この記事では、BREXITの動向についての動きを時系列でまとめていきます。
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BREXITがいわゆる「無秩序」に行われると、その影響は世界経済全体に及ぶことが懸念されています。もちろん新興国もどんなにファンダメンタルズがよかろうと、急落を余儀なくされるでしょう。
そこでBREXITの経緯と動向を深く理解するために専用の記事を作りました。
基本的に、新しく起きたものが上に来るように記述していきます!
BREXITと民間企業への影響については↓
BREXITとイギリスポンドの動きについては↓
欧州議会選挙についての概要は↓
保守党党首選挙についてのまとめは↓
【2019年5月】BREXIT関連 メイ首相後任決定プロセスとそれ以降
2022年8月
EU離脱で物価高圧力
英国で消費者物価指数の前年比上昇率が10%を超えました。
エネルギー価格の高騰に加えて賃金上昇の圧力も強まり、モノからサービスまで幅広い品目で値上げが止まりません。
背景にはEUからの離脱も要因となっていて、インフレが家計を圧迫する「生活費危機」の長期化が懸念されています。
EU離脱による要因とは、EU離脱後に移民労働力が減ったことを指します。
レストランなどの接客業界では離脱後に、10万人規模のEU出身の労働者が職を離れたとの推計があります。
イングランド銀行はEUからの純移民流入数の減少が労働力供給の伸びを押し下げていると指摘しています。
2022年6月
EUがイギリスに法的手続き
EUは6月15日、EUを離脱した英国が離脱協定に含まれる英領北アイルランドでの通商ルールを順守していないとして、法的手続きに入ると発表しました。
英国が6月13日にこの通商ルールを一方的に修正する法案を英議会に提出したことに対抗したのです。
EUは英側に2カ月以内に対応を回答するよう求めています。
英国が返答しなかったり、回答が不十分だったりした場合、EUは欧州司法裁判所への提訴を検討するとしています。
解決できない場合には最終的にEUが英国へ制裁金を科したり、英国との貿易協定を一部停止したりする可能性があります。
2022年5月
北アイルランドを巡って摩擦が再燃
BREXITに伴う通商ルールを巡る両者の摩擦が再燃しています。
トラス英外相は5月17日にEUとの離脱協定に含まれた英領北アイルランドでの通商ルールの一部を、一方的に変更する法案を英議会に提出すると表明しました。
EUは反発しており、ウクライナ情勢を巡って協力が必要な英・EU関係に亀裂が生じる可能性があります。
EU離脱時のルールでは、陸続きのEU加盟国アイルランドと北アイルランドの間に物理的な国境を置かないかわりに、離脱後も北アイルランドが事実上、EUの単一市場に残りました。
2022年2月
通関手続きの煩雑化で貿易額は減少
EUを完全離脱して1年が過ぎた英国で、貿易面でのEU離れが鮮明になっています。
2月17日までに出そろった英政府とEU統計局の貿易データの速報によると、双方の間の貿易額は2021年、経済の回復期だったのに前年比で減少しました。
離脱で発生した通関手続きなど非関税障壁が主な要因で、EU側は貿易相手の多様化を進めたもようです。
激変緩和のための移行期間が20年末に終わり、その際にEUと結んだ新たな貿易協定で関税ゼロは維持できたものの、食品や製品の輸出入の際に検査などを施す通関手続きが新たに加わりました。
こうして、2021年の貿易には、その影響が大きく出たようです。
英政府によると、対EUの輸出と輸入を合わせた21年のモノの総貿易額は3747億ポンドで、前年より1.3%減りました。
輸出は微増でしたが輸入は4%減り、記録を遡れる1997年以降では初めて、輸入元でEUの域外が域内を上回りました。
輸出、輸入はいずれも工業品や、検査が厳しくなった農産品、食品などが落ち込んだようです。
2021年12月
EU、加盟国引き留めに苦慮
英国に続きポーランドがEUを離脱するのではとの臆測がEU内で駆け巡っています。
発端は10月、ポーランド憲法裁判所がEU基本条約の一部が同国憲法と「相いれない」としたことでした。
もともと民主主義や人権などの扱いでEU主要国とポーランドは対立してきました。
そんな中で「EU法は加盟国の国内法より優先する」との原則に反する判断に、EU内でさらなる加盟国減少に対して懸念が高まっています。
EUにとって英国の離脱は、初めて経験する加盟国の減少でした。
放っておけばさらなる国際的な求心力低下があり、EUは英国と貿易協定で合意した直後、に英国がEU離脱で失うことを列挙したリーフレットを発行し、EUのメリットのアピールに必死でした。
しかし、それでも市民のEUに対する市民の信頼は引き続き低いままです。
22年はEUがさらに不安定になる可能性があります。
EUの欧州統合を支えてきたドイツ、フランスの2大国が内向きになるリスクを抱えるためです。
ドイツで言うと、環境政党の緑の党、経済界寄りの自由民主党、そしてショルツ氏の社会民主党の3党連立の政権は基本的な思想での隔たりが大きく、政策のすり合わせに大きなエネルギーが咲かれる見込みです。
特に緑の党出身のベーアボック外相は中国やロシアに批判的な姿勢で知られ、経済とのバランスを重視するショルツ氏との足並みの乱れも懸念されています。
