この記事ではフィリピンの金融政策に的を絞って記述していきます。
フィリピン株式やフィリピンペソへの投資を検討している方にとって同国の金融政策や中央銀行の動きを知る一つのツールとしてお使い下さい。
時系列で上から最新の情報をアップしていきます。
2024年10月
追加利下げ
フィリピン中銀は、中銀総裁の事前発言通り、0.25%の追加利下げを⾏いました。
フィリピン中央銀行は10月16日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を0.25%引き下げ年6.0%にすると決めました。
利下げは8月の前回会合に続き、2回連続となりました。
食料品価格を中心にインフレに歯止めがかかり、12月の会合でも利下げを続ける可能性があります。
2024年8月
4年ぶりの利下げ
フィリピン中央銀行は8月15日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を0.25%引き下げ年6.25%にすると決めました。
利下げは新型コロナウイルス禍だった2020年11月以来となります。
【直近10年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
足元でインフレ率は中銀の目標を上回るものの、緩やかに低下すると判断したようです。
2024年6月
金利据え置き
フィリピン中央銀行は6月27日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を年6.5%で据え置くと決めました。
これによって据え置きは6会合連続となります。
総裁は物価上昇率が目標に近づいていることを指摘し、8月に開く次回会合での利下げを示唆しました。
2024年4月
金利据え置き
フィリピン中央銀行は4月8日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を年6.5%で据え置きました。
据え置きは4会合連続となります。
物価上昇率は政府が目標とする2〜4%の範囲に収まっているものの、食料価格の高騰や公共料金の値上げなど物価の高止まりに警戒感を示しています。
【直近10年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
2023年12月
予想通り金利据え置き
フィリピン中銀は12月14日、市場予想通り政策金利を6.50%に据え置きました。
ただ、2024年のインフレ見通しを引き下げており、利上げは打ち止めになったと考えるマーケット関係者が多いようです。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
2023年11月
金利据え置き
フィリピン中銀は、政策金利を6.50%に据え置きました。
10月26日の緊急利上げ後初の会合のため、一部でどうなるか予想が分かれましたが、最終的には据え置きとなりました。
中銀は必要に応じて金融引き締めを再開する用意があるとコメントしていますが、インフレ懸念はやや後退したと考えられます。
2023年10月
0.25%の緊急利上げ
フィリピン中央銀行は10月26日、政策金利である翌日物借入金利を0.25%引き上げ、年6.5%にすると発表しました。
翌27日から実施します。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
背景は、インフレ率が再上昇の兆しを見せる中、先手を打ったということと、インドネシアの利上げ、米国長期金利上昇やドル高の影響、などがありそうです。
2023年9月
政策金利は据え置き
フィリピン中央銀行は9月21日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を年6.25%で据え置くと発表しました。
据え置きは4会合連続となります。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
背景としては消費者物価指数)が低下傾向にあるという事ですが、物価高の再来を警戒する姿勢も忘れていません。
8月のCPI上昇率は5.3%で、1月に8.7%を付けて以降は減少傾向が続いており、インフレ率は政府目標(2〜4%)に近づいています。
2023年8月
政策金利を維持
フィリピン中央銀行は8月17日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を年6.25%で据え置くと発表しました。
据え置きは3会合連続です。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
急激に上昇してきた消費者物価指数が低下してきたことが背景にあります。
2023年6月
次期総裁にレモロナ氏
次期中央銀行総裁に現在中銀の金融政策委員を務めるエリ・レモロナ氏が就任します。
