このブログは、
- 相場に左右されずに
- 気長に忍耐強く
新興国投資をする人たちのための情報提供ブログです。
特に、
- これから新興国へ投資をしたい人で基本的な情報を網羅的に学びたい人、
- 既に投資をしているが大きな含み損を抱えていて一旦冷静に状況を再確認したい方
を想定しています。
筆者はバリュー平均法なる方法で新興国に投資をしている個人投資家です。既にそうした方法で投資をして5年くらいです。
ずっと投資し続けています。
ここでは、新興国投資をする際にとても役立つ、IMFやOECD、ILO経済レポートを時系列にまとめ直すことで、世界経済の流れやトレンドを包括的に理解できるように記事を作っていきます。
基本的には全て時系列で上から順に新しいものが来るようにしています。
これまでの過去の経緯については以下をご覧ください。
kindle unlimitedで無料でご覧いただけます。
国際機関の経済レポートの振り返り: IMF、世界銀行、ADB、ILOなどの経済見通しを振り返る 新興国への投資 | invstem | 国際ビジネス | Kindleストア | Amazon
2025年1月
世界の経済成長は3.3%
IMFは1月17日、世界経済見通しを公表しました。
2025年は3.3%成長を見込んでいます。
先進国で「1強」の米経済がさらに底堅さを増したため、24年10月に公表した前回見通しから0.1ポイント引き上げています。
ドル高と今後予想される関税などの政策変更がもたらす負の影響に警鐘を鳴らしています。
2024年12月
世界経済は来年3.3%成長
OECDは12月4日、2025年の世界の実質成長率を3.3%とする予測を公表しました。
9月時点から0.1ポイント引き上げています。
世界全体でインフレ率の低下が民間消費の伸びを支えるとみています。
国別では25年に2.4%成長と前回から0.8ポイント引き上げた米国の好調さが目立っています。これは、金融政策の緩和やAIの活用によって生産量が拡大するとみていることが背景です。
2024年10月
IMF、米一強が続く
IMFは10月22日、四半期に1度の世界経済見通しを公表しました。
2025年は24年と同じ3.2%成長を見込んでいます。
景気のソフトランディングという基本シナリオを維持しつつ、米欧と中国が関税引き上げを応酬する事態となれば世界経済が失速しかねないと指摘しています。
2024年7月
IMF、世界経済の成長は維持
IMFは7月16日、世界経済見通しを更新しました。
2024年を3.2%成長とした4月の前回予測を維持しています。
不景気にならずに高インフレを鎮圧する軟着陸シナリオを維持していますが、実際には物価抑制には遅れが出ています。
失速を避けたほどよい低成長を維持できるかが引き続き焦点と言えそうです。
4月の見通しと比べ、主要国では日本と米国が下方修正になりました。
2024年4月
IMFが経済見通しを公表
IMFは4月16日、四半期に1度の経済見通しを公表しました。
米国は上方修正され、また新興国の一部も上方修正されました。世界的な中央銀行の金融引き締め姿勢にもかかわらず、短期的には景気の底堅さを示しています。
ただ、中長期的に成長が鈍ると予測し、背景に生産性の伸び悩みがあるとしています。
その主な要因として、全要素生産性の低下と米中の対立による世界の「分断」が挙げられます。
短期的には好調な米国のけん引で、2024年の世界経済は前回の予測より0.1ポイント高い3.2%成長になると上方修正しています。
ADB、最新成長予測を公表
ADBは4月11日にアジア新興国・地域の成長率見通しを公表しました。
中国の景気減速を地域全体の懸念材料に挙げました。
中国は不動産市況の低迷を受けて設備投資が伸び悩み、2025年にかけて成長率が鈍化すると見込んでいます。
消費が堅調な東南アジアやインドと明暗が分かれる形です。
2024年2月
OECD、成長予想は上方修正
OECDは2月5日発表した経済見通しで2024年の世界経済の成長率を2.9%と予測しました。
2023年11月の前回見通しから0.2ポイント引き上げた数値となります。
世界のインフレ率が想定以上に早く低下したとして、2024年前半の利下げを見込む米国の成長率を上方修正したのが主因です。
IMF、中国のレポートを公表
IMFは2月2日、中国経済の年次報告を発表しました。
現在問題となっている不動産開発企業の整理・再編などの対応が遅れれば、2024~25年の実質経済成長率が4%を割り込む恐れがあると予測しました。