EUとの断層が拡大
完全離脱してからまもなく1年ですが、今のところメリットよりも問題の方が目立ってます。
イギリスと同時にEUも国際社会や加盟国の求心力維持で英離脱の影響払拭に苦心しているようです。
英・EUは完全離脱直前の2020年末に貿易協定の合意にこぎ着け、加盟時と変わらぬ関税ゼロの貿易を維持しました。
しかし、両者の間で摩擦が収まる気配はありません。
最大の懸案は離脱前から続く英領北アイルランドの問題です。
北アイルランドにおける通商ルールは、英本土から海を隔てた北アイルランドに渡る食品などについて、同じ英国内なのに通関手続きが必要になるというものでした。
多数の犠牲者を出した北アイルランド紛争が再発しないための措置でした。
ところが北アイルランドでは新たな手続きで物流遅延などが発生し、アイルランドと同化を恐れる親英派の住民らはルールの撤回を訴え、春先には暴動も起きてしまいました。
英側は12月18日に対EU強硬派でこの問題の交渉役だったフロスト内閣府担当相が辞任しました。
後を継ぐトラス外相も21日、EU側の譲歩がなければ通商ルールを停止すると発言し、EU側が強く反発しています。
このままこじれると貿易協定の停止に至り、離脱前に懸念された「合意なき離脱」と同じ状態になる可能性があります。
もう一つ問題なのは、英国とフランスの関係悪化です。
英国はEU域外との積極外交の一環として米国とともに、オーストラリアへの原子力潜水艦の技術の提供を中核とする安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を立ち上げました。
これが先に豪州と潜水艦の建造を約束していたフランスの怒りを招いだのです。
アメリカも介入して何とか落ち着かせましたが、EUではこの件も契機に安保上の自立志向が強まり、マクロン氏が主張していた独自軍事部隊創設の議論が進んでいます。
英仏ではテロ撲滅にも関わる英仏海峡を渡る不法移民の件でも対立しています。
その背景は漁業の問題です。
英海域では、英・EUの貿易協力協定に反して不当に仏漁船の操業許可を控えているとフランスが主張しているのです。
こうした問題も相まって、英仏関係は足元で「最悪」といわれています。
英仏関係が安保面にも悪影響を出すと懸念している人もいて、そうすると、インド太平洋での西側諸国の連携にも影響します。
デリバティブの中央清算機関に関する規制といった金融覇権を巡る対立や、EUの一般データ保護規則(GDPR)の英での扱いなど、英・EU間の摩擦の火種は通商以外でも山積しています。
離脱の打撃がかなり大きい
英・EUの貿易協定では関税ゼロの貿易を維持したものの、原産地の証明や製品検査など新たな通関手続きが発生しました。これが英国の中小企業に重荷になりつつあるようです。
ある調査では、EUと取引のある62%の企業でコストが上昇しました。
16%の企業がコスト回避のために、EU事業の全部か一部のEU域内への移転を決めました。
こうした企業の流出や貿易の非関税障壁は、英経済に重荷となっており、そのダメージはコロナウイルスによるものより大きいという人もいます。
その兆候は数値に表れています。
2021年1~10月のEU向け輸出は1267億ポンド(約19兆5千億円)で、コロナ禍前の19年の同時期に比べ12%縮みました。
英政府はオーストラリアとの貿易協定に署名し、環太平洋経済連携協定(TPP)の加盟も急いでいます。
こうした新たな市場開拓で、どこまで現状のマイナスを補えるかが反転のカギとなると思われます。
EU担当大臣が辞任
EUとの協議を担当していたフロスト英内閣府担当相が18日、辞任を表明しました。
理由は明示されていませんが、ジョンソン政権の増税方針や新型コロナウイルス対策の強化への不満が一因だったとみられます。
不祥事や議会下院の補欠選挙の敗北など逆風が続くなか、首相を支える対EU強硬派の辞任は政権運営の打撃になりそうです。
2021年11月
ロンドンの地盤沈下が加速する可能性
欧州委員会は、加盟国が域外の銀行にEU向けサービスの提供を許可している措置を厳しく制限しようとしています。これがロンドンの地盤沈下を加速する恐れがあります。
この特例を使った事業展開が離脱後に増えたのが一因です。
EU当局はロンドンの銀行に認めた特別な取り決めや猶予期間の延長も見直し、英国からの移転を促そうとしています。
離脱前に当局と合意した移転を今、実行しているだけというケースが多いようですが、移転がロンドンから欧州大陸への片道切符であることは明らかです。
EUが金融サービスの「戦略的自立」を本気で追求し始めるのはこれからと言われています。
欧州委員会は域内の銀行がロンドンの清算機関を利用し続けられるようにする意向ですが、ユーロ圏内ではユーロ建ての清算を増やす方針を変えていません。
債券やデリバティブの取引や資産運用の委託に関しても見直しをすれば、業務の移転が進む可能性があります。
2021年10月
EU、英国との通商協定破棄も検討
英国政府が英領北アイルランドを巡る取り決めを守らない場合、EUは同国との通商協定の破棄を検討する可能性があるという事です。
北アイルランドと残りの英地域との交易条件を定めた北アイルランド議定書(プロトコル)について、ジョンソン英首相は議定書の第16条で付与された権限を行使し、その一部を一方的に無効にする考えをちらつかせています。