国際決済銀行(BIS)でアジア・太平洋地域のトップを務めたほか、FRBにも勤務した経験を持つ人材です。
高騰を続けてきた物価の安定などを主導します。
政策金利据え置き
フィリピン中央銀行は6月22日、政策金利を2会合連続で据え置きました。
インフレ鈍化が続いていることと、通貨ペソの売り圧力が和らいでいることも要因です。
総合インフレ率は4カ月連続で低下しており、年内に中銀目標の2-4%に戻ると予想されています。
2023年5月
金利据え置き
フィリピン中央銀行は5月18日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を年6.25%で据え置きました。
これまでは物価高抑制に向けて2022年7月の緊急会合を含め9会合連続で利上げしていましたが、インフレ率が落ち着きを見せており、約1年ぶりに利上げを見送りました。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
2023年3月
0.25%の利上げ
フィリピン中央銀行は3月23日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を0.25%引き上げ、年6.25%にしました。
利上げは2022年7月の緊急会合を含め9会合連続となりますが、引き続きインフレ率が高止まっており、物価高の抑制につなげる狙いがあります。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
2023年2月
政策金利を0.5%引き上げ
フィリピン中央銀行は2月16日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を0.5%引き上げ、年6%にしました。
利上げは2022年7月の緊急会合を含め8会合連続となります。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
CPI上昇率の高止まりが継続しており、物価高の抑制につなげます。
2022年12月
政策金利を5.5%に引き上げ
フィリピン中央銀行は12月15日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を0.5%引き上げ、年5.5%に改めると発表しました。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
利上げは7月の緊急会合を含め7会合連続となっていますが、高止まりが続く消費者物価指数(CPI)を抑える狙いがあります。
ただ、今回は米FRBに歩を併せて利上げ幅を50bpに縮小させています。
先行きの政策運営を巡っては追加利上げに含みを持たせていますが、利上げ幅の縮小を示唆しているほか、同行のメダリャ総裁はターミナルレートの明言を避けるなど難しい対応が続く可能性があります。
2022年11月
0.75%の利上げ
フィリピン中央銀行は11月17日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を0.75%引き上げ、年5.0%に改めると発表しました。
利上げは7月の緊急会合を含め6会合連続で、政策金利が5%に高まるのは2009年3月以来となります。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
足下のフィリピン経済は国内外で不透明要因が高まっているにも拘らず、堅調に推移してコロナ禍の影響を克服する動きがみられています。
ただし、商品高は生活必需品を中心とするインフレを招いている上、景気回復の動きや金融市場でのペソ安の動きも一段のインフレ昂進に繋がっており、これらを抑える狙いです。
2022年9月
5会合連続で利上げ
フィリピン中銀は9月22日に開催した定例会合において、政策金利を5会合連続で引き上げて4.25%としました。
FRBなど主要国中銀のタカ派傾斜から資金流出によるペソ安に直面するなか、商品高によるインフレ昂進も重なり、中銀は5月以降断続的な利上げを迫られてきました。
【過去5年から直近までの政策金利の推移(出所:TradingView)】
ただ、足下ではペソ相場は最安値を更新するなど一段と厳しい状況に直面しており、中銀は一段の金融引き締めに動くとともに、物価抑制へ追加対応に含みを持たせています。
2022年8月
0.5%の利上げで3.75%へ
フィリピン中央銀行は18日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物借入金利を0.5%引き上げ、年3.75%にすると発表しました。
物価高やドル高ペソ安の抑制につなげる狙いがあります。
【過去5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
