BREXITと民間企業への影響

このブログでは新興国への投資を行うにあたっての記事づくりを中心に行っていますが、新興国への投資を行う際でも、新興国だけに目配せしておいたらそれでいい、というわけにもいきません。

先進国の動向は極めて新興国への投資を行う際に重要です。

この記事では「イギリスのEU離脱」をもっと堀り下げて、BREXITと民間企業への影響、というテーマで最新の状況を中心にレポート形式でまとめていきます。

BREXITの本ブログは↓をご参考!

BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2019年4月~)

BREXIT(ブレグジット)の交渉経緯と影響のまとめ(2018年11月~)

一番わかりやすいのはジャガーを傘下に持つインドのタタグループでしょう。

BREXITが大きな混乱を伴いながら行われるとタタGの経営にも当然大きな影響を与えます。

BREXITの対応がどの様に行われるかで、結局新興国への投資も判断を変えなければならなくなってくることがあります。

直接関係がなくとも間接的に大いに関係のあるBREXITについて、ここで現状を把握して頂けたら幸いです。

グローバル企業のBREXIT対応のまとめ(2019年5月時点)

  • BMW:MINIやエンジンの生産拠点を他の欧州地域に移管を検討、4月1日よりMINIの工場の操業停止
  • ホンダ:イギリス工場を閉鎖
  • 野村ホールディングス:ロンドンに口座を持つEU域内の顧客に、EU側に口座を開いてもらう働きかけ
  • バークレイズ銀行:2019年1月末、顧客約5000社分、約24兆円相当の資産をアイルランドに移管
  • ノバルティス(スイス):英国内の備蓄を積み上げ
  • 独ボッシュ:イギリス内の在庫を増やす
  • LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン:イギリス内の在庫を増やす
  • P&O(フェリー大手):英仏海峡を運航する全フェリーの船籍を英国からEU加盟国のキプロスに変更
  • ソニー:エレクトロニクス事業の欧州統括会社の登記をオランダに移管
  • エアバス:約11万人が携わる英事業縮小の可能性を検討
  • タタ:傘下のジャガーランドローバーの売却を検討
  • 日産:インフィニティブランドのイギリス生産を終了(但し、同ブランドの欧州撤退に伴うもの)
  • PSA:イギリスの工場の操業停止
  • イージージェット:非EU株主の議決権比率を49.5%以下に抑える措置を発動
  • エアバス:合意なき離脱の場合は業績にネガティブな影響を予想

多くの企業のBREXIT対応は、脱英国が増加

ムダな投資を避けたい企業にとって合意なしに備え見直した体制を元に戻すのは難しいものです。

EU離脱はただでさえ企業にコストを強いるのに、将来像を示せない迷走がイギリスのヒト・モノ・カネの空洞化に拍車をかけています。

メーカーも大変ですが、金融ももちろん大変です。

BREXITによってはイギリスは共通の金融免許である「単一パスポート」の枠組みから外れます。EUの顧客へのサービス提供にはEUに口座が必要という状況へ3月末に突然切り替わると取引が寸断されかねません。

