トルコの金融政策の経緯とまとめ2019

ここではトルコの金融政策について記していきます。

2019年現在のトルコの金融政策は かなり政治に翻弄されている所があります。独裁制に近い権力を持っているエルドアン氏に遠慮してしまうのです。

しかし、トルコは高金利通貨国として、リスクが高い事は分かっているものの、日本人にとってはトルコは旅行先でもかなり人気でなじみのある国でもあるので、興味が出てしまう通貨であることは確かです。

トルコの金融政策とそれに関連するマーケットの動きを中心にここでは記述していきます。

トルコに関する本ブログは↓

トルコリラと中長期的に付き合う 基礎から学ぶ4つのポイント

トルコの政治と外交についてのまとめ記事は↓

トルコへの投資、政治と外交のまとめ2019

トルコ・リラの動きについては↓

トルコ・リラの動き、経緯とまとめ2019

2019年10月

中央銀行総裁、利下げ余地狭まると発言

2019年10月31日、トルコ中央銀行のウイサル総裁は過去数カ月間の10%に及ぶ利下げで、利下げ余地が狭まったという認識を示しました。

総裁は、
「現状にたどり着くまで、かなりの緩和余地を使ったことを強調したい。主要な物価動向は著しく改善しており、これが中銀の決定につながった根本要因だ」
とコメントしました。

ただ、インフレ率が落ち着けば、それをもってエルドアン大統領が更なる利下げを要求してくる可能性相応にあるでしょう。

インフレ率見通しを大幅に引き下げ

2019年10月31日、トルコ中央銀行は年末のインフレ率見通しを従来の13.9%から12%に引き下げました。

中央銀行の見解

食品価格の値上がりが予想以上に鈍化しているほか、通貨リラの安定を理由に挙げています。

消費者物価の伸びは漸進的に減速し、2020年末には8.2%まで下がると予測されています。

中銀総裁によると、今年の食品価格インフレ率は10%と、従来予想の15%から下方修正されました。

更なる利下げの為の地ならしという事でしょうか。

トルコ、2.5%の利下げ

2019年10月24日、トルコ中央銀行は主要な政策金利の1週間物レポ金利を2.5%引き下げ、14%としました。

利下げはこれで3会合連続となります。

利下げの背景

  • インフレ見通しの改善
  • シリア北部への軍事作戦がアメリカ、ロシアとの合意で沈静化したこと
  • アメリカからの経済制裁も解除されたこと

立て続けに利下げをする事の通貨への影響

今の所大きな問題は起きていないものの、引き続きかなり警戒をする必要があるでしょう。

それにもかかわらず利下げするのは、金融緩和で景気浮揚を目指すエルドアン大統領の強い意思があると思われます。

しかし、国際収支のバランスを海外からの短期借り入れに頼る脆弱な構造は変わっておらず、経済はなおかなり脆弱です。

ただ、一方で、先進国各国が金融緩和を続けている事もあり、トルコリラもそれに支えられて一定程度安定推移できるのではなか、との意見もあります。

直前の市場予測との比較

利下げ幅は市場予測を上回りました。中央銀行が年末までのインフレ率の見通しが2019年7月に示した13.9%よりもかなり下回ると考えているからです。

エルドアン大統領、追加の利下げを期待、マーケットは10月に1.5~2.5%の利下げを予想

2019年10月5日、エルドアン大統領は中央銀行によるこれまでの利下げペースに満足しているとしながらも、さらなる金融緩和を期待していると述べました。

エルドアン大統領は演説の中で、

「トルコ中銀の適切な介入により金利は合理的な水準に低下しているが、さらに低下すると確信している」

と述べました。

大統領は依然として金利引き下げに固執しており、それがインフレ抑制につながると考えています。

2019年7月と9月に金融緩和を実施したウイサル総裁は、利下げペースの緩和の検討を示唆していますが、これをけん制したのでしょうか。

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同総裁の下で、トルコ中銀の利下げ幅は既に7.5ポイントに達しています。

ただ、2019年10月3日に発表された9月のインフレ率は1桁台に低下していて、トルコの実質金利が7.24%と、新興国では最高水準にある事も確かです。

エコノミストは24日の次回会合で1.5-2.5ポイントの追加利下げが行われると予想しています。

2019年9月のインフレ率は1ケタ台に

トルコでは昨年のリラ安に伴いインフレが急加速するも、一転して2019年9月は+9.26%と久々に一桁台となりました。

背景は何でしょうか。

昨年起きたトルコリラの一連のショックが収束したことに加え、政府による資本規制導入などの施策でリラ相場が落ち着いたこと、また物価統制の動きなどによって、インフレ率が落ち着いたものと思われます。