©Trading View
今回の利上げはある程度予想通りであったため、マーケットに大きな変化はありませんでした。
今後は、足元の商品市況の調整を受け、利上げ幅は縮小される可能性が高いと見られます。
【発表前後のUSD-PHPの推移(出所:TradingView)】
©Trading View
5月以降で計1.75%と急ピッチで利上げを実施しています。
2022年7月
緊急利上げはもうないと言明
フィリピン中央銀行のメダラ総裁は7月26日、緊急利上げを再び実施する可能性を排除し、次回8月18日の定例会合ではインフレ抑制に向けた利上げの幅が75bps未満になることを示唆しました。
中銀の政策金利である翌日物借入金利は現在3.25%です。
5月と6月の定例会合で25bpずつ利上げした後、7月の緊急会合で75bpの利上げを実施していました。
総裁は今後の政策は引き続きデータに左右されると述べ、経済は利上げを吸収できると改めて強調しました。
緊急利上げ
フィリピン中央銀行は7月14日、政策金利である翌日物借入金利を0.75%引き上げ、年3.25%にすると発表しました。
高水準のインフレを抑えるため、8月の金融政策決定会合を待たずに緊急で利上げを決定しました。
フィリピンでは6月のインフレ率が6.1%と5月の5.4%からさらに上昇しており、利上げによって食品やエネルギー価格の上昇を抑える狙いがあります。
また、通貨フィリピンペソも1ドル=56ペソ台と史上最安値圏にあり、米国との金利差を少しでも縮めることで、進行するドル高ペソ安の抑制にもつなげる思惑です。
同行では先月末にメダリャ新総裁が就任したわけですが、物価及び為替の安定を重視する姿勢を示した格好です。
今後も追加利上げを迫られる可能性は高く、同国経済には物価高と金利高の共存が景気の重石になるでしょう。
【直近半年程度のフィリピン総合指数の推移(出所:TradingView)】
©
株価はここ半年下がり調子です。この状態で利上げとなると、株価上昇へはもう少し時間がかかるかもしれません。
【直近半年のUSD-PHPの推移(出所:TradingView)】
©Trading View
【直近半年のPHP-JPYの推移(出所:TradingView)】
©Trading View
対ドルではペソ安が進んでいますが、対円ではペソ高となっているので、日本の投資家からするとペソ安の影響はなさそうです。
2022年6月
追加利上げを決定
フィリピン中央銀行は6月23日、追加利上げを決めました。
インフレ加速と通貨ペソ下落を受け、2会合連続での利上げです。
指標の政策金利は0.25ポイント引き上げられ2.5%となりましたが、これはほぼ事前の予想通りです。
中銀はインフレへの懸念を強める⼀⽅で、2022年の実質GDP成⻑率⾒通しは7-8%に据え置いており、景気にはそれなりの自信を持っていると思われます。
こうした堅調な景気回復は株式市場を⽀えると予想されます。
なお、ジョクノ総裁に代わって次期総裁に就任するフェリペ・メダラ氏は6月20日、インフレを抑制するため、年内に一連の利上げを実施する方針を示しています。
来年も利上げを継続する可能性があるとしているものの、緩和策の巻き戻しは段階的に行うのが望ましいとの見解を示しました。
2022年5月
他に追随して利上げ
フィリピン中央銀行は19日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物借入金利を年2.0%から2.25%に引き上げることを決めました。
利上げは2018年11月以来、3年半ぶりです。
インフレ率が高水準にあることに対応した動きです。
新型コロナウイルスの感染者数減少で経済活動が活発になったことも金融政策の正常化を後押ししています。
中銀総裁が13日に、利上げの条件となる「持続的で安定した経済回復」が確認されたとの見方を示し、利上げ観測が強まっていました。
株式市場は、中銀の好調な経済見通しが支えとなり、利上げへの反応は限定的でした。
【2020年中盤から直近までの政策金利の推移(出所:TradingView)】
©Trading View
2022年3月
金利を据え置き
フィリピン中銀は24日の金融政策を決定する会合で、政策金利を過去最低水準の2%に据え置くことを決定しました。
11会合連続で据え置きです。
政府の対策が足元のインフレ懸念を和らげることに寄与するとし、安定した経済回復を優先しました。
中銀は物価動向について、国際商品市況の上昇を反映して今年はインフレ目標を上回る(+4.3%)とする一方、来年もインフレ期待は上昇しているものの、目標の範囲内に収まるとの見通しを示しています。
性急な利上げに踏み込む必要がないことは、株式市場にポジティブと言えます。
2022年2月
政策金利を据え置き
フィリピン中銀は、17⽇に開いた⾦融政策決定委員会で、政策⾦利を過去最低⽔準の2.00%に据え置きました。
