ここでは、インドの経済政策や財政政策一般についてまとめていきたいと思います。
2019年はモディ首相が二期目を決めた年ですが、今後どういった政策で臨むのかなどが注目される年です。ここではインドの成長戦略を考える上でも重要な経済・財政政策に的を絞ってフォローしてきます。
この記事はタイムライン形式で追記していきます。
過去の経緯を網羅的にご確認されたい方は↓をご参考ください。
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モディ政権(二期目)の経済政策概要
政権の顔ぶれ
二期目のモディ政権ですが、閣僚の顔ぶれは1期目から劇的に変わったわけではありません。
一期目から続く課題と選挙公約の実現への取り組みを優先するものとなり、大きなサプライズ人事もなく、ベテランと若手のバランスが取れた内閣で、マーケットからはおおむね評価を受けている印象です。
財政
投資家は政府が財政緊縮にどの程度コミットするか注目しています。
経済成長が減速しているので、公共投資を増やしたい所ですが、歳出拡大余地は限られています。
成長戦略や格差是正を望まれつつ、財政出動には限界があるため、どの様に調整するかが注目されるのです。
税制改革
税制改革に対する国民の期待値も高いようです。
現行の税法は複雑で、抜け穴も多いのです。
2019年度の予算案で直接税法の簡素化、税控除の撤廃、課税ベースの拡大に関する政府案が盛り込まれる予定です。
消費活性化政策
投資家は政府による個人消費刺激策がどういったものになるか注目しています。
また、消費低迷の一因が地方経済にあるため、政府が新予算案で農家所得を増やす対策を盛り込むことも期待されています。
invstem.com
インド準備銀行は、景気対策のため消費者向け信用のリスクウエイトの引き下げや、銀行のノンバンクへの貸し出し規制緩和を発表したりしています。
生活重視の政策
この政策は上記の消費活性策と関連していますが、二期目の一つの特徴の一つでしょう。
モディ氏は
「人口膨張は新しい挑戦だ。成長の妨げになりかねない」
との認識を示しています。
インドに詳しい人たちは、モディ氏の目玉政策だった地場産業の振興策『メーク・イン・インディア』が上手くいかず、「生活改善」に軸足を移したとみているようです。
民間投資促進のために必要なこと
インドが民間投資を本格的に拡大するには、非合理な規制や許認可手続きの整理、契約の円滑な履行、輸出企業の育成、物流インフラ整備など、抜本的な改革が必要とされています。
しかし、土地と労働の制度改革は先送りが続き、国有銀行の民営化もなかなか進みません。
民間企業の活動は非常に重要です。
これが上手くいかないと、労働人口の45%が従事する生産性の低い農業部門にずっと従事したままで、経済全体の生産性も上がりません。
その他の公約
invstem.com
- 2024年までにスタートアップを5万社増やす
- 国有企業の民営化
- 土地の所有者を明確にして譲渡しやすくする「土地改革」
- 雇用の柔軟性を高める「労働法制改革」
2024年9月
政権運営はより難しく
3期目に入ったインドのモディ政権が試練に直面しているようです。
9月9日で政権発足3カ月を迎えたわけですが、予算配分で連立政党への配慮を余儀なくされたほか、連立する政党の反対で重要政策の撤回に追い込まれました。
モディ首相にとって連立政権の運営は初めてで、求心力の低下もささやかれています。
2024年8月
新たに産業都市を指定
政府は新たに産業都市12カ所を承認しました。
インフラをさらに整備する予定です。
開発中の8都市と合わせて20カ所の産業都市を中心に、国内製造業の活性化を図る方針です。
製造業のハブを目指す
モディ首相は、8月15日に首都で演説し、中長期的な方針を示しました。
昨年のインフラ投資を中心とした近代化政策から、今年は「2047年までに先進国入りする」との目標に向けて、製造業のハブ国を目指し雇用創出に軸足を移す方針が示されました。
6月の総選挙の結果を受けてのこと思われますが、社会安定、消費・投資の両輪による高成長を期待させる内容と言えます。
2024年7月
今年度予算案を発表
インド政府は7月23日、2024年度(24年4月~25年3月)の予算案を公表しました。
6月に発足したばかりの第3次モディ政権の連立相手である地域政党に配慮が目立つ一方で、財政赤字の対国内総生産(GDP)比率の見通しを4.9%と、今年2月時点の5.1%から下方修正しており、公共投資は維持しつつ、中長期的な成長を見据えた内容です。
これによって、国債格付けが引き上げられ、国の信用力の高まりが反映されるかもしれません。
地域政党への配慮では、低所得者向けの減税を盛り込んだりしています。
また、証券税制も変わります。
キャピタルゲイン課税を強化し、資産購入後1年以内に売却した場合の収益への課税は従来の15%から20%に、1年超で売却した場合の課税は10%から12.5%に引き上げました。
