過去のアーカイブ ブラジル

この記事は過去のアーカイブです。ブラジルの記事のうち、データとして古くなったものをこちらに格納しています。本ブログは以下からアクセスしてください。

ブラジルのブログ

2020年12月

2020年12月 政策金利を据え置き

ブラジル中央銀行は12月9日、政策金利を年2%で据え置くと発表しました。

これで3会合連続の据え置きです。

景気回復に伴い物価は上昇傾向にあるものの、先行きが依然として不透明なことから、金利水準を維持する事にしました。

11月の物価上昇率は年率4.31%と、2019年12月以来の高水準となっています。

中銀は向こう2年間のインフレ期待が目標に向かって上昇していることに言及した上で、金利を低水準に維持する条件が近く満たされなくなる可能性があるとし、低金利方針が維持できなくなる可能性を示唆しました。

2020年7-9月GDPは前期比+7.7%

12月3日発表された2020年7~9月期のGDPは前期比7.7%増でした。

4~6月期の9.6%減から復調し、3四半期ぶりにプラスを記録しています。

内訳は、

  1. 製造業は前期比14.8%増、
  2. サービス業も前期比6.3%増
  3. 家計消費は7.6%増

と特に製造業が強かったようです。

また、金融緩和で不動産価格や株価が堅調な中、富裕層の消費も活発となりました。

政府の財政支出も景気刺激策として奏功しており、ボルソナロ政権は低所得者や失業者向けの現金給付を実施しており、これが家計消費の落ち込みを防ぎました。

もっとも今後の見通しは予断を許しません。

他の新興国と同様に財政不安が付きまといます。

巨額の財政出動で政府債務のGDP比率が90%に達している状況です。

2020年10月

2020年10月 政策金利は据え置き

2020年10月28日、ブラジル中央銀行は政策金利を過去最低の2%に据え置くとともに、予見可能な将来について金利を据え置く方針を確認しました。

ただインフレや過剰な財政支出を巡る懸念は広がっています。

金利据え置きは2会合連続です。

今回の据え置きは予想通りです。

中銀政策委員会は声明で、インフレ期待は目標を大きく下回っており、低い政策金利に関するフォワードガイダンスの条件は引き続き維持されていると指摘しました。

「現行の財政政策は変更されておらず、長期のインフレ期待は依然としてかなり安定している」

とコメントしています。

中銀はインフレ期待が目標を下回っている限り政策金利を過去最低水準に維持する方針を示唆した8月に、フォワードガイダンスを導入しました。

ただ市場では、1月にも利上げ局面が始まるとの見方から、利回り曲線はスティープ化している状況です。

来年にどの程度の財政刺激策が維持されるかや、政府がそれをどう負担するかを巡る不透明感が国内金融市場で大きな懸念材料になってきています。

2020年9月

2020年4-6月期GDPは前期比▲9.7%

2020年9月1日発表となった2020年4~6月期の実質GDPは前期比9.7%減でした。

これは2四半期連続のマイナス成長で、16年以来の景気後退入りとなります。

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、金融危機や資源バブルの崩壊時を上回る落ち込み幅となりました。

この下落幅は1996年の統計開始以来、過去最大となります。

内訳は、

  • 製造業が前期比で12.3%減
  • サービス業が同9.7%減
  • 農業は輸出が堅調で0.4%増

となりました。

2020年8月

2020年8月、利下げで実質マイナス金利

2020年8月5日、ブラジル中央銀行は政策金利を年率で0.25%引き下げ、過去最低の2%に改めると決めました。

これは物価上昇率を下回る水準で、実質金利はマイナスとなります。

新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、金融政策で景気を下支えする一方、通貨安を促す可能性もあり、注意が必要です。

中銀は

「経済はロックダウンの影響を受けている分野が衰弱している」

と指摘し、経済を支える為金融緩和が必要だと強調しました。

その一方で、利下げ余地が限られているとも説明し、利下げを続けてきた従来の金融政策を見直す可能性を示唆しました。

しかし、中銀はインフレ予想が目標レンジに十分近づくまでは、金融緩和策を維持する方針も示しており、予断は禁物といった所です。

中央銀行は2020年、2021年のインフレ見通しを、それぞれ2.0%、3.2%としています。一方で、中銀のインフレ誘導目標(中央値)は、2020年が4.00%、2021年が3.75%と、インフレ見通しを大幅に上回っています。

利下げ局面終了後は量的緩和の行方に注目

コロナウイルス対策のための利下げ一巡後は、量的緩和策導入の行方に注目が集まりそうです。

次回の利下げは小幅になると中銀は言っていますが、マーケットでは0.75%の利下げとなるとの予想もあり、そうなると2.25%という金利になります。

本当にそれで終わるかどうかは分かりませんが、いずれにせよ金利引き下げの余地は少しずつなくなってきています。

利下げ一巡後は、国債および社債の買い入れなど含む量的緩和策導入の行方に注目が集まりそうです。

2020年8月は、売り優勢のレアル

財政規律のゆるみが嫌気され、ブラジルの通貨レアルが売られています。

2020年8月17日には対ユーロで過去最安値を更新し、対ドルでも約3カ月ぶりの安値を記録しました。

通貨安は輸入物価の上昇によるインフレを招く可能性があり、ブラジル経済にとって新たな不安要素となっているようです。

ブラジル市場の終値で1ユーロ=6.54レアルと、過去最安値を更新した。年初来の下落幅は31%に達しています。
対ドルでも1ドル=5.5レアルと同27%安で、約3カ月ぶりの安値となりました。
通貨下落の背景にあるのが、財政規律の緩みに対する警戒感です
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府内では失業者向けの現金給付の再延長や大規模な公共事業案が浮上しています。
経済政策を統括するゲジス経済相は財政赤字の拡大に反対していますが、次の大統領選を巡って財政支出を拡大させるべきという人間もおり、政権内での不一致が取り沙汰されています。
ゲジス氏とボルソナロ大統領は17日にも会談したようですが、結論は出なかったようです。
相次ぐ利下げで政策金利が過去最低の2%となる中、先進国との金利格差縮小で財政赤字と経常赤字の「双子の赤字」を抱えるブラジルの通貨は売られやすい地合いとなっていた所、今回の財政規律のゆるみ問題が出てきて一気に売り優勢となったわけです。
新型コロナ対策が長期化する中、ボルソナロ政権の改革路線が鈍化したとして、経済省からは幹部が次々と離脱しているのも気がかりです。
17日にもマクロ経済政策を担当する次官が辞意を表明しており、経済政策の先行きに不透明感が増し、これもレアル売りの材料となっています。

低所得者への現金給付策拡充を一時停止

2020年8月26日、ボルソナロ大統領は低所得者への現金給付を大幅に拡充する計画について、一時停止すると発表しました。

2022年の大統領選を見据えるボルソナロ氏と財政赤字の拡大を懸念するゲジス経済相との路線対立が表面化し、市場では通貨売りが加速していました。

ボルソナロ政権は「ボルサ・ファミリア」と呼ばれる、貧困家庭向けの現金給付を「ヘンダ・ブラジル(ブラジル所得計画)」に刷新し、支給額の増額や支給対象の拡充を計画していました。

しかし、ボルソナロ氏は26日の演説で

「昨日議論したが、一旦、停止することを決めた。(法案を)議会に送らない」

と発言しました。

ボルサ・ファミリアは16年まで続いた左派政権の看板政策で、「小さな政府」路線を掲げるボルソナロ氏はかつて批判していました。

その後、2022年の大統領選に向け、低所得者の支持を獲得するために方針を転換し、拡充に向けて動いていました。

しかし財源が見つからず、支給額を巡り経済政策を統括するゲジス氏と折り合いがつかない状態となっていました。

2020年7月

ブラジルレアルは横ばい推移?

2020年7月現在の状況を考えると、ブラジルレアルが大きく下落する可能性は低いものの、上値を追うような展開も考えにくそうです。

背景

要因はいくつかあると思われます。

  1. 証券投資による売り圧力が和らいでいること(下落圧力弱まる)
  2. 経常収支も改善(上昇要因)
  3. インフレ懸念が乏しい中で、ブラジル中銀が通貨安を警戒する可能性が低い(横這い)
  4. 海外からブラジルへの投資が大幅に増加するような経済状態ではない(横這い)

等です。

ただ、世界経済の先行きが依然として不透明で、金融市場のボラティリティも高止まりしているため、横ばいと言ってもその動く範囲は少し大きくなるかもしれません

8月に0.25%の利下げが大方の予想

2020年7月27日、ブラジル中央銀行が公表した週間エコノミスト調査で、年末の政策金利予想は2%でした。

年末時点の政策金利は、4週連続で2.00%との見通しが示されました。

中銀は来月の決定会合で政策金利を0.25%引き下げて過去最低の2.00%とするとみられています。

2回目の検査も陽性

2020年7月15日、ボルソナロ大統領は新型コロナウイルス感染の再検査でも陽性だったと記者団に明らかにしました。

今回の検査で陰性なら通常の公務を再開すると発言していましたが、そうはならなかったようです。

陰性を報告

2020年7月25日、ボルソナロ大統領はみたびPCR検査を受け、陰性だったと明らかにしました。バイクを運転する姿を公開するなど回復した様子で、新型コロナがただの風邪だという主張を身をもってアピールしました。

2020年6月

2020年1-3月のGDPは▲1.5%

1~3月期の実質経済成長率は前期比1.5%減で、5四半期ぶりのマイナス成長となりました。

国内経済への直接的な影響は限定的でしたが、輸出低迷に引きずられる形で製造業・サービス業ともふるいませんでした。

回復途上にあった家計消費も低迷していて、新型コロナの影響が出始めています。

家計消費は13四半期ぶりにマイナスです。

輸出が前期比0.9%減とマイナスに転落して、国内経済に波及しました。
ブラジルは15~16年のマイナス成長から回復途上にあった所が、新型コロナで冷や水を浴びせられました。

政治的な混乱を嫌気して外国人投資家は逃避

2020年6月現在、株式・債券市場の外国人投資家が政治的混乱を嫌気して資金を引き揚げ続けています。

外国人投資家は2月から5月までの4カ月間にブラジルの株式市場から118億ドルの資金を、2月から4月にかけては債券市場から187億ドルをそれぞれ引き揚げたようです。

ブラジルから国外へ流出した資金は、大半の新興国からの流出を大きく上回っています。

新興国全体としては、3月にほぼ830億ドルの資金流出に見舞われたものの、投資家が先進国で得られるより大きなリターンを求めたことから、4月と5月には計230億ドル近い資金が戻ってきて、一部には資金の流れに反転もみられます。

