ブラジルの統計・経済データのまとめ

ここでは、ブラジルの経済データや統計データを時系列でまとめていきたいと思います。

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2024年9月

インフレ率、4.2%

9月10日に発表した8月の消費者物価指数は前年同月と比べて4.2%上昇しました。

7月の4.5%から鈍化したものの、食料品などで価格上昇が続いています。

【2010年以降のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

金融市場ではブラジル中銀が再び利上げに踏み切るとの見方も出ています。

2024年8月

GDPは予想を上回る

4-6月期実質GDPは前期比+1.4%と市場予想の+0.9%を上回りました。

個人消費の寄与が大きいものとなりました。

また、1-3月期分が同+0.8%から+1.0%に上方修正されており、今年前半の景気回復は想定以上に強かったようです。

2024年7月

インフレ率、2か月連続で前月を上回る

7月10日に発表した6月の消費者物価指数は前年同月と比べて4.23%上昇しました。

2カ月連続で前月の上昇率を上回りました。

食料品価格の上昇が続いており、今回のような結果となったようです。

【2010年以降のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

2024年6月

インフレ率は8か月ぶりに上昇

6月11日発表された2024年5月の消費者物価指数IPCAは、前年同月と比べ3.9%上昇しました。

上昇率は8カ月ぶりに拡大に転じました。

【2017年以降のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

ブラジル南部で発生した大洪水の影響などで、食料品の価格が上がっているようです。

GDPは前年同期比2.5%のプラス

6月4日発表された1〜3月期のGDPは前年同期比で2.5%増でした。

雇用環境の改善などを背景に、家計消費が堅調でしたが、国内の大規模災害などを受けた物価上昇への懸念もあり、先行きへの不透明感は強まっているようです。

【2000年以降のGDP成長率の推移(出所:TradingView)】

2024年5月

インフレ率、7か月連続で鈍化

5月10日、2024年4月の消費者物価指数IPCAが、前年同月と比べ3.69%上昇したとの発表がありました。

7カ月連続で前月の水準を下回りました。

ブラジル南部で発生している大規模な洪水により、今後の農作物価格への影響が懸念されているようです。

ムーディーズが見通しを上げる

ムーディーズが、ブラジルの信用格付け見通しをポジティブに引き上げました。

背景としては、ブラジルの経済成長見通しが良くなっていること、ルラ大統領が進めている構造改革が少しずつ実を結んでいること、財政改革の進展がみられること、などがあります。

ブラジルには、例えば再生エネルギーなどの投資分野もあり成長余力がまだあると言われています。

財政改革は若干不安なところがあり、改革をやる気が本当にあるのか分からないところもあります。

2024年4月

インフレ率、6か月連続で鈍化

4月10日に発表された2024年3月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で3.93%の上昇でした。

2月の上昇率は4.50%で、6カ月連続で前月の水準を下回りました。

【2009年以降のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

2023年7月以降はじめて4%を下回り、24年の中央銀行の目標(3%)に近づきつつあります。

2024年3月

インフレ率、前月と同水準

3月12日発表された2024年2月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で4.50%上昇しました。

1月(4.51%上昇)とほぼ同じ水準でした。

金融市場では「インフレ圧力は依然として強い」との見方が出ています。

GDP、横ばい

3月1日発表された2023年10〜12月期のGDP成長率は、前四半期比で0.0%と横ばいでした。

横ばいは2四半期連続となります。

経済のけん引役である農業は「エルニーニョ現象」の影響で生産が打撃を受けており、家計の消費も息切れしているようです。

2024年2月

インフレ率は4か月連続で前月の水準

2月8日発表された2024年1月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で4.51%の上昇でした。

4カ月連続で前月の水準を下回りました。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

2024年の中央銀行の目標上限(4.5%)近辺で推移しており、中銀の利下げは続きそうです。

2024年1月

インフレ率は3か月連続で前月の水準を下回る

1月11日発表された2023年12月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で4.62%の上昇でした。

3カ月連続で前月の水準を下回りました。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

中央銀行の目標上限を2カ月連続で下回っており、中銀は利下げを続けそうです。

2023年12月

インフレ率、11月は4.68%上昇に鈍化

12月12日発表した11月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で4.68%の上昇でした。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

2カ月連続で前月の水準を下回りました。

中央銀行の目標上限(4.75%)を下回るのは3カ月ぶりです。

ブラジル経済は堅調

ブラジル経済が堅調に推移しているようです。

12月5日発表の2023年7〜9月期のGDPは前年同期比で2%増となりました。

【直近5年のGDP成長率の推移(出所:TradingView)】

プラスは11四半期連続となります。

2021年からの急速利上げと税財政改革の進展でインフレ抑制と景気の軟着陸を両立させ、主要国でいち早く利下げに転じたことが安定した経済成長を支えていると言えるでしょう。

2023年11月

インフレ率は4.82%のプラス

11月10日発表された2023年10月の消費者物価指数は、前年同月比で4.82%の上昇でした。

9月の上昇率は5.19%で、4カ月ぶりに前月の水準を下回っています。

中央銀行は次回12月の金融政策決定会合でも利下げを続けるとの見方が多いようです。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

2023年10月

インフレ率高くなるものの利下げ局面続く

10月11日発表された2023年9月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で5.19%の上昇でした。

3カ月連続で前月の水準を上回りました。

7カ月ぶりに中央銀行の目標の範囲(1.75〜4.75%)を上回ったものの、ベース効果のはく落で10月以降の伸び鈍化が予想されており、インフレ再燃への懸念は強まりづらいため、中銀は次回の会合以降も利下げを続けるとの見方が多いようです。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

2023年9月

インフレ率、2か月連続で前月越え

9月12日発表された2023年8月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で4.61%上昇しました。

2カ月連続で前月の水準を上回りましたが、中央銀行の目標の範囲内(1.75〜4.75%)には6カ月連続で収まっているため、利下げは続くとの見方が多いようです。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

