2020年6月の主な出来事

このブログは、

  1. 相場に左右されずに
  2. 気長に忍耐強く

新興国投資をする人たちのための情報提供ブログです。

特に、

  1. これから新興国へ投資をしたい人で基本的な情報を網羅的に学びたい人、
  2. 既に投資をしているが大きな含み損を抱えていて一旦冷静に状況を再確認したい方

を想定しています。

筆者はバリュー平均法なる方法で新興国に投資をしている個人投資家です。既にそうした方法で投資をして7年くらいです。

ずっと投資し続けています。

このブログはこのブログが対象としているトルコ、メキシコ、ブラジル、インドネシア、フィリピン、中国、ベトナム、インド、先進国とその他のトピックについて、2020年6月に起きた出来事をひとまとめにしている記事です。

各抜粋から本ブログを飛ぶことが出来ます。

また、過去のイベントを確認したい場合は↓をご確認ください。

参考 月次まとめ一覧へのリンク

この記事の日付は、その出来事が起こった日(現地時間)を原則としてします。

2020年6月30日 イタリアの財政赤字問題

イタリアの2020年の財政赤字予想が更に拡大

イタリア政府は2020年の財政赤字のGDP比率予想を従来の10.4%から11.6%前後に引き上げる見通しのようです。

政府高官によると、政府は新型コロナウイルス流行の悪影響を和らげるための新たな景気刺激策を用意しており、財政悪化が確実な状況です。

200億ユーロの財政出動による刺激策は7月に承認されるとみられます。

2020年6月28日 老舗のシェール企業が破綻

シェール企業のチェサピークが破綻

 2020年6月28日、アメリカシェール開発大手のチェサピーク・エナジーが連邦破産法11条の適用を申請しました。

ここ数年で経営破綻したアメリカの石油・ガス開発企業の中では最大規模となります。

オクラホマ州に本社を置くシェールガス開発の草分け的存在でしたが、多額の債務と新型コロナウイルスによるエネルギー市場の混乱で経営が悪化していました。

この会社は20年以上前にオーブリー・マクレンドン氏が創業した会社です。

同氏は2013年に退任し、現在のCEOダグ・ローラー氏が就任していましたが、その時点で130億ドルの負債がありました。

ローラー氏はリストラを進めましたが、今年に入ってからの原油相場の大幅下落で経営が悪化し、資金繰りに行き詰まったようです。

今回の経営破綻は、原油価格の急落で既に収益が悪化している大手エネルギーサービス会社やパイプライン運営会社に追い打ちを加えることになるかもしれません。

【最新】原油・資源関連ニュースのまとめ

2020年6月26日 アメリカ株式市場、再び2%超の下落

アメリカ株が再び2%超下落

2020年6月26日、アメリカ株式市場は、主要3指数が2%を超える下落となりました。

一部の州で感染拡大抑制策が再度導入されたことや、米中関係の悪化の可能性を示唆する報道があったこと等が嫌気され、リスク選好度が下がったようです。

マーケットの急落・急騰についてのまとめ

2020年6月25日 トルコ、フィリピン、メキシコで金融政策決定会合

トルコ、政策金利を予想外に8.25%据え置き

2020年6月25日、トルコ中央銀行は主要な政策金利の1週間物レポ金利を年8.25%で据え置くと決めました。

据え置きは10会合ぶりで、据え置きはウイサル総裁が昨年7月に就任して以降で初めてとなります。

2019年7月から9会合連続で利下げしていました。

足元のインフレ率(年11%)を大きく下回り、実質金利はすでにマイナスであるため、据え置きは当然といえば当然ですがトルコの場合はそんな簡単に語れるものではありません。

市場は総じて利下げを予想しており、発表後に通貨リラは上昇しました。

トルコの金融政策の経緯とまとめ

フィリピン、予想外の大幅利下げで政策金利は2.25%

2020年6月25日、フィリピン中央銀行は金融政策委員会で政策金利(翌日物借入金利)を年0.5%引き下げ、過去最低の2.25%に改めると決めました。

利下げは4会合連続となります。

2022年までのインフレ率が政府目標の2~4%の下限近くで推移するとの見通しも利下げ判断を後押ししたようです。

予想を上回る大幅利下げで、30年余りで最悪のマイナス成長に直面する経済を支える狙いがあります。

市場関係者の予想の大勢は据え置き、または利下げしたとしても0.25%の幅でした。

フィリピンの金融政策の経緯とまとめ

メキシコ、0.5%の利下げ

2020年6月25日、メキシコ中央銀行は金融政策決定会合で、政策金利を0.50%引き下げ、5.00%にすることを、全会一致で決定しました。

市場の予想通りの結果です。

背景

  1. 経済の余剰(スラック)の急拡大が、経済成長の下押しリスクを著しく高めていること、
  2. スラックの拡大と世界的な物価の下押し圧力がインフレ率の下振れリスクとなること