しかし、欧州側はこれに備えて強力な対応を準備する必要性を議論してきました。
通商協定が破棄されれば、すでに供給不足に苦しむ英国経済に一層の混乱を招くことになります。
もちろん、英国に顧客を抱える欧州企業にとっても、負担が増す事態になります。
人手不足がイギリスを襲う
人手不足が英国経済の重荷になってきています。
新型コロナウイルスのみならずEU離脱がその要因です。
供給網が断絶し、品物不足でガソリンをはじめ物価も上昇しています。
英ジョンソン政権は「コロナとの共生」を掲げて経済再開を進めていますが、うまくいくかわかりません。
ロンドンはコロナ前を思わせるにぎわいですが、経済は思ったほど回復していません。
英小売協会が12日に発表した9月の小売売上高は前年同月比0.6%増で、ロックダウン(都市封鎖)が敷かれた1月以来の低い伸び率です。
背景にあるのは深刻な品物や燃料の不足です。
コロナで元々人手不足なわけですが、EU離脱がそれに拍車をかけています。
運輸、飲食など多くの分野でEU出身者が働き、英国経済を支えていました。
英国は主権を取り戻すとしてEUを離脱し、1月からはEU市民が英国で働くにはビザが必要になりました。
その結果EU市民はコロナ禍で帰国したまま英国に戻っていないのです。
英政府はこれを受けてビザの発行条件を緩めています。
9月はガソリン不足を受け、EUなどから5000人の運転手を数カ月間限定で受け入れると発表しました。
しかし、今のままでは足らないとして、ビザの数を大幅に増やす必要があると民間の団体は政府に注文しています。
2021年9月
輸入管理の実施を一部延期
英政府は14日、EU離脱後の輸入管理について、一部の実施を延期すると発表しました。
延期は2度目となります。
新型コロナウイルスの感染とサプライチェーン逼迫による企業への影響を理由に挙げました。
4月1日から実施する予定だった税関での詳細な申告と管理は既に6カ月延期していますが、さらに来年1月1日に先送りします。
安全性に関する申告は来年7月1日からとなる予定です。
アイルランドへのEU食品安全ルール、無期限で適用延長
英国政府は6日、移行期間終了後の北アイルランドにEUの食品安全ルールを適用する免除期間を無期限で延長することを決定しました。
今回の延長で3回目となります。
3月に英国が一方的な延長を決めた際には英EU間に緊張が高まりましたが、EU側も丸く収めたい意向とみられ、今回の再々延長を黙認しています。
ただ、北アイルランド議定書の見直し協議は平行線のままで、問題解決に向けた打開策は見通せていません。
2021年8月
来月がEUとの通商問題のヤマ場
BREXITに伴って英領北アイルランドに導入された通商ルールを巡る英・EU間の摩擦問題が、1カ月後の9月末の期限を控えて山場を迎えます。
英国は北アイルランド経済に混乱が及んでいるとして通商ルールの再交渉を求めていますが、EUは応じない構えです。
EU離脱後も続く両者間の無関税での貿易を脅かすリスクが浮上しています。
ASEANの対話パートナーに
ASEANは、英国に「対話パートナー」の地位を付与したと発表しました。
英国からの要請を受けました。
イギリスはEU離脱後の外交政策としてアジアとインド太平洋地域の急成長する国々との関係強化を目指しています。
2021年7月
金融市場、イギリス離れが進む
金融市場で英国離れが進んでいるようです。
貿易や送金といった国際決済に占める通貨別のシェアで英ポンドは5月に過去最低を記録しました。
欧州株の取引規模も縮小しています。
ブレグジットに伴い金融機関が流出し、直接投資も縮小している事が要因と思われます。
国際的な金融街のシティーを抱える英市場の地盤沈下で、国際金融都市をめぐる勢力図も変化しつつあります。
イギリスからの労働者離れが深刻、コロナが誤算
EU離脱に伴う移行期間が終了し「完全離脱」してから半年たつ英国で、飲食店や農業などの人手不足問題が浮上しています。
新型コロナウイルス禍でEU出身の従業員が帰国したためです。
査証(ビザ)の取得が壁となり、入国を阻みます。
労働力が不足したままでは経済回復に打撃となりそうです。
2021年6月
漁業権争いが大筋合意
英国とEUが周辺海域での漁獲量について大筋合意しました。
英国のEU離脱に伴って互いの漁業に関する取り決めが変わり、英国とEU加盟国のフランス間で対立が先鋭化していました。
ただ双方の漁業関係者には不満がくすぶっており、対立が再燃するおそれもありそうです。
英EUがこのほど大筋合意したのは、2021年の割り当て漁獲量です。
報道によると英とEUが漁業をする海域に生息する約70種類の魚類が対象になり、詳細は近く公表される見通しです。
2021年5月
イギリスが大量のスワップ取引を失う
ブレクジットでイギリスは月間2兆3000億ポンド(3兆2500億ドル)相当のデリバティブ取引を失い、代わりの取引地としてニューヨークが最も多く選ばれたとの報告書が公表されました。
英国は昨年末にEUから完全に離脱した事を受けて、英金融部門のEU市場へのアクセスに制限が設けられました。
EUの金融機関など市場参加者は、スワップ取引でロンドン拠点の取引プラットフォームを使用できなくなりました。
その一方、EUは米国に対し、EUの投資家へのサービス提供を許可していました。
スコットランドの独立機運が上昇?