一方でブラジル人はブラジルに楽観的です。

外国人投資家は株式・債券市場から大量の資金を引き揚げたものの、ブラジル人投資家がほぼ同じ額を市場につぎ込んだと見られます。

外国人投資家の資金がいつ戻ってくるかが、ブラジル資産の戻りを試すポイントになりそうです。

2020年6月、0.75%の利下げ

2020年6月17日、ブラジル中央銀行は政策金利を0.75%引き下げ、過去最低の年2.25%としました。

新型コロナウイルスの感染拡大で経済の苦境が続く中、金融政策で景気を刺激します。

0.75%の下げ幅は前回会合に続く水準で、利下げは8会合連続です。歴史的に高金利国のブラジルとしては過去に例のない低金利となります。

中銀は声明で

「普通ではない、強い金融刺激策が推奨される」

と今回の利下げの目的を説明しました。

また、中央銀行は景気支援に向けた追加緩和策の余地が幾分あると指摘し、今年のインフレ率が目標を大幅に下回る水準で推移し、来年も目標を下回る見通しであることを踏まえて、今後数カ月に追加緩和を実施する可能性を示唆しました。

この追加利下げの余地についてのコメントについては、追加利下げがあったとしても0.25%ポイントの小幅なものにとどまると思われますが、今回で利下げサイクルの終了を見込んでいた市場参加者にとってはややサプライズの内容だったと思われます。

直近の調査ではマイナス6.5%成長、中銀調査

2020年6月8日、ブラジル中央銀行が発表した週間市場調査によると、2020年のGDP成長率見通しは平均マイナス6.5%となり、17週連続で悪化しました。

前週の調査ではマイナス6.25%と予想されていました。

今回の数値は、政府見通しのマイナス4.7%をほぼ2%ポイント下回った数値です。

レアルは2020年5月下旬以降急反発

ブラジル・レアルは、年初から5月13日までに対米ドルで32%下落したものの、そこから6月上旬までに20%程度上昇しました。

要因

反発の要因として、

  1. 世界的な投資家心理の改善
  2. 国内の政治的不透明感の後退
  3. 実需の資金フローの改善

などがあげられそうです。

ブラジルでは引き続き新型コロナウイルス問題の収束の目処は立っておらず、投資家を不安にさせています。

しかし、相対的な経済の弱さは貿易収支を改善させ、また、渡航制限の継続もブラジルのサービス収支にとっては好材料となります。

単に新型コロナウイルスの新規感染者数が多いことや経済の弱さが通貨安に直結するとは限らないと言えそうです。

低金利下で株式への資金流入が続く

2020年6月現在、ブラジル中銀による積極的な利下げを受けて、低水準の国債利回りが長期化する観測が増し、高い投資リターンを求めて株式型ファンドへの資金流入が続いています。

2020年1-4月の株式型ファンドへの純資金流入額が年率換算値で1,383億レアル(約2.8兆円)へ拡大するなど、ブラジル株式への投資需要が高まっているようです。

ただ、これもコロナウイルスの感染拡大状況を見ながらの動きになると思われ、感染拡大をどうやって抑え込めるかという点への注目は引き続き高いでしょう。

2020年5月

2020年末政策金利予想は2%

2020年5月現在の、年末時点の政策金利の予想は、2%台前半です。

また、今年のインフレ見通しも一段と下方修正されました。

元々は4.25%で利下げ打ち止めと考えられていたが・・・

ブラジル中銀のインフレ率のシナリオは、20年は3.5%、21年は3.8%です。

前提は為替レートは1ドル=4.25レアルが続く、というもので2020年3月時点では4.3レアルを超えていますので、想定を超えたレアル安です。

政策金利は4.25%から21年末には6%に引き上げるとしていました

別のシナリオでは、為替の前提は同じですが、政策金利を4.5%に維持するケースが示されています。

この場合のインフレ率は20年は3.5%で先のシナリオと同じですが、21年は3.8%になるとの試算を示しています。

どちらにしても、ブラジル中銀のインフレ目標である4.25%±1.5%を満たしています。

足元のインフレ率を見ると12月は前年比で4.3%となっており、既にブラジル中銀の見通しを上回っています。

中銀は政策金利の水準について、以前から緩和的水準(中立金利を下回る)と述べていました。

このため、インフレを考えるなら一段の利下げはないでしょう。

しかしコロナウイルスと米中貿易合意に伴うブラジルの対中輸出の影響が大きいと、景気後退懸念が更に強まり、利下げをもう一段するという可能性もありました。

5月6日に予想を上回る0.75%の利下げで政策金利は3%

2020年5月6日、ブラジル中央銀行は政策金利を0.75%引き下げ、過去最低の年3%としました。

新型コロナウイルスの感染拡大で経済が縮小する中、市場予想を大きく上回る利下げを行って経済の下支えをします。

利下げ幅は2017年10月以来の大きさです。

一方で、通貨レアルは軟調で資金流出が加速する可能性があります。

市場では前回会合と同様の0.5%引き下げを予想する声が強かったようですが、中銀は経済活動の収縮が前回会合に比べ著しく大きく、また3月の物価上昇率が年率3.3%と低水準だったことから、大幅利下げを行ったようです。

また、追加の利下げも示唆しました。

中銀は、

「委員会は次回会合に向けて、財政シナリオと経済指標次第では、今回よりも小幅な金融緩和を検討する」

とコメントしています。

ただ、マーケット関係者は、成長とインフレの見通しを考慮すると、次回会合も75bpの利下げになると考えている人も多いようです。

加えて、中央銀行が気にするのは政権と議会などが対立する今のブラジルの政治状況でしょう。

このままの状況だと期待される将来の構造改革に不安がよぎります。

格付け会社フィッチが見通しを引き下げた背景には財政改革への不安があるわけですから、ブラジル中銀としても、慎重な利下げスタンスを選択する必要があると思われます。

4月のインフレ率は前月比▲0.3%で次回利下げを後押し

2020年5月8日に発表された4月の拡大消費者物価指数(IPCA)は前月比0.31%下落し、1998年8月以来の大幅なマイナスとなりました。

新型コロナウイルスの危機と景気後退により物価が急落し、金利はさらに低下するとみられます。

市場予想は0.2%下落でした。

燃料価格が10%近く下落し、ガソリンは9.3%下落と、値下がりが目立ちました。

3月の3.3%上昇から鈍化し、市場予想の2.49%上昇を下回っています。
中銀の物価目標である4.00%を大幅に下回っています。
次回会合で利下げすることを示唆した中銀ですが、データでもそれが後押しされました。

5月上旬に対円・対ドル両方で過去最安値を更新

ブラジルレアル相場は、5月に入ってから格付け会社の格付け見通し引き下げ等から下落し、5月8日時点では1ドル=5.8レアル台、対円でも1レアル=18.1台となりいずれも過去最安値です。

2020年4月

3月と4月も最安値を複数回更新

世界的な大暴落が起きた3月6日以降、ブラジルにも大きな影響が及びました。

サウジアラビアとロシアの減産協議が3月6日に不調に終わると、レアルは大きく下落し、6日だけで下落率は9%程度に達しました。

その後、何度もレアルは史上最安値を更新し、もはや底が見えない状況になりつつあります。

ただ、こういった所で時間分散をきかせて少しずつ拾っていくというのが長期的な成功の秘訣です。

史上最安値については記事の下の方で言及していますのでご参考ください。

2020年4月以降もコロナウイルスが引き続き重しに

ブラジルレアルは4月に入ってもコロナウイルスの直接・間接的な要因でなかなか上値が重そうです。

中国での新型肺炎流行による景気減速懸念を受けて2020年初頭からレアル相場には下落圧力が掛かっていましたが、そこにコロナウイルスの間接要因であるOPECプラスの協調減産瓦解による原油市況の低迷が重なり、レアルはかなり厳しい状況となっていました。

足下も基本構造は変わっていません。

OPECプラスによる協調減産期待から底打ちしているものの、既に企業マインドは過去最低となっており、新型肺炎流行に伴う景気悪化や、財政悪化懸念はレアル相場にとって大きな重しです。

2020年4月、政治不安で大幅安に

2020年4月中旬から下旬にかけて特に台頭した政治不安で、レアルのみならずボベスパも大きく下げました。

ボルソナロ大統領は4月16日、自治体による規制の強化などを支持する保健相を解任し、24日には、モロ法務・公安相が辞意を表明しました。

感染拡大の抑制に向けた対応で国民の支持を集めていた保健相の解任に続き、看板閣僚が辞意を表明したことを受けて政局不安が高まり、ボベスパ指数は4月24日に前日比5%超の下落となりました。

元々0.5%~0.75%の利下げ予想

2020年4月20日、ブラジル中銀のロベルト・カンポス・ネト総裁はビデオ会合で、追加利下げを示唆する発言をしました。

市場では次回5月6 日のブラジル中銀の金融政策委員会において0.5~0.75%の利下げが実施されるとの観測が高まりつつあるようです。

4月下旬、対円、対ドルで史上最安値を更新

2020年4月24日、レアルは対円・対ドルで史上最安値を更新しました。

対円では1レアル=19.2円、対ドルでは1ドル=5.59です。

背景は、

  1. コロナウイルス問題に伴う経済の停滞
  2. 原油安によるブラジル経済への懸念
  3. 金利低下
  4. 政治の混乱

でしょうか。。。

ここ数か月で何度も史上最安値を更新しています。

新型コロナウイルスはしょうがないことかもしれませんが、政治問題について人為的なものです。

海外の投資家としては見守るしかない所ですが。。

コロナ対策で対立していた保健大臣を解任

2020年4月16日、ボルソナロ大統領は新型コロナウイルスの感染防止策を巡りマンデッタ保健相を解任しました。

大統領は、マンデッタ氏が支持する外出自粛令などの社会隔離政策が経済を破壊すると主張していました。

そこで、対立するマンデッタ氏を解任したわけです。

ただ、大多数の国民は隔離政策を支持しており、政権への批判が高まって政治不安が起きる事が懸念されます。

新型コロナを「ただの風邪だ」と軽視するボルソナロ氏の支持率は下落しています。

マンデッタ氏の後任には前保健相顧問のネルソン・タイシ氏を充てます。

タイシ氏は就任演説で隔離政策についてはすぐに変えないとしつつも、大統領と協力して諸々の政策を推進する姿勢を示しました。

格付けが投資適格に戻れば・・・

ブラジルの場合は政治です。

政治家が目先の人気取りに目がくらまず地道な財政運営と構造改革を行ってファンダメンタルズの回復に努めれば相当レアル投資家やブラジル株の投資家は儲かるでしょう。

格付けも2018年現在非投資適格ですが、これが投資適格に戻ればレアルの1レアル=40円といった懐かしい水準も回復できます。

それまでは辛抱強く待つしかないか、それとも諦めるか・・・

2020年3月

 

コロナウイルス相場時のブラジル株式市場の状況

2020年3月のブラジル株式市場は他国の株式相場と同様大きく売られています。具体的な状況はどうなっているでしょうか。

急落を主導する大きな要因は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大懸念による世界経済の不透明感です。

これを嫌気した海外投資家の資金流出がブラジル株式を軟調にしていると考えられます。

2020年のブラジル株式市場における海外投資家の累積資金流出額は、既に約1兆円を超えています

これは既にリーマン・ショック時を上回るレベルなのです。

割安感が少しずつ出ている?