などを指摘しています。

今回の会合後の声明において、緩和サイクルの打ち止めは言及されませんでした。

2013年以降、利下げを見送る直前の会合では、次回会合で利下げを行わないことを必ず示唆してきた点を考慮すると、緩和サイクルは継続となる公算が大きいとみられます

【最新】メキシコの金融政策についてのまとめと経緯

IMF、日米株高を実態と乖離と指摘

2020年6月25日、IMFが25日公表した報告書で、日米などの株価上昇に対して「実体経済と乖離(かいり)しており、割高感がある」と警戒感を示しました。

主要中央銀行が金融緩和で6兆ドル規模の資産購入に踏み切り、投資家が過大にリスクをとっている可能性を指摘したものです。

IMFは企業の収益力や配当余力などを基に株価水準を分析し、割安か割高かを0~100で数値化しました。

このモデルでは4~6月期の日米の株式市場はそろって100近辺となり、株価が大幅に割高との分析結果となったようです。

これまつまり、新型コロナウイルスの感染拡大が一段と広範囲に及び、ロックダウンが再導入されたり、通商面での緊張が再び高まったりすれば、株式などのリスク資産が新たな暴落に見舞われる可能性がある、という事を言っているわけです。

具体的には、

  • 現在想定されている以上の景気後退の長期化および深刻化、
  • 新型コロナの感染第2波、
  • 封じ込め措置の再開、
  • 通商面での緊張再燃、
  • 経済格差の拡大に伴う世界的な社会不安の広がり

等が投資家心理を損なう可能性があり、これがきっかけで株価の大幅安の可能性があるとしました。

IMF、OECD経済・景気関連レポートに関するまとめ

2020年6月24日 IMFが世界経済見通しを修正

IMF、世界経済見通しを下方修正

2020年6月24日、IMFは世界経済見通しを再び大幅に下方修正しました。

2020年の成長率をマイナス4.9%と予測し、4月時点から1.9ポイントさらに下方修正しました。

以下、ポイントです。

  1. 新型コロナウイルスによって世界的に景気後退に陥り、経済損失は2年間で12.5兆ドルと試算
  2. 基本シナリオでは2021年のGDP成長率は5.4%成長を見込むものの、同年初めに感染第2波が発生すればマイナス4.9%に
  3. 公的債務も第2次世界大戦時の水準を超える可能性
  4. 2020年のアメリカのGDP予想は、前回の5.9%減から8%減に下方修正。来年は4.5%増を予想。
  5. ユーロ圏は今年が10.2%減、来年が6%増と見込む。
  6. 日本の今年のGDP予想は5.2%減から5.8%減に下方修正。
  7. 先進国のGDPは、前回の6.1%減から8%減に引き下げ
  8. 新興国と発展途上国は1%減から3%減に下方修正。
  9. 中国は1%のプラス成長を維持
IMF、OECD経済・景気関連レポートに関するまとめ

NYダウが710ドル安

2020年6月24日のアメリカ株式市場でダウ平均は3営業日ぶりに反落し、前日比710ドル16セント(2.7%)安の2万5445ドル94セントで終えました。

NYダウ 、S&P500 、ナスダック総合の主要3指数がそれぞれ2%を超える下落となりました。

背景

  • IMFが 、2020年の世界経済の成長率見通しを4月発表のマイナス3%から 、今回はマイナス4.9%に下方修正したこと。
  • アメリカが欧州各国からの輸入品に対し追加関税を検討していると発表があったこと。
  • 一部の州では 、 新型コロナウイルスの新規感染者や入院患者の増加が加速していること。

NYダウについては幅広い銘柄が売られ、下げ幅は800ドルを超える場面もありました。

マーケットの急落・急騰についてのまとめ

2020年6月23日 世界の貿易量、最悪のシナリオは回避?