さらに先物・オプション取引への課税率も引き上げています。
足元で進むインド株高に対しては、今後の暴落の種として懸念されています。
特に年明けの中小型株の急騰と急落は市場心理の悪化を招いており、税制変更は財政の要因以外にも、相場変動の抑制という狙いがあるとの指摘もあります。
あとは、製造業の振興でしょう。
公約通りに進んでいないのが、「メイク・イン・インディア」のスローガンで、インド国内での製造業振興政策を掲げた公約です。
数値的にはGDPに占める製造業の割合を15%から25%に引き上げるという目標だったのですが、まだ未達です。
ここを強化しないと持続的で力強い成長は続かない可能性もあります。
2024年2月
予算案を発表
2月1日、2024年度(24年4月~25年3月)の予算案が発表された。
今回の予算案は2024年4~5月に下院総選挙を控えているため、暫定予算の位置づけとなりますが、歳出は前年度比約6%増の約48兆ルピー(約85兆円)でした。
低所得者への現金支給策も打ち出し、4~5月に予定する総選挙(下院)を見据え有権者の支持獲得を目指します。
ただ、総選挙の前ということでバラマキ的なものになるかとも一部懸念がありましたが、実際にはインフラ投資など、将来の経済成長に繋がる資本支出への予算を増やすと同時に、財政赤字対GDP比率を前年度予算案の5.9%から5.1%へ大幅に引き下げ、大衆迎合的なバラマキ政策とは一線を画し、市場予想以上の大幅な財政赤字削減にも取り組むことで、バランスの取れた予算案として金融市場で高く評価されています。
2024年1月
政府、来年度は7%以上の成長を予想
インド財務省は1月29日、国内経済が来年度(2024年4月-25年3月)に7%成長を遂げるとの予想を発表しました。
さらに、数年間はこのペースを上回る経済成長になる可能性があるとの見通しも示しています。
これに先立って、インド中央統計局は2024年1月5日に23/24年度(23年4月-24年3月)のGDPが前年度に比べ7.3%増加するとの予想を発表していました。
インド中央統計局はこれについて、早期予想であると述べており、今後改定される可能性があるとも説明していますが、どれも強気のものです。
2023年8月
食品価格の抑制を強化
インド政府が食品価格の抑制措置を強化しています。
一部のコメの輸出禁止や、タマネギへの40%の輸出関税適用を発表しています。
最近みられたトマト価格の高騰は、政府の価格抑制措置などが奏功しています。
再選へインフレ対策に躍起
モディ首相が2024年に予定される総選挙(下院選)に向けた動きを本格化させています。
国内経済は好調ですが、高いインフレ率が足かせになっています。
コメの輸出禁止という強硬策に乗り出すなどインフレ退治に躍起となっています。
2023年7月
半導体誘致を後押し
インド政府が半導体産業の誘致を引き続き進めています。
色々とこれまでも挑戦し続けてきた分野です。
モディ首相は、半導体関連のイベントなどに登壇してはサプライチェーンの構築についてインドの可能性をアピールしてきました。
米中対立に伴う供給網の見直しも追い風に、半導体産業の育成で経済成長を後押しします。
インドでは24年に総選挙が予定されており、モディ氏にとっては州首相も務めた出身地のグジャラート州を筆頭に半導体産業の誘致を進めることで、自身の成果をアピールしたいのでしょう。
2023年2月
インフラ投資を3割増し
インド財務省が2023年度(23年4月~24年3月)の予算案を2月1日に発表しました。
歳出総額が前年度当初予算比で14%増の約45兆ルピー(約71兆円)となり、インフラ整備が軸の資本支出は33%増の10兆ルピーを計上しています。
また、所得税の減税対象を中間層の一部に広げました。
歳出総額は22年度も予算案の時点で13%増でしたが、2023年度は雇用の創出に直結する資本支出の伸びが目を引きます。
こうした予算案は2024年に予定される総選挙で与党の勝利を目指すモディ首相の意向を映したとみられます。
予算案を提出したシタラマン財務相は、投資の好循環の強化に向け、予算案が重要であると説明しています。
また、インドはエネルギー転換に3500億ルピーを投資する方針です。
財政健全化においては、2023/24年度の財政赤字対名目GDP比を前年度実績見込みの6.4%から5.9%へ改善させるとも定めておりバランス感覚も見受けられます。
基本的に金融市場は前向きに評価しています。
2022年12月
モディ氏の改革が実を結び始める
2014年に政権交代の形で首相に就任したモディ氏は、強いリーダーシップを発揮し、金融市場の安定、ビジネス環境の改善、製造業振興などの分野において相次いで構造改革を行っており、これらが少しずつ実を結び始めています。
