トルコへの投資、政治と外交のまとめ

トルコへの投資をされている方は重々ご承知の通りですが、トルコを見る際に政治がどうなっているかを見る事は極めて重要です。

特に対米関係は重要で、2018年のトルコショックも対米関係の悪化が招いたものと言って過言ではありません。

この中では、トルコの政治・外交についてまとめていき、トルコ投資のタイミングを計る一つのご参考にして頂ければ幸いです。

2019年4月からの経緯を網羅的にご確認されたい場合は以下をご参考ください。

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2022年5月

フィンランドとスウェーデンのNATO参加を不支持

エルドアン大統領は5月16日、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟を支持しないと改めて表明しました。

NATO入りにはトルコを含む全加盟30カ国の賛成が必要です。

トルコは、両国がトルコなどがテロ組織に指定するクルド労働者党(PKK)の関連組織を事実上支援するとともに、関係者の身柄引き渡しを拒否している上、トルコへの武器輸出停止に動いていることに不満を募らせているのです。

また、この駆け引きを通じて、全般的にヨーロッパのトルコへの強い風当たりに対する譲歩を引き出したい考えのようです。

国内政治がうまくいっておらず、外交政策でトルコの存在感を示したいのでしょうが、各国が結束しなければいけない中、なかなか困ったものです。

2022年4月

サウジアラビアと首脳会談

エルドアン大統領は4月28日、サウジアラビアを5年ぶりに訪問し、サルマン国王やムハンマド皇太子と会談しました。

サウジ人記者殺害事件などで悪化した両国関係の修復を模索する事が狙いです。

地域大国であるサウジとトルコの接近は中東の国際秩序に大きな影響を与える可能性があります。

トルコ側は経済的な思惑があります。

トルコリラは1年前から4割超下落し、外貨建ての対外債務の返済負担が膨らんでいます。

エルドアン政権にはサウジとの和解を通じて経済的な苦境を打開したい考えがあります。

サウジ側には安全保障上の思惑があります。

米国は中東への関与を低下させ、バイデン政権はサウジの人権状況に批判的です。

イエメンなどの親イラン武装勢力からはサウジへのミサイル攻撃が相次いでおり、中東の軍事大国であるトルコと足並みがそろえば心強いわけです。

著名実業家に終身刑で欧米が反発

トルコの裁判所は4月25日、反政府デモやクーデター未遂に関与したとして国家転覆を企てた罪などで、慈善活動で知られる著名な実業家オスマン・カバラ氏(64)に終身刑判決を言い渡しました。

欧米はこの裁判を強権的なエルドアン政権による反体制派弾圧の象徴と見なし、強く批判しています。

トルコはロシアとウクライナの停戦交渉を仲介するなどしていますが、司法の独立や人権問題で対立が続いています。

欧州人権裁判所は2019年、カバラ氏に対する嫌疑に合理的な根拠はなく、口封じが目的だとして釈放を求める判決を出しましたが、トルコは応じていません。

欧米など10カ国の駐トルコ大使は昨年10月、カバラ氏の釈放を求める共同声明を発表し、エルドアン大統領が一時、10大使の国外追放を指示する騒ぎになりました。

中東と関係の修復を急ぐ

トルコが中東諸国との関係改善を急いでいます。

4月7日には裁判所が、トルコで起きたサウジアラビア政府に批判的な記者殺害の審理を停止し、サウジ側に移管すると決めました。

事実上、事件に幕を引く決定で、トルコ政府の意向を反映したようです。

トルコのエルドアン大統領はイスラム世界での主導権を握ろうとしていましたが、経済混乱で方針を修正しました。

トルコ経済は新型コロナウイルスの感染拡大、エルドアン氏が主導する不自然な低金利策による通貨の相場低迷で混乱が続いています。

ロシアのウクライナ侵攻で輸入に頼るエネルギー資源の価格上昇が加速する可能性があり、景気低迷も悪化する可能性もあります。

産油国を中心に中東諸国との関係改善を進める背景には、投資拡大への期待もあるとみられています。

2022年3月

次回の停戦協議をトルコで開催

エルドアン大統領は3月27日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ロシアとウクライナの次回の停戦協議をトルコのイスタンブールで開催することで合意しました。