世界の貿易量、過去最大の落ち込みながらも最悪のシナリオは回避

2020年6月23日、WTOは新型コロナウイルスの影響で2020年は世界のモノの貿易量が過去最大の規模で落ち込むとした上で、最悪のシナリオは避けられるとの見方を示しました。

WTOは4月、2020年にモノの貿易量が13ー32%減り、2021年には21ー24%持ち直すという試算を公表しました。

【最新状況】各国の統計・データのまとめ【最新状況】各国の統計・データのまとめ

2020年6月22日 米中貿易摩擦のコメントでマーケット動揺

米中貿易摩擦に関するナバロ氏発言でマーケットが動揺

2020年6月22日、米中貿易交渉に関するナバロ米大統領補佐官の発言が金融マーケットを大きく揺らしました。

ナバロ氏のインタビューでの発言についてトレーダーらは、1月の第1段階の米中貿易合意が「無くなった」と受け止めてしまい、リスク資産が急落して安全資産が急上昇しました。

その後ナバロ氏が、今回の発言は文脈から「大きく」外れて捉えられたと釈明し、トランプ大統領も合意が破棄されたとの事実は一切ないとツイートしたことから、一連の市場の動きは逆回転しました。

【最新】米中対立・貿易摩擦の経緯とまとめ

2020年6月19日 アルゼンチン、5度目の債務交渉延期

アルゼンチン政府、5度目の延期を発表

2020年6月19日、アルゼンチン政府は同日を期限とする債務交渉を7月24日まで延期すると発表しました。

延期はこれで5回目です。

既報の通り、詰めの段階でアルゼンチン政府が譲歩する姿勢を見せない中、国債を保有する民間債権者が交渉からの離脱を示唆するなど、波乱含みの展開となっています。

前回に延期を発表した6月12日時点では交渉は最終段階に入っていると見られていましたが、一転して厳しい情勢になっています。

ブラックロックやフィデリティなどで構成する債権者団は、政府を非難する声明を発表し、交渉を打ち切って裁判に進むことも示唆しています。

アルゼンチンの通貨危機、財政危機の経緯とまとめ(2018年~)

2020年6月18日 インドネシアが0.25%の利下げ

インドネシア、0.25%の利下げ

2020年6月18日、インドネシア中央銀行は政策金利を4.5%から4.25%に引き下げました。

利下げは3月以来、3カ月ぶりとなります。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け停滞する経済を下支えする目的です。

同中銀は2月と3月に連続で金利を0.25%ずつ引き下げたものの、通貨ルピアが外資引き上げもあって急落したことなどから、4月と5月は金利を4.5%に据え置いていました。

ペリー氏は18日の記者会見で利下げに関し

「金融緩和を続け、経済を安定させる」

と強調しました。

インドネシアの金融政策のまとめ2019年4月~

2020年6月17日 ブラジルが0.75%の利下げ

ブラジルが0.75%の利下げ

2020年6月17日、ブラジル中央銀行は政策金利を0.75%引き下げ、過去最低の年2.25%としました。

新型コロナウイルスの感染拡大で経済の苦境が続く中、金融政策で景気を刺激します。

0.75%の下げ幅は前回会合に続く水準で、利下げは8会合連続です。歴史的に高金利国のブラジルとしては過去に例のない低金利となります。

中銀は声明で

「普通ではない、強い金融刺激策が推奨される」

と今回の利下げの目的を説明しました。

また、中央銀行は景気支援に向けた追加緩和策の余地が幾分あると指摘し、今年のインフレ率が目標を大幅に下回る水準で推移し、来年も目標を下回る見通しであることを踏まえて、今後数カ月に追加緩和を実施する可能性を示唆しました。

中央銀行は2020年、2021年のインフレ見通しを、それぞれ2.0%、3.2%としています。一方で、中銀のインフレ誘導目標(中央値)は、2020年が4.00%、2021年が3.75%と、インフレ見通しを大幅に上回っています。

【最新】ブラジルの政策金利と金融政策の推移とまとめ2018~

アルゼンチンの債務再編交渉、一転厳しい情勢か?