「脱・英国」は幅広い業種で加速しているようです。

金融街、シティの対EU向けサービス比率は全体の25%程度

金融街シティーの金融サービスのうち、EU関係の比率は20~25%と言われています。

小さくはありませんが、とてつもなく大きいというわけでもありません。BREXIT派の人たちが楽観する理由の一つかもしれません。

EU離脱に伴って他のEU諸国に異動となった人員も当初はそこまで大きいものではなかったようです。

実際に従業員約7万人を抱えるロイヤル・バンク・オブ・スコットランドにおいても、オランダのアムステルダム拠点に移るのはせいぜい100人程度との事です。

ただ、実際にブレクジットが実施され、実態面でどうなってくるかでこの状況は変わる可能性が大いにあるでしょう。

大企業が撤退すると、そこへ納品している企業も撤退を検討

大企業はそれぞれのサプライチェーンや生産体制を他企業と一緒に作っているわけですが、大本企業がいなくなれば、その下請け企業も撤退する可能性が出て来ます。

例えば、ホンダが撤退を決めた後は、

  • ユニプレス:バーミンガムのホンダ向け工場の撤退を検討
  • ジーテクト:他の販路がないか検討中

といった形で撤退を含めた検討に入りました。

フランス企業では特に物流と漁業に悪影響

EUからイギリスに渡る物品のうち、8割がフランスを経由しています。

物流用車両という意味では、1日約8500台が英仏海峡を通っているのです。

もし、合意なき離脱となれば、通関手続きが必要となり、絶望的な大渋滞になる可能性があります。

フランスでは漁業がこれまで通り出来るかも懸念されています。イギリス側での漁獲に規制がかかる恐れがある為です。

出航できない漁船への補償や、イギリス側で取れた海産物への税関手続きなどどうなるかがまだ分かりません。

このブログの中でも何度も出てきているように、企業にとっては不透明なのが一番いやで、イチかバチかで待つくらいなら、手を打とうという風になるのです。それはイギリス側にもメリットはないでしょう。

2020年2月

フィンテックのスタートアップはチャンス?

イギリス政府は、離脱後を見据えた成長戦略としてフィンテックを推進する方針です。

フィンテックの中心都市ランキングでロンドンは米サンフランシスコに次ぐ2位です。

EU離脱をテコにスタートアップ主導で既存の金融のルールにとらわれないサービスを生み出そうという雰囲気が強くなっています。

農業界への影響

イギリスは野菜を輸入に頼っており、トマトの自給率は20%弱とされていますが、BREXITの影響はどうでしょうか。

通商交渉で検疫や通関手続きが強化されれば、野菜の価格上昇や輸送の遅れが起こる可能性があります。

国内の野菜は輸入物より高いとされますが、通関手続きなしで迅速にイギリス国民に供給できるため農家にとっては商機があるかもしれません。

自動車業界は大きな懸念

EUとイギリスのFTA交渉で、特に影響を警戒しているのが企業の撤退・縮小が相次ぐ自動車業界です。

イギリスの自動車生産の半分はEU向けの輸出で、これまでは不要だった関税が復活すれば競争力を失う可能性が大いにあります。

地方の雇用を支えるのはやはり製造業ですから、EUとの通商交渉の結果次第では、イギリスの地方部に生産拠点を構える外資の撤退・縮小の「第2波」を招き、その結果都市部との格差がさらに開けばイギリス経済にボディーブローの様にダメージを与えて経済の土台が揺らぐことになるかもしれません。

イギリスの産業がさらなる外資流出に直面する懸念があるため、大きな不安を持て交渉の経緯を見守ります。

2020年1月

金融分野は夏がヤマ場?

金融分野の交渉は夏に山場を迎えると考えられています。

EUは離脱後のイギリスの金融サービスを、日米など「第三国」と同様に扱う方針です。

EUがイギリスの金融規制をEUと同じ水準と認めればイギリスの金融機関がEU市場で営業できる「同等性評価」の仕組みを導入し、その結論を6月末までに出すことになっています。

既に日本の金融機関はEU側にも拠点をつくっており、営業の継続という観点では対策が済んでいる所が多いようですが、イギリス側の拠点からEUの顧客と直接結んでいる契約も残っており、完全には解決できていません。

同等性評価がないと、保険契約の更新や保険金の支払いに影響が出る恐れがあり、こうした契約をEU拠点と結び直す手間やコストが生じてしまう可能性があるのです。

ユーロ建て金利デリバティブ取引の大半を握る在イギリスの清算機関を欧州の金融機関が使えなくなれば、金融不安の火種になりかねないとも指摘されており、どの様に対応するか要注目です。

2019年12月

離脱に関する不安をいかに払しょくさせるかがカギ

12月12日の総選挙は、EU離脱で陰り続けた経済の再生が論点の一つです。

離脱の行方を読めない状況に企業は翻弄され成長軌道は下振れしました。

堅調だったサービス業も揺らぎ始め、政府は財政拡大によるテコ入れをめざしますすが、結局企業が求めるのは明確な方向性や離脱不安の払拭です。

2019年7~9月期のイギリスのGDPは前年同期比1.0%増と、2010年1~3月期以来の低い伸びとなりました。
あるシンクタンクによれば、イギリス経済は「EU残留」だった場合より約3%縮んだという試算があるようです。
離脱後を見通せない状況は経済の体力を奪い、海外投資マネーの流入も落ち込んで苦しい状況にあります。
産業界は離脱をめぐる不透明感の解消を強く求めていますが、仮に保守党が過半数を握ってEU離脱が実現しても、その後のEUとのFTA締結が新たなハードルとなります。
そこでも企業は結局不安をずっと持ち続けることになりそうです。