ウクライナの交渉担当高官は同日、ロシアとの対面式の次回協議が3月28ー30日にトルコで行われると述べています。

外相、ロシアのオリガルヒ歓迎と表明

トルコのチャブシオール外相は3月26日、同国に来るロシアの新興財閥(オリガルヒ)を歓迎するものの、トルコでいかなる事業を行う場合も国際法に準拠する必要があるとの見解を表明しました。

トルコはロシアのウクライナ侵攻を強く批判していますが、西側諸国の対ロシア制裁に原則、反対しています。

選挙制度を改正

トルコの与党連合が国の選挙法を修正する計画を発表しました。

エルドアン大統領の与党から議会の主導権を奪おうとする野党の試みにダメージを与える可能性がある内容です。

3月14日発表された待望の改正法案のなかに、選挙区内で国会議員の議席を割り当てる方法を変更する措置が含まれています。

エルドアン氏は近年、自身と与党の支持率低下に苦しんでいます。

大統領の権限を強化した2018年の統治機構改革でも、政府の年次予算を含め、法案の承認には国会の掌握がまだ必要です。

今回の選挙法改正案では、議席は単純に選挙区内での個々の政党の得票率に基づいて割り当てられます。

一方現行制度では、まず個々の選挙連合が獲得した票のシェアに沿って議席が割り当てられ、その後、連合内の個々の政党の得票率に従って分配されます。

この仕組みのおかげで、政党は少数の票を得た選挙区でも議席を拾うことができるのです。

新規則が2018年に実施された総選挙に適用されていたとすれば、定数600の国会でエルドアン氏の与党連合が10議席多く獲得する結果になったという話もあります。

この数字は、次回選挙で接戦になれば、エルドアン氏にとって極めて重要になるかもしれません。

ロシアからのミサイルの追加購入は現状なし

トルコのエルドアン大統領は3月14日、ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、ロシア製の兵器をトルコが一段と購入する可能性についてコメントするのは時期尚早と述べました。

エルドアン大統領はドイツのショルツ首相と行った共同記者会見で、トルコはロシアとの関係にもかかわらず、他のNATOができなかった方法でウクライナを支援していると指摘しました。

トルコはウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領の双方と友好関係を維持しなければならないと述べています。

ギリシャとの関係を改善

エルドアン大統領とギリシャのミツォタキス首相が3月13日会談し、関係改善で合意しました。

両国は東地中海の資源開発、移民問題などを巡り対立し、昨年、対立解消に向け予備的な協議を再開したものの、ほとんど進展していませんでした。

ロシアとウクライナの外相会談を仲介

ロシア、ウクライナとトルコによる3外相会談が3月10日、トルコで開かれます。

トルコはNATO加盟国ながら、近年はロシアとも軍事・経済で強く結びついています。

ウクライナ侵攻は自国の安全保障や経済にも深刻な打撃になりかねませんが、仲介で国際的地位を高めようとする思惑がありそうです。

エルドアン氏はプーチン氏と緊密な関係を築き、対立する国の指導者に対してしばしば使う「人殺し」「独裁者」などの激しい言葉遣いは今回、封印しています。

安保・経済にマイナスとなる対ロ制裁には反対し、参加もしていません。

国内政策でうまくいかない場合、大体外交問題で解決しようとするのがエルドアン氏のやり方です。

イスラエルとの関係改善を模索

イスラエルのヘルツォグ大統領が同国の大統領として2008年以来初めてトルコを訪問し、3月9日エルドアン大統領と会談しました。

エルドアン大統領は、長期にわたり緊張状態にあった両国関係の転換点になるとの考えを示し、トルコはエネルギー分野で協力する用意があると述べました。

両国はイスラエルによるパレスチナ自治区の占領、トルコのイスラム過激派組織ハマスへの支援で対立してきましたが、長年にわたり冷え込んだ関係の改善に向けて動いています。