2020年6月17日、アルゼンチン政府はこれ以上譲歩しない意向を示しました。

これに対し主要債権者団体は、交渉は失敗したとの認識を示しました。

同国政府は約650億ドルの対外債務について債権者と再編交渉を進めています。

交渉は進展しているものの、双方ともまだ作業が残されていると主張し、様々な債権者団体が政府に対案を示している状況です。

交渉を進めるために債権者と合意した秘密保持契約の更新を見送っています。

債務再編交渉の期限は今月19日に設定されています。

アルゼンチンの通貨危機、財政危機の経緯とまとめ(2018年~)

年後半に石油需要は若干回復も引き続き厳しい状況

2020年6月17日、OPECは2020年7~12月の世界の石油需要は前年同期に比べ日量640万バレルの減少にとどまるとの見通しを発表しました。

1~6月は新型コロナウイルスの世界的な流行で前年比で日量1190万バレル落ち込みました。

OPECは今年下期に石油需要は徐々に回復するとしながらも、今年は供給過多が解消されないとの見方を示しました。

新型コロナウイルスによる景気悪化が継続していることが理由です。

【最新】原油・資源関連ニュースのまとめ

2020年6月16日 日経平均が1000円以上上昇

日経平均、1051円高

2020年6月16日、日経平均株価が前日比1051円高の2万2582円となりました。

上げ幅が1000円を超えるのは3月25日以来です。

背景

アメリカの積極的な金融政策や財政政策への期待が高まった事が背景にあります。

新型コロナウイルスの感染第2波に対する警戒感と、各国の政策期待との間でボラティリティが大きくなっています。

6月16日の日経平均は、前日にFRBが社債の流通市場で買い入れ対象を拡大したことを受け、上昇して始まりました。

さらに午後に入り、アメリカ政権が巨額のインフラ投資を計画しているとの報道や、日銀が企業への資金繰り支援を拡充するといった報道があった事から上げ幅を拡大しました。

マーケットの急落・急騰についてのまとめ

大多数のファンドマネージャーは現在の株式相場を「いきすぎ」と評価

2020年6月16日、バンク・オブ・アメリカが公表したファンドマネージャー対象の月次調査によると、98%の投資家が株式相場について過大評価されているとみているようです。

株式相場は3月の安値から記録的なペースで持ち直しています。

各国が大規模な金融・財政政策を導入し、またロックダウンも徐々に緩和される中、株式相場も3月の底値から約40%も持ち直しました。

ただバンク・オブ・アメリカは、新型コロナ感染の第2波が最大のテールリスクであると投資家がみているとして、最近の強気相場は不安定だと指摘しています。

油断禁物といった所でしょう。

先進国・その他の状況

2020年6月15日 イギリスとEU、決裂を回避

イギリスとEU、決裂回避を優先

2020年6月15日、イギリスとEUの首脳は15日に会談し将来関係を巡る交渉の6月末の決裂を回避しました。

2020年末に終わる移行期間については、共同声明に「延長しないというイギリスの決定を留意する」と少し分かりにくい表現で、とりあえず決裂を回避しました。

元々6月の交渉決裂が懸念されていたのは、

  1. イギリスの海域でのEU漁船の漁業権の扱いなど一部の分野で結論を出す期限になっていたこと
  2. 現在の移行期間を延長するかどうかの判断期限が6月末で、同期間の延長を嫌っていたジョンソン首相が、6月に進展がなければ交渉決裂も辞さない姿勢を示していたこと

等があります。

FTAなど交渉の山場は10月のEU首脳会議に持ち越されましたが、進展は乏しかったようです。

とにかく決裂を回避しましたが、FTAを結べず経済が混乱するリスクは高まっています。

イギリスのジョンソン首相は会談後、EUと通商協定で合意できる可能性は極めて十分にあると述べつつ、7月以降にまで交渉を長引かせることはできないと発言しました。

一方、ミシェルEU大統領は、拙速な判断はEUに出来ないとくぎを刺し、公平な競争条件の確保はいかなる合意にも不可欠だと強調し、ジョンソン首相とは違ってより強い懸念を示しています。

【最新】BREXIT(ブレグジット)の影響の経緯とまとめ

FRB、個別企業の社債購入枠を拡大

2020年6月15日、FRBは流通市場で社債を購入する制度「Secondary Market
Corporate Credit Facility」を通じ、社債の買い取りを始めることを明らかにしました。

