【最新】BREXIT(ブレグジット)の影響の経緯とまとめ

この記事では、BREXITの動向について、2020年以降の動きを時系列でまとめていきます。

2019年4月~12月の経緯は↓をご確認ください。

参考 BREXIT、ジョンソン首相の誕生から2019年総選挙までAmazon.com

2019年4月以前は↓をご確認ください。

参考 BREXIT、2018年11月~3月メイ首相の戦いAmazon.com

BREXITがいわゆる「無秩序」に行われると、その影響は世界経済全体に及ぶことが懸念されています。もちろん新興国もどんなにファンダメンタルズがよかろうと、急落を余儀なくされるでしょう。

そこでBREXITの経緯と動向を深く理解するために専用の記事を作りました。

基本的に、新しく起きたものが上に来るように記述していきます!

BREXITと民間企業への影響については↓

BREXITと民間企業への影響

BREXITとイギリスポンドの動きについては↓

BREXITとイギリスポンドの動き2019

欧州議会選挙についての概要は↓

BREXIT関連 欧州議会選挙とは

保守党党首選挙についてのまとめは↓

【2019年5-6月】BREXIT関連、イギリス保守党選挙

【2019年5月】BREXIT関連 メイ首相後任決定プロセスとそれ以降

2020年3月

移行期間延長求める声が増加

イギリス内で「移行期間」の延長を求める市民や経済界の声が高まってきているようです。

現状は2020年末までですが、交渉の時間が足りないとの見方が目立っています。

世論はFTA交渉よりも新型コロナウイルス対策の優先を政権に期待しているという事情もあるでしょう。

最新の世論調査によれば、新型コロナ対策に集中するため移行期間の延長を申し出るべきとの回答は64%に達し、移行期間を予定通り12月31日に終了すべきだとしてのは36%にとどまりました。

保守党の支持層でも意見は割れ始めています

2019年末の総選挙で保守党に投じた人のうち44%が移行期間の延長に賛成しています。

ただ、移行期間を延長する場合、6月末までに決める必要があります。

移行期間を延長すると、EUの政策決定に関与できないままEUルールに従う期間が延びたり、EUへ拠出金を払ったりする必要が出てくるので、イギリス政府としてはそうしたくないわけです。

イギリスとEUはテレビ会議システムなどで交渉を継続していますが、FTAを巡る交渉は明らかに遅れています。

双方が新型コロナ対策に忙殺されているという事情もあるでしょう。

英製造業の将来に見通しは金融危機以降最も悲観的

産業連盟の調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、イギリスの製造業者の将来の見通しが、金融危機以降で最も悲観的になっているようです。

