メキシコ・ロペスオブラドール氏の政策の遂行状況のまとめ

ここではメキシコ・ロペスオブラドール大統領の政策についての遂行状況を追っていきます。

ロペスオブラドール氏の政策についてのまとめや公約については↓をご確認ください。

メキシコ ロペスオブラドール新大統領の政策についてまとめてみた

ロペスオブラドール氏の政策はポピュリズム色が強く、幾度もマーケットを裏切ってきました。メキシコに投資をする際は、ロペスオブラドール氏が何を考えているかを知っていた方が良いです。

同大統領の政策如何でメキシコペソやメキシコ株式の動きも変わってくるでしょう。

2020年5月

外資を引き続き締め出す方策

メキシコ政府が再生可能エネルギーの活用の抑制に乗り出し、外資の追い出しを強めています。

メキシコ政府は風力や太陽光などのプロジェクトに関し、国家電力システムに接続した新たな試運転を認めない事としました。

新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞で需要が減り、発電能力が過剰になったためと説明しています。

これによって送電や配電のシステムで、再生可能エネルギーの売却が難しくなります。

事業を手掛けるのは外国企業が多く、電力公社優遇と見られても仕方ありません。

再生エネルギー投資の大半は欧米を中心とする外国企業が手掛けており、欧米のみならず国内からもこの措置に不満が出ています。

自動車関連工場が18日から再開

2020年5月13日、メキシコ政府は主要産業である自動車関連の工場稼働が18日から可能になると発表しました。

鉱業と建設業と共に、新型コロナウイルスの感染が広がる中でも稼働を認める産業に加えました。

これまでは鉄鋼やセメント、ガラスなどの操業は認められていたが、自動車は含まれていませんでした。

感染は現在も深刻だが、自動車の供給網を一体的に構成するアメリカの経済再開が進んでいるのに歩調をあわせた形です。

ただ、メキシコではアメリカに数週間遅れる形で新型コロナの感染が拡大しており、政府は早急な活動再開には慎重な姿勢を示しているのも確かです。

経済再開を検討

2020年5月12日、ロペスオブラドール大統領は、新型コロナウイルスの感染拡大で停滞する同国経済について、13日に再開計画を公表する意向を示しました。

これを踏まえて、

「元に戻るのではなく『ニューノーマル(新常態)』に向かう」

と述べました。

地域ごとに異なった対応になる見通しですが、最大のポイントは、政府が自動車産業の稼働をどのように認めるかとされています。

2020年4月

ペメックスの第1四半期、損失が2.5兆円

メキシコの国営石油会社ペメックスが4月30日発表した2020年1~3月期決算は、最終損益が5622億ペソ(2兆5300億円)の赤字となりました。

原油価格の下落が響いて、前年同期(357億ペソの赤字)から赤字幅が大幅に拡大しました。

ロペスオブラドール大統領が特に強く肩入れする同社の苦境はすぐに終わりそうにありません。

新型コロナ対策で25億ドル

2020年4月17日、約25億ドルの新型コロナ対策を発表しました。

ロペスオブラドール大統領は新型コロナウイルス感染拡大に対応するため、約25億ドルの支援策を5月に実施すると発表しました。

しかし、早速規模が十分でないとの批判も出ています。

大統領執心のペメックス、二社以上が投機的水準に格下げ

2020年4月17日、ムーディーズとフィッチが国営石油会社ペメックスの債務格付けを引き下げました。

ムーディーズは「Baa3(トリプルBマイナスに相当)」から「Ba2(ダブルB)」に2段階引き下げ、フィッチは「ダブルB」から「ダブルBマイナス」へ、今月2度目となる引き下げを実施しました。

これで二社が投機的水準としました。

投機的水準に引き下げた格付け会社が2社以上になると、機関投資家は投資できなくなる事が多く、ペメックスの資金調達の環境は悪化しそうです。

ロペスオブラドール大統領のご執心のペメックスですが、同氏のまずい政策も一因となり、かなり厳しい状況になっています。

政府と経済界の摩擦が強まる

メキシコで政府と経済界の間での摩擦が強まり懸念が高まっています。

ロペスオブラドール大統領はいつも通り企業による労働者の解雇を批判し、一方で経済界は財政出動がなければメキシコの2020年の経済成長率がマイナス10%に落ち込むとの試算を示すなどして政府の対応を批判しました。

