フィリピン過去のアーカイブ
2021年1月
2020年のGDP成長率、▲9.5%で過去最大
フィリピン統計庁は1月28日、2020年のGDP伸び率が前年比9.5%減だったと発表しました。
2019年の同6.0%増から一転し、統計のある1947年以来、最大の落ち込みで、マイナスとなるのは22 年ぶりです。
新型コロナウイルスの感染抑止のため、政府が長期に外出・移動制限をかけ経済活動が低迷しました。
GDPの約7割を占める個人消費は前年比7.9%減しましたが、これはロックダウンの影響もあるでしょう。
企業が工場や商業施設などの操業を縮小して多くの人が収入を失い、消費が冷え込みました。
企業活動はほぼ停止状態に
新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、企業活動が軒並み停止し、フィリピンも他国同様に経済への影響が心配されます。
財閥が手がける商業施設は閉鎖され、日系企業を含めて工場の多くも休止したりしています。
背景にはもちろんドゥテルテ大統領の操業停止・縮小の要請があり、それに従順な姿勢の財閥の姿という構図が見えてきます。
2020年3月下旬現在は食品を扱う店や薬局、銀行、インフラ関連以外の経済活動はほとんど止まっている状況です。
新型コロナを理由とするだけにドゥテルテ氏の要請にあらがうのは従来以上に難しい状況です。
財閥がドゥテルテ氏の顔色をうかがう状況が当面続きそうです。
2020年12月
政府、2020年の成長見込みを下方修正
フィリピン政府は12月3日、2020年のGDP伸び率の予想を従来の前年比5.5%減から、8.5%減~9.5%減に引き下げました。
新型コロナウイルスの感染拡大抑止で長期にわたる都市封鎖で経済活動が停滞している事が要因です。
統計のある1947年以来、最大の下落幅となります。
フィリピン統計庁は11月に、7~9月期まで3四半期のGDP平均が前年同期比10.0%減となったと発表し、経済関係省庁でつくる委員会が予想を見直しました。
新たな予想は、マルコス独裁政権末期で経済が混乱した1984年の7.0%減を下回ります。
2020年10月
2020年7-9月期GDP、2桁のマイナスが続く
2020年7-9月(第3四半期)のGDPは前年同期比11.5%減少でした。
GDP成長率は4-6月のマイナス16.9%から若干持ち直しましたが、予想値(9.6%減)よりマイナス幅は大きくなりました。
7-9月のGDPは前期比では8%増加しました。予想は8.9%増でした。
2020年8月
2020年8月、5会合ぶりの金利据え置き
2020年8月20日、フィリピン中央銀行は金融政策決定委員会で政策金利の翌日物借入金利を年2.25%で据え置くと決めました。
今年に入り累計で1.75%利下げしており、5会合ぶりに据え置きました。
新型コロナウイルスの影響で停滞した経済活動が再開しつつあることから、追加の緩和は見送りました。
ジョクノ総裁はオンライン会見で金利を据え置いた理由について、
- コロナ対策のための都市封鎖が緩和され、経済活動に回復の兆しが見られること
- インフレ率が政府目標(2~4%)の下限近くで推移していること
を挙げました。
フィリピンはコロナ禍による景気悪化を受け、結果、中央銀行は4会合連続で利下げを実施しました。
現在の金利は過去最低の水準にあります。
中銀は2020年のインフレ率見通しを2.3%から2.6%へ、2021年は2.6%から3%へ引き上げました。
依然として目標とする2-4%の範囲にとどまっています。
中銀はまた、不動産融資の規制を緩和し、金融機関の総融資残高に占める上限を20%から25%に引き上げると発表しました。
これで1兆2千億ペソ(約2兆6千億円)の流動性が増えるという事です。
フィリピンの4~6月期の経済成長率は前年同期比16.5%減の大幅なマイナスでした。
今回の政策で不動産市場を活性化し、低迷する経済の底上げにつなげる狙いがあるようです。
2020年4-6月期のGDPは▲16.5%
2020年8月6日、フィリピン統計庁は2020年4~6月期のGDPが前年同期に比べ16.5%減ったと発表しました。