ブラジル資産に割安感も生まれつつあります。

どこまで景気後退があるのか慎重に見極めなければなりませんが、少なくとも現時点でのブラジル株式の12カ月先予想PERは、10倍台と、2019年5月以来の低水準まで低下しています。

新型コロナウイルスの影響の度合いが徐々に分かってくる中で、相場環境が安定化する過程では、ブラジル株式が見直される可能性もあると思われます。

3月20日には非常事態を宣言

2020年3月20日、ブラジル政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、非常事態を宣言しました。

これにより感染拡大抑制に向け連邦予算の利用が可能になります

ボルソナロ大統領は、国内の新型ウイルス感染拡大は6月が正念場になると予想しているようです。

ブラジルはすでに中国とEUからの入国を禁止している状況です。

大規模な流動性供給策を発表

2020年3月23日、中央銀行が大規模な流動性供給策を発表しました。

これによってすでに発表されていた政策と合わせれば、1兆2,160億レアル(24兆円程度、対GDP比16.7%)の資金が供給されるとの試算になります。

国内でコロナウイルス感染者が拡大する中で、中央銀行として出来る事はとにかくやるという姿勢です。

中央銀行が為替介入

2020年3月9日の暴落を受けて、ブラジル中央銀行は対ドルでのレアル安を止めるため、合計2回の為替介入をした模様です。

金額は35億ドル規模と見られます。

中銀のブルノ・セラ理事は同日、必要な限り介入を続けるとして市場参加者をけん制しました。

更なる利下げを正当化するレポート

中央銀行は3月26日発表のインフレ報告書で2020年の成長率が0%になるとの見通しを示しました。

低成長に加えてインフレ率も抑制された状態が続く見通しで、これは追加緩和を正当化する内容です。

また利下げが行われることになるかもしれません。

利下げ

直近では2020年3月18日、ブラジル中央銀行は政策金利を0.5%引き下げ、過去最低の年3.75%としました。

これで利下げは6会合連続となりますが市場予想とはほぼ合致した結果となったようです。

中銀は前回会合で利下げサイクルの終了を示唆していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、追加利下げに踏み切りました。

中銀は、新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済を大きく減速させ、コモディティ価格の下落、不安定な資産価格の変動を引き起こし、ブラジルを含めた新興国経済が苦境に立たされているとの認識を示し、金利引き下げの理由としました。

また、今回の利下げはFRBの緊急利下げに追随したものと受け止められますが、レアルの下落が止まらない中、金利低下は通貨安を加速させる懸念もあります。

また、今後の金融政策については、今回決定した政策金利の水準を維持することが適切であるとし、更なる利下げには慎重な姿勢を示しました。

2020年5月の金融政策決定会合では0.5%~0.75%の利下げ予想

2020年4月20日、ブラジル中銀のロベルト・カンポス・ネト総裁はビデオ会合で、追加利下げを示唆する発言をしました。

市場では次回5月6 日のブラジル中銀の金融政策委員会において0.5~0.75%の利下げが実施されるとの観測が高まりつつあるようです。

2020年はコロナウイルスの影響もあり不透明なるも、IMFは改革を評価

2020年3月現在、ブラジル景気の先行きをみると、不透明感が強いと言えます。

主な要因

  • コロナウイルスで輸出相手国である中国の景気が急激に悪化していること
  • レアル安に伴って部品を海外から仕入れる製造業の苦境
  • 構造改革の停滞懸念
  • 頭打ちがみられる国内景況感

などが挙げられます。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ブラジルの主要輸出品目である農畜産物や資源価格は下落基調が続いています。

レアルは1ドル=4.5レアルと過去最安値を更新するなど、対ドルで年初来から1割以上低い水準で取引されており、輸入品に頼る製造業などで影響が出始めています。

因みに、IMFは2020年1月に更新した世界経済見通しで、世界主要国の20年の経済成長率予測を下方修正したにもかかわらず、ブラジルに関しては成長率見通しを2.2%に上方修正しています。

愚直に経済構造の改革を進めていってほしいものです。

300億ドルの経済対策を発表

2020年3月16日、ブラジル政府は新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響を和らげるため、約1500億レアル(300億ドル)の景気支援策を発表しました。

ただ、新たな歳出は含まれず、社会保障給付の前倒しや企業の納税延期などの措置が柱となっているようです。

  1. 社会保障関連が834億レアル、
  2. 企業の雇用維持支援が594億レアル、
  3. 新型ウイルスに直接対処する費用が45億レアル。

また、ゲジス経済相は新型ウイルス蔓延に伴って成長予測の見直しを行っている事も明らかにしました。

既にブラジルが景気後退に陥るとの見方が高まっていて、景気を支えるため財政規則を緩和するよう政府に求める声が上がっています。

ゲジス氏は、歳出上限のルールは変更しないと強調したが、財政赤字に関するルールを見直していることを明らかにしています。

2020年3月時点のブラジルの今後の金融政策のシナリオ

ブラジルの金融政策は、直前会合で一旦利下げは停止という見方が強かったですが、どういったシナリオが考えられるでしょうか。

2020年3月4日、ブラジル中銀が新型コロナウイルス問題に対応する政策を打つ旨の声明文を公表しました。

それと同時に金融市場ではブラジルレアル安が収まらない中、2020年3月18日の金融政策会合で利下げに踏み切るとの見方が浮上して短期金利は低下し通貨安圧力が更に強まりました。

実際に、拡大消費者物価指数は1月の前年同月比+4.2%から2月は+4.0%へと小幅低下し、中央銀行の2020年のインフレ目標圏(4.0%±1.5%)の中央値と同水準となっています。

これはつまり、今回の金利引き下げで実質金利(金利からインフレ率を引いたもの)がゼロになっている事を意味します。

その意味でも政策金利が当面は3.75%に据え置かれる可能性は高いかもしれません。

ただ、今後の政策決定はあくまでこれから発表される経済のデータ次第とも述べ、追加利下げの可能性を完全には排除しませんでした

ブラジルレアル、2020年3月3日に対円で過去最安値を更新

コロナウイルスの影響で中国経済がしぼむと考えられ、その中国を最大の輸出相手国とするブラジルの通過も売られた、といった所でしょう。
詳細は下段に記述していますのでご確認ください!

最安値更新

2020年2月28日、レアルは対円、対ドルどちらとも最安値を記録しました。

その後、更に円高の影響で3月3日に対レアルで過去最安値を更に更新しました。

新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、中国への輸出が減速するとの懸念が広がっている為です。

特に2020年2月24日からの一週間は世界的にマーケットが総崩れとなりブラジルレアルも売られる対象となりました。

2020年2月

利下げ

直近では、2020年2月5日に0.25%引き下げ、過去最低の4.25%としました。

これで5会合連続での利下げですが、今回の利下げ局面では最も小幅なものとなりました。

足下でブラジルレアルは過去最低水準にある為、ドラスティックに下げるわけにもいきません。

決定は全会一致でした。

通貨レアルが過去最低水準にあり、経済成長が今年加速すると見込まれる中、アナリストは追加利下げの余地は少ないとみています。

その意味では仕込んでいいのかもしれません。

2020年1月

米中貿易摩擦第一段階合意の余波でレアル安に?

2020年1月、ブラジルの通貨レアル相場は頭打ちする対照的な展開をみせていますが、これは米中貿易摩擦の合意第一弾が影響していると思われます。

ブラジルは米中摩擦の背後で中国向け輸出を拡大させていましたが、今回はその逆回転といった所でしょうか。

米中合意に伴う中国の米国産農産品輸入拡大の「しわ寄せ」がブラジル経済にとってはマイナスとなり、それが嫌気されてレアルが売られる、といったものです。

ここ最近はインフレ率も底入れして追加緩和余地が限られる一方、政府は通貨安を容認する姿勢を示すなど相場の上値は重い状況です。

こうした中では、構造改革の進捗が引き続き試されるかもしれません。

 

2020年1月に対ドルで過去最安値を更新

2020年1月の最終週、レアルは対ドルで3営業日連続で続落し、年初からの下落率は6.1%となってしまいました。

ブラジル中央銀行は2020年1月30日にドル売りレアル買いの為替介入を実施すると発表しましたが、通貨安を食い止められていません。

ブラジルにとって中国は最大の輸出先で、輸出総額の3割近くを占めていますが、今回のコロナウイルスで、対中輸出の減速は避けられないとの見方が強まっています。

特に今回の動きはリスク回避の側面が強く、円が強含んで推移したため、対円での下落は大きくなっています。

2019年12月

2019年後半、株は上昇したのにレアルが売られた理由

年金改革以降、株は最高値を更新した一方、レアルは対ドルで最低値を記録するなど弱くなっています。背景には政治的な要因がありそうです。

2019年10月以降、年金改革成立を受けて、税制など企業業績面でプラスに繋がるさらなる構造改革が前進するとの期待が高まり株価は最高値を更新しました。

しかし、レアル相場は対照的に上値が重く、対ドルで過去最低値を記録したりしました。

この背景には、

  • 与党PSL内での派閥抗争が激化するなどの動きが表面化したこと
  • 収監されていたルラ元大統領が釈放され『反ボルソナロ』派の結集を呼び掛け、政界再編を目指す動きを活発化させたこと
  • 中南米諸国での反政府デモの動きが伝播し政治的に不安定な状況が続くのではないかという懸念があったこと
  • アメリカがブラジルに対して鉄鋼の関税引き上げを表明したこと