GDPは10期連続で成長

9月1日発表された2023年4〜6月期のGDPは前年同期比で3.4%増でした。

主力の農業で穀物生産の拡大がけん引しています。

今回で10四半期連続のプラス成長となっており、堅調な推移が続いています。

【直近5年のGDP推移(出所:TradingView)】

2023年8月

インフレ率は3.99%

8月11日に発表された2023年7月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で3.99%の上昇でした。

6月実績(3.16%)を上回ったものの、中銀目標の範囲内(1.75〜4.75%)に5カ月連続でおさまりました。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

中銀が民間エコノミストの予測をまとめて8月7日に公表した「FOCUS」では、2023年のインフレ率は4.84%と見込まれています。

今後は賃金引き上げの影響も広がり、中銀の物価目標上限を再び上回るとの見方が一般的です。

なお、2023年末の政策金利は11.75%と予測されています。

2023年7月

フィッチがブラジルを格上げ

フィッチ・レーティングスは7月26日、ブラジルの長期外貨建て債務の格付けを「ダブルBマイナス」から「ダブルB」に1段階引き上げました。

経済や財政の課題に対処するために重要な改革で進展を遂げたと指摘し、税制の簡素化への取り組みなどを評価しました。

インフレ率が12か月連続で鈍化

7月11日発表された2023年6月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で3.16%上昇しました。

これは2020年9月以来の低い水準で、しかも12か月連続で鈍化しています。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

また、今回の水準は中央銀行が定める物価上昇率の目標の中心値(3.25%)も下回りました。

金融市場では、これを受けて中銀が8月に開く金融政策決定会合で利下げに踏み切るとの見方が強まっています。

2023年6月

インフレ率は2年半ぶりの低水準

6月7日発表された2023年5月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で3.94%の上昇でした。

11カ月連続で前月の上昇率を下回り、20年10月以来の低い水準となりました。

ボルソナロ前政権による商品流通サービス税(ICMS)の税率引き下げで、燃料価格が下がった効果が大きいと思われます。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

第1四半期GDPは4%増

6月1日発表された2023年1~3月期のGDPは前年同期比で4%増となりました。

9四半期連続でプラス成長となりました。背景としては主力の農業で穀物の生産が好調に推移したことがあげられます。

【直近5年のGDP推移(出所:TradingView)】

2023年4月

インフレ率は4.56%の上昇

4月11日に発表された2023年3月の消費者物価指数は、前年同月比で4.65%の上昇でした。

2021年1月(4.56%)以来の低い水準です。

税率引き下げが寄与したものであり、これ以降は下がりにくいとの見方が多いようです。

また、短期的な動向を示す前月比は市場予想ほどには低下せず、また仮に同水準が続けば物価目標の達成に疑問も残る内容となっています。

ブラジル中銀はこれまでも物価には上下それぞれリスクがあると説明してきており、今回、利上げに対してはこれまでと異なるメッセージを出しましたが、それが利下げのサインなのかについてはまだ判断が難しい状況です。

2023年3月

インフレ率は5.6%上昇

3月10日発表した2023年2月の消費者物価指数は、前年同月比で5.6%の上昇でした。

8カ月連続で前月の上昇率を下回りました。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

食品での価格上昇は引き続き続いています。

GDP、0.2%減

3月2日に発表された2022年10~12月期のGDPは、前四半期比で0.2%減となりました。

前四半期比でマイナスとなるのは21年4~6月期以来、6四半期ぶりです。

【直近5年のGDP推移(出所:TradingView)】

ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価上昇や、抑制のための高金利で商業や製造業が打撃を受けたと思われます。

昨年通年の経済成長率は+2.9%とコロナ禍の反動で上振れした前年から鈍化したほか、足下の景気は厳しいかもしれません。

新政権は船出からから景気減速が鮮明な状況に直面しています。

2023年2月

ブラジルインフレ率、7か月連続鈍化

2月9日発表された2023年1月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で5.77%の上昇でした。

7カ月連続で前月の上昇率を下回りましたが、22年12月(5.79%)とほぼ横ばいで、鈍化の勢いは落ちています。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

2023年1月

インフレ率が鈍化

1月10日発表された2022年12月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で5.79%上昇しました。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

6カ月連続で前月の上昇率を下回りました。

原油価格の下落、燃料・電力にかかる商品流通サービス税(ICMS)の税率引き下げなどが寄与しています。

2022年12月

インフレ率は5.9%

12月9日発表された2022年11月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で5.9%の上昇でした。

5カ月連続で前月の上昇率を下回っており、4カ月連続の1ケタ台です。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

また、この水準は2021年2月(5.2%)以来の低い水準です。

原油価格の低下や、燃料・電力にかかる商品流通サービス税(ICMS)の税率引き下げが影響しています。

7期連続成長

12月1日発表された2022年7~9月期のGDPは、前年同期比で3.6%増と7四半期連続のプラス成長でした。

【直近5年のブラジルのGDP成長率の推移(出所:TradingView)】

10月の大統領選を前にボルソナロ政権が実施した低所得者層向けの現金給付の拡大や減税で家計消費が増えたようです。

ただ、需要先取りの反動で、10~12月期以降への懸念はむしろ強まっています。

2022年11月

CPI、更なる低下

11月10日発表された2022年10月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で6.47%上昇しました。

4カ月連続で前月の上昇率を下回り、3カ月連続の1ケタ台となりました。

【直近5年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

水準的には21年3月以来の低いものです。

燃料や電力にかかる商品流通サービス税の税率引き下げ、原油価格の低下が寄与していると思われます。

2022年10月

CPIがさらに低下

10月11日発表された2022年9月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で7.17%上昇しました。

2カ月連続の1ケタ台で、2021年4月以来の低い水準となりました。

ボルソナロ政権による、燃料や電力にかかる商品流通サービス税(ICMS)の税率引き下げ、原油価格の低下が寄与していると思われます。

【2017年以降のブラジルのインフレ率の推移(出所:TradingView)】

2022年9月

CPI、久しぶりの一けた台に

9月9日発表された2022年8月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で8.73%上昇しました。