都市に住む世帯の増加ペースなどが鈍り、新築住宅を買う需要が今後10年で35~55%減ると試算しています。
2024年1月
IMF、世界経済が軟着陸に道筋
IMFは1月30日、四半期に1度の経済見通しを公表しました。
2024年の世界の実質経済成長率を前年並みの3.1%とし、23年10月の前回予測から0.2ポイント引き上げました。
各国のインフレが予想よりも着実に減速している中、世界経済は軟着陸が視野に入ってきたと強調しています。
なお、先進国全体の成長率見通しは、2024年が上方修正、2025年は据え置かれました。
2023年12月
ADB、アジアの成長予測を上方修正
ADBは12月13日、2023年のアジア新興国・地域のGDPについて、前年比の伸び率が4.9%になるとの見通しを発表しました。
9月に公表した前回予想から0.2ポイント上方修正しました。
物価高が緩和し、内需が堅調で観光業なども活発であることを考慮したようです。
世界のGDP、経済分断で下振れ懸念
IMF高官は12月11日、ウクライナでの紛争と米中間の緊張を踏まえ、マイナス成長になるとの予想を発表しました。
世界経済の分断化と基調的な二国間貿易の明らかな変化が「新たな冷戦」を引き起こす可能性があると警告しました。
2023年10月
IMF、世界の経済成長見通しを下方修正
IMFは10月10日、四半期に1度の経済見通しを公表しました。
中国やユーロ圏の減速を反映し、2024年の世界の実質経済成長率を2.9%としました。
7月の予測から0.1ポイントの下方修正となります。
一方で、インフレ見通しを引き上げ、各国・地域の中央銀行に物価圧力の緩和が持続的になるまで、引き締め的な政策を堅持するよう促しています。
世界貿易の低迷など低成長の影が色濃くなっており、IMFは5年後の成長率も3%前後にとどまると予測しています。
先進国全体の成長率見通しは、2023年、2024年ともに据え置かれました。
新興国全体の成長率見通しは、2023年が4.0%と据え置き、2024年が4.0%と0.1%ポイント下方修正されました。
2023年9月
OECD、世界の成長が鈍っていると分析
OECDは9月19日、世界経済が鈍化に向かっているとの見方を示しました。
世界各国・地域の中央銀行が利上げを続け、新型コロナウイルス禍から回復していた中国経済が勢いを失っていることをその理由としてあげています。
IMF、世界の債務残高が238%であったと発表
IMFは9月13日、2022年の世界の債務残高は対GDP比で238%となったことを発表しました。
2年連続で低下しました。
ちなみに、2021年は248%、2020年は258%でした。
2022年と2021年が低下したのは、経済成長が堅調だった事と高いインフレ率がその要因です。
ただ、新型コロナウイルスによって膨れ上がった債務を全て帳消しにしているかというと、そういうわけではなく、債務比率は2019年の229%を大きく上回っている状況です。
OECD加盟国の物価上昇率は5.9%
9月5日に発表されたOECDにおける7月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比で5.9%でした。
前月である2023年6月の5.7%から加速したことになります。
背景としては、食品とエネルギー以外での加速が強まったためです。
2023年7月
IMF、世界経済見通しを発表
IMFは7月25日に世界経済見通しを発表しました。
2023年の成長率を3.0%と、前回見通し(2023年4月)から0.2%ポイント上方修正しました。
ただ、この成長率は2000~2019年までの長期的な平均成長率(3.8%)を下回った水準です。先進国全体の成長率見通しだけ見ると、2023年が1.5%と0.2%ポイント上方修正されました。
来年の見通しについては概ね変更なしでした。
米経済がソフトランディングする可能性については、IMFもそうなると見込んでいるようです。
世界の経済成長率は3%
IMFのゲオルギエワ専務理事が7月11日に今後5年間の世界経済の成長率についてコメントしました。
今後5年間の世界経済の成長率は年率3%程度と、過去平均の3.8%程度を大幅に下回るとの見通しを示しました。
【直近15年の世界経済成長率の推移(出所:TradingView)】
2023年6月
OECDが世界の成長率を2.7%に小幅上昇
OECDは6月7日に世界経済見通しを更新し、2023年の世界経済の実質成長率を2.7%としました。