ただ、2018年9月比で落ち着いたと言っても、その時はインフレ率が大きく加速していたので、数字上こうなるのは当たり前の事、とも言えます。

もう高インフレはずっと収まるでしょうか

一過性に終わる可能性も大いにあります。

9月のインフレ率が大きく鈍化した背景には、既述の通り、前年同月のインフレ率が大きく加速していたので、その反動でこうなっただけという見方があります。

10 月も表面上インフレ率が一段と鈍化すると見込まれる一方、その後は一転して12~13%程度に加速して再びインフレ目標から遠ざかる可能性があります。

2019年9月

3.25%の利下げ

2019年9月12日、トルコ中央銀行は金融政策決定会合を開き、主要な政策金利である1週間物レポ金利を年率3.25%引き下げて16.50%にすると決めました。

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7月に続き2会合連続の利下げです。

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利下げの理由は何でしょうか??

利下げの表向きの理由は物価上昇率が縮小傾向で、金融緩和を進めて景気をテコ入れする好機、というもの。

ただ、エルドアン大統領の意向も相当にあるでしょう。

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予想はどうだったのでしょうか??

事前の予測は2.75%程度でしたので、これを上回る利下げです。

ただ、エルドアン大統領は金融政策決定会合の直前に、金利を一けた台に、とする発言をしていたので、それに比べれば、まだ許容範囲っという事で、トルコリラはこの利下げ幅を受けて上昇しました。

エルドアン氏、近く政策金利を一けた台に

2019年9月8日、エルドアン大統領はトルコの政策金利が近く1桁台に引き下げられ、それに伴いインフレ率も鈍化するとの見通しを示しました。

MEMO

エルドアン氏は、「金利を下げればインフレが収まる」という持論をずっと主張し続けています。

大統領はテレビ演説で、

利下げを進めており、最短期間で金利を1桁台に引き下げる。そうすればインフレ率も1ケタ台となるだろう。

と語りました。

この前日には、トルコ中央銀行が9月12日の会合で利下げすると確信していると述べていました。

現行金利は19.75%ですので、もし一度に一けた台に政策金利をするならば、10%程度の利下げとなります。

トルコリラはどうなってしまうのでしょうか。。。

2019年8月 インフレ率見通しを引き下げ、追加の金融緩和への準備??

インフレ見通しを引き下げ、更なる金融緩和へ準備??

2019年7月31日、トルコ中央銀行はインフレ予測を下方修正しました。

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次の利下げに向けた準備、という事でしょうか。。。それよりも通貨防衛をしっかりとしてほしいと思ってしまいます。

中銀の発表によれば、年末のインフレ率は13.9%と、従来予想の14.6%から下がりました。

2020年の見通しは8.2%で据え置いています。

2019年6月

トルコ・リラの上昇などで、2019年6月のインフレ率は15.7%に減速しています。

エルドアン大統領は先週実施された4.25ポイントの大幅な利下げにも「不十分」だとして、年内は段階的な利下げが続く可能性を示しています。

2019年7月 4%以上の利下げを強行

政策金利を4.25%下げて19.75%に

2019年7月25日、トルコ中央銀行は金融政策決定会合で、主要な政策金利の1週間物レポ金利を4.25%引き下げ、19.75%としました。

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政策金利を下げるのは約3年ぶりです。

足元でインフレが和らぐなど緩和に転じる環境が整いつつあったものの、気になるのは中央銀行へのエルドアン政権の影響力です。

メモ

実際に市場予想を超える急激な下げ幅となった背景には、景気浮揚を狙うエルドアン大統領政権の圧力があったと思われます。

データ

かつて25%を超えていたインフレ率は2019年6月時点で、15.7%まで低下。

一方で通貨防衛を目的とした政策金利24%は経済活動は冷え込ませ、GDPは19年1~3月期まで前年同期比で2四半期連続で減少。

上記の様な現状に基づき、市場は2.5%の利下げを予想していました。

ところが実際はその市場予想を大きく超える利下げとなり、政治的な圧力が働いたとの見方が強まっています。

エルドアン大統領、中央銀行の抜本改革必要と発言

2019年7月10日、エルドアン大統領は、中央銀行に抜本的に改革が必要で、そうしなければトルコは深刻な問題に直面すると語りました。

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大統領は先週、2020年の任期を前にチェティンカヤ中銀総裁を更迭しています。

大統領は持論の金利引き下げを行う事でインフレが鎮静化されるという話を暗に強調しつつ、チェティンカヤ氏が会合の回数を減らし、様々な措置について政府に相談せずに独断で実施したと批判しました。

7月下旬の金融政策決定会合で数パーセントの利下げも??