1年ぶりの1ケタ台で、2021年6月(8.35%)以来の低い水準となりました。

原油価格の低下、燃料や電力にかかる商品流通サービス税(ICMS)の税率引き下げが寄与していると思われます。

【2017年以降のブラジルのインフレ率の推移(出所:TradingView)】

©Trading View

GDPは6四半期連続のプラス成長

9月1日発表された2022年4~6月期のGDPは前年同期比で3.2%増となりました。

ボルソナロ政権が実施した現金給付策の拡充や減税策で、家計消費が堅調に推移しました。

6四半期連続のプラス成長で、1~3月期(1.7%増)から加速しましたが、需要の先食いとの見方が多く、先行きへの懸念はむしろ強まっているようです。

【直近5年のブラジルのGDP成長率の推移(出所:TradingView)】

©Trading View

2022年8月

インフレ率が鈍化

8月9日発表した2022年7月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で10.07%上昇しました。

10%超となるのは11カ月連続でしが、2021年12月(10.06%)以来の低い伸びとなりました。

ただ、インフレ率低下の中身を見ると減税など政策対応の結果という側面もあるようです。

ブラジル中央銀行は政策対応の影響を見極めたうえで今後の方針を定めると思われます。

【ブラジルのインフレ率の推移(出所:TradingView)】

©Trading View

2022年7月

高インフレが続く

7月8日発表された2022年6月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で11.89%上昇しました。

10%超となるのは10カ月連続です。

ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、食料品や航空券などの値上がりが目立っています。

物価上昇率は4月に12.13%と今回のインフレ局面で最も高い水準になった後、5月は11.73%とやや落ち着いていましたが、今回また上昇しました。

【直近4年のインフレ率の推移(出所:TradingView)】

©Trading View

2022年6月

インフレ率、減速するも引き続き高い水準

6月9日発表の5月消費者物価指数は、前年同月比+11.73%と、4月の+12.13%から伸びが鈍化し、市場予想の+11.88%も下回りました。

もちろん、減速しているものの、高インフレが続いている状況です。

背景はロシアによるウクライナ侵攻で燃料費、干ばつなどで食料品の価格が上昇している事です。

ただ、エネルギー価格の上昇で世界的に電気料金が高騰している中、水力発電の割合が大きいブラジルでは、水不足の解消によって電気料金の低下が顕著になっています。

1-3月期GDP、前年同期比で1.7%増

6月2日発表された2022年1~3月期のGDPは前年同期比で1.7%増となりました。

新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の影響は限られ、経済活動の回復でサービス業は堅調で、資源価格の上昇で輸出が増えました。

プラス成長は5四半期連続となり、2021年10~12月期(1.6%増)とほぼ横ばいの結果でした。

前四半期比では1%増となり、遡及修正された結果、前四半期比では3四半期連続のプラス成長となりました。

ただし、金利高は企業の設備投資の重石となるなど自律回復にはほど遠いと言えます。

財政支援による景気下支えはインフレ要因となるなど、回復の持続性という面でもまだ油断は出来ません。

2022年5月

インフレ率が12.1%なるも、ピークアウト寸前か

4⽉消費者物価指数は前年同⽉⽐+12.1%と、3⽉の+11.3%から加速しました。

燃料価格や⾷料品を中⼼に幅広い品⽬が上昇しています。

インフレ率は4カ月連続で加速しており、月間の上昇率は1.06%と、4月としては1996年以来の高い水準となってしまいました。

ただ、5月11⽇には政府が⾷料品7品⽬にかかる輸⼊関税を今年末までゼロに引き下げると発表するなど、インフレ対策が強化されており、この効果に期待がかかります。

先⾏きの不確実性は依然として⾼いものの、消費者物価指数(前年同⽉⽐)は4⽉がピークとの⾒⽅をしている人が多いようです。

ただ、中銀は物価上昇率の目標の中心値を3.5%と定めているので、インフレ加速が続いている中、次回6月の会合でも追加の利上げが有力視されています。

2022年4月

インフレ率、3月は11%上昇

8日発表した2022年3月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で11.3%上昇しました。

2003年10月(13.98%)以来の高い上昇率となりました。

ロシアによるウクライナ侵攻で燃料費、干ばつなどで食料品の価格が上昇している事が背景です。

エコノミストの市場予想を上回る上昇率です。

10%を上回るのは7カ月連続で、3カ月連続で上昇幅が加速しています。

4月11日にブラジル中銀のネト総裁は、この驚きのデータを分析して、トレンドに変化がないかを確認していると語りました。

ネト総裁は3月下旬に、次回5月の金融政策決定会合で利上げサイクルが終了となる可能性が最も高いと述べていましたが、この発言を受けて、市場では6月も利上げが続くとの見方が広がり、金利は上昇しました。

2022年3月

インフレ率、6か月連続の二けた台

ブラジルの2022年2月のインフレ率は10.54%と6か月連続で二けたとなりました。

インフレの背景の大方は先月と同じと思われますが、2月は特にウクライナ危機によって原油が更なる上昇となったことが影響しています。

10-12月GDPは1.6%プラス、2021年は4.6%

3月4日発表された2021年10~12月期のGDPは前年同期比で1.6%増となりました。

新型コロナウイルスの感染が抑制されていた時期でサービス業は伸びましたが、主力の農牧畜業や製造業がマイナスとなって低成長となりました。

プラス成長は4四半期連続です。

サービス業は前年同期比で3.3%増でしたが、部品不足が響いた製造業は6.9%減、農牧畜産業は0.8%減でした。

GDPは前四半期比では0.5%増と、3四半期ぶりのプラス成長でした。

2021年4~6月期と7~9月期はマイナス成長で、定義上の景気後退局面となっていた所でした。

2021年通年の成長率は4.6%でした。

ボルソナロ政権による財政出動の効果もあり、新型コロナの影響が大きかった20年(3.9%減)からは回復しています。

中央銀行が民間エコノミストの予測を毎週集計する「FOCUS」によると、22年の経済成長率見通しは0.3%と、ほぼ横ばいです。

2022年2月

インフレ率、5か月連続の二けた台

2月9日発表された2022年1月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で10.38%上昇しました。