この制度は、2020年3月23日に導入が発表されており、もともと流通市場における社債および社債ETFの購入を目的としていました。

ただ、これまで実際に購入されたのは社債ETFでした。

今回、この機能が拡張され、より幅広い銘柄の社債を購入する方針が示された、というものです。

アメリカの金融政策の経緯とまとめ

中国の鉱工業生産、2か月連続でプラスも予想より回復は遅れる

2020年6月15日、5月の主要経済指標が発表され、鉱工業生産は前年同月比4.4%増と2カ月連続でプラスとなりました。

4月の3.9%増から伸び率が拡大しました。

ただ、市場予想ほどの伸びとはなりませんでした。

小売売上高や固定資産投資は引き続き減少しており、新型コロナウイルス危機から経済が思うように回復していないことを示唆しています。

目立ったのは、

  • 自動車が19.0%増
  • コンピューターが22.3%増

といった所でしょうか。

経済活動が新型コロナ危機前の水準に戻るには何カ月もかかるとの見方が優勢です。

【最新】中国の統計・データに関するまとめ

2020年6月13日 IMFが見通しを下方修正

IMF、世界での感染拡大で見通しを下方修正

新型コロナウイルス感染者数が主に新興国で拡大していますが、IMFはこれを受けて世界経済見通しを下方修正するとの予想を示しました。

IMFのゲオルギエワ専務理事が13日行った演説で示しました。

IMF、OECD経済・景気関連レポートに関するまとめ

2020年6月12日 アルゼンチン債務再編交渉、4度目の延期

アルゼンチン債務再編交渉、4度目の延期も交渉は大詰め?

2020年6月12日、アルゼンチン政府は同日を期限としていた債務交渉の期限を19日まで延期すると発表しました。

交渉期限の延期はこれで4回目となります。

国債を保有する民間債権者との交渉は最終段階に入っているとみられますが、なお細部で隔たりがあるようで、合意できなかったようです。

債権者団側も延長に合意しているとみられます。

これを受け、アルゼンチン国債価格は平均0.9%上昇し、主要株価指数も4%を超す上昇となりました。

アルゼンチンの通貨危機、財政危機の経緯とまとめ(2018年~)

イギリスとEU、9月まで集中交渉

2020年6月12日、イギリス政府とEUは、FTAなど将来関係を巡る交渉を6月から9月にかけて集中的に実施すると発表しました。

イギリスは従来、6月までに交渉が進展しなければ同月中に決裂を判断する可能性を示唆していました。

6月とされていた交渉の山場は後ろにずれることになりそうです。

集中交渉の決定に合わせてイギリス政府は、EU加盟国とほぼ同様に扱われる「移行期間」の延長を拒否する方針も正式に通知しました。

【最新】BREXIT(ブレグジット)の影響の経緯とまとめ

2020年6月11日 第二波を警戒

NYダウが急落、第二波を警戒

2020年6月11日、アメリカ株式市場でダウ工業株30種平均が一時1900ドルを超えて下落しました。

最終的にはNYダウは前日比1,861ドル安(-6.9%)、ナスダック総合指数も前日比5%を超える下落となりました。

NYダウの下げ幅は終値ベースでも過去4番目の大きさでした。

アメリカでは新型コロナウイルスの感染第2波が現実味を帯びてきています。

投資家もいったんリスク回避に動いています。

恐怖指数と称されるVIX指数は、40台まで上昇しており、3月11日アメリカ政府が欧州からの渡航制限措置を発表した頃の水準となっています。

マーケットの急落・急騰についてのまとめ

日経平均が652円の下落

2020年6月11日の日経平均は大幅に反落しました。

前日海外時間にダウとS&P500が続落したことや106円台まで円高が進んだことなどが嫌気されたようです。

朝方の売りが一巡した後はマイナス圏で一進一退の動きとなりましたが、後場になると短期筋による仕掛け的な売りが強まったのか、下げ幅が拡大しました。

2020年6月10日 FRB、2022年末まで金融緩和維持

FRB、2022年末までゼロ金利を維持

2020年6月10日、FRBはFOMCで2022年末までゼロ金利政策を維持する長期の金融緩和方針を表明しました。

事実上のゼロ金利政策を維持しました。

また、3月に再開した量的緩和政策は、これまで購入枠を「必要とされる量」と明示してきませんでしたが、米国債は月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)も同400億ドルを当面の目安とします。

