ここではスポット記事として、アメリカによるファーウェイ製品の禁輸措置について、企業業績への影響にフォーカスして記述していきます。
米中貿易戦争激化でますます世界経済への影響度合いは凄みを増してきました。
中国株式投資や世界株全体に投資をしている投資家の方々も米中貿易摩擦について状況をウォッチしておくことが少なからずパフォーマンスに影響してくるでしょう。
米中貿易摩擦に関する経緯とまとめは↓
米中貿易摩擦とサプライチェーンの激変については↓
アメリカによるファーウェイ製品への政策は↓
中国製造業2025 華為(ファーウェイ、HUAWEI)の5G戦略を巡る動き
禁輸措置から2週間、マーケットへの影響
禁輸措置から2週間が過ぎた2019年5月の最終週、アジアの株式市場に上場するファーウェイの主要サプライヤーの株価を禁輸前後で比べるとかなり厳しい状況です。
例えば、
- Qテクノロジー(中国):▲27.4%
- 比亜迪電子(中国):▲19.6%
- 鴻海精密工業(台湾):▲7.2%
- 湾積体電路製造(TSMC、台湾):▲7.8%
- SKハイニックス(韓国):▲11.3%
- 舜宇光学科技(中国、光学メーカー):▲22.9%
ファーウェイの主要調達先の企業数は、
- アメリカ:36%
- 中国:27%
- 日本:12%
- 台湾:11%
となっていて、アジア企業だけで約6割を占めるとされています。
ファーウェイ禁輸措置、アメリカ企業への影響
当然ですが特にハイテク企業に打撃を与えています。
主には、
ルメンタム | :業績見通しを下方修正 |
グーグル | :アンドロイドOSの供給を停止 |
インテル | :サーバー向け半導体の供給一時凍結 |
クアルコム | :スマホ向け半導体の供給一時凍結 |
ザイリンクス | :基地局向け半導体の供給一時凍結 |
ブロードコム | :通信機器向け半導体の供給一時凍結 |
といった所でしょうか。
今回の措置でアメリカのハイテク企業の成長率鈍化の懸念が強まっています。
ファーウェイ製スマホの50%は日米韓の部品
ファーウェイの最新スマホの構成部品の5割程度は、金額ベースで日米韓の企業に依存しているようです。
3カ国への依存度は、アップルでは8割近くに達します。
invstem.com
因みに、
アメリカ米企業:16%
日本企業:23%
韓国企業:8%弱
となっているようです。
こうした中、対中関税第4弾が発動されると、サプライチェーンへの影響はもっと大きくなり、マーケットがクラッシュするほどの力を持つかもしれません。
ファーウェイ排除が中長期的に現地企業の技術向上を後押し??
アメリカ企業の幹部は嘆息しているかもしれません。
ファーウェイとの取引を相次ぎ停止している中、アメリカ政府の強硬策がアメリカ企業の中国開拓を阻み、結果的に現地企業の技術向上を後押しして、相対的に自社の競争力を削いでしまうという懸念がある為です。
過去、レアアースを中国が禁輸した時に、結果的にレアアースに頼らなくても良い製品を日本企業が作り出して、中国のアドバンテージを結果的に落としたのと同じ理屈です。
ファーウェイ排除の緩和を求めるアメリカ企業のロビー活動が増加
ファーウェイにチップを供給しているクアルコムやインテルらアメリカの半導体各社が、ファーウェイに対する販売禁止措置を緩和するようロビー活動をしているようです。
ファーウェイが2018年に部品購入のために費やした金額は700億ドル程度とされ、そのうち約110億ドルは、クアルコム、インテル、マイクロン・テクノロジーなどのアメリカ企業に流れ込んでいます。
フェイスブックは、アプリの事前搭載をしない方針
2019年6月、フェイスブックはファーウェイの新規スマートフォンにアプリを事前搭載することを認めない方針を固めました。
搭載できなくなるのは「フェイスブック」のほか「ワッツアップ」、「インスタグラム」です。
マーケットは第二の「ルメンタム」を探す
あるレポートによれば、半導体メモリー大手のマイクロン・テクノロジーは売上高の13%がファーウェイ向け、通信用半導体の米スカイワークス・ソリューションズも最大で10%程度との事で、株式市場は「第2のルメンタム」を探すことにフォーカスし、同時に警戒しています。
ファーウェイのアメリカ企業からの調達額は110億ドル
ファーウェイは2018年にアメリカ企業から110億ドル分の部品を調達していました。
今回の禁輸措置はファーウェイの拡大戦略を阻止する事になりますが、一方でアメリカのハイテク企業から成長の機会を失わせる事にもなります。
3か月の猶予期間はそこまで大きな意味はなし
アメリカは5月20日にファーウェイへの禁輸措置の一部取引について3カ月間の猶予期間を設けると発表しています。