BREXITを前に、ただでさえ悲観的になりやすい中、コロナウイルス問題でそれに拍車がかかっています。

向こう3カ月間の製造業生産期待指数は3月にマイナス20となり、2月のプラス8から大きく落ち込みました。

3月の製造業受注指数はマイナス29で、やはり2月のマイナス18から低下しています。

コロナウイルス問題で、年内の交渉妥結はより厳しく

新型コロナウイルスの感染拡大により、イギリスーEUの交渉の年内妥結がいっそう難しくなってきています。

そもそも、思うように交渉が出来ないのと、企業活動に大きな影響を与える英EU交渉よりも、新型コロナ対策を優先すべきだとの圧力が高まっているためです。

これにより、期間の延長は避けられないとの見方が強まっています。

イギリスは6月末までに自らが望む条件を引き出せなければ交渉を打ち切り、経済に混乱を及ぼす「FTAなし」の状態も辞さないとの強硬姿勢を示してきました。

イギリスには移行期間を延長して交渉を続ける選択もあるわけですが、その間はEUの政策決定に関与できないままEUルールに従うという状況が続くわけです。

これに保守党の強硬離脱派は大反対で、受け入れ困難です。

ジョンソン首相も現状は3月18日の記者会見で、移行期間の延長の可能性を問われ「自らの意思を変えるつもりはない」と強調しています。

現時点でジョンソン政権は「FTAなし」も含めた年内決着を断念するそぶりは見せていませんが、移行期間延長に向けた外堀は埋まり始めているのかもしれません。

18日の交渉は中止

2020年3月17日、イギリス政府はEUと18日に予定していた通商協議について、中止すると発表しました。

理由は新型コロナウイルスの感染拡大です。

イギリス政府報道官は、当初の予定通り、FTAの草案など関連文書を近いうちにEU側と共有するとしていて、協議を継続できるよう別の形で会合を開催する方法を模索していると説明しました。

BREXIT準備に44億ポンド以上を支出

2020年3月6日、イギリス会計検査院はEU離脱に向けた準備に英政府が44億ポンド以上を支出したとの推計を報告しました。

EU離脱準備費用の詳細が明らかになったのはこれが初めてです。

漁業や司法で対立

5日に終了した協議で浮かび上がったのは、4つの論点とされているようです。

浮かび上がった対立点は漁業や司法など4分野です。

漁業

サバ、タラなどが豊富な英海域で仏蘭の漁師は生計を立てています。

これはEU加盟国は漁獲量を守った上で他国の排他的経済水域(EEZ)で操業できるからですが、英離脱で状況が変わります。

移行期間が終わればEU各国の漁師らは英海域での操業権を失います。

イギリスは21年1月からは英海域の権利を取り戻すとして1年ごとに漁獲割り当てを協議する手法を提案したようですが、EUは従来通りの操業を求め、物別れに終わりました。

イギリスとEUは漁業分野の結論を7月1日に出す方針で、他の分野の交渉の試金石とみられています。

公正な競争

EUはイギリスが企業寄りに規制緩和して競争力をつけるのを警戒し、税制や雇用政策などの面で将来にわたってEUルールに沿うように求めています。

一方、イギリスは環境分野など多くの分野ですでにEUと同じかそれ以上に高水準だと訴え、EUルールへの連動をかたくなに拒否しています。

交渉方法

EU側はすべて包括的になった協定を望んでいますがイギリス側は必ずしもそうではありません。

EU側は2月末にまとめた交渉方針で、貿易を中心とした自由貿易協定だけでなく、漁業協定の締結やエネルギー、安全保障での協力などを網羅した合意にすべきだと主張しました。

EUはイギリスに移行期間の延長を申請するよう暗に求めているわけです。

イギリスは、そんなやり方では年末までの妥結は間に合わないとして、特定の分野の交渉を来年以降に先送りするなど柔軟な合意の形を求めています。

司法

EU法を巡る解釈をどうするかで見解が割れているようです。
EUはEU法を解釈するのは欧州司法裁判所とその下級裁判所に限られるとしています。

一方でイギリス側はEUを離れる以上、ECJの管轄権はイギリス側には及ばないとの立場です。

2回目は18日

2回目の会合は18日からロンドンで予定されています。

今後月に1~2回開き、交渉を加速させる考えです。

いずれの対立分野も政治的に難しい課題となっていて両者とも簡単に譲歩できません。

しかしその割に、残された時間は少ないです。

初回協議、両者「深刻な隔たり」

2020年3月5日、イギリスとEUは交渉の1週目を終え、EUのバルニエ首席交渉官は、双方の間に「深刻な隔たり」があると警告しました。

バルニエ氏は、両者が対立している点として、競争政策、刑事・司法の協力、漁業海域の管理、合意が構築される様式の4つをあげました。
その上で、
「多くの深刻な隔たりがあり、たとえ難しくても、合意は可能だ」
とコメントしました。