これは四半期の統計を取り始めた1981年以来、最大の落ち込みです。
もちろん背景は新型コロナウイルスに伴うロックダウンです。
これで20年通年は前年比5.5%減となる見込みです。
4~6月期のGDPの減少幅は、1~3月期の前年同期比0.7%減から一段と拡大し、市場予想の平均値だった11%減をも大きく超えました。
以下が詳しい数値です。
- 4~6月期の設備投資は62.1%減
- インフラ工事も停滞し、建設投資は32.9%減
- GDPの約7割を占める個人消費は15.5%減
- 国際送金の受取額は3月から3カ月連続で前年同月を下回る
- 政府支出はコロナ対策などで22.1%増
フィリピン政府は4日からマニラなどの外出・移動制限を再び厳格化しており、経済低迷は長期化しそうです。
ロックダウンの影響で株価指数が3.8%下落
2020年8月3日、フィリピン株式市場は総合株価指数が一時3.8%下落し、2カ月ぶり安値を付けました。
新型コロナウイルスの感染者が急増しており、10万人を突破したことを受け、首都マニラとその近郊で4日からロックダウンを再開すると決定したことが主因と思われます。
指数を構成する30銘柄全てが下落し、GTキャピタルは7.7%安と下げが目立っています。
2020年6月
2020年6月、予想外の大幅利下げで政策金利は2.25%
2020年6月25日、フィリピン中央銀行は金融政策委員会で政策金利(翌日物借入金利)を年0.5%引き下げ、過去最低の2.25%に改めると決めました。
利下げは4会合連続となります。
2022年までのインフレ率が政府目標の2~4%の下限近くで推移するとの見通しも利下げ判断を後押ししたようです。
予想を上回る大幅利下げで、30年余りで最悪のマイナス成長に直面する経済を支える狙いがあります。
市場関係者の予想の大勢は据え置き、または利下げしたとしても0.25%の幅でした。
2020年6月、フィリピンペソが好調
2020年5月以降、フィリピン・ペソ相場が堅調ですが、今後大きな上昇もなかなか難しいかもしれません。
今年初から6月上旬にかけての同通貨の対米ドル騰落率(約1.5%前後)は主要新興国通貨で首位となっています。
とりわけ、2-3月の世界的なリスク回避局面の打たれ強さが目立ちました。
背景
- 原油安や資本財輸入の落込みによる経常収支の改善期待
- 海外投資家が少なく、資金流出が少なかった
- 多額の外貨準備や潤沢なドル流動性
などがペソ相場を支えたと考えられています。
今後は世界的な景気低迷に伴って海外就労者送金の伸びが落込み、貿易収支改善の一部を帳消しにするものと予想され、ペソも大きく下落する事はないものの、持続的な対ドル相場の上昇は起こりづらいと予想されます。
今後の金融政策
今回の会合後に公表された声明文では、先行きの物価や経済について、
- 基本シナリオでは2022 年までインフレ目標の下限近傍で推移
- 新型肺炎の感染拡大による国内・外景気への悪影響に伴う下振れリスクを警戒
- フィリピン経済についても新型肺炎感染対策の影響で減速感を強めている
- 仮に経済活動が再開されても景気動向は不均衡な状況が続く
- 経済活動の強化や金融環境の下支えを図ることが重要
としました。
ジョクノ総裁は金利据え置きを示唆していた
ジョクノ総裁は金融政策決定会合前の6月月初、次回の金融政策決定会合において、金利据え置きを示唆するコメントをしていました。
同総裁はコロナウイルス感染拡大による経済への負の影響を警戒すると同時に、プラスの実質金利(≒名目金利-インフレ率)が望ましいと述べました。
フィリピンの5月の消費者物価指数は前年同月比で2.1%と前年同月の3.2%から低下しており、フィリピンの実質金利はゼロに近づいている状況です。
足元のインフレ率の低下は過去の原油価格下落の影響が大きいとも考えられますが、原油価格は既に底打ちが見られます。
つまり、実質金利をプラスにする為にはこれ以上の利下げはあったとしても小幅にとどまる事が予想されます。
2020年5月
政策期待から株価が大幅上昇
2020年5月26日、財務省が発表した 「企業復興税優遇法案」を好感して 、株価が大幅に上昇しました。