景気⾒通しについては、前回よりやや明るい内容でありながら、利上げは今後の景気状況次第と様⼦⾒姿勢を継続しました。
⾦融政策正常化を急がない姿勢が株式市場の上昇につながりました。
2022年1月
今年上期の利上げの予定なし
フィリピン中央銀行のジョクノ総裁は1月11日、今年上期(1-6月)に利上げを実施する可能性は低いとの認識を示しました。
景気回復が定着し、失業率が低下するのを待っているためだという事です。
2021年のインフレ高進にもかかわらず、フィリピンの主要政策金利は1年余りにわたって過去最低の2%に据え置かれています。
潤沢な外貨準備と管理可能な政府債務が、世界的な金融環境引き締まりの影響をある程度和らげているとジョクノ総裁は分析しました。
2021年12月
政策金利を据え置き
フィリピンの中央銀行は16日、政策金利の据え置きを発表しました。
フィリピン中央銀行は16日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物借入金利を過去最低水準の年2%で据え置くと決めました。
東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大が落ち着く中で、勢いを得つつある景気回復を下支えします。
据え置きは9会合連続となりました。
インフレ率は政府目標を上回っていますが、経済の先行きの不透明感は強いことから利上げを見送りました。
11月のインフレ率は4.2%で、1月以降は政府のインフレ目標(2~4%)を上回る状態が続いています。
同日に政策金利据え置きを発表したインドネシアは通貨安圧力の強まりを懸念し、利上げ開始のための地ならしが行われた一方で、フィリピンでは景気への下押し圧力が強まる可能性に着目
し、低金利環境の長期化期待を強めました。
2021年11月
政策金利を据え置きもインフレも意識
フィリピン中央銀行は18日、政策金利の翌日物リバースレポ金利を過去最低の2.00%に据え置きました。
来年のインフレリスクに言及したものの、制御可能な状況との認識で、持続的な経済回復に向け支援し続けます。
据え置きは8会合連続となり、予想通りの結果です。
翌日物預金金利と翌日物貸出金利も、それぞれ1.5%と2.5%に据え置きました。
中銀は、持続的回復を確実にするため政策支援を優先する方針を示す一方、インフレに対するリスクを意識しており、二次的影響には対処する用意があるとしています。
2021年9月
コロナの影響もあり、政策金利を据え置き
フィリピン中央銀行は23日、政策金利の翌日物リバースレポ金利を予想通り過去最低の2.0%に据え置きました。
インフレ圧力が高まっているものの、新型コロナウイルス流行の余波を受けている経済の支援を優先します。
据え置きは7会合連続となりますがほぼ想定通りです。
翌日物預金金利と翌日物貸出金利も、それぞれ1.5%と2.5%に据え置きました。
ジョクノ中銀総裁は、インフレ圧力はまだ制御可能で、成長の見通しが不確実なことから現行の金融政策は適切と説明しました。
因みに、インフレ率は中銀の目標レンジ(2ー4%)を上回っている状況です。
総裁は、回復できるか否かはより機動的な政策措置にかかっていると述べました。
フィリピン経済は、7月から9月半ばまで続いた厳格なロックダウンのため、また見通しが不透明になっています。
政府は8月、2021年の成長率目標を6.0ー7.0%から4.0ー5.0%に引き下げものの、これも依然不透明な状況です。
2021年8月
景気への懸念あるものの、金利据え置き
12日開催の金融政策決定委員会では、金利据え置きであったものの、景気の下振れリスクへの言及がなされるなど、ハト派のスタンスが強まりました。
政策金利である翌日物借入金利を過去最低水準の年2%で据え置きです。
据え置きは6会合連続です。
インフレ率は引き続き高い状況で、景気への懸念は強いものの、さらなる利下げは見送りました。
2021年6月
金利据え置き
フィリピン中央銀行は24日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物借入金利を過去最低水準の年2%で据え置くと決めました。
据え置きは5会合連続です。
経済活動は低調だがインフレ率が政府目標を上回る水準が続いており、利下げは見送りました。
5月のインフレ率は4.5%で、1月以降4%以上の上昇が続いています。
食品などの価格が高騰しており、政府のインフレ目標(2~4%)の上限を上回って推移している状況です。
フィリピン中銀の予想では世界的な原油価格の高騰などの影響を受けて、2021年のインフレ率は4%になるとしています。
フィリピン経済はまだ停滞している状況です。
新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて移動や行動を制限したことが影響しています。