高成長の原動力になっているのは、力強い内需の成長と、グローバル企業による直接投資の加速です。
インドの力強い「内需」の背景には、インフラ投資の加速と、民間消費の堅調さがあると考えられます。
インフラ投資に関しては、モディ首相が2021年8月15日に、スピード・パワーを表す「ガティ・シャクティ」国家マスタープランという中期的な大型インフラ投資計画を発表したことをきっかけに、政府が国家戦略としてインフラ投資を本格的に推進し始めました。
今後は、経済発展の阻害要因となっていたインフラ不足が改善に向かい、潜在成長率の向上にも寄与すると期待されています。
民間消費に関しては、高水準の賃上げ率が堅調な消費をけん引すると見込まれます。
賃金上昇を受け、中間所得者層の大幅増加も予想され、それがライフスタイルの変化を促し、より消費は巨大なものになると期待されます。
グローバル企業の投資先としてもインドの人気が高まっています。
これの背景にはビジネス環境の改善、米中摩擦で中国から生産拠点がインドに移ったこと、さらに豊富なIT・デジタル人材などが挙げられます。
2022年10月
半導体誘致に躍起
インドで半導体生産の誘致に向けた動きが進んでいます。
政府が2021年12月に半導体や液晶生産で7600億ルピー(約1兆3千億円)の支援策を打ち出し、最近は補助対象の拡大も決めました。
米中対立を背景に中国以外に生産拠点を設けようとする機運が半導体分野でも高まっています。
モディ首相は経済成長を続けるインドが半導体投資の有望な市場であると強調し、同分野の「ハブ」をめざすと意気込んでいますが、インドでの半導体生産を巡っては、インフラ面での懸念も根強いのが現実です。
水や電力を安定供給するなどインフラ面の充実が重要です。
労働改革法制に遅れ
改正労働法の施行が遅れているようです。
複雑に入り組んだ29の労働関連法を4つに集約しながら各種改革を盛り込んだ改正法が2020年9月に議会で成立してから、既に2年が過ぎており、かかりすぎの感があります。
新制度の施行は何度も延期されてきました。
背景には、連邦議会が完全な立法権限を持つ国防や外交などの分野と、連邦議会と州立法府の「共管」とする法制分野を分けた、インド憲法の規定があると言われています。
労働法制は共管分野で、連邦法と州法の改正がそろわないと発効できません。
州の中には新制度に反対している所もあるのです。
労働法制改革の目玉は中小・中堅企業の解雇規制の緩和です。
現行制度では、従業員数が100人以上の事業所が1人でも解雇や一時帰休したり、事業所を閉鎖したりする際、政府からの許可取得を義務付けていますが、改正労働法が施行されれば300人未満の事業所については全国で許可取得不要となるうえ、各州が独自にそれより大きい規模の企業まで許可義務免除の範囲を広げられるようになります。
もう一つが、従来は特定の業種や職種以外は禁止されていた有期雇用契約を全業種・職種で原則解禁したことです。
これまでインドの新興企業や中小企業は、厳しい解雇規制を恐れて100人以上の規模に成長することをちゅうちょする傾向があったと言われていますが、これを除くことも期待されています。
特にインド全体の所得底上げに重要とされる労働集約型の製造業や近代的サービス業の企業の増加と成長のために、改正労働法は有効とみられます。
2022年9月
原油関連の減税政策を発表
9月16日にインド財務省は、石油関連企業を対象にした減税措置を発表しました。
航空燃料の輸出税を約4割、国産原油の販売に対する超過利潤税を約2割引き下げると言った内容です。
原油価格の下落を受けた措置で、関連企業の株価上昇に繋がったようです。
2022年7月
ルピー安定化へ外貨流入促進
インド準備銀行は7月6日、海外投資家の短期社債購入を認め、購入可能な国債の対象を拡大するなど外貨流入を促す一連の措置を打ち出しました。
主に通貨ルピー防衛に向けた為替介入で、外貨準備が過去9カ月間に400億ドル超減少したことが背景にあります。
インドルピー最安値更新する中、自国通貨を支える政策を発表
インド・ルピーの対米ドルレートが過去最安値を更新する中、当局は自国通貨を支える政策を発表しました。
金の輸入関税の引き上げや、在外インド人の国内への送金促進策が含まれています。
当局の通貨安阻止の意思が、ルピー安の圧力を軽減させることを期待しています。
ただ、すぐにこれがマーケットに反応をもたらしたわけでもなさそうです。
【直近半年のUSD-INRの推移(出所:TradingView)】
©Trading View
2022年6月
2023年度の財政赤字は昨年並み目指す
インド政府は今年度の財政赤字を従来予想の水準まで削減することはできないものの、財政の大幅な悪化を防ぐため昨年と同水準に抑えることを目指す方針であると明らかにしました。
インフレによる打撃を緩和するための支出が増えるため、今年の財政目標は達成できないものの、未達幅を30bpsに抑えたい考えという事です。
