この投資ブログは、
- 投資先としてのインドやインドルピーって何となく可能性あるなって分かってるけど、改めてしっかりと調べてみたい人
- 既に投資をしているが、なかなか最近は儲けられないので、インドの全体感と最近の動きを改めて冷静に考えてみたい人
に向けて書いています。
筆者はバリュー平均法でインドに2017年から投資をしている個人投資家です。含み損を抱えている状況ですが、投資は継続しています。
私は中長期的に見てインドは買いだと思っています。なので、2018年7月現在含み損を抱えていますが、構わずずっと追加投資し続けています。
このブログはインドの基本情報と共に、最近インドで起こっている事について網羅的に知りたい人に向けて書いています。
インド株、インドルピーの推移
インド株とインドルピーのチャート 推移
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グラフの左上にある表示で、「SENSEX」:インド株式の代表的指数であるSENSEX、「INRJPY」がルピー・円、「USDINR」がドル・ルピーの推移です。(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
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インド株の動き
2021年1月も引き続き高値更新
インド株式市場は2021年に入ってからも、過去最高値を更新し続けています。
SENSEX指数は、月初から最高値を連日で更新し、節目の50,000ポイントに迫っています。
新型コロナの混乱が落ち着きつつあり、企業収益の成長期待が高まり、投資マネーが株式へ流入していると思われます。
実際に、景気指標で言うと2020年12月の総合PMIは54.9と、50を超えました。50を超えたのはこれで4か月連続です。
コロナウイルス問題直後の状況
インド株式市場は3月からの新型コロナウイルス問題で他の株式市場同様に急落しました。
株価指数のSENSEX指数は、3月初旬は38,000ポイント台にあったものの、その後きつい下げが続き3月18日には、29,000ポイントを割り込みました。
下落率は20%を大幅に上回り、弱気相場入りとなりました。
景気の落ち込み懸念からリスク回避の資金流出が続き、海外投資家によるインド株式の大幅な売り越しが継続しています。
インドの通貨ルピーの対米ドル相場が過去最安値を更新するなか、当面株式市場からの資金流出圧力が続きそうです。
しかし、株式市場の急落に伴い、予想ベースのPERは14年以来の13倍台、PBRは13年以来の2.3倍に低下するなど、株価のバリュエーションに割安感が出ており、落ち着き後に買いが入りそうです。
インド株式市場の前向きなポイント
- 国民の60%は農業従事者であり、経済は内需主導型であること。
- 特に、3〜6月に収穫期を迎える作物は今季豊作との期待があり、農村部で可処分所得の増加が期待できること。
- 原油安
- 予想PERが約4年ぶりの水準に低下する等、足元のインド株は割安感や売られ過ぎ感の強い状態にあること。
これらを勘案すると、条件がそろえば戻りの余地は大きいものと考えられます。
インド株式の動きについてフォーカスして追っている記事は↓

インドルピーの動き
4月以降はおおむね堅調なルピー
世界的な新型コロナウイルス感染拡大初期の4月ごろ迄ルピー安が進行していましたが、その後ルピーは概ね回復傾向です。
コロナ感染がひどいほどその国の塚は売られやすいと思われますが、ルピーに限っては反対の動きとなっています。
インドのコロナ感染は、累計感染者数は700万人弱で米国に次いで世界第2位、新規感染者数は7万人超とアメリカを上回るなど厳しい数字が並んでいます。
しかし、2020年10月時点では新規感染者はピークアウトしているようですし、インドの感染者は回復率も高く、また感染者死亡率も低いなど、マイナスを打ち消す面も見られます。
インドの景気回復も下支え要因でしょう。
インドのPMIは8月には50を超え、4月には5.4と普段見られない低水準に悪化したサービス業PMIも9月には50をほぼ回復しています。
GDPの数値は4-6月期で前年同期比マイナス23.9%となるなどかなり悪い数値ですが、それでもインド株式市場は3月を底に足元まで上昇傾向です。
対外ポジションの改善もルピーの下支え要因でしょう。
貿易収支は内需(輸入)減少を背景とした消極的な理由ながら改善傾向にあります。
また、海外からの株式投資は、短期並びに長期投資に改善が見られます。
金融政策が比較的タカ派でインフレ率上昇の抑制に向け政策金利の据え置きを景気回復が鈍い中でも続けていることもルピーの下支え要因かもしれません。
ドル安という新興国通貨に共通する下支え要因があっても下落する通貨がある中、インドルピーはここまで堅調だったのは以上の様な要因がありそうです。
2020年3月に最安値を更新
インドルピー相場は、2020年に入ってから軟調が続いており、3月は最安値を更新しました。
背景