突然の中央銀行総裁の更迭というエルドアン大統領の衝撃的な決定を受けて、投資家の間では中銀が予想以上のペースで利下げに動くとの懸念が高まっています。

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それゆえ、トルコリラも急激に下げているわけです。

マーケットでは、7月25日の会合で数パーセントの利下げを決める可能性さえあると身構えています。

注意
そうなると、どこまでリラは下がるのでしょうか。今は動くときではないでしょう。

エルドアン大統領、金利で譲れない一線を示す

エルドアン大統領は、中央銀行総裁のチェティンカヤ氏を解任した後、次期総裁と他の当局者が金融政策について政府の方針に従う事を期待している事を言明しました。

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エルドアン大統領の中央銀行総裁の解任についてはこちらから。
トルコへの投資、政治と外交のまとめ2019

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中銀は9カ月余りにわたって金利を据え置いていますが、これにエルドアン大統領は強く不満を持っているのです。

発表後に開かれた非公開会合で、エルドアン大統領は「高めの金利水準がインフレを招く」という持論が、政治家と官僚全員に支持される必要があると言明したようです。

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加えて、政府の経済政策を支持しない場合は、結果を伴う(職を解かれる?)とも警告したという事です。

一連の発表を受けて、もちろんトルコリラは売り一色です。悲しい事に、エルドアン大統領が金融政策について話すほどリラは下がり、その結果輸入物価が上昇してインフレ率が上がるのです。。。

2019年6月

トルコ中銀、政策金利を24%で据え置き、追加引き締めの可能性は低下

2019年6月12 、トルコ中央銀行は定例の金融政策委員会を開催し、政策金利である1週間物レポ金利を6会合連続で24.00%に据え置く決定を行いました。

これに伴って短期金利の上下限に当たる翌日物貸出金利及び翌日物借入金利もそれぞれ25.50%、22.50%に据え置かれています。

しかし、前回会合(2019年4月)の声明文では、今後必要であれば、さらなる金融引き締めを実施する」との文言がありましたが、今回の声明ではそれが削除され、追加引き締めの可能性が低くなったものと思われます。

2019年5月

国内銀行にトルコ国債購入の依頼

これが政策と呼べるかは分かりませんが、トルコ財務省はトルコ国内の主要12銀行の担当者を呼び、リラ建て国債の購入を拡大するよう促しました。

これに対して銀行側は、長期債の発行を増やしてほしいとの要望を出したようです。

トルコリラの下落を受け、トルコ政府の調達コストは大幅に上昇しています。

一方で外国人投資家による同国国債への投資が振るわず、国内の銀行にこの様なお願いをしたのでしょう。

大規模なトルコリラ売りの決済を、当日から翌日に変更

2019年5月20日、トルコ政府は銀行に、大規模な外貨買いについて決済を翌日とすることを命じました。

通貨リラの防衛策を強化する事がその意図です。

10万ドル相当以上の全てのリテール取引を、現行の当日決済から翌日決済に変更するというものです。

トルコリラの売りに0.1%の課税

アメリカとの政治対立や地方選挙後の政治的混乱などでリラは売り込まれていますが、トルコ政府は通貨防衛措置としてリラ売りに対する0.1%課税する事を決めました。

これは初めての試みではなく、10年前にも導入した事がある政策です。

なりふり構わずリラ防衛をしています。

2019年5月、トルコ中銀が一時的な通貨防衛策

2019年5月9日、中央銀行は通貨リラの下落に歯止めをかけるため、金融引き締め策を発表しました。

銀行への資金供給の一部を停止し、利上げに近い効果を狙ったものです。

背景は最大都市イスタンブール市長選のやり直しの決定で、先行き不透明感から外国為替市場でリラが強烈に売られた事です。

トルコの政治状況については↓をご確認ください。

トルコへの投資、政治と外交のまとめ2019

通貨安が物価高につながるのを防ぐため、通貨防衛に動いたわけです。

2019年4月

2019年4月、政策金利は据え置きも追加利上げには消極的メッセージ

トルコ中央銀行は金融政策決定会合を開き、主要な政策金利の1週間物レポ金利(年24%)を据え置きましたが、声明文で今後の追加利上げに消極的なメッセージを発しました。

市場では利下げ観測が強まった為、リラ売りを呼びました。対ドルで一時、前日比1.8%下げて年初来安値を更新しています。

5会合連続となった据え置きは市場の予想通りでした。
しかし、3月の金融政策決定会合の際の声明文にあった「必要があればさらなる引き締めを行う」との文言が消えた事にマーケットは反応しリラは急落。

今回の声明文で、6月の次回会合で利下げが行われる可能性が高まったとのマーケット関係者らの声が聞こえてきます。

会合前には、リラ安で利下げは遠のいたとの見方も出ていた事もあり、緩和的なメッセージがネガティブサプライズでリラ売りを呼んだようです。

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