2019年10月

選挙を歓迎するも、合意なき離脱への懸念は消えず

イギリス最大の経済団体、英産業連盟は総選挙を歓迎しながらも、結果次第ではまだ合意なき離脱の可能性が残る事への警戒をにじませました。

同団体は

「英国を3年以上傷つけてきた行き詰まりを脱する一度きりの機会だ」

とコメントを発表しました。

しかし、一部の人は総選挙で保守党が過半数を得られなかった時のシナリオです。

その時はまだ「合意なき離脱」となる可能性がかなりあります。

また、労働党主導の政権への警戒感も残ります。

EUが否定する新離脱案の見直しに乗り出せば混乱の長期化が避けられないうえ、インフラ企業の再国有化や法人増税など企業に厳しい政策を公約に掲げているためです。

2019年8月

中小企業の対応、大きく遅れ

BREXITを巡り、イギリスの中小企業の対応が遅れているようです。

資金不足で流通の混乱に備える在庫積み増しが十分でない、というのが大きな悩み。

政府の支援も多くはない上、食料品などの日常生活に欠かせない商品が多いため、このままいくと大きな混乱につながる可能性があります。

invstem.com

もちろん、それはジョンソン政権への批判へとつながるでしょう。
データ

英国経営者協会が6月に公表したデータだと、加盟社約990社の6割近くがBREXITへの緊急対応策を決めていないとの事です。この中には相当数の中小企業が含まれていると思われます。

一方、EUとの関係がどうなるかはっきりした段階で行動すると答えた人は32%。

複雑な法律や貿易の問題に対応するため、中小企業へのサポートが必要と言われていますが、政府が最近策定した離脱対応予算21億ポンドのうち、そうした中小企業への支援はほとんどありませんでした。

政府は、輸入通関を簡素化する「移行簡易手続き(TSP)」制度を導入していますが、これに申請した中小企業は少なく、情報提供も十分ではないようです。

2019年7月

イギリス自動車工業会、合意なき離脱を回避するよう書簡

2019年7月26日、イギリス自動車工業会はジョンソン新首相に合意なき離脱を回避するようジョンソン首相に書簡を送ったという事です。

その書簡の中でEVの普及など今後10年が業界にとって重要な時期だと指摘し、合意なき離脱となって無駄なコスト増がイギリスの自動車業界にとってマイナスで、海外投資家の信頼をさらに損なうことになると警告しました。

イギリスの2018年の自動車生産台数は150万台と欧州で4番目の規模で、日産やトヨタといった日本勢が全生産台数の半数近くを占めていますが、合意なき離脱で関税が復活すれば、イギリス撤退を検討する可能性があり、実際にホンダは本ブログでも既報の通り、2021年に撤退することを決めています。

イギリス国内経済への悲観論強まる

ある調査によると、語彙なき離脱の可能性も高まる中、国内企業の景気見通しが悪化したようです。

2019年5月22-6月5日に約900社を対象に実施した調査によれば、企業の経済への信頼感を示す指数はマイナス28%で、4月のマイナス19%か悪化しました。

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今年初めての低下です

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指数は、景気を楽観しているとの回答から悲観しているとの回答を差し引いて算出します。

イギリス企業は次期首相選びが進む中、社員や事業、技術などへの投資を手控えており、国内の生産性の伸びを抑えているようです。

2019年6月

エアバス、合意なき離脱なら業績に悪影響

2019年6月19日、エアバスのCEOは、イギリスの合意なき離脱のリスクが高まっているとした上で、そうなった場合2020年の業績に悪影響が出る可能性があると述べました。

複数金融機関が、イギリス外への資本移転を遅らせる

ゴールドマンサックスやスタンダードチャータード銀行、シティグループなどが、欧州当局の圧力にもかかわらず、イギリス外への資本移転を完了させていないようです。

どうやらBREXITのタイミングが遅れている事を理由に、当初予定していた資産移転を渋っているようです。

金融機関幹部はイギリスがまだEU内にあり、クライアントが引き続きロンドンでの取引を望んでいるため、なかなか事が進まないと言っています。

ECBは各銀行に対し、欧州事業で生じ得る損失を確実に吸収できるよう、十分な準備金の確保を義務づけていて、各金融機関はユーロ圏での子会社設立を急ぎ、それに必要な資本水準についてECBと協議しています。

2019年5月 若干楽観論が強いか?