現在30%の現行の法人税率を2027年まで段階的に20%まd引き下げる事等を含んだ内容です。
これによって景気回復 、直接投資の増加に寄与すると考えた投資家が買いを入れたようです。
2020年のGDP予想は▲2~3.4%
2020年5月13日、フィリピン政府は今年のGDP成長率が2~3.4%になるとの予想を発表しました。
新型コロナウイルスのパンデミックを受けて下方修正しました。
ドミンゲス財務相が数週間前に示した今年の見通しは1%減でした。
予測通りなら、この30年余りで最大の落ち込みとなります。
フィリピン開発予算調整委員会は、新型コロナ感染拡大が同国経済に及ぼす影響が今年2兆ペソ(約4兆2600億円)に上るとの見方を示しました。
これはGDPの約10分の1に当たる水準です。
また、巨額の政府支出により財政赤字は対GDP比最大8.1%に膨らむと予想しました。
その一方で、来年は7.1-8.1%のプラス成長に戻る可能性があるとしました。
2020年第1四半期のGDPは▲0.2%
2020年5月7日発表の2020年1~3月期のGDPは前年同期比0.2%減でした。
マイナス成長は四半期ベースではアジア通貨危機後の1998年10~12月期以来となります。
成長率が急低下した背景は、自然災害と新型コロナウイルスの感染拡大の影響が主な要因です。
フィリピンの自然災害についてですが、2020年1月12日にルソン島南部にあるタール火山が噴火した事によって近隣の工場や政府機関が休業し、マニラ空港では大半の航空機の運航が停止され、経済に大きな損失を与えました。
市場予想の平均値は2.9%増でしたが、大幅に下回りました。
今回から基準年を従来の2000年から18年に変更し、過去の数値も見直しています。因みに、19年10~12月期のGDPは前年同期比6.7%増でした。
エコノミストも、経済成長率が今後さらに悪化すると予想しており、特にロックダウンの影響で内需が大きな打撃を受けるとの見方をしています。
第2四半期は更に悪化するでしょう。
チュア氏は経済を正常化させるため、数週間以内に景気刺激策をまとめたいと、経済対策策定に取り組んでいる事に言及しました。
5月16日から外出禁止を一部緩和
2020年5月12日、フィリピン政府は15日に期限を迎えるマニラ首都圏などの外出・移動制限措置を16日から一部緩和すると発表しました。
制限そのものは31日まで延長しますが、業種や人員を限って工場の操業を認めるというものです。
今回の制限緩和は、地域によって異なります。
感染者が比較的多いマニラと隣のラグナ州、中部セブ市は、緩和を一部にとどめますが、マニラ、ラグナ州を除く北部ルソン島の大半の地域などでは、制限をさらに緩和します。
2020年の経済成長予想
コロナウイルス問題がどこまで長引くのか、といった所が一番でしょう。
国家経済開発庁のチュア長官代行は2020年5月7日のオンラインでの記者会見で、7~9月のGDPはさらに悪化する可能性があり、20年通年については横ばいか、ややマイナスになるとの見方も示しました。
金融機関なども、人口の半分以上が厳しい自宅隔離の対象となっている事からも、今年の経済成長率はゼロになる可能性が高いとも予測しています。
月15日以降の出口戦略を検討
ドゥテルテ大統領は5月4日のテレビ演説で新型コロナウイルス対策に手応えを感じている事を示しました。
感染者の増加ペースは落ち着いてきており、現在の医療、検査体制や感染者数を踏まえても、制限を緩和できそうとの観測が出ています。
2020年4月
次回会合での利下げに含み
2020年4月24日、中央銀行のジョグノ総裁は緊急会見をし、更なる金融緩和を示唆していました。
同総裁はインフレ率が目標を下回る可能性に言及した上で、引き続き十分な政策余地があるとの認識を示しました。
今後も一段の金融緩和の可能性を示唆したものと受け止められていました。
0.5%の緊急利下げ
