米中貿易摩擦問題について整理してみた2018

2018年5月29日　追加関税の発動を発表

しかし、その後、アメリカは2018年5月29日、知的財産権侵害への制裁として6月中旬にも中国製品に追加関税を発動すると表明しました。

ただ、中国政府からはアメリカの赤字削減に向けた提案がなされていたとウォール・ストリート・ジャーナルが当時報じています。

それによると「中国が（報復）関税措置の破棄を条件にアメリカから700億ドル近い農産物やエネルギー製品を輸入する」というものだったそうです。

トランプ大統領としては、中間選挙に向けた実績の1つとして、中国のアメリカ製品輸入拡大はそれなりに価値があるものと考えているでしょうし、中国としてもアメリカの制裁関税の最終案発表が2018年6月15日に迫っている事から、早めにこの問題を収束させたいという意図があったと思います。

2018年5月19日　米中の共同声明にて一旦の棚上げ

2018年5月19日、米中は共同声明を発表し、具体策を協議する間は両国が追加関税の発動を保留することで一致するなど、一定期間棚上げする事で合意しました。

貿易不均衡の解消に向けた取り組みでは一定の歩み寄りを見せているものの、アメリカが求めるレベルからは程遠い印象です。

当初の期限は2018年5月22日

上記の5月下旬（5月22日）にトランプ大統領が発動するか決める、という所がポイントでした。

裏を返せば、それまでに両国協議の結果、何らかの合意がなされる可能性があったという事です。

それがなされなかった場合、この問題の解決がどの時点で行われるのか、不透明な形になってしまうわけですが、この時は何とか解決するでしょ、といった雰囲気でした。

関税項目の決め方

アメリカが発表した制裁関税の対象品目は5月下旬までに一般から意見を募ったうえで品目を確定し、トランプ大統領が発動するか決める事になりました。

中国の『中国製造2025』に基づいて特定するとアメリカ側は説明しており、貿易戦争のみならず技術覇権の争いという観点も大いにあると思われます。

ただ、追加関税による影響は、中国の輸出額のうち、2017年の対GDP比で僅か0.5％程度と試算されています。

中国経済は、他のアジア諸国と比較して米国の需要や対米輸出への依存度が相対的に低く、国内需要への依存度が高いので、そうした「事実」もしっかりと頭に入れておくべきと思われます。

習近平　4月10日の講演で国内市場開放について言及

アメリカの関税強化の発言を受けて、習近平は2018年4月10日の講演で以下の内容の演説を行います。

国内市場の開放のために、

1. 自動車の輸入関税を大幅に引き下げ、
2. 銀行や証券、保険、自動車・船舶・航空機製造において、外資系企業の過半出資を認める
3. アメリカが問題視する、中国企業による知的財産権侵害の取締りを強化
4. 透明性の高い投資環境を整える

というものです。

アメリカを意識したものであることは間違いありません。

2018年3月　500億ドル相当の中国製製品に25％の関税を課すと発表