インドは5月に燃料税の引き下げなどを行い、約191億6000万ドルの歳入減が生じています。
2022年5月
国有の生命保険会社が上場
インド国有企業のインド生命保険公社(LIC)がムンバイ証券取引所等国内取引所2カ所で同時上場しました。
今年の世界4番目となる大型上場でしたが、特に大きなトラブルもなく過ぎました。
国営企業の民営化に重要な一歩です。
2022年4月
官民で電池産業育成を急ぐ
官民で高機能電池の国産化へ向けた動きを本格化しています。
インド政府は電池産業の底上げへ支援制度を設け、電動二輪新興のオラ・エレクトリック・モビリティーなどが承認を受けました。
高機能電池は今後見込まれるEV産業の基盤づくりに不可欠で、官民そろって先行投資を行っています。
政府は、今後5年でインドに工場を新設・増設する企業を対象に2020年に発表した生産連動優遇策の活用を促進し、リチウムイオン電池など高度な化学電池向けに総額1810億ルピー(約3000億円)も割り当てています。
幅広い化学電池の用途のうち、特に注目されるのがEV向けです。
インドの自動車市場はいまのところガソリン車が大半ですが、政府は原油輸入の削減や大気汚染の改善を狙い電動化を支援しています。
EV販売台数は昨年度でも2万台弱とみられますが、政府は30年にEVの販売比率を3割程度に引き上げる目標を掲げています。
目標通りEV比率が高まれば、年間のEV販売台数は130万台以上になりますが、そうなると車載電池市場も大いに成長が期待されます。
インド政府の諮問機関によるとリチウムイオン電池の生産は中国などが大半ですが、インド企業は買収によって次世代電池技術の自社開発力を高め、中国に依存しない仕組み作りをめざしています。
2022年3月
国産半導体の動きが活発化
インドで半導体の国産化に向けた動きが目立ってきたようです。
資源大手ベダンタは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と組み、2025年をめどに現地生産を目指します。
政府も総額1兆円規模の補助金を打ち出し外資系企業などを誘致します。
日本を含め各国の誘致合戦が厳しくなるなか、後れを取ってきた半導体産業の育成に向け官民連携で巻き返しを図ろうとしています。
背景には中国などに比べ、半導体の国産化に遅れたインドの事情があります。
同国では自動車やスマホなどの工場も増えており、政府によると同国の半導体市場は26年には630億ドルと2020年の4倍超に拡大する見込みという事です。
地元メディアによると国内には設計請負といった関連企業があるものの、日本や台湾、中国などとは異なり半導体工場がなく全量を輸入に頼っています。
インドはこれまでも半導体産業の育成を目指してきました。
ただ企業が長期的な需要動向に確信を持てずに実現しませんでした。
ただ、その情勢が変わりつつあります。
半導体需要が当時と比べ大きくなっていて、さらに米中ハイテク対立を背景に中国以外で半導体生産を広げようとする機運も高まっています。
半導体の国産化や国産化による産業振興には課題も多いというのが現実です。
今後、現地でスマホや自動車の高機能化が進むなか、今後の合弁事業で手掛ける半導体の性能が追いつく必要があります。
議会選挙は与党勝利で、改革期待が強まる
3月10⽇に5州の議会選挙の結果が発表されました。
国会運営にも影響⼒を持つウッタル・プラデシュ州において、与党BJPが403議席の内255席を確保しました。
その他においても議席数の顕著な減少はみられず、与党が勝利を収めたと言っていいでしょう。
2024年の総選挙でモディ⾸相が続投する可能性を⾼め、改⾰期待も強め、⾦融市場にとって好材料と言えます。
2022年2月
クリーン自動車優遇策の対象20社を発表
インド政府は2月11日、クリーンな燃料を用いる自動車を増やすための35億ドル規模の優遇計画について、スズキ、米フォード・モーター、韓国・現代自動車など20社を選定したと発表しました。
インド政府は昨年、電気や水素を動力源とする自動車や部品の生産を増やすため、5年を期限とする優遇計画を承認しました。
クリーン自動車の国内生産を促し、燃料輸入費と環境汚染を抑えようとするモディ政権の取り組みの一環でもあります。
重工業省が発表した20社には3社のほか、配車サービス大手オラ、同国のタタ・モーターズやマヒンドラ・アンド・マヒンドラ、韓国の起亜自動車なども含まれています。
優遇措置は自動車もしくは部品の販売価格の8ー18%に相当します。
5年間の最小投資額や毎年10%の売り上げ拡大といった特定の条件を満たした企業に付与されます。
成長重視の予算案が発表
1日にインドの2022/23年度予算案が発表され、総じて成長に主眼をおく内容となりました。
