先進国・その他の状況

この記事では、新興国投資に関して知っておくべき先進国や本ブログで扱っていない新興国の状況について特に時系列でまとめていきます!

新しく起きたものが上に来るように記述していきます!

2018年度バージョンは以下をご参考!

先進国・その他の状況2018

2022年2月

ロシア・ウクライナの紛争

2月24日、日本時間正午ごろ、ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部で特別軍事作戦を展開することを明らかにしました。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は全土に戒厳令を発令するとともに、国民に平静を呼びかけました。

ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアの金融市場は大幅下落となっています。同国の代表的な株価指数であるRTS株価指数は一時、前日比49.3%安まで下落し、取引終了時は38.3%安となりました。

先進主要各国が制裁対象とし、取引を制限したロシア国債(ルーブル建)については、10年国債利回りが15%台半ばまで上昇しました。

もちろん、同国の通貨ルーブルも大幅下落しています。

対米ドルで前日比3.0%下落(対円では2.6%下落)となり、株式・債券・為替ともに大幅な下落となりました。

2021年12月

時価総額の伸びが最大に

2021年は世界的な株高の一年となりました。

新型コロナウイルス下でも経済活動の再開が進み景気回復期待が高まったためです。

世界の株式時価総額の年間増加額は約18兆ドルと過去最大となり、日本でも年末終値としては1989年のバブル期のピーク以来32年ぶりの高値水準となっています。

世界全般に財政出動・金融緩和・経済再開という3つの要因が重なり、力強い株高となりました。

MSCI全世界株指数(ACWI)を構成する48カ国・地域のうち21カ国で株価指数が最高値を更新しています。

ただ、2022年はFRBの総資産の縮小など金融引き締めが視野に入り、変調を懸念する声も増えています。

イギリスが3年4か月ぶりの利上げ

インフレへの懸念が高まるなか、金融政策の正常化に向けた動きが広がってきました。

英イングランド銀行(中央銀行)は16日、政策金利を0.15%引き上げて同日付で年0.25%にすると発表しました。

ECBは同日開いた理事会で、新型コロナウイルス危機で導入した緊急買い取り制度による新規資産購入を2022年3月末で打ち切ると決めました。

コロナの感染拡大後、日米欧の主要4中銀で利上げを決めたのは英中銀が初めてです。

利上げは18年8月以来3年4カ月ぶりとなります。

11月の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が5.1%と、11年9月以来10年2カ月ぶりの大きさになり、インフレ目標の2%を大きく上回っていました。

新興国は利上げしても脆弱さをまぬかれず?

ロシアやメキシコの中央銀行は利上げを進めようとしていますが、来年にかけ新興国の通貨は引き続き脆弱だとトレーダーらは見込んでいるようです。

政策金利の引き上げは理論的には投資家を呼び込むはずですが、MSCI新興市場通貨指数は6月のピークを依然として下回っています。

FOMCが刺激策の解除を加速させるかどうか検討し、政策を大きく変える可能性があることも、新興国通貨の不安定さに拍車を掛けています。

インフレ加速と新型コロナウイルスのオミクロン変異株という2つの懸念材料がグローバル投資家のシフトを促したことで、新興国通貨のインプライドボラティリティーを測る指数は最近数週間で3月以来の高水準に上昇しています。

アメリカの利上げが新興国に追い打ち

米国の金融緩和縮小が新興国に利上げを迫っています。

8日はブラジルが政策金利を1.5%引き上げて9.25%とするなど、7月以降に利上げに踏み切った国はパラグアイやチリ、ハンガリーをはじめ32カ国にのぼっています。

21年前半の16カ国から倍増しています。

21年後半の利下げは2カ国にとどまり、もっとも多かった20年前半(71カ国)から大きく減りました。

米金利の上昇は新興国からの資金流出を招きかねず、景気の回復が途上にある中でも通貨防衛に動かざるを得ません。

複雑なのは、景気が低迷する中でインフレが進んでいることです。

特にブラジルやメキシコはインフレに苦しんでいます。

物価高騰への対処も必要で、必要以上に金融を引き締めると世界経済のリスクになってしまい、注視が必要です。

オミクロン株で3.7兆ドル喪失

新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」を巡る金融市場の警戒が続いています。

11月下旬の出現報告以降、世界の株式時価総額は約3.7兆ドル減りました。

経済正常化の恩恵を受ける航空会社の株式や、原油などの国際商品から資金が流出しました。

債券市場は金融緩和縮小と景気鈍化を織り込んでいます。

ただ感染拡大への市場の評価はなお定まらず、当面は神経質な値動きが続きそうです。

この1週間ほどで投資家がリスク資産の保有を減らす動きが広がり、日米欧の株式時価総額はオミクロン型の出現前に比べて一時4~5%目減りしています。

航空やホテルといった業種からの資金流出が目立っています。

2021年11月

格付け会社がオミクロン株に警戒

ムーディーズとフィッチ・レーティングスは29日、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」で世界的な景気見通しが阻害されるほか、物価が押し上げられる恐れがあるとの警戒感を示しました。

特に現在は供給網の混乱が見られ、物価が上昇し、労働力が不足しているため、オミクロン株は世界的は経済成長とインフレに対するリスクになると指摘しています。

年末年始の旅行と消費需要が高まる時期に大きな被害をもたらす恐れがあるとしました。

その上で、これまでに出現した変異株の動向を踏まえると、渡航制限などでオミクロン株の拡散を防ぐの難しいと予想されるとし、オミクロン株による感染拡大の新たな波が発生すれば、ワクチン接種率が低い国、観光業への依存度が高い国、財政・金融政策を導入する余力が小さい国が最も大きな打撃を受けると警告しました。

一方で、2020年前半に見られたような大規模な世界的景気後退が起きる可能性は極めて低いとも見ています。

アメリカの利上げと新興国通貨

ほぼ全ての新興国・地域の資産が、極めて強いドルと米国債利回り上昇に今年は圧倒されましたが、2022年はどうなるでしょうか。

新興国通貨のトレーダーは来年に向け慎重に対応する必要があるでしょう。

米連邦準備制度など先進国の中央銀行による引き締め見通しが強まっており、ブラジル・レアルやハンガリー・フォリントは、自国の中銀による利上げにもかかわらず、インフレと政治的懸念に圧迫されています。

中国人民元と台湾ドル、ロシア・ルーブルは踏みとどまっている数少ない新興市場通貨と言えそうです。

ただトルコリラなど下げ過ぎの通貨もあります。

バークレイズはブラジルとロシア、メキシコ、韓国の通貨を選好するよう顧客に助言しているようです。

バークレイズのアナリストは先週の顧客向けリポートで、

景気拡大が十分に進行し、中国が減速し、緊急対応の刺激策が縮小するにつれて、新興国資産の差別化が進む。そうした中、新興国の大半の中銀が正常化サイクルで先進国をリードしており、新興国のリスクプレミアムの厚さが一定の資金フローを引き付けるはずだ。

としています。

超緩和からの脱却は投資家想定と異なる

中央銀行による金融引き締めは、投資家の想定とも異なるものになりそうです。

インフレが強まり成長が鈍化する中で、先進国・地域のほとんどの中銀は、緩和をやめるタイミングを見計らっています。

こうした状況では市場を驚かせたり政策の過ちを犯したりする可能性が高まります。

実際、11月には世界の国債相場が上昇しました。

10月の一斉売りの原動力だった利上げ観測が崩壊したためです。

米10年債利回りは4日に8bps低下し1.53%となり、豪3年債の利回りは10年で最大の低下となりました。

これを受けて、各国・地域当局はより慎重に、それぞれのペースで政策転換を進める可能背が高くなったと言えます。

また、新型コロナ禍からの打撃が経済成長率を抑えるため今回のサイクルの利上げは前回よりも限定的になると思われています。

2021年10月

緩和から一転利上げ国が多数

世界の金融政策が転換点にさしかかっています。

サプライチェーンの混乱が続くなかでエネルギー価格が高騰し、インフレの長期化の懸念が強まっているためです。

2020年は利上げ9カ国、利下げ71カ国でしたが、2021年は10月現在で利上げ32カ国、利下げ8カ国となっています。

新型コロナウイルス禍への対応で金融緩和を進めた局面から一転、景気にリスクが残る中で、利上げ前倒しを迫られる国が増えています。

2021年9月

株式への悲観強めても、他に資金が行くところなし

ファンドマネジャーらは世界経済の成長と企業利益への悲観を強めているものの、株式投資から撤退しようとはしていません。

BofAの14日のリポートで 、資産価格とファンダメンタルズの間で珍しい乖離がみられており、普通なら株式は下落するはずなのに、投資家はそれを無視していると分析しています。

新興国債券、株式よりは好調

足もとで新興国株式と比較して、新興国債券が堅調に推移しています。

新興国株式が2月中旬に過去1年間の高値を付けて以降、上値の重い展開が続いているのに対し、新興国債券は4月以降上昇基調に転じ、9月に入り高値を更新しました。

その理由として、

  1. パウエルFRB議長が資産買い入れ縮小決定を急がない意向を示した8月下旬以降、新興国通貨に持ち直しの動きがみられること、
  2. 相対的に高い金利水準に加え、足もとの経済の改善やそれに伴う金利上昇見通しを背景に資金が流入していること

などがあるでしょう。

テーパリングに身構える新興国

新興国は緩和縮小に身構えています。

8月に利上げに踏み切った世界の中銀はスリランカやブラジルなど新興国を中心に12カ国と7月の9カ国から増えています。

FRBの政策転換に備える狙いもありそうです。

13年に緩和縮小を決める過程では、当時のバーナンキFRB議長による唐突な予告で市場が混乱した「テーパータントラム」が起き、新興国から資金が流出しました。

タントラム直後の13年6月には新興国から320億ドルもの資金が流出しています。

FRBが緩和縮小を決めた同年12月にも資金流入に急ブレーキがかかりました。

当時、経常赤字の大きさや外貨準備の少ない国であるインド、インドネシア、トルコ、南アフリカ、ブラジルを「フラジャイル(脆弱な)5」と呼び、注意が呼びかけられています。

今回も同様にファンダメンタルズが弱い国への警戒が出ています。

今注目されているのは、ブラジル、コロンビア、チリ、ペルー、ハンガリー、ルーマニア、トルコ、南アフリカ、インドネシア、フィリピンです。

IIFのデータでは、21年3月末の新興国32カ国の政府と民間を合わせた債務残高は86.2兆ドルと、13年末の48.9兆ドルの1.8倍に膨らんでいます。

経常収支が赤字の国が多いのも同じです。

足元ではコロナ収束が見えず、タイやトルコなど観光業が盛んな国を中心に経常収支の悪化が続く懸念があります。

赤字が広がるほど海外資金への依存度が高く、資金移動のショックにもろいと言えます。

ドル建て債務も多く、資金流出の潜在的なインパクトは高まっています。

ただ、大半の新興国は当時よりも外貨準備を増やし、経常収支も改善しています。

FRBが市場との対話を丁寧に続けていることもあり、混乱の再来は起きにくいとの見方が多いのも事実です。

引き続き状況をよく見ておく必要があります。

2021年8月

テーパリング終了とコロナ再拡大懸念で株安に

世界で株安が進んでいます。

20日の東京株式市場で日経平均株価は約7カ月ぶりに年初来安値を割り込み、アジア株や米欧株も安くなっています。

米国での金融緩和縮小が意識され新型コロナウイルスの感染拡大による景気への懸念もあります。

これによって投資家心理が急速に冷え込んでいるのです。

18日に公表された7月のFOMCの議事要旨では年内のテーパリング(量的緩和の縮小)開始が示唆されました。

現状ですと、9月決定・11月の縮小開始に向けて、株式市場は不安定な局面を迎えそうです。

感染増で利上げにブレーキ

世界の中央銀行が新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)拡大とインフレ対応との板挟みで苦しんでいます。

ニュージーランド準備銀行は18日、コロナの再拡大を理由に政策金利を据え置くと発表し、トルコも8月、景気の腰折れリスクを回避するため利上げを見送りました。

消費者物価や住宅価格の高止まりを解消するため緩和縮小に動きたいのが本音ですが、感染収束が見通せず、利上げにブレーキを踏まざるを得ない状況です。

コロナ禍による急激な景気悪化や金融市場の混乱に対応するため、20年は世界の中銀が金融緩和に動きました。

しかし、大規模な金融緩和はインフレや不動産価格の高騰などの副作用を生み、21年に入って世界の中銀が金融政策の巻き戻しに動き始めました。

利上げの動きは特に新興国で顕著となりました。

ブラジルやロシアがそうです。

今後は金融緩和を背景としたインフレ対応に苦慮する先進国でも本格的な緩和縮小が始まりそうです。

アメリカがその筆頭でしょう。早ければ9月22日のFOMCでテーパリングが発表される可能性もあります。

ただ、足元のデルタ型の感染拡大や中国経済の減速懸念で、景気回復の先行きには一層の不透明感が出ており、どうなるか分かりません。

アフガニスタンの地政学リスクも投資家心理を冷やす可能性が高そうです。

中銀はインフレ退治に軸足を置くのか、景気不透明感への配慮を増すのか、難しい金融政策運営を迫られることになります。

2021年7月

ECB、フォワードガイダンスを変更

ECBは2021年7月22日に開催した政策理事会で、金融政策の先行き方針(フォワードガイダンス)のうち政策金利に関連する部分のみを変更しました。

フォワードガイダンスの要旨は、インフレ率が、
  1. 2%目標の達成が前倒しで行われる可能性があること
  2. その後も、基本的に今の状況を維持する可能性があること
  3. 中期的に2%のインフレと整合する形で十分に進むと判断されるまで、政策金利が現状かそれよりも低い水準にとどめる可能性があること