5カ月連続で10%を上回りました。

ガソリンや電気代の値上がりが大きく、生産コスト上昇の影響は幅広い分野に広がっています。

1月としては2016年(10.71%)以来の高い水準です。

原油価格の高騰を受けたガソリン価格の上昇率は1年間で43%、電気代は27%となったほか、干ばつによってニンジンやトマト、タマネギといった野菜、コーヒー、チーズなども値上がりが目立っています。

ブラジル中央銀行総裁は11日、同国のインフレ率は4月か5月に直近1年でのピークを迎え、その後は急速に低下するとの見通しを示しています。

2022年1月

消費者物価、4か月連続で10%超え

11日発表された2021年12月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で10.06%上昇しました。

12月としては15年(10.67%)以来の高い上昇率となりました。

干ばつによる農作物の不作、通貨安に伴う輸入物価の上昇が響きました。

20年の上昇率は4.52%で、21年は2倍以上に加速しています。

上昇率は4カ月連続で10%を上回っていますが、11月(10.74%)よりはやや減速しました。

ブラジルレアルは1ドル=5.6レアル程度と、21年初に比べて1割弱下がっている状況です。

ブラジルの景気は低迷していますが、中央銀行はインフレ抑制を優先していると見受けられます。

2021年3月から12月まで7会合連続で利上げをしており、更に次回2月会合でも利上げを続ける意向を示しています。

金融市場では11.75%までの利上げを見込む声が多いようです。

中銀は物価上昇率の目標上限を21年は5.25%、22年は5%と設定しており、何とかこの範囲に収めたいと考えているのです。

2021年12月

プライマリーバランスは予想以上に良好

11月基礎的財政収支は150億レアルの黒字となり、市場予想の75億レアルの黒字を上回りました。

また、過去12カ月の累積でも2014年10月以来の黒字に転じており、ブラジルの財政は「意外と悪くない」ことが示されました。

インフレへの懸念は和らぐ

経済指標は引き続き弱い状況ですが、インフレへの懸念は徐々に後退しています。

10月サービス業売上高は前月比▲1.2%と、市場予想の+0.1%を下回りました。

10月経済活動指数は市場予想通り前月比▲0.4%となりましたが、9月分が下方修正されており、実勢としては下振れたと言えるでしょう。

その一方で、インフレへの懸念は和らいでいるようです。

13日にブラジル中銀が発表した週次のエコノミスト調査では、36週ぶりに今年のインフレ見通しが下方修正されました。

また、原油価格は11月に下落した後の反発が鈍いため、国営石油会社のペトロブラスがガソリン価格などを引き下げる期待も高まっています。

インフレ率は引き続き高い状況

10日発表された2021年11月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で10.74%上昇しました。

2003年11月(11.02%)以来、18年ぶりの高い上昇率となりました。

干ばつによる不作、通貨安に伴う輸入物価の上昇で、インフレは高止まりしています。

前月比での上昇率は0.95%と、11月としては15年以来の高い水準となりました。食料品ではコーヒーや鶏肉、チーズ、ビールの上昇が目立っています。

引き続き経済指標は弱い

経済指標は引き続き弱い状態です。

8日発表の10月小売売上高(前月比)は、市場予想の+0.6%に反して▲0.1%となりました。

これまでのインフレや利上げが購買力を低下させているのかもしれません。

ただ、これによって将来のインフレを抑制するため、足元で期待インフレ率は低下傾向になっています。

GDPが2四半期連続でマイナスとなり、景気後退入り

2日発表した2021年7~9月期のGDPは前四半期比で0.1%減となりました。

4~6月期(0.4%減)に続いて2四半期連続のマイナス成長となり、レセッション入りとなりました。

ブラジルの景気後退は、新型コロナウイルスの感染が広がった20年1~3月期、4~6月期に2四半期連続でマイナス成長となって以来です。

GDPは前年同期比では4%増となり、3四半期連続のプラスでした。

干ばつによる農産物の不振が大きな要因です。

そしてこの結果、インフレも引き起こしています。

10月の消費者物価上昇率は年率で10.67%となりましたが、これは5年9カ月ぶりの高い上昇率です。

ここには農作物だけでなく、通貨安による輸入品、原油高騰を受けたガソリンの販売価格の上昇も寄与しています。

実質経済成長率見通しの下方修正も相次いでいます。

中銀が民間エコノミストの予測を集計して毎週公表する「FOCUS」では、21年通年は4.78%増と、7週連続で引き下げられています。

2022年については8週連続の下方修正で、0.58%増まで落ち込んでいる状況です。

自律的な景気回復の道筋は見通せないなか、足下では製造業を中心に企業マインドが悪化するなど景気の足を引っ張る動きもみられる。来年も物価高と金利高の共存が続くとみられ、大統領選での再選を目指すボルソナロ氏にとって逆風になるかもしれません。

2021年11月

インフレ率が二か月連続で10%を超える

10日発表した2021年10月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で10.67%上昇しました。