バルニエ氏は交渉が友好的で、難しい状況の中でも「建設的な精神」が保たれていたと評価しました。

2020年2月

EU、イギリスをけん制

2020年2月25日、EUはイギリスとの交渉について公正な競争環境に言及し、イギリスをけん制しました。

イギリスが一方的に規制を緩和するのをけん制したコメントです。

3月上旬にも始まる交渉は年央に結論を目指す漁業と金融分野でまず試されます。

イギリスの対EU輸出、3.5兆円減も

2020年2月25日、国連貿易開発会議(UNCTAD)は「合意なき離脱」の状態になれば、イギリスの対EU輸出が年間最大320億ドル減少するとの試算を発表しました。

移行期間中に協定を結べないまま合意なき離脱になれば、イギリスはEUへの輸出の14%を失うと分析しています。

イギリスにとってEUは輸出入ともに約5割を占める貿易相手なので、極めて大きなダメージです。

一方、EU加盟国にとってもマイナスで、アイルランドは英国への輸出が10%減少し、最も影響を受けると指摘しています。

オランダ、2019年の企業誘致好調

BREXITの影響もあり、オランダで2019年に事務所を開設した企業が前年から倍増したようです。

2019年にオランダで事務所を開設、またはオランダに移転した企業は78社で、EU離脱の是非を巡る2016年の英国民投票以降では合計140社となりました。

オランダ政府によるとオランダで事務所を開設する企業は毎年倍増傾向にあり、減速の兆しは見られないとの事です。

イギリスとEUとの交渉が不透明な事もあり、企業は他の選択肢を模索しているのだと思われます。

オランダへの移転や拡張について協議している企業は425社で、2018年の175社を上回っています。

米中貿易摩擦に伴うベトナムみたいな所でしょうか。

イギリス、ASEANとの連携を強化

EUから離脱したイギリスは、世界の成長のけん引役であるアセアンとの連携強化に向けて積極的に動いています。

2020年2月10日、ラーブ英外相はEU離脱後の初の外遊先に、日本に続きシンガポールを選びました。

ASEAN内で唯一、EUとFTAが発効している同国を、ラーブ氏は重視していると公言しました。

イギリスはこれまで貿易自由化をEU経由で進めてきたため、移行期間中に、EUだけでなく第三国とも通商協定を結び直す必要があります。

2019年11月に長い交渉の末EUとのFTA発効にこぎ着けたシンガポールを、イギリスも一つのモデルケースとして位置づけ重視しているのだと思われます。

そしてそれを他のASEAN諸国との通商交渉で横展開していくものと思われます。

金融業界、EU市場へのアクセス巡り対話フォーラム開設を要求

2020年2月13日、イギリスの金融業界団体はEUと金融市場の相互アクセスをどのように維持しているかについて監視するための正式な対話フォーラムを立ち上げるよう求めました。

移行期間終了後に英金融機関がEUの市場に引き続き自由にアクセスできるかどうかは、イギリスの金融規制がEUと同レベルと見なす「同等性評価」を得る事が条件となります。

ただ、「同等性評価」によって全ての金融業界の活動がOKになるわけではなく、30日前の通知を条件に取り消すことが可能な場合もあります。これは金融機関にとっては理想的ではありません。

そこで、英金融業界の団体、国際規制戦略グループは金融業界のルールに関する正式な対話フォーラムを立ち上げるよう呼び掛け、同等性評価に関する違反について「法的拘束力のある決定」を下せる仲裁制度も含めるべきだとしました。

ただ、フランスなどのEU加盟国は金融機関がユーロ建て決済・清算業務をロンドンからEUに移転することを望んでいる事もあり、「法的拘束力のある決定」の案に反発する可能性が大きいと見られています。

ジャビド財務大臣更迭でジョンソン政権に痛手

2020年2月13日、ジャビド財務相が突然辞任を発表しました。

事実上の更迭と思われます。

ジョンソン首相との対立を解消できずに辞任となり、政権としては痛手となる可能性が相応にあると思われます。

このままでは首相府は3月11日に予定通り予算案を発表出来るか分かりません。

後任

次期財務相にはジャビド氏の補佐役を務めたリシ・スナック財務首席政務次官が速やかに指名されました。

シティの地盤沈下をいかに食い止めるか

イギリスの金融機関のEU市場へのアクセスが難しくなると、シティからの人員移転が増えますが、これはシティーの競争力の低下につながり、イギリスとしては何とかしたい課題です。