この水準は3月時点の予測から小幅に上昇した水準です。
世界銀行同様にゼロコロナ政策を解除した中国経済の回復を見込むとともに、エネルギー価格の上昇一服が成長を下支えするとみているようです。
世銀、世界の成長率を2.1%に上方修正
世界銀行は6月6日、2023年の世界の実質経済成長率を1月時点の1.7%から2.1%に上方修正しました。
ゼロコロナ政策を終えた中国の回復を見込んでいる一方で、米欧の急ピッチな金融引き締めを背景に2022年の3.1%から減速するシナリオは維持しています。
2023年4月
IMF、金融リスクはまだ残る
IMFは世界の金融システムに関するリスクが全て去ったと考えるのは時期尚早であると警告しました。
今回の銀行破綻に対する政策当局の強力な対応が投資家の不安を緩和しているものの、金融市場は引き続きリスクにさらされているとIMFが4月11日に発表した金融安定報告で分析しています。
IMF、世界経済見通しを発表
4月11日、IMFが新しい世界経済見通しを発表しました。
新しい世界経済見通しでは、各国の2023年実質GDP成長率見通しの半年前からの変更はまちまちとなりました。
フィリピンは1.0%上方修正されて+6.0%となり、強い内需が評価されました。
一方、外需減速の影響を受けやすいベトナムは0.4%pt下方修正されています。
ADBが中国の経済成長率を修正
ADBが4月4日発表した2023年の中国の実質経済成長率見通しは5.0%と、22年の3.0%を上回りました。
ゼロコロナ政策の終了で内需が持ち直すことをその理由としています。
他の地域も波及効果を期待していますが、インフレ懸念も根強く残っているようです。
2023年3月
OECDの世界経済成長予想、2.6%
OECDは3月17日に経済見通しを公表し、2023年の世界の実質成長率を2.6%としました。
中国の経済再開などを織り込み、前回22年11月の予測から0.4ポイント引き上げていますが、ウクライナ危機の長期化や金利上昇に伴う金融不安もリスクに挙げています。
2023年2月
IMF、東南アジアの成長率を下方修正
IMFが東南アジアの成長率を下方修正しました。
2022年に高成長が目立っていた東南アジアですが、景気減速の懸念が強まっています。
けん引役だった輸出の勢いが衰えている事が要因で、IMFは2023年、2024年の成長率を下方修正しています。
今後のポイントは中国の景気回復です。
2023年1月
IMFの世界経済見通し、若干悲観論が薄まる
IMFは1月30日、最新の世界経済見通しを発表しました。
2023年の成長率予測を2.9%と3カ月前より0.2ポイント引き上げています。
物価高が落ち着いたこと、中国経済の正常化への期待が背景にあります。
IMFは、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や、歴史的なインフレを抑制するための各国中央銀行の利上げが引き続き経済活動の重しとなるものの、経済の回復力が想定以上であったとして今後景気後退する事は想定していない記しました。
ただ、2024年は概ね前回から下方修正されています。これは、2023年を引き上げたことで2024年の成長率が自然に引き下げられた面がある一方で、来年における景気回復の材料が乏しいという事も要因でしょう。
IMF、世界経済に対して若干安堵
IMFのゲオルギエバ専務理事は1月20日、世界経済フォーラムの年次総会で、世界経済についてそこまで悪くないとの評価を表明しました。
中国がゼロコロナ政策を見直したことで成長率を押し上げる可能性が出てきたため、数カ月前に心配していたより悪くないとの認識を示しています。
先行きについては明言を避け、中立的だとしました。
世銀、成長見通しを引き下げ
世界銀行は1月10日、2023年の世界経済の実質成長率見通しを1.7%に引き下げたと公表しました。
半年前の前回見通しで示した3.0%から下方修正です。
世銀は高インフレと、各国の利上げが世界経済を景気後退に追いやるリスクがあるとしています。
まとめますと、
- 先進国は0.5%と前回見通しから1.7ポイント引き下げ
- 米国は0.5%、ユーロ圏は0%成長
- 新興国・途上国の成長率も23年は3.4%と0.8ポイントの下方修正
- 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中国は0.9ポイント引き下げて4.3%
といった感じです。
2022年12月
世銀、中国の成長予想を下方修正