新型コロナウイルスの感染が広まる中、既報の通り、メキシコ政府の民間企業向け対策はいつも通り乏しく、危機感が強まっています。

メキシコ政府は3月13日から4月6日の間に失われた雇用の数値を発表しましたが、その資料には、解雇人数が多かった企業名が具体的に明記されていました。

ロペスオブラドール氏らしいと言えばそうでしょう。

メキシコ政府は企業に対して不要不急の操業を止めるようにも要請していますが、具体性に欠ける政策でもある為、混乱が生じこれも不満につながっているようです。

メキシコへの投資は引き続き同政権がある間は慎重にならざるを得ません。

ロペスオブラドール氏、現代版マーシャルプランを提唱

2020年4月6日、ロペスオブラドール大統領は新興国の新型コロナウイルス対策支援として、国際金融機関が新たな「マーシャルプラン」の策定を支援すべきだと表明しました。

同大統領はマーシャルプランのようなものが必要だとブラックロックのCEOとの意見交換で表明したようです。

その上で、そうした新興国支援は一方的な融資ではなく開発協力の形で行うべきだとも主張しました。

同大統領は、富を使う事は積極的ですが、富を創出する事は常に他人任せの様な感じがしてしまいます。

コロナウイルス対策を発表も企業への支援は乏しい

2020年4月5日、ロペスオブラドール大統領が新型コロナウイルスの感染拡大を受けた対策を公表しました。

内容

  • 治療のために6425床を確保
  • すべての高齢者を対象に2カ月分の年金を前倒しで支給
  • 学生向けの奨学金を拡充
  • 小規模商店などへの融資拡充
  • 税負担の軽減など企業支援策は見送り

ここにきても企業活動を軽視する同大統領の方針は変わりませんでした。

同大統領は弱者への支援を前面に出し、人気取りのための手段とする事を忘れませんでした。

その一方、いつも通りですが企業向け支援には消極的でした。

代表的な経済団体の企業家調整評議会は民間企業の資金繰り支援の為、納税の繰り延べなどを求める声明文を公表していましたが、これに対する明確な回答は出していない状況のようです。

2020年3月

法的根拠のない住民投票の結果を受けて工場の操業が停止に

2020年3月23日、メキシコ政府は北西部メヒカリで建設中のビール工場について、操業許可を取り消すと発表しました。

操業で水不足が懸念されるとして、一部住民が反対運動を展開しており、ロペスオブラドール大統領の指示で実施した住民投票で反対票が7割を占めたため、この様な決定となりました。

突然の許可取り消しは、民間投資をさらに冷え込ませそうだ。

この工場はアメリカへの輸出向けのビールを製造するために建設しており、すでに9億ドルを投じ設備の70%が完成していたそうです。

ロペスオブラドール政権が、法的根拠のない住民投票を実施して、必要な許可を得て建設が始まっていた案件を中止に追いやったのはメキシコシティ新空港の建設中止と同じやり方です。

有力経済団体の企業家調整評議会は「必要な許可を得た民間投資への住民投票は法的秩序を乱し、国内外の投資に大きな打撃を与える」と政府を批判する声明を発表しました。

2020年1月

天然資源の権益売却入札、再開する考えなし

2020年1月8日、ロペスオブラドール大統領は、石油・ガス開発権益の売却入札を今年再開する考えはないと述べました。

同国政府がエネルギーセクターへの民間投資促進に動くとの期待が完全に消滅しました。

その上で、前政権が実施した入札で110件の契約を得た石油大手企業が、投資や生産で実績を示す必要があると付け加えました。

エネルギー政策の面で引き続き反民間のグループが主導権を握っていることがうかがえます。

民間投資こそが石油増産の鍵を握ると思われますが、ロペスオブラドール氏は国家主導がメキシコの石油生産を上向かせると信じているようです。

2019年12月

ロペスオブラドール氏、富の分配は平等になったと強調

2019年12月1日、ロペスオブラドール大統領は就任1周年の演説で、富は現時点で従来よりも平等に分配されるようになったと強調し、自身の政策の成果をアピールしました。