2022年2月

野党が対エルドアンで共闘

トルコの野党6党は2月末、新たな憲法案の大枠で合意しました。

強大な大統領の権限を縮小し、以前の議会制に戻すという内容です。

高インフレでエルドアン大統領の支持率が低迷しているのを受け、6党で共闘して2023年半ばまでに行われる選挙で約20年ぶりの政権交代を目指します。

23項目、48ページに及ぶ文書は民主主義の強化をうたっています。

最大の柱は現在の強力な大統領制から18年まで敷いていた議会制に戻すことです。

文書ではほかに、中央銀行や司法の独立、初等教育の段階から必須とする男女の平等などが盛り込まれました。

政権交代が実現した場合、トルコは親欧米・市場志向を強めるとみられます。

6野党はエルドアン政権までのトルコで長年、政権を担ってきた世俗主義・中道左派の共和人民党(CHP)のほか、世俗主義・右派の優良党が中心です。

エルドアン政権で副首相を務め、その後離党したババジャン氏率いる民主主義進歩党、ダウトオール元首相率いる未来党も加わる予定です。

アメリカとウクライナ危機で協力

米国とトルコの両大統領補佐官が2月28日、電話会談を実施し、ウクライナとロシアの停戦実現に向けた取り組みを強化することで合意しました。

ウクライナ・ロシア間の交渉が成果を上げ、停戦が実現するよう、米・トルコ両国が一層の取り組みを進めることで合意したという事です。

今回のウクライナ危機で、トルコがロシアから離れざるを得ず、アメリカとの関係が良くなる機会となるかもしれません。

インフレが進み、エルドアン氏の基盤が崩れる

トルコの生活費急上昇がトルコの政治を揺さぶっています。

特に与党支持者の間に動揺が広がっています。

こうした状況を招いた原因は、長年にわたって高金利に反対してきたエルドアン大統領が21年、物価上昇中にもかかわらず、トルコ中央銀行に借り入れコストの引き下げを命じたことです。

金利引き下げを受けて、通貨リラは対ドルで44%下げました。

また、通貨暴落に世界的なエネルギー価格の上昇が重なり、トルコの電力価格は1月に50~125%上昇するなど、生活を直撃しています。

憤った市民は抗議活動などをさまざまな場所で起こしています。

エルドアン大統領は反発を和らげるため、1月にすでに最低賃金を50%引き上げると発表しています。

加えて、低所得世帯への家計支援に向けて公的補助金の拡大を表明したほか、一般家庭に電気代の割増料金を適用する基準を当局が引き上げる計画を明かしています。

しかし、市民の憤りは収まらず、エルドアン氏が最も重視する次回大統領選挙の再選もどうなるか分かりません。

エルドアン氏、ウクライナを訪問

エルドアン大統領は3日、ウクライナを訪問してゼレンスキー大統領と会談する予定です。

トルコはロシア、ウクライナ双方と密接な関係にあり、両国間の緊張緩和を図る事が狙いとみられます。

ウクライナとの自由貿易協定(FTA)にも合意する見通しです。

トルコは黒海への出入り口であるボスポラス、ダーダネルス両海峡を抱えます。

NATO加盟国ながら近年はロシア製の地対空ミサイル「S400」を導入するなどロシアとも軍事的に接近しており、有事の際には軍艦通航などを巡って難しい対応を迫られる可能性もあります。

一方で、トルコの仲介が奏功するかは不明です。

2022年1月

アルメニアとの関係正常化を探る

トルコとアルメニアが14日、ロシアの仲介で関係正常化に向けた交渉を始めました。

両国は第1次世界大戦中のトルコによるアルメニア人虐殺問題などを巡り対立を深めてきました。

トルコは1991年にアルメニアが旧ソ連から独立した際に国家として承認しました。

だが、アルメニア軍がアゼルバイジャン領ナゴルノカラバフを占領すると、友好国であるのアゼルバイジャンへの連帯を示すため93年に国境を閉鎖しました。

以来、アルメニアとは事実上、外交関係がありません。

アルメニアと関係が正常化すれば、トルコが目指す中央アジア・コーカサスへの経済・政治的進出にもメリットがあります。

トルコは、中国から欧州を結ぶ物流網のほか、カスピ海地域からのガスパイプライン建設などを進めています。

エルドアン氏は内政で行き詰ると、その活路を外交に求めがちですが、今回もそれに該当するかもしれません。

2021年12月

利下げを看板に選挙に臨む

エルドアン大統領は2023年の総選挙を見据え、自らの政治生命を賭け、金利引き下げで落ち込んだ支持率の回復を図ろうとしているようです。

しかし、そうした人気取りだけの政策は、既に有権者に大きな経済的打撃をもたらしています。

最新の世論調査によれば、エルドアン氏のAKPと民族主義者行動党(MHP)の与党連合側、野党連合側は支持率がそれぞれ約39%で拮抗しています。

また、別の調査では、エルドアン氏の支持率は6年ぶりの水準に低迷しています。

各種調査に基づくと、エルドアン氏は、アクシェネル氏のほかイスタンブール市長で野党の共和人民党(CHP)に属するエクレム・イマムオール氏などの候補に大統領選で敗北すると予想されているのです。

