トルコへの投資、政治と外交のまとめ

トルコへの投資をされている方は重々ご承知の通りですが、トルコを見る際に政治がどうなっているかを見る事は極めて重要です。

特に対米関係は重要で、2018年のトルコショックも対米関係の悪化が招いたものと言って過言ではありません。

この中では、トルコの政治・外交についてまとめていき、トルコ投資のタイミングを計る一つのご参考にして頂ければ幸いです。

2019年4月からの経緯を網羅的にご確認されたい場合は以下をご参考ください。

kindle unlimitedで無料でご覧いただけます。

2021年11月

UAEと10年ぶりの首脳会談

中東諸国の間で関係の雪解けを演出する動きが広がっています。

24日、UAEとトルコが10年ぶりに公式の首脳会談を行いました。

米国が地域への関与を低下させるなか、各国は対立の棚上げを迫られています。

トルコは国内の混乱から目をそらさせるために、行っている可能性もあります。

UAEの事実上の指導者であるアブダビ首長国のムハンマド皇太子は24日、エルドアン大統領と会談し、関係改善や経済協力について協議しました。

UAE側はトルコへの投資として100億ドルのファンド設立を表明しました。

シリア侵攻作戦を準備

トルコが隣国シリアへの越境軍事作戦の準備を進めているようです。

政府は侵攻の用意を表明しており、シリアに影響力を持つロシアと水面下の交渉を行っているとの情報もあります。

テロ組織とみなすクルド系武装勢力を掃討する事で、低迷する政権支持率回復につなげる思惑があると思われます。

アメリカと戦闘機売却巡り溝

米国とトルコが戦闘機の売却を巡り、溝を埋められずにいるようです。

10月31日の首脳会談では協議の継続を確認するのみで、具体的な進展はみられませんでした。

一時は大使の追放危機まで浮上したNATO同盟国同士の不和は解決の糸口が見えません。

これを挽回しようとしてエルドアン氏が、外交的に無理な冒険をする可能性があり、それがトルコリラの下振れ要因となる可能性があります。

2021年10月

大使追放は回避

トルコと西側諸国が人権問題で全面的な外交危機に直面する事態が25日、回避されました。

米国など10カ国の駐トルコ大使が、内政不干渉の原則に従う意向を改めて表明し、エルドアン大統領がこれらの大使の国外追放を見送ったためです。

大使追放劇が収束に向かう

エルドアン大統領が米独仏などの駐トルコ10大使の追放を警告した問題で、米国大使館などは25日、トルコの内政に干渉しないという趣旨の声明を公表しました。

エルドアン氏は、内政干渉だと反発していた大使らによる以前の共同声明が撤回されたとの認識を示しました。

市場では追放劇が回避されたとの見方が広がり、トルコリラが買い戻されました。

10大使館は18日、トルコの人権活動家、オスマン・カバラ氏の釈放を求める共同声明を発表していました。

カバラ氏は2013年の大規模デモを支援した疑いなどで、有罪が確定しないまま4年にわたって拘束されています。

トルコも加盟する欧州人権裁判所は19年、カバラ氏の釈放を命じていました。

欧米10か国の大使追放を警告

エルドアン大統領は23日、米独仏など10カ国の駐トルコ大使を国外追放すると警告しました。

トルコが拘束する著名な人権活動家の釈放を求める共同声明への対抗措置とみられます。

トルコでは、次期大統領及び総選挙まで残り2年を切るなど「政治の季節」が近付くなか、昨年来の新型コロナ禍も重なり経済的苦境に喘ぐなかで政権支持率は低下しています。

エルドアン政権は立て直しに向けて「ナショナリズム」に訴えた格好ですが、外交的孤立を深める可能性が高いと思われます。

エルドアン氏は低迷する支持率回復に向けて強硬策を打ち出していますが、対外関係の悪化や経済の低迷を招く悪循環に陥っています。

10カ国とは米独仏のほか、カナダ、フィンランド、デンマーク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデンです。