といった所です。

インフレ目標は2%未満から2%へと変更されました。

また、フォワードガイダンスには緩和姿勢を強めた表現も見られ、ECBの中でのハト派姿勢が浮き彫りになりました。

アメリカ株が最高値

株式市場で米国株の値動きが激しくなっています。

ダウ平均は19日に急落した後に続伸し、23日には終値で初めて節目の3万5000ドルを上回りました。

投資資金は依然潤沢との見方が多く、本格化する企業の2021年4~6月期決算への期待が株高を支えています。

一方で株価指標では割高感が強く、新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念も残っている状況で、強弱材料が対立しています。

2021年6月

先進国で金融緩和縮小する動き

先進国で金融緩和を縮小する動きが始まり、市場で利上げの織り込みが広がってきました。

ノルウェーで2021年後半の金融引き締めが有力視されるほか、カナダやニュージーランドでも22年にかけた利上げ観測が高まっています。

金融政策の方向性の違いが通貨に大きな影響を与えそうです。

新型コロナウイルス禍からの景気回復の過程では、まず新興国に利上げが広がりました。

21年に入るとブラジルやロシアなどでインフレ抑制のため断続的な利上げが相次ぎました。

カナダが4月に量的緩和縮小を決めるなど先進国にも緩和方向からの転換の動きが出てきています。

ECB、引き続きPEPPを強力推進

2021年6月10日にECB理事会が開催され、市場予想通り政策は全て据え置かれました。

また、PEPP(新型コロナウイルス対応の緊急資産購入プログラム)での購入に関しても、7-9月期も4-6月期と同様になる事が決定しました。

市場環境に応じて、季節性も考慮しつつ、(1-3月期よりも)かなり速いペースでの実施が行われます。

PEPPでの購入は少なくとも2022年3月まで継続する方針です。

2021年4月

多くの新興国が物価より経済を優先

新興アジア諸国の中央銀行は今年、インフレ対応よりも経済の回復支援を優先すると予想されています。

具体的にはインドとインドネシアを含む新興アジア8カ国の全てが2021年末まで政策金利を維持する見込みです。

アメリカと同様に、この地域でもインフレが上昇する事は一時的なものとおおむね見なされており、それ自体が金利上昇局面を招くという事にはならないと考えています。

新型コロナウイルスの変異株が拡散し感染者数が再び増える中、現時点では大半が先手を打つことをためらうと思われます。

金利低下でアメリカ株は最高値

4月15日のダウ30平均が続伸し、3万4000ドル台の最高値をつけました。

米国内の消費活動が活発になってきているほか、米長期金利が低下し成長期待の高いハイテク株が買われたようです。

米長期金利が低下した要因として、3月の年度末に向けて米国債を売っていた日本の機関投資家が買いに転じたとの見方があります。

4月15日のダウは前日比305ドル高の3万4035ドルでした。

様々な統計のデータも良好で、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、米国経済の正常化期待が広がっているようです。

2021年3月

NY株が最高値更新

3月26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸しました。

前日比453ドル40セント(1.4%)高の3万3072ドル88セントと、17日以来となる過去最高値を更新しました。

米国で新型コロナウイルスのワクチン普及が加速し、経済活動の正常化が進むとの見方が強まった事が背景にあります。

景気敏感株を中心に幅広い銘柄に買いが入り、ダウ平均は取引終了にかけて上げ幅を広げました。

アメリカの長期金利は1年2年ぶりの高水準

3月18日の米国債市場で、10年債利回りは前日の1.64%台から1.70%台へ上昇し、2020年1月23日以来、およそ1年2ヵ月ぶりの高水準となりました。

また、30年債利回りは2.44%台と、2019年7月31日以来、およそ1年8ヵ月ぶりの高水準です。

追加経済対策などにより先行きの米国景気の拡大が見込まれるなか、FRBの緩和的な政策が将来の米国長期金利や物価上昇につながるとの見方が背景です。

こうしたことから、米国長期金利の上昇基調はしばらく継続すると想定されます。

新興国通貨は選別を強める

アメリカの金利上昇でドル安方向に一定のめどがつきつつあり、新興国通貨は選別色を強めるかもしれません。

新型コロナウイルスで世界経済が翻弄されてから、為替市場でドル安が進んできましたが、今年2月からの米長期金利の上昇が期待インフレ率の上昇を上回り、米実質金利が上昇したことで、ドル安傾向には歯止めがかかっています。

実際にドル指数をみると、年初を底に反発しています。

今後も世界的な景気回復が見込まれる事から、米長期金利が上昇するなかでも投資家のリスク選好姿勢は続くとみられます。

こうしたなか、新興国通貨は、経常収支などのファンダメンタルズに加え、新型コロナの感染状況や政治情勢などにより選別色が強まると思われます。

ダウが最高値更新

3月10日、米国株式市場は、ダウ平均種が最高値を更新して取引を終えました。

S&P500も上昇しています。

2月の消費者物価指数データが落ち着いた内容となり、インフレ懸念が緩和しました。

バイデン大統領が掲げる1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案が下院で再び可決されたことも支援材料となったようです。

アメリカの物価上昇は半年ぶりの高い伸び

2月の米消費者物価指数は前月比+0.4%と、半年ぶりの高い伸びとなりました。

同コアの伸びが市場予想を下回ったことから、米長期金利は低下基調に転じ、10年国債利回りは前日を小幅に下回る水準で終了しました。

一方で、インフレ期待を表すブレーク・イーブン・インフレ率はおよそ6年9ヵ月ぶりの高水準を記録しています。

景気の先行き期待の高まりが背景にあり、米長期金利は当面、上昇基調が継続すると思われます。

イギリス、コロナ対応に伴って増税

英国がおよそ半世紀ぶりに法人税率を引き上げます。

現行税率の19%を23年4月に25%とします。

新型コロナウイルスによる経済危機からの脱却後、財政再建に着手する姿勢を示したわけですが、これは、長年続いてきた世界的な法人税率の引き下げ競争からのトレンド変化の可能性もあります。

イギリスは、新型コロナウイルスへの対応策拡大に伴い、財政事情が悪化していました。

IMFの予想では英国の財政赤字対GDP比率は20年が19.9%と先進国平均の14.4%を大幅に上回ると見込まれています。

長期金利上昇がどの程度になるか注目

長期金利の上昇加速につれて株式市場が下落し、一部ではトレンド変化を指摘する投資家もいます。

2021年は、経済活動再開への期待が一段と高まると思われます。

しかし、その前提は実質金利の水準が歴史的な低差になってるという事実があります。

これが株式市場を支えているわけです。

この前提が崩れかかっているのではと懸念が広がっています

一方で、業績の回復も重要なポイントとして意識されますが、足元の株式市場は21年の業績回復はほぼ織り込んでいると考えられており、やはり目先では金利上昇がかなり重要です。

2021年2月

アメリカの長期金利の上昇が止まらず

2月24日の米債券市場で10年物国債利回りが一時1.43%に上昇し、約1年ぶりの高水準となりました。

新型コロナウイルスの感染減少で景気が急回復するとの見方が強まり、今年中にFRBが資産購入の縮小を始めるとの思惑も出ています。

堅調だった株式相場への逆風になるとの見方も出ています。

米長期金利は2月に入って上昇が加速しており、過去の月間上昇幅と比べると2016年11月以来の大きさとなりました。

コロナの感染減に伴い、行動規制を緩和する州政府が増える一方、バイデン政権は強力な経済対策の成立に向け、態度を緩めていません。

春以降にインフレが加速したり、景気が過熱したりする可能性も意識され、金利に上昇圧力がかかっています。

物価上昇圧力が強まる

米欧を中心に物価上昇圧力が高まってきたようです。

新型コロナウイルス禍で多くの製品の供給や輸送力が細るなか、大規模な財政出動やワクチン普及による経済正常化で需要が急回復すれば、物価高が加速する可能性があります。

インフレ圧力の高まりは金融引き締め観測や、長期金利の上昇と連鎖したドル高を誘います。

金融政策のかじ取りは一段と難しくなるかもしれません。

米国の1月の物価上昇率は1.4%とコロナ前の水準に迫っています。

米債券市場では今後10年の予想インフレ率が年2.2%まで上昇しました。

これは6年半ぶりの水準です。

日本や中国の基調はなお弱いものの欧州も1月の物価上昇率が0.9%と6カ月ぶりにプラス圏に転じています。

VIX指数が20を下回る

ボラティリティー指数(VIX)が2月12日にやっと20を下回りました。

投資家の不安は幾分落ち着いたかもしれません。

しかし先物とETFの動向はまだ不安が続く事を示唆しています。

4カ月物のVIX先物と期近物のスプレッドは10年平均を上回ったままで、ボラティリティー指数に連動するETFの需要は急増しています。

伸びきったバリュエーションとリスク資産バブルの兆候が懸念される中で、一部トレーダーがボラティリティー回復を見込んでいることが示唆されています。

企業業績は少しずつ回復

世界の企業業績が持ち直しつつあるようです。

世界の主要企業の2020年10~12月期は、純利益が新型コロナウイルスの影響がなかった前年同期に比べ1割強増えました。

昨春に停滞していた製造業の生産・販売が復調した事が要因です。

中国などの経済対策も下支えしました。

ただ、空運や外食が低迷するなど回復には格差もあり、増益基調が続くかは不透明な面もあります。

2021年1月

アメリカ、ブルーウェーブで株式相場強い

1月7日の米株式市場でダウ平均は3日続伸して始まりました。

米上院の2議席を争うジョージア州の決選投票で民主党が連勝し、同党が大統領と上下両院の過半数を占める「ブルーウエーブ」が実現した事が要因で、株式相場は上昇しています。

追加経済対策など民主党政権での財政出動を期待した買いが続いています。

2020年12月

2020年は過去に例のない異例緩和

2020年のアメリカをはじめとする主要国の長期金利は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、中央銀行が大規模な金融緩和を行ったことから、3月にかけて急低下し、そのまま低い金利状況で2020年を終えました。

新型コロナによる世界的な景気の急減速を背景に、FRBが政策金利をゼロ金利まで引き下げたほか、過去に例のない量的緩和に踏み切るなど、主要中央銀行は大規模な金融緩和を実施しました。

4月以降は各国の積極的な財政政策もあり、景気浮揚期待などから長期金利はやや水準を上げたものの、異例の金融緩和の長期化見通しからその後も低位で推移すると言う形になりました。

NYダウ、最高値更新

12月17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、過去最高値を更新しました。

前日比148ドル83セント(0.5%)高の3万0303ドル37セントと12月4日以来、およそ2週ぶりに過去最高値を更新しました。

追加の米経済対策の早期成立期待が買いを誘ったことと、FRBによる金融緩和の長期化観測も支えとなったようです。

2020年11月

NYダウ、初の30,000ドル台

2020年11月24日の米国株式市場は、S&P500もNYダウも最高値を更新しました。

S&P500種指数が前日比+1.62%、ダウ工業株30種平均(NYダウ)が同+1.54%、NASDAQ総合指数が同+1.31%と堅調に推移しました。

NYダウは最高値を再び更新し、3万46.24ドルと初の3万ドル乗せとなりました。

NYダウはコロナ禍の中、ハイテク株主導の上昇に追随できていませんでした。

ここにきて、NYダウが上昇しているのは、ワクチンの開発と使用にめどが立ち始めたことや、政権移行がスムーズに
進むことで経済回復への期待が一段と高まったことなどが背景です。

ヘッジファンドのアルファが全て消失

新型コロナウイルスのワクチンについて有望なニュースが出たことで、株式市場では11月9、10両日に急激なローテーションが起こりました。

あるデータによれば、割安度やキャッシュフローなど企業のファンダメンタルズに基づいてロングやショートのポジションを取っていたファンドは、アルファ(ベンチマークを上回るリターン)が3月以来の大幅な縮小となったようです。

11月9日に相場の勝ち組と負け組が記録的なスピードで入れ替わったためです。

外出自粛が追い風となって上昇していたIT関連銘柄は売られ、航空株や金融株など新型コロナ流行で下落していた銘柄が上げを主導しました。

モメンタム株の指標であるダウ・ジョーンズUSシーマティック・マーケット・ニュートラル・モメンタム指数は9、10両日に16%下落しています。

コロナウイルスのワクチンに関するニュースはマーケットトレンドとボラティリティーに基づいて投資するヘッジファンドが大きな打撃を受けたほか、規模やバリューなど多数の投資ファクターが数十年ぶりのスピードで反転し、ファンドのリターンを台無しにしたようです。

ゴールドマンの計算によれば、こうしたファンドが今年積み上げてきたアルファは11月9、10両日にほぼ消失したようです。

世界の取引所で売買が進む

世界の証券取引所の業績が好調です。

日本取引所グループ(JPX)や欧米、アジアの主要な取引所の7~9月の純利益は前年同期に比べて1割増えました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた市場の変動で、利益や損失を確定するための売買が活発です。

世界の取引所は株価指数などを使うデータビジネスも伸びています。

1兆ドル運用のクオンツマネー

アメリカ大統領選挙が終わり、ウォール街は市場の動きを手掛かりにシステマティックに売買するクオンツファンドの資金が株式市場に流れ込み、相場上昇の原動力となるかもしれません。