これは5年9カ月ぶりの高い上昇率です。

干ばつや通貨安の影響でインフレは加速している状況です。

前月比での上昇率は1.25%と、10月としては02年(1.31%)以来の高い水準となりました。

食料品ではトマトや鶏肉が1年前から約3割上昇し、ジャガイモ(24%)やチーズ(15%)も上がっています。

食用肉に手が出ず、ペット用の肉を食用に購入する庶民が増えているとの報道もあります。

原油の高騰を受けてガソリンの販売価格も上昇した。通貨レアルは1ドル=5.5レアルと、6月下旬の高値から1割以上下落しており、輸入物価の上昇につながっています。

中央銀行は政策金利を7.75%まで引き上げています。

次回の12月会合では少なくとも1.5%の追加利上げが見込まれています。

中銀が利上げを急ぐのは、FRBが3日に量的緩和の縮小を決め、通貨安への不安があるためです。

新型コロナウイルス禍からの回復途上での利上げペース加速で、経済の下押しが懸念されています。

中銀は物価上昇率の目標の中心値を3.75%に設定しており、2.25~5.25%が範囲内ですが、8カ月連続で上限を上回っています。

2021年10月

インフレ率、10%超える

8日発表された2021年9月の消費者物価指数は、前年同月比で10.25%上昇しました。

これは16年2月以来、約5年半ぶりの高いインフレ率です。

新型コロナウイルス禍からの経済回復や干ばつの影響で、中央銀行が設定する目標上限(5.25%)を大幅に上回る状況です。

前月比での上昇率(1.16%)は、9月としては1994年以来の高い水準です。

干ばつなどでピーマンやキャベツといった野菜が値上がりしており、市民の生活を直撃しています。

中銀は3月に利上げを始めて、9月まで5会合連続で利上げを決めました。

今回インフレの加速が確認されたことで、10月下旬の会合でも大幅利上げに動くことが確実視されています。

中銀は物価上昇率の目標の中心値を3.75%に設定しており、2.25~5.25%が範囲内としている。7カ月連続で上限を上回っています。

統計の数値が弱い

5日発表の8月鉱工業生産は前月比▲0.7%と市場予想の▲0.3%を下回るなど、あまりいい数値が出ていません。

サプライチェーン混乱などの影響が続いており、鉱工業生産は3カ月連続の前月比マイナスです。

また、6日発表の8月小売売上高は前月比▲3.1%と、こちらも市場予想の+0.7%を大きく下回りました。

7月分が同+1.2%から+2.7%に上方修正されましたが、それを差し引いても下振れたと言えます。

インフレ加速や金利上昇により、購買力が低下したと指摘されています。

2021年9月

4-6月期のGDP、前期比で0.1%減

1日に発表された4~6月期のGDPは前期比0.1%減でした。

新型コロナウイルスの感染拡大により、1年ぶりのマイナスとなりました。

前年同期との比較では、12.4%増です。

前期比マイナスとなったのは天候不順に伴う農作物の不作やコロナウイルスの感染が影響したと思われます。

サービス業が0.7%増とプラスを保ったものの、製造業も前期比0.2%減となりました。

ブラジル北部を発祥とする新型コロナウイルスの変異型「ガンマ型」の影響で、感染者数が高止まりしたことが影響しています。

2021年後半にかけ、経済の回復は進むとみられています。

ワクチンの接種が進んだことで足元の感染者数は減少傾向が続いており、経済活動の制限解除も進んでいます。

インフレは依然として高い状況ですが、新型コロナ禍で上昇傾向が続いていた失業率も減少に転じています。

ブラジル中央銀行が8月末に発表した、民間エコノミストの調査によると21年通年のGDP成長率予想は5.22%と、5月末時点での予想から1ポイント超の上昇となっています。