IMFによるインド経済見通しの下方修正や国籍法改正にともなう混乱の継続、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響を懸念したリスク回避などが背景です。
こうして3月下旬には過去最安値を更新する動きとなりましたが、その後政府の経済対策や中銀の緩和的な金融政策などを受けて安値圏でうごめく展開となっています。
ただ、政府による新型コロナウイルスに対する経済対策は、ルピーの下支え要因になると思われます。
ただ、コロナショックによって金融市場の値動きは当面荒い状況が続くと思われ、何かあるとリスク回避により新興国通貨が売られやすい事に変わりなく、ルピーは当面やや弱含みでの推移するかもしれません。
2019年からREIT(不動産投資信託)投資も
2019年、ブラックストーンと地場不動産開発大手のエンバシーグループが設立したREITが上場しています。
投資先は主にオフィスビルで、商都ムンバイやニューデリー近郊のノイダ、IT企業が集積する南部ベンガルール(旧バンガロール)などの都市に物件を抱えます。
経済成長率の高いインドではオフィス需要の拡大が見込まれていて、上場銘柄が増えていくとの見方が多いです。インド投資を考える時、REITへの投資も一つの選択肢となるかもしれません。
インドの金利
インドの金利の動向
2020年12月現在で、インドの政策金利は4.0%です。
インドの金融政策をフォローしている記事がありますのでご参考ください。

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インドの債券ファンドに投資をして金利で稼いでいくというやり方もありでしょう。
2021年2月 金利は据え置き
インド準備銀行は2月5日開いた金融政策決定会合で、政策金利を年4%で据え置くことを決めました。
据え置きは4会合連続となります。
物価上昇率が2020年12月に4%台に落ち着いたものの、中銀は4月以降の物価予測を上方修正するなどインフレになお警戒感を示しています。
インド中銀は消費者物価指数(CPI)上昇率の中期目標を「2~6%」としていますが、ロックダウンによるサプライチェーンの寸断などが影響して、2020年6~11月まで6%を上回っている状況です。
2020年5月、緊急会合で政策金利を年4%に
2020年5月22日、インドは政策金利を0.4%引き下げて年4%とすることを決めました。
中銀は6月3~5日に金融政策決定会合を開く予定でしたが、20~22日に前倒しで開催しました。
利下げは3月に続き2回連続となります。
企業や個人が資金繰りに窮して倒産するのを防ぎます。
また、ダス総裁は2020年度(20年4月~21年3月の経済成長率がマイナスになるというコメントもしました。
民間でもインドがマイナス成長に陥るとの予測が増えている。
市場関係者は、今年度末までにあと50ー75bpの利下げがあると予想しているようです。
インド債券の規模は意外に大きい
実際にインドの債券市場はその規模が1兆ドルを優に超えています。
市場の2/3は国債等で占められているのですが、社債市場も今後数年間で⼒強く成⻑する可能性があり、それを目当てに更なる資金流入があるかもしれません。
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高金利に魅力を感じている人は他の新興国の債券ファンド等に投資をするのも検討されると良いと思います。
2020年10月時点での10年金利は6%弱の水準
2020年10月時点でのインド長期金利は6%弱の水準となっています。
9月初旬以降6.0%近辺で推移していたインド10年国債金利は、10月9日に5.94%に低下した後、14日時点では約1ヵ月半ぶりの低水準である5.90%となっています。
背景には、10月9日のMPCでRBIが、
- 現在の物価上昇は、都市封鎖に伴う労働力不足等による一時的なものとの見方を示したこと
- 少なくとも2020年度(20年4月~21年3月)及び21年度(21年4月~22年3月)にかけて、必要な限り緩和的なスタンスを継続するとの方針を明言したこと
等があるものと思われます。
今後は、コロナウイルスの新規感染者数の減少傾向が続くこととなれば、物価上昇が落ち着くとの見方等を背景に、追加利下げ期待が高まるものと思われます。
インド10年国債金利が利下げ見送り等から急上昇した8月下旬前の水準である5.8%近辺を目指す動きになることも想定されます。
モディ政権の政治
モディ首相のインド
2019年5月、第二次モディ政権始動
2019年のインド総選挙を制したモディ首相が2019年5月30日、大統領府での就任式に出席し、第2次政権を発足させました。
これで、モディ氏は基本的に2024年まで政権運営を担う事となりました。
モディ首相は一期目に「メーク・イン・インディア」をスローガンに掲げ、インドを製造業の拠点にすべくGST導入や規制緩和、インフラの整備等に取り組みました。
第二次政権でも格差是正など課題はかなり多くありますが、誰がなってもこれらの解決には時間がかかるでしょう。
それよりも、巨大な人口と強い経済成長力という所に自然にベットする、という方が長期的には正解なのかと思います。
2020年はモディ政権にとって多難?