がありそうです。

invstem.com

レアル投資家は、株投資家と比べて少し慎重になっていたという所でしょうか。

こうした低い所で少しずつ拾っていくのが長期投資の王道です。

直近の経済成長率

2019年12月3日、同年7~9月期の経済成長率が前期比0.6%増、前年同期比では1.2%増であったとの発表がりました。

伸び率が4~6月期実績から0.1ポイント伸びています。

インフレ率や政策金利が歴史的な低水準にあるなか、消費が持ち直したという事でしょうか。

一方、農業分野は奮いませんでした。

最大の輸出国である中国でアフリカ豚コレラが流行し、飼料用大豆の輸出が急減した事が原因です。

ブラジル政府は2019年11月に2019年の成長率の見通しを0.9%と、従来予測から0.05ポイント引き上げています。

2019年10月

年金改革法案が成功し、勢いに乗れるか

2019年からボルソナロ大統領政権が始動し、マーケットは注目していました。

どこまで彼がブラジルの政治や様々なムダを削減できるのか見ているわけです。

その中で一つ注目なのが年金改革法案だったわけです。

そして、一つの節目が2019年10月下旬に訪れました。

2019年10月22日、ブラジル上院は年金改革法案を可決しました。これによりブラジル株は過去最高値を記録しています。

上院は、年金改革法案の骨格案を60対19の賛成多数で可決しました。

ボルソナロ大統領が行っている政策についての進捗をフォローしている記事は以下からご確認ください。

ブラジル大統領ボルソナロ氏の経済政策に関するまとめ

年金改革法案がブラジル経済に与える影響

年金改革法案の成立は二つの意味でブラジル経済に好影響を与えたと思われます。

  1. 中央銀行が利下げシナリオを維持できたこと
  2. 年金改革の「次」の道筋をつけたこと

ブラジルのGDP成長率は15~16年ごろの最悪期からは改善しているものの、引き続き低水準で、金融緩和による刺激が必要な状況です。

ただ、ブラジル中央銀行は利下げを続けることが出来る要因として年金改革法案の動向をあげており、これがとん挫していたら、利下げして景気回復を行うというシナリオが崩壊していました。

次に、行政・財政改革案への道筋をつけた点です。

その詳細は以下に記していますのでここでは割愛しますが、この改革には憲法改正が必要で6割の賛成がなくてはなりません。

少数与党のボルソナロ政権は引き続き厳しい状況ですが、年金改革法案の2回目の採決で賛成が、1回目の採決より増えるなどボルソナロ政権の政策に支持拡大の動きが見られており、この勢いで以てすれば憲法改正を含む改革も可能となるかもしれません。

2020年の利下げは打ち止め?

中央銀行は、2020年以降については利下げサイクルの停止といったややタカ派的な見通しを示しました。

予想外のタカ派コメントに市場も反応しています。

しかし、インフレ率の低下がさらに進行した場合には、さらなる利下げを行わざるを得ないと、マーケット関係者はみています。

2019年9月

2019年9月 利下げもあり史上最高値圏で推移

2019年は利下げ予想もあって株式市場が好調でした。

7月に利下げをしてからも同様で、2019年9月現在では最高値圏で推移しています。

このため、今からここに入り込むのは少し勇気がいる所ですが、ボルソナロ政権の諸々の改革が遂行されていけば十分まだ上がる余地はあるでしょう。

2019年8月

外貨準備を活用したレアル買い介入も実施

ブラジル中央銀行は2019年8月に起きたレアル下落圧力を抑制するために2009年2月以来の、米ドル売り介入策を行いました。

8月21日から29日の間に最大で38億ドル程度の米ドル売り加入を実施するというものです。

ブラジルの外貨準備は?

ブラジルの外貨準備は直近で3800億ドル強あります。

今回の為替介入のレベルはたったの1%なので、特に心配はないと思われます。

2019年第二四半期の成長率

2019年8月29日に発表された2019年4~6月期の経済成長率は前期比0.4%増と、2四半期ぶりにプラス成長に転じました

企業の設備投資が持ち直し、景気後退入りは避けられました。

ちょっと詳しく
  • 設備投資など固定資本形成が前期比+3.2%
  • 家計消費も同+0.3%
  • 輸出は同▲1.6%と低迷

アルゼンチン向け工業品輸出が減っている事や、豚コレラの影響で中国向け大豆輸出が伸び悩んだことが輸出低迷の要因です。

アマゾン火災問題が長引くと、輸出にも影響を与えてしまう可能性があります。そこが少し心配です。

国有企業改革も前進

2019年8月21日、ブラジル政府は郵政電信公社など国営・国有17社を2019年末までに民営化すると発表しました。

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ボルソナロ政権の「小さな政府」路線の目玉政策の一つです。

肥大化した国営・国有企業の経営効率化と政府保有株の売却で財政再建を加速させますが、まだこれでは終わらず、国営石油会社ペトロブラスも含めたさらなる民営化案も浮上しているようです。

ただ、これまでは、政府が民営化を提案しても、既得権益を守りたい議員の反対で、骨抜きされるケースが多くありました。

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最近で言うと、、、

2017年にはテメル前政権がエレトロブラスや造幣局の民営化を提案しましたが、議会の賛成を取り付けられず、失敗に終わったという経緯があります。

この民営化改革が上手くいけば、もちろんレアルにとっては追い風となるでしょう。

2019年8月発生の森林火災問題

2019年8月に発生したアマゾン森林火災への対応を巡って、世界があボルソナロ政権を批判しています。

批判されるだけならまだ良いですが、代償として色々なペナルティが起きてしまう可能性もあります。

タイトル

例えばフランスのマクロン大統領はEUとメルコスール(南米共同市場)との自由貿易協定締結に悪影響がでると語っているほか、現在EUの議長国を務めているフィンランドからは、「ブラジル産牛肉の禁輸措置も検討すべき」との声も上がっていたりします。

アマゾン森林火災を巡る動向にも注意が必要と思われます。

2019年7月

2018年のブラジルの経済成長率は1.1% ストライキ問題や大統領選に伴う不透明感

2019年2月28日に発表された2018年のGDPは前年比で1.1%増でした。

やはり2018年5月に発生したストライキ問題や10月の大統領選を巡る不透明感が重荷となり、景気回復の足取りを鈍らせたようです。

資源バブル崩壊による不況の影響も大きく、本調子には遠い状況が続いています。

伸び率という意味では2017年の1.1%から横ばいで、2年連続のプラス成長です。

2019年1月、ボルソナロ政権発足後は調子良い

マーケットはボルソナロ新政権に好意的な動きをまずは見せています。

2019年1月14日ボベスパは、過去最高値となる9万4474で取引を終えました。

年初からの上昇率は7.5%に達していて、通貨レアルも対ドルで同5%上昇しました。

年金支給額を抑制する年金改革案や企業民営化など、経済制策に対する期待が先行している状況です。

ただ、あくまでまだこれは期待だけ。しっかりと政策チームが機能して結果を出していく必要がある事は言うまでもありません。

ボルソナロ政権の政策詳細は↓をご参考!

ブラジル大統領ボルソナロ氏の政策に関するまとめ

2019年5月

2019年5月、ブラジル政府が成長率見通しを1.5%に下方修正

2019年5月14日、ブラジル政府は2019年のGDP成長率の見通しを年率1.5%と、従来予測(2.5%)から下方修正する方針を示しました。

世界経済の悪化のおありを受けて輸出や投資が伸び悩んでおり、それを踏まえての事です。

こうした中、国内では景気刺激策として、中央銀行の利下げを予測する声も上がっているようです。

2019年1-3月期GDPは9四半期ぶりにマイナス成長

2019年5月30日に発表された1~3月期の実質経済成長率は前期比で▲0.2%と、9四半期ぶりのマイナス成長となりました。

背景としては、

  • 企業の設備投資減退
  • 輸出低調
  • 消費減退

等です。

一喜一憂する必要もありませんが、この数値が改革を進めるボルソナロ政権に対する批判となって、彼の改革の足かせとなってしまうと、海外投資家としては嫌な所です。

2019年4月

ブラジル中央銀行、2019年の成長予想を2.0%へ下方修正

2019年4月、ブラジル中央銀行は2019年のブラジル経済の成長予測を従来の2.4%から2.0%に下方修正しました。

世界全体の景気の不透明感や政治的な不透明さからだと思われます。

2019年2月 政策金利6.5%で据え置き

2019年2月6日、ブラジル中央銀行は政策金利の基準金利を過去最低の年6.50%で据え置くと発表しました。

これで据え置きは7会合連続で、大方の市場予想通りです。

同国景気が緩やかに回復するなか、物価指標は適正な水準にあると評価し、政策の現状維持を決めたようです。

ボルソナロ新政権が着手する経済の構造改革で景気回復が進み、年内の利上げを見込む声も出ていますが、中央銀行の声明では、世界景気の減速が国内景気に悪影響を与えるリスクがあると指摘し、慎重なスタンスを見せました。

2018年11月 中央銀行のゴールドファイン総裁が辞任

現在の中銀総裁のイラン・ゴールドファイン氏が辞任する事が2018年11月15日に発表され、ロベルト・カンポス・ネト氏が次期中央銀行総裁となる事が分かりました。

ゴールドファイン氏は2016 年の就任以降、穏当な政策運営により国際金融市場からの信認を高めてきていましたが、元々政権交代を期に退任するとの観測が出ていました。

次期中銀総裁に就任予定のネト氏は米UCLA出身の大手民間銀行重役でトレーディング部門を率いています。

同氏は軍政時代に経済政策を司る企画相を務めた経験がある上、その後も金融界に長く身を置くなど同
国では著名エコノミストのひとりとして知られています。

ゴールドファイン氏が大手銀行のエコノミストなどを歴任したことを考えれば、似たような境遇できたこともあり、総裁交代に伴う中銀スタンスの劇的な変化はあまりないのではないかと思われます。