一方で22年の見通しは厳しくなっており、アナリストは成長率予想を1〜2%にまで下方修正し始めています。

物価と金利の上昇に対する懸念に加え、22年の大統領選を控え、政治面での不安定化を危惧しているのです。

政府が新たな社会福祉プログラムという形で現金をばらまき、財政状態が悪化するとの懸念も出ています。

2021年8月

インフレ率が前月から加速

7月消費者物価指数は前年同月比+8.99%と前月の同+8.35%から加速しました。

主に電気料金の上昇が寄与しました。

これはほぼ市場予想通りの結果で、前年同月比では8月がピークになるという予想は変わっていないと思われます。

2021年7月

製造業の数が6年間で8.5%減少

21日、統計当局が2019年までの6年間で、同国の製造業の企業数が8.5%減少したと発表しました。

景気低迷や政治混乱で外資系企業が撤退し、ブラジル国内の下請けメーカーなどが倒産するパターンが多いという事です。

20年以降もソニーや米フォード・モーターなどの工場の閉鎖が相次いでいます。

同国の製造業の企業数は13年に約32万8千社でしたが、6年連続で減少が続き、19年には約30万社となりました。

鉱業も含めると、この6年間で雇用者数は15.6%減少しているという事です。

景気回復期待高まる統計結果

5月サービス業売上高が市場予想を上回ったほか、足元では新型コロナウイルスの新規感染者数の減少傾向が続いており、景気回復期待が高まっています。

また、経済省は今年の実質GDP 成長率の予測を 5月時点の3.5%から5.3%へ大幅に引き上げています。

当然これはレアルにとって上昇材料となりました。

2021年6月

経常収支の均衡が視野に入りつつある

ブラジルの経常収支の動向を見ると、鉄鉱石や大豆などの輸出価格上昇などを追い風に、ブラジルの経常赤字は縮小傾向にあります。

2021年5月時点の経常収支は、GDP比0.6%の赤字となり、均衡状態が視野に入りつつあります。

今後は、経常収支の改善も、実需取引の面からレアル相場を下支えする要因になるかもしれません。

インフレ率、前月から加速

6月9日発表の5月消費者物価指数は前年同月比+8.1%となりました。

4月の同+6.8%から一段と加速しました。

インフレ率上昇の背景は過去のレアル安の影響で輸入に依存する電化製品や、燃料価格上昇に伴う交通関連項目、並びに電力価格の上昇によると見られます。

なお、ブラジル中銀のインフレ目標は21年が3.75%で上限は5.25%です。8%を超えたインフレ率はかなり高めのものと言えます。

一方で、このインフレ率の上昇要因は概ね一過性の要因と見られる事にも注意が必要です。

その点で、ブラジル中銀が予想する、来年のインフレ率3%台への低下は、ある程度、合理的な線と思われます。

なお、直近の市場予想だと、インフレ率のピークは6月になる予想です。

1-3月期GDPは1.2%に鈍化

6月1日、2021年1~3月期のGDPが前期比1.2%増だったと発表がありました。

国際商品市況の回復でプラスを維持したものの、新型コロナウイルスの再拡大を受け、20年10~12月期(3.2%増)より伸び率は鈍化しました。

内訳は、

  • 国際商品価格の上昇を背景に農業が5.7%増
  • 製造業は落ち込んで鉱工業が0.7%増
  • サービス業が0.4%増

でした。

新型コロナの変異ウイルスの感染拡大により、経済活動を制限したことが響いたようです。

中央銀行が5月末に発表した、民間エコノミストの調査では2021年通年のGDP成長率予想は3.96%と、4月末から0.82ポイント上昇しました。

足元の通貨安が落ち着いていることに加え、年後半にかけワクチンの確保が進むことで消費や製造業が持ち直すと見込まれています。

世界経済の回復に伴い、穀物や食肉、鉄鉱石といった商品価格が上昇していることも輸出を後押しするとみられています。

2021年5月

中銀、成長予測を上方修正

ブラジル中央銀行は5月24日、第1・四半期の経済が予想外に好調だったことを受けて、今年の成長率予測を3.5%から4%に向けて修正する見通しです。

中銀は、新型コロナウイルスワクチン接種プログラムが6月に大幅に加速すると予想し、財政、政治、テクニカルな要因が組み合わさりインフレ期待が高まっていると述べました。

インフレ率は加速せず

4月消費者物価指数は前年同月比+6.76%となり、3月の同+6.10%から伸びが加速しました。

ただ 、 季節調整済みの前月比では+0.30%にとどまっており、足元でインフレ率が加速している様子はないようです。

ベース効果により5月は前年同月比で一段と上昇するも、年後半から緩やかに低下するというのが多くの人の見方のようです。

2021年3月

インフレ率は4年ぶりの高い伸び

ブラジルの2月のインフレ率は、4年ぶりの高い伸びとなりました。

来週の金融政策会合を控え、中央銀行に大幅利上げを求める圧力が強まっている。

2020年通年のGDPは▲4.1%

3月3日、2020年のGDPが前年比で4.1%縮小したと発表しました。

新型コロナウイルスの感染拡大の打撃を受け、16年以来のマイナス成長となりました。

分野別では製造業が同3.5%減、サービス業は同4.5%減、家計消費が同5.5%減と、輸出が好調だった農業をのぞくすべてのセクターでマイナスとなりました。

感染拡大が本格化した3月末から多くの州で経済活動を制限したことによる影響です。

2021年に入ってからもブラジルの新型コロナの感染拡大は落ち着いておらず、厳しい状況です。

レアルも安い状況で足元のインフレ率は高いままとなっており、失業率も歴史的に高い水準です。

もちろん良い兆候もあります。

ボルソナロ政権の経済活動を優先した動きに加え、昨年半ば以降の世界経済の回復も追い風に景気は底打ちしており、10ー12 月の実質 GDP 成長率も前期比年率+13.26%と 2 四半期連続のプラス成長となりました。

ただ、変異型ウイルスが猛威を振るっており、サンパウロで行動制限が再強化されるなど、景気の先行きに不透明要因が山積する状況は変わりません。

2021年2月

インフレ率はわずかに加速

2月9日発表の1月消費者物価指数は、前年同月比+4.56%となりました。

2020年12月の同+4.52%からわずかに加速したものの、市場予想の+4.62%は下回りました。

前月比は0.25%で前月から低下しています。

ただ、その背景は電力料金や航空運賃の引き下げなど、一時的なものと言えます。

今後の物価動向は、食料品価格上昇などによる上ブレが消失した後も、中国経済回復による輸出環境の改善、原油価格の上昇、財政政策の下支え(緊急補助金)などを受け、低下しにくい展開が想定されています。

2021年1月

政府債務が約18%増、バラマキ政策が主因

ブラジル政府は1月27日、2020年末の政府債務残高が前年比17.9%増の5兆レアルだったと発表しました。

新型コロナウイルスの感染を受けて財政支出を拡大したことで、増加額は過去最大でした。

野放図な財政出動は通貨安を招き、物価上昇でさらに景気を下押しする悪循環になりかねません。

要因は、ボルソナロ政権による現金給付策です。

低所得者や失業者向けに、最低賃金の60%にあたる月600レアルを配りました。

のちに半額に縮小したものの、年末まで全国民の3割以上となる6600万人に支給した一方で税収も落ち込んだため、この様な数値となりました。

インフレ率が上昇傾向

1月12日、12月の消費者物価指数が発表され、前月比1.35%上昇、前年同月比で4.52%の上昇でした。

これはエコノミスト予想を上回った。前年同月比では4.52%上昇と、昨年のインフレ率目標の4%を超えました。

2020年12月

7-9月GDPは前期比+7.7%

12月3日発表された2020年7~9月期のGDPは前期比7.7%増でした。

4~6月期の9.6%減から復調し、3四半期ぶりにプラスを記録しています。

内訳は、

  1. 製造業は前期比14.8%増、
  2. サービス業も前期比6.3%増
  3. 家計消費は7.6%増

と特に製造業が強かったようです。

また、金融緩和で不動産価格や株価が堅調な中、富裕層の消費も活発となりました。

政府の財政支出も景気刺激策として奏功しており、ボルソナロ政権は低所得者や失業者向けの現金給付を実施しており、これが家計消費の落ち込みを防ぎました。

もっとも今後の見通しは予断を許しません。

他の新興国と同様に財政不安が付きまといます。

巨額の財政出動で政府債務のGDP比率が90%に達している状況です。来年にはすべての政策が終了する事もあり、引き続き慎重にこの先の景気を見ていく必要があります。

2020年11月

統計は引き続き回復を示唆

2020年11月11日発表の9月小売売上高は、前月比0.6%プラス(前年同月比+7.3%)でした。

市場予想は下回ったものの回復の継続が確認されました。

また、11月12 日発表の9月サービス業売上高は 、市場予想を上回る前年同月比▲7.2%で前月の同▲10.0%からマイナス幅が縮小しました。

経済データは回復を示唆

2020年11月4日発表の9月鉱工業生産は前月比+2.6%となり、コロナ前の水準を回復しました。

また、11月3日発表の10月マークイット製造業PMIも66.7と統計開始以来の最高を記録しており、生産活動の順調な回復を示唆しています。

また、5日発表の10月マークイットサービス業PMIも前月の50.4から52.3に上昇しています。

2020年9月

中央銀行、2020年GDP見通しを上方修正

2020年9月24日、ブラジル中央銀行は今年のGDP見通しを上方修正しました。

四半期インフレ報告で、第3・四半期に新型コロナウイルス危機による打撃が和らいだことを受け、2020年のGDP見通しを当初の6.4%減から5.0%減に上方改定しました。