アメリカ、トルコに対抗措置を警告

シャーマン米国務副長官は1日、トルコがロシア製ミサイルを追加購入した場合に対抗措置を検討すると警告しました。

NATOが脅威とみなすロシアと軍事協力を深めないよう促したのです。

同日、オースティン米国防長官も、トルコのアカル国防相と電話し、2国間の防衛協力を重視していると伝えました。

ここで、ミサイルの追加購入をめぐっても議論した可能性があります。

2021年9月

ロシアと首脳会談

エルドアン大統領は29日、ロシアのプーチン大統領と会談しました。

首脳会談の冒頭、ロシアとの軍事協力について、後退はないと言明しました。

米国が反対するロシア製ミサイル「S400」の2基目の購入について協議したとみられます。

エルドアン氏はプーチン氏との会談の冒頭、ロシアとのこれまでの軍事技術協力の成果を強調しました。

また、会談後には生産的だったと語り、首脳会談の成果をアピールしました。

軍事関連のアピールで支持率回復を狙う

エルドアン大統領は国防省、3軍司令部などを集めた新たな大型施設の建設に着手するなど軍事関連のアピールを通じて支持率回復を狙っています。

ドローン、コルベット艦など兵器輸出にも力を入れます。

洪水や山火事といった災害、混乱するアフガニスタンからの難民流入を巡る不安感がトルコの有権者に広がっており、エルドアン氏はトルコの軍事的な能力の高さを誇示することで、支持率の回復を目指しているようですが、支持率の向上には景気回復が求められます。

エルドアン氏が軍事に傾く理由の一つは強国の指導者としての評価を固めるためだとみられます。

新型コロナウイルスの打撃からのトルコ経済の回復はなお途上の段階です。

2021年6月

アメリカと首脳会談

エルドアン大統領は14日、バイデン米大統領と初の首脳会談を行いました。

ロシア製ミサイル購入やシリア情勢などを巡り冷え込んでいる両国の関係改善に向けた主要な打開策は発表されなかったものの、両首脳とも「建設的な」会談だったとの認識を示しています。

トルコは米欧との関係悪化による通貨安などに苦しんでおり、首脳会談が行われるとの報道があったとき、一瞬トルコは買われましたが、その後元々の水準にまで売られつつあります。

アメリカとトルコがシリア問題で団結

アメリカとトルコが、シリア北部への人道支援物資の輸送が停滞しないよう協力することで合意しました。

トルコ国境を越えてシリア側に届けられる国連の物資提供の延長について、ロシアは反対する可能性を示しています。

トルコは対米関係の立て直しを迫られており、これもその一環で行われているのかもしれません。

2021年5月

孤立打開を探る

トルコが外交政策の見直しを行っています。

チャブシオール外相は10~11日、サウジアラビアを訪問し、同国のファイサル外相と会談しました。外相の訪問は4年ぶりです。

中東地域で孤立するトルコはエジプトにも秋波を送っており、関係修復に乗り出しています。

こうした動きの背景には、深まる孤立への焦りがあると思われます。

2020年にはトルコと対立するイスラエルとアラブ諸国が次々と関係正常化で合意した。21年1月には盟友のカタールと、サウジ、エジプトなどアラブ4カ国が断交を解除しています。

アラブ諸国は東地中海の境界を巡ってトルコと争うギリシャとガス田開発などで協力し、事実上のトルコ包囲網ができているのです。

トルコ外交に対しては周辺国からの深い疑念が既にあり、これを修復するのはそんなにたやすい事ではないと思われます。

2021年4月

バイデン氏にジェノサイド認定の取り消しを要求

エルドアン大統領は4月26日、米国のバイデン大統領に対し、第1次世界大戦中に起きたオスマン帝国によるアルメニア系住民の殺害を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定したことを撤回するよう呼び掛けました。