これは主に製品保守やソフト更新にかかわる取引などを一時的に容認するというものです。アメリカの地方ではファーウェイの機器を使って通信網を運営する中小規模の通信会社が多く、保守サービスが受けられなくなれば、利用者に不便が生じる可能性があったので、この様な措置を講じたのだと思われます。
しかし、結局ファーウェイ以外のシステムを導入する事によるコスト増や、また前述した大口取引先を失うという事に変わりはないので、この猶予期間が帰還通り終了するとすれば、あまり大きな意味はないと思われます。
ファーウェイ(華為)の動き(タイムライン形式)
ファーウェイ、アメリカ連邦通信委員会を提訴
2019年12月5日、ファーウェイアメリカの連邦通信委員会による同社製品の排除方針決定は不当だとして、米ニューオーリンズの連邦高裁に提訴したと発表しました。
FCCが米通信会社に同社の製品を使わないよう求める方針を決めたことはアメリカの憲法に反すると主張しています。
雨居rかの制裁に対するファーウェイの提訴は2度目となります。
FCCは11月下旬、通信回線普及を目的とした補助金を受け取るアメリカの企業は、ファーウェイとZTEの製品を購入できない、とする方針を表明しています。
ファーウェイは、FCCが方針決定までファーウェイに反論の機会を与えていないことや、決定に合理的理由がかけている点を挙げています。
アメリカ金融網からファーウェイを排除?
トランプ政権が2019年に入って、ファーウェイを米金融システムから排除する案を検討していたことが分かりました。
この案はファーウェイを財務省の特別指定国⺠と禁⽌対象者リストに追加するもので、最終的には見送られたものの、今後の行方次第では再び検討される可能性があるという事です。
この段階でこの様な話がもれているというのは、もちろん中国への圧力、という事でしょうか。
ファーウェイ排除を加速
2019年11月26日、アメリカはファーウェイなどを念頭に米企業による製品調達を禁じる規制案を公表しました。
スパイ活動を警戒し、中国製品がアメリカ市場に入り込まないよう「抜け穴」を封じる狙いです。
トランプ政権は中国との貿易交渉で部分合意を探るが、対中強硬派の警戒感は根強く、ハイテク摩擦が収束する兆しはみえません。
具体的な内容
規制案は「外国の敵対勢力」が手掛けた通信機器がアメリカの通信ネットワークや安全保障に弊害をもたらすと判断すれば、商務長官が取引をやめるようアメリカ企業に求める内容で、違反すれば罰金が科せられます。
特定の国や企業を名指ししていませんが、ファーウェイやZTEからの製品調達を阻止する目的は明らかと言えるでしょう。
アメリカ、販売規制を一段と
アメリカ政府が、ファーウェイ製品でアメリカの技術が用いられているものについてのの販売制限を強化する可能性があるようです。
アメリカは2019年5月に安全保障上の理由で、政府の許可なくアメリカ企業から部品などを購入することを禁止する「エンティティーリスト」にファーフェイを追加しています。
ただ、現在の規則では海外の重要なサプライチェーンについてアメリカ政府はモニタリングできないので、ファーウェイに対する海外製品販売制限の拡大につながる規則変更についてアメリカの省庁間で協議されているという事です。
具体的な内容
この規則変更が実現すると、アメリカ当局はアメリカ由来の技術やソフトウエア、部品を使って海外で製造された半導体チップなど安全保障に影響のない部品についてもファーウェイへの販売を制限することが可能になるという事です。
ファーウェイがFCCに異議申し立て
ファーウェイは、アメリカの地方通信事業者が政府補助金を利用して同社製品を購入することを禁止するという米連邦通信委員会の決定を不服として提訴することを決めました。
同委員会は前週、ファーウェイとZTEを安全保障上の脅威として指定することを全会一致で決定し、通信ネットワークから両社製の機器を取り除くことも提案しています。
アメリカ、ファーウェイ制裁を一部緩和
2019年11月20日、アメリカがファーウェイに対しアメリカ製品の輸出を限定的に認める手続きを始めたことが分かりました。
トランプ大統領が6月末に制裁を一部緩和する方針を表明していましたが、貿易交渉の長期化や政権内の意見対立でこれまで実施が持ち越されていました。
トランプ政権による今回の決断が中国の譲歩につながるかは分かりません。
どのような製品を認めるかの判断基準は明確にされておらず、輸出許可を申請した企業のみが個別に分かる仕組みのようです。
ファーウェイの減収は1兆円
ファーウェイは、アメリカが設けた輸出制限で消費者向け端末事業の年間売上高が100億ドル程度減少するとの見方を示しました。
ファーウェイは半導体やソフトウエアなど、アメリカ製の部材購入を禁じられており、その影響です。