足元では一日あたり40億ドルの米国債を買い入れており、購入ペースをほぼ維持する、という事です。

また、大規模な資産購入に関して下限を設けたほか、少なくとも2022年まで政策金利をゼロ付近で維持するとの見通しも示しました。

アメリカの金融政策の経緯とまとめ

アメリカの最長景気、終了

10年8カ月に及んだアメリカ景気最長の拡大局面は、新型コロナウイルスのパンデミックで終了しそうです。

戦後12回目の後退局面に入り、アメリカ当局もコロナ禍がもたらす危機を克服すべく、財政・金融両面で政策を総動員します。

今回の危機対応は大規模な財政出動を伴っており、回復シナリオでも財政の役割が高いのが特徴です。

急激な財政悪化は、将来の米金利の上昇リスクやドルの不安定化など、大きなリスクを内包しています。

政策当局のかじ取りには細心の注意が求められそうです。

先進国・その他の状況

2020年6月9日 金の下落シナリオ

世界的に株価が急回復

2020年6月に入って世界的な株価回復が起きています。

例えば2020年6月8日、日経平均株価は3カ月半ぶりに2万3000円台を回復しました。

実体経済の回復軌道が「U字」や「L字」と予想されるなかで株価は「V字」回復しています。

過去にない規模の財政出動と金融政策によって楽観的な姿勢が強まっています。

一方で感染の第2波が激しかったり、政策の限界が意識されたりすると、二番底懸念が出てくるかもしれません。

先進国・その他の状況

EIA、原油関連の見通しを数多く修正

2020年6月9日、EIA(アメリカエネルギー情報局)は最新の月報を公表し、今年6月と7月の原油需要見通しを上方修正するとともに、供給見通しを下方修正しました。

需要は従前の想定よりも経済活動の再開が早いこと、供給はOPECプラスの協調減産の効果を再評価したこと、などが影響しています。

その結果、前月の月報では7月から需要超過に転じる見通しだったが、最新の月報では6月から需要超過に転じる見通しに前倒しされました。

また、原油の在庫については、前月ではOECD加盟国の商業用原油在庫は6月をピークに7月から減少に転じる見通しになっていましたが、最新の月報では5月をピークに6月から減少に転じる見通しに修正されました。

ただ、原油価格はすでにこうした在庫減少を見込んで上昇してきましたので、このデータが更なる原油価格上昇にはつながらなさそうです。

更に、原油ETFへの資金流入が急増してきた分、今後はこれらの利益確定売りを一旦こなす必要があるので、この点からも原油価格の上値は重くなりやすそうです

【最新】原油・資源関連ニュースのまとめ

金の下落シナリオ

金の強気見通しは多いですが、一方で下落する場合のシナリオはどういったものでしょうか。

昨年から続くここ最近の金価格の上昇は、主にETFへの資金流入と投機筋による先物買いだったと言われています。

しかし、年初から投機筋は買いポジションを縮小させているようですので残るETFへの流入がポイントとなりそうです。

また、注目されているのがトルコ中央銀行の動向のようです。

実はトルコ中銀の金保有額は金ETF残高の2割超に相当する規模となっているのです。

トルコ中銀は通貨安を抑制するために外貨を取り崩してきたわけですが、それももうじき底をつくかもしれないレベルになっており、いよいよ金を手放さなくてはならない状況が近づいているようです。

同行が売却に動けば市場への影響が懸念されます。

金の動き、金相場についてのまとめ

2020年6月8日 ナスダックが最高値更新

ナスダックが最高値更新

2020年6月8日、アメリカ株式市場は続伸し、ナスダック総合は終値で過去最高値を更新しました。

相場は新型コロナウイルスの打撃で3月23日に付けた安値から戻し、強気相場入りしたことが示されました。

ダウ工業株30種とS&P総合500も急伸し、S&P500は年初来でプラスに転じました。

先進国・その他の状況

世界銀行、世界の経済成長を▲5.2%と予想

2020年6月8日、世界銀行は新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年の世界経済の成長率がマイナス5.2%に落ち込むとの予測を公表しました。