2019年3月

2019年3月、政策金利は据え置きで新総裁でも金融政策に変更なし

2019年3月、中央銀行は政策金利を市場予想通り6.5%に据え置きました。

2019 年のインフレ目標は4.25%±1.5%としていますが、足元のインフレ率は目標中央値を下回って推移しており、インフレ期待も高まっていません。

中央銀行は景気回復を支援するため、政策金利を今の状態で据え置くことが良いと判断したのでしょう。

今後の金融政策については、引き続き経済活動やインフレなどの状況次第とされています。

因みに、今回はネト新中央銀行総裁にとって初めての会合でしたが、前回の金融政策決定会合の声明文と大きな変化はなく、前総裁の金融政策を踏襲する姿勢がうかがえます。

2018年の大統領選挙で二分されつつある世論

2018年のブラジル大統領選挙は、SNSによる情報拡散の負の側面が如実に現れたようです。

決選投票に残った右派・左派の両陣営とも、支持者が真偽不確かな情報をまき散らし、人々の投票行動に大きな影響を与えたのです。

特に今回のフェイクニュースの拡散ツールとして注目されたのがSNSの「ワッツアップ」です。

ほぼ半分の有権者がワッツアップを通じて、政治についての動画を視聴しており、動画の多くはプロパガンダでした。

今回敗れた左派陣営は高等選挙裁判所に対し、ボルソナロ氏や同氏を支持する企業がワッツアップ経由で労働党に不利なニュースを拡散したと訴えました。

ボルソナロ氏は「人々が自発的に行っているということを労働党は受け入れることができていない」と否定しているようですが、組織的な動きを疑う声も残っているようです。

こうした一連の動きによって、ブラジルが真っ二つに割れ、政治的な混迷が続くと経済がダメになるというのは、ブラジルをはじめとして新興国の特徴の一つです。

ブラジルへの投資家としては、他人事のように聞こえてしまいますが、選挙後はなるべく一丸となって色々な問題に取り組んでほしいと願うばかりです。

2018年7-9月のGDPは1.3% ストライキの影響は一巡

2018年11月30日に発表されたブラジルの7~9月期のGDPは前年同期比で1.3%増え、伸び率は4~6月期から0.4ポイント高まりました。

しかし、低い数値です。

5月に発生したトラック運転手によるストライキの影響が一巡したものの、依然として景気回復のペースが鈍いというのがよく分かります。経済的なポテンシャルがあるのが分かっているがゆえに、とても悔しい所です。

ただ、2018年11月29日には主要株価指数のボベスパが過去最高値を更新するなど、新しい政権への期待も膨らんでいるようです。

ボルソナロ政権がその期待に応えてくれることをとにかく祈ります。

2018年12月の消費者物価指数は前年比3.86%

2018年12月21日、12月のインフレ率が前年比+3.86%であったとの発表がありました。

これは市場予想よりも低いものでした。来年二月から始まる新しい総裁での中央銀行が利下げタイミングについてどう考えていくか注目です。

2018年12月 政策金利6.5%で据え置き

2018年12月12日、中央銀行は政策金利を年6.5%に据え置くと発表しました。

これで据え置きは6会合連続です。

インフレ率は低水準にありますが、米利上げなどの影響で通貨安の懸念が残る中、利下げを見送りました。

来年1月に就任するボルソナロ次期大統領は低金利を望んでいるとされていて、次回以降の会合の焦点となりそうです。

今回がゴールドファイン総裁にとって最後の会合となりました。

次回会合は新政権、新総裁で行われる会合で、2019年2月に予定されています。

2018年5月一旦利下げサイクル停止

これまで中央銀行は2016年10月から12会合連続で、合計7.75%政策金利を引き下げてきました。2018年5月の金融政策決定会合でも利下げをするものとマーケットは考えていました。



しかし、その予想に反して利下げは見送られました。その背景とは、レアル安懸念でしょう。

インフレ率はそこまで高くなっていません。

やはり外部環境の変化が大きかったのではないでしょうか。

先進国の金利上昇で新興国からの資金逃避懸念が高まっているというのが懸念の一番大きな材料です。

2018年5月22日に公開された直前の会合の議事録では、次回以降の会合でも現状の政策金利の水準を維持するのが適切との見通しが示されていました。

これで金融緩和サイクルが終了したという見方も出来るかもしれません。

ただ、2018年5月23日に発表されたインフレ率は市場予想を下回るなど、インフレ率は依然低位で推移しています。

2018年10月 ボルソナロ氏勝利から、次は政策の内容を注視

ボルソナロ氏が勝利した事で一旦はマーケットの総崩れシナリオは遠のきましたが、ボルソナロ氏の政策の内容がしっかりと確定し、実行されてかなくてはなかなかレアルは上昇しません。

ただ、ボルソナロ氏が選挙で言っていた事とあまりに違う事をやりださない限り、とてつもない下落は一旦は回避されるという事で2018年11月時点は良いのではないかと考えます。

2018年8~9月段階ではほぼ底値

2018年8月~9月にかけては、レアルー円では底値割れの日も多くなってきており、対米ドルでも底値割れが近づいてきています。

これを突破するとどうなるか分かりませんが、ちにかく大統領選挙の行方次第としか言いようがありません。

2018年10月29日 ボルソナロ氏勝利で利益確定売り

レアルは2018年10月29日、対ドルで前週末比2%安となる1ドル=3.72レアルで取引を終えました。

右派で財政規律を重視するジャイル・ボルソナロ下院議員(63)が当選したことを受けて、マーケットは一安心し、取引開始直後は一時、約半年ぶりとなる高値を記録しましたが、その後は利益確定を目的としたレアル売りが優勢となった格好です。

これからのレアルは、ボルソナロ氏の閣僚選びや政策に注目が移っていきます。

2018年4-6月のGDPは前年同期比1.0%増

2018年8月31日に4ー6月期のGDPが発表されました。前年同期比1.0%増と、1ー3月期から0.2ポイント鈍化しています。

要因はトラック運転手のストライキ。1週間以上にわたり全国的に物流網がまひし、経済活動が実質的に停止状態となってしまったので、これは予想通りですね。

これについては特に農業への打撃が大きく、農畜産物の輸出が一時的に落ち込みました。ストの影響で消費や製造業、サービス業など各分野で前年同期比の数字が1-3月期の実績を下回っており、どこまでこの影響が続くのかは注視する必要があります。

前回、ようやくプラス成長になったとレアル投資家は喜びましたが、なかなか前途は多難です。

2017年の経済成長率 2015年と2016年の不況から3年ぶりのプラス成長

2018年3月に発表された2017年の実質GDPは前年比で1.0%増と、3年ぶりのプラス成長となりました。資源価格の回復や農業の好調がその要因とされていますが、経済低迷に底打ちの兆しが見えてきたようです。

ブラジル経済は、2015年、16年と大不況だったわけですが、ここから良い経済回復の循環に入りつつあると見る人も多く、その要因としては、家計の負債減少、企業在庫の減少、低インフレと低金利、企業負債の減少が挙げられると思われます。

経済成長は2018年現在はOK、あとは国の信用度やファンダメンタルズですね。

2019年1月

テメル前大統領

ミシェル・テメル氏は著名な憲法学者でもあり、弁護士や大学教員を務めた後、40代で政治家になりました。その後、前大統領のルセフ氏の副大統領に就任しました。

しかし、ルセフ前大統領が汚職問題で職務停止となったことを受けて大統領代行に就任し、その後ルセフ氏の大統領職の自動失職を受けて正式に大統領に就任しました。



ルラ氏とルセフ氏の政策の特色は以下に記してありますので、ご参考にして下さい。

過去のアーカイブ

前任者のポピュリズム的な政策を改めて、国家財政を立て直そうとしているのがテメル現大統領という事になります。ただ、国民に痛みを強いる改革となるため、彼の支持率は一けた台となるなど、厳しい政権運営を強いられています。その一方で海外投資家からは、その改革姿勢が高い評価を受けています。

2018年12月

2019年には政策金利が8.0%に?

中央銀行は定期的に民間エコノミストへの聞取り調査を行っています。

直近2018年8月31日時点のものによれば、2018年には政策金利は据置かれるものの、2019年中に6.50%から8.00%への利上げが行われること、2018年末に1米ドル3.75レアルまでのレアル高が進むことが予想されています。

因みに、これらは中銀が物価見通しのシミュレーションを行う仮定として利用されています。

2018年10月の金融政策決定会合 予想通り据え置き

2018年10月31日、中央銀行は政策金利を全会一致で6.5%に据え置きました。

これは市場の予想通りの結果です。

足元のインフレ率も目標範囲(4.5%±1.5%)で推移しており、10 月以降のブラジル・レアルの上昇によるインフレ圧力の低下などからインフレ期待も落ち着いています。中央銀行としても今の状況に安どしているのではないでしょうか。

ただ、ボルソナロ次期大統領が議会とうまく折り合えずに、改革に失敗してブラジルレアル安になれば、金利を引き上げるプレッシャーをマーケットから受ける事となるでしょう。

2018年9月の金融政策決定会合

中央銀行は2018年9月19日、政策金利を年6.5%に据え置くと発表しました。

これで4会合連続の据え置きですね。

ブラジルレアルは10月の大統領選に向けた不透明感が嫌気されて対ドルで最安値を記録しています。それでも、足元でインフレは落ち着いているので、利上げは必要ないと判断したのでしょう。

2018年11月

大統領選挙後に先送りされた年金改革

年金改革法案の成立には、上下両院それぞれで議員定数の5分の3以上の賛成が必要です。しかし、ブラジルは2018年10月に大統領選挙と議会選挙を控えており、国民に痛みを強いる年金改革法案の成立が難しいと思われてきました。



実際、2018年2月に当該改革法案の成立によって年金法案の成立が大統領選後になる事が決定的になりました。2月に発令されたリオデジャネイロ州の治安部門を同年12月末まで陸軍の指揮下に置くとした大統領令がその理由です。ブラジル憲法は「連邦政府の介入や防衛事態、戒厳令の発動下では憲法を改正できない」ことを定めているので、憲法改正を伴う年金改革法案の採決も出来ないのです。

今は政府が年金企画法案の代替案として提出した財政改善策が議会の承認を得られるのかが焦点になっています。

その代替案は15項目からなる財政危機回避のための新たな経済政策パッケージです。ここには、ブラジル中央電力(Eletrobras)の民営化、公務員給与・手当ての上限規制、社会統合基金(PIS)・社会保険融資負担金(Confins)の簡素化などが含まれています。

2018年10月 第一回大統領選挙投票後に上昇

2018年10月8日、ボベスパが急伸し、前週末比3762.39(4.6%)高の8万6083.91となりました。

これは、2018年5月16日以来ほぼ5カ月ぶりの高値です。

10月7日投開票の第一回大統領選挙の結果を受けて、経済改革が進むとの期待が強まり幅広い銘柄に買いが膨らんだようです。

ただ、まだ終わっていません。

決選投票で改革に後ろ向きなアダジ氏が当選する確率はまだまだあります。そうなると、今回の上昇はおろか、激しい下落になる可能性もまだあります。

2018年10月

ボルソナロ氏はポピュリストだが、メキシコのロペスオブラドール氏の様なケースも

ボルソナロ氏はポピュリストで、ブラジルに必要な改革がなされないのではないかという懸念を持つ人が多いと思います。

確かにその懸念はあると思います。

また、ボルソナロ氏が所属する政党は弱小政党であり、仮に同氏が大統領となってもどこかと連立を組まなければならず、その際に当該政党の弱小さが仇となって政権運営が困難となってしまうという事も考えられます。

ただ、メキシコのやっぱりポピュリストで次期大統領に当選したロペスオブラドール氏は当初人気取りの政策ばかりだったのが、大統領就任が正式に決まると、非現実的なものも相応にあるものの、意外に現実的な政策も結構ちりばめたりしています。

結果、メキシコペソとメキシコ株は上昇しているのです。

もちろんまだ評価するには早すぎますが、大統領当確が決まったら色々と現実的な事を考えざるを得なくなって、意外に投資家を安心させるような事を言ったり実行してくれたりする可能性もあるのかなと感じます。

既存大政党所属のアルキミン氏は不利か

経済界が推すのは4位のアルキミン氏です。

彼は改革に前向きで、金融市場のみならず、経済界や中道政党の多くから評価されています。現大統領が推し進める年金改革など痛みを伴う必要な改革を引き続き推進してくれそうなのは彼だというのが今のところの評価です。

しかし、彼は大政党所属である事もあり、世論調査では振るいません。

ブラジルでは、汚職の蔓延などから、既存の政党・政治家に対する不信大きいのです。アルキミン氏がどうなのかは分かりませんが、どうしても既存政党のイメージをアルキミン氏がまとってしまうのはしょうがないのかもしれません。

2018年8月 中央銀行は為替介入せずに静観??