これで政府や市場の見通しに近づきました。

2021年のGDP見通しは3.9%増としましたが、通常より不透明感が高いとした上、安定的に回復するためには財政・経済改革が必須との見方を示しました。

中銀は来年の見通しは改革の継続次第だとして、新型コロナのパンデミックが和らぎ、交通や消費がコロナ前の水準に徐々に戻ることも想定していると述べました。

今年のGDP見通しは、政府が4.7%減、中銀の最新エコノミスト調査は平均5.1%減となっています。

物価について中銀は、食品の値上がりで短期的には大幅に上昇するものの、その後和らぐとの見通しを示しました。

年内に2.85%上昇に達するとしました。

一方、長期的には依然として、物価目標である20年の4.0%上昇と2021年の3.75%上昇に届かないとの見方を示しました。

足下で回復傾向示すブラジル経済

足元のブラジル経済は、主な統計データが回復を示しつつあり、また主要都市で経済封鎖措置が解除されるなど、徐々に経済活動の再開への動きが広がり始めています。

統計データで見ると、

  • 7月の小売売上高が前月比+5.2%と市場予想(同+1.3%)を上回る回復
  • 7月の鉱工業生産も同+8.0%と市場予想(同+5.9%)を超える

など、回復を見せ始めています。

また、2020年のブラジルの実質GDP成長率の市場予想も、3ヵ月前と比べて見通しが上方修正されています。

9月時点では、2020年の実質GDPは前年比5.1%のマイナス成長が予想されているものの、2021年には同3.5%のプラス成長への転換が見込まれています。

ブラジル経済は、一時は深刻化した新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷を乗り越え、回復に向かいつつあると言えるかもしれません。

消費者物価指数は2.44%

2020年9月9日発表の8月消費者物価指数は前年同月比2.44%でした。

これは市場予想に一致した数値です。

食品・飲料や運輸ガソリン価格などの上昇を主因に 、今年5月のボトムから緩やかに加速しています。

今後数カ月で中銀によるインフレ目標(2.5%~5.5%)内に回帰する見込みです。

サービス業PMI、鉱工業生産共に前月から回復

2020年9月3日発表の7月鉱工業生産は前年同月比▲3.0%(6月は▲9.0%)、8月マークイットサービス業PMIが49.5(7月は42.5)となりました。

どれも前月を上回る結果で、1日発表の製造業PMIと合わせて、足元の経済活動は改善傾向にあることが示されました。

製造業PMIは統計開始以来最高

2020年9月1日発表された8月マークイット製造業PMIは64.7(7月は58.2)と統計開始以来の最高を記録しました。

製造業の持ち直しを示唆しています。

4-6月期GDPは前期比▲9.7%

2020年9月1日発表となった2020年4~6月期の実質GDPは前期比9.7%減でした。

これは2四半期連続のマイナス成長で、16年以来の景気後退入りとなります。

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、金融危機や資源バブルの崩壊時を上回る落ち込み幅となりました。

この下落幅は1996年の統計開始以来、過去最大となり、ブラジル経済の規模は2009年の水準に戻りました。

内訳は、

  • 製造業が前期比で12.3%減
  • サービス業が同9.7%減
  • 農業は輸出が堅調で0.4%増

となりました。

小売売上高をみると、個人消費は既に6月には急速に回復しています。

早期に持ち直した背景としては、

  1. 5月以降、経済活動の再開が大きく進展したこと、
  2. 非正規雇用者など向けの緊急補助金給付といった積極的な財政政策が功を奏したこと

などが挙げられます。

また、この緊急補助金の給付は8月に終了する予定でしたが、ボルソナロ大統領は、2020年末まで延長することを決定しました。

そのため、下半期も個人消費の強力な下支えとなると思われます。

足下では製造業を中心に企業マインドが急回復している上、低所得者層への現金給付などによりブラジル経済は最悪期を抜け出しつつあるようですが、政策余地には乏しさもあり、今後素直に経済が回復するかどうかは分かりません。

2020年7月

今年の成長率見通しはマイナス5.8%に改善

2020年7月27日、ブラジル中央銀行が公表した週間エコノミスト調査で、今年の成長率見通しが4週連続で改善したほか、経常赤字の見通しが5週連続で縮小しました。

依然としてマイナス成長ですが、危機からの回復の兆しが出始めている可能性があります。

今回の「FOCUS」調査で、ブラジルの今年の経済成長率はマイナス5.8%との見方が示され、前週のマイナス5.95%、1カ月前のマイナス6.5%から改善しました。
今年の経常収支については、83億ドルの赤字になるとの見方が示され、赤字幅の見通しは5週連続で縮小しました。
1カ月前の予想の平均は135億ドルの赤字、5月時点では約400億ドルの赤字が予想されていました。

年末時点の政策金利は、4週連続で2.00%との見通しが示されました。

中銀は来月の決定会合で政策金利を0.25%引き下げて過去最低の2.00%とするとみられています。

製造業PMIは大きく上昇

2020年7月1日発表の6月マークイット製造業PMIは51.6と5月の38.3から大きく上昇し、節目の50も上回りました。

景気は依然として低位ですが、方向感としては改善していることが示されました。

2020年6月

消費者物価指数は下落傾向

足元のインフレ率の低下が利下げを後押ししています。

拡大消費者物価指数(IPCA)は2020年4月の前年同月比+2.4%から5月は+1.9%へと低下し、中央銀行のインフレ目標圏(4.0%±1.5%)の下限を下回っています。