合わせて1兆ドルを動かすクオンツファンドにとって重要なのは、資産価格が比較的安定することです。

波乱の2020年にはあまりなかった状況ですが、最近になって株式市場は望ましいシグナルを送り始めています。

アメリカ大統領選挙後、実現ボラティリティーが下がり始めているのです。

もちろん、トランプ大統領は敗北を認めず、新型コロナウイルス感染症による入院患者数は最多を更新、米議会は景気対策で合意できずにいます。

それでも、最悪期は過ぎたようにみられ、多くの投資銀行はアルゴリズムに基づいて売買するクオンツマネーが来年に向けて株式相場を勢い付かせると予想しているようです。

新興国通貨が買われる

新興国通貨が対ドルで上昇しています。

新興国通貨全体の値動きを示す「MSCI新興国通貨指数」は11月9日に2年半ぶりの高水準に上昇しました。

アメリカ政治の不透明感後退や新型コロナウイルスのワクチン開発への期待などから金融市場でリスク選好姿勢が高まった事が背景です。

MSCI新興国通貨指数は11月9日、1689.06と、2018年5月以来の高い水準に上昇しました。

新型コロナの感染が世界で広がる以前の水準を上回り、10月末からの上昇率は2%に達しています。

各国通貨の対ドルの値を、アメリカ大統領選前の11月2日と9日で比較すると、ブラジルは6%超、南アフリカ、ロシア、メキシコの3カ国は約5%と、軒並み急上昇しています。

新興国通貨高・ドル安の背景には、

  1. 米大統領選挙を通過したことで、各国の金融市場でリスク選好とみられる動きが強まったこと、
  2. バイデン氏の次期大統領就任が確実となったことで、民主党主導で財政支出が拡大するとの見方が高まっていること
  3. 米ドル安が進行すれば、新興国の米ドル建て対外債務の実質的な軽減が見込まれること

などが挙げられます。

なお、アルゼンチンペソは、9月に同国政府が対外債務再編を行ったことで債務不履行(デフォルト)から脱却したにもかかわらず、同国に対する市場の信頼回復が進んでいないとみられ、他の新興国通貨の上昇から置き去りにされるかたちとなっています。

米大統領選は現職のトランプ大統領が法廷闘争に持ち込む構えではあるものの、金融市場はバイデン氏の大統領就任を織り込みつつあります。

政治の不透明要因が和らいだのに加え、ワクチンの普及が早まれば新興国で経済の正常化が進むことが期待されているのです。

因みに、11月11日にはモルガンスタンレーが、「新興国は全て買いだ」というメッセージを発信しました。

天然資源の輸出や低賃金の労働力提供、観光業などで経済が成り立つ新興国は、世界的な貿易と旅行が回復すれば追い風になるし、米国の政策面での不確実性が後退してもプラスに働くためです。

モルガン・スタンレーが大規模なポジションを組むのは、中国人民元、メキシコペソ、ブラジルレアル、南アフリカランド、コロンビアペソ、ロシアルーブルといった各通貨や、ウクライナの成長連動ソブリン債からメキシコ国営石油会社ペメックスの社債までさまざまなドル建て債券のようです。

S&P連動のETFに大量の資金

S&P500に連動するETFに11月9日、大量の資金が流入しました。

新型コロナウイルスのワクチン開発進展のニュースが後押ししたようです。

ステート・ストリートのSPDR S&P500には1日で98億ドルが流入したようです。

これは1日として2019年12月以来の高水準です。

ワクチンへの期待でS&P500の銘柄のほぼ4分の3が上昇し、構成銘柄の中で最も売り込まれていたセクターの幾つかが買われ、一方で大手ハイテク株は売られました。

最近、ナスダック連動ETFから引き揚げられた資金が、より景気に敏感なSPYやダウ30連動のETFに流入したことはほぼ疑いがないと思われます。

欧州の復興パッケージの状況

新型コロナによる深刻な景気悪化に後押しされる形で、2020年7月に欧州で復興パッケージが合意されましたが、その後の動きはどうなっているでしょうか。

EUの交渉担当者は、2020年11月10日、域内の中期予算計画で合意に達しました。

1兆8000億ユーロ規模の予算と景気刺激策の取りまとめに向け一歩前進したと見られます。

EU首脳らが今年7月に合意した復興パッケージは2つからなっています。

1つ目が21~27年のEU予算による多年次財政枠組み(MFF、1兆743億ユーロ)、2つ目が7500億ユーロの欧州復興基金です。

欧州復興基金は7500億ユーロですが、コロナの影響が残ると懸念される来年以降に集中して使われる見込みです。

効果への期待もかなり高いものがあります。

また、欧州復興基金は欧州委員会がEU全体を代表して欧州共同の債券を発行し資金を調達することも関心の的です。

この欧州復興基金からの恩恵を受ける国は、イタリア、次いでスペインと言われています。

7月の合意後、ドイツ国債の利回りが概ね横ばいで推移したのに対し、イタリアやスペインの国債利回りが大幅に低下したことはこれと関係しているでしょう。

欧州復興基金などからなる復興パッケージの進展は緩やかに前進している状況です。

欧州復興基金は欧州議会と域内各国政府による最終承認、および域内各国議会での批准が必要となる為です。

懸念は「法の支配」を巡る問題です。

EU条約で定められた内容の遵守を求めるもので、具体的には言論の自由や司法への介入が問題となっているハンガリーやポーランドなどが念頭にあると見られます。

ハンガリーは法の支配の遵守に反対姿勢です。

しかし、ドイツ、フランスが強く合意した欧州復興基金ですので、プロセス遅れの懸念はあっても、実施の方向にゆっくり向かっていくものと思われます。

ワクチン期待で株式が大幅高

2020年11月9日、ファイザーが開発しているワクチン候補が90%を超える確率で感染を防いだとのニュースを受けて、アメリカ株は大きく上昇しました。

一方、ナスダック100指数は下落しています。

S&P500は前週末比1.2%高の3550.50、ダウ工業株30種平均は834.57ドル(3%)高の29157.97ドル、ナスダック総合指数は1.5%下落しました。

ここでワクチン候補のニュースでどうマーケットが変化したかを振り返ります。

もっとも、ワクチンが行き渡るのは長期戦になる見込みですので、ワクチンが全てを解決するのかも不透明で、市場の反応は参考程度にとどめるべきと思われます。

まず株式市場では欧州の主要株式市場は5%前後の大幅な上昇となりました。

選手末にはアメリカの大統領選挙でバイデン候補の勝利がほぼ確実となり、不透明要因がなくなったという別の要因ももちろんあります。

その上で、欧州はコロナ感染再拡大に直面するタイミングであること、そして何よりも、ワクチンのニュースが欧州取引時間に発表されたことで変動が高くなったと思われます。

アメリカ株式市場ではセクターの動きに注目すると、S&P500種の構成セクターでは原油価格回復への期待からエネルギーセクター、金利上昇(長短金利格差の拡大)を受け金融セクターなどが堅調でした。

一方で、コロナの巣ごもり需要での恩恵を受けると見られていたeコマースは軟調となりました。

またオンライン利用などで恩恵を受けていたハイテクが売られました。

ナスダック総合指数は金利感応度が高いこともあり、下落しています。

金利(国債利回り)は欧米で長期セクターを中心に上昇しました。

気を付けなければならないのは、今回のワクチンニュースに伴う市場の反応は、ただ変動が高まっただけという可能性がある事です。

もちろん今回の報道により、金融などのバリュー株よりもハイテクなどのグロース株を選好するこれまでの流れに、変化の兆しが出てきた事も事実です。

ワクチンが実用化されれば、コロナの脅威は大きく後退するため、経済活動および金融政策の正常化や金利上昇という、バリュー株に好ましい環境が整いやすくなります。

したがって、バリュー株の上昇が持続するか否かは、今後のワクチンの開発動向がカギを握ると考えられます。

いずれにせよ、投資判断としてまだ参考程度にとどめ、予断は禁物と考えるべきです。

日経平均は連日の年初来高値

日経平均は5日続伸し、連日の年初来高値更新となりました。

アメリカ大統領選について、週末にバイデン氏の勝利宣言が伝えられ、米株先物が大幅に上昇しました。

日経平均も朝方から堅調な動きとなり、後場には一時、24,960円台をつけて25,000円台回復を意識する水準になりました。

ただ、短期間での上昇に過熱感もみられ、大引けにかけては高値圏でもみあう展開となりました。

2020年8月

米株は引き続き好調

2020年8月28日、アメリカ株式市場はハイテク株の上昇が主導し、S&P500が6営業日連続で終値での最高値を更新しました。

ナスダック総合も反発し、終値での最高値を更新したほか、ダウ工業株30種は年初来プラスを回復しました。

日経平均が一時コロナ前を回復

2020年8月25日、日経平均株価が新型コロナウイルスの感染拡大で2月に急落する前の水準を一時回復しました。

新規感染者の増加がピークを超えたとみられ、経済再開への期待が高まった為です。

各国中央銀行の金融緩和策は続いており、株式市場に投資マネーが流入しています。

半年間でコロナ後を見据えた銘柄選別が進んでおり、相場をけん引する銘柄の顔ぶれは大きく変わりました。

S&P最高値更新で弱気相場は終了

2020年8月18日、アメリカ株式市場では、S&P総合500が終値として過去最高値を更新しました。

3月23日に新型コロナウイルス感染拡大を受けて付けた安値からは約55%上昇しました。

2月下旬に始まった弱気相場はS&P500の歴史の中で最も短かいものとなりました。

2020年7月

新興国の国債発行倍増

新型コロナウイルス危機で新興国が財政出動の財源を賄おうと国債発行を大幅に増やしています。

2020年の新規発行額は前年の2倍近い3兆ドル前後に及ぶ可能性も出てきており、中央銀行は市場安定や財政支援のため、相次いで国債購入に動いています。

コロナウイルスへの対応とはいえ、これを続けると中銀の独立性が侵され通貨の信認を失うリスクもはらんでいます。

EUの復興基金の創設で合意

2020年7月21日、EUはコロナ禍からの経済再生を図るため、7500億ユーロの復興基金を創設することで合意しました。

EUが借金して加盟国に配分する仕組みで、悲願だった財政統合に向けた一歩といえます。

ブレクジットなど逆回転した欧州統合は、コロナという危機をバネに強い結束をみせました。

S&Pが年初来でプラスに

2020年7月21日、アメリカ株式市場は、政府が新たな新型コロナウイルス対策を策定するとの期待から景気敏感株に買いが入り、S&P500は上昇して年初来プラス圏となりました。

年初来ではS&P500が0.8%高とプラス圏に浮上しました。

ナスダックは19%上昇、ダウ平均は6%下落しています。

S&P500は2月下旬に付けた終値での最高値に4%以内の水準にあります。

世界の企業債務、1兆ドル増

世界の主要企業は財務状況を強化して新型コロナウイルス危機を乗り切るため、2020年に新たに最大1兆ドルの債務を抱える見通しです。

調査によると、債務総額は前年比で12%増と過去最大の伸びを記録し、約9兆3000億ドルに達する可能性があるという事です。

2019年の債務も8%増と大幅に増大しましたが、これはM&Aや自社株買い、配当支払いの財源確保が主な要因でした。た。

しかし、今年は新型コロナの影響で利益が減少する中、財務状況の強化という事で、異なる理由が増加の背景にありそうです。

今は資本の確保やバランスシートの構築が焦点となっている城陽と言えそうです。

新興国市場の資産、10年ぶりの高いパフォーマンス

コロナウイルス問題で新興国市場は暗い経済状況に直面していますが、資産価格は4-6月に約10年で最大の上昇となる見通しです。

新興国株の指標であるMSCI新興市場指数とドル建て新興国債は、四半期ベースで世界的な金融危機からの回復期だった2009年以来の大幅な上げとなりそうです。

世界で広がる中央銀行の景気刺激策がリスク選好姿勢を支えているのです。

新興国通貨はここ3カ月で約2%上昇し、特にインドネシア・ルピア、ロシア・ルーブル、コロンビア・ペソの上げが目立っています。

こうした動きは悲観的な景気見通しと相反しています。

特に新型コロナウイルスの感染拡大が制御不能になる恐れがある中南米や南アジア、アフリカ諸国はそうでしょう。

IMFによれば中国は今年、辛うじてプラス成長になると見込まれているものの、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカ共和国の見通しはそれぞれ8%以上のマイナス成長になると予想されているからです。

株価は不安の壁を登るという事でしょうか。。。

2020年6月

大多数のファンドマネージャーは現在の株式相場を「いきすぎ」と評価

2020年6月16日、バンク・オブ・アメリカが公表したファンドマネージャー対象の月次調査によると、98%の投資家が株式相場について過大評価されているとみているようです。