ジョクノ総裁も新型コロナのワクチン接種計画を加速させて市場の信頼感と経済回復を後押しするとコメントしています。
また、副総裁も景気回復が一段と弱い可能性への備えとして、追加利下げの余地があると発言したことも注目されました。
追加利下げも視野
フィリピン中央銀行のジョクノ総裁は、年2%で据え置いている政策金利について、さらなる利下げも視野に入れていると語りました。
新型コロナウイルスの感染拡大で、同国の経済成長は低調です。
景気回復にはワクチンの接種ペースを速めることが不可欠だとして、政府の接種計画に期待を寄せました。
2021年3月
政策金利据え置き
フィリピン中央銀行は3月25日、政策金利の翌日物リバースレポ金利を予想通り2.0%に据え置きました。
物価は上昇傾向にあるものの、国内経済は新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う行動規制で打撃を受けており、緩和的な政策を維持しました。
据え置きはこれで3回連続です。
翌日物預金金利と翌日物貸出金利も、それぞれ1.5%、2.5%に据え置きました。
2021年2月
政策金利2%で据え置き
フィリピン中央銀行は2月11日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を過去最低水準の年2.0%で据え置きました。
据え置きは2会合連続となります。
食品価格の上昇で1月のインフレ率が2年ぶりの高い水準となり、景気刺激のための利下げを見送りました。
1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比4.2%上昇し、政府のインフレ目標(2~4%)の上限を超えており、、利下げ余地は乏しくなっていました。
2020年11月
予想外の利下げで政策金利は過去最低の2.0%
2020年11月19日、フィリピン中央銀行は大方の予想に反して主要政策金利の翌日物リバースレポ金利を2.25%から過去最低の2.0%に引き下げました。
一連の台風による被害や新型コロナウイルスの感染拡大により経済への圧力が高まっています。
利下げは今年5回目で、翌日物預金金利も1.5%へ、翌日物貸出金利は2.5%へそれぞれ引き下げました。
マーケット関係者の大半はこれまでの緩和の効果を見極めるために現状を維持するとみていたため、予想外の展開です。
フィリピン中銀の今年の利下げ幅は合わせて200bpとなりました。
中銀は物価見通しについて、国内の活動が鈍いことから2022年まで目標とする2ー4%の範囲にとどまると予想しています。
中銀は今年のインフレ率予想を2.3%から2.4%へ引き上げる一方、2021年は2.8%から2.7%へ引き下げました。
2022年も3%から2.9%へ下方修正しました。
2020年10月
金利は据え置き
2020年10月1日、金融政策決定委員会が開かれ 、予想通りに政策金利が据え置かれました 。
インフレ見通しが下方修正され 、 緩和的な金融政策の長期化を後押しました。
また、政府が中銀に要請していた5400 億ペソ(GDP 比2.9%)の財政支援は決定しました。
財政ファイナンスに踏み切るわけです。
足下の金融市場では世界的なカネ余りも重なりペソ相場は堅調ですが、外出制限長期化に伴う景気の不透明感は株価の重石となっています。
このまま双子の赤字を抱えるなかでの財政支援を受けて、当面の金融市場は不安定な展開が続くかもしれません。
2020年8月
5会合ぶりの金利据え置き
2020年8月20日、フィリピン中央銀行は金融政策決定委員会で政策金利の翌日物借入金利を年2.25%で据え置くと決めました。
今年に入り累計で1.75%利下げしており、5会合ぶりに据え置きました。
新型コロナウイルスの影響で停滞した経済活動が再開しつつあることから、追加の緩和は見送りました。
ジョクノ総裁はオンライン会見で金利を据え置いた理由について、
- コロナ対策のための都市封鎖が緩和され、経済活動に回復の兆しが見られること
- インフレ率が政府目標(2~4%)の下限近くで推移していること
を挙げました。
フィリピンはコロナ禍による景気悪化を受け、結果、中央銀行は4会合連続で利下げを実施しました。
現在の金利は過去最低の水準にあります。
中銀は2020年のインフレ率見通しを2.3%から2.6%へ、2021年は2.6%から3%へ引き上げました。
依然として目標とする2-4%の範囲にとどまっています。
中銀はまた、不動産融資の規制を緩和し、金融機関の総融資残高に占める上限を20%から25%に引き上げると発表しました。
これで1兆2千億ペソ(約2兆6千億円)の流動性が増えるという事です。
フィリピンの4~6月期の経済成長率は前年同期比16.5%減の大幅なマイナスでした。
今回の政策で不動産市場を活性化し、低迷する経済の底上げにつなげる狙いがあるようです。