モディ政権にとって2020年は問題山積で力量が試されそうです。
主な課題
- 先の総選挙ではナショナリズムの高揚を図って圧勝したものの、イスラム教徒を対象とする宗教的な
分断が進み、2019年末以降は反政府デモに発展、収束の目途が立たない状況であること。 - バラ撒き志向が強くなっており、財政赤字に歯止めが掛からなくなる懸念があること。
- 天候不順に伴う穀物生産低迷がインフレ懸念を強めていること。
- 中東情勢の不透明化による原油高で、インフレや経常赤字拡大など経済のファンダメンタルズ悪化が懸念されること。
これらの問題をどうやってクリアし、継続的な成長につなげていくかが問われています。
2020年2月の選挙で与党が大敗
2020年2月11日のデリー首都圏議会選で、モディ首相率いる国政与党のインド人民党(BJP)は庶民党に大差で敗れ、モディ政権の支持が揺らいでいます。
背景
インドで少数派のイスラム教徒を排除する政策への反発に加え、経済低迷への国民の不満があると見られます。
インドは28の州とデリー首都圏などの連邦直轄領にわかれ、各地方議会選は時期をずらしながら5年に一回実施されます。
今回のデリー議会選では定数70に対し、庶民党が62議席を確保するという圧勝に終わりました。
イスラム教徒排除への批判はおさまらず、インドでは大規模なデモが続いていますが、これに呼応する形で、BJPの支持も下がっていました。
純粋に政治的な問題と経済的な問題の二つからなる今回の大敗は、モディ首相にとってもかなり頭の痛い問題でしょう。
2019年12月 想像以上だった国籍法への反発
2019年12月、インドでイスラム教徒以外の不法移民に国籍を与える改正国籍法への抗議活動が急拡大し、モディ政権を揺るがしています。
ここまでデモが拡大する事はモディ首相にとって想定外だったのでしょう。
改正国籍法の中身
改正国籍法はアフガニスタン、バングラデシュ、パキスタンを逃れインドに不法入国した移民に国籍を与えるが、イスラム教徒だけは除くものです。
これに対し、イスラム教徒を差別し、信仰の自由や政教分離をうたう憲法に違反するとの非難の声が上がっており、宗教を問わず、学生や政治家、市民団体がデモを繰り広げています。
モディ氏はヒンズー至上主義を掲げており、この国籍法の改正も支持基盤をにらんだものとも言えますが、今回の国民の怒りは、政府が景気減速や雇用喪失という問題に対処する代わりに多数派支配主義的政策を推進している現状に対する不満を反映していると言えます。
不良債権問題
信販会社のデフォルトなどで経済にボディーブローの様に効き続けている大きな問題です。
詳細は↓で記載していますのでご確認ください。

全土封鎖で不良債権増
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための全土封鎖の影響が不良債権増に拍車をかけています。
特に不安視されるのがかねてから問題視されている約1万社と言われる影の銀行です。
影の銀行は新たな信用創造全体の約20%を占めると言われています。
これまで影の銀行問題の多くはインフラ整備計画への巨額融資に関連したものでした。
しかし、最近は新型コロナの影響で、これまで安全と見なされていた飲食店店主や消費者などへの小口融資にも影響を及ぼしているのです。
この問題が見掛け倒しでない事はこれまでの経験で分かっています。慎重に見る必要があるでしょう。
大手民間銀行、イエス銀行の救済案を発表
2020年3月6日、インド準備銀行は資金繰りが悪化し経営難に直面する民間大手イエス銀行の再建案を発表し、3月16日に再建案を最終決定しました。
同国最大の商業銀行、国営インドステイト銀行が725億ルピー、民間大手のICICI銀と住宅金融大手HDFCがそれぞれ100億ルピーを、ほかの民間銀2行が計110億ルピーを出資する予定です。
イエス銀行は不良債権が増加して財務体質が悪化しており、資金繰り改善に向けて資金調達を目指したものの実現していませんでした。
政府・中銀は、イエス銀が倒産すれば金融システム全体に不安が広がる可能性があると判断し、救済を急ぐことにしたと思われます。
中国との国境紛争の影響
国境紛争が貿易対立に発展する可能性
2020年6月15日、中国とインド両軍が国境の係争地域で衝突し、死者が出ました。
この問題が貿易にも波及し始めています。
インド政府は通信や自動車分野で中国企業を締め出す制裁措置を検討し、中国製品の関税引き上げも視野に入れています。
ただ、インド国内では中国企業を排除すると経済が回らなくなるとの懸念もあり、最終的にどういった対応になるかは分かりません。
印中両軍の6月15日の衝突ではインド側の20人が死亡しましたが、死者が出るのは45年ぶりです。
新型コロナウイルスへの対策等(時系列で整理します)
新たな経済政策を発表
2020年10月12日、インド政府は新型コロナウイルス流行で打撃を受けた経済を支援するための消費者需要刺激策を発表しました。