株式相場は3月の安値から記録的なペースで持ち直しています。

各国が大規模な金融・財政政策を導入し、またロックダウンも徐々に緩和される中、株式相場も3月の底値から約40%も持ち直しました。

ただバンク・オブ・アメリカは、新型コロナ感染の第2波が最大のテールリスクであると投資家がみているとして、最近の強気相場は不安定だと指摘しています。

油断禁物といった所でしょう。

V字回復期待が高まるが油断禁物

2020年6月、株式相場はここ最近の好調な相場で、絶望からV字回復期待にシフトしているのでしょうか。

機関投資家はS&P500を年初来プラス圏に押し上げた個人投資家を追いかける姿勢を見せています。

世界の株式市場は活況を呈し、バリュエーションは上昇しており、一時は凍結状態にあった資金調達市場は持ち直している様相です。

利回りがマイナス圏にある欧州の社債にも投資家は戻っており、この信用サイクルの急回復が鮮明になっています。

これは大恐慌を想起させた3月下旬の相場とは全くの別世界と言えます。

アニマルスピリット復活の兆しの中、割安とされるバリュー株は低ボラティリティー株との比較で1990年代後半以降で最も高いパフォーマンスを記録しました。

ただ、こういった油断が現れた時、二番底が急に顔を覗かせたりするのです。

アメリカの最長景気、終了

10年8カ月に及んだアメリカ景気最長の拡大局面は、新型コロナウイルスのパンデミックで終了しそうです。

戦後12回目の後退局面に入り、アメリカ当局もコロナ禍がもたらす危機を克服すべく、財政・金融両面で政策を総動員します。

今回の危機対応は大規模な財政出動を伴っており、回復シナリオでも財政の役割が高いのが特徴です。

急激な財政悪化は、将来の米金利の上昇リスクやドルの不安定化など、大きなリスクを内包しています。

政策当局のかじ取りには細心の注意が求められそうです。

ナスダックが最高値更新

2020年6月8日、アメリカ株式市場は続伸し、ナスダック総合は終値で過去最高値を更新しました。

相場は新型コロナウイルスの打撃で3月23日に付けた安値から戻し、強気相場入りしたことが示されました。

ダウ工業株30種とS&P総合500も急伸し、S&P500は年初来でプラスに転じました。

世界的に株価が急回復

2020年6月に入って世界的な株価回復が起きています。

例えば2020年6月8日、日経平均株価は3カ月半ぶりに2万3000円台を回復しました。

実体経済の回復軌道が「U字」や「L字」と予想されるなかで株価は「V字」回復しています。

過去にない規模の財政出動と金融政策によって楽観的な姿勢が強まっています。

一方で感染の第2波が激しかったり、政策の限界が意識されたりすると、二番底懸念が出てくるかもしれません。

ECBが債券購入枠を拡大

ECB は6月4日の理事会で資金供給策の強化など追加金融緩和を決定しました。

定例理事会では、

  1. 主要政策金利を0.00%に維持
  2. 預金ファシリティ金利(金融機関がECBに預け入れる準備額の金利)を-0.5%に維持
  3. 資金供給策として先に設定された「パンデミック緊急買入プログラムを6,000億ユーロ増額し、1兆
    3,500億ユーロにする
  4. 当該プログラムの期限を6カ月延長し、少なくとも2021年6月末までプログラムを継続すること

等を決定しました。

背景

新型コロナウイルスの悪影響による経済の急速な収縮とそれに伴う物価見通しの低下が挙げられます。

ECBの経済・物価見通しでは、2020年のGDP成長率が▲8.7%と、前回3月見通し(+0.8%)から大幅に下方修正されました。また、物価見通しは2022年でさえ、インフレ目標である2%近くの水準に届かない予想です。

こうした事から現在の金融緩和プログラムをもっと延長しないとまずいとなったのでしょう。

アメリカのGDP、10年間で800兆円超のGDP押し下げ効果

2020年6月1日、アメリカ議会予算局は新型コロナウイルスによる景気悪化で、2030年までのGDPが11年間の累積で当初予測比7.9兆ドル下振れするとの試算を公表しました。

これは累積GDPの3%分に相当するレベルです。

アメリカのGDPは20年に戦後最大のマイナス成長が予測されていますが、10年かけても傷痕を完全に穴埋めできないというわけです。

予算局は5月19日に、新型コロナの影響を織り込んだ経済見通しを公表し、20年の成長率をマイナス5.6%と予測しています。

1月時点の予測では20年がプラス2.2%としており、2019年の実績GDPは約21兆ドルでした。

2020年5月

EU、約90兆円の景気刺激策

欧州委員会は新型コロナウイルス対策で債務が膨らむイタリアなどを支えるため、前例のない景気刺激策を提案しました。

報道によると7500億ユーロ規模のパッケージから、イタリアは緊急助成金として820億ユーロ、低金利融資で最大910億ユーロを受け取るようです。

パッケージはEU加盟27カ国全ての承認が必要となるものです。

資金は共同債の発行によって賄われ、実現すれば財政統合への大きな一歩となります。

格下げリスクのある会社や国の数が過去最高

S&Pによると、新型コロナウイルスのパンデミックにより、信用格付けに引き下げリスクがある国や企業の数が過去最高に達したようです。

S&Pの格付け対象のうち、2年以内に格下げされる可能性がある「ネガティブ」や、格下げの方向で見直している「クレジット・ウォッチ・ネガティブ」が付されている発行体数は、5月下旬時点で合計1287に達しているようです。

新型コロナの影響により既に700近い発行体が格下げされていますが、それでも1300弱の数が引き続き格下げリスクにさらされており、これは2009年の金融危機時に記録した1028を上回っているという事です。

EU、対コロナウイルス対策で60兆円共通債務

2020年5月18日、メルケル独首相とマクロン仏大統領はテレビ会議で、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた欧州経済の復興のため、5000億ユーロ規模の基金を設立することで合意しました。

EU全体で借金をしてイタリアなどへの補助金に回す仕組みで、EUが債券市場から資金を調達し、被害の多い国や分野に回していきます。

ドイツがこれまでの反対を取り下げ、共通債務の枠組みを支持したのは、コロナ宇井売る問題を前に揺らぐ欧州の結束を取り戻す狙いがありそうです。

EUは4月に雇用維持や企業の資金繰り支援を中心とした5400億ユーロの経済支援をまとめていましたが、低利融資などが中心で、新型コロナの被害が深刻なイタリアなどの支援には不十分との指摘がありました。

ナスダック、年初来騰落率がいち早くプラスに

新型コロナウイルスの影響で世界の株価が大きく下落した中、アメリカのナスダック総合指数の年初来騰落率が世界の主要株価指数の中でいち早くプラスに転じました。

ナスダック総合指数の持ち直しをけん引したのは、同指数の時価総額構成比上位を占め、GAFAMと呼ばれる巨大IT企業5社、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトで、各社の株価の年初来騰落率は約3~29%の上昇となっています。

新型ウイルスの感染拡大に伴ない、自宅で過ごす時間が伸びた事で、彼らのサービス利用が増えると考えられたためです。

また、こうした巨大IT企業以外にも、バイオ医薬品やビデオ会議システム、画像処理半導体、動画配信サービス、電子決済を手掛ける企業などの株価が大きく上昇しています。

なお、同指数の産業構成比は、テクノロジーが約50%で最大、一般消費財・サービスが約20%で第2位、ヘルスケアは約10%で第3位となっています。

一方、石油・ガスは僅か0.3%程度にとどまり、原油価格が大幅に下落した影響が限定的だったことも、ナスダック総合指数の相対的な好パフォーマンスにつながりました。

ナスダックは世界最大の新興市場とも呼ばれるだけに、次代をけん引するような「次のGAFAM」の登場に期待する投資家も多いとみられます。

金価格が一時7年ぶりの高水準に

2020年5月18日、金現物価格は一時、約7年ぶりの高水準に上昇しました。

金スポット価格は一時1.2%高の1オンス=1764.73ドルと、2012年10月以来の高値を付けました。

FRBが新型コロナウイルスの感染拡大で株式などの資産価格が大幅に下落する恐れがあるとの見方を示し、パウエル議長は米経済の回復過程が2021年の終わりまで長引く可能性を指摘した事が影響したと見られます。

新型コロナで経済成長が落ち込み、市場が混乱し、各国政府・中央銀行が大規模な刺激策を打ち出す中、金価格は今年16%上昇しています。

最近では、アメリカでマイナス金利が導入されるのではとの観測も金価格を後押ししています。

EU、域内重要企業への出資を検討

EUは新型コロナウイルス感染症のパンデミックで経済的影響を受ける域内の重要企業への出資計画を練っているようです。

EUは新型コロナの影響で打撃を受ける南欧諸国の支援を巡り意見が対立していますが、企業への支援では断固とした行動を取る事で、結束を示したい考えです。

報道によると、5月5日にフランスが、域内の戦略的バリュー・チェーンに含まれる重要企業などを対象とする資本増強や株式取得に向けたエクイティファンドの創設を呼び掛けたものです。

新興国で金融政策の効力が失われる可能性

コロナショックで経済が冷え込んでいる中、一部の中南米主要国で政策金利の引き下げが限界にきていると指摘する人も出ています。

ペルーやチリはすでに借り入れコストをほぼゼロに引き下げ、異なる方策の検討を迫られています。

ブラジルやコロンビアも近く同じ運命をたどる可能性があります。

金利がゼロ付近まで低下し金融政策が効力を失う状況、つまり流動性のわなに新興国が陥る可能性があります。

ポール・クルーグマン氏も、発展途上国でも流動性のわなは起こると述べています。

日本や英米などは信用力のある債務国としての歴史も長く、刺激策のために資本を借り入れる余地が大きいものの、新興市場国が財政刺激策を投入できる力には限界があります。

といった所で、それ以外にどういった政策がありうるか、選択肢は限られそうです。

2020年4月

ヘッジファンドがリスクオンに動く

コロナショックで打撃を受けたヘッジファンドですが、一部がリスクオンに動いているようです。

新型コロナウイルスの流行がアメリカで一部峠を越えたのではないかとの見方が支えになっているようです。

ヘッジファンドの3月の運用成績はマイナス9.58%と、S&P500のマイナス12.5%よりはましになっています。

ここ最近、ファンドマネジャーは選別色を強めており、事業が堅調で今後もキャッシュフローが見込める優良企業の株式を買い、インデックスや業績の悪い企業をショートにしているようです。

コロナショック、エネルギーセクターを直撃でクレジット市場は大幅下落

アメリカのクレジット市場は、2020年3月以降に新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化懸念を受けて、ハイ・イールド社債を中心に価格が大幅な下落となりました。

加えて、原油価格の下落により、ハイ・イールド社債のエネルギーセクターのスプレッドはリーマン・ショック、チャイナ・ショック時を上回る大幅な拡大となりました。

世界の政府系ファンドの含み損が7兆円程度

世界の大規模政府系ファンドの年初来の含み損が合わせて約670億ドルに上るとの試算が出ました。

もちろん背景は新型コロナウイルスの感染拡大です。

政府系ファンドが多く持つ金融系の株式が軟調で、大きな含み損となっているようですが、その一方で今回のロックダウンによって物流や倉庫へ投資をしている場合はそれが奏功しているケースもあるようです。

アメリカのハイイールド、20年以上ぶりの上げ幅

アメリカのジャンク債価格が1998年以来最大の上昇を記録しました。

FRBが投機的格付けの一部社債の購入に踏み切ったことが追い風となりました。

ブルームバーグ・バークレイズUSコーポレート・ハイイールド指数によれば、ジャンク債の米国債に対する利回り上乗せ幅が2020年4月9日に86bp縮小し785bpと、3月13日以来の小ささとなりました。

パンデミックを受けて経済活動の大部分が停止される中、ジャンク債のスプレッドは3月にもディストレスト債のレベルに拡大していました。

3月23日には1100bpと2008年の金融危機以来の大きさに達していました。

新興国通貨や信用力の低い企業が危機に

新型コロナウィルスの感染拡大で起きている世界的な信用収縮とドル不足で、民間企業の過剰債務問題と脆弱な新興国の財政問題をより顕著にあぶり出しているようです。

FRBがどれほどドルを供給しても、信用力の弱い企業は最終的にダメになってしまう事はリーマンショック時に実証済みの事です。

今後、事業会社の信用格付けの低下と債務不履行が増える中、新興国通貨も懸念され始めています。

借り換え問題

ドル需給がひっ迫する中で、先進国や新興国の民間企業が抱えるドル建て債務をしっかり返済できるのか、借り換えできるのかが、金融市場で最大の関心事です。

ある金融機関によれば、新興国が今後1年以内に償還しなければならないドル建て債は総額340億ドルとの事で、ほとんどの新興国は外貨準備を使って債務を返済できると予想しています。

民間債務の問題

ただ、上記には民間債務は含まれていません。

2000年以降、世界の債務残高は民間の非金融部門(家計と企業)がけん引して膨張してきました。

金融危機後は特に新興国の企業が急速に対外債務を積み上げていて、これがどうなるかが今大きな問題です。

新興国の民間企業の巨大債務が可燃される中、新興国通貨は下落しています。

2020年3月

リーマン時と同じモーゲージ証券がやり玉に

約10年前の世界金融危機の震源となったアメリカのモーゲージ証券市場が再び混乱し、金融業界をびくつかせています。

もちろん今回の混乱とリーマンショックの時とは全然背景が違います。

今回は新型コロナウイルスのパンデミックによって、質の高いローンまでをも不良化させ、同時に市場の資金を枯渇させる恐れがある、というものです。

モーゲージおよび不動産の投資家は再び、巨額損失に見舞われるリスクを抱えているのです。

感染拡大を抑えるための措置が商業活動にブレーキをかけ、企業は賃貸料支払いや商業用不動産ローン返済が難しくなっているのが分かりやすい説明です。
人員削減によって従業員も家賃や住宅ローンの支払いに行き詰まります。
こうして、あらゆる経済主体の債務不履行の連鎖が懸念されているのです。