5月8日に実施された英スコットランド議会選で、スコットランド独立を目指す勢力が過半数を占めました。
第1党となったのはスコットランド民族党(SNP)で、過半数にわずか1議席足りない64議席でしたが、やはり独立志向のスコットランド緑の党が8議席を獲得しました。
BREXITより、スコットランドの独立機運が再燃していると言えそうです。
スコットランドは英国政府に対して改めて独立の是非を問う住民投票の再実施を求めていますが、ジョンソン首相はこれを拒否しています。
英国政府との交渉を優位に進めるにはSNPの単独過半数が望ましいと考えられます。緑の党との寄り合い所帯では、不一致の点もあり、一緒に交渉するのは難しそうです。
2021年4月
FTA完全発効へ
欧州議会は4月28日、英国とEUのFTAなどを柱とする合意について、賛成多数で同意したと発表しました。
これまでは暫定適用でしたが、完全発効が固まりました。
両国・地域の間にはなお対立の火種も残っています。
欧州議会が同意した「貿易・協力協定」は関税などを取り決めたFTAに加え、国境を越えた犯罪に対応する司法協力、紛争解決などを定めたガバナンスの枠組みを含んでいます。
北アイルランド問題へ進展?
英国とEUは、英領北アイルランドにEU離脱後の新たな貿易ルールをどのように適用させるのかを巡る協議を前進させたようです。
報道によると、対英関係を担うEU欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長と英国のフロスト首席交渉官が今週、これまでの進展を確認するために会談を開くという事です。
貿易の混乱、半数が長期化を予想
ある調査によると、英国企業の75%が、離脱以降、EUとの貿易に混乱が生じていると回答し、49%は混乱が長期的に続くとの見方を示しました。
英国とEUが締結した貿易協定は1月1日に発効され、一部の企業は貿易に際し、新たな手続きやルールの順守が必要になっています。
様々な業種でのダメージ
モノの貿易では英国とEUが2020年12月末に合意した貿易協定により、関税ゼロの貿易は維持されていますが、至る所でBREXITの痛みが生じているようです。
通関手続きなどの「非関税障壁」が新たに発生し、企業の手間やコストの重荷になっているようです。
政府は一過性の数字だとしているものの、1月のEU向けのモノの輸出額は前年同月に比べて38.6%減少しています。
離脱を機に複数の電子取引市場の運営会社が大陸欧州に移った結果、20年12月に44%あった欧州株のロンドンでの売買シェアは21年1月に22%に半減しました。
代わりにオランダのアムステルダムが7%から23%に上げロンドンを追い抜いています。
EUの単一パスポートを失った余波は他の取引にも波及しかねません。
また、英領北アイルランドでの地域紛争リスクも心配です。
悲惨な紛争を再発させないため、離脱協定で定めた通関ルールを巡り英EUが再び対立し始めています。
英政府は3月末に終了すると約束していた、北アイルランドへの食品輸送に関わる通関手続きを簡素化する猶予期間を一方的に延長し、これにEUが反発しているのです。
まだ、BREXITの闘争は終わっていないようです。
水産業も大きな打撃
完全なBREXITから3カ月たち、離脱の「勝ち組」とみられていた水産業が深刻な打撃を受けているようです。
通関手続きの発生などで、1月のEU向け輸出は8割も減りました。
水産業はEU離脱により、英海域に入るEU漁船が減ることで恩恵を受けると宣伝され、同産業で働く人たちは離脱支持派が多いとされてきました。
離脱実現でジョンソン首相は海域の「コントロールを取り戻した」と誇りましたが、3カ月たっても逆風が続き、政府に裏切られたとの声があがっているようです。
2021年3月
金融規制協議のフォーラムを設置
英国とEUは市場規制を協議する新たなフォーラムの設置に合意しました。
英国によるEU離脱後の金融サービスを巡る協力に向け、最初の一歩を踏み出しました。
この動きは、EU離脱で英国の金融企業が失った欧州単一市場へのアクセスの一部を将来的に回復する方向に導く可能性があります。
イギリスとEU、金融分野に関する覚書に合意
英国とEUは3月26日、金融分野に関する覚書に合意しました。
規制面での協力などが盛り込まれましたが、英国のEU金融サービス市場へのアクセス問題については大きな進展はなさそうです。
英財務省によると、覚書では、EUと英国の規制当局が情報を共有する枠組みなどが規定されました。
ただEUは、覚書を締結しても、英金融業界がEUの顧客に幅広い商品やサービスを再び提供できるようになるわけではない、とけん制しています。
業界専門家は覚書について、有益ではあるものの、在英金融機関が離脱前と同様のEU市場へのアクセスを手にする可能性は低いとみています。
通商合意に試練
EUと英国との対立が再燃しているようです。
英領北アイルランドの国境問題を巡る合意を英側が一方的に変更したとして、EUは15日に法的手続きに入りました。
両者が合意した貿易ルールは早くもリスクに直面しており、今後の通商関係にも影響が及ぶかもしれません。