禁輸措置の対象に先端技術開発拠点がズラリ
19日に発表された禁輸措置の対象について、少なくとも11の研究開発拠点が含まれていたことが分かりました。
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アメリカは生産や販売の分野が中心だった制裁を川上にも拡大し、先端領域で競争力を高めるファーウェイの勢いをそぐ狙いがありそうです。
OSの内製化とアプリストアの普及を急ぐ
ファーウェイが、スマホ用OSの内製化を急いでいます。
19日の禁輸措置強化を受けて、アメリカ企業のソフトが使えなくなる恐れが強まっていて、代替品を自社開発して対抗するというものです。
OSのみならず、アプリストアの普及も目指しますが、どこまで普及するかは分かりません。
アメリカ、禁輸措置強化
2019年8月19日、ファーウェイへの米国製品の禁輸措置を強化すると発表しました。
保守に関わる一部取引のみ認める例外措置を3カ月延長しますが、制裁の緩和には踏み込まない内容です。
引き続き米中対立の大きな火種となりそうです。
ただ、マーケットは米中摩擦の緩和の兆候として一部歓迎するムードにもなっています。
ファーウェイがアフリカで諜報活動の疑惑
2019年8月、ファーウェイの社員がアフリカのウガンダやザンビア政府の諜報活動を手助けし、政敵を監視していたと、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じました。
ファーウェイの社員は両国のサイバーセキュリティーチームに加わり、暗号化通信を傍受したり、政敵をも睨ちんグルする為の活動に従事していたという事です。
もし本当だとすると、アメリカの懸念する事態そのままとなりますが、そもそも真偽は分かりません。
アメリカ民間企業と議会で対応に温度差
ファーウェイへの制裁緩和を巡る綱引きが激しくなっているようです。
民間企業は、政府に対して禁輸措置の見直しを早く決断するよう求める一方、アメリカ議会は逆に規制強化を求めています。
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政府は具体策の検討を急ぎますが、なかなか着地点を探るのに難航しています。
民間企業は、制裁緩和の具体的な中身が一向にみえてこない事にやきもきしています。
トランプ大統領は6月の米中首脳会談後、安全保障の脅威とならない取引は認めると表明したものの、それがどういったものなのか、政権内でも意見が割れているようです。
対中強硬派は制裁緩和を阻止しようと、躍起になっています。
ファーウェイ問題が長引けば、米中両政府が進める貿易協議の足かせとなる可能性がありますし、各社にとってサプライチェーンの組み直しにも引き続き大きく影響するため、難しい経営判断が強いられます。
2019年11月、アメリカが禁輸措置継続も例外措置を90日間延長
2019年11月18日、アメリカはファーウェイに対する事実上の禁輸措置を継続すると発表したうえで保守にかかわる限定的な取引のみ認める例外措置を90日間延長すると発表しました。
米中両政府が貿易協議で部分合意を探るなか、中国が解除を求める同社への制裁は引き続き対立の火種となりそうです。。
中国政府は制裁の解除を求めていますが、アメリカの政府や議会は5Gでスパイ活動に使われるおそれがあるとして排除す方針です。
2019年7月、米国事業の大幅縮小を検討
2019年7月、ファーウェイが米国事業の大幅な縮小を検討していることが分かりました。
制裁でアメリカ企業との取引が事実上禁じられ、事業を従来通り継続することが難しくなったためとみられます。
主にファーウェイ傘下のフューチャーウェイという会社がリストラの対象になるとみられます。
同社はアメリカ国内で研究開発を行う会社で、約850人を雇用しているとされます。
リストラは今後にわたって数百人規模で行われる計画との事です。
ファーウェイのアメリカ市場開拓は元々進んでおらず、地方の通信会社に向けて通信基地局を納入するにとどまっていました。ただ、アメリカでの取引先は1200社を超えるとされています。
禁輸措置における影響は、今後二年間で売上高▲300億ドル
2019年6月17日、ファーウェイはアメリカの禁輸措置による影響で今後2年間の売上高が計画比で計約300億ドル減るとの見通しを明らかにしました。
- 主力のスマートフォンの世界販売は19年に2割減
- 海外販売は4割減
- トータルで年間4000万台の減産
というのがその計算根拠です。
ファーウェイは多くの部品を海外調達しており、世界のサプライチェーンへの影響度合いが気になる所です。
新作PCの販売を中止
2019年6月、ファーウェイが新型ノートパソコンの発売を中止したことが分かりました。
