、辞退する
- また、政府は177兆ルピアの国債を政策金利(年4.25%)を1%下回る利率で発行
- 中銀は国債の円滑な消化のため、金利差の部分を負担
一連の対応を通じて、新型コロナウイルス対策で膨らむ政府の財政負担の一部を中銀が肩代わりする仕組みです。
インドネシア中銀は既に6月までに、30兆ルピアを超える国債を直接購入しています。
中銀が国債を直接引き受けるこうした手法は「財政ファイナンス」と呼ばれる。通貨の信認を損なうリスクがあり、放漫な財政運営につながりやすいものです。
2020年6月
0.25%の利下げ
2020年6月18日、インドネシア中央銀行は政策金利を4.5%から4.25%に引き下げました。
利下げは3月以来、3カ月ぶりとなります。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け停滞する経済を下支えする目的です。
同中銀は2月と3月に連続で金利を0.25%ずつ引き下げたものの、通貨ルピアが外資引き上げもあって急落したことなどから、4月と5月は金利を4.5%に据え置いていました。
ペリー氏は18日の記者会見で利下げに関し
「金融緩和を続け、経済を安定させる」
と強調しました。
2020年5月
金利、予想外に据え置き
2020年5月19日、インドネシア銀行は予想外に政策金利を据え置きました。
大方のエコノミストが、悪化する経済を支えるため中銀が追加緩和を行うと見込んでいました。
先月の会合でも金利は据え置かれていました。
政策金利である7日物リバースレポ金利は2カ月連続で4.5%に維持されました。
多くのエコノミストは0.25ポイントの利下げを想定していました。
恐らく、更なる通貨安を恐れて金利引き下げは温存したのでしょう。
実際に、利下げをした時期(2~3月)に大幅なルピア安が進行しています。
また、経済対策についてインドネシア政府は当面、財政政策を重視する方針と見られており、為替市場が安定するまで、景気対策として金融より、財政政策の比重を高める意向があると思われます。
2020年4月
預金準備率を下げ、流動性準備率を上げる
2020年4月14日、中央銀行は現金準備率を引下げると同時に流動性準備率を引上げました。
目的は銀行による国債投資を促ることがあると思われます。
新型コロナ・ウイルスの感染拡大の封じ込めに取り組むインドネシアは、大規模な財政刺激策を導入しています。
その際、多額の国債増発は避けられず、国債の買い手が必要でした。
中銀は、銀行が預金残高に応じて積む現金準備率を5.5%から3.5%に引下げて市中に102兆ルピアの流動性を供給すると同時に流動性準備率を2%引上げて、放出された資金で国債を購入することを促したのです。
中央銀行が国債の消化を助けるべく銀行による国債投資を促すというかなり異例の措置は、インドネシアの厳しい状況を反映したと言えるかもしれません。
インドネシア中銀、4.5%に予想外の据え置き
2020年4月14日、インドネシア中央銀行は主要政策金利を予想外に据え置きました。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う深刻な経済成長鈍化を受けて、多くのエコノミストが追加利下げを予想していました。
今年、これまで2回連続で利下げしていた同中銀は、今月に入っても利下げ余地があるとの総裁発言があったりしましたが、今回は金利を4.5%に維持しました。
その一方で、商業銀行向けの通貨ルピアの準備率を2ポイント引き下げました。
利下げの余地あると発言
2020年4月2日、インドネシア中銀のペリー・ワルジヨ総裁は追加利下げの余地があるとの認識を示しました。
インドネシアも他国同様、新型コロナウイルスの感染拡大で景気が低迷していて、インフレ率も低い状況です。
総裁は
「インフレ率の維持、景気支援、ルピアの安定維持の間でバランスをとらなければならない、というのがインドネシアの問題だ」
と述べました。
インドネシア中銀は昨年、金融緩和を開始し、これまでに6回にわたって、合わせて1.5%の利下げを実施しています。
2020年3月
0.25%の利下げ
2020年3月19日、インドネシア中央銀行は主要政策金利の7日物リバースレポ金利を25bp引き下げ4.50%としました。
また、中銀は追加利下げの可能性を示唆すると共に2020年の経済成長率予想を5.0ー5.4%から4.2ー4.6%に引き下げました。
新型コロナウイルスの感染拡大で通貨ルピアにも圧力がかかっています。
これっで政策金利は2018年4月以来の低水準となりましたが、利下げ自体は想定通りです。
中銀総裁はインフレは低水準であり、FRBが100bpの利下げを実施したものの、インドネシア資産の魅力を維持するため、利下げ幅を25bpにしたということです。
預金準備率を引き下げ
2020年3月2日、インドネシア銀行は市中銀行の預金準備率を引き下げる事を決定しました。
新型コロナウイルスの経済への影響を巡る懸念で同国の株式と債券、通貨が売られていることから、流動性の強化を図る目的です。
今回、市中銀行の外貨に関する預金準備率を4%と、これまでの8%から引き下げます