今年は重要州で州議会選が予定されるなどモディ政権には経済の立て直しが急務となっており、成長と景気回復が最優先されましたが、財政健全化にも配慮したバランスの取れた予算案と評価できそうです。
当初予算案は、歳出総額が前年度比13%増の約39兆4千億ルピー(約60兆円)です。
インド経済が新型コロナウイルスの影響で停滞するなか、インフラ投資で景気の底上げをめざします。ちなみに防衛費は中国との係争地での対立を背景に11%増えています。
経済対策では、特に、資本支出の約半分を交通物流の整備に割り振るなど、大型のインフラ投資を計画し、今後の成長に弾みをつける狙いがあります。
道路や鉄道など交通が同+51%の3.5兆インドルピー(約5.5兆円)、都市開発が同+40%の0.8兆インドルピー(約1.2兆円)となっています。
また、個人投資家のキャピタルゲイン税の上限を引き下げたこともあり、株式市場の上昇に繋がりました。
一方、財政赤字対GDP比率の目標は市場予想を上回る6.4%と発表され、国債発行増への懸念が重しとなり、長期金利の上昇に繋がりました。
更に、デジタル通貨を来年度に導入する計画も明らかにしました。
インド準備銀行がデジタル・ルピーを段階的に導入する戦略で取り組みを進めてきているという事です。
なお、インド政府は予算案発表にあわせ、経済見通しを改定しています。
実質成長率は感染拡大の影響で20年度に過去最悪のマイナス6.6%に落ち込みましたが、21年度は9.2%に持ち直すと見通しています。
2022年度も8~8.5%の成長を予測していますが、新型コロナの打撃が長引けば下振れする可能性もありそうです。
財政規律については、2022/23年度の中央政府の財政⾚字対名⽬GDP⽐⽬標を6.4%と定めました。
この⽬標値が⼀部の市場予想6.0%程度を上回ったため、財政健全化の進ちょくに関しては失望の声もあります。
しかし、今年度の⾒込みの6.9%と⽐較すると、0.5%ポイント改善した⽬標値であり、2025/26年度までに財政⾚字対名⽬GDP⽐を4.5%に縮⼩させる中期的財政健全化⽬標の達成に必要な、毎年度0.5〜0.7%ポイントの改善を満たしています。
このため、政府は中期的財政健全化の⽬標に向けての取り組みを継続し、安定推移していると言えます。
2022年1月
半導体誘致の政策のその後
モディ内閣は12月15日に総額1兆2千億円にのぼる半導体産業補助制度を閣議決定し、元日から対象プロジェクトの募集を始めていますがなかなか難しそうです。
世界の有力半導体企業の投資と技術移転を期待しています。
内容ですが、
- シリコンウエハーに回路を組成する、いわゆる前工程を含む半導体工場の初期費用の半分まで補助
- 中央と州政府が協力して用地、良質で豊富な水と電力、物流インフラなどを備えたハイテク工業団地を用意
- 後工程工場を補助し、半導体設計のスタートアップ起業を支援し、人材の育成・供給も進め、周辺分野を含めた半導体産業を包括的に育成する
もちろん、半導体産業育成は補助政策さえあれば実現できるほど生易しくありません。
これまでアジアで前工程を含む半導体産業を構築できたのは日本、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、中国だけです。
インドでは、
- 土地、水、電力、人材と必要な要素を確保する事が難しい
- 実際、地元住民の反対で用地確保に失敗したり、州政府が労働規制を一方的に変更するなど、外資工場誘致では何度も大きな挫折を経験している。
- 加えて労務も難しく、多くの企業が音を上げている。
識者の中には、まずは難度の低い後工程から始めるのが良いのではと指摘する人もいます。
2021年12月
半導体メーカー誘致へ
インド政府は15日、半導体とディスプレイの製造企業を誘致するために総額100億ドルの助成計画を承認したと発表しました。
インドが世界での電子機器生産拠点として確立するために取り組みを強化する一環となります。
インド政府はこの計画で、対象となるディスプレイおよび半導体の製造企業に対し、事業費の最大50%を財政的に支援する予定です。
また、世界中の自動車メーカーやIT企業が世界的な半導体不足に苦慮していることも背景にあるでしょう。
インド政府は、集積回路(IC)や半導体の設計に携わる地元企業100社を支援する助成計画も承認しました。
モディ首相率いる政府は世界の主要電子機器企業の生産拠点をインドに誘致して国内産業を活性化させるため、これまでに約300億ドルの助成金を提供してきました。
2021年11月
農業新法を廃止、改革後退に懸念
モディ首相は19日、2020年9月に成立した「農作物取引の自由化」に関する3本の新法を撤廃すると発表しました。
農業の新法を巡っては収入の減少を恐れる農家が大規模なデモを一年以上続けており、大票田である農家の反発に配慮しました。
新法は2020年9月に施行されたものでした。
経済改革の後退と言わざるを得ず、同国の中長期的発展にネガティブ材料になるでしょう。