こうして、経済政策で成果を出していくしかないとトルコ政府は考えているのです。

AKP幹部は、新たな政策が総選挙の頃には効果を発揮すると見ていますが、市民の生活はかなり厳しいものとなっています。

今回の無謀な利下げは政府内からも撤回を求める声が上がったものの、エルドアン氏は耳を貸さなかったようです。

食料品価格は前年から30%近く上昇し、リラ安が輸入物価やより広範なインフレ期待をあおり立てている状況です。

この後経済状況がどうなっていくのか、エルドアン氏は賭けに出ています。

2021年11月

UAEと10年ぶりの首脳会談

中東諸国の間で関係の雪解けを演出する動きが広がっています。

24日、UAEとトルコが10年ぶりに公式の首脳会談を行いました。

米国が地域への関与を低下させるなか、各国は対立の棚上げを迫られています。

トルコは国内の混乱から目をそらさせるために、行っている可能性もあります。

UAEの事実上の指導者であるアブダビ首長国のムハンマド皇太子は24日、エルドアン大統領と会談し、関係改善や経済協力について協議しました。

UAE側はトルコへの投資として100億ドルのファンド設立を表明しました。

シリア侵攻作戦を準備

トルコが隣国シリアへの越境軍事作戦の準備を進めているようです。

政府は侵攻の用意を表明しており、シリアに影響力を持つロシアと水面下の交渉を行っているとの情報もあります。

テロ組織とみなすクルド系武装勢力を掃討する事で、低迷する政権支持率回復につなげる思惑があると思われます。

アメリカと戦闘機売却巡り溝

米国とトルコが戦闘機の売却を巡り、溝を埋められずにいるようです。

10月31日の首脳会談では協議の継続を確認するのみで、具体的な進展はみられませんでした。

一時は大使の追放危機まで浮上したNATO同盟国同士の不和は解決の糸口が見えません。

これを挽回しようとしてエルドアン氏が、外交的に無理な冒険をする可能性があり、それがトルコリラの下振れ要因となる可能性があります。

2021年10月

大使追放は回避

トルコと西側諸国が人権問題で全面的な外交危機に直面する事態が25日、回避されました。

米国など10カ国の駐トルコ大使が、内政不干渉の原則に従う意向を改めて表明し、エルドアン大統領がこれらの大使の国外追放を見送ったためです。

大使追放劇が収束に向かう

エルドアン大統領が米独仏などの駐トルコ10大使の追放を警告した問題で、米国大使館などは25日、トルコの内政に干渉しないという趣旨の声明を公表しました。

エルドアン氏は、内政干渉だと反発していた大使らによる以前の共同声明が撤回されたとの認識を示しました。

市場では追放劇が回避されたとの見方が広がり、トルコリラが買い戻されました。

10大使館は18日、トルコの人権活動家、オスマン・カバラ氏の釈放を求める共同声明を発表していました。

カバラ氏は2013年の大規模デモを支援した疑いなどで、有罪が確定しないまま4年にわたって拘束されています。

トルコも加盟する欧州人権裁判所は19年、カバラ氏の釈放を命じていました。

欧米10か国の大使追放を警告

エルドアン大統領は23日、米独仏など10カ国の駐トルコ大使を国外追放すると警告しました。

トルコが拘束する著名な人権活動家の釈放を求める共同声明への対抗措置とみられます。

トルコでは、次期大統領及び総選挙まで残り2年を切るなど「政治の季節」が近付くなか、昨年来の新型コロナ禍も重なり経済的苦境に喘ぐなかで政権支持率は低下しています。

エルドアン政権は立て直しに向けて「ナショナリズム」に訴えた格好ですが、外交的孤立を深める可能性が高いと思われます。

エルドアン氏は低迷する支持率回復に向けて強硬策を打ち出していますが、対外関係の悪化や経済の低迷を招く悪循環に陥っています。

10カ国とは米独仏のほか、カナダ、フィンランド、デンマーク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデンです。