国際決済銀行によると、イギリスの外国為替取引高は第2位のアメリカの約2.6倍と圧倒的な首位に立っています。
欧州の金融ハブとして繁栄してきたシティーを支えたのが、EUの単一パスポート制度でしたが、EUから離脱すればそれがなくなります。

単一パスポート制度

EUに加盟するどこか1カ国で免許を取れば、EU全域で金融サービスを提供できる枠組みです。

離脱後もEU市場への自由なアクセスを維持するには、イギリスの金融規制はEUと同レベルだと認めてもらう「同等性」の評価を得る必要がある。

この問題は6月末までに同等性を相互に判断する段取りですが、難航が予想されます。

ジョンソン英首相がEU離脱を受けて、イギリス独自の金融規制をめざす考えを示しているためです。

イギリスが独自規制にこだわれば、同等性の評価を得るのは難しくなります。

すでに在英金融機関の多くは「合意なき離脱」への備えとして、EU側にも拠点を整えてきていますので、仮に同等性を認められなくても、20年末に金融ショックが生じるような事態は避けられそうです。

そうであればなおさら、EUとして同等性を認める必要性は乏しくなるでしょう。

EU、金融の同等性評価を求めるイギリスの要求を速やかに却下

EUは金融サービス企業のアクセス継続を巡るイギリス政府の要求を速やかに却下しました。

イギリス政府は離脱後もロンドン金融街が欧州単一市場内で業務を継続できるよう求めていましたが、一方でイギリス独自の金融規制にもこだわっており、EUとしてはそれは認められないという事です。

イギリスとEUは来月から将来の通商関係について交渉を開始します。

イギリス、移行期間終了後にEU製品に対する輸入管理を導入

2020年2月10日、イギリス政府はEU離脱を巡る移行期間後にEU製品に対する国境での輸入管理を導入する計画であることを明らかにしました。

EU、イギリス離脱でMiFID2修正を検討

イギリスの離脱によってEUはロンドンの金融街に対して行った妥協を取り返そうと攻勢に出ようとしています。

EUの当局者は金融危機後に成立させた第2次金融商品市場指令(MiFID2)のうち、イギリスに譲歩した部分の修正を検討しているようです。

具体的には「オープンアクセス」と呼ばれる条項です。

デリバティブ市場の競争を促進する目的で、取引と決済を異なる市場で行うことを認めており、2020年半ばの発効が予定されています。

ロンドン証券取引所グループの後押しで導入が決まったものですが、上場商品に対する欧州企業の支配力を弱めるとの懸念がありました。

もう一つは投資リサーチ代金とトレーディングサービス手数料を切り離すよう義務付けた規則です。

この規則に対し、ロンドンを拠点とする米銀など大手による略奪的な価格設定を可能にしているとの指摘が欧州勢にはあるようです。

FTAなしも辞さない方針を発表

2020年2月3日、イギリスとEUは新たなFTA交渉の方針を発表しました。

英国は関税ゼロの維持は求めつつも規制やルール面でEUから決別する意向を強調した。

交渉が不調に終われば、関税復活にもつながる「FTAなし」も辞さない構えを見せるなど強硬姿勢です。

そのうえでEU・カナダのFTAと同じ協定を希望すると訴えました。

ジョンソン首相、交渉打ち切りも辞さない構え

ジョンソン首相はロンドンでの演説で、対EU交渉について、自らが望む内容を得られなければ交渉を打ち切る用意があると表明する予定です。

ジョンソン首相は最低でもEUがカナダと結んだのと同様の貿易合意を望んでいるとEU側に伝える予定ですが、そのような合意に至らなくてもイギリスの繁栄は実現されると自信を持っています。