EUは英国との対立が解消しない場合、EUが制裁関税をかける可能性にも言及しています。
イギリスの対EU輸出が38%減少
3月12日発表された1月の貿易統計によると、EU向けのモノの輸出額は前年同月比38.6%減の81億3800万ポンド(約1兆2400億円)でした。
マイナス幅は2020年12月(1.0%減)から急拡大し、20年末のEUからの完全離脱による通商環境変化の影響が表れました。
シティの金融取引シェアが低下
英国が金融取引のシェア低下に直面しています。
BREXITで事業の前提となる規制が変わりEU投資家が離れています。
英・EUは規制面での協力の覚書を3月末までに結ぼうと交渉していますが、英国回帰の可能性は低そうです。
金融街シティーの地位低下は英経済の先行きだけでなく、世界のマネーの流れにも影響する可能性があります。
離脱の移行期間が2020年末で終わり、英・EUの経済関係は年明けから大きく変わりました。
モノの貿易では関税ゼロが保たれましたが、英国側への影響が如実に表れたのがFTAの対象外だった金融分野となったわけです。
2021年2月
BREXIT以降、中小の製造業の6割がコスト上昇に直面
BREXIT後、中小製造業の約6割超が部品や原材料などのコスト上昇に直面しているようです。
また、大半が通商面で何らかの問題を抱えているという事です。
調査によると、サプライチェーン内の価格が上昇したり、原材料の納期が長期化したという事です。
中小製造業のおよそ65%がコスト上昇を指摘しており、54%がEU向け輸出がより困難になったと回答したそうです。
イギリス、EUに物流ルールの猶予を要求
英政府がEUに対し、英本土から英領北アイルランドに向かう通関手続きの厳格化の延期を求めています。
英本土から北アイルランドへの通関手続きに対応できない業者が相次ぎ、北アイルランドが1月の一時期、食料品不足に陥ったのが発端です。
英領北アイルランドの国境問題がまた英EU間の摩擦になりつつあるようです。
2021年1月
EUと金融サービスに関する協議を始める
イギリスはEU離脱後の金融サービスにおける当局の協力に関してEUと協議を始めます。
通商合意では金融サービス業界はほぼ後回しにされていましたが、EUとイギリス方は3月までに監督当局の協力について覚書を取り決めることで合意していました。
静かな船出
英国が2021年1月1日、EUの単一市場と関税同盟から正式に抜け、新たなFTAの適用が始まりました。
関税ゼロの貿易関係は保たれますが、通関手続きが必要になり輸出入に申告などの手間やコストが生じます。
通関手続きによる大渋滞が懸念されていますが、初日は大きな混乱は見られなかったようです。
2020年12月
EU加盟国がFTAを正式に承認
EU加盟国政府は12月29日、英国と合意した自由貿易協定を正式に承認しました。
1月1日からの適用に向け、さらに一歩前進しました。
EUと英国は12月30日に合意に署名する予定です。
英国では同日に議会で採決される予定です。
なおFTAは暫定適用となり、欧州議会の承認がなお必要となっています。
欧州議会での採決は2021年2月か3月に行われる予定です。
イギリス・EUの妥結は金融業にとっては大きなポイントにならず
今回のイギリス・EUの妥結は金融街シティーには助けとならないようです。
金融サービスについては、EUによる別のお墨付きが必要だからです。
英国の金融規制と監督は公平な競争環境を作り出すのに十分だとEU当局者が判断する必要があるわけです。
これがなければ、英国の金融業界から資産や事業、人材が流出する状況は止まらないと思われます。
金融サービス業の多くは、EU域内へのさらなる事業移転を始めています。
例えばJPモルガンの場合、2000億ユーロ相当の資産とスタッフ200人が今回の移転の対象に含まれていますが、それで終わりそうにないようです。
英国のバンカーと規制当局、政治家は通商合意が金融についての合意形成にの助けになると期待しています。
金融業界はイギリス国内で100万人以上が雇用され、税収の1割強を担う英経済の要で、これがなくなると大きな痛手になります。
しかし、これまでと同じようにロンドンがヨーロッパと世界の金融の中心であり続けると思っている人はそんなに多くないのが実情のようです。
漁業権はお互いが譲歩
懸案となっていた漁業権では5年半の激変緩和期間が設けられるなど、お互いが譲歩しあう形で妥結したようです。
英国のEU加盟時はEUの共通漁業政策の下、加盟国の漁船が一定の漁獲割り当ての範囲で自由に英海域で操業できていました。
英国はEU離脱の移行期間が切れる来年1月1日以降はEUの漁獲割り当てを大幅に減らし、他国の漁船の操業の可否を自ら決めるなど「海域の主権回復」を訴えてきました。
一方のEU側は、激変緩和措置として長期の移行期間などを主張していました。
こうして、漁業権をどうするかについて、合意発表の当日まで交渉が続いていました。
最終的に英・EUは、EUの漁獲量の割り当てを金額ベースで25%減らし、英側に渡すことで合意しました。