世界銀行は、今年と来年の中国経済成長率予測を再び下方修正しました。
コロナウイルスのパンデミックの流行に伴うリスクや、ゼロコロナ政策の再来などによる、家庭や企業への活動に懸念を示しています。
国際機関、経済見通し悪化も中国景気は期待
IMFや世界銀行などの国際機関が、世界経済の見通し悪化に懸念を示す一方で、中国のゼロコロナ脱却に伴う景気回復が世界の成長を下支えする可能性も示唆しています。
IMF高官は12月9日、世界成長率の見通しを一段と下方修正する可能性に言及した一方で、中国の新型コロナウイルス対策の方針転換が中国と世界の経済にプラスになると述べました。
2022年11月
IMF、世界経済見通しは10月時点より悪化
IMFは、世界経済の見通しが10月の同基金の予測よりも悪化しているとの認識を示しました。
要因としては、ウクライナ危機とインフレ持続による下振れリスクがよりはっきりしたから、というものです。
主要国のPMIは数カ月一貫して悪化しており、10月の世界経済見通しよりも見通しは悪そうで、経済指標の悪化は今後の一段の難題を示しているとIMF高官が論じています。
2022年10月
アジアの成長率3.3%下押しも
IMFは10月28日に発表したリポートで、西側諸国と中国、ロシアなどとの経済の二極化が一段と進めば、アジア太平洋地域の経済成長率が3.3%失われる可能性があると指摘しました。
韓国やベトナムなど両陣営との貿易関係が深い国はより影響が大きいとして、世界の分断の進展に警鐘を鳴らしました。
米バイデン政権が半導体の先端技術を巡って中国への輸出規制を拡大し、ロシアのウクライナ侵攻以降、エネルギー分野でもロシアへの依存を減らすなど、世界で二極化の動きは加速しています。
IMFはハイテクやエネルギー分野でこうした二極化が進むと、世界の損失はGDPの1.2%、アジア太平洋地域ではGDPの1.5%に及ぶと分析しました。
さらに二極化の範囲が広がり、冷戦期並みの非関税障壁が導入されれば、損失は世界でGDPの1.5%分、アジア太平洋地域では3.3%分に拡大すると試算しました。
IMF、世界経済失速の予想
IMFは10月11日改定の世界経済見通しで2023年の成長率見通しを下方修正し、米国と欧州、中国の経済を「失速」と表現しました。
IMFのチーフエコノミストは、世界景気が今後さらに厳しい局面を迎えることを示唆しました。
背景として、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、インフレの長期化、中国の景気減速を指摘しています。
インフレ抑制への世界的な利上げで、翌年度の予測としてはリーマン危機の当初よりも悲観的で、世界はインフレへの懸念から、経済の落ち込みを警戒する局面に移ります。
IMFは23年の世界の実質成長率予測を2.7%と、前回7月から0.2ポイント下げました。
この時期に公表する翌年の見通しで3%割れを見込むのは2000年以降では初めてです。
この半年での下方修正の幅はリーマン危機時を上回っています。
新型コロナウイルス禍からの回復局面が暗転し、世界経済の3分の1が景気後退に陥ると見ています。
これ以外の細かい点としては、
- 米国は今年2Qと3Qの予想外のマイナス成長を考慮して2022年の見通しを引き下げ、金融引き締めの影響が見込まれる2023年は据え置き。
- ユーロ圏はエネルギー供給の制限による生産活動の鈍化により、下方修正。
- 日本は円安やエネルギー価格上昇を背景としたコスト増による消費圧迫を考慮し、下方修正されたものの小幅な修正。
- 新興国全体の成長率見通しは、2022年が3.7%と前回から0.1%ポイント上方修正、2023年が3.7%と▲0.2%ポイント下方修正。
- 中国はゼロコロナ政策による景気減速や不動産市場のリスクなどを受けて下方修正。
といった所です。
2022年9月
OECDが世界経済成長予想を下方修正
OECDは9月26日公表した経済見通しで、2023年の世界の実質成長率を2.2%としました。
ウクライナ危機で加速した物価高が長引くとみており、前回6月の予測を0.6ポイント下方修正しました。
2021年12月時点の見通しからの下振れ幅は1.0ポイントに拡大しています。
各国がインフレ対応で急ぐ利上げも重荷となり、世界景気の回復シナリオは軌道修正を迫られています。
国・地域別にみると、コロナ後の回復をけん引してきた先進国に急ブレーキがかかっているのがわかります。