エルドアン大統領は、トルコはアルメニアと「良好な隣国関係」を築きたいと願っていると述べています。

バイデン氏が大統領になってから、トルコにとってアメリカとの関係維持は課題の一つです。

初の全面ロックダウン

エルドアン大統領は4月26日、29日夕方からラマダン後の休暇が明ける5月17日朝までの間、全面的なロックダウンを導入すると発表しました。

新型コロナウイルス禍で平日を含む外出禁止に踏み切るのは初めてです。

夏までに感染拡大を食い止めて外国人観光客を迎えられるようにすることが意図と見られます。

対面の学校教育をすべて停止するほか、都市間移動は許可制にします。

農業や製造業は継続できるようにします。

2021年3月

対EUとの関係も融和的に

EUが、トルコ国営石油会社幹部に対する制裁計画を凍結させたようです。

EUは昨年末、東地中海の紛争海域でトルコが天然ガスを無許可で採掘しているとして、資産凍結や渡航禁止を示唆していました。

これに対するトルコ側の外交攻勢が実を結んだ形となりました。

強硬姿勢を見せていたトルコのエルドアン大統領は今年に入り、発言が穏健なトーンとなり、ドイツのメルケル首相も融和的なアプローチを支持する立場となりました。

トルコが長年対立するギリシャと直接会談したことも、ムード一変に寄与したようです。

トルコが中東外交を立て直し

トルコが中東域内で対立してきたエジプトやイスラエルとの関係立て直しに動いています。

トルコに厳しい姿勢をとるバイデン米政権の発足や、イスラエルとアラブ諸国の接近で孤立を深めているためです。

対外関係の悪化は通貨安による国民の負担につながっており、従来の強硬な外交姿勢の修正を余儀なくされているようです。

コロナ感染増でも新規制は実施せず

エルドアン大統領は3月15日、新型コロナウイルス感染が増加している中、現時点で新たな規制は実施しない考えを示しました。

大統領は、この2週間で感染が増加している事実を認めた上で、一部の県で感染が増加しているものの、入院患者やICUの使用、重症者数は増加していないと指摘しました。

また、現状の措置を継続して状況を注視する決定を下したと述べました。

証券取引所トップが辞任

イスタンブール証券取引所は3月8日、ハカン・アティッラCEOが辞任したと発表しました。

アティッラ氏は米国で対イラン制裁に違反する罪で服役したことがあります。

1月に発足したバイデン米政権に配慮した人事だとの見方があります。

トルコはロシア製地対空ミサイルの導入などを巡り、トランプ前政権時代から米国との緊張関係が続いています。

2021年2月

アメリカ、PKK非難の姿勢を改めて表明

ブリンケン米国務長官は2月15日、トルコ軍人などの捕虜13人を殺害した少数派民族クルド人の武装組織「クルド労働者党(PKK)」を非難する姿勢を改めて示しました。

米国は2月14日にトルコを支持し、PKKの犯行と確認された場合には殺害を非難するとの声明を出していましたが、トルコ政府は米国の声明が条件付きであることを非難し、駐トルコ米国大使を召喚し、強く抗議していました。

エルドアン大統領、新憲法策定に意欲

エルドアン大統領は2月1日、新憲法策定に意欲を示しました。

新憲法の詳細は不明ですが、軍事政権下に制定された現行憲法には、どれだけ改正しても消すことができないクーデターの痕跡がある、と主張しています。

2021年1月

トルコとギリシャ、5年ぶりに協議

トルコは25日、東地中海での領海問題などを巡り隣国ギリシャと5年ぶりに協議しました。

エルドアン大統領と親密だったトランプ前米大統領が退任した事が要因です。

強硬路線を続ければ国際的な孤立につながると判断し、協調姿勢に転換したようです。

米国務省も1月25日の声明で、東地中海の緊張緩和につながるとして歓迎しています。

2020年12月

イギリスと貿易協定を延長

トルコと英国は12月29日、FTAを延長することで合意しました。

これにより、トルコとの貿易は従来通り維持されます。

この合意を受けて、リラは1%上昇しています。

SNSを規制

トルコ政府がSNS大手に言論規制の圧力を強めています。

従わない場合は利用者が接続できなくなり、サービスの提供が制限される可能性があります。

一方で、人権団体などはSNS大手が言論統制に協力していると批判しています。

米グーグル傘下のユーチューブは12月16日、トルコに拠点を開設すると発表しました。

7月に成立したSNS規制法で、大手各社はトルコ人の国内責任者を置くよう義務付けられた為です。

規制法は当局が不適当と判断した投稿の削除をSNS企業に求めており、国内責任者の設置は実効性を持たせるための「人質」とみられます。

同法によれば、このまま責任者を置かない場合、当局は2021年5月までに順次、広告の禁止や最大90%の大幅な接続制限を行う予定です。

欧米の対トルコ制裁が広がる

米欧が相次いで対トルコ制裁の発動や拡大を決め、トルコは外交上難しい状況に陥っています。

米国はトルコ経済に重大な影響を与えかねない金融機関などへの制裁は回避しましたが、NATOの同盟国トルコとの関係悪化は避けられません。

バイデン次期米大統領が目指す同盟強化にも試練となりそうです。

12月10~11日のEU首脳会議も制裁を拡大する方針で一致しています。

強硬派が主張する経済制裁は見送りましたが、権益を争う東地中海でのガス田探査にかかわる制裁対象者を増やし、21年3月の首脳会議に向けて武器の禁輸などの新たな制裁メニューも検討しています。