1月時点の予測から7.7ポイントも引き下げ、「第2次世界大戦後で最悪の景気後退」となります。

2021年は4.2%のプラス成長に戻ると分析していますが、景気見通しのさらなる引き下げも言及しました。

IMF、OECD経済・景気関連レポートに関するまとめ

インド、ロックダウンを徐々に解除

2020年6月8日、インド政府は都市封鎖の段階的な解除を始めました。

まず飲食店やショッピングモールなどを再開し、落ち込んだ個人消費の回復につなげる狙いです。

ただ、インドでは都市封鎖したにもかかわらず感染拡大に歯止めがかかっておらず、解除によって感染ペースがさらに勢いづく恐れもあり、要注意です。

解除は3段階で進める予定です。

第1段階では宗教施設も認めています。

第2段階で学校の再開を認める予定です。

第3段階で飛行機の国際線や映画館といった利用者が密集するサービスを認める予定ですが、感染状況を見ながら再開時期を判断する事になりそうです。

インドの経済・財政政策のまとめ

2020年6月6日 OPECプラス、減産延長

OPECプラス、減産期間を延長も結束の難しさを表す

2020年6月6日、OPECプラスは会合を開き、6月末まで予定していた協調減産を7月末まで継続することで合意しました。

当初の合意では7月から徐々に減産幅を緩める計画でした。

今回は期間の延長を決定しましたが、OPECプラスの国々には減産合意に違反する国への不満や、市場の現状を巡る立場の違いも浮き彫りになり、長期の協力継続の難しさも示しました。

金ETFへの資金流入止まらず

金のETFへの資金流入が高水準を維持しています。

世界の金ETFが価値の裏付けとして保有する金現物の残高は1~5月に計623トン増加し、金額にして337億ドルの資金が流入したようです。

5カ月間の流入量は、これまで最高だったリーマン危機後の2009年の年間量(591トン)を上回っています。

膨らむ流入資金が金の国際価格を7年半ぶりの高値に押し上げています。

金の動き、金相場についてのまとめ

2020年6月5日 雇用統計が予想が良い強い

雇用統計が強く、ダウは800ドル強上昇

2020年6月5日のアメリカ株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸し、前日比829ドル16セント高の2万7110ドル98セントで終えました。

同日発表の5月の米雇用統計が予想外に改善し、米景気が回復に向かっているとの見方が強まったためです。

景気敏感株を中心に幅広い銘柄が買われましたが、過熱感も指摘されており、今後の状況は予断を許しません。

マーケットの急落・急騰についてのまとめ

原油先物が5%上昇

2020年6月5日、原油先物価格は5%を超えて上昇しました。

6月5日発表された5月の米雇用統計で予想外に非農業部門雇用者数が増加したことや、産油国が減産延長について協議するため6日に会合を開くことなどを受けて上昇したものです。

北海ブレント先物LCOc1は2.31ドル(5.8%)高の1バレル=42.30ドルとなり、週間では19.2%上げました。

WTI先物CLc1は2.14ドル(5.7%)高の39.55ドルで週間では10.7%上昇しました。

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5月の雇用統計は予想以上に強い

2020年6月5日発表された5月の雇用統計は、失業率が13.3%となり、戦後最悪だった4月(14.7%)から一転して改善しました。

市場は20%程度の失業率を見込むなど、4月よりももっと悪い数字を予想していましたが、それよりもかなり良い数字となりました。

新型コロナウイルス感染拡大が引き起こした景気低迷から、想定より早く景気が回復しつつあることが示唆されています。

景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数も、前月比250万人増加しました。

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引き続きイギリスとEUの交渉では進展なし

 2020年6月5日の報道によれば、イギリスとEU間で今秋開かれていた自由貿易協定に関する協議について、ほとんど進展なく終わったという事です。

ただ、事態の打開に向けて交渉を継続することでは一致しており、6月中の首脳級会合の開催に向けて調整に入るようです。

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2020年6月4日 ECB,債券購入枠を拡大

ECBが債券購入枠を拡大

ECB は6月4日の理事会で資金供給策の強化など追加金融緩和を決定しました。

定例理事会では、

  1. 主要政策金利を0.00%に維持
  2. 預金ファシリティ金利(金融機関がECBに預け入れる準備額の金利)を-0.5%に維持
  3. 資金供給策として先に設定された「パンデミック緊急買入プログラムを6,000億ユーロ増額し、1兆
    3,500億ユーロにする
  4. 当該プログラムの期限を6カ月延長し、少なくとも2021年6月末までプログラムを継続すること

等を決定しました。

背景

新型コロナウイルスの悪影響による経済の急速な収縮とそれに伴う物価見通しの低下が挙げられます。

ECBの経済・物価見通しでは、2020年のGDP成長率が▲8.7%と、前回3月見通し(+0.8%)から大幅に下方修正されました。また、物価見通しは2022年でさえ、インフレ目標である2%近くの水準に届かない予想です。