さらに5年半にわたり両者の漁船が互いの海域で操業し、徐々にEUの漁獲割り当てを減らす激変緩和期間を設けました。
期間後は漁獲可能な総量などを毎年の漁業交渉で設定する仕組みになるようです。
合意文書を公表
英国は12月26日、EUとの自由貿易協定を含む将来関係に関する合意文書を公表しました。
英国が公表したのは1200ページ以上にわたる通商合意文書のほか、原子力や機密情報の交換に関する合意、一連の共同声明と付属文書です。
付属文書の内容は、原産地規則や漁業、ワインや医薬品、化学物質の取引、セキュリティー関連情報での協力など多岐にわたっています。
今回の協定により、総額9000億ドルの英EU貿易の約半分を占めるモノの貿易については、自由な移動が維持され、関税や割当枠も設けません。
しかしモノの移動は通関作業など管理の対象となり、手続きがこれまでよりも増えて大きな混乱が予想されています。
英領北アイルランドとEU加盟国であるアイルランドとの国境問題について、厳しい国境管理を導入しないことでも合意しています。
イギリスとEUが合意したと正式表明
英国とEUは12月24日、FTAなど将来関係を巡る交渉で合意したと発表しました。
これで関税ゼロでの貿易が維持される可能性が極めて高くなりました。
英政府は年内中に議会でFTA合意の批准を済ませる方針で、欧州委は欧州議会の同意なしに合意を発効させる暫定適用を提案する見通しです。
英・EUとも「FTAなし」の結果は避けたいのが本音でしたが、両者が強気の交渉姿勢を変えなかった事から、交渉が長期化しました。
今回結んだFTAの内容もモノの関税ゼロの維持を中心とする最低限のものにとどまりました。
イギリスとEUが大筋合意との報道
12月23日、EUとイギリスのFTA交渉が大枠で合意したとの報道がありました。
双方の担当者の間で、最終的な協定の文言を調整する詰めの作業が進められているようです。
協定文書はジョンソン英首相とEU各国政府が承認する必要がありますが、双方の当局者は、遅くとも24日までに発表が行われると期待しています。
英当局者によると、英政府の閣僚らは今後、オンライン閣議で交渉の現状について説明を受ける予定です。
英政府は24日午前の記者会見を準備しているという事です。
交渉難航と新型コロナウイルス問題で、イギリスの物流が混乱
EUとの通商交渉の難航に加え、新型コロナウイルスの感染拡大が混乱に拍車をかけています。
生鮮食料品の不足など市民生活の混乱に加え、ものづくりのサプライチェーンにも影響が広がるかもしれず、政府は冷静な対応を呼びかけています。
新型コロナウイルスの変異種問題はコントロールできない為、少なくともEUとの交渉は妥結に持っていくべく機運へとつながるかもしれません。
バルニエ氏、最後の一押し
イギリスとEUは、漁業問題では合意に近づいているものの、その他の政治的に微妙な案件でまだ交渉を続けています。
バルニエ氏は
「重要な局面に差し掛かっている。最後の局面だ」
と述べました。
イギリスが漁業権問題で譲歩案を提示
12月21日、英政府は交渉の打開に向けて、争点となっている英海域でのEU漁船の漁業権の問題に関する新提案をEU側に示しました。
EU側が受け入れるかは不透明で、この提案が将来関係交渉の合意にまで導くかどうかは見通せません。
ミニ片務協定を結ぶアイデアが浮上
年内に通商交渉で妥結できない場合、双方が一連の「ミニ片務」協定を結ぶことができるとゴーブ大臣が述べました。
報道によれば、英国とEUは、英米のつながりに近い「特別な関係」を離脱移行期間終了後に築くことが可能だとゴーブ氏は話したという事です。
交渉はなお続く
12月20日でも交渉が続いています。
12月20日までの合意を目指していますが、英海域での漁業権などの対立点が解決していないようです。
合意に至っても、年内中に双方の議会で批准ができるか不透明感が強まってきています。
フランスのボーヌ欧州問題担当相は、
フランスとして12月20日までの妥結に向けて、全てを諦めるという事はない
と語りました。
交渉は12月21日も継続される見込みです。
ジョンソン首相、「深刻な状況」
ジョンソン英首相は12月17日、EUとの通商交渉が「深刻な状況」にあるとして、懸念を表明しました。
ジョンソン首相はEUが漁業権を巡る要求を弱めない限り合意は不可能だと警告しました。
食料品・日用品の高騰リスク
英国に物価の急上昇リスクが迫っています。
EUとの自由貿易協定交渉が決裂すれば、EUからの食品や日用品の輸入に関税が生じるため、日用品などの高騰が起こります。
ジョンソン首相は「FTAなしの可能性」を口にしつつ強気の瀬戸際協議を続けていますが、合意なしが現実になれば英市民の生活を直撃し、イギリス経済はかなり混乱するでしょう。
バルニエ氏、週内に合意の可能性を示唆
EUのバルニエ首席交渉官は12月14日、英国との通商合意に週内にも達する可能性があると述べました。
バルニエ氏は漁業権の問題で妥協できれば合意が可能になると語ったようで、ここ数日が重要であるとの認識を示したそうです。
残る争点のうち、公平な競争条件については着地点が見えてきた模様です。