2020年4月16日、フィリピン中央銀行は臨時の金融政策委員会を開き、政策金利の翌日物借入金利を0.5%下げて2.75%にすると発表しました。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で経済の大幅減速が避けられず、異例の緊急利下げで経済を下支えする姿勢を明確にしました。
12日に中銀総裁が利下げする用意があるとコメントしてから4日後の利下げとなりました。
当初の予想インフレ率
因みに、中銀は2020年3月の会合で、インフレ率予測等を発表しており、今年は3.0%から2.2%に修正すると共に、今年と来年の目標レンジは2-4%としていました。
これが4月現在、既に達成は出来ないとされたわけです。
来年のインフレ率予測も2.9%から2.4%に修正しました。
中央銀行は2020年をマイナス0.2%の成長と予想(2020年4月)
2020年4月24日、中央銀行のジョクノ総裁は 緊急の声明を公表し、今年の経済成長率についてマイナス0.2 %に留まる可能性があるとしました。
つまり、アジア通貨危機の影響が直撃した1998年(▲0.6 %)以来のマイナス成長に陥るという事です。
同総裁は 先行きの景気動向について
- 1-3月に減速した後、4-9月は低迷が続く
- 10ー12 月には緩やかに回復する
- 2021 年はU字型の回復を遂げ、景気刺激策が奏功すれば+7.7 %程度になる
としました。
中央銀行総裁、3%を下回る金利水準にする用意があるとコメント
2020年4月12日、フィリピン中央銀行のジョクノ総裁は今般の景気低迷への対応として、3%を下回る水準に政策金利を引き下げる用意があることを明らかにしました。
総裁は
「政策金利が3.0%だった2018年に戻るだけでは十分ではない。大幅な景気減速が予想されることから、より大規模な利下げが必要だ」
とコメントしました。
仮に3%は過去最低の金利水準です。
2020年3月
一時24%も株式指数が下落
2020年3月19日に取引を再開したフィリピン証券取引所で、総合株価指数PSIが15分間の取引停止後に24%急落しました。
同指数は取引再開直後に12.4%下落し、サーキットブレーカーが発動されて15分間取引が停止されていましたが、その後再開しても下落の流れは止まらずむしろ勢いを増した形です。
同証取は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて17─18日の取引も停止していました。
2020年3月、株式市場を無期限取引停止
2020年3月17日、フィリピン証券取引所は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、トレーダーや従業員の安全確保のため、取引を無期限で停止しました。
アナリストらは他の株式市場も、この動きに追随する可能性があるとの見方を示しています。
ただ、このような措置には投資家心理を改善させる効果はないとされています。
投資家は早急にキャッシュが必要なら、売ることのできるものを何でも売ろうとする可能性があり、取引停止が信頼回復の手段として機能しないというのが一般的な見方のようです。
2020年3月、0.5%の利下げで政策金利は3.25%
2020年3月19日、フィリピン中央銀行は政策金利の翌日物リバースレポ金利を50bp引き下げ、3.25%としました。
今回の利下げは市場予想(0.25%)を上回る大幅な利下げでした。
これで2018年の利上げ局面以降で、5度目の利下げとなります。
中銀のジョクノ総裁は、銀行への流動性供給や融資拡大に向けた一連の対策も発表し、中央銀行としてコロナ対策に積極的な姿勢を内外にアピールしました。
中銀は、預金準備率の引き下げやターム物預金ファシリティー入札の停止など、景気支援のために「金融政策手段を総動員」する用意があると表明していました。
2020年2月
今年の成長予測
フィリピン政府は、新型コロナの感染拡大を受けて、今年の経済成長率が目標の6.5-7.5%を下回るとの見通しを示しています。
堅調な内需がどこまで輸出の低迷を吸収し景気を支えるか、で数字が決まっていくでしょう。
2020年2月、0.25%利下げして3.75%に
2020年2月6日、フィリピン中央銀行は政策金利である翌日物借入金利を年4.0%から3.75%に引き下げました。