成長率は米国が0.5%、ユーロ圏が0.3%に急減速しており、それぞれ3カ月前の予測から0.7ポイント、1.3ポイントの下方修正となりました。
日本は0.4ポイントの下振れで1.4%にとどまっています。
とりわけ深刻なのはドイツで、2.4ポイントの大幅な下方修正となり、成長率はマイナス0.7%に沈む見込みです。
主要なエネルギー源であるガスの供給をロシアに頼ってきたツケが大きいと言えそうです。
2022年7月
IMFの世界経済見通し
IMFは7月26日、世界経済の2022年の実質成長率見通しを3.2%に下方修正すると発表しました。
4月時点の前回見通しは3.6%でした。
歴史的なインフレとそれに対応する米欧の利上げ、中国のロックダウン(都市封鎖)が逆風となると指摘しています。
新型コロナウイルス禍から回復していた世界経済は急減速し、停滞感を強めています。
IMFは今回の予測で、インフレ状況が更に悪化した場合や、エネルギー供給が停止した場合のリスクシナリオを用意しています。
仮にリスクシナリオ通りとなれば、世界経済の成長率は22年と23年は各々0.6%、0.9%低下、22年が2.6%、23年が2.0%に落ち込むと指摘しています。
先進国全体の成長率見通しは、2022年が2.5%と前回から▲0.8%ポイント下方修正されました。
米国は物価上昇による家計購買力の低下や、金融引き締めの影響から、大幅に下方修正されています。
新興国全体の成長率見通しは、2022年が3.6%と前回から▲0.2%ポイント下方修正されました。
中国はゼロコロナ政策による予想を超えた景気減速などを受けて下方修正されました。
また、原油輸入国のインドも、エネルギー価格の高騰や中銀の金融引き締めを受け、下方修正されました。
一方で、資源価格の上昇から、ブラジルなど資源国では上方修正となっています。
IMF、経済見通しを大幅下方修正
IMFの高官が7月16日、世界経済成長率見通しを今月予定する見直しの際に「大幅に」下方修正すると述べました。
同高官は食品やエネルギーの価格高騰や新興国への資本フロー鈍化、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の持続、中国の景気減速で政策当局者の「困難さが大きく増した」と指摘し、「相次ぐ衝撃が世界経済に実際に打撃を与えている」と述べています。
IMF、世界的な債務危機を警戒
IMFのゲオルギエワ専務理事は、世界的な債務危機が醸成されつつあると警告を発しました。
中央銀行によるインフレ抑制を目指した利上げが、脆弱な国の債務返済コストを押し上げていると論じています。
ゲオルギエワ氏は7月12日、ウクライナでの戦争に加え、パンデミック後の金融環境の引き締まりで第3の衝撃が襲う可能性もあると述べています。
IMF、世界景気後退排除できないと認識
IMFのゲオルギエワ専務理事は7月6日、世界経済の見通しは4月以降著しく悪化したとし、リスクの高まりを踏まえると、来年に世界経済が景気後退入りする可能性は排除できないと述べました。
IMFは4月に公表した世界経済見通しで、2022年の世界経済の成長率予測を1月時点の予測から0.8%下方修正し3.6%としていました。
2021年の成長率は6.1%でした。
IMFは7月終盤に新たな見通しを公表する予定です。
2022年6月
IMF、アメリカの成長予想を下方修正
IMFは6月24日に公表した米経済政策の年次審査で、FRBの一段と積極的な利上げを背景に米成長率見通しを下方修正しました。
ただ米経済は、辛うじてリセッション(景気後退)入りは免れるとの見方を示しています。
IMFは2022年の米経済成長率見通しを2.9%とし、4月時点の3.7%から下方修正し、2023年は1.7%とし、2.3%から引き下げています。
さあらに2024年は0.8%に鈍化するとしました。
新型コロナウイルスのオミクロン変異株拡散と、ロシアによるウクライナ侵攻前の昨年10月時点では、2022年の米経済成長率は5.2%との見方を示していました。
OECDが最新の経済予想を発表
OECDは6月8日、加盟38カ国の最新の経済予想を発表しました。
今年の世界経済成長率を3%と予測し、12月時点の4.5%から大幅に下方修正しました。
2023年は2.8%と予想し、2021年12月時点の数値より0.4ポイントの下方修正です。
ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーや穀物の値上げなどが背景にあり、世界経済の減速要因となると見ています。