2018年8月に入ってからブラジルレアルはかなり軟調で、レアルー円では27円台。繰り返しますが、これは上記の心理的節目も突破しており、どこが底値なのかなかなかチャート上は分かりずらくなっています。

こんな中ブラジル中央銀行の為替介入姿勢にも注目が集まっています。足元でブラジル・レアルが大きく下落する中でも、中央銀行は静観を続けているのです。

これまではブラジル・レアルの下落が続いた際に、中央銀行は通貨防衛の姿勢を見せていたのです。

それが2018年8月段階ではない。

インドの中央銀行と同じスタンス?

インドの中央銀行も、これまで自国通貨買いをするレッドラインがありましたが、最近は他の通貨が下がっているので、許容するルピー安の水準をより安い所に下げました。

もしかしたらブラジルレアルもそういう感じなのでしょうか?

ちょっと分かりませんが、いずれにせよ、中央銀行が自国通貨の防衛姿勢を示すかどうかは、レアル投資家にとって大変大きなポイントでしょう。

因みに、中央銀行の総裁であるゴールドファイン氏は、通貨防衛のために政策金利を活用する考えがない事を表明しています。

金利がまた上がってこの通貨が超人気になって、という流れはすぐに戻る事はないかと思います。

このサポートがある限り大きな値崩れはないものと思われます。



更にその先で見ると、この国の大統領選挙と金融政策によってブラジルレアルの見通しは変わってくるものと思われます。

2018年9月13日に対ドルで最安値更新

ブラジルレアルは2018年9月13日、為替市場の終値で通貨が対ドルで過去最安値を更新しました。

1ドル=4.2レアルと、2016年1月以来の最安値です。これで、年初来からの下落率は21%に達してしまましました。

大統領選に向けた世論調査でばらまき色の強い政策を掲げるシロ・ゴメス元財務相(60)の人気が上昇し、人気投票で2位につけていることが嫌気されているようです。

2018年6月では金利は維持

中央銀行は2018年6月20日、政策金利を6.5%に据え置くと発表しました。



アメリカの利上げペースの加速やブラジル政情の不透明感で通貨レアルが売られている状況であり、マーケットの一部からは利上げ観測もあったようですが、インフレ率が低水準である為、見送りました。

ただ、新興国からの資金流出が激しくなる中、ブラジルはトルコやアルゼンチンに続くターゲットとして狙われている所もあります。

6月には対ドルで1ドル=3.9レアルと、2年3カ月ぶりの安値も記録しています。

中央銀行の為替模介入で何とか為替レートを維持していますが、10月の大統領選に向け政治リスクも意識されており、通貨が売られやすい地合いは続きそうです。

2018年初頭のブラジル株 割高感はそこまでではない。

既述の通り、年金改革法案の先送りの代わりに打ち出された経済政策の効果もあって、ボベスパ指数は2月下旬に再び最高値を更新したりしていますが、ブラジル株式の12ヵ月先予想PERは先進国株式の数値を下回っており、史上最高値にある現状の株価水準でもブラジル株式の割高感はそこまで高くないようです。

2018年9月

2018年8月の金融政策決定会合

2018年8月の会合では、政策金利の据え置きを決定しています。



新興国市場のボラティリティーはまぁまぁ和らぎつつあるのが2018年8月初頭の状態なわけですが、ブラジル景気はまだまだおぼつかない状況ですので、なるべく低めの金利で押さえておきたいとの思惑でしょう。本当はもっと下げたいのかもしれない。

インフレ率もトラック運転手問題で一時高めになりましたが、2018年7月下旬~8月にかけては落ち着きを見せておりますし、予想通りといった所でしょうか。

金融当局としては、落ち着いたインフレ状況と新興国ボラティリティの一服という事で、落ちついて大統領選挙の行方を見守る事が出来ているのかもしれないですね。

以下に政策金利の背景を書いていますのでご参考にしてみて下さい。

※因みに高い利回りという意味ではトルコやメキシコも大変魅力的です。ご興味あれば以下をご参考ください。

トルコのブログ

メキシコのブログ

※新興国でも株式に投資をされたいと思っている方はこちらもどうぞ。

インドのブログ

ベトナムのブログ

中国のブログ

インドネシアのブログ

フィリピンのブログ

2018年8月現在では底値割れ

上記の心理的節目を2018年8月現在で割ってしまいましたね。

一言政治的な不透明感という所かと思われますが、なかなか見通しが分かりにくいですね。

ただ、テメル政権によって慎重な財政運営がなされており、ルラ元大統領の時の様な奔放な支出もありませんので、ファンダメンタルズ自体にはそこまで不安を持っておりません。

とにかく10月の大統領選挙が終わってからという事なのでしょうが、結果的に2018年8月が仕込み時期だった!という事にもなりかねないので、個人的にはタイミングを分散して投資を継続していきたいと考えています。

大統領選挙の不透明感が払しょくされれば、落ち着きを取り戻して、ファンダメンタルズに応じた再評価の流れが出てくる可能性があります。

ブラジルは貿易収支は黒字であり、GDP比で見た対外短期債務も少なく、インフレ率も落ち着いています。これらはいずれもブラジルレアルの支援材料です。

2018年8月のレアル動向

2018年8月現在のブラジルレアルは軟調ですね。

10月の大統領選の最新の世論調査で、ルラ元大統領の人気が依然と高く、経済界が期待するアルキミン氏の汚職疑惑や、人気第二位のボルソナロ氏の政策について懸念が高まっている事から売りが優勢になっているようです。

2018年8月の最終週はトルコリラも休み明けで市場に復帰し、波乱含みとなってしまうかもしれません。




※2018年初頭に最も下落したアジア通貨はインドとフィリピンです。こちらのブログもご参考にどうぞ。

フィリピンのブログ

インドのブログ

2018年5月の金融政策決定会合

2018年5月現在の政策金利は6.50%。過去に比べれば相当低くなっていますが、引き続き持っているだけで金利収入が入ってくるわけで、こんなに良い事はありません。

2018年7月の金融政策決定会合

2018年7月に、中央銀行のゴールドファイン総裁は、通貨防衛のために利上げをすることはない旨を表明しているので、金利が上がる事はこの時点でないのでしょうね。

2018年8月

アルキミン氏の汚職疑惑で更に窮地?

その金融市場で評価されている元サンパウロ州知事のアルキミン氏ですが、在任中に関わったとされる汚
職事件について、検察当局が起訴する可能性があると報じられました。

これによって市場に動揺が広がり、ブラジルレアルも下落しています。

ちょっときついかもしれないですね。既述の通り国民は政治家の汚職に辟易しています。

ただ、どうなるかは全く分かりません。ルラ氏を支持する人たちの票がどこに流れるか分からないからです。決戦投票の可能性はかなり高いと言われています。10月の選挙まで目が離せません。

大統領選挙の政見放送開始

2018年8月31日からテレビやラジオでの大統領選挙に関する政見放送が始まります。

過去の選挙ではこの放送が支持率に大きな影響を与えてきたと考えられており、かなり注目されています。

因みに、放送の割り当て時間が長いのはアルキミン氏。既存政党だからという事だと思いますが、彼が汚職疑惑や国民の巨大政党アレルギーを乗り越えどこまで支持を得られるかが、ブラジルレアルやブラジル株に投資をしている人にとっては注目材料となるでしょう。

ボルソナロ氏が一番人気 経済界が期待するアルキミン氏は4位

ボルソナロ氏は少数政党を渡り歩いてきた政治家で、これまで殆ど注目されることはありませんでした。

しかし、汚職や不況などの閉塞感の中、しがらみのなさをアピールして戦ってきたのです。

主に、強いリーダーを求める若年層から支持を得ているようです。

2位以下の候補者は、シルバ元環境相(60)、ゴメス元財務相(60)アルキミン前サンパウロ州知事(65)となっています。

ブラジル大統領選挙の状況

次期大統領選挙は2018年10月です。ルラ氏が一番人気だったわけですが、彼の脱落でレースは混とんとしています。

今年の大統領選挙は第1回投票が10月7日に行われ、得票率50%超の候補者がいなかった場合、上位2名で10月28日に第2回投票が行われます。



候補者の2018年初頭からの状況については過去のアーカイブをご参考ください。

候補者受付締め切り

そして2018年8月15日、大統領選挙の候補者登録を締め切る事となりました。

汚職で有罪判決を受け収監中のルラ元大統領を含む13人が立候補を表明しています。ただ、ルラ氏の出馬が認められる可能性は低いので、彼以外で人気一位のボルソナロ下院議員(63)を中心に選挙戦がたたかわれる事となります。

2018年5月 ストライキの影響

ブラジルでは、燃料価格の高騰に抗議するトラック運送業者らが2018年5月21日に始めた大規模ストライキの影響から、同月28日にかけて株価が下落したほか、ブラジル・レアルも急落しました。

燃料代については、ルセフ前政権などが価格統制を行っていた事から財政赤字が拡大したため、昨年から国際原油市況や為替の変動などに応じて燃料価格を毎日決める制度や財政健全の為の燃料税引き上げがありました。

近時の原油相場やブラジル・レアル安などを背景とした価格高騰を受け、トラック運送業者らがストライキに入ると、インフラが機能しなくなり公共サービスの混乱につながるなど、影響が大きく拡がってしまいました。