利下げは3会合ぶりです。
新型コロナウイルスによる肺炎の感染が中国を中心に拡大しており、経済成長を押し下げる可能性があるとして、金融緩和で景気を下支えする意図でしょう。
経済成長を下支えするため、さらに金融政策を緩和する用意があるとも表明しています。
ジョクノ総裁は
「新型肺炎の影響で経済活動や市場心理が冷え込む可能性があり、観光業や出稼ぎ労働者からの海外送金が影響を受けて2020年のGDPが0.3%押し下げられるだろう」
との趣旨のコメントをしています。
2020年1月
2019年のGDP、8年ぶりに6%を割り込む
2020年1月23日、2019年のGDP成長率が前年比5.9%だったと発表されました。
これで3年連続の減速です。
政府目標の6.0~6.5%に届かないのはもちろんの事、8年ぶりに6%を下回りました。
背景
- 世界景気の低迷で輸出が鈍化したこと
- 設備投資もマイナス成長となったこと
- インフラ整備向けの政府支出も伸び悩んだこと
- 農業生産が停滞したこと
等でしょうか。
輸出は18年までの3年間、10%台の伸びが続いていましたが、2019年は3.2%増にとどまったようです。これは中国などで完成品に組み込まれる電子部品や半導体の輸出が低調だったためです。
インフラ整備の支出がしぼんだのは、政治的な要因もあり、これは既に改善済みです。
設備投資は前年の12.4%の伸びから5.2%のマイナスに転じました。
但し、2019年10-12月は政府歳出の伸びが景気をけん引し、前年比+6.4%なりました。
予算成立の遅れ等から同歳出が昨年前半に急減速したことからの反動という事ですが、政府のインフラ投資も今後加速し、民間投資を誘発する見込みで期待は持てそうです。
コロナウイルス以前の経済成長見込み
2019年前半に低迷した政府歳出は7-9月期に急回復し、今後も年度末の12月に向けて加速する見込みとなっています。
回復がやや遅い資本支出も総額4.2兆ペソの主要インフラ計画を公表するなど加速する事が期待出来ます。
また、政府は今年の反省から年内に来年度予算の成立を目指していて、既に2019年11月27日には上院が最終読会で新年度予算案を可決しています。
これによって来年初より正常な予算執行が行われ、今年前半の落込みからの反動が来年前半の成長率を押上げる見込みとなっているのです。
ここに、家計消費の回復や、利下げ効果による民間投資の回復が加われば、経済全体の勢いは増す可能性があります。
今年通年の経済成長率は+5.9%程度となる見込みですが、2020年は+6.2%前後へと加速すると予想さされています。
2019年12月
2019年の成長目標の達成は難しそう
2019年12月時点では、2019年の成長目標として掲げていた6-7%の成長は、達成が厳しそうな状況です。
目標達成が難しい要因
米中貿易摩擦が予想以上に影を落としている為です。
輸出が鈍化し、設備投資も減速するなど企業活動が鈍っているのです。
2015年10~12月期から10%を超えていた輸出の伸びは2019年に入って1桁に低下し、7~9月期は横ばいにとどまっています。
米中摩擦を背景とする世界経済の減速で、主力の輸出品である電子部品の需要が落ち込んだ事が背景とされています。
これに加えてペソが対ドルで上昇していることも輸出の重荷となっているでしょう。
ただ、それでも他の新興国に比べると堅調であるとは言えます。
2019年11月
2019年の7-9月期のGDPは数字上持ち直す
2019年11月7日、2019年7~9月期のGDP伸び率が前年同期比6.2%だった事が分かりました。
3四半期ぶりに6%台に回復しました。
回復した背景
今年度の予算案の承認が4カ月も遅れ、インフラ関連の公共支出の実施を政府が急いだことが大きいと見られます。
外需でダメな分、内需でカバーしているといった所でしょうか。
米中貿易戦争の影響
もちろん米中貿易戦争の影響はあり、経済は力強さを欠いているため、楽観視は出来ません。
政府支出の伸び率は9.6%と、7%台にとどまった前2四半期から拡大しました。