漁業問題は各国の利害調整も必要で時間が掛かっていますが、最終的には線引きの問題です。
バルニエ氏の発言を受けてポンドは一時1.6%高となりました。
一日ごとに良いニュースと悪いニュースが交錯しています。
イギリス・EU交渉、更に継続
イギリスのジョンソン首相とEUのフォンデアライエン委員長は12月13日の電話協議で、交渉をさらに継続することで合意しました。
これまでは、12月13日を最終期限としていましたが、ぎりぎりまで合意への努力を続ける必要があると判断したようです。
新しい交渉期限は示されていません。
FTA無しの場合、イギリス株は最大10%下落する可能性
モルガン・スタンレーは12月11日、FTA合意が出来なかった場合、英FTSE250が6-10%下落するとの見通しを示しました。
ジョンソン首相は10日、EUとの通商交渉で合意できない可能性が高いとの考えを示していました。
モルガン・スタンレーは、合意が成立しない場合、イングランド銀行がマイナス金利を採用する可能性が高まり、英銀行株が10ー20%下落すると予想しています。
FTA無しに備え、輸入急増
EU離脱移行期間が終わりに近づき、英国では輸入需要が急増しています。
英仏海峡の主要港やそれに向かう高速道路では大規模な渋滞が発生しています。
FTAを結べば関税はゼロになるわけですが、英EU間に通関作業は発生するため、物流の混乱が予想されています。
もし交渉が決裂して「FTAなし」の状態になれば関税が復活することになり、通関作業はさらに煩雑になる可能性があり、これ以上に混乱が起きる可能性があります。
特に影響が大きいと言われているのが、欧州などから部品を輸入するサプライチェーンで成り立つ自動車業界です。特に在庫を増やして事態に備えようとしています。
13日まで交渉を継続
英国とEUのFTA交渉が、13日まで続く事が決定しました。
EUの欧州委員会は交渉決裂への備えとして12月10日、混乱を緩和するための対応案を公表しました。
双方とも合意を目指す方針は変わらないものの、年明けの経済の混乱回避に向け、時間切れが迫っている状況です。
ジョンソン首相、「合意なし」の可能性が高いとコメント
英国のジョンソン首相は12月10日、EUとの通商交渉で合意できない可能性が大きいとの考えを示しました。
ただ、交渉をまとめるためにどこにでも出向くとも述べ、引き続き合意に向けた努力を行う事も表明しました。
トレーダーがFTA交渉不調を織り込み
英国とEUが通商協定を結べない可能性をマーケットが急速に織り込もうとしています。
ポンドのトレーダーはFTA交渉の不調に衝撃を受け、ジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員長の直接会談を待たずにポジション調整を進めているようです。
向こう1週間のポンド下落リスクをヘッジする相対的なコストは、世界の主要通貨の中で最も高くなっています。
向こう1カ月では、トルコ・リラに次ぐ高さです。
ポンドの1週間物インプライド・ボラティリティーは今四半期に急騰し、2番目に高い通貨の約3倍になっています。
アイルランド国境
12月9日、英政府が、アイルランドと英領北アイルランドの国境管理についてEUと合意したと発表しました。
これを受けEUとの離脱協定違反を可能にする法案の条項を撤回すると明らかにしました。
ゴーブ内閣府担当相は
「特にアイルランドと北アイルランドに関する取り決めなど、全ての問題について原則的に合意した」
と表明しました。
アイルランド政府も合意に賛同を示しています。
対面交渉に望みをつなぐ
ジョンソン英首相とEUのフォンデアライエン欧州委員長が、FTA交渉の進展をめざして対面会談を行います。
しかし、最終局面となっても英EUはともに合意と決裂の両にらみを続けており、トップ会談が局面打開につながるかは見通せない状況です。
EU、9日が期限と主張
EU側の交渉官は12月9日が事実上の交渉期限になると考えているようです。
ジョンソン英首相とEUのフォンデアライエン委員長は7日夕に再び電話協議に臨みましたが、現時点では妥協点を見いだして合意に至ったか分かっていません。
ジョンソン首相、交渉離脱の準備も
12月7日、EUが態度を変えなければジョンソン英首相は交渉離脱の用意があるとの報道がありました。
ジョンソン首相はEUに、離脱を巡るフランスの要求に対して態度を変えないと述べる見込みのようです。
また、ジョンソン首相はEUが新しい要求をひかないのなら、交渉を終わらせる準備もしているようです。
漁業権問題も解決の方向
通商交渉が12月6日、ブリュッセルで再開されました。
主な争点の一つである漁業権問題は、解決に向かう兆候が見られているとの報道が出ています。
大詰めで、首脳会談を開催
EUのフォンデアライエン欧州委員長と英国のジョンソン首相は12月5日、電話で協議しました。
意見の隔たりが残るなか、首席交渉官に12月6日に会うよう指示すると共に、首脳自身も7日に再び話し合う予定となりました。
大詰めの状況です。
EU側が新たな要求で合意遠のく?