モーゲージ証券を保有するファンドは顧客からの解約請求があると、結果的に資産のバリュエーション低下に見舞われ、緊急資産売却を迫られるといった事になります。

こうした売却が加速すると、証券の価格は下落し、他の投資家の資産評価引き下げや売却につながりかねません。

アメリカの商業用不動産ローン市場は崩壊の瀬戸際にあるとして、銀行と政府が迅速にデフォルト回避の措置を取らなければドミノ現象が起こると警告が発せられています。

手厚い政府による支援がないとまずい状況になるやもしれません。

EUが財政ルールを一時停止

2020年3月23日、EU加盟国の財務相は電話会議で財政赤字をGDP比で3%以下に抑えるといった財政ルールを一時停止することで合意しました。

新型コロナウイルスの感染拡大で、欧州経済の先行きが懸念される中、EU加盟国の機動的な財政出動を認め、景気対策を後押しする事が目的です。

債券市場で大規模なレバレッジ解消の動き

コロナウイルス拡大で国家財政への懸念が強くなって国債相場が急落し、資金の避難先を探す投資家を慌てさせています。

債券先物の未決済ポジションが急減していて、追い証発生に伴う動きがその背景にある可能性を示唆しています。

3月13日から17日までの3営業日に米10年債で1500億ドルに相当する債券先物のポジションが売られたようです。

ドイツ債などリスクゼロ資産と、クレジットや株式の同時安は、市場が非現実的な債券供給による衝撃を織り込みつつあるか、それに加えてもっと可能性が高いのは、市場がレバレッジ解消を進めていることだとマーケット関係者は解説しています。

レバレッジを活用する投資家は、ボラティリティー急騰の際に追い証が発生することがままあり、その場合債券先物など流動性のある証券を売却せざるを得なくなることがあります。ドイツ、フランス、イタリア、アメリカ、日本の各国債の先物でポジションが軒並み変化しており、大規模なレバレッジの解消が起きたことが示唆されているのです。

VIXが31以上では投資不可能

アメリカ株式市場で数日間に1987年以来最大の下げを2回も目にした市場参加者は総じて、世界の株式相場の底入れを明言するには後ろ向きのようです。

各国当局は感染拡大を防ぐために経済活動を停止させており、投資家は企業収益の先行きが見えない状況にあります。

市場のボラティリティーが高止まりする見通しの中、トレーダーは追加の財政刺激策、そして何よりも新型コロナ感染の流行が衰える兆候を待っているようです

VIXが31を超える状況においては、は金や米国債といった安全資産がほかと一緒に値下がりする可能性があり、これがマーケット関係者を怖がらせています。

とにかく買い持ちに極めて慎重になることだけだという投資家もいるようです。

ハイイールド債券でデフォルトが相次ぐ可能性

原油安や新型コロナウイルスのパンデミックを受け、ハイイールド債市場の一部でデフォルトの動きが加速するかもしれません。

原油価格が30ドルを下回る水準にとどまった場合、ハイイールド債市場の一部で一斉デフォルトが発生することが見込まれ、石油セクターもそれを確実に織り込んでいることが見て取れるようです。

格付け会社も債券を格下げし始めており、スプレッド拡大に伴いこの傾向は増加の一途をたどるだろうと見ている関係者が多くなっています。

世界の国債が急落

2020年3月18日の債券市場では、欧州を中心に世界の国債が下落しました。

ヨーロッパ各国が新型コロナウイルス対策の財政支出計画を発表したことを受け、市場は供給急増に身構えています。

新型コロナのパンデミックによる経済的影響を和らげるための景気刺激措置の原資として、各国が国債を増発するだろうと投資家は見ています。

イタリアの 10年債利回りは一時64ベーシスポイント上昇し、ドイツ30年債の利回りはプラス圏を回復しました。

ただ、イタリアについてはECBがイタリア市場に介入しているとの報道を受けてイタリア債は下げを縮め、10年債利回りは42bp上昇の2.77%と一時の2.99%から低下しました。

VIX先物が急上昇し10年ぶりの高水準

ボラティリティー指数、VIXの先物が3月16日に急上昇し、2009年以来の高水準となりました。

FOMCの緊急利下げも、不安定化した市場の鎮静化にはつながっていないようです。

VIX先物の期近物は一時57.9にまで上昇しました。

同先物は1カ月後のVIXの水準についてのトレーダーの予想を示しており、VIXはS&P500の30日間のインプライドボラティリティーに連動する指数です。

債券恐怖指数が3年半ぶりの高水準

新型コロナウイルス関連問題で投資家の資金が日本国債に流入しボラティリティーが急上昇しています。

投資家の不安心理を反映する日本国債版の恐怖指数、S&P/JPX日本国債VIX指数は2020年3月11日に4.34と、2016年9月以来の高水準を更新しました。

金利上昇局面でのボラティリティー上昇は売りが売りを呼びますが、今はどちらかと言うとパニック買いに近い所があります。

また、ALM(資産・負債の総合管理)の観点から、生保などが買えなくなるリスクを警戒している可能性から、買いが買いを呼ぶという指摘もあります。

アルゴリズムで株安連鎖を招く

ボラティリティーが高止まりしている背景にはアルゴリズム取引があるようです。

波乱局面になると流動性が細り、変動率が高くなっています。

短期筋から中長期投資家までが売り手に回るなか、市場の流動性を担うはずの証券会社なども身動きがとれないでいます。

ヘッジファンドやHFTは、過去の市場データに基づいたアルゴリズムで自動的に売買していますが、過去のデータに基づいて動くコンピューターでは判断を間違ってしまうため、使わずに手動でやっている所も多いようです。

その結果売買注文が減少しました。

証券会社の自己売買部門は、投資家の売り注文を受けて市場に流動性を与える役割を担う最後のとりでなわけですが、今はテレワークなどでオフィスにおらず効率的に注文をこなせなくなっているようです。

欧州中銀は利下げせず

2020年3月12日、ECBは量的緩和政策の拡大と銀行への低利での資金供給増を決めました。

市場が織り込んでいたマイナス金利の深掘りは見送りました。

金融政策の限界が露になった形です。

ECBは各国が財政政策で役割を果たすように求めています。

量的緩和政策では

  • 現在の月200億ユーロペースでの国債などの購入に加え、
  • 年末までに1200億ユーロ(約14兆円)の資産を買い取る
  • 中小企業などが融資を受けやすくするため、銀行に6月から最低マイナス0.75%の低利で資金を貸し出す

等があります。

現在の政策金利(中銀預金金利)のマイナス0.5%を下回る水準を提示する事で、売り上げの急減などに苦しむ企業にお金が行き渡るようにします。

コロナウイルス相場の中でヘッジ付き外債が好調

為替ヘッジ付き外債は、世界的な金利低下の動きを受けて、過去1年で11.1%上昇するなど堅調に推移し、ヘッジ無し外債や国内債を上回るパフォーマンスとなっています。

為替ヘッジ効果でリスクが抑えられているため、投資効率が大変よくなっています。

こういった乱高下する中でヘッジ付き外債は一つの選択肢として脚光を浴びそうです。

S&P、新型コロナの影響額、アジア太平洋で2110億ドル

2020年3月6日、S&Pは新型コロナウイルスの感染拡大による経済への打撃について、アジア太平洋全体で総額2110億ドルに上る可能性があるとの試算を示しました。

2020年の中国の成長率見通しは従来の5.7%から4.8%に引き下げています

米国債、初めて0.7%を切る

2020年3月6日の金融市場では質への逃避で米国債が買われ、10年物利回りが0.7%を下回りました。

10年債利回りは一時22ベーシスポイント低下し0.6932%と過去最低を更新しました。

30年債利回りは27bp低下し1.2742%と、こちらも過去最低です。

先進国のソブリン債利回りは軒並み低下し、トレーダーはアメリカの追加利下げ観測を強め、先物市場は米政策金利が今年下期に0.25%未満にまで低下するとの予想を示唆しています。

日銀がETF1014億円買い入れ

2020年3月2日、日本銀行は東京株式市場でETFを1014億円買い入れたと公表しました。

1回の買い入れ額としては2016年12月の754億円を上回り、過去最大です。

新型コロナウイルスの影響拡大を受けて株価下落が続く中で、日銀はETF買い入れを積極化させています。

実際に2日で5営業日連続の実施となります。

内訳は設備・人材投資企業支援ETFが12億円、それ以外が1002億円でした。

2020年2月

アメリカ株は5日連続で下落

2020年2月26日のアメリカ株式相場は下落し、S&P500は5営業日続落と、昨年8月以降で最長の連続安となってしまいました。

米国債市場では、10年債利回りが過去最低を更新し、コロナウイルスの感染拡大に関する報道が錯綜して値動きの荒い展開となりました。

新型コロナウイルスが世界経済や企業利益に及ぼす悪影響の深刻さと期間は誰にも分からず、とりあえず売るという姿勢が支配しています。

世界的に安全資産への逃避が始まる?

新型コロナウイルスの懸念が世界中に広がり、経済的影響に対する懸念が強まる中、トレーダーらは最悪の事態に備えつつあるようです。

2020年2月24日の金融市場では米国債を買い求める動きが強まり、10年債利回りは一時11bp低下の1.36%と、2016年以来の低水準となりました。

過去最低まであと5bpです。

フェデラルファンド(FF)金利先物市場では年内金融緩和の予想が強まっており、FF金利が年末までに1%程度になるとの見方を織り込んでいるようです。

コロナウイルスでドルにマネー集中

コロナウイルス懸念以降、ドルが「安全資産」として世界のマネーを引き寄せています。

アメリカが世界の中でも景気の底堅さや金利の高さで際立ち、新型肺炎の悪影響が比較的薄いとの見方がある為です。

一方で、かつて安全通貨とされた円は売られ、円相場は約9カ月ぶりに1ドル=111円台へと下落しました。

ドルの強さを示す名目実効レートは、市場で新型肺炎への警戒が強まった1月下旬から上昇を強め、1カ月で約2%上昇しています。

米中対立が強まっていた19年10月初めの水準を超え、17年5月以来、2年9カ月ぶりの高値となった、という経緯です。

また、ドルは資源国の通貨に対する上昇率も際立っています

市場で肺炎への警戒が強まり始めた1月17日と比べると、ブラジルレアルやロシアルーブル、ニュージーランドドルに対して、3~5%ほど上昇しました。

中国の需要減で原油や銅の価格が大きく下落し、資源国の経済に打撃を与えるとの見方が強まっている為です。

コロナウイルスでも新興国通貨は大きく変動せず

コロナウイルスの懸念が世界中に広がる中、2020年2月中旬現在は新興国通貨は比較的安定的に推移しています。

理由

これは、株式などの動向から判断すると金融市場全体がリスク回避的な状況には至っていないことに加え、米国の緩和的な金融政策が続くとの見方が多いことが理由のようです。

ただ、安定している所とそうでない所があります。

特に、南アフリカ・ランドとブラジル・レアルは年初来7%超下落していて、他とは動きが異なっています。

両国に共通する点として資源依存度が高いことがあげられます。

主な輸出品である鉄鉱石や石炭は、世界最大の消費地である中国経済の先行きが懸念され、価格が下落しているのです。

輸出が価格・数量ともに落ち込めば、これらの国々は大きな影響を受けるため、通貨の下落につながっていると考えられます。

コロナウイルスの蔓延で懸念すべきポイント

新型コロナウイルス懸念で一番気にすべきなのは、中国の消費ではなく、サプライチェーンの生産拠点としての中国が機能しなくなる事でしょう。

例えば、中国製スマートフォンだと中国の最終需要が大事なのではなく、生産ができないことで需要がある地域に商品が届かないことがより大きな問題なわけです。

生産拠点として、世界経済の中国依存度は高い状況です。

中国の輸入品を見ると、7 割程度が工業製品となっていて、製造のための機械類や半製品、部品などが多い。その他だと石油でしょうか。

投資の観点からみると、いつ中国の生産が本格的に再開され、安定するのか、そして、その後に需要がどうなっていくか、という点がポイントでしょう。

更に、需要が安定し、生産回復でたまっていた需要が満たされたときには、供給能力不足で緩やかな景気回復にとどまる恐れも残っています。

コロナウイルス問題でも新興国市場への資金流入はすぐに回復?