フェスティバルシーズン中に連邦政府職員の一部賃金を前倒し支給するほか、資本支出拡大も盛り込みました。
ニルマラ・シタラマン財務相はブリーフィングで、
- 道路・港湾・防衛プロジェクトに追加で2500億ルピー(34億1000万ドル)支出
- 2021年3月31日よりも前にインフラ向けに支出するための期間50年無利子融資1200億ルピーを州政府に提供
すると述べました。
3月に厳しいロックダウンを導入したモディ政権は、支出が増えるフェスティバルシーズン(10月から3月まで)を控え、経済活動の全面的な再開を目指しています。
都市封鎖を7月末まで延長
インド政府は6月29日、新型コロナウイルスに絡んだ都市封鎖の期限を7月末まで延長すると発表しました。
インドは3月25日から封鎖を始め、期日を延長するのは5度目となります。
封鎖は感染者が多い地域を対象としています。
コロナ収束が見通せず格下げが相次ぐ
主要格付け会社が、コロナウイルス感染収束が見通せない事を背景にインドの評価を引き下げています。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う成長率の低下や財政状況の悪化による格下げです。
もっとも、インド固有の事情もあり、為替や債券市場などの反応は概ね小幅にとどまっています。
ロックダウンを徐々に解除
2020年6月8日、インド政府は都市封鎖の段階的な解除を始めました。
まず飲食店やショッピングモールなどを再開し、落ち込んだ個人消費の回復につなげる狙いです。
ただ、インドでは都市封鎖したにもかかわらず感染拡大に歯止めがかかっておらず、解除によって感染ペースがさらに勢いづく恐れもあり、要注意です。
解除は3段階で進める予定です。
第1段階では宗教施設も認めています。
第2段階で学校の再開を認める予定です。
第3段階で飛行機の国際線や映画館といった利用者が密集するサービスを認める予定ですが、感染状況を見ながら再開時期を判断する事になりそうです。
28兆円規模の経済政策を数日にわたって発表
2020年5月13日、インド政府は20兆ルピー規模(約28兆円)の経済対策の具体策を示しました。数日にわたって内容を公開していくようです。
地場製造業や農業の振興を柱として、インド国内で競争力の高い商品を造るためにサプライチェーンを整備するという方針です。
初日は中小企業や建設業、ノンバンクの資金繰り対策を打ち出しました。
モディ首相の12日の演説によれば、国内に新しい供給網や市場を構築し、財源はインフラやITを活用した最新のシステムに投じ、土地や雇用、税制を巡る硬直的な法体系も見直すとしています。
- 中小企業やノンバンクへの資金支援
- 出稼ぎ労働者への食料配給
- 露天商への融資
- 灌漑など農業インフラの整備
- 政府がほぼ独占してきた石炭産業の民間開放
- 防衛産業の外資規制の緩和
などです。
その後、
- 5月14日は3.1兆ルピーの農家向け支援、出稼ぎ労働者向けの食糧支給。
- 5月15日は農業インフラ支援、漁業者支援。
- 5月16日は石炭、鉱物、防衛などインフラ8分野の構造改革。
- 5月17日は農村雇用の支援。
モディ氏の青写真通りに経済を底上げできるかどうか注視していく必要がありそうです。
ロックダウンを5月17日まで2週間延長
2020年5月1日、インド政府は3日までとしていた全土の都市封鎖をさらに2週間延長すると発表しました。
新型コロナウイルスの感染者の増加に歯止めがかかっていない為です。
これで都市封鎖は5月17日までの延べ54日間となります。
感染拡大を防止するためにしょうがないのですが、経済への打撃は深刻さを増しそうです。
一部では経済を再開
感染者の増加が止まらず、全土封鎖の延長が響き、2020年はマイナス成長に陥るとの予測も出ています。
ただ、2020年4月15日、インド政府は4月20日から農業やインターネット通販など一部の経済活動の再開を容認すると発表しました。
感染が確認されていない農村地域では製造業の操業も認めるようです。
全土封鎖は5月3日まで延長しながら、経済正常化も探り始めたという事です。
今回の決定により、インドの就労人口の5割強が従事する農業や漁業は再開できるようになります。
製造業に関しては特定の地域で医薬品や食品、情報技術(IT)機器などの生産活動が再開されることになるようです。
インド中銀、投信に7000億円の支援
2020年4月27日、インド準備銀行は投資信託向けに5000億ルピー(約7000億円)の資金を供給する枠組みを発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて運用会社がインドで債券ファンドなどの投信を閉鎖した影響で、ほかの投信にも償還圧力がかかって、流動性リスクが高まっており、これに対応したのです。