今年はマイナス6.5%成長、中銀調査

2020年6月8日、ブラジル中央銀行が発表した週間市場調査によると、2020年のGDP成長率見通しは平均マイナス6.5%となり、17週連続で悪化しました。

前週の調査ではマイナス6.25%と予想されていました。

世界の大手銀行の予想をまとめた調査の改定値はマイナス7%以上でした。

今回の数値は、政府見通しのマイナス4.7%をほぼ2%ポイント下回った数値です。

また、今年の物価上昇率は1.53%との見通しが示されました。

この数値は過去最低で、中銀のインフレ目標の4.0%を大幅に下回るレベルです。

記録的な資金流出

ブラジルでは、株式・債券市場の外国人投資家が一斉に資金を引き揚げ続けています。

資金流出は、ボルソナロ大統領の振る舞いで国が混乱状態になることを恐れているためと思われます。

外国人投資家は2月から5月までの4カ月間にブラジルの株式市場から118億ドルの資金を、2月から4月にかけては債券市場から187億ドルをそれぞれ引き揚げたようです。

ブラジルから国外へ流出した資金は、大半の新興国からの流出を大きく上回っています。

新興国全体としては、3月にほぼ830億ドルの資金流出に見舞われたものの、投資家が先進国で得られるより大きなリターンを求めたことから、4月と5月には計230億ドル近い資金が戻ってきて、一部には資金の流れに反転もみられます。

一方でブラジル人はブラジルに楽観的です。

外国人投資家は株式・債券市場から大量の資金を引き揚げたものの、ブラジル人投資家がほぼ同じ額を市場につぎ込んだと見られます。

外国人投資家の資金がいつ戻ってくるかが、ブラジル資産の戻りを試すポイントになりそうです。

2020年5月

1-3月のGDPは▲1.5%

ブラジルの1~3月期の実質経済成長率は前期比1.5%減で、5四半期ぶりのマイナス成長となったようです。

国内経済への直接的な影響は限定的でしたが、輸出低迷に引きずられる形で製造業・サービス業ともふるいませんでした。

回復途上にあった家計消費も低迷していて、新型コロナの影響が出始めています。

家計消費は13四半期ぶりにマイナスです。

輸出が前期比0.9%減とマイナスに転落して、国内経済に波及しました。
ブラジルは15~16年のマイナス成長から回復途上にあった所が、新型コロナで冷や水を浴びせられました。

経済活動指数は過去最大の落ち込み

ブラジル中央銀行が発表した3月の経済活動指数は前月比5.9%低下し、統計を開始した2003年以来最大の落ち込みとなったようです。

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために3月下旬に導入したソーシャル・ディスタンス措置が響きました。

市場予想は6.95%低下でした。

第1・四半期の経済活動指数は1.95%低下でした。

新型ウイルスの危機や外出自粛の影響を完全に反映する前からGDPが急減したことを示しています。

4月のインフレ率は前月比▲0.3%

2020年5月8日に発表された4月の拡大消費者物価指数(IPCA)は前月比0.31%下落し、1998年8月以来の大幅なマイナスとなりました。

新型コロナウイルスの危機と景気後退により物価が急落し、金利はさらに低下するとみられます。

市場予想は0.2%下落でした。

燃料価格が10%近く下落し、ガソリンは9.3%下落と、値下がりが目立ちました。

3月の3.3%上昇から鈍化し、市場予想の2.49%上昇を下回っています。
中銀の物価目標である4.00%を大幅に下回っています。
次回会合で利下げすることを示唆した中銀ですが、データでもそれが後押しされました。

2020年4月

中央銀行、ブラジル経済は第4四半期に回復へ

 2020年4月18日、ブラジル中央銀行のカンポス・ネト総裁はブラジル経済が2020年第4四半期から回復しはじめるとの予想を示しました。

総裁はインタビューで

「第4・四半期には改善するだろう。問題は第3四半期にどの程度影響があるかだ」

と述べました。

ブラジルの感染者数は中南米最大ですが、ボルソナロ大統領は新型コロナの深刻さを繰り返し否定し、経済被害はウイルスより多くの人を殺すとして、隔離政策を批判しています。

こうした政治の混乱が回復を遅らす懸念もあります。

IMFは2020年の成長予想を▲5.3%と予想

2020年4月14日発表のIMF世界経済見通しでは、2020年のブラジルの成長率が▲5.3%になると見込まれています。

もちろん前回から大幅に下方修正されたものです。

また、2021年は+2.9%にとどまり、新型コロナウイルス問題が終息しても景気回復は緩やかになるとの見方が示されています。

2020年3月

2019年の成長率は1.1%

2020年3月4日に発表された2019年のGDPは前年比で1.1%増でした。

伸び率は17~18年の1.3%から微減となりました。

理由

隣国アルゼンチンの景気低迷や中国でのアフリカ豚熱(ASF)のまん延で、経済をけん引してきた輸出が減少に転じた為です。

政府は20年に2%台の成長を目指していますが、新型コロナウイルスの影響もあり、達成は微妙な感じになっています。

内訳ですが、家計消費が1.8%増、設備投資など固定資本形成が2.2%増とプラスを維持したが、輸出が2.5%減で全体の足を引っ張った形です。

輸出がマイナスとなるのは5年ぶりで、最大の貿易相手である中国への飼料用大豆の輸出が大きく落ち込んだのが響きました。

19年10~12月期は前期比で0.5%、前年同期比で1.7%増だった。プラス成長は維持しているものの、伸び率は低調だ。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ブラジルの主要輸出品目である農畜産物や資源価格は下落基調が続いています。

レアルは1ドル=4.5レアルと過去最安値を更新するなど、対ドルで年初来から1割以上低い水準で取引されており、輸入品に頼る製造業などで影響が出始めています。

2020年1月

2019年の就業者数が2013年以来の大幅増

2020年1月23日、ブラジル政府は2019年12月の就業者数が30万7311人減少したものの、通年では2013年以来となる大幅な雇用の伸びが見られたと発表しました。

12月は通常、雇用が減る月とされています。

2019年通年の就業者数は64万4079人の純増と、前年の52万9445人を20%超上回った数値です。

季節調整済みでは、20199年の就業者数は2013年に記録された112万人以来、最大となりました。

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