合意なき離脱のリスクまだ残るも、企業は少し油断?

イギリス経営者協会の暫定会長を務めるエドウィン・モーガン氏がメディアに対して、合意なき離脱の発生はまだリスクとしてあるものの、企業は幾分楽観視しすぎていて準備ができていない旨の意見を述べました。

今の離脱期限は10月31日ですが、

  • 合意なき離脱を支持する保守党メンバーがメイ首相に取って代わる可能性
  • 10月31日からの更なる延期が、仏マクロン大統領によって拒否される可能性
  • 第二回の国民投票の余波で離脱に至る可能性
  • 総選挙でブレクジット党が躍進し、やみくもに離脱に突っ走る可能性
等があり、そうなると合意なき離脱に一気に走り出す可能性があります。

イギリスの製造業の在庫は一服

イギリスの製造業による在庫積み増しの勢いが一服したようです。

2019年4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)のうち、構成要素の「購買品在庫」は58.8と、前月より7.4ポイント下がりました。

BREITが10月末まで延期になったことで、万が一の「合意なき離脱」に備えて原材料などを多めに抱える動きがひとまず和らいだと思われます。

2019年4月 多国籍企業の撤退相次ぎ悲観論強まる

イギリスの企業は景気に最も悲観的

イギリスの採用雇用連盟が2019年4月24日に公表したデータによると、英企業は同国の景気について、BREXITの是非を問う国民投票以降で最も悲観的となったようです。

具体的には雇用と投資の見通しについて、悲観している企業の数が楽観している企業を上回りました。これは、国民投票が行われた2016年6月に調査が始まって以降で2度目です。

イギリス政府がトヨタに残留要請

イギリスのハント外相がトヨタに対し、イギリスから撤退しないよう要請していたようです。

トヨタはイギリスで年13万台近くを生産し、その約9割をEUに輸出している状況ですが、そうした中で「合意なき離脱」となれば突如関税が発生して生産体制の維持が難しくなります。このため撤退も視野に入れているとの報道がありました。

ホンダも撤退を決めており、イギリス政府が直談判で引き留めに動いたようです。

企業心理は悪化の一途

2019年4月12日の「合意なき離脱」が一旦回避され、産業界は最悪のシナリオを免れましたが、物流の断絶や生産コスト上昇のリスクは残っています。

結局不透明な状況が長期化し、企業にとってはどうして良いか分からない状況が長く続く事を意味していて、企業の設備投資意欲はさらに落ち込む可能性があります。

イギリスの政府統計局によると、企業の設備投資は2018年10~12月期が前期比0.9%減と4四半期連続のマイナスになっています。この4四半期連続というのはリーマン・ショックの直後以来約10年ぶりです。

イギリスの自動車産業は年間150万台のうち8割近くを欧州大陸などに輸出していますが、ドイツのBMWは既に英国生産の一部をオランダに移すことを検討しています。

日本企業においても、ある調査によれば2019年3月時点の日本からのイギリス進出企業数は約1300社で、EU離脱を決めた2016年に比べて6%減りました。

この傾向は他の所でも似たようなものでしょう。

合意なき離脱に民間企業は厳戒態勢

2019年4月10日現在、メイ首相は6月30日までの短期延期を求める方針であることは既報の通りですが、4月12日が期限の「合意なき離脱」のリスクは消えていません。