貿易戦争が長期化するなか、フィリピンへの生産移管は行われないのか、というポイントですが、フィリピンは移管先として魅力は乏しいようです。
生産も活性化せず、7~9月期の輸出の伸び率も横ばいにとどまっています。
2019年8月
2019年10月現在の政策金利は4.25%
2019年8月8日、フィリピン中央銀行は政策金利を0.25ポイント下げて4.25%としました。
経済成長とインフレが鈍化したことを受け、金融緩和を再開した形ですが、元々0.5%ほど利下げするのではないかという声もありましたので、そこからは小さめの利下げとなりました。
invstem.com
ただ、インフレ見通しに照らせばまだ引き下げ余地がある、として追加の利下げも示唆しています。
フィリピン中銀は5月に0.25%利下げしていましたが、6月は金利を据え置いていました。
2019年7月
2019年第二四半期のGDPは予想を下回る
フィリピンの2019年4-6月(第2四半期)のGDPは前年同期比5.5%の増加でした。
あまり数値としては良くないでしょう。
背景としては、予算案の承認が遅れによって政府の予算執行が予定通り進まなかったことがあると考えられます。
1-3月のGDP成長率は5.6%でした。
今回、エコノミストの予想中央値は5.9%増だったので、予想を下回ってしまいました。
2019年5月
2019年5月、中間選挙終盤戦でも大統領派が優勢
2019年5月13日、フィリピンで統一国政・地方選挙(中間選挙)が行われますが、発言力の大きい上院では、ドゥテルテ大統領を支持する候補者が優勢を保ち、少数の反対派は苦戦を強いられているようです。
支持派が議席を伸ばせば、ドゥテルテ氏の議会に対する影響力は増すでしょう。
強権体制がより強まるとなると海外投資家は不安に陥りますが、トルコのエルドアン氏などを見ている事もあり、ドュテルテ大統領についてはそこまでまだ懸念が強くなっていない事がまずい所です。
フィリピン中央銀行が利下げし4.5%に、成長鈍化で
2019年5月9日、フィリピン中央銀行は政策金利である翌日物借入金利を.25ポイント引き下げ4.5%としました。インフレと経済成長の鈍化に対応した形です。
思惑より高くなっているインフレ率と、政治的な要因はあるとはいえ、成長率が下がっている現状を見ての判断と思われます。
2019年4月
2019年1-3月の成長率は5.6%で前期より減速、予想値よりも下振れ
2019年5月9日、2019年1~3月期のGDP成長率が前年同期比5.6%であったことが発表されました。
これは市場予想の6.1%を下回り、18年10~12月期の6.3%増から減速した数値となります。
背景としては2019年度予算の成立が4月末にずれ込み、インフラ整備に遅れが出たこと等が挙げられます。政府は、2019年度予算が予定したとおりに執行できていれば、6.6%成長になっていたとの見方を示しています。
因みに、GDPの約7割を占める個人消費の伸び率は6.3%と前年同期から0.7ポイント拡大し、持ち直しています。
2019年3月
2019年の成長率目標は6~7%
2019年3月13日、フィリピン政府は2019年のGDP成長率の目標を従来の前年比7~8%から6~7%に引き下げたと明らかにしました。
2020年も6.5~7.5%に下げています。
2019年度予算案を巡って上下両院の対立が続いていて、インフラ整備計画に遅れが出るためとしています。
2019年2月
2019年2月 中間選挙は引き続きドュテルテ派に勢い
2019年5月に行われる統一国政・地方選挙の選挙運動が2019年2月12日解禁されました。
大統領任期6年の半ばにあることから中間選挙と呼ばれています。
ドゥテルテ大統領は引き続き高い支持率を維持していて、議会選でも同氏を支持する候補者に勢いが出ているようです。
今回の中間選挙は上院の半数(12議席)と下院(約300議席)、全国の州知事、市長らを選ぶものです。
注目されるのが全国区選出で発言力の大きい上院で、直近ではドゥテルテ氏を支持する候補者が優勢にあるようです。
2019年1月
2018年の成長率は6.2%に減速