トルコの金融政策は徐々に通常状態に戻りつつありますが、外交で失策が続くとリラも売られ続ける可能性が高くなります。

アメリカが対トルコ制裁

トランプ政権はロシア製ミサイルの導入を進めるトルコに対し、近く独自の制裁を発動する方針です。

12月10日の報道です。

制裁が実行されれば、来年1月の米政権交代を前に両国関係が一段と悪化するでしょう。

制裁はトルコの防衛産業に対するものにとどまる見通しで、エルドアン大統領や金融機関を対象にした強硬な制裁は見送られるようです。

2020年11月

欧州議会が対トルコ制裁を求める決議

欧州議会は11月26日、トルコへの制裁導入を求める拘束力のない決議を採択しました。

トルコのエルドアン大統領は今月、同国のみが独立国家として承認する「北キプロス・トルコ共和国」を訪問しています。

トルコは東地中海のガス田権益を巡って、EU加盟国のギリシャ、キプロスと対立しており、トルコリラ安の一員にもなっています。

部分的ロックダウンを導入

エルドアン大統領は11月17日、新型コロナウイルス感染拡大への対応策を発表しました。

政府は規制を強化するとともに、週末に全土で部分的なロックダウン(都市封鎖)を行う方針です。

アゼルバイジャンへの派兵を決定

トルコはアゼルバイジャンとアルメニアの紛争の停戦を受け、監視の名目で派兵を決めました。

アゼルバイジャンへの支援を通じて足がかりを得たコーカサスで影響力を拡大する狙いのようです。

停戦を主導したロシアは容認したようですが、米仏は警戒感を示しています。

新たな火種にならない事を祈ります。

欧州議会、トルコへの制裁を求める

欧州議会は11月26日、EUにトルコへの制裁導入を求める拘束力のない決議を採択しました。

トルコのエルドアン大統領は11月、トルコのみが独立国家として承認する「北キプロス・トルコ共和国」を訪問しました。

トルコは東地中海のガス田権益を巡って、EU加盟国のギリシャ、キプロスと対立しています。

アルバイラク財務大臣が辞任

2020年11月8日、アルバイラク財務相が健康問題を理由に辞任しました。

同氏はエルドアン大統領の義理の息子です。

詳細はまだよく分かっていません。

強行外交姿勢が強まる

エルドアン政権の強硬外交が際立っています。

欧州で高まる「反イスラム」批判の急先鋒に立ち、東地中海から北アフリカ、コーカサスまで紛争介入などを通じて影響圏拡大に動いています。

こうした姿勢は国民の支持つなぎ留めにつながりますが、欧米に加えロシアや中東アラブ諸国との摩擦を生んでいます。

そしてこうした対外関係の悪化が投資家から嫌われ、リラは最安値更新を続けています。

経済や国民生活が代償を負う構図です。

近年、良好だったロシアとの関係も悪くなっています。

ロシアの影響が大きいコーカサスで続くナゴルノカラバフ紛争では、民族的に近いアゼルバイジャンを全面支援しています。

1月に軍事介入に踏み切った北アフリカのリビア内戦では暫定政権を支援、敵対勢力を支援するロシアと間接的に対峙しています。

エルドアン氏は2003年からの長期政権を維持していますが、19年の地方選では保守層の一部が離反し最大都市イスタンブール、首都アンカラを野党に明け渡しています。

エルドアン大統領は支持をつなぎとめるために、オスマン帝国時代の栄光を想起させる「強いトルコ」像を前面に出して国民の愛国心をかきたてる戦略を採っています。。

ただ、トルコを巡る地政学リスクの上昇でリラの対ドル相場は年初から約3割安い1ドル=8.4リラ台に下落しています。

輸入品の価格が上がり、インフレ率は10%を超えて推移しています。

アメリカの大統領選は接戦ですがトルコに対して厳しい姿勢を取るとされる、バイデン氏がなる可能性が高くなっています。

政権交代が実現すれば対トルコ制裁の発動もより現実味を帯びるため、リラへの下落圧力となっています。

2019年12月以前

2019年12月より前の記事については以下でお読みください。

kindle unlimitedで無料でお読みいただけます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です