新型コロナウイルスによる懸念で新興国アセットは下落しましたが、少しずつ投資家が戻りつつあるようです。

ある調査会社によると、新興国市場は2週連続で資金が流出して株式と通貨が大きく下げたものの、その翌週にはETFに7億3000万ドル近くが流入したようです。

あるマーケット関係者は現在の新興国アセットが大変魅力的な水準のバリュエーションになっていて、景気にも回復の兆しが見えているとコメントしています。

新型コロナウイルスの流行が収束すれば、元の水準に戻る可能性が高い、というのが現状の見方のようです。

新型コロナウイルスの影響で企業業績の見込み、下方修正続く

新型コロナウイルス問題が企業業績に影響を与え始めています。

純利益は2019年10~12月期に前年同期比16%増と5四半期ぶりにプラスに転じましたが、2020年1~3月期は5%増と急減速する見通しのようです。

中国は16%減益が予想され、日本の製造業も打撃を受け下方修正が相次いでいます。

アメリカ株が最高値更新

2020年2月10日、アメリカ株式市場は反発し、S&P総合500とナスダック総合は終値ベースで過去最高値を更新しました。

背景

新型コロナウイルスの感染拡大で混乱した中国の春節が明け、中国企業が順次操業を再開していることが押し上げ要因となったようです。

S&P500は前週末比0.7%高の3352.09、ダウ工業株30種平均は174.31ドル(0.6%)高の29276.82ドル、ナスダック総合指数は1.1%上昇しました。

コロナウイルスとJ-REIT

コロナウイルスで訪⽇外国⼈客数の減少が予想される中、J-REITへの影響も懸念されています。

⽇本のホテルで訪⽇外国⼈のキャンセルが発⽣するなど、J-REIT市場ではホテル関連銘柄の業績への悪影響が懸念され、株価は⼤きく下落しました。

⾜元では感染拡⼤が抑制されるとの期待や国内企業への⽀援策があるのではとの期待から反発をしています。

J-REITの保有物件に占めるホテルの⽐率は10%以下で、J-REIT全体への影響は限定的と見られます。

ECBもコロナウイルスの動向を注視

2020年2月5日、ECBのラガルド総裁は新型コロナウイルスを巡る状況を注視していると述べました。

コロナウイルスの流行が経済見通しに対する新たな脅威となっています。

ラガルド氏はパリで、

「米中貿易戦争の脅威が後退したかのように見受けられる一方で、コロナウイルスが不透明性の新たな要素に加わった。このリスクの動向や景気の中心シナリオに対する影響を引き続き注視する」

とコメントしました。

新興国は軒並み利下げ

新興国の利下げが相次いでいます。

2020年2月5日にはタイとブラジルが過去最低の金利に下げ、6日にはフィリピンも利下げしました。

新型肺炎の影響で景気後退に懸念が広がっており、金融緩和でそれをくい止めたい狙いですが、一方でインドなどはインフレが懸念されて金融政策にも先が見えており、すぐに限界が見える状況です。

アメリカ株も好調

2020年2月5日、アメリカ株式相場は3日続伸し、S&P500種株価指数はが最高値を更新し、ナスダック総合指数も連日での更新となりました。

新型コロナウイルスの経済的影響を最小限にとどめようとする取り組みは成功するとの観測が広がったため、買いが広が氏ました。

最近の下げで弱気相場入りしていた原油相場も反発しています。

2020年1月

日経平均は5か月ぶりに月間ベースで下落

2020年1月の日経平均株価は月間で451円44銭(1.9%)安で終えました。

月間ベースで下落するのは5カ月ぶりです。

新型肺炎の感染拡大が世界景気に及ぼす影響が懸念され、市場心理が悪化したのが要因です。

月初は中東情勢悪化を受け、乱高下で始まり、その後は米中関係の改善で上昇基調に転じました。

しかし、月末に近づくにつれコロナウイルス懸念で売りに押された形となりました。

2019年12月

アメリカ株式市場の主要3指標、全てが終値で最高値を更新

2019年12月23日、アメリカ株式市場は続伸し、主要な3指数が全て終値ベースでの最高値を更新しました。

トランプ大統領が週末に、米中「第1段階」の通商合意に間もなく署名するとコメントした事が支援材料となったようです。

加えて、ボーイングのCEO辞任を好感して同社株も買われました。

マーケット関係者は、一連のニュースが強気バイアスを後押しして、売り材料が見当たらないとして、買いのチャンスを逃すべからずという雰囲気がこの一か月半で出ている、とコメントしています。

2019年の新興国通貨、明暗分かれる

2019年全体で見ると、良かった新興国通貨とダメだった新興国通貨がはっきり分かれました。

良かった通貨

アジア通貨は総じて良かったところが多いでしょう。

  • タイバーツは年初から対ドルで約7%上昇し、6年ぶりの高値圏
  • インドネシアルピアやフィリピンペソも年初来で3~4%程度上昇

やはり、各国の経済成長率が底堅いことが一番です。

悪かった通貨

経済ファンダメンタルズが弱いトルコや南米の通貨は軟調でした。

  • トルコリラは引き続き安値圏から抜け出せていません
  • アルゼンチンペソは1ドル=60ペソ近辺で資本規制による通貨防衛が続く状況
  • チリやブラジルも昨年末より安いままです

これらの国は競争力の高い輸出品が少なく、経常赤字を抱えています。

加えて、南米各国では反政府運動が広がるなど政治も不安定になっています。

政治問題という意味では、トルコはロシア製ミサイル導入を巡って欧米と対立しています。

世界の投資資金は潤沢なわけですが、投資家は新興国を冷静に選別しているのが窺われます。

マーケットではアメリカが利上げも利下げもしない状況になっている中、アメリカの長期金利が上がりづらい状況になっており、投資家が相対的に高い利回りを求め、新興国に資金を振り向けている、と理解しています。

ただ、2019年は好調だった東南アジア通貨も、2020年にどうなるかは分かりません。
しっかりと慎重に状況を確認し続けるしか方法はないかもしれません。

アメリカ株が連続で最高値更新

2019年12月19日、S&P500種株価指数は反発し、初めて3200を突破するなど、引き続き好調です。

テクノロジーやヘルスケア、通信株が上げを主導しました。

同指数は2019年10月入りから7%超のパフォーマンスになっています」。

年初からは27%あがっています。

アメリカ下院によるトランプ大統領の弾劾訴追は材料視されなかったようです。

マーケット関係者は、ここ7営業日のうち6営業日で上昇しているため、買われ過ぎ感があると感じているようです。

2019年11月

米中交渉妥結報道でS&Pは最高値

2019年11月7日、アメリカ株式市場は上昇し、ダウとS&P500が終値で最高値を更新しました。

背景は

米中が発動済みの追加関税を段階的に撤廃する方針で一致したと伝わり、安心感が広がったためです。

ただ、その後の報道で合意に不透明感が生じ、上値は抑制されました。

雇用統計が好調でアメリカ株が過去最高値を更新

2019年11月1日、アメリカの株式市場では、雇用統計が好調だったことで株価が押し上げられ、S&P500とナスダック総合が終値ベースで過去最高値を更新しました。

雇用統計の詳細はアメリカの金融政策の経緯とまとめをご参考ください。

雇用統計を受けて市場関係者は

「景気サイクルの終りにこれほど近い時期になっても経済に耐性があることが示された。これにより市場でリスク選好度が高まっている」

とコメントを述べています。

また、2019年10月の中国PMIが51.7と、約2年半ぶりの高水準となったことも市場心理の支援要因となったようです。

ISMの10月の製造業景気指数は48.3とふるいませんでしたが、雇用統計が好調だったことで大きく意識されませんでした。

2019年10月

S&P500が3か月ぶりに過去最高値を更新

2019年10月28日にS&P500種指数は、7月26日以来、約3ヵ月ぶりに過去最高値を更新しました。

S&P500は景気減速懸念などから10月初めに大幅に下落したものの、11日にトランプ米大統領が、米中貿易交渉が第1段階の合意に至ったと発表したことで市場の懸念がやや後退したとみられます。

こうした中本格化している主要企業の決算は内容がまちまちになっています。

好調だった企業、不調だった企業

マイクロソフトやインテル、ビザなどが市場予想を上回った一方、キャタピラーやボーイング、アマゾン・ドット・コムなどが市場予想を下回りました。

【S&P500の2019年10月の推移(出所:TradingView)】

2019年9月

ECB、量的緩和を再開

2019年9月12日、ECBは3年半ぶりの金融緩和を決めました

2018年12月に打ち切ったばかりの量的緩和政策を再開する事となります。

さらに銀行が中央銀行に余剰資金を預ける際の金利を現在のマイナス0.4%からマイナス0.5%に引き下げます。

政策の先行き指針も変更し、物価目標の実現がしっかりと見通せるまで政策金利を現状かそれ以下に据え置くと約束しました。

invstem.com

なぜECBはこのような決定をしたのでしょうか

ECBが緩和を再開するのは、米中貿易摩擦やBREXITなどで景気の先行きの不透明感が強まり、景気減速に歯止めがかからなくなっているためです。

物価上昇率も目標(2%近く)を大きく下回っていて、低インフレから抜け出せなくなるとの危機感も広がっているようです。

ECB、3年半ぶりの金融緩和を検討

2019年9月12日、ECBは理事会で、3年半ぶりの金融緩和を検討する予定です。

現在マイナス0.4%の中銀預金金利をさらに引き下げるほか、より長い期間緩和を続けると約束する可能性が高いと見られます。

量的緩和政策の再開にはなお慎重な意見も多く、どうなるかは分かりません。

ただ、景気減速が進んでいる中で、BREXITも予断を許さず、先行して利下げを進めるアメリカと足並みをそろえる形で対策をとろうとしているのでしょう。

この流れに他国も追随する可能性があります。

2019年8月

アメリカ、2年金利が10年金利を上回る

2019年8月14日の米国債市場で10年物国債の利回りが2年債利回りを約12年ぶりに下回りました。

いわゆる逆イールドで、将来の米景気後退を示唆するとされます。

invstem.com

もちろん、米中貿易戦争やBREXIT、イタリア、アルゼンチン、様々な事が背景にあるでしょう。

【アメリカ10年もの国債利回り推移(2019年8月15日までの直近1か月)出所:TradingView】

【アメリカ2年もの国債利回り推移(2019年8月15日までの直近1か月)出所:TradingView】

普通、国債の利回りは長い期間の方が高くなります。

経済成長への期待や財政リスクが加味されるためです。

それが下回っているという事は、将来に対して悲観的な投資家が多いという事の表れなのです。

MEMO

3カ月ものの国債利回りと10年債はすでに逆転していました。これも「逆イールド」と呼ばれます。

今回は、より景気との関連が強いとされる2年債と10年債も逆イールドになったので、ニュースになっているわけです。

ポイント

2000年や07年も同様の現象が起き、米国は後に景気後退となっています。

米中貿易摩擦激化でVIX指数が上昇

2019年8月1日に発表されたアメリカの対中制裁関税第四弾で、世界のマーケットが軟調となっていますが、投資家の不安はVIX指数にも現れています。

この指数は一時24台後半に上昇し、約7カ月ぶりの高さを記録しました。

【2019年7月31日~8月5日のVIX指数の推移(出所:TradingView)】

invstem.com

これは5月に追加関税を課したときよりも投資家心理が悪化していることを映しています。

株式市場から抜け出したマネーは国債や金などの安全資産に向かっているようです。

日本の個人投資家、新興国通貨売り

日本の個人投資家が新興国通貨のショートポジションを増やしているようです。

先進国が金融緩和に向かう中で、逆張りの発想です。

このところの日本人投資家は南アランド、トルコ・リラ、メキシコ・ペソ、ポーランド・ズロチに対し売りの攻勢を強めています。

これまでの傾向だと、日本の個人投資家は利回り格差に注目して高利回り通貨を押し目買いするタイミングでした。

しかし、最近の投資家は慎重になっているようで、円高の進行を心配しているのでしょう。

2019年7月

アメリカ、第二Qの成長率減速

2019年7月26日発表された4~6月期のGDP速報値は、前期比年率換算で2.1%増でした。

個人消費や政府支出が伸びたものの、貿易戦争の影響で輸出や設備投資がマイナスに転落。

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成長率は1~3月期の3.1%から減速してしまいました。

少し細かくデータを見てみましょう。

アメリカの2019年4-6月GDP
  • 個人消費は前期比年率4.3%増え、17年10~12月期(4.6%)以来、1年半ぶりの高い伸び率。
  • 政府支出は5.0%も増え、金融危機直後に財政出動した09年4~6月期以来の高水準
  • 設備投資は0.6%減少し、16年1~3月期以来、約3年ぶりにマイナスに転落。
  • 輸出は5.2%減少し、3四半期ぶりのマイナス
データの見方

4-6⽉期の個⼈消費は1-3⽉期の減速から⼤きく持ち直しました。また、全体の2.1%という数値も、市場予想の1.8%を上回っており、悪くありません。

個人消費が好調な理由

個⼈消費はこれまで⽶中貿易摩擦や、政府機関閉鎖、タカ派的と市場に受け⽌められたFRBの12⽉の利上げ、パウエルFRB議⻑の解任観測など、不透明感の⾼まりから不調でした。

しかし、今回の4-6⽉期は、FRBがハト派姿勢に転換したと受け止められた事や、雇⽤の安定を背景に持ち直しが見られたと考えられています。

ECB、9月に利下げの可能性も

2019年7月25日、ECBは主要政策金利を据え置くと同時に、追加利下げや資産購入の再開を検討する方針を明らかにしました。

早ければ9月の会合で利下げに動く可能性があります。

ECBによる理事会後の声明要旨等
  1. 政策金利を2020年半ばまで、現行水準もしくはそれを下回る水準にする
  2. これに伴って2020半ばまで現行水準に据え置くという方針を撤回
  3. 政策金利のフォワードガイダンス強化や資産購入策の再開などを含む追加緩和の選択肢を検討

アメリカS&Pとナスダックが終値ベースで史上最高値

アメリカの株式相場は引き続き好調です。

2019年7月24日、S&P500とナスダック総合指数が上昇し、終値で最高値を更新しました。

半導体大手テキサス・インスツルメンツが底堅く、7.4%高となりました。

前日発表した第2Q決算で利益と売上高が予想を超えたほか、半導体需要の世界的な需要は当初の予想ほど長引かない見通しを示した事が支えとなりました。。

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一方でボーイングやキャタピラーは冴えませんでした。

キャタピラーは4.5% 安。

四半期決算で利益が市場予想を下回った事が要因です。

ボーイングは3。1%安。四半期決算は純損失が29億ドル強と過去最大に膨らんだ事が影響しています。

キャタピラーとボーイングのきつい下げで、ダウ平均株価はマイナス圏で取引を終えています。

あるデータによれば、これまでにS&P500の銘柄中既に138社が決算発表を終え、うち約77%が予想を上回った決算を発表しているようです。

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全体の収益は0.1%の微減が見込まれているようです。

NYダウ、最高値を更新、パウエル議長の利下げ示唆発言で

2019年7月11日のダウ工業株30種平均が過去最高値を更新しました。

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前日比227ドル88セント(0.85%)高の2万7088ドル08セントで取引を終えました。ダウ平均が2万7000ドル台に乗るのは初めての事です。