2月上旬に交渉方針を公表

イギリス・EUはそれぞれ2月上旬に交渉方針を公表し、将来関係の交渉に臨む予定です。

最大の焦点はイギリス・EU間で関税や通関手続きなしで輸出入できる現状が、新たなFTAでどこまで変化するかでしょう。

イギリス側の目標

イギリスは「全品目関税ゼロ」の維持を目指す一方、製品の基準や税制、雇用規制などは自国の判断で企業寄りに緩和できる自由を確保するため、EUとの調和は目指さないというものです。

EU側は関税ゼロなどEUに高いレベルでの障壁排除を求めるなら、イギリスはEU規制から距離を取れないはずだとけん制していて、交渉は難航が予想されます。

2020年1月

金融分野は夏がヤマ場?

金融分野の交渉は夏に山場を迎えると考えられています。

EUは離脱後のイギリスの金融サービスを、日米など「第三国」と同様に扱う方針です。

EUがイギリスの金融規制をEUと同じ水準と認めればイギリスの金融機関がEU市場で営業できる「同等性評価」の仕組みを導入し、その結論を6月末までに出すことになっています。

既に日本の金融機関はEU側にも拠点をつくっており、営業の継続という観点では対策が済んでいる所が多いようですが、イギリス側の拠点からEUの顧客と直接結んでいる契約も残っており、完全には解決できていません。

同等性評価がないと、保険契約の更新や保険金の支払いに影響が出る恐れがあり、こうした契約をEU拠点と結び直す手間やコストが生じてしまう可能性があるのです。

ユーロ建て金利デリバティブ取引の大半を握る在イギリスの清算機関を欧州の金融機関が使えなくなれば、金融不安の火種になりかねないとも指摘されており、どの様に対応するか要注目です。

懸案の医薬品と化学品の取り扱い

今後のFTA交渉のほかには医薬品や化学品の規制が懸案に浮上しています。

メイ前政権とEUとの18年11月の合意文書では、イギリスが両分野に関してEU基準への準拠を検討するとしていました。

しかし、ジョンソン氏が2019年10月にEUと結んだ新たな合意でこの方針はなくなりました。
つまり、今後の交渉の結果次第では、EU側への拠点新設や、徐々に分離していくイギリスとEUの両方の規制への対応などで、企業に追加コストがかかってしまうという事が想定されるのです。