2020年6月
予想外の大幅利下げで政策金利は2.25%
2020年6月25日、フィリピン中央銀行は金融政策委員会で政策金利(翌日物借入金利)を年0.5%引き下げ、過去最低の2.25%に改めると決めました。
利下げは4会合連続となります。
2022年までのインフレ率が政府目標の2~4%の下限近くで推移するとの見通しも利下げ判断を後押ししたようです。
通貨ペソが堅調なことを背景に、予想を上回る大幅利下げで、30年余りで最悪のマイナス成長に直面する経済を支える狙いがあるのだと思われます。
市場関係者の予想の大勢は据え置き、または利下げしたとしても0.25%の幅でした。
今後の金融政策
今回の会合後に公表された声明文では、先行きの物価や経済について、
- 基本シナリオでは2022 年までインフレ目標の下限近傍で推移
- 新型肺炎の感染拡大による国内・外景気への悪影響に伴う下振れリスクを警戒
- フィリピン経済についても新型肺炎感染対策の影響で減速感を強めている
- 仮に経済活動が再開されても景気動向は不均衡な状況が続く
- 経済活動の強化や金融環境の下支えを図ることが重要
としました。
ジョクノ総裁、次回会合での金利据え置きを示唆
ジョクノ総裁は6月月初、次回の金融政策決定会合において、金利据え置きを示唆するコメントをしました。
同総裁はコロナウイルス感染拡大による経済への負の影響を警戒すると同時に、プラスの実質金利(≒名目金利-インフレ率)が望ましいと述べました。
フィリピンの5月の消費者物価指数は前年同月比で2.1%と前年同月の3.2%から低下しており、フィリピンの実質金利はゼロに近づいている状況です。
足元のインフレ率の低下は過去の原油価格下落の影響が大きいとも考えられますが、原油価格は既に底打ちが見られます。
つまり、実質金利をプラスにする為にはこれ以上の利下げはあったとしても小幅にとどまる事が予想されます。
2020年4月
更なる利下げに含み
2020年4月24日、中央銀行のジョグノ総裁は緊急会見をし、更なる金融緩和を示唆しました。
同総裁はインフレ率が目標を下回る可能性に言及した上で、引き続き十分な政策余地があるとの認識を示しました。
今後も一段の金融緩和の可能性を示唆したものと受け止められています。
0.5%の緊急利下げ
2020年4月16日、フィリピン中央銀行は臨時の金融政策委員会を開き、政策金利の翌日物借入金利を0.5%下げて2.75%にすると発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で経済の大幅減速が避けられず、異例の緊急利下げで経済を下支えする姿勢を明確にしました。
12日に中銀総裁が利下げする用意があるとコメントしてから4日後の利下げとなりました。
中央銀行総裁、追加利下げの用意があるとコメント
2020年4月12日、フィリピン中央銀行のジョクノ総裁は今般の景気低迷への対応として、3%を下回る水準に政策金利を引き下げる用意があることを明らかにしました。
総裁は
「政策金利が3.0%だった2018年に戻るだけでは十分ではない。大幅な景気減速が予想されることから、より大規模な利下げが必要だ」
とコメントしました。
仮に3%は過去最低の金利水準です。
2020年3月
0.5%の利下げで政策金利は3.25%
2020年3月19日、フィリピン中央銀行は政策金利の翌日物リバースレポ金利を50bp引き下げ、3.25%としました。
今回の利下げは市場予想(0.25%)を上回る大幅な利下げでした。
これで2018年の利上げ局面以降で、5度目の利下げとなります。
中銀のジョクノ総裁は、銀行への流動性供給や融資拡大に向けた一連の対策も発表し、中央銀行としてコロナ対策に積極的な姿勢を内外にアピールしました。
中銀は、預金準備率の引き下げやターム物預金ファシリティー入札の停止など、景気支援のために「金融政策手段を総動員」する用意があると表明していました。
中銀は、今年のインフレ率予測を3.0%から2.2%に修正すると共に、今年と来年の目標レンジは2-4%となっています。
来年のインフレ率予測も2.9%から2.4%に修正しました。
2020年2月
0.25%利下げして3.75%に
2020年2月6日、フィリピン中央銀行は政策金利である翌日物借入金利を年4.0%から3.75%に引き下げました。
利下げは3会合ぶりです。
新型コロナウイルスによる肺炎の感染が中国を中心に拡大しており、経済成長を押し下げる可能性があるとして、金融緩和で景気を下支えする意図でしょう。
経済成長を下支えするため、さらに金融政策を緩和する用意があるとも表明しています。
ジョクノ総裁は
「新型肺炎の影響で経済活動や市場心理が冷え込む可能性があり、観光業や出稼ぎ労働者からの海外送金が影響を受けて2020年のGDPが0.3%押し下げられるだろう」
との趣旨のコメントをしています。
2019年11月
年内の利下げはない?