この事態を受け、国営石油会社および政府は、軽油価格の引き下げ、燃料税額の実質的な免除などの対応策を23日から27日にかけて示し、事態は沈静化に向かっています。

直近実施の世論調査では、ストライキに約87%もの支持が集まり、国民の政治不信の強さが裏付けられた格好です。



しかしこれによってポピュリズム的な政治家が大統領になりやすくなってしまうと、再び財政悪化懸念が市場で台頭し、ブラジルレアルやボベスパは下落する可能性が高まってしまいます。

ブラジルレアルの動き

2018年6月には、1ドル=3.9レアル台と2年3カ月ぶりの安値を記録しました。

アメリカの長期金利の上昇で新興国から資金流出が続くなか、トラック運転手のストライキで景気の先行きに不安がある事や大統領選の不透明感が売り材料になっています。

2018年7月~8月にかけては少し元に戻していますね。

労働党の候補者はルラ氏以外実質なし

こうした中、2018年8月、労働党はルラ氏を大統領候補に正式に指名し、ルラ氏の出馬が禁じられた場合の代替候補もいないと表明したのです。

大統領選挙に出馬できない可能性が高いのにこの様な事をするのは理解が出来ませんが、とにかく他に候補者がいなかったのでしょう。

じゃあルラ氏の次の人気者は誰なのかというと、こちらも変わらず右派のボルソナロ氏です。

左派のルラ氏がダメなら右派のボルソナロ氏という事で、世論が真っ二つに割れているのが分かります。これもブラジルレアルをなかなか上昇基調にさせない一つの要因と思われます。

海外投資家にとって希望の星はアルキミン氏でしょう。



ルラ氏を除けば、アルキミン氏の人気は三番手になっています。

アルキミン氏の政策は主な候補者の中でもっとも海外の投資家の懸念に真正面に取り組むものです。つまり財政規律と市場経済を重視したものです。

ブラジルレアルへの投資を行うもしくはすでに行っている人にとっては、かなり大切なイベントになりますよね。

ブラジル大統領選挙の状況

2018年6月下旬現在の選挙戦の状況ですが、左派陣営は分裂・弱体化の傾向にあるようです。中道政党がアルキミン氏擁立で結束すれば、アルキミン氏の優位性が高まる可能性もまだあります。

ただ、中道~中道右派政党(テメル政権の中核を占める政党)は、現時点で最終的な候補者を絞り込めていない模様で、今後の動向が注目されます。

2018年8月末からは選挙戦に大きく影響を与える政見放送も始まる予定であり、それまでに統一候補を決めるなどの対応が必要でしょう。

2018年6月

大統領選の変遷

2018年4月下旬現在の大統領選に関する世論調査ですが、ルラ氏が大統領選に出馬できるとの前提の下では、同氏が依然として30%以上の高い支持率を保持しています。一方、同氏が出馬できない前提では、極右勢力の支持が厚いボウソナロ氏と、環境主義者のマリナ・シルバ氏がそれぞれ10%台の支持率を確保しており、頭一つ抜け出た形となっています。彼らも少しずつ経済に関する発言をしだしています。どの様な主張なのかはしっかりと注目する必要があるでしょう。

また同じく2018年4月下旬頃より、大統領選に向けた政党間の提携の動きも少しずつ活発化しているようです。テメル大統領(民主運動・MDB)は中道勢力の結集を目指すため、民主社会党の大統領候補であるアルクミン氏に対して、メイレレス前財務相(民主運動・MDB)を副大統領候補とした提携を提案した等の報道が出ています。大統領選まで半年を切りどんどんこうした動きは活発化していくものと思われます。

2018年初頭からのブラジル株式の動き

かなり上昇トレンドがすごいです。下記の通り、史上最高値を何度も更新している状況です。ただ、2018年2月のアメリカ雇用統計の発表をトリガーとした世界全体のマーケット下落の影響を受け軟調となったものの、その後政府が年金改革を先送りした代わりに打ち出した新しい経済政策が好感され、ボベスパ指数は4営業日連続で最高値を更新しました。3月に入ってからはアメリカに関連した貿易摩擦の話題も要注目でしょう。

ブラジルレアルの動き(2018年初頭)

2018年4月はアメリカが発動した鉄鋼関税を契機とした鉄鉱石価格の下落などを受け、対米ドルで10カ月ぶりの安値水準まで下がっています。加えてレアルは、2018年10月の大統領選挙を控えた政治の不透明感が強いこともあり、上値の重い展開となっています。

ルラ元大統領の大統領復帰はほぼない

未だにカリスマ的な人気を誇っているルラ元大統領ですが、次の大統領選で大統領復帰を狙っていました。

ルラ元大統領は、現政権が進める構造改革に対して否定的な立場を貫いており、仮に同氏が次の大統領となればこれまでテメル大統領が進めてきた改革が後退する可能性が強まるものと思われておりました。

しかし、連邦裁判所は2018年1月、ルラ氏に対し、収賄などの罪で有罪判決を言い渡しました。更に2018年4月、ブラジル最高裁は服役から逃れるため人身保護を求めていたルラ元大統領の請求を退けました。これでルラ氏の収監が決定しました。

2018年前半の外部環境の変化

国際金融協会がインドやブラジルなど主な新興8カ国の株式、債券市場を対象に集計したところ、外国人の投資資金は2018年1月末以降、流出超過に転じたそうです。とりわけ2018年の2月5日~9日は約60億ドルの流出超過となったようです。

これはブラジルに限った事ではありませんが、今まで先進国から新興国に流れていた資金が金利上昇の結果先進国に戻ってしまうと、新興国の資産は売られるという事になります。新興国の通貨などはそれを受けて当然下落圧力にさらされます。2014年1月には米金利上昇を受けてアルゼンチン通貨ペソが急落していたりします。

因みにアメリカは2018年3月のFOMCで政策金利の誘導レンジを従来の1.25~1.50 %から1.50~1.75%へ0.25%引き上げることを決定しました。2018年3月時点では、2018年中にあと2回から3回ほど利上げをするのではないかというのが、FOMC参加者の予想です。

外部環境で何が起こるかを想像するのは現実的ではありませんが、その一方で資源価格など、ブラジル固有の理由以外で下落する可能性がある事は十分念頭に置く必要があるでしょう。

2018年初頭のレアルの動き

2018年についてはこのブログの中でも一番堅い動きをしているのがブラジルではないでしょうか。やはり景気回復への期待感とこれまで利下げを繰り返してきながら、その利下げ局面がようやく終わりそうであるとの期待感があってでしょうか。

大統領候補は親経済派の人がなるのか??

今回の選挙に経済が影響する可能性は高いと思われます。テメル大統領の支持率は極めて低い状態ですが、ルセフ前大統領の時の様に、毎日市民が抗議活動をする状態にはなっていません。国民が経済の改善を実感しているからと思われます。そう考えると、次の大統領も経済政策にコミットする人が当選しやすいのではないかと予想します。

その一方で未だ親マーケットの有力大統領候補が現れず、市場としてはなかなか上昇機運に乗れない所があります。

2018年5月

利下げ打ち止め時の中央銀行の思考

中央銀行の声明にはありませんが、近隣のアルゼンチンがペソ安で大変な事になっているのも、据え置きの意思決定に影響を及ぼした可能性があります。ブラジルは大統領選挙の動向が依然不透明です。新興国市場では政局動向が不安定な国の通貨の売り圧力が高まる傾向が見られますので、これも影響しているかもしれません。

利下げをしてきた中央銀行 利下げ打ち止めか、追加緩和継続か

ブラジルの中央銀行はこれまで利下げをしてきたわけですが、2018年の3月政策金利を0.25%引き下げ6.50%にすることを決定しました。2月にも引き下げており、同国で過去最低だった政策金利を更にもう一段階引き下げた格好です。

その後2018年5月に発表されたインフレ率も、前年比のインフレ率は依然として中央銀行のインフレ目標レンジの下限である3%を下回っています。

更なる引き下げがあるのかどうか、ですが、2018年3月下旬に公表された資料によると、①次回5月会合での追加利下げ、②翌会合(6月)からは当分それまでの緩和効果を評価(様子見)するため政策金利を据え置くと述べています。

中央銀行が様子見する理由ですが、①インフレ率を押し下げてきた要因が減りつつあり、来年のインフレ率を4%台と見込んでいること、②米国の金融政策の先行き(利上げペース)が不透明なこと、③政治動向が不透明なこと、等があるでしょう。

2018年5月15日から16日にかけて開催される金融政策決定会合において、市場では、政策金利を0.25%ポイント引下げて6.25%とすることを見込んでいます。現在のインフレ率は依然として物価目標レンジを下回っていますが、通貨安の進行とそれに伴うインフレ期待の上昇から、今回の利下げをもって利下げを停止する可能性が高いと思われますが、まだ分かりません。

利下げサイクルの行方

中央銀行は2018年3月に「インフレが想定を下回っている」とのコメントを発表しており、想定を下回り続けるインフレ率によって金融緩和サイクルの長期化も考えられます。

2018年経済成長予想

2018年3月時点の市場予想によれば、ブラジルの実質GDP成長率は2018年には前年比+3%台へ回復が進むと予想されています。

2018年4月

IMFの成長予想

IMFは2018年4月17日に世界経済見通しを発表しましたが、今年のブラジル経済の成長率見通しを今年1月の予想から0.4ポイント上昇の2.3%に修正しています。



1月の時も上方修正していましたが、同じ分だけ更に上方修正しているわけです。1月の時の数値を確認したい場合は以下をご参考ください。

過去のアーカイブ

2018年1月のIMF世界経済見通し

IMFは2018年1月22日に世界経済見通しを発表しましたが、今年のブラジル経済の成長率見通しを昨年10月の予想から0.4ポイント上昇の1.9%に修正しています。

2018年3月発表のインフレ率

2018年3月に発表されたインフレ率も、前年比のインフレ率は依然として中央銀行のインフレ目標レンジの下限である3%を下回っており、中央銀行は「インフレが想定を下回っている」とのコメントを発表しており、マーケットは更なる利下げを想定していました。

大統領選挙

次の政権がテメル政権の政策を継承するかは要注目です。今のテメル大統領の支持率は一桁。彼のやっている事はブラジルのためになっていると分かっていても、これだけ国民に不人気だと、大統領選候補者にとっては支持するのが難しい所もあります。

大統領選候補 ボルソナロ下院議員

2018年2月時点の直近の世論調査では、過激な発言で「ブラジルのトランプ」と呼ばれる極右候補、ボルソナロ下院議員が首位に立ったようです。しかし、彼は同性愛者や女性、黒人蔑視の発言を繰り返し、弾圧や拷問を繰り返していた時代の軍部を擁護している等、リベラル層には嫌われている傾向があります。

