中国の一帯一路政策とインフラ建設支援についてのまとめと経緯

パキスタンは親中政権敗北も、一帯一路を引き続き支持

2018年7月、パキスタンで総選挙が行われ、一帯一路関連でのインフラプロジェクトを積極的に推進してきた与党が敗北しました。

しかし、新しい政権も中国との関係を維持するようです。

結局、アジア各国はインフラ整備の資金需要が旺盛なのです。内政不干渉をかかげ、細かい資金使途を確認しない中国の「緩めの」支援は魅力的に映り、安易には手放せないのです。

2018年5月

マレーシアで親中の首相が敗北

マレーシアで2018年5月に総選挙が行われました。

この選挙で中国との経済協力を進めてきたナジブ首相が敗北しました。

後を継いだマハティール首相は中国企業が手掛ける鉄道建設などについて財政状況を理由に中止を通告しました。

マハティール氏は一帯一路のお面をかぶったマレーシアの植民地化に強い危機感を持っており、今回のプロジェクト中止も単なる財政難だけではないようです。

2017年以前

スリランカの重要港湾が中国の支配下に

スリランカも一帯一路に積極的に参加している国の一つですが、問題が出て来ています。

建設費のほとんどを中国からの融資受け完成させたインフラに赤字が続き、中国への借金約11億2000万ドルを帳消しする事を条件に、そのインフラの株式の70％を中国に引き渡しました。

これで、スリランカ南部のハンバントタ港は99年間、港湾運営権を中国企業に譲渡する事となりました。

中国には獲得した港の軍事目的があるとされています。

2017年10月　共産党規約に「一帯一路」のフレーズを入れる

2017年10月に、共産党の党大会が行われました。

この中で、今一度習近平が党の中心であることが確認されました。

特に党の「指導思想」として習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想が党規約に明記され、習近平が唱えてきた一帯一路や「強国」「強軍」といったフレーズなども党規約の中に盛り込まれたのです。

2017年5月　一帯一路サミットが開催される

2017年5月には、一帯一路サミットが開催されました。

国連事務総長をはじめ、プーチン大統領など各国首脳も参加しましたが、G7の首脳については、イタリア以外、欠席したようです。

ただ、先進国も中国の覇権を強めるものとして警戒しながらも、一定程度コミットして中国の暴走を抑えるという意図なのか、事務方を送っています。

2014年11月　APECで一帯一路を発表

2014年11月にアジア太平洋経済協力会議が開催されました。

場所は北京であり、習近平にとっては格好の一帯一路構想の発表の場だったでしょう。

各国首脳の前で自身で練り上げた中華経済圏構想を発表したわけです。

2013年　習近平、共産党トップに就任し一帯一路構想を披露

一帯一路構想が披露されたのは2013年でした。

この構想を打ち出した当初、中国国内では一定程度の関心を集めたものの、海外での関心度はそれほど高くありませんでした。

しかし、その後、習近平氏の政治基盤の強化や中国経済の安定化、アメリカのトランプ氏が大統領選で当選し、保護主義的な動きが強まった事の2つが合わさり、中国を中心とする新シルクロード経済圏内での経済連携が意識され始めます。