資金供給で投信を支援し、金融不安を和らげる狙いがあります。
インド中央銀行、1兆ルピー追加支援
2020年4月17日、インド準備銀行は経済を下支えするため、1兆ルピー(約1兆4千億円)の追加支援策を発表しました。
5千億ルピーはノンバンクの救済に充て、残る5千億ルピーは農業向けなどの貸し出しを手掛ける銀行に融資し、農村経済を支えます。
インドは3月25日から全土で都市封鎖を実施し、現状5月3日まで行われます。
こうした経済活動の停止で、中小企業の経営や農村の暮らしは圧迫されており、追加対策が必要と判断したものと見られます。
このほか、政策借り入れ(リバースレポ)金利を0.25%引き下げ、3.75%とすることも決めました。
銀行の余資運用に使われるリバースレポ金利を下げ、より多くの資金が民間経済に向かう効果を狙います。
インド中銀、元利支払い猶予と量的緩和
2020年3月27日、インド準備銀行は銀行、ノンバンクによる融資のすべての元利支払いを3カ月間猶予し、同時に3.7兆ルピー(約5.4兆円)に上る資金を市場に注入する量的緩和策も打ち出しました。
新型コロナウイルス対策で政府が25日から21日間の全土封鎖に踏み切ったため、企業や個人の倒産・破産を防ぐ狙いがあります。
こうした融資返済猶予(モラトリアム)はインド以外にも広がるかもしれません。
銀行に着実にモラトリアムを実行してもらうため、すべての猶予行為を自己資本規制や不良債権管理規制などで問題資産扱いしないことも宣言しました。
さらに社債、コマーシャルペーパーなどの民間負債証券を中銀が発行市場、流通市場の両方から買い入れるほか、銀行の支払準備率を緩めるなどして、合計3.7兆ルピーの資金を供給します。
インドの2019年度のGDP(推計)は209兆ルピーと言われており、今回の資金供給規模はその約1.8%にあたる大規模なものです。
2.5兆円の経済対策
2020年3月26日、シタラマン財務相は新型コロナウイルス対策として貧困層を中心に1兆7000億ルピー(約2.5兆円)の経済対策を実施すると発表しました。
インドでは全土のロックダウンで食料や医薬品などの供給体制に不安が出ています。
シタラマン氏はこうした状況を受けて、一般の人たちが食料や資金を得られることが重要だと強調し、農家には4月末までに1人あたり2000ルピーを支給し、日雇い労働者にも賃金保障額を手厚くする考えを表明しています。
BRICSの一国 インドの経済、人口は
世界二位の人口を持つ大国
インドは言わずと知れた世界第2位の人口を持つ大国です。
人口は12億人を超えており、構成する民族や文化は多種多様な多民族多文化国家です。
今の倍である5億5,000万⼈に達すると⾒込まれているそうです。
これは現在の⽶国、英国、ドイツ、フランスの⼈⼝の合計に相当します。
現時点のレベルで言うと、世界の生産年齢人口の20%弱がインド人です。
世界屈指の経済大国だが、経済格差も大きな問題
2017年のインドのGDPは2.4兆ドルであり、世界第7位です。
インドはその人口の大きさもあり、速いスピードで経済発展をしている国の一つです。
インドは2009年以降、2012年の5.4%を除いて毎年6%以上の成長を続けています。
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経済成長のスピードは率や絶対額ともに、間違いなく世界のトップ群にいる国です。
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しかし人口が大変多いため、1人当たりのGDPは約1,800ドルと世界水準の半分にも及びません。
インド洋を隔てて隣に位置するスリランカよりも相当低い状態です。
貧困は大きな社会問題です。
しかし、国全体で見るならその規模はやはり凄いです。
投資をするときは全体感の方が重要です。
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2020年11月 初の景気後退入り
2020年11月27日、7~9月期の実質成長率が前年同期比7.5%のマイナスだった事が発表されました。
やはり背景は新型コロナウイルスの感染拡大の食い止めに向けたロックダウンの影響が続いた事でしょう。
これで2四半期連続のマイナス成長となり、1996年に四半期統計の公表が始まって以降初めて事実上のリセッション入りとなりました。
2020年12月 インド中銀が2020年度の成長率を上方修正
インド準備銀行は12月4日、2020年度(20年4月~21年3月)の実質成長率予想をマイナス7.5%に上方修正しました。
10月時点の予想はマイナス9.5%でした。
農村は収穫が好調で、都市の産業も回復に力強さがみえてきたためと説明しました。
10~12月期には3四半期ぶりに前年同期比でプラス成長に転じるとの見方も示しています。
新型コロナウイルスの影響は?