ルラ氏の票

まだ理屈上は大統領復帰の芽が残っていますが相当難しいものと思われます。しかし、有罪判決後の2018年4月現在でもルラ氏は根強い人気を見せており、彼が大統領選に出馬しないとき、それらの支持者がどこに流れるかは分かりません。

どこが政策金利の底か

中央銀行は声明でインフレ率を目標に到達させるためには、さらなる金融緩和の実施も視野にある事を示唆しています。2018年末のインフレ率予想も下方修正しており、金利の引き下げが最終局面に来ているのは確かですが、どこが政策金利の底になるかはまだ分かりません。次回の金融政策決定会合は2018年5月です。

直近に格下げ

2018年1月11日にS&Pがブラジル国債の格付けを一段階引き下げ、投資適格級を 3段階下回る「BB-」に、格付け見通しは「安定的」としています。

格下げとなった背景ですが、年金改革の遅れなど構造改革の遅れにあるようです。これについては後述しているのでそちらをご参考にしてください。

2018年3月

財政再建が重要な課題の一つ

こちらも以下にて記述しておりますが、ルラ元大統領の政策は一長一短がありました。

彼は労働運動から政治家になったので、貧困層の救済を政治テーマに掲げていました。

これは不平等是正という意味で大変効果があったのですが、一方でバラマキによる深刻な財政危機を招いてしまったのです。

そのしりぬぐいをしているのが現大統領といったところでしょうか。

ブラジル国債は2015年に投資適格を失ったのですが、これによって公的負債に占める外国人の比率がそれまでの20%強から13%弱まで低下しました。

まずは投資適格に戻るまで国家財政の回復や構造改革の進展をアピールしていかなければなりません。

2018年1月~2月にかけての史上最高値の理由

政治的な要因(ルラ氏の大統領選挙出馬が困難になった等)もありますが、主にはブラジル企業の業績回復があると思われます。実際、主要ブラジル企業の2018年の純利益は前年比17.8%の増加が予想されています。海外投資家のブラジル株式の買い越しも拡大し、新興国株式ETFを通じたブラジル株式への資金流入も増加している状況です。

ルラ氏とルセフ氏の政策の特色

前大統領のルセフ氏と、その前の大統領であるルラ氏はともに労働者党の議員です。党名からわかる通り、大きな政府を志向する政権運営で、特にルラ氏在任時代は貧富の格差も縮小されたため、カリスマ的な人気をほこっていました。

しかし、彼らの政策はポピュリズム的な要素が強かったため国家財政は火の車となってしまったのです。これ以上は立ち行かないところまで行き、海外投資家の資金逃避が続く事となりました。ブラジルレアルがここ数年でここまで下落した原因はルラ氏とルセフ氏のバラマキにその一端がある事はほぼ間違いありません。

2018年3月の金利引き下げに関する予測

今回の実質GDP成長率について、前期比および前年比の数字がいずれも市場予想を下回った為、中央銀行が緩和姿勢を継続し、2018年3月の金融政策委員会で利下げを行うとの観測が一段と強まっています。ただ、利下げ局面が終盤に入っている事は市場のコンセンサスとしてあるようです。

2018年2月の利下げ

2018年2月の金融政策委員会においても、政策金利(Selic金利)を0.25%引き下げ、6.75%にすることを決定しました。因みにこの6.75%というレベルは同国で過去最低です。

2018年2月の利下げ

今回の利下げは市場の想定通りでした。背景には、直近のインフレ率(2017年12月のインフレ率は2.95%)が物価目標(+4.5±1.5%)の下限(3%)を下回っている事や、S&P社による格下げ後も、為替市場をはじめ金融市場が落ち着いている点が挙げられます。因みにインフレ率については中央銀行は「望ましい状態が続いている」とコメントしています。

2018年2月

ブラジルの金融市場が相対的に安定

2018年2月現在、世界的な市場の動揺が続いていますが、ブラジル金融市場は安定を維持しています。興味深い事ですが、主要先進国との金融政策サイクルの違いが背景にあるのでしょう。因みに、経済環境の改善等から、ブラジル国債の信用リスクは2014年の大統領選挙前後の水準へ低下しています。もちろん10月に大統領選挙に向けて再び何が起こるのかは分かりませんので注視は必要です。

インフレ状況

現在の環境が継続すれば、次回会合で政策金利が据え置かれる可能性が高いと思われますが、2018年2月に発表されたインフレ率も未だ3%を切っており、そうなると更なる緩和策も必要だとの声も聞かれ始めました。

ブラジルレアル 急落の可能性は?

2018年現在でレアルが急落する事となる理由は、やはりテメル大統領の改革がとん挫すること、またはテメル大統領の汚職関連疑惑が大きくなって、自身の大統領続行が困難となった場合でしょうか。「改革」と書きましたが、一つの例を挙げるなら、下に記載した年金改革でしょうか。是非ご参考にしてみてください。

レアルの金利が高い理由

ブラジルレアルが高金利となる理由は、ブラジル経済がインフレに悩まされていたからです。インフレを抑えるために、政策金利を高めに設定していたのです。しかし、今はそんなインフレ率も、かなり落ち着きを見せつつあります。

ボベスパ指数は史上最高値を記録

ブラジル株式はかなり好調です。2017年12月下旬以降、上昇傾向にあり、ボベスパ指数は2018年1月19日に一旦史上最高値を更新しました。株価はかなり好調のようです。

ブラジルレアルの通貨危機は?

ブラジルは過去に何度か経済危機を味わってきました。1990年頃、ハイパーインフレを経験し、レアルの通貨が著しく下がったことがあります。新興国(発展途上国)であるが故に、経済は成長を基本としながらも、外部要因で大きく下落してしまう事もあるのです。

テメル大統領の汚職疑惑でレアル下落

しかし、そんなテメル大統領も、汚職隠ぺい疑惑が浮上し、2017年にレアルは急落しました。

今、レアルをウォッチしている人はテメル大統領の改革がどの程度まで進展するかをかたずをのんで見守っています。もちろん、上手く行く事でレアルの上昇が期待できることは言うまでもありません。もちろん絶対ではありませんが。

【ブラジルの細かいニュースを知りたい方は↓で「ブラジル」と検索!】

https://kensaku.herokuapp.com/

2017年10月の拡大消費者物価指数(IPCA)は前年比+2.7%と低水準にあり、ブラジル中銀の2018年の物価見通しでもインフレ目標圏内での推移が予想されています。

ルラ氏の有罪判決を受けて更に史上最高値を更新

2018年1月19日に一旦史上最高値を更新した後、1月24日に元大統領のルラ氏が有罪判決を受けたことでボベスパ指数は前日比+3.7%の大幅上昇を記録、史上最高値を再更新しました。また、同日のレア ル相場も対米ドルで+2.9%のレアル高が進みました。

2018年1月時点では⽇⽶欧ともに景気が強くても物価が上がらない環境が続き、インフレ率は⽬標とする2%にも届いていません。今ここで金利上昇が続くのですぐに対応を、という事にはならないと思いますが、よく注目しておく必要があります。

先進国の金利(長期金利)が上昇した直接のきっかけは、中国の⽶国債購⼊額の減額の可能性、欧州景気の拡⼤を受けて欧州中央銀⾏が緩和縮⼩のタイミングを早めるかもしれないという観測、⽇本でも⽇銀の超⻑期債買⼊れが減額されたこと、等から、⾦融政策の変更時期が早まるとの思惑が⾼まったことがあげられます。ちなみに、2018年1月22日と23日に行われた日銀の金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が決定されました。しかし、今後も金融政策の正常化を模索している欧米からの金利上昇圧力などには注視が必要でしょう。当該金融政策決定会合の詳細な内容を知りたい方は、↓の検索エンジンで「日銀」と検索すると運用会社等のレポートをすぐに入手できるのでお試しください。

2018年1月ではカナダが利上げをしています。もっとも、これは確実視されていたものでしたが。

いずれにせよ、2018年1月時点では⽇⽶欧ともに景気が強くても物価が上がらない環境が続き、インフレ率は⽬標とする2%にも届いていません。今ここで金利上昇が続くのですぐに対応を、という事にはならないと思いますが、よく注目しておく必要があります。

中央銀行の次の手

加えて、ブラジルの中央銀行は今の政治改革に対してもかなり注目しています。特に年金改革の行方は重要であるとの意見が多く見受けられます。この状況については、年金改革が成立すれば利下げの余地が生まれ、不成立なら利下げは見送られる可能性が高まるといった見方もあります。

年金改革

下院議長は、同法案の審議を2018年2月5日に再開し、同月19日の週に採決を行なう方針を示しました。

これについては、2018年1月15日の週に、「政府が同法案の採決を2018年10月の選挙後に先送りすることを検討している」との報道が出ました。もちろんネガティブなニュースだったわけですが、マーケットは比較的平穏だったようです。市場参加者は既に同法案の早期成立が困難であることを相当程度織り込んでいたからです。

ブラジル大統領選挙

ルラ氏が事実上脱落した今、どの候補者にも可能性があるし、また厳しい選挙戦にもなると思われます。

利下げをしてきた中央銀行

ブラジルの中央銀行は現在、利下げをしているのですが、その理由は主に①底打ちしていると思われるが、なかなか上昇していかないブラジル景気、②良好なインフレ環境、と述べています。しかし、①については足下好調な企業業績も出てきており、良い方向に向かっているのではないでしょうか。中央銀行がインフレ率などの経済予想をするときに活用する将来の政策金利を、17年と18年は7.0%、19年は8.0%としているため、政策金利が7.0%となったいるここで一旦利下げが止まる可能性もあります。

年金改革

テメル政権は、受給資格年齢の引き上げ(女性62歳、男性65歳)などの年金改革法案の2017年内の成立をを目指してきましたが、支持が広がっておらず無理なようです。

投資家はこの審議がどうなるか見極めて、レアルの売買をすることになります。ただ、筆者自身は既にブラジルへの投資を行っています。高金利なので持つだけで利回り分だけ増えていきますし、為替については長期で持てばいつか自分で買ったレートより良くなる可能性が高いと思うからです。因みに自分は普通のブラジル債券に投資をする投資信託で運用しています。

アメリカだけで言うなら、教科書的には⾦利上昇はPERの低下を通して株価にマイナスの影響を与えるとされていますが、実際には長期金利が5%程度までは金利上昇と株価上昇は同時に起こると言われています。この観点から言うと中長期的には今の段階で大騒ぎする必要はなく、静観していても良いのかもしれません。

また、2018年2月下旬に発表された金融政策委員会の議事要旨においては、構造改革が進展した場合の利下げの余地を残した文章となっており、当初の声明文に比べて緩和姿勢をにじませた印象があります。

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