このため、企業は在庫積み増しや物流体制の見直しを急いでいますが、サプライチェーンの分断などで製品の生産や供給体制に支障が出る可能性が出ています。

以下がその例です。

  • スーパー大手のセインズベリー:食品の3割を欧州から輸入。食料品は在庫を多く持てないので、合意なき離脱は壊滅的な影響をもたらす可能性
  • 警察:スーパーなどに離脱後の混乱に備え、警備員の増員を検討するように要請。
  • BMWは当初離脱日を3月29日と想定していた為、新しい離脱日に沿った新しい対応を検討
  • ホンダ:部品在庫を積み、EU域内で新車販売を継続できるように「型式認証」も大陸側で取得
  • 日本精工:イギリス内に欧州の統括拠点があり、4工場を保有。オランダにある倉庫の在庫を約1カ月分積み増し。
  • JXTGエネルギー:産業用工場の生産ラインなどに使う潤滑油の在庫を大陸側で増加
  • アサヒグループ:イタリアの高級ビールのイギリス向け商品を通常より多めに輸送
  • 金融機関:多くの機関投資家がロンドンに取引口座を持つが、今だ「合意なき離脱」による影響が見えず、口座の中身を大陸ヨーロッパに移す必要があるか分からない。ロンドンの口座をベースにしたままで合意なき離脱になれば混乱が広がる可能性あり。

いずれにせよ、企業としては本来負担しなくて良いコストであり、そのコストは政治の混迷で増加するばかりです。早く見通しがつけばいいのですが。。。

イングランド銀行が貸金業者とも協議

イングランド銀行がBREXITに伴う経済成長鈍化に対する耐性を見極めようと貸金業者と話し合いを重ねているそうです。

イングランド銀の金融安定を担当するチームは大手貸金業者と個別に協議し、景気下降局面で負荷がかかると予想される分野を判断しようとしており、貸金業者との協議はその一環だという事です。

イギリスではノンバンクの貸金業者による融資が伝統的金融機関をしのぎ始めており、2019年初めには貸金業者1社が借り手に対し1回で10億ポンド(約1450億円)を貸し付けたという事です。

イギリスの製造業が在庫を引き続き積み増し

イギリスの製造業がEU離脱に備え、手元の在庫を3月に記録的なペースで増やしたことが分かりました。

在庫を増やすというのは既報の通りですが、実際の統計でも改めて表れた形です。

2019年4月1日発表された製造業購買担当者景気指数(PMI)のうち、購買品在庫の水準を示す指数が前月より6.3ポイント高い66.2に急伸しており、これで3カ月続けて過去最高になりました。

在庫というのは生産活動の一つなので、それはそれでいいのですが、今後は在庫解消による反動が心配です。

2019年3月

BMWはMINIやエンジンの製造拠点を移転検討

独BMWは小型車「ミニ」やエンジン生産の一部を欧州の他地域へ移管することを検討していると明らかにしました。

BMWのハラルト・クリューガー社長は「BREXITの離脱延期は不確実性を高めるだけだ。不確実な状態が続けば続くほど投資は難しくなる」と述べました。

BMWは英国で「ミニ」や高級車「ロールス・ロイス」を生産しているほか、エンジン工場も運営しています。クリューガー社長は2018年10月、「合意なき離脱」に至った場合はミニの生産を一部オランダに移す考えを示していましたが、その方針は変わっていないようです。