アメリカ、トルコに対抗措置を警告

シャーマン米国務副長官は1日、トルコがロシア製ミサイルを追加購入した場合に対抗措置を検討すると警告しました。

NATOが脅威とみなすロシアと軍事協力を深めないよう促したのです。

同日、オースティン米国防長官も、トルコのアカル国防相と電話し、2国間の防衛協力を重視していると伝えました。

ここで、ミサイルの追加購入をめぐっても議論した可能性があります。

2021年9月

ロシアと首脳会談

エルドアン大統領は29日、ロシアのプーチン大統領と会談しました。

首脳会談の冒頭、ロシアとの軍事協力について、後退はないと言明しました。

米国が反対するロシア製ミサイル「S400」の2基目の購入について協議したとみられます。

エルドアン氏はプーチン氏との会談の冒頭、ロシアとのこれまでの軍事技術協力の成果を強調しました。

また、会談後には生産的だったと語り、首脳会談の成果をアピールしました。

軍事関連のアピールで支持率回復を狙う

エルドアン大統領は国防省、3軍司令部などを集めた新たな大型施設の建設に着手するなど軍事関連のアピールを通じて支持率回復を狙っています。

ドローン、コルベット艦など兵器輸出にも力を入れます。

洪水や山火事といった災害、混乱するアフガニスタンからの難民流入を巡る不安感がトルコの有権者に広がっており、エルドアン氏はトルコの軍事的な能力の高さを誇示することで、支持率の回復を目指しているようですが、支持率の向上には景気回復が求められます。

エルドアン氏が軍事に傾く理由の一つは強国の指導者としての評価を固めるためだとみられます。

新型コロナウイルスの打撃からのトルコ経済の回復はなお途上の段階です。

2021年6月

アメリカと首脳会談

エルドアン大統領は14日、バイデン米大統領と初の首脳会談を行いました。

ロシア製ミサイル購入やシリア情勢などを巡り冷え込んでいる両国の関係改善に向けた主要な打開策は発表されなかったものの、両首脳とも「建設的な」会談だったとの認識を示しています。

トルコは米欧との関係悪化による通貨安などに苦しんでおり、首脳会談が行われるとの報道があったとき、一瞬トルコは買われましたが、その後元々の水準にまで売られつつあります。

アメリカとトルコがシリア問題で団結

アメリカとトルコが、シリア北部への人道支援物資の輸送が停滞しないよう協力することで合意しました。

トルコ国境を越えてシリア側に届けられる国連の物資提供の延長について、ロシアは反対する可能性を示しています。

トルコは対米関係の立て直しを迫られており、これもその一環で行われているのかもしれません。

2021年5月

孤立打開を探る

トルコが外交政策の見直しを行っています。

チャブシオール外相は10~11日、サウジアラビアを訪問し、同国のファイサル外相と会談しました。外相の訪問は4年ぶりです。

中東地域で孤立するトルコはエジプトにも秋波を送っており、関係修復に乗り出しています。

こうした動きの背景には、深まる孤立への焦りがあると思われます。

2020年にはトルコと対立するイスラエルとアラブ諸国が次々と関係正常化で合意した。21年1月には盟友のカタールと、サウジ、エジプトなどアラブ4カ国が断交を解除しています。

アラブ諸国は東地中海の境界を巡ってトルコと争うギリシャとガス田開発などで協力し、事実上のトルコ包囲網ができているのです。

トルコ外交に対しては周辺国からの深い疑念が既にあり、これを修復するのはそんなにたやすい事ではないと思われます。

2021年4月

バイデン氏にジェノサイド認定の取り消しを要求

エルドアン大統領は4月26日、米国のバイデン大統領に対し、第1次世界大戦中に起きたオスマン帝国によるアルメニア系住民の殺害を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定したことを撤回するよう呼び掛けました。