1月31日、イギリスがEUを離脱

イギリスは現地時間の31日午後11時にEUを離脱します。

前身の欧州石炭鉄鋼共同体が1952年に6カ国で始まって以来、EUは初めて加盟国が減少します。

今後の焦点は自由貿易協定に加え、医薬品の規制や漁業権などの課題解決に移っていきます。

年末に期限切れとなる移行期間中に決着できないと、再び合意なき離脱のリスクに直面します。

欧州議会もBREXITを承認

2020年1月29日、欧州議会はイギリスの離脱を定めた協定案を賛成多数で可決しました。

この後、英国を除く加盟27カ国が1月30日に承認すると手続きが完了します。

これでイギリスの1月末のEU離脱が確定します。

賛成が621、反対が49、棄権が13でした。

議会のサッソリ議長は

「イギリスはEUからは離れるが、欧州の国ではあり続ける」

と述べて、良好な関係の構築に期待を示しました。

EUが単一市場で譲歩する事はないと強調

2020年1月27日、EUのバルニエ首席交渉官は、EU側が単一市場のルールについて譲歩し、その完全性を損ねることは決してないと強調しました。

イギリスの一部の政治家が、EU側が域内ルールに柔軟性を持たせる可能性があると発言してきた事に対するいわば反論です。

同氏は、単一市場がEUの国際的な影響力の基礎になっていると説明し、それについて譲歩する事は決してないと述べました。

バルニエ氏はまた、通商交渉でEU側は柔軟で現実的な対応をとる用意があるが、イギリスの選択がEUとの摩擦のない貿易を不可能にしたと語りました。

年末に再び合意なき離脱と同じ様な状況の可能性を懸念

EU高官は、FTA締結までの交渉期間が短すぎる事で、2020年末に再び合意なき離脱と同じ様な状況が訪れる可能性を示唆し、懸念を表明しました。

2020年1月27日、EUのバルニエ首席交渉官が述べました。

バルニエ氏は

「もし合意がなければ、平常通りの業務を続けるわけにも、現状維持というわけにもいかなくなる。とりわけ貿易に関しては崖っぷちに立つリスクがある」

と警告しました。

イギリス、交渉の武器として高関税の適用も

ジョンソン首相は貿易協議で、交渉の武器として高関税の適用を検討しているようです。

交渉加速に向け、関税を武器に活用することを閣議で協議したようです。

また、閣議では、日本、米国、オーストラリア、ニュージーランドを交渉の「最優先」国とすることでも合意したようです。

地方議会は離脱法案受け入れを拒否

ジョンソン氏の離脱方針に対する地方政府の反発がくすぶっているようです。

スコットランド、北アイルランド、ウェールズの各自治政府の議会は1月21日までに行われた採決で、離脱関連法案を拒否する決定を下しました。

地方議会の判断に法的な拘束力はありませんが、離脱寸前になっても国内になお亀裂が残っていることが浮き彫りになった形です。

イギリスをどうやって一つにまとめていくのか、まだまだ道は長そうです。

英上院も離脱法案を承認

2020年1月22日、議会上院は離脱関連法案を承認しました。

残るはエリザベス女王の裁可だけです。

これでイギリス側は全てのハードルを事実上クリアーしたことになり、EU側も29日に欧州議会の承認を得る見通しです。

1月31日のEU離脱はほぼ確実です。

前途多難なイギリスEU間交渉

あるEU関係者はイギリスとの交渉で妥協成立は難しく、多くの課題が残るだろうと話しているようです。

ジョンソン首相は離脱に伴う移行期間を延長しないと決定したため、交渉担当者は同期間が終了する年末までに将来の通商関係を規定する合意の最重要部分に優先的に取り組まざるを得ません。

残りの合意は後になる可能性があります。

大きなポイントは関税や数量制限のないモノの往来を保障する自由貿易協定ですが、これは全体のほんの一部にすぎません。

国家支援の制限や労働・環境基準などイギリスが強く反対するとみられる規制面の整合性やイギリス側に長らく不満がくすぶる漁業権、金融サービスなども重要な問題で、厳しい交渉が予想されます。

金融機関、離脱後のサービス提供を行う為、一時的な認可の申請

イギリスが離脱した後でも、金融機関がイギリスでサービス提供できるよう、一時的な認可の申請をしているようです。

EU内の銀行や資産運用会社、保険会社などは、BREXIT後も引き続き同国でサービスを提供できるよう、一時的な認可の申請を行っているようです。

多くの企業が今の所、イギリスを欧州内の金融サービスの中心だと考え続けているのかもしれません。

離脱後も高い経済成長を標榜

イギリスのジャビド財務大臣は、離脱後にイギリスの実質経済成長率を倍程度に押し上げることを目指すと表明しました。

イギリスでは、国境での通関規制や手続きを簡素化するため、製造業などの間で離脱後もEUのルールを一部受け入れることを望む声もありますが、ジャビド財務相はEUのルールや関税同盟には一切縛られない、としています。

同大臣は、技能訓練やインフラへの投資拡大を通じて、年間の経済成長率を20世紀後半と同じ水準である2~3%に押し上げることを望んでいるようです。

因みに2019年は1.3%程度だったもようで、イングランド銀行は離脱後に移民減少や通商摩擦が予想されることから、成長率を長期的に大幅に加速させることは困難とみています。