2019年1月24日、2018年のGDPの伸び率が前年同期比6.2%だったとの発表がありました。
前年より0.5ポイント低下し、2年連続で成長率が前年を下回りました。
インフレが進んだことで、GDPの7割を占める民間消費の伸びが鈍化した事が主因です。
フィリピン政府は2018年10月、成長率の目標を7~8%から6%台後半に下げましたが、達成できませんでした。
2016年6月のドゥテルテ政権発足以降、なかなか経済成長が軌道に乗りません。大規模なインフラ整備計画を打ち出し、政府支出が増えている半面、民間消費の鈍化が続くためです。
2018年のインフレ率は前年対比+5.2%
2019年1月4日、2018年の消費者物価指数(CPI)が前年比5.2%上昇したとの発表がありました。
供給不足による食料品の値上がりなどで上昇率は2017年より2.3ポイント高く、3年連続で前年を上回りました。
12月単月の消費者物価上昇率は前年同月比5.1%となり、年初から続いた物価上昇は落ち着きつつあるようです。中央銀行の連続利上げなどが奏功したという事でしょう。
2018年12月
フィリピンペソの動き
2018年12月現在のフィリピンペソは、世界経済の不透明さからそこまで調子よくはありません。
こういう受難な時こそ、中長期的な成長期待を見据えて投資をするための良い仕込み時期であると筆者は考えるので、丁寧に下値を拾っていきたいと思っています。
2018年12月 金融政策決定会合 6会合ぶりに据え置き
2018年12月13日、中央銀行は政策金利である翌日物借入金利を4.75%に据え置くことを決めました。
据え置きは6会合ぶりです。年初から続いた物価上昇が11月に鈍化し、金利も既に9年ぶりの高さにあることから、現在の水準を維持しました。
総裁も一連の金融政策の効果が出たとして今回の据え置きを決めたとコメントしています。
2018年11月
2018年11月のインフレ率、6.0%に
2018年12月5日、11月のCPI上昇率が前年同月比6.0%だったと発表がありました。
上昇率は10月より0.7ポイント鈍化し、今年初めて前月を下回りました。
政府が農産物の輸入を拡大したり、中央銀行が5会合連続で利上げを実施するなどして、年初から続く物価上昇は一服しました。
2018年11月 株は不安定な動きから脱せず
2018年11月に⼊ってもフィリピン株式は不安定な展開が続いています。
フィリピンの貿易⾚字が拡⼤したことやアメリカの⻑期⾦利の動向などが懸念材料になっているのでしょう。
ただ、貿易⾚字の拡⼤については、やみくもに悲観するものではありません。
建設資材の輸⼊増加が主な要因で、これはインフラ投資に対応するためのものだからです。
インフラ・プロジェクトの進捗は、今後の経済活動にプラスの恩恵をもたらすはずです。
個人的にはこういった軟調な時こそ、成長性の高い国は買いのチャンスという事で引き続き投資を継続していきたいと思っています。
2018年10月
2018年10月 ドュテルテ大統領の側近が中間選挙に出馬
2018年10月、2019年5月に行われる中間選挙の候補者登録が締め切られました。
政権運営に影響を与える上院選にはドゥテルテ大統領の側近の特別補佐官や報道官、前警察長官が出馬する予定で、現状少数の反政権派の議員がさらに減る可能性があります。
側近が当選となれば、ドゥテルテ氏が6年任期の後半も求心力を保ち、強権支配を続けるとの見方が出ています。
直近の世論調査では、当選圏に入っている上院選候補者は、そのほとんどがドュテルテ大統領支持派です。
このままいくと、反ドュテルテ大統領の一派は更に窮地に陥ってしまう可能性があります。
2018年7-9月のGDP
2018年7-9月の実質GDP 成長率は前年比+6.1%と3年ぶりの低い伸びに留まっています。
異常気象に伴う農業生産への打撃に加え、インフレと金利高により家計消費が振るわなかったのです。
世界経済全体への不透明感もあって、企業の投資マインドも急速に悪化してきており、国内での雇用機会創出を通じた自律的な景気拡大への道のりは少し厳しい状況かもしれません。
2018年9月
2018年9月 再び利上げか??