個人消費の物価上昇率が2022年、従来予想(21年12月時点)より4.3ポイント高い8.5%となるとも予想しています。
ただ、成長率の低下とインフレ率の上昇という見通しにもかかわらず、OECDは1970年代半ばのようなスタグフレーションのリスクは限定的と見ています。
特に、1970年代と比べてはるかにサービス部門主導となっている先進国経済は、当時ほどエネルギー集約型ではなく、失業を懸念する政府から独立した中央銀行もインフレ対策に一段と自由に取り組むことができるためです。
金融政策では各国の実情に応じ、異なる対応が必要だと指摘しています。
新型コロナ禍からの回復が進み、インフレ圧力が明確な米国やカナダなどは早期の正常化を求めた一方で、食料・エネルギーを除いたインフレ率が低く、賃金上昇圧力が緩やかで、ウクライナ侵攻の影響を強く受ける国々では、緩やかな緩和解除が適切だとの考えを示しました。
世界銀行、成長率予想を下方修正
世界銀行は6月7日公表した経済見通しで、2022年の世界経済の実質成長率を2.9%とし、前回1月時点から1.2ポイント下方修正しました。
新型コロナウイルス禍からの持ち直しで5.7%の高成長だった21年から減速します。
ロシアのウクライナ侵攻による混乱やインフレの長期化を反映しました。
2023年見通しも0.2ポイント低い3.0%としました。
2022年の見通しはウクライナ危機の影響が大きいユーロ圏が2.5%と1.7ポイントの大幅な下方修正になりました。
米国は2.5%、日本は1.7%とそれぞれ1.2ポイント下げています。
新興国全体は1.2ポイントの下方修正で3.4%となりました。
世銀のマルパス総裁は、低所得国が発電に使う天然ガスや肥料の不足に直面していて、多くの国で景気後退を避けるのが困難になっていると説明しました。
各国で歴史的水準に達したインフレ率は2023年には緩やかになるものの、多くの地域で物価目標を上回ると分析しました。
高止まりが続くと一部の新興国では金融危機が起きるリスクがあり、急激な世界的景気後退につながりかねないと警鐘を鳴らしています。
OECD発表のインフレ率、33年ぶりの高さ
OECDが6月2日発表した加盟38カ国の4月の消費者物価指数の上昇率が前年同月比で9.2%でした。
これは1988年9月以来、33年7カ月ぶりの高水準です。
上昇率は3月より0.4ポイント高く、食品とサービスの上昇が目立っています。
また、ロシアのウクライナ侵攻で先行きの不透明感も強まっていると言えます。
4月の国別は、加盟する主要国の上昇率が日本2.5%、米国8.3%、ドイツ7.4%となっており、非加盟国では中国2.1%、インド6.3%などでした。
2022年5月
IMF、世界経済は逆風だがバッファーも
IMFの高官は5月23日、 世界経済は逆風に直面しているものの、現在の成長予測に基づくと潜在的な世界不況に対するバッファーを有しているとの認識を示しました。
注意点として、ウクライナでの紛争がエスカレートする可能性を指摘したほか、インフレや中銀による金融引き締め、中国の成長鈍化を挙げました。
2022年4月
IMF、全世界で成長率を下方修正
IMFは4月19日改定した世界経済見通しで、2022年の実質成長率を3.6%と前回1月の予測から0.8ポイント下げました。
ロシア産エネルギーに対する追加制裁、戦争の拡大、予想を上回る中国経済の減速、新型コロナウイルスの再流行で、さらに景気が減速し、インフレが進行する可能性があるとも指摘し、物価上昇には社会不安を引き起こすリスクがあるとの見方を示しました。
インフレは多くの国にとって「今そこにある危機」とし、侵攻を受けて進行する見通しを示しています。
G7のうち今後2年間に物価上昇で最悪の衝撃に見舞われるのは英国と見ています。
IMFは今年と来年の両方について、英国の成長率予想を1月の前回予測に比べ約1ポイントずつ下方修正しました。高騰するインフレへの対処で金利が上昇し、生活費が高騰し投資が減速していることを理由に挙げています。
以下、ポイントです。
- 2022年の先進国の成長率は同+3.3%と0.6ポイントの下方修正。米国は0.3ポイントの下方修正。ユーロ圏では、ロシアからのエネルギー依存度が高いドイツが大きめの下方修正。
- 先進国の中で唯一経済見通しが上方修正された国はオーストラリア。コロナによる行動制限が解除される中で、経済再開の流れが続く見通し。
- 一方、新興・発展途上国も大きく下方修正。世界経済への影響が大きい中国が0.4ポイントの下方修正。こうした中、ブラジルは経済成長率は低いものの、0.5ポイントの上方修正。