新型肺炎流行の影響ですが、インド経済にも大きくのしかかってくると思われます。
ただ、原油安は貿易収支やインフレ見通しの改善に繋がると思われます。
一方、不良債権比率の高さが内需の足かせとなる状況は変わりません。
これが重石となって経済をさらに悪化させる懸念もまだあります。
政府は先行きの景気回復を見通していますが、内・外需双方でネガティブな要因が重なれば劇的な景気回復はほぼ無理でしょう。
コロナウイルスの影響で鉱工業生産の下げ幅が歴史的な急落
2020年6月12日、4月の鉱工業生産が発表され、前年比▲55.5%と前月の▲16.7%より下げ幅が急拡大しました。
月次統計が使用可能な1982年4月以来最低の水準です。
なお、統計局は都市封鎖措置などからデータ収集が十分でないとも言っており、今後大幅な遡及改定がされる可能性もあるとみられます。
ただ、いずれにせよ都市封鎖の経済活動への下押し圧力は相当大きい事に変わりありません。
コロナウイルスを踏まえた経済成長予測(2020年5月現在)
ロックダウンが続くインドの第2四半期のGDPが過去最悪のレベルに達するとゴールドマン・サックス・グループが5月17日付リポートで予想しました。
同社推計では、インドのGDPは4ー6月期に前期比年率45%減となるようです。
これまでは20%減を想定していました。
7-9月期については20%増と予想を上方修正し、10-12月期は+14%、来年1-3月期は+6.5%と据え置きました。
これらを踏まえると2021年3月末に終わる本年度の実質GDPは前年比▲5%となります。
これはインドがこれまで経験したどの景気後退となる事を意味します。
期待はずれだった2020年度予算案
2020年2月1日、インド政府は2020年度予算案を発表し、景気浮揚に向けて農業振興とインフラ投資を重視する路線を鮮明にしました。
2020年度(20年4月~21年3月)予算案は、歳出総額が前年度比13%増の30兆4千億ルピー(約45兆円)となりました。
⾜元景気低迷が続く中で、財政による景気⽀援策への期待もありましたが、政府は財政規律の⼤幅な緩
みには踏み出さず、穏健な予算案を発表した、というのがマーケットの評価のようです。
個人向けに所得減税も実施しますが、インフレも気になり、どこまで消費の喚起につながるかは分かりません。
具体的な数値
- 2019/20年度(2019年4⽉〜2020年3⽉)の財政⾚字対GDP⽐率は当初の⽬標3.3%から3.8%へ引き上げ。上記数値は2019年9⽉に⼤幅減税を⾏ったこともあり、市場予想の範囲内。
- 財政⾚字⽬標を対GDP⽐で3.5%に設定。前年度⽬標改定値3.8%より改善したことは評価。
最重要分野
農業のテコ入れ、インフラ投資です。
農業向け歳出は1兆5千億ルピー(2兆2千億円)と前年度比で28%増やしました。
インドの20超の歳出項目の中で、伸び率が大きい分野の一つです。
農業を底上げするための16プランも同時に披露されています。
また、インフラ投資にも力を入れます。
モディ首相は19年5月に再選を果たすと、今後5年で100兆ルピーのインフラ投資を実行すると宣言しました。
今回の予算案でも交通関連投資を前年度比7%増の1兆6千億ルピーに増やしています。
2024年までに100の空港を新設し、道路や鉄道のネットワークも拡充する予定です。
シタラマン氏は6500超のプロジェクトがあると語り、中間層の所得減税にも踏み切る予定です。
課税対象となる所得が50万~75万ルピーの場合は税率を現行の20%から10%、75万~100万ルピーは20%から15%にそれぞれ引き下げる予定です。
GDPに対する財政赤字額は3.5%と見込み、3%台を堅持する方向です。
高い失業率が消費低迷の遠因
インド経済の一つのトピックとして高い失業率が挙げられます。
2018年の失業率は都市部の男性などで統計がさかのぼれる過去45年間で最も高い水準となりとました。
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特に都市部で雇用悪化が深刻です。
人口増に製造業など雇用の受け皿の育成が追いつかず、消費が上向かない一因となっているのです。
停滞する雇用の押し上げが第2次モディ政権の大きな課題となっています。
インドと言えば情報産業