実施は16日で、これにより流動性は32億ドル拡充される見込みだという事です。
同中銀はまた、通貨と債券相場の安定を守るため「市場介入」を継続し、経済の安定性維持と成長支援、改革加速に向け政府および関連当局と協力するとも説明しました。
2020年2月
4か月ぶりの利下げで政策金利は4.75%
2020年2月20日、インドネシア銀行は4カ月ぶりの利下げを行いました。
インドネシア中銀は政策金利の7日物リバースレポ金利を0.25ポイント引き下げて4.75%としました。
この結果は半数以上のエコノミストが予想していたと思われますが、据え置きと考えていた人もいたようです。
新型コロナウイルス感染拡大で国内景気見通しも下方修正しており、危機感があるのでしょう。
インドネシアでは現時点で新型コロナウイルス感染者が1人も出ていませんが、インドネシア経済に対する影響は懸念しています。
中銀は政府などと政策協調を強化する姿勢をみせると同時にルピア相場に関して相場安定へ為替介入を積極化するなど通貨安定を重視する考えもみせました。
他方、先行きも積極且つ先制的な政策対応を強化する姿勢をみせており、状況に応じて追加利下げがあるかもしれません。
また、中銀はこの日、2020年の成長率見通しを5-5.4%とし、従来の5.1-5.5%から引き下げました。
2月の金融政策決定会合で利下げか
景気低迷を受けて、中央銀行は早ければ2月20日、遅くとも年央までに0.25%の追加利下げを行うと予想されています。
インドネシア銀行は、昨年7月から10月にかけて政策金利を6%から5%に引下げ、その後は今年1月まで3回連続で金利を据置いています。
1月の政策声明では、投資の回復を促す見込みとして、2020年のGDP成長率を+5.1~5.5%と予想しましたが、2019年10-12月期のGDPは期待を下回ったとみられています。
また、新型コロナウイルス問題で中国景気が懸念されており、中央銀行として景気を下支えするために金融緩和を検討せざるを得ない状況と考えられています。
2020年1月
中央銀行、成長率見通しは変えず
インドネシア中銀は2020年の経済成長率について、引き続き5.1%~5.3%になるとの見通しを持っているようです。
これは昨年の推定を変えていない、という事です。
中銀総裁はそれでも必要となれば経済成長を支援するあらゆる政策ツールがあるとし、今年は実施済の緩和策が銀行システムに浸透し、融資の伸びにも影響を与え始めるとの見方を示しました。
融資の伸びは2020年に10~12%まで改善すると予想しています。
政策金利を据え置き
2020年1月23日、インドネシア中央銀行は政策金利の7日物リバースレポ金利IDCBRR=ECIを5%に据え置く決定をしました。
中央銀行はインドネシアの経済サイクルは既に底を打っているとの見解を示す一方、状況次第ではさらなる「緩和的」政策を取る可能性も排除しない姿勢を示しました。
この決定はほぼ予想通りの結果です。
中銀は低迷する経済成長の支援に向けて昨年4回利下げを行い、合計1%政策金利を引き下げています。
銀行の預金準備率も引き下げ、融資の伸びを加速させるため一部の融資規則を緩和しています。
2019年11月
2020年も緩和策を継続と明言
2019年11月28日、インドネシア中銀のペリー総裁は2020年も景気の下支えに向け金融緩和を維持していくと明言しました。
中銀は今年7月以降、4回の利下げで金利を1%引き下げたほか、銀行の預金準備率も来年1月から0.5%引き下げる方針を示しています。
総裁は年次の夕食会で
「今年はあらゆる政策手段を組み合わせて成長の下支えを行ってきたが、来年も同じだ。」
と表明しました。
追加利下げの可能性を示唆したほか、来年は中小企業や観光業、輸出産業を対象とした支援策も打ち出す意向を示しました。
政策金利は据え置きで預金準備率を0.5%引き下げ
2019年11月21日、インドネシア銀行の政策金利を据え置きと預金準備率のを引き下げを発表しました。
中銀は7日物リバースレポ金利を5%に維持し、預金準備率は0.5ポイント引き下げる決定をしました。
インドネシア中銀は先月まで4カ月連続で利下げをしていましたが、預金準備率引き下げは6月以来です。
2019年10月
0.25%利下げして、政策金利を5%に
2019年10月24日、インドネシア中央銀行は定例の金融政策決定会合で政策金利を5.25%から5%に引き下げました。
invstem.com
利下げの背景
やはり鈍化する経済成長が一番理由としては大きく、インフレ率や通貨ルピアが安定して推移していることも、要因になったと見られます。
中央銀行は金利を引き下げ、景気を刺激して経済成長を下支えする算段です。
ペリー総裁は
「世界経済が減速するなか、国内の経済成長を促進するための予防的な措置だ」
と述べました。
2019年9月
政策金利を0.25%引き下げて5.25%へ、3か月連続利下げ
2019年9月19日、インドネシア中央銀行は定例の金融政策決定会合で政策金利を5.5%から5.25%に引き下げたと発表しました。
これで利下げは7月以降、3カ月連続です。