通商交渉は12月3日、一転して合意が遠のいたとの報道がありました。
英国はEU側が突如新たな要求を持ち出したため、近く合意に至る可能性が後退したと非難しています。
ただ、EU当局者は英国側のこの主張を否定しています。
2020年11月
通商合意、週内に決着の可能性
2020年11月29日、ラーブ外相はイギリスとEUの離脱交渉担当者の間では「誠実」な協議が進展しており、週内に合意が成立する可能性があると語りました。
大きな問題は漁業権で、主権に関わる問題であるとラーブ外相は説明しています。
合意へ大詰めの協議
通商交渉は、近く合意にこぎ着ける方向に進んでいるようです。
今のところ通商合意は、11月30日の週に成立する公算の方が大きいとの事です。
物流が滞る懸念
仮にFTAで合意できたとしても2021年1月から物流の混乱が予想されています。
英国とEUの間には通関作業が発生する為です。
準備状況に遅れも目立つ中、企業は交渉の行方を見守っています。
GS、パリに欧州株取引の拠点を開設
ゴールドマンサックスは、欧州株取引のためのプラットフォームを開設する計画のようです。
英国がEUを離脱した後もロンドンで欧州株を扱えるような合意ができない場合に備える為です。
GSはフランスの監督当局に「SIGMA・X欧州」という取引拠点をパリに開設する許可を申請しました。
当局の承認が得られれば2021年1月4日より前に稼働させる予定という事です。
迫る期限切れ
イギリスとEUの自由貿易協定など将来関係を巡る交渉は、時間切れが迫るのになお対立が続いています。
漁業権と企業の補助金を巡る隔たりが大きいようですが、金融や個人情報の扱いなど規制の擦り合わせでも決着がついていません。
イギリスとEUは11月16日からブリュッセルで首席交渉官級の交渉を開いています。
11月19日にはオンラインでのEU首脳会議もありますが、そこまでに交渉が大きく進展するかどうかはまだ見通せません。
対EU強硬の首相側近が辞任
2020年11月13日、ジョンソン首相は自身の参謀役であるドミニク・カミングス上級顧問の解任を決めました。
同じく離脱推進派で首相官邸の報道担当幹部も解任します。
対EU強硬派の側近を政権中枢から外したことで、難航するEUとの将来関係を巡る交渉の転機となる可能性があります。
カミングス氏は2019年7月のジョンソン政権誕生以降、政権運営の節目で戦略立案を担い、大きな影響力を持っていました。
ただEUだけでなく政府の官僚組織や英議会議員にも極めて懐疑的で、政府高官や与党・保守党議員の間では同氏の重用に不満が高まっていたようです。
また、コロナ危機対応を巡って首相の求心力の低下も最近顕著で、ジョンソン首相としても保守党への配慮をせざるを得なかったのかもしれません。
イギリス上院、EU離脱協定の修正案を却下
2020年11月9日、英議会上院はEUとの離脱協定を巡りジョンソン政権が一方的に進める修正法案について、協定違反箇所を取り除く2つの議案を超党派による賛成多数で可決しました。
国際的な約束を守るべきだとして政府方針に異議を唱えたものです。
政府報道官は採決後、
「失望している。下院に差し戻された時に、削除された条項を再提示する」
と上院の意思に従わない姿勢を強調しました。
法案は9月末に下院を通過済みです。
上院は非民選のため、一定期間後に下院の優越の規定で法案成立は可能です。
イギリス、主要問題で大きな動きなし
EU側の責任者を務めるバルニエ首席交渉官は、交渉を長引かせている主要な問題についてイギリスから新しい動きがなかったとの認識を示しました。
ジョンソン首相に合意を成立させる意思があるのなら、姿勢を転換する政治決断を下さなければならないだろうとの見方も示しています。
2020年10月以前
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