ただ、これには政治的な思惑もあります。
新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた与党、インド人民党(BJP)の党勢てこ入れです。
与党の重要な地盤の一つ、北部ウッタルプラデシュ州の議会選を2022年2月に控え、同州の農民らが反対していたため、この農業新法を廃止したのです。
2024年に想定される次の総選挙もにらんでおり、与党を後押ししたい意図が見えます。
モディノミクスが受難
新型コロナウイルス感染拡大の直撃を受けたインド経済について、モディ首相の主導する経済政策「モディノミクス」が進んでいない実態が顕在化してきたようです。
根強いインフレやコロナ「第3波」への警戒感が残る中、高度成長軌道への復帰を予感させる勢いが感じられません。
21年4~6月期のGDP成長率は前年同期比20.1%という「急回復」を見せましたが、これはマイナス24.4%という落ち込みを見せた前年同期の反動です。
21年4~6月のGDP実額は32兆3800億ルピー(約49兆円)で、これはコロナ禍前の19年4~6月期の35兆6600億ルピーを依然下回っている状況です。
インド経済をけん引してきた個人消費や設備投資の低迷、サプライチェーンの寸断による製造業や輸出へのダメージなどで、20年度通年のGDP成長率はほぼ40年ぶりのマイナスに落ち込みました。
21年度(22年3月期)も、コロナ感染第2波の到来などを背景に各シンクタンクや格付け機関などが相次ぎ予想を下方修正し、2桁成長によるV字回復達成は厳しい、というのが一致した見解です。
政府はコロナが原因と繰り返してきましたが、実はインド経済はすでに17年度から長期減速傾向になっていました。
18年ごろからは銀行の不良債権(NPA)問題が急浮上し、これが貸し渋りにつながって企業の資金繰りに影響を与えました。
19年度にはノンバンクの経営不安を反映して個人向けローンの審査が厳格化、自動車や住宅販売の足を引っ張りました。
14年に発足したモディ政権が掲げた「モディノミクス」の最大のスローガンといえば、製造業振興政策である「メーク・イン・インディア」でしたが、これを後押しする法整備や技術革新、人材育成などが中途半端で、想定された効果はまだあげられていません。
求職者のスキル不足という問題も、職業訓練制度の整備がようやく緒に就いたばかりで、まだまだです。
部品や素材の海外依存を減らし国産化を推進するために打ち出した政策「自立したインド」も、国内企業はあまり前向きではありません。
昨年6月の印中両軍による国境係争地域での衝突以降、インド政府は中国企業や中国製品の締め出しを働きかけましたが、肥料や電子部品、医薬原料などでは輸入に占める中国のシェアがかえって上昇する結果となってしまいました。
安くてデリバリーも迅速な中国製品の優位性が揺るがず、民間企業の多くが政府の押しつけに従わなかったためとみられます。
一方でモディ首相率いる与党・インド人民党(BJP)の人気はそこまで衰えていません。
19年の総選挙で圧勝して以降、肝心な経済の不調にもかかわらず、各種世論調査でも引き続き首相本人の人気はキープしています。
政府をただす野党も冴えません。
14年まで政権を担った老舗政党・国民会議派は依然最大野党であるとはいえ定数543議席の国会下院の1割にも満たない52議席に転落し、最近の地方選挙でも党勢回復の兆しはなかなか見えない状況です。
物品税を引き下げ
インド政府は3日、ガソリンと軽油の物品税を4日から引き下げると発表しました。
4日から始まるディワリ期間中に強まりやすい物価上昇圧力を幾分抑制すると期待できることで、株式市場にポジティブな材料と言えます。
2021年10月
エア・インディアがタタの傘下に
インド政府は8日、業績不振が続く国営エア・インディアの全株式を同国最大財閥のタタ・グループに売却すると発表しました。
政府はかねて売却先を募り、タタが最有力候補だと報じられていました。
エア・インディアはこれで、68年ぶりにタタグループに復帰することになります。
エア・インディアはタタ・グループの企業として発足し、インド独立後の53年に国有化された経緯があります。
タタが1800億ルピー(約2680億円)を投じ、エア・インディアの株式全てと負債の一部を取得します。
インド政府によると同社は8月末時点で6156億ルピーの負債を抱え、その多くは政府側が引き取る予定です。
タタが引き継ぐのは1530億ルピーにとどまります。
タタはシンガポール航空と共同で航空会社のビスタラを展開しているほか、マレーシアのLCC大手エア・アジアのインド法人であるエアアジア・インディアにも出資しています。
2021年9月
インド政府が破綻処理会社の設立を発表
インド政府は、先週末にインド破綻処理会社の設立を発表しました。