フィリピン統計機構が2018年9月5日に発表した8月の消費者物価指数は前年同月比6.4%上昇のでした。
実は6%を超えるのは9年ぶり。
この結果を受けてエスペニーヤ中央銀行総裁は追加的な政策行動の必要性について検討すると表明しています。
2018年1ー8月のインフレ率平均は4.8%になっていて、フィリピン中銀は2018-20年の年間平均インフレ率目標を2-4%としているので、それを上回っている状況です。
なので、利上げなんですかね。
因みに、インフレ率が7%前後だった2005年から中央銀行は利上げを行い、2007年前半には2%程度にまで落ち着きました。
インフレ率が高まり更なるペソ安が見込まれる中では、海外からの送金が減少、又はペソから外貨への換金される可能性が高まります。当局としてはそれは避けたいシナリオだと思われます。
因みに次回の金融政策決定会合は2018年9月27日です。
2018年8月
2018年8月 止まらないインフレ
統計庁は2018年8月7日、7月のインフレ率が前年同月比5.7%だったと発表しました。
これで5カ月連続で政府目標の上限を上回った事になります。
インフレが加速していることを受け、2018年8月9日の金融委員会で利上げに踏み切る可能性はかなり高まっています。利上げとなれば3会合連続の利上げという事になります。
2018年8月現在、予想EPSは高い成長率
2018年8月現在における市場予想EPSは、2018年、2019年ともに前年比+10%前後の成⻑が⾒込まれています。
色々な問題があるものの、インフラ投資を行って経済の足腰を強くしていき、経済成長の波に乗っていくというストーリーは引き続き堅固です。
特に2018年2月以降、フィリピン株はなかなか調子が出なくて、他のアジア各国に比べると出遅れ感がありました。逆にこれが大きな投資チャンスになる可能性もあります。
いつもの事ですが、こういう時こそ、中長期的な投資家にとって「買い」なのではないかとも思います。
※他の新興国株式に投資をしたい場合は以下のブログもどうぞ。
2018年7月
2018年4-6月期のGDP
2018年8月に発表の2018年4月~6月期のGDP伸び率は前年同期比6.0%です。これは「減速」です。
物価上昇で個人消費が伸び悩み、経済成長に影を落としているようですね。
2018年6月
2018年6月20日にも利上げ
更に中央銀行は2018年6月20日、政策金利を翌日物借入金利の3.5%を中心とする3.0~4.0%へと0.25%引き上げることを決めました。
インフレが進んでいるうえ、アメリカの利上げでペソが下落しているため、前回に続いて利上げに踏み切ったようです。通貨防衛の思惑もあるでしょう。今後も同様の思惑で様々な政策を打つ用意があると中央銀行はコメントしています。
2018年6月のFOMC
米連邦公開市場委員会(FOMC)は2018年6月12、13両日の定例会合で、FF金利誘導目標を0.25ポイント引き上げ、1.75-2%のレンジに設定しました。利上げは今年に入って2度目となります。これは大方の予想通りです。
失業率が低下し、インフレ率が従来の見通しよりも速いペースで上昇していることから、2018年通年の利上げ予測も4回に上方修正されました。
FOMCは利上げペースを速めても経済成長の拡大に変わりはないとの見方を示唆しましたが、新興国通貨にどの程度影響が出るかは注視する必要があります。
2018年5月
フィリピンの政策金利
フィリピンの現在の政策金利は2016年からずっと3%で据え置かれていました。
しかし、中央銀行は2018年5月10日、金融政策決定会合を開き、政策金利を3.25%を中心とする2.75~3.75%に0.25ポイント引き上げることを決めました。利上げは、金利の上下限を設定するシステムを2016年6月に導入して以来初めての事です。
2018年3月
3月のフィリピンのインフレ率
背景はインフレ率の上昇があります。3月の消費者物価指数の上昇率は4.3%となり、政府目標である2~4%を超え、基準年の2012年以降で最高となりました。4月は更に4.5%と拡大していました。
2018年3月の金融政策決定会合
2018年3月の中央銀行の政策金利を決定する会合でも、インフレ率が上昇している中、金利引き上げを行うのではないかという市場の淡い期待をよそに据え置かれています。
中央銀行は、物価が年内に大きく上昇したとしても、目標の範囲内で推移し来年には鈍化するという見通しを持っているため、今回の据置きを決めたと述べています。
2018年2月
2018年前半のフィリピン株の状況
2018年以降はなかなか厳しい状況が続いています。2月上旬にはアメリカ株式の大きな下落からの影響を受けて、フィリピン株式を含めた新興国株全体が下落しました。フィリピン株についてはそれまでの上昇の反動から外国人投資家を中心に利益確定売りも優勢となり、上昇しずらい状況が続いているようです。
特に懸念されているのは経常収支の赤字でしょうか。2017年10-12⽉期には▲33億米ドルの⼤幅⾚字となりました。それまでもちょくちょく赤字になっていたのですが、もう少し額が小さかったのです。
2018年1月
2018年初頭の株価
直近は先進国の金融政策正常化の懸念や2018年2月の世界同時株安の影響もあり、新興国の通貨と株式両方が売られ、少し軟調になっています。通貨は、年初から2018年3月初頭までの期間において、主要なアジア諸国の中ではフィリピンペソが最も大きな下落幅となってしまいました。因みに二番目に大きく下落したのはインドです。
コメントを残す