アメリカによる輸出禁止措置で、必要なソフトウエアや半導体が調達できなくなったためという事です。
今後、PC以外でも新たに発売が出来なくなる商品が多く出てくるのかもしれません。
ファーウェイは禁輸措置を受けても自信、秋には自前OSも
ファーウェイは禁輸措置を受けても自分たちの拡大戦略に大きな影響はないと自信を見せます。
アメリカ製と同様の半導体チップを製造する能力があるとずっと言ってきたわけですが、外部調達からの円滑な代替ができるかは不透明です。
また、スマホのOSも自前で開発し、2019年の秋にも搭載すると明らかにしています。
米中対立は、長期の消耗戦の様相を呈しています。
ファーウェイ製の中古スマホ価格急落
ファーウェイ製スマホの中古品の価格が、アメリカの禁輸措置を受けて急落しているようです。
2019年5月下旬現在、店頭価格が1カ月前に比べ半分近くになった機種もみられます。
アメリカ政府による同社への輸出規制で、OSやアプリの利用がしにくくなるといった観測が広がって、買い手が減ったという事が主な要因です。
日本への影響
日本の企業にももちろん影響はあります。
ドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社がファーウェイの最新機種の発売延期や予約停止を発表しています。
これは傘下の格安スマホ業者も大体同じような対応になりそうです。
一方、SIMフリーの端末を扱う格安スマホ各社の一部は計画通りに発売する所もあるようです。
また、家電量販店もSIMフリーのスマホ販売体制に変更はないようです。
2019年6月、NTTの子会社もファーウェイとの一部取引を停止
NTT子会社のNTTエレクトロニクスもファーウェイとの取引の一部を停止しました。
規制対象となる通信チップの出荷を5月20日から取りやめたようです。
NTTは海外事業の強化を掲げており、北米での事業展開に支障が出かねないことを勘案した模様です。
今回取引を停止したのは、光ファイバー通信向けで信号の増幅などの機能を担う通信チップで、取引額は数億円だったととみられます。
ヨーロッパ企業への影響
イギリスのBTグループ傘下のイギリス携帯電話最大手EEは、5月中にも始める予定だった5Gサービスにおいて、ファーウェイのスマホ採用を見合わせます。
ただ、5Gの通信インフラでは一部の製品で同社製品を引き続き使うという事です。
また、ボーダフォンも7月から始める5Gサービス向けのスマホについて、ファーウェイの端末の使用を一時的に見合わせるようです。
エリクソンとノキアがファーウェイの5G顧客を取り合い
ファーウェイが元々5G関連で契約していた所について、フィンランドのノキアとスウェーデンのエリクソンがその後釜を狙おうとして激闘を繰り広げています。
2019年5月29日、ノキアはソフトバンクの5G向け機器の主要納入業者に選ばれたと発表しましたし、エリクソンは最近、デンマークの通信大手TDCからも5G導入にあたりファーウェイ機器から同社製品に切り替える契約を獲得したと発表しています。
両社にとっては今回の禁輸措置はビジネス拡大に一役買っています。
韓国への影響
米中のはざまでジレンマ
韓国自体はかなり弱い立場になっています。
アメリカが次世代通信網からの同社製品の排除を働きかければ、中国は取引を打ち切る韓国企業を制裁対象とするカードをちらつかせたりして、どうするべきか迷っている感じです。
安全保障を米国、経済を中国にそれぞれ頼る韓国のジレンマは深まるばかりです。
韓国サムソンは漁夫の利
韓国のサムソンはファーウェイのスマホ市場でのライバルですが、今回のファーウェイ制裁によって、同社の業績に追い風になるとの見方が出ているようです。
アメリカの規制が続けば、サムスンの2019年のスマホ事業の利益が約1300億円程度押し上げられるとの予想も浮上しているようです。
台湾企業は苦境に
台湾の半導体製造メーカーも大きな痛手を受けているようです。
半導体受託生産の世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)は、ファーウェイ向けの納品が成長のけん引役だった事もあり、大きな試練を迎えています。
同社のカリスマ創業者だった張忠謀氏の引退から1年たち、新しい経営陣はかなり厳しい危機に見舞われています。
TSMCは他の半導体メーカーと同様、ファーウェイとの取引を継続する方針ですが、業績への影響は避けられないでしょう。
アナリスト予想では、2019年12月期の純利益は前期比▲5%の見通しで、今後の貿易摩擦次第でかなり不当目な所が多いようです。。
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