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インドは先進国の情報技術導入を進めるなかで、ソフトウェアの受託開発などアウトソーシング業を発展させてきました。
ソフトウェア産業は1990年代を通じて年率50%近い成長を遂げ、21世紀以降も 20%台の順調な成長を続けました。
この背景には、工科系の大学を中心として毎年30万人を超える情報技術者を輩出していることや、安価な労働コストが挙げられると思います。
加えて、シリコンバレーなどで活躍しているインド人技術者も多く、帰国後独自のビジネスを展開したり、帰国しなくても海外で活躍してその富をインドに還流させるなどといった事もなされており、情報産業又はそこに従事しているインド人労働者は、文字通りインドにとって金のなる木なのです。
揺らぐインドの情報産業の強み
しかし、そうした情報産業は、2000年代後半からよの優位性が揺らぎ始めているようです。
理由としては、強みであった低コストがインドルピア高や国内の人材不足による労働コストの上昇で失われていること、インド企業に仕事を奪われた欧米企業が自分たちの弱点を克服し、反転攻勢出でてきたことなどがあげられます。
NIP 国家インフラストラクチャーパイプライン
2019年12月31日、インド政府は2025年までに経済規模を5兆米ドルに引き上げることを目指し、今後5年間に総額1.4兆米ドル相当を投じるインフラ整備計画を発表しました。
5年以内に経済規模5兆ドルを目指し、1.4兆ドルを投資するインフラ整備計画です。
これは投資総額は過去5年間の2倍に相当するもので、国家インフラストラクチャー・パイプライン(NIP= National Infrastructure Pipeline)計画と呼ばれます。
2019年9月に発表された今後5年間のインフラ関連投資支出案に沿うもので、政府が取り組む計画のインフラ開発プロジェクトのすべてが網羅されています。
内容
- NIPでは、道路・鉄道建設と都市インフラ整備を重視
- NIP対象プロジェクトの43%は既に進行中で、20%余りは開発段階、残りの30%余りが構想段階にある
- 当該インフラ投資はインフラ関連企業に恩恵をもたらすとして、概ねポジティブ。
- 官民の役割分担、契約の遵守、紛争解決などについての改革も謳っている。
- 改革は、民間部門のインフラ整備事業への参加を促進し、それが上手くいけば外国からのインフラ投資が増えることも予想される。
コロナ以降、自律経済圏構想に力を入れる
モディ首相は新型コロナウイルスの感染拡大以降、国内に自立した経済圏をつくる構想を強調し始めています。
コロナの影響でサプライチェーンが崩壊したほか、中国との軍事衝突を機に中国企業を排除する動きが背景にあります。
インドにとって中国は最大の輸入国であるため、対中依存度をいかに減らせるかが焦点です。
自律経済圏構想は元々5月に地場の製造業や農業の振興とともに国内供給網を整えるという政策として初めて浮上しました。
インドは経済活動が崩壊して感染拡大も止まらず、いかにそれぞれの地域で強い経済基盤をつくらなければならないかという問題に直面したのです。
「国内の生産・消費活動と世界の供給網との融合を目指す」。
モディ氏は7月9日の演説で自立経済圏をこう説明しています。
国内の産業を底上げしながら輸出などにも力を入れるというのが基本概念です。
今後具体体なアイデアが出てくるものと思われます。
デジタル・インディア
モディ政権は2014年8月に「デジタル・インディア」計画を策定しました。
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そしてこのアドハーを使って躍進しているのがフィンテックビジネスなのです。
アドハーの登録情報だけでインドでは口座開設ができるようになり、他にも金融サービスの普及率を高める様々な取り組みが行なわれています。
例えば、ATM端末でキャッシュカードなしに金融取引ができたり、アドハー番号で受取人を指定することで、即時に決済できる仕組み等です。
アドハーはモディ政権下で急速に普及し、現在は9割程度の国民が登録しているとされ、フィンテックが拡がる地盤が整いつつあります。
対米貿易問題
2020年2月、高関税や5Gなど難題は持ち越し