【2019年7月11日のダウ工業平均(出所:TradingView)】

利下げ期待から買われたようです。

これは、パウエル議長の7月11日の上院における証言で、「2%の物価上昇率を大きく下回りたくない」と述べた事が、早期の利下げに意欲があると取られたためです。

海外勢、日本国債へ資金

海外投資家が日本国債への投資を膨らませているようです。

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2018年度の買越額は17兆8千億円と前年度の約6倍で、4~6月も買い越し基調が続きました。

背景は、

  • 国内金融機関のドル調達の需要が強いこと
  • 海外勢は手持ちのドルを円転して運用すると上乗せ金利を得られること
財務省データ
海外投資家は18年度に償還までの期間が1年超の中長期債を10兆1千億円、1年以下の短期債も7兆7千億円買い越しました。これはそれぞれ17年度の8.6倍、4倍の量です。

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リスクオフになると考え、リスク逃避通貨としての日本円で為替益を狙ったという事もあるのかもしれませんね。

アメリカ株、9か月ぶり最高値更新

2019年7月3日のアメリカ株式市場はダウ平均が反発して、2018年10月3日以来、約9カ月ぶりに史上最高値を更新しました。

背景は、

  • 米中貿易協議の再開
  • 世界の金融緩和姿勢
  • 誇張を維持するアメリカの景気
  • アメリカ企業による、巨額の自社株買い
等でしょうか。
ダウ平均は午前中の早い時間帯に前回の最高値(2万6828ドル39セント)を超え、上げ幅を徐々に拡大させ、終値は前日比179ドル32セント(0.66%)高の2万6966ドルとなりました。
ダウ工業平均(過去1年) (出所:TradingView)

欧州中央銀行総裁にラガルドIMF専務理事

2019年7月2日、EUは欧州中央銀行(ECB)総裁にフランスのラガルドIMF専務理事、EUトップの欧州委員長にドイツのウルズラ・フォンデアライエン国防相を指名しました。

2019年秋に正式に就任すれば、いずれも女性初のトップとなります。

独仏がなかなか折り合えなかった有力ポストを、分け合う形で妥協しましたが、欧州委員長の決定には議会の承認が必要となりまだどうなるか分からない所もあります。

2019年6月

S&P500指数、7-9月に大幅な下落も

現在のアメリカ株式相場に懐疑的なあるストラテジストは、株価が最高値近くで推移する中でも経済指標が悪化し続ければ、S&P500指数が7-9月に10%調整する可能性があるとしました。

これは、米中貿易戦争が小康状態になったり、FRBのハト派姿勢があっても、景気減速及び株価下落を止めるには不十分だという事です。

S&P500が史上最高値を2か月ぶりに更新

2019年6月20日のアメリカ株式市場でS&P500が史上最高値を約2カ月ぶりに更新しました。

終値は前日比27ポイント高の2954。

利下げ期待が高まり、リスク資産を買う動きで勢いづきました。

ダウ平均も249ドル高の2万6753ドルと大幅続伸し、2018年10月の史上最高値まであと75ドルに迫りました。

FRBの方針に新興国も連動、新興国に余剰マネー流れ込む

FRBの利下げ観測が浮上する中、新興国でも同じようなケースが相次いでいます。

2019年6月上旬時点で、利下げを発表した国としては、

  • フィリピン
  • マレーシア
  • ニュージーランド
  • オーストラリア
  • インド

といった所です。

緩和競争の再来で余剰マネーが再び新興国に流れ込んでいます。6月1週には36億ドルの資金が新興国に向かったそうです。

2019年5月

世界の国債利回りが低下傾向

世界経済への減速懸念が高まっていて、先進国の国債利回りが数年ぶりの低水準に落ち込んでいます。

10年物アメリカ国債相場は、利回りが 2.268%と2017年9月以来の低水準で取引を終えました。

10年物米国債の利回りは、3カ月物を下回る水準で、逆イールドと呼ばれる現象がまた起きています。

これは景気後退の前に発生する傾向があるため、投資家が注視しています。

アメリカ、日本含む9か国を為替監視リスト対象に

5月28日、アメリカが貿易相手国の通貨政策を分析してまとめた半期為替報告書が公表されました。

その中で日本や中国など9カ国を「監視リスト」に指定しました。

2018年10月時点では6カ国でしたが、イタリアやマレーシアなどを加えて監視対象を広げました。

現状は、

  • 日本
  • 中国
  • ドイツ
  • 韓国
  • イタリア
  • アイルランド
  • シンガポール
  • マレーシア
  • ベトナム

です。

監視リストは「為替操作国」とは異なり経済制裁を伴いませんが、通貨安誘導をけん制する狙いがあります。

VIX指数が3か月振りの高水準

「恐怖指数」として知られるボラティリティー・インデックス(VIX指数)が2019年5月7日に3カ月超ぶりの水準に上昇しました。背景は米中貿易摩擦の激化懸念です。

また、同日のオプション市場全体の出来高は2500万枚と、過去1カ月の1日平均の約40%増となったようです。

市場に広がっていた何となくの楽観が一瞬ですが吹っ飛んだ形になりました。

アメリカの対イラン制裁、ドル調達も締め付け

アメリカは対イラン経済制裁について原油の禁輸以外のさらなる制裁方法を検討しています。

その一つとしてハードカレンシー(国際決済通貨)としてのドル調達源を断つため、多くの企業や金融機関を制裁対象とする見通しです。

こうする事でシンガポールへの原油輸出やアフガニスタンへの消費者製品輸出を含むイランの貿易を封じる狙いがあるようです。

2019年4月

アメリカの1-3月の成長率、3.2%に加速

2019年4月26日に発表されたアメリカの2019年1~3月期のGDP速報値は前期比年率換算で3.2%増えました。

これは2018年10~12月期の2.2%増から加速し、市場予測(2.0%程度)も大きく上回る数値です。

輸出が伸びたほか、在庫の積み増しも成長率の押し上げにつながりました。ただ、自動車販売や住宅投資は下落し、産業によって状況はまちまちのようです。

今後は政治リスクがどの様に経済成長に影響するかを見極めていく必要があるでしょう。

アメリカの主要株価指数が最高値を更新

2019年4月23日のアメリカの株式市場でS&P500やナスダックで過去最高値が更新されました。

S&P500は2018年9月以来、ナスダック総合指数は同年8月以来の最高値更新となります。

背景としては、世界的大企業の1-3月決算が市場予想を上回ったことにありそうです。これによって企業業績の先行きに対する期待が高まったのです。

ダウ平均はは、航空機製造大手のボーイングが今年3月に大幅に下落したことなどにより上記二つの指数のように最高値更新にはなっていませんがやはり過去最高値に近い水準でやり取りされています。

非投資適格債券の残高、欧米は10年で4倍

中国のシャドーバンキングの問題はよく取りざたされていますが、実は欧米でも似たような状況になっていたりしています。

長引く低金利で信用力の低い企業を中心に借金が膨らみ、結果的に金融安定のリスクになっています。

債務残高は欧米あわせて24兆ドルと、この10年で4割も増えました。

歴史的な低金利で、マネーは利回りを得ようと社債、特に非投資適格の社債に殺到し、信用力の低い企業も低金利で資金調達が出来るようになりました。

トリプルB格、つまりギリギリ投資適格級という社債の発行残高は欧米で4.3兆ドルにのぼっていて、この10年で4倍に増えました。

今この状況で、景気の急減速が起きるとマネーの逆回転がすぐに起きて大変な事になる可能性があります。

投資をするにしても、しっかりと自分で納得できる企業、もしくは運用力のある会社のファンド経由での投資をするしかないのですが、一度マーケットがクラッシュすると健全な企業の社債や株価まで暴落する可能性があるので、そこがいかんともしがたい所です。

逆に言えば、そうなる可能性が高まっているのだから、しっかり現金を手元に置いて、来る暴落時に割安で資産を買えるようにしておくと良いかもしれません。

日本の景気指数、4か月ぶりに上昇

2019年4月5日に発表された2019年2月の景気動向指数速報値は、景気の現状を示す一致指数が98.8と前月から0.7ポイント上昇し、4か月ぶりの上昇となりました。

指数の推移で機械的に決まる基調判断は「下方への局面変化」で据え置かれました。

一致指数に基づく景気の機械的な基調判断は、2016年10月から18年8月まで23カ月連続で「改善」でした。その後の2018年9~12月は「足踏み」に転じ、2019年1月からは「下方への局面変化」に引き下げられたという経緯があります。

日銀短観で景気後退入りを警戒

2019年4月1日発表の日銀短観で、大企業製造業の景況感は6年3カ月ぶりの悪化幅となり、景気後退入りの警戒領域に近づきました。

企業の設備投資意欲は底堅い動きですが、世界景気の行く末や消費増税の影響など不透明要因も多く油断が出来ません。

大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は12となり、前回の2018年12月調査から7ポイント低下しました。
この様に景気の先行きに不透明感が強まっていますが、政策的に何かまだ出来るかというと、結構限定的であるというのが本当の所でしょう。
政府は18年度補正予算や19年度予算で最大限の公共事業費を積み、10月の消費増税対策も立てていますが、それくらいです。
日銀による一段の金融緩和には副作用もありますから、現状では動きにくいとの見方が強いようです。

2019年3月

世界景気に対するネガティブな意見が増加

企業経営者向けのアンケートで、世界景気の先行きに対してシビアな見方をしている人が増えているようです。

あるメディアの調査によると、世界景気の見通しを「悪化」とした回答は全体の約25%と前回調査から倍増したそうです。

主な要因は中国景気の悪化。ただ、その一方で一方で中国の大型景気対策の効果を期待する意見もありました。

まだら模様な感じです。

欧米の金融緩和が悪影響になる可能性

欧米の主要中央銀行が急きょ、金融政策をハト派路線へと転換し、その影響が世界に広がっています。

より規模の小さい国では、経済が良好であるにもかかわらず、政策金利が今後低水準に張り付いたままとなる可能性があり、そうすると資産バブルの温床となる可能性が出て来ます。

海外投資家、日本国債への投資を増加、円高要因にも

海外投資家が日本国債に投資を増やしています。

世界的に金利が低下するなかで相対的に日本国債の魅力が高まり、ヨーロッパの投資家を中心に購入が増えているようです。

ヨーロッパは域内の景気減速感が強まるなか、ECBも年内の利上げを断念し、ドイツやフランスだけでなく、イタリアやスペインなど南欧の国債も金利が低下しました。これを受けてヨーロッパの投資家がマネーシフトをしているのだと思われます。

2019年1~2月の買越額が4兆円強の高水準に達しており、これが日本の金利低下を促し、外国為替市場で円高を防ぐ一因にもなっています。

日本株と中国株の連動性が上昇

2019年2月下旬以降、日本株と中国株(上海総合指数)の連動性が高まっているようです。

日本株独自の材料が乏しく、一方で中国は全人代や米中貿易摩擦の動向など中国関連の材料が多く、日本株が中国株を追従する傾向が強まったようです。

中国の景気動向は日本の幅広い業種の業績を左右します。

最近は中国の景気減速を示す経済指標が相次いだりとネガティブなニュースが多く、中国の全人代での景気刺激策や米中首脳会談の進捗状況がマーケットから特に注目を集めたのだと思われます。

ECB、年内の利上げを断念

2019年3月7日、ECBは年内の利上げ断念を決めました。

景気減速が物価の回復を遅らせている事がその理由で、金融緩和を続けて景気を下支えします。

元々ECBは金融政策のフォワードガイダンスとして、現在0%の主要政策金利などの水準を2019年夏まで維持するとしていました。しかし、今回の会合で利上げは早くても20年以降と明確にした形です。

貸し渋りの抑制に向け銀行への新たな資金供給策の導入も決めました。

アメリカの10-12月の成長率、減速

2019年2月28日に発表されたアメリカの2018年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.6%となりました。

今回のポイントとしては、

  • 良好な雇用所得環境などを背景として個人消費支出は堅調に推移
  • 住宅ローン金利の上昇などから民間住宅投資は引き続き低調で、4四半期連続のマイナス成長
  • 貿易紛争の影響から輸出も伸び悩む

といった所でしょうか。

雇用所得環境は引き続き良好に推移するものの、米国景気は全体として徐々に減速していくと見ている関係者が多いようです。

2019年2月

CLO(ローン担保証券)残高拡大を警告

アメリカの証券化商品であるCLOの残高増加に警鐘を鳴らす人が増えています。

ローン担保証券(CLO)とは何か

ローン担保証券とは格付けが低い企業への融資をまとめた証券化商品です。

アメリカの証券化市場は2018年に1.6兆ドルと、ピークだった2007年の85%程度となっているようです。

リーマン危機の火種になった信用力の低いサブプライムローンを組み込んだ債務担保証券や仕組み融資はピークの2~3割に減りましたが、CLOの残高は増え続けているようです。