こうした事から現在の金融緩和プログラムをもっと延長しないとまずいとなったのでしょう。

先進国・その他の状況

サウジとロシアが減産期間延長の協議

OPECプラスは近く開く会合で、大幅な協調減産の延長を協議するようです。

サウジアラビアとロシアが6月4日までに、現行の減産を7月以降、少なくとも1カ月続けることで暫定合意したようです。

新型コロナウイルスの感染拡大で原油需要の回復が遅れていることが背景です。

サウジ、クウェート、アラブ首長国連邦は自主的に合計日量118万バレルの減産を実施していますが、3カ国はこの自主的な減産を継続する意向を持っていないことを明らかにしています。

一部産油国がルールを順守していないとして、会合が延期になるかもしれないとの報道がありましたが、そちらの協議はどうなっているか、よく分かっていません。

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2020年6月3日 シェール企業が一部盛り返す

OPECプラス会合が延期の可能性

OPECプラスの会合開催が延期になるかもしれません。

一部の国が減産規模をごまかしているとして、OPECプラスで中心的なサウジアラビアとロシアが厳しい姿勢を示した為です。

サウジとロシアはOPECプラス参加各国に対し、イラクやナイジェリアなど一部の国が割り当てられた減産の実行を確約しない場合、6月上旬に予定されていた協調減産の延長に関する会合は実現しない可能性があると通告しました。

現在の合意内容に変更がなければ、OPECプラスは7月から協調減産の緩和を始める事となります。

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ISM非製造業は大幅に持ち直し

ISMが発表した5月の非製造業総合景況指数は、前月から持ち直しました。

非製造業総合景況指数は3.6ポイント上昇し45.4となりました。

約2年ぶりの大幅上昇です。

シェール企業が一部復活?

 原油価格が安値から回復する中、アメリカのシェール企業が復活をし始めています。

シェール生産者は価格動向に応じて素早く生産を調整することが可能です。

減産延長を検討するOPECにとっては悩みの種になるかもしれません。

アメリカ産油業者は供給過剰や新型コロナウイルスの影響による需要落ち込みを受けて4月と5月にかけて大幅な減産を行っていました。

2020年6月2日 アルゼンチンが債務交渉期限を延長

アルゼンチンが債務交渉期限を再延期

アルゼンチン政府は1日、2日を期限としていた債務交渉の期限を12日に再延期すると発表しました。

報道によれば、政府側と債権者側の双方が返済条件で歩み寄る姿勢をみせているようです。

アルゼンチン政府も債権者団と最終合意に近づいているとの見解を示しました。

アルゼンチン政府は当初3年間としていた支払い猶予期間を2年間に短縮するなど、譲歩する姿勢を示しているとされています。

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世界銀行、5年で新興国等のGDPが11%減と分析

2020年6月2日、世界銀行は新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化で、新興国と発展途上国のGDPが5年間で最大11%マイナスになる可能性があると発表しました。

報告書によれば、新型コロナは平時に起きた世界経済への打撃としては過去100年で最も深刻と指摘しています。

貿易やサプライチェーンの障害、観光客減少、石油など商品の相場下落を通じ、新興国と途上国の経済を直撃したと分析しています。

IMF、OECD経済・景気関連レポートに関するまとめ

2020年6月1日 ISM製造業、4か月ぶりの上昇

ISM製造業、低位安定

2020年6月1日にISMが発表した5月の製造業総合景況指数は4カ月ぶりの上昇となりました。

新型コロナウイルスで活動に急ブレーキがかかっていた製造業ですが、低位で安定しつつある兆しかもしれません。

5月の製造業景気指数は43.1と、2009年4月以来11年ぶりの低水準を付けた4月の41.5から上昇しました。

【最新状況】各国の統計・データのまとめ【最新状況】各国の統計・データのまとめ

アメリカのGDP、10年間で800兆円超のGDP押し下げ効果

2020年6月1日、アメリカ議会予算局は新型コロナウイルスによる景気悪化で、2030年までのGDPが11年間の累積で当初予測比7.9兆ドル下振れするとの試算を公表しました。

これは累積GDPの3%分に相当するレベルです。

アメリカのGDPは20年に戦後最大のマイナス成長が予測されていますが、10年かけても傷痕を完全に穴埋めできないというわけです。

予算局は5月19日に、新型コロナの影響を織り込んだ経済見通しを公表し、20年の成長率をマイナス5.6%と予測しています。

1月時点の予測では20年がプラス2.2%としており、2019年の実績GDPは約21兆ドルでした。

先進国・その他の状況

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