長年にわたる懸案の不良債権処理を、今後公的管理の下で本格的に進め始めると考えられ、株価指数の上昇を後押ししました。
生産連動型奨励制度を拡充
インド政府は15日、国内生産振興策の一環として「生産連動型奨励制度」の対象に、自動車産業を加えると発表しました。
EVや自動車部品等次世代製造業の自国生産を後押しすると期待されます。
株式市場は産業振興策を好感し、自動車産業を中心に上昇し、史上最高値を更新しています。
2021年8月
国有インフラの民間活用推進
インド政府は23日、2022~25年度に6兆ルピー(約9兆円)相当の国有資産を収益化に向けて活用する計画を発表しました。
道路や鉄道、電力といった国有のインフラ資産を民間企業に長期リースするなど有効活用し、国庫収入の増加を図ります。
シタラマン財務相が同日、「国家収益化パイプライン」と呼ぶ構想を立ち上げました。
新型コロナウイルスによる景気減速に見舞われたインドは、20年度のGDPが19年度比7.3%減となりました。
インド政府が2月に示した21年度の予算案では、積極的な支出によって景気回復をめざす一方で、航空のエア・インディアなど国有企業の株式売却により1兆7500億ルピーの国庫収入を確保する目標も掲げていました。
財政赤字の改善に向けて、国家資産の活用を急ぎます。
遡及課税を廃止
インド政府は、過去に遡って課税することを認めた税制条項の廃止に向けて動き出しました。
遡及課税はこれまで多国籍企業を翻弄し、投資先としてのインドの評判を毀損してきたものですが、政府が評判回復に向けて大きな一歩を踏み出しました。
インドのモディ政権は5日、一部の外国企業に過去に遡って課税することを認める2012年の税制条項を無効にする法案を議会に提出しました。
改正法案が提出された後に、政府高官は、インドに投資を呼び込むのに重要な時期で、この法案によってインド経済を高成長の軌道に載せたいと切望しているとコメントしました。
2021年6月
新たな経済対策を発表
インド政府は6月28日、新型コロナウイルスの感染第2波を受けた景気刺激策として、GDPの約3%に相当する総額約6.3兆インドルピー(約9.5兆円)の追加経済対策を発表しました。
インドでは新型コロナウイルスの新規感染者が4月から急拡大し、5月上旬には1日当り新規感染者数が40万人近くまで増えました。
政府は主要地域のロックダウンで対応をしましたが、それに加えて、今回の追加財政支援策を決定しました。
ロックダウンによる影響が大きいと見られる中小・零細企業や観光業、農業等への支援が中心です。
主な内容
- 感染第1波(2020年9月下旬にかけての感染拡大)を受けて導入された零細企業向け緊急保証枠を1.5兆インドルピー増額し、4.5兆インドルピー(約8兆円)に拡大
- 公衆衛生インフラ整備を目的に、5,000億インドルピーの信用保証制度を創設
- 農業支援策として1,478億インドルピー、また、 貧困層向けの食料配給を、期間を11月まで延長した上で9,387億インドルピーを追加支出
- 観光業支援のため、50万人分の外国人観光客のビザ手数料を免除
患者数の急増による医療現場の混乱等から遅れ気味となっていたワクチン接種も徐々に進んでおり、経済が回復基調に行く事が期待されます。
2021年5月
中銀、医療産業に7400億円供給
インド準備銀行は5月5日、医療産業向けに5000億ルピー(約7400億円)の緊急資金供給を行うと発表しました。
インドは新型コロナウイルスの感染急増により、病床や医療用酸素の不足などに直面しています。
資金支援によって医療体制の崩壊に歯止めをかけたい考えです。
また、これと共に、個人や中小企業の融資返済を猶予するよう銀行に要請しました。
2021年3月
半導体企業に補助金
インド政府が、国内で製造部門を立ち上げる半導体企業に対して10億ドル超の現金提供を申し出ていることが分かりました。
モディ首相の国内製造業育成策「メーク・イン・インディア」の後押しを受け、インドは中国に次ぐモバイル機器製造大国となっています。
政府は半導体企業がインド内に製造部門を設ける時期に来ていると考えているようです。
労働法制と国営企業の改革に着手
モディ政権がついに経済構造改革の本丸に挑み始めました。
新労働法を4月にも施行し、企業が事業拡大に動きやすくします。
税金や人材を無駄遣いしてきた国営企業の整理も着手します。
市場経済への転換を進めますが、農政改革で噴出したように既得権益層の反発は強く、改革の先行きはまだ不透明です。
これまでの労働法制では社員数が10人、20人、50人と増えるごとに規制項目が増えるため、企業が意図的に成長を避ける傾向がありました。
こうした規制項目が減れば担当の検査官が減り、賄賂目当ての嫌がらせも減ります。経営者は怖がらずに事業を拡大できるようになると期待されています。
一部の業種・職種に限定してきた「有期雇用」も全面解禁します。