フィリピン中央銀行は、年内の利下げに否定的な見解を示していますが、2019年11月7日のGDPの発表で、その可能性がより高くなったようです。
フィリピンの2019年第三四半期のGDPは内容が良いわけではありませんが、3四半期ぶりの6%台回復などから、まずは様子見という事になりそうです。
フィリピン中央銀行は、これまで金融緩和を立て続けに行ってきた事もあり、年内の利下げはあまりなさそうです。
2019年9月
預金準備率を1ポイント引き下げる
2019年9月27日、フィリピン中央銀行は27日、市中銀行の預金準備率を1ポイント引き下げました。
この前日には利下げを実施しているので、中銀の積極的な緩和策が示された形です。
今回の措置で大手銀行の預金準備率は11月上旬から15%となる予定です。
政策金利を0.25%引き下げて4.0%に
2019年9月26日、フィリピン中央銀行は0.25ポイントの利下げを実施し、政策金利を4.0%としました。
インフレ圧力が抑られている中で、金融緩和を継続するとの姿勢を継続しました。
この利上げはほぼ予想通りの結果でした。
東南アジア各国では19日のインドネシアも利下げしており、米中貿易戦争の長期化で景気の先行きに不透明感が増す中、金融緩和でテコ入れを急ぐ国が増えています。
2019年8月
0.25%の利下げを決定
2019年8月8日、フィリピン中央銀行は政策金利を0.25ポイント下げて4.25%としました。
経済成長とインフレが鈍化したことを受け、金融緩和を再開した形ですが、元々0.5%ほど利下げするのではないかという声もありましたので、そこからは小さめの利下げとなりました。
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ただ、インフレ見通しに照らせばまだ引き下げ余地がある、として追加の利下げも示唆しています。
フィリピン中銀は5月に0.25%利下げしていましたが、6月は金利を据え置いていました。
年内に0.5%程度の利下げを想定
2019年8月5日、フィリピン中央銀行のジョグノ総裁は、年内に0.5ポイント程度の政策金利引き下げを想定しており、そのタイミングは今後発表される経済統計次第だと述べました。
ジョグノ総裁は、インフレ統計やGDP、米中貿易摩擦の状況を注視して最終的な判断を行うと述べています。
2019年6月
政策金利は4.5%で据え置き
2019年6月20日、中央銀行は金融政策委員会を開き、政策金利である翌日物借入金利を4.5%に据え置くことを決めました。
据え置きは2会合ぶりとなります。
5月末の中央銀行総裁のインタビューでも追加利下げの発言があったりしたので、市場の一部では利下げを予想していましたが、見送りました。
2019年5月
中銀総裁、追加利下げも視野に
フィリピン中央銀行のジョクノ総裁は、5月30日のメディアのインタビューで、金利水準はまだ高いとして追加利下げの可能性を示唆しました。
既に物価上昇が政府目標の2~4%の範囲に収まって落ち着いたと説明し、経済成長率の伸び悩みに対応する構えをみせました。
預金準備率引き下げで景気刺激狙う
2019年5月16日、フィリピン中央銀行が市中銀行の預金残高から強制的に預かる比率を示す預金準備率を現在の18%から16%に引き下げると発表しました。
この措置によって1900億ペソ(約4千億円)の流動性が供給されるとしていて、経済を刺激する狙いがあります。
長らくフィリピンは預金準備率を20%の高い水準に設定していましたが、2017年に中期的に1桁台に引き下げる方針を表明し、2018年前半に2回引き下げ18%としていました。
その後、物価上昇を受けて政策金利を引き上げたため、預金準備率は据え置かれていました。
フィリピン中央銀行が利下げし4.5%に、成長鈍化で
2019年5月9日、フィリピン中央銀行は政策金利である翌日物借入金利を.25ポイント引き下げ4.5%としました。インフレと経済成長の鈍化に対応した形です。
今回の利下げはマーケットが完全に予想したものではありませんでした。
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