エルドアン大統領は、トルコはアルメニアと「良好な隣国関係」を築きたいと願っていると述べています。

バイデン氏が大統領になってから、トルコにとってアメリカとの関係維持は課題の一つです。

初の全面ロックダウン

エルドアン大統領は4月26日、29日夕方からラマダン後の休暇が明ける5月17日朝までの間、全面的なロックダウンを導入すると発表しました。

新型コロナウイルス禍で平日を含む外出禁止に踏み切るのは初めてです。

夏までに感染拡大を食い止めて外国人観光客を迎えられるようにすることが意図と見られます。

対面の学校教育をすべて停止するほか、都市間移動は許可制にします。

農業や製造業は継続できるようにします。

2021年3月

対EUとの関係も融和的に

EUが、トルコ国営石油会社幹部に対する制裁計画を凍結させたようです。

EUは昨年末、東地中海の紛争海域でトルコが天然ガスを無許可で採掘しているとして、資産凍結や渡航禁止を示唆していました。

これに対するトルコ側の外交攻勢が実を結んだ形となりました。

強硬姿勢を見せていたトルコのエルドアン大統領は今年に入り、発言が穏健なトーンとなり、ドイツのメルケル首相も融和的なアプローチを支持する立場となりました。

トルコが長年対立するギリシャと直接会談したことも、ムード一変に寄与したようです。

トルコが中東外交を立て直し

トルコが中東域内で対立してきたエジプトやイスラエルとの関係立て直しに動いています。

トルコに厳しい姿勢をとるバイデン米政権の発足や、イスラエルとアラブ諸国の接近で孤立を深めているためです。

対外関係の悪化は通貨安による国民の負担につながっており、従来の強硬な外交姿勢の修正を余儀なくされているようです。

コロナ感染増でも新規制は実施せず

エルドアン大統領は3月15日、新型コロナウイルス感染が増加している中、現時点で新たな規制は実施しない考えを示しました。

大統領は、この2週間で感染が増加している事実を認めた上で、一部の県で感染が増加しているものの、入院患者やICUの使用、重症者数は増加していないと指摘しました。

また、現状の措置を継続して状況を注視する決定を下したと述べました。

証券取引所トップが辞任

イスタンブール証券取引所は3月8日、ハカン・アティッラCEOが辞任したと発表しました。

アティッラ氏は米国で対イラン制裁に違反する罪で服役したことがあります。

1月に発足したバイデン米政権に配慮した人事だとの見方があります。

トルコはロシア製地対空ミサイルの導入などを巡り、トランプ前政権時代から米国との緊張関係が続いています。

2021年2月

アメリカ、PKK非難の姿勢を改めて表明

ブリンケン米国務長官は2月15日、トルコ軍人などの捕虜13人を殺害した少数派民族クルド人の武装組織「クルド労働者党(PKK)」を非難する姿勢を改めて示しました。

米国は2月14日にトルコを支持し、PKKの犯行と確認された場合には殺害を非難するとの声明を出していましたが、トルコ政府は米国の声明が条件付きであることを非難し、駐トルコ米国大使を召喚し、強く抗議していました。

エルドアン大統領、新憲法策定に意欲

エルドアン大統領は2月1日、新憲法策定に意欲を示しました。

新憲法の詳細は不明ですが、軍事政権下に制定された現行憲法には、どれだけ改正しても消すことができないクーデターの痕跡がある、と主張しています。

2021年1月

トルコとギリシャ、5年ぶりに協議

トルコは25日、東地中海での領海問題などを巡り隣国ギリシャと5年ぶりに協議しました。

エルドアン大統領と親密だったトランプ前米大統領が退任した事が要因です。

強硬路線を続ければ国際的な孤立につながると判断し、協調姿勢に転換したようです。

米国務省も1月25日の声明で、東地中海の緊張緩和につながるとして歓迎しています。

2020年12月

イギリスと貿易協定を延長

トルコと英国は12月29日、FTAを延長することで合意しました。

これにより、トルコとの貿易は従来通り維持されます。

この合意を受けて、リラは1%上昇しています。

SNSを規制

トルコ政府がSNS大手に言論規制の圧力を強めています。

従わない場合は利用者が接続できなくなり、サービスの提供が制限される可能性があります。

一方で、人権団体などはSNS大手が言論統制に協力していると批判しています。

米グーグル傘下のユーチューブは12月16日、トルコに拠点を開設すると発表しました。

7月に成立したSNS規制法で、大手各社はトルコ人の国内責任者を置くよう義務付けられた為です。

規制法は当局が不適当と判断した投稿の削除をSNS企業に求めており、国内責任者の設置は実効性を持たせるための「人質」とみられます。

同法によれば、このまま責任者を置かない場合、当局は2021年5月までに順次、広告の禁止や最大90%の大幅な接続制限を行う予定です。

欧米の対トルコ制裁が広がる

米欧が相次いで対トルコ制裁の発動や拡大を決め、トルコは外交上難しい状況に陥っています。

米国はトルコ経済に重大な影響を与えかねない金融機関などへの制裁は回避しましたが、NATOの同盟国トルコとの関係悪化は避けられません。

バイデン次期米大統領が目指す同盟強化にも試練となりそうです。

12月10~11日のEU首脳会議も制裁を拡大する方針で一致しています。

強硬派が主張する経済制裁は見送りましたが、権益を争う東地中海でのガス田探査にかかわる制裁対象者を増やし、21年3月の首脳会議に向けて武器の禁輸などの新たな制裁メニューも検討しています。