- 新興国の、2021年と2022年の地域別成長率見通しを比較すると、もっとも悪影響を受けるのは東欧。東欧の21年の成長率は6.7%だが、22年にはマイナス2.9%にまで悪化すると見込まれ大幅に下方修正。
- 続く2023年は先進国の経済成長がさらに低下する一方、中国の成長が回復することで、世界経済の成長率は維持される見通し。
IMFは今回の見通しについて、①紛争はウクライナのみに限定、②各国のロシアへの経済制裁にエネルギー分野がほとんど含まれない、③新型コロナウイルスの影響が2022年中に軽減する、といった3点を前提とした、不確実性の高いものであると説明しています。
また、戦況の悪化とロシアへの制裁強化、ロックダウンが実施されている中国での景気減速、変異株の出現による感染再拡大など、下振れ余地の大きいリスクが世界経済を取り巻いていると指摘しました。
世界銀行、世界の成長を3.2%に下方修正
世界銀行のマルパス総裁は4月18日、2022年の世界経済の実質成長率見通しを3.2%に下方修正したと明らかにしました。
1月時点の前回予測では4.1%でした。
ロシアによるウクライナ侵攻などで資源・食料価格の高騰が一段と深刻になっていることが、コロナ禍からの回復途上にある世界経済に打撃となると見ています。
2022年3月
IMF、世界の成長率予想を下方修正
IMFはウクライナでの戦争を理由に2022年の世界成長率予想を下方修正する見通しです。
IMFはまた、リセッションに陥るリスクのある国が増加しているとみているようです。
ゲオルギエワ氏は3月22日に、2022年の世界経済はなお拡大が見込まれるとしつつ、成長率は従来予想の4.4%を下回るとの見通しを示しました。
IMFは4月に最新の世界成長率予想を公表する予定です。
2022年1月
IMF、アメリカの利上げでアジア新興国の回復が遅れることを懸念
IMF高官が、FRBの利上げによってアジアの新興国経済の回復が遅れ、資本流出リスクを巡る懸念が持続する可能性を指摘しています。
インフレ圧力の高まりや中国経済の減速、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大などもアジア太平洋地域の見通しを曇らせているとした上で、米国の金融政策正常化がアジアに大きなショックや大規模な資本流出をもたらすとは想定していないものの、アジア新興国の回復は世界的な金利上昇とレバレッジによって遅れる可能性を指摘しています。
IMF、世界の成長見通しを下方修正
IMFは25日に世界経済見通しを改定しました。
内容としては、
- 2022年の実質成長率は4.4%と、前回21年10月の予測から0.5ポイント引き下げ
- コロナ下で急回復した21年は前回予測と同じ5.9%と推定。IMF統計で遡れる1980年以降で最大の伸び。2023年の伸びは3.8%へとさらに鈍る。
- 高インフレが長引く米国と、新型コロナウイルスの封じ込めを優先する中国が下振れ
- 新たな変異型に警戒を示し、ウクライナや台湾を念頭に東欧や東アジアの地政学リスクにも言及
- 米国の成長率は4.0%と前回予測から1.2ポイント引き下げ。21年の5.6%から伸びが鈍る。
- アメリカの利上げについては、22年、23年にそれぞれ3回の利上げを想定し、23年は成長率が2.6%に減速すると予想。
- 中国は22年に4.8%を見込み、0.8ポイント下方修正。21年の8.1%から急減速。
- 日本の22年は3.3%と0.1ポイント引き上げ
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ユーロ圏の22年の経済成長率予測は0.4%引き下げ3.9%。2023年の予測は2.5%。
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ブラジルとメキシコについては、22年の経済成長率予測をともに1.2%下方修正し、それぞれ0.3%、2.8%。
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中南米の経済成長率予測は0.6%下方修正し2.4%。
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サプライチェーンの目詰まりが予想以上に幅広いインフレを引き起こしていると分析。先進国・地域の今年の平均インフレ率を3.9%と予測し、前回の2.3%から引き上げ。新興国・発展途上国については5.9%と予想。