インドのタタ、ジャガーランドローバーの売却も検討

インド最大の複合企業タタは、苦戦する傘下の高級車部門ジャガー・ランドローバーについて、株式売却の可能性を含む戦略的な選択肢を模索しているとの報道がありました。

タタは少数株式の売却から、自動車の合同開発やコスト削減を見込める新たな合弁パートナー探しまであらゆる可能性を検討しているようです。

タタはM&Aのアドバイザー企業と初期段階の話し合いを進めているようですが、協議がまとまらない可能性もまだ十分あります。

元々ジャガーランドローバーは中国での販売減に加え、燃焼エンジンやディーゼルエンジンからの転換で打撃を受けていました。

そして、今回のBREXIT問題でジャガーランドローバーの業績もさらに悪化。今回の検討を始めるに至ったようです。

2019年2月 離脱延期で少し安堵

離脱延期も選択肢になった事で、民間企業は安ど感

イギリス政府がBREXITの延期を選択肢に入れたことで、経済界や市場は3月末の「合意なき離脱」は遠のいたと安堵しているようです。

しかし、それでもメイ英首相は新たな期限を最長でも2019年6月末とする構えで、EU側の意向と合致するかどうかは不明です。

2月27日のロンドン市場では、離脱延期で合意なき離脱のリスクが遠のくとの見方が広がり、一時1ポンド=1.3351ドル付近と約7カ月半ぶりの高値をつけました。

ホンダはBREXITでイギリス工場を閉鎖

ホンダは英国工場を2022年までに閉鎖する方針を固めたようです。

ホンダの欧州の四輪事業は不振が続き、工場の稼働率も低迷していました。

BREXITに伴い欧州事業の不透明感が一段と増したことから、欧州唯一の生産拠点である英工場を閉じる決断をしたようです。

自動車産業におけるBREXIT対応では、生産一時休止などの動きがありますが、ホンダは英国生産撤退まで踏み切ります。

イギリス工場の自動車の年産能力は16万台で、3000人強が働いているようです。撤退となれば同水準の人の雇用が失われる可能性があります。

EU離脱延期となった場合は長期間になる可能性高い

ヨーロッパのメーカーなどはEUに対して、イギリスの離脱を延期する場合は6~12カ月延期することを迫っているようです。

短期の延期は企業の緊急対応策を損なうためです。

主に自動車や物流業界がこのような意見をはっきりと表明しており、イギリスが離脱期限の延期を要請した場合、長期の延期が容認される可能性は高いと思われます。

最悪のシナリオは6月の合意なき離脱か、何度も中途半端な延期を繰り返すこと

あるメーカーは、たとえば6月の合意なし離脱、または短期の延期を繰り返した後の合意なき離脱が最も避けたいシナリオであるとEU当局者に伝えたとの事です。

また別の自動車メーカーも、6カ月未満の延期では合意なき離脱の対応策を再設計することは不可能で、これまでの投資も全て無駄となるのでかなり大きな痛手となると語ったそうです。

BREXITに伴う混乱を予想し、一部イギリス民間企業の資金調達が困難に

BREXITに伴う負の影響として、民間企業の資金調達に伴う問題が徐々に出始めています。

2019年内に1300億ドル強の社債が償還を迎えるあるイギリス企業は、資金調達コストの上昇を目の当たりにしています。

一部の社債利回りは、新興国企業並みになっているとの事です。

ある調査会社によると、2019年1月の英企業の起債額はわずか4億7800万ドルで、1年前の23億5000万ドルから急減したそうです。

もっとも、これはBREXITのみならず世界経済の先行きが低調なことも関係しているとの事です。

インドのタタ自動社、大幅な株価下落 ジャガーの損益で

2019年2月8日、インド自動車大手タタ自動車の株価が、前日終値に比べて一時29%下落しました。

英子会社ジャガー・ランドローバー(JLR)の減損処理に伴い、4000億円を超える巨額赤字を7日に計上したのが嫌気されたためです。

この下落幅は過去26年間で最大で、終値では151ルピー台と17%安まで戻したが、先行きを不安視する見方が広がりました。

イギリス子会社のジャガー・ランドローバーはBREXITに関する先行き不安で減損

タタ自動車の子会社である、英ジャガー・ランドローバーが2019年2月7日発表した2018年10~12月期決算は、最終損益が31億2900万ポンド(約4450億円)の赤字となりました。

背景は中国での販売不振に加え、BREXITに関する先行き不透明感です。

どうなるか分からない中で、将来の収益力を見直した所、31億2200万ポンドの減損損失の計上を迫られたのです。

トヨタ自動車、BREXITでイギリスの工場を一時休止

2019年2月6日、トヨタ自動車は合意なき離脱が行われる場合、英国工場の生産を一時的に休止する考えを示しました。

トヨタは英国中部のバーナストン工場では2018年に約13万台を生産していて、1日あたりトラック150台分の部品を使っています。ただ、その約3分の1を欧州の大陸地域から調達している為、部品が1つでも入らないと、生産停止せざるをえないのです。

BMWやホンダ、日産もBREXITで生産の一時休止や生産取りやめ

こうした動きはトヨタだけではありません。

BMWやホンダも工場を一時休止する方針で、日産自動車は事業環境の不透明さを理由に英国で予定していた主力車種の生産計画をとりやめると発表しています。

1 COMMENT

Leandra Gore

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