FTA交渉、現状のまとめ

1月末の離脱が決まりましたが、次は移行期間の延長の是非を判断する6月末が次の山場となりそうです。

イギリス・EUが2020年末までにFTAで合意できなければ再び合意なき離脱と同じ状況に陥るかもしれません。

FTA交渉は数年かかるのが普通なため、EU側は延長の可能性を強く意識しています。

移行期間を短くしたい理由

  1. 移行期間中はEU域外の国・地域とFTA交渉を進められても発効はできないこと。
  2. EUへの拠出金(約2兆円程度)が必要になること。

など、離脱のメリットを得られなくなるのです。

移行期間が長引けば保守党内の強硬離脱派が猛反発するのは必至です。

6月末時点で英・EUの交渉が難航していれば、イギリス政治が再び混乱に陥る恐れがあります。

2020年末までに合意しようとすれば、交渉項目を絞り込んで行う可能性もあります。

例えば双方とも「関税ゼロ」や「関税割当枠なし」を望んでいるためこの分野では交渉もスムーズにいくかもしれません。

関税以外の分野の問題点

これまでEUの共通ルールに従っていた競争政策や環境・金融などに関する規制です。

ジョンソン首相はこれらを大幅緩和し、イギリス経済のてこ入れを図りたいと考えているようです。

ただ、EU側はEU市場と同じ前提で取引をしたいなら他のルールでも公平な競争条件を守るべきと主張していて、イギリスのいいとこ取りは許さない考えです。

一部保守党内の雰囲気

保守党内からは

  • 移行期間の延長拒否は、あくまで交渉戦略の一環
  • 6月末までに交渉妥結のめどが立たない場合、ジョンソン首相は合意なき離脱回避のために移行期間の延長にかじを切る可能性もある

と考えもあるようです。

実際、保守党の議席数は過半数を39も上回っているので、強硬派による造反が起きても過半数を割る心配は小さいのです。

ただ保守党はマニフェストで「2020年末のEUからの完全離脱」を掲げて勝利した経緯もあります。

これを破ればジョンソン政権の支持離れにもつながりかねないため、厳しい選択を迫られるかもしれません。

イギリス議会下院が離脱法案を可決

2020年1月9日、イギリス議会下院は離脱関連法案を賛成多数で可決しました。

近く上院でも承認され成立する見通しです。

これで20年1月末の離脱実現が固まりました。

離脱関連法案は、イギリス政府とEUが2019年10月にまとめた新たな協定案に基づく離脱を、国内法に反映して実行するためのものです。

欧州議会も月内に離脱協定案を承認する見込みで、イギリスは1月31日午後11時にEUから抜けます。

ただ、EUを離脱しても20年末までは通商や規制などの面ではEU加盟国と同じ環境が維持され、「移行期間」に移ります。

EU、移行期間内に全ての課題を解決するのは不可能

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、移行期間内に全ての課題を解決するのは不可能との見解を述べました。

ジョンソン英首相との会談に先立ち同委員長は年末までとされている移行期間中について

「極めてタイトで、私が指摘してきた全てについて交渉するのは基本的に不可能だ。優先順位をつける必要がある」

と語りました。

フォンデアライエン氏は、優先して解決すべき課題は国際通商条約に依存しない分野だとして、優先度の問題であると指摘しました。

また、単一市場や関税同盟の全体性を守るためにEUの優先事項について妥協はできないとも強調しています。

また、協議の進展は年央、できれば「夏前」に点検が必要だとして、協議延長の必要性にも含みを持たせました。

離脱関連法案の審議を再開

2020年1月7日から英議会下院は離脱関連法案の審議を再開します。

保守党は先の総選挙で過半数を握ったため、審議は政権の計画通り進む見通しです。

上院も法案を追認するのは確実で、9日に予定する下院の関連法案の採決で可決されれば、1月末の離脱が確定的になります。

その後は英・EU間の自由貿易協定(FTA)などの厳しい交渉が待ち受けます。

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