米国を下方修正した主な要因として
- バイデン政権が掲げる大型歳出・歳入法案の先行きが不透明であること
- 金融正常化の前倒し(より早期の金融引締め)
- 想定以上に長期化したサプライチェーンの混乱
- 不動産セクターの債務不安が金融へのストレスとなり、今後も下押し圧力となること
- 中国は経済活動を厳格に制限するゼロコロナ政策を継続する見込みで、これが雇用や個人消費の回復を抑制してしまうこと
世界銀行、世界の経済成長を予想を下方修正
世界銀行は11日発表した最新の世界経済見通しで、2022年の世界全体の実質成長率を4.1%と予測しました。
昨年6月の前回予測からは0.2ポイントの下方修正です。
新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の感染拡大や物価高などを脅威に挙げて「世界経済は21年の力強い回復から、著しく鈍化し始めている」と警鐘を鳴らしました。
日本はコロナワクチンの2回目接種が進んで経済活動が盛んになるとして、22年は0.3ポイント上方修正の2.9%成長と予測しています。
そのほか、インド、インドネシア、マレーシア等が上方修正されました。
成長率水準については、タイを除き、軒並み中国を上回る高成長の見通しが示されました。
2021年12月
IMF、オミクロンが世界の景気回復阻害
IMFは、今年と来年についてIMFが予想する世界の景気回復に「下振れリスク」があるとみており、新型コロナウイルスの新たな変異株が成長を阻害する可能性があると懸念しています。
IMFは各国・地域中銀がインフレ圧力についてかなりの警戒姿勢を保ち、政策の独立性を維持する必要があると論じています。
また米国のインフレ加速と、今後数カ月の需給混乱を巡る相当な不透明感はインフレ高進がさらに進む展開につながりかねず、その結果、外貨で借り入れを行っている国を中心に多くの新興国にマイナスの波及効果が出る恐れがあると論じました。
OECD、インフレ加速でも金融引き締めは慎重に
OECDは1日公表した世界経済見通しで、需要の安定と供給ボトルネックの緩和、人々の労働市場への復帰により、インフレは年末前後にピークに達するとの予測を示しました。
OECDは2021年の世界経済の成長見通しを5.6%と、9月中間報告時点の5.7%から引き下げました。
2022年については、4.5%で据え置きました。
世界経済の回復は続いているものの勢いが弱まり、ワクチン接種率の度合いなどで不均衡が拡大していると指摘しました。
また、世界の景気回復ペースが鈍化し不均衡は持続、想定より深刻なインフレが長期化する中でも、中央銀行は冷静さを保つ必要があると、指摘しています。
要するに、当局は引き締めを急ぐなという事です。
現状で中銀にできる最善策は、供給ストレスが緩和されるのを待ちつつ、必要があれば行動すると示唆することだとレポートでは指摘しています。
なお、最新見通しの大半は、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の出現前にまとめられたものですが、新型コロナウイルスによる医療のひっ迫で制限が課せられ、回復が危ぶまれるというリスクも指摘しています。
2021年11月
IMF、中国経済に下振れリスク
IMFは19日発表した中国経済の年次報告書で、中国の経済成長率は下振れリスクが増大していると分析しました。
新型コロナウイルス感染再拡大に絡む不確実性や消費停滞を理由に挙げています。
安定成長のため、財政は社会保障の充実や環境投資の促進に力点を置くべきだと指摘しました。
最近の中国景気については引き続き回復しているものの、勢いは鈍化していると認識しているようです。
新型コロナ対応で拡大した財政支出などの正常化に加え、感染再拡大に伴う消費の伸び悩み、電力制限、政府の不動産規制が重なった事が背景としています。
IMFは、消費停滞などのほか、債務問題といった金融面の不安定さも経済の足を引っ張りかねないと考えており、先に提示した経済成長率予想よりも下振れする可能性が高まっていると考えています。
政府のIT企業への規制強化にも触れています。
インターネット大手による情報の独占禁止など競争環境の改善やデータ管理の強化に絡む中国政府の狙いを指摘したうえで、政策の不確実性も高いとしています。
2021年10月以前
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