成長鈍化の懸念から、景気を刺激して経済成長を下支えする姿勢を示しました。
中央銀行のペリー総裁は記者会見で
「減速しつつある経済成長を支えるための予防的措置」
と説明しました。
上記に加えて、通貨ルピア相場やインフレ率が安定していることもポイントです。
2019年8月 新興国通貨が売られる中でも利下げを敢行
政策金利を0.25%引き下げて5.5%へ
2019年8月22日、インドネシア中央銀行は市場予想に反してこの2カ月で2回目(2会合連続)となる政策金利引き下げを決めました。
7日物リバースレポ金利IDCBRR=ECIを0.25%引き下げ5.5%%としました。
invstem.com
中銀のペリー・ワルジヨ総裁は、「経済成長の勢いは継続しているが、世界的な景気鈍化のリスクを踏まえ、先手を打つ必要があると判断した」と説明しています。
インドネシアルピア下落で、金融政策のかじ取りに注意
2019年8月上旬現在だと、インドネシアルピアをはじめ、新興国通貨全体が売られています。
【2019年7月~8月6日までのインドネシアルピアー日本円の動き(出所:TradingView)】
これを受けて当面注目されるのが、インドネシア中央銀行のかじ取りでしょう。
invstem.com
インドネシア中央銀行は、2018年5月から11月にかけて政策金利を4.25%から6%に引上げた後、7回連続で金利を据置き、7月18日に金利を5.75%に引下げています。
invstem.com
リスクオフの中、経常赤字の拡大等が懸念され資本流出とルピア安が加速したため、中銀は利上げによって経常赤字の縮小や海外資本の流入を促し、ルピア相場を安定化しようと試みたのです。
invstem.com
インドネシア経済は、落着いた物価の下で景気が低迷を続けています。
それだけ見ると、昨年引上げた政策金利を更に引下げて景気を支えることは金融政策として妥当です。
しかし、既述の通り米中貿易摩擦の激化で国際金融市場の環境が厳しく、利下げする事で資本流出がひどくなってしまうと元も子もありません。
最も想定されやすいシナリオとしては、国際金融市場とルピア相場の安定化を待ち、落ち着いたところでなお景気下支えの必要がある場合、追加利下げの機会を探りにいく、といった所でしょうか。
2019年7月 1年10か月ぶりの利下げを実施
中央銀行の今後のスタンス
2019年7月、インドネシア中央銀行は2年弱ぶりに利下げをしました。
この時の中央銀行の声明を読んでみると、まだ利下げを行う可能性が高いものと思われます。
期待インフレ率が低く経済成長をさらに刺激する必要がある中で、今後も金融緩和を行う余地が十分あるとしています。
invstem.com
中央銀行は、今後も国際情勢やファンダメンタルズを見極めながら、慎重に追加利下げの機会を探ると思われます。
現状、2020年3月末までの間に、累計3回0.75%ptの利下げを行い、政策金利を5%にまで引下げる可能性が高いと考えらえます。
政策金利を1年10か月ぶりに引き下げ
2019年7月18日、インドネシア中央銀行は定例の金融政策決定会合で政策金利を6%から5.75%に引き下げたと発表しました。
invstem.com
米中貿易戦争の影響で主力の石炭やパーム油の輸出が減り、インドネシアの経済成長に減速の懸念が出ていた事が大きな要因と思われます。
インドネシア中央銀行は外需が落込む中で今年のGDP成長率は中央銀行の見通し+5.0~5.4%の中央値を下回ると予想しており、投資など内需の刺激が必要としました。
こうした利下げの動きはインドネシアだけではありません。
アメリカが7月末に利下げすることが確実視されるなか、アジア新興国は先行して利下げに動いています。
フィリピンやマレーシア、インドが既に政策金利を引き下げています。
元々通貨防衛の観点で利上げをしていたインドネシアでしたが、足下では通貨ルピアも安定しており、利下げの条件が整ったと判断されたようです。
2019年6月 利下げはタイミングと規模の問題
中央銀行、政策金利据え置きの一方、準備率は引き下げ
インドネシア中央銀行は2019年6月20日、主要政策金利を6%に据え置きました。
一方で、流動性拡大に向け銀行準備率を0.5%引き下げました。
2017年9月以来実施していない利下げは「タイミングと規模の問題」との認識を中央銀行は示しています。
2019年4月 物価の安定に自信も金利は据え置き
2019年4月、インドネシア中央銀行は金利を据え置き
2019年4月25 日に中銀は定例会合で政策金利を据え置く一方、流動性拡大を通じて景気を一段と下支え
する姿勢を示しました。
中央銀行の声明では、国内景気と物価の安定に自信を見せる一方で、対外収支の改善に一段と力を入れる姿勢をみせました。
足下ではアメリカによる対イランの制裁強化による影響が懸念される一方、ルピア相場が安定していることから、現行のスタンスを維持する展開が続くと予想されています。
但し、今後、経常収支などのファンダメンタルズとルピア相場の安定化に自信が持てるようになれば、利下げを始める可能性があります。
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