2020年2月25日、トランプ大統領とモディ首相がインドで会談し、液化天然ガスの新規供給や30億ドル規模の武器輸出などで合意しましたが、懸案の5Gやインドの高関税は持ち越しとなりました。
トランプ氏は貿易協定の締結に楽観的だと主張したものの、インドの関税政策や5Gなどの懸案は軒並み解決を持ち越し、課題を残した首脳外交となったようです。
今回は、インドに対潜ヘリなど30億ドル規模の米国製兵器を輸出すると合意したほか、新たにエクソンモービルを通じて同国にLNGを供給することも決ましました。
今後はインドの高関税への対応が焦点となりそうです。
インドの平均関税率は17%(2018年)と高く、20年に入っても玩具や携帯電話部品などの関税率をむしろ引き上げると表明しています。
モディ政権は自国産業の保護政策を2期目の原動力としているのです。
そのためアメリカは2019年6月、インドに適用していた途上国向けの関税優遇制度を打ち切り、同国市場の開放を要求しました。
今回もアメリカは乳製品などの市場開放を求めて事前交渉しましたが、インドはノンバンクの経営破綻などで景気不安のさなかにあり、自国製品を優遇するアメリカの説得に力はなく、インドは関税や外資規制などの産業保護策を今回も堅持したようです。
これについては、その問題をフォローしている記事がありますのでご参考ください。

インドへの投資 注意点は
短期的なノイズ(下落)は覚悟
短期的なノイズは絶対あります。
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でも高い成長路線は維持されており、インフラ投資や地方活性化など、株価上昇の為の材料はいくつもあります。
マーケットがエモーショナルになって、他の新興国と一緒くたにされて下落、みたいな事になるのはもうしょうがない。
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中長期的な観点では買うべき
個人的には、いずれ世界一の人口を擁すると言われる国には投資をするべきだと思っています。
既に上昇しているわけですが、もともとGDPと株式時価総額は連動しており、GDPが成長していれば株価も上がるのが普通です。
インドは新興国らしい高い成長率を維持しながら発展し、今後もその傾向は続くというのが世界の一致した認識です。
長い目で見れば今からでも十分投資をしてリターンを得られる強気姿勢で臨んで良いと思ってます。
インドへの投資は基本的に投資信託やETF
インド株式への直接投資は難しそうです。
ただ、証券会社ならどこでもインド株、インド債券、インドの指数に連動したETFを取り扱っているので、そちらを利用した方が断然使い勝手は良いと思います。
但し、投資信託やETFの数はとても多いので、手数料や過去のパフォーマンスを自分でしっかり確認して選ぶのが良いと思います。
投資信託の選び方
パフォーマンスは1年などの短期ではなく、なるべく長めのもののほうがパフォーマンスの差がしっかり出ます。参考にできると思います。
また、純資産が最低でも10億円はあるものが良いと思います。
あまりに純資産が小さいファンドは、運用会社も入ってくる信託報酬が多くないので繰り上げ償還(途中でファンドの運用をやめてしまうこと)をする可能性が高くなってくる為です。
更に、月報の内容や特別レポートなど情報提供が充実しているファンドの方が投資後のフォローをするにあたってとても便利だと思います。
個人的には、いずれ世界一の人口を擁すると言われる国には投資をするべきだと思っています。
既に上昇しているわけですが、もともとGDPと株式時価総額は連動しており、GDPが成長していれば株価も上がるのが普通です。
インドは新興国らしい高い成長率を維持しながら発展しており、今後もその傾向は続くというのが世界の一致した認識です。
日々の情報収集は怠らずに
新聞や各種レポートなどで今のインドの状況についてしっかりと調べることが大切です。枝葉末節にこだわる必要はありません。大まかな流れをしっかりとつかむことが長期投資では何より大切です。
運用会社のレポートはそういった意味で大変有用です。是非ご活用ください。
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