いったん増員すると、その後に雇用調整ができないという経営上のリスクを減らせるようにすることが目的です。
もちろん構造改革には痛みを被る既得権益層が存在します。
昨年秋から発生していた農業改革法撤廃を要求する農民の抗議運動はその象徴です。
農業改革法は、州政府が直接・間接に独占してきた農産品の卸売市場を原則自由化する内容だったため、これまで補助金で大きな恩恵を受けてきたコメや麦などを作る農家が猛然と反発したのです。
似たような事がまた起きる可能性があります。
コロナ感染者増加で行動制限を導入
1日あたりの新型コロナウイルスの感染者数が約5カ月ぶりの高水準まで増加したことを受け、3月23日に政府が行動制限の継続を発表しました。
3月下旬から各種大規模な祭りが続く中で、急速な感染再拡大が経済活動を抑制する懸念が強まりかねず、市場センチメントに水を差す可能性があります。
国営銀行の労組がストライキ
インドの国営銀行の9つの労働組合は15~16日、政府の民営化方針に反発し、全土でストライキを実施しました。
労組側によると、初日には約100万人が参加したという事です。
同国では農産物取引の自由化などを巡り政府と農家の対立も長期化しており、モディ政権の改革に対する反発が広がっています。
2021年2月
国営企業は最小限に
シタラマン財務相は2月18日、350社前後ある国営企業を「ギリギリ最小限まで減らす」と述べました。
社会主義の遺産の解消を目指すモディ政権の決意を改めて示しました。
昨秋から続く農民デモについては対話で必ず出口を見いだすと強調しています。
30品目の関税引き上げ
インドは地場製造業の振興に向け、2月初旬に約30品目の関税を引き上げました。
中国からの輸入が多い太陽光発電や携帯電話などに関連する部品を対象としています。
2020年11月に東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)への参加を見送ったインドは、貿易保護主義をさらに強めています。
不良債権の受け皿構想を発表
政府は2月1日、市中銀行の不良債権の受け皿となるバッドバンク設立計画を明らかにしました。
インドでは不良債権が今年、過去最高水準となる見込みで金融システムの安定を脅かしているため、この問題への対処が望まれていました。
予算案を発表
2月1日発表された2021年度(21年4月~22年3月)の当初予算案は、歳出総額が前年度比14.5%増の約34兆8千億㍓になりました。
インド政府は20年度通年の成長率をマイナス7.7%と過去最悪を見込んでおり、インフラ投資で景気の底上げを狙います。
21年度予算案により国債発行が増加するとの観測から、インド国債市場では1月末から10年国債利回りが急上昇しています。
また、政府は21年度の財政赤字目標をGDP比6.8%に設定しました。
因みに、20年度の実績は3.5%の目標より大幅に悪化し、9.5%となりそうです。
インドの経済ファンダメンタルズは脆弱ですから、こうした「大盤振る舞い」は将来的に財政が制約要因となる可能性もあって注視する必要がありそうです。
トピックとしては上記のインフラ投資のほかに、ヘルスケア費用が10.5%増えている事もあるでしょう。
インドのコロナ累計感染者数は米国に次いで世界で2番目に多いことから、コロナ対応が経済対策ともいえるかもしれません。
2021年1月
農民デモ止まらず
農家のデモが激しさを増しています。
これは、農産物取引の自由化に関する農業の新法への抗議のためのデモです。
農家の一団は1月26日、首都ニューデリーで大規模な抗議活動を展開しました。
長引くデモの行方は混沌としている。
同日はインドで憲法を発布した共和国記念日でした。
政府による軍事パレードの式典が落ち着いた後、農家は正午からトラクターで行進するデモを容認されていましたが、農家は午前9時ごろ、デリー等でバリケードを破壊し、予定を前倒しする形でデモを開始したのです。
50品目超の関税を引き上げ
インド政府は、スマホや電子部品、家電など50品目以上の輸入品を対象に、関税を5ー10%引き上げることを検討しているようです。
関税引き上げは、国内製造業を支援し、自立したインド経済の確立をめざすモディ政権の構想の一環です。
新型コロナウイルスの影響で国内経済が低迷する中、関税引き上げで27億ー28億ドルの税収増が見込めるという事です。
内向きになっているような気がして、少し懸念されます。
最高裁が農業新法を停止
インドの最高裁判所は1月12日、農産物取引を自由化する農業の新法を一時停止する措置を講じました。
新法に反対するインド農家の大規模なデモが収束しないことがその要因ですが、これは異例の動きです。
インドの農家と政府の新法をめぐる協議の先行きは混沌としています。
2020年12月以前
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