トルコの金融政策は徐々に通常状態に戻りつつありますが、外交で失策が続くとリラも売られ続ける可能性が高くなります。

アメリカが対トルコ制裁

トランプ政権はロシア製ミサイルの導入を進めるトルコに対し、近く独自の制裁を発動する方針です。

12月10日の報道です。

制裁が実行されれば、来年1月の米政権交代を前に両国関係が一段と悪化するでしょう。

制裁はトルコの防衛産業に対するものにとどまる見通しで、エルドアン大統領や金融機関を対象にした強硬な制裁は見送られるようです。

2020年11月

欧州議会が対トルコ制裁を求める決議

欧州議会は11月26日、トルコへの制裁導入を求める拘束力のない決議を採択しました。

トルコのエルドアン大統領は今月、同国のみが独立国家として承認する「北キプロス・トルコ共和国」を訪問しています。

トルコは東地中海のガス田権益を巡って、EU加盟国のギリシャ、キプロスと対立しており、トルコリラ安の一員にもなっています。

部分的ロックダウンを導入

エルドアン大統領は11月17日、新型コロナウイルス感染拡大への対応策を発表しました。

政府は規制を強化するとともに、週末に全土で部分的なロックダウン(都市封鎖)を行う方針です。

アゼルバイジャンへの派兵を決定

トルコはアゼルバイジャンとアルメニアの紛争の停戦を受け、監視の名目で派兵を決めました。

アゼルバイジャンへの支援を通じて足がかりを得たコーカサスで影響力を拡大する狙いのようです。

停戦を主導したロシアは容認したようですが、米仏は警戒感を示しています。

新たな火種にならない事を祈ります。

欧州議会、トルコへの制裁を求める

欧州議会は11月26日、EUにトルコへの制裁導入を求める拘束力のない決議を採択しました。

トルコのエルドアン大統領は11月、トルコのみが独立国家として承認する「北キプロス・トルコ共和国」を訪問しました。

トルコは東地中海のガス田権益を巡って、EU加盟国のギリシャ、キプロスと対立しています。

アルバイラク財務大臣が辞任

2020年11月8日、アルバイラク財務相が健康問題を理由に辞任しました。

同氏はエルドアン大統領の義理の息子です。

詳細はまだよく分かっていません。

強行外交姿勢が強まる

エルドアン政権の強硬外交が際立っています。

欧州で高まる「反イスラム」批判の急先鋒に立ち、東地中海から北アフリカ、コーカサスまで紛争介入などを通じて影響圏拡大に動いています。

こうした姿勢は国民の支持つなぎ留めにつながりますが、欧米に加えロシアや中東アラブ諸国との摩擦を生んでいます。

そしてこうした対外関係の悪化が投資家から嫌われ、リラは最安値更新を続けています。

経済や国民生活が代償を負う構図です。

近年、良好だったロシアとの関係も悪くなっています。

ロシアの影響が大きいコーカサスで続くナゴルノカラバフ紛争では、民族的に近いアゼルバイジャンを全面支援しています。

1月に軍事介入に踏み切った北アフリカのリビア内戦では暫定政権を支援、敵対勢力を支援するロシアと間接的に対峙しています。

エルドアン氏は2003年からの長期政権を維持していますが、19年の地方選では保守層の一部が離反し最大都市イスタンブール、首都アンカラを野党に明け渡しています。

エルドアン大統領は支持をつなぎとめるために、オスマン帝国時代の栄光を想起させる「強いトルコ」像を前面に出して国民の愛国心をかきたてる戦略を採っています。。

ただ、トルコを巡る地政学リスクの上昇でリラの対ドル相場は年初から約3割安い1ドル=8.4リラ台に下落しています。

輸入品の価格が上がり、インフレ率は10%を超えて推移しています。

アメリカの大統領選は接戦ですがトルコに対して厳しい姿勢を取るとされる、バイデン氏がなる可能性が高くなっています。

政権交代が実現すれば対トルコ制裁の発動もより現実味を帯びるため、リラへの下落圧力となっています。

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