アメリカの生命保険会社がCLOを積み増し、それがリスク要因に

アメリカの生命保険各社は金融危機以降にCLOを積み増してきました。

量的緩和政策による先進国の金利低下を背景に、低い信用力の企業向け融資債権を束ねた高い利回りのCLOを買う投資家が増え、発行が盛んになったのです。

しかし、これが次の景気後退において問題となる可能性があるとされています。

サブプライムの時と同じ理屈ですね。

米中貿易摩擦収束期待から商品価格が上昇

2019年2月、国際商品の先物価格の上昇が目立っています。

原油は約3カ月ぶり高値をつけたほか、非鉄金属も反転基調にあります。

国際商品の値動きを示すCRB指数は約2カ月ぶりの高水準に上昇しました。

背景には、アメリカの金融引き締め姿勢の後退に加え、米中貿易協議の進展に期待が広がり、需要鈍化が不安視された商品が買い直されている事が挙げられます。

東南アジアの成長に減速感

東南アジア経済が少しずつ下り坂になっている可能性があります。

アジア開発銀行によると、ASEAN主要5カ国の2018年のGDP伸び率の平均は前年比4.8%と3年ぶりに前年実績を下回りました。

タイやシンガポールは米中貿易戦争の影響で18年後半から輸出が低迷し、高成長が続いたフィリピンでも個人消費が伸び悩んでおり、域内経済の減速感が強まっているようです。

以下が各国の概要です。

  • タイ:2018年前半は四半期ベースのGDP伸び率が5%前後で推移してきたものの、同年秋ごろから減速し、2018年通年では4.1%の成長率。
  • シンガポール:中国向けの電子部品などの輸出が低迷。2018年10~12月期のGDP伸び率は1.9%と、12四半期ぶりに1%台にとどまりました。2018年の成長率は3.2%で、2019年は2.5%を下回ると予測されています。
  • フィリピン:食料品の供給不足を受けてインフレが加速し、GDPの7割を占める個人消費が伸び悩みました。2018年10~12月期の成長率は6.1%で、2018年通年では6.2%と政府目標の7~8%を大きく下回りました。

対中輸出、アジア各国で減少

アジア各国の対中輸出が減っているようです。

例えば日本。

2019年1月の中国向け輸出は前年同月比17.4%減となっています。

背景は、中国経済の減速の影響です。

この現象は日本だけでなく、韓国や台湾など部品供給網を構成するアジア各国・地域に広がっています。

各国の前年同月比で見た対中輸出の減少は、

  • 日本:▲17.4%
  • 韓国:▲19%
  • 台湾:▲7.5%
  • シンガポール:▲25%
  • タイ:▲7.3%(2018年12月)

唯一ベトナムだけは2019年1月もプラスを維持したようです。

調子が良いですね、ベトナム。

日銀(日本銀行)のETF含み益が5兆円減

国内の株価が上昇するなかでETFを買い続けてきた日銀が、その保有株の簿価上昇に苦しみ始めそうです。

日銀がETFを買い始めたのは2010年。日経平均も1万円を割り込んでいました。

当初の購入上限は4500億円でしたが、2013年に黒田総裁就任後、購入額が増加し、2016年には年3兆円強から6兆円にほぼ倍増させる方針を打ち出しました。

こうした中、日銀のETFの含み益は株価上昇に伴ってどんどん増加しました。

2018年9月末時点で、ETFの含み益は7兆円強もありました。しかし、昨年末の株安を受けて一気に2兆円程度まで減ったのです。5兆円含み益がなくなったわけです。

金融機関のレポートによれば、日経平均が18000円台で簿価割れし、17000円台になると日銀は赤字となります。

日銀がそんな状態だともちろんETFの追加買いのストップを求める声が大きくなり、更には通貨の信任にもつながる話になるかもしれません。

今は株価が下がっても日銀がいるから大丈夫な状態になっています。

一旦悪くなって、日銀がもう助けられないとなると、もっとすごい勢いで下がる可能性が出て来ます。

オーストラリアドル(豪ドル)が激しい動き

オーストラリアドルの動きがここ1か月の間、激しいようです。

ヘッジファンドがオーストラリア・ドルの賭けを双方向で強めているのがその理由だとあるメディアが報じています。

豪ドルは2019年1月以降、先進国通貨の中で最も激しい変動でした。

あるヘッジファンド運用担当者は、「取引するには最適な時期の一つだ」と話し、「多くのプラス材料が織り込まれているので、失望を誘う余地がある」と説明しています。

その上で、相場への楽観論・悲観論が交互に渦巻いており、エモーショナルに動くため取引の機会が生じているとも語りました。

元々世界的な景気に敏感なオーストラリアドル(豪ドル)の動き

豪ドルは世界経済の先行き不透明感に敏感な通貨と言われます。

さまざまな要因が絡み合い豪ドルのボラティリティーを上昇させるのです。

最近で言うと、

  • 米中貿易協議による不透明感
  • 鉄鉱石価格の下落
  • 輸出相手国の中国の不況
  • 豪ドルの利下げがあるのではないかとの観測

といった所でしょうか。

海外投資家による米国債売り越し額は過去最高

米財務省が2019年2月15日に発表した2018年12月の対米証券投資統計によれば、海外投資家による米国債の売り越しが過去最大となった模様です。

海外投資家による米財務省証券投資は約773億ドルの売り越しで、これは1978年の統計開始以来、最大となりました。なお、11月は132億ドルの買い越しでした。

金への投資が増えている所と連関があるかもしれません。

ご参考↓

金の動き、金相場についてのまとめ

ユーロ圏の成長率、大幅下方修正

ユーロ圏の景気減速が鮮明になってきています。

EUの欧州委員会は、2019年のGDP成長率の見通しを前回(18年11月)から0.6ポイント低い1.3%へ大幅に下方修正しました。

要因は、けん引役のドイツの伸び悩み、イタリアの景気後退入り、です。

BREXITのマイナス影響を加味していない

もちろんBREXITもあるでしょう。ただ、今回の経済見通しはその影響は加味せず、英国との貿易関係などは現状維持を想定して算出されたという事です。

もちろんここに合意なき離脱が起こればもっと大きなマイナス影響が出るでしょう。

中国の減速、世界に影響

世界の景気や業績が中国の減速により、悪化しつつあるようです。

2018年10~12月期は中国が前年同期比で最終減益だったようですが、日本やアジアもマイナスだったようです。

欧米も7~9月に比べ増益率が鈍っていて、「世界の消費地」たる中国の景気減速が影響を拡大しつつあるようです。

中国マネー、アメリカの不動産から撤退相次ぐ

2018年第4四半期の中国系投資家らの米商業不動産売買は8億5400万ドル(約930億円)の売り越しとなり、2018年通年の中国による米商業不動産の純購入額も、2012年以来の低水準に落ち込んだようです。

これは中国政府が経済成長の鈍化を背景に、自国投資家に国内への資金還流の圧力をかけ続けているためと思われます。

中国投資家の米不動産の売り越しは3四半期連続となっていて、これほど長期にわたって中国投資家が売り越しているのはあまり例がないとの事です。

米中関係の悪化と中国政府の働きかけと、かなりネガティブなニュースが出ているので、一定程度は予想通りではありますが。。。

ユーロ圏の成長、0.9%

2019年1月31日、EU統計局が2018年10~12月期のユーロ圏のGDP速報値を発表しました。

実質で前期比0.2%増であり、年率換算の成長率は前期比0.9%でした。

これで2四半期連続で1%を下回った形となりました。

主要輸出先である中国の景気減速により、ドイツの自動車産業が不振だったこと、ブレクジット問題や貿易摩擦といったリスク要因もあり、先行き不透明感が広がってきた証左となりました。

このままブレクジットでも合意なき離脱などの事態となれば、かなりユーロ圏経済も追い込まれてしまいます。

2019年1月

新興国でREIT市場創設が相次ぐ

新興国でREIT市場の創設が相次いでいるようです。

インドではブラックストーンが手掛けるREITの上場が承認され、ポーランドでも2019年にもREIT制度が始まる見通しです。

新興国のREITは先進国より利回りが高く、各国はマネーを呼び込み不動産市場の活性化を狙います。

このほか、ハンガリーでは2017年にREITとして必要な最低資本を引き下げるなど、ルールが緩和され、中国でもREITの導入が検討されているようです。

アメリカ 2019年の経済成長率は低下か

2019年1月28日、アメリカの議会予算局が年次報告を発表しました。

それによると、今後数年間でアメリカの財政赤字はさらに拡大し、経済成長は「控えめ」となる見通しのようです。

アメリカ経済は今後3年間で減速する見通しで、成長率は2019年が2.3%、20年が1.7%となったのち、21年には1.6%に下がると見込んでいます。

2018年の成長率は3.1%だったと推定しています。因みにトランプ政権の目標は3%です。

アメリカ ハイイールドに警戒感⇒投資チャンスか?

アメリカのハイイールド債券で、警戒感が広がっているようです。

2019年にはエネルギー系企業が発行した債券を中心に総額1900億ドル(約20兆円)を超える分が満期を迎える予定ですが、その借り換えが実行できるかどうか不透明になっています。

もちろん起債が滞れば資金繰りの悪化に伴う倒産というリスクも増大するし、企業の投資抑制にもつながり、米景気を下押ししかねません。

2018年12月はハイイールド債の新規発行がゼロでしたが、これは1995年以降、低格付け債市場では初めての状況との事です。

こうした状況でハイイールド債券のスプレッドは上昇し、ある機関の調査によれば2018年10月には3%台前半だったものが、12月下旬には5.38%に達したようです。

その後、スプレッドは年明け後に縮小し、1月半ばには4%台半ばまで低下しましたが、依然として高水準の状況です。

ただ、この状況が逆に投資チャンスとなる可能性もあります。

FRBの利上げ観測が後退し、資産縮小の期間も予想より短くなるなどといった報道があるため、ハイイールドへの資金流入が再び増える可能性があるからです。

オーストラリアの住宅価格、下落鮮明 35年ぶりの下落水準

オーストラリアの住宅価格が下落しています。

2018年12月の住宅価格は前月比1.3%減と35年ぶりの落ち幅となりました。

豪住宅市場は人口増を背景に上昇を続けてきましたが、ここ最近中国マネーの流入が減少し、下落スピードを速めているようです。

低金利や中国からの投資マネー流入を背景に、シドニーの住宅価格は2017年半ばまでの5年で76%も上昇していました。上がりすぎだという話でもありますが、日本人にとっても人気な投資先ですので、要注目です。

各国の外貨準備、少しずつ進むドル離れ 金市場に波及

中国が2018年12月末に外貨準備で保有する金を2年2カ月ぶりに増やしました。

ロシアやトルコも2018年、外貨準備の米国債を8割減らしていて、アメリカの強硬外交の影響でドル離れを探る動きが広がり、その結果、金市場に影響が及びつつあるようです。

具体的には、アメリカによる金融制裁を警戒している事があります。

例えば2017年には北朝鮮との違法取引を理由にアメリカは中国の地方銀行、丹東銀行をドル決済から締めだしました。

これを大手国有銀行に適用されると大きな影響が出る事は必至です。

ドル離れにはそうした万が一の制裁に備える思惑もありそうです。

同じような背景からロシアの米国債の保有額も18年10月末で146億ドルと17年末より875億ドル減りました。

特にアメリカが新たな対ロ制裁を発動した2018年4月からの減少が大きくなっています。

また、ロシアの貿易についても、ドル建て比率が2013年の8割から2018年上期は7割になりました。

トルコも同じです。

トルコの米国債保有は102億ドルと2017年末から423億ドルも減りました。

2018年はアメリカ人牧師の拘束問題を巡って対米関係が急激に悪化したわけですが、確実にその影響があります。

つまり、資産凍結などの経済制裁のリスクを警戒して、トルコ当局がドル資産の保有を圧縮する動きをした、という事です。

2019年1月22日、日本の長期金利は、再びマイナス

2019年1月22日、日本の長期金利が2週間ぶりに再びマイナスをつけました。1月22日の債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.010%低いー0.005%をつけています。

IMFによる世界経済の成長率予測の引き下げを受け海外景気への不安が広がり、安全資産とされる国債が買われたと思われます。

また、日銀が1月23日まで開く金融政策決定会合で物価見通しを引き下げるとの観測も、緩和長期化を想起させて金利下押し圧力になっています。

欧州の景気減速がより鮮明に

欧州経済の減速が鮮明になってきています。

けん引役のドイツがマイナス成長に転じていること、混迷を深めるブレクジット問題、米中貿易摩擦などが主な要因です。

これに加えてイタリアも財政問題で政治がなかなか安定せず、成長率もマイナスです。

労働力不足による賃上げが内需を支えていて、総崩れという事にはなっていませんが、主要な輸出先の中国も景気が陰っているので、いつ腰折れとなるか分かりません。

日本人の新興国通化への興味は低調

金融系メディアの報道によれば、日本の個人投資家に昨年販売された売出債のうち新興国通貨建てはわずか8%と、12年ぶりの低水準を記録し、過去10年間の平均値の半分程度だったようです。

日本の個人投資家の関心が薄れたのと同時に、2018年の新興国通貨は2015年以来の大幅な下げとなったため、伸びなかった模様です。

逆に投資家は円や米ドルといった比較的安全とみられる通貨で発行される債券に動いたとされていて、この傾向は、貿易摩擦問題やアメリカの底堅い成長が続く限り、2019年も続く見通しです。

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