経済が低調である事の方がよほど重要ではありますが、そういった臭いものにはふたをしたいのでしょう。

2019年11月

新しい経済政策を発表

2019年11月26日、メキシコ政府は総額8590億ペソ(約4兆8千億円)に上る民活型のインフラ投資計画を発表しました。

民間企業が資金を投じて、道路や港湾といった交通インフラを中心に整備を進める、というものです。

ロペスオブラドール氏のまずい経済政策もあり、ずっと経済成長率は前期比でマイナスとなっており、これで挽回したい考えです。

具体的な内容

  • 計画は2020~24年の5年間
  • 合計147のプロジェクトが掲げられる
  • 道路、港湾や空港などの交通インフラが7割以上
  • 2020年に全体の半数近い案件が集中
  • 沢山のインフラ工事をして景気浮揚に役立てたい考え

ロペスオブラドール大統領は

「インフラ計画によって経済に大きな刺激を与えたい」

とコメントしています。

2019年10月

IMFも成長見通しを引き下げ

2019年10月30日、IMFはメキシコの19年の経済成長率見通しを7月時点の0.9%から0.4%にさらに引き下げました。

メキシコ銀がまとめる民間機関の予想平均でも0.43%まで下がっている状況です。

成長率が1%を下回るのは金融危機の影響でマイナスとなった2009年以来です。

経済低迷の背景

不振の理由にはまず国内の経済政策の混乱があるでしょう。ロペスオブラドール氏は従来政権が進めてきた民間主導型の自由主義経済を「汚職や格差の温床」として全面否定しているのです。

国内外から資金を集めた首都の新空港は建設中止にし、石油鉱区の民間入札は無期延期にしました。

外国企業参加のパイプライン敷設計画も見直しを突きつけており、外国企業は慎重な姿勢で経済成長に冷や水をかぶせている状況です。

ついに景気後退入り

2019年10月30日に発表した2019年7~9月期のGDPは、一般的に景気後退期に入ったとされる2四半期連続のマイナス成長となりました。

景気後退となった背景

まずロペスオブラドール大統領のポピュリスト的な経済政策、国内の混乱や不安定な対米関係が投資にブレーキをかけたこと、そしてそれに伴う雇用や消費の低迷、等でしょう。

国内外の民間企業にとっては、契約済みの案件すら簡単にひっくり返される状況に不安が高まっている状況です。

メキシコ経営者連合会(COPARMEX)のグスタボ・デオジョス会長は

ロペスオブラドール政権の無計画で近視眼的な政策が混乱を招いている」

と批判しています。

民間企業がリスクを敬遠して投資を控えているだけでなく政府が続ける緊縮策も景気の悪化を加速させている一因です。

景気停滞で本来なら刺激策として財政出動も求められる局面ですが、ロペスオブラドール氏は

「歴代政権がぜいたくをし、無駄遣いをした」

と人気取りのために批判をして、支出抑制を続けています。

官民の建設や設備投資の合計である総固定資本形成は1~7月で4.6%減、対内外国直接投資では1~6月で19%減です。

対米関係

NAFTAの代わりに出来たアメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)締結についても、アメリカとカナダで議会の批准手続きが遅れていて、いまだに発効時期が見通せない状況であることは泣きっ面に蜂でしょう。

そうした中でトランプ氏は不法移民対応を巡り、一時はメキシコの全輸出品目に対して関税をかけ、段階的に引き上げるとも発表しました。

メキシコ側の努力もあってなんとか関税は見送られたものの、再び同様の混乱があるかもしれないという事で、皆投資に慎重です。

ロペスオブラドール大統領の姿勢

ロペスオブラドール氏はいまだに成長率2%の達成は可能だと言い張り、現状の経済停滞を認めようとしません。

経済成長を模索するよりも、前政権までの汚職摘発による国民の不満の”ガス抜き”の方が自身の支持率の維持には役立つからでしょう。

国の将来ではなく、自身の人気維持の為にエネルギーを使ってしまっているのです。

トランプ氏は20年の大統領選に向けて前回選挙の際のように移民や通商問題などでさらにメキシコに要求を突きつけて来る可能性もあり、メキシコ経済が苦境を脱する道はまだ見えません。

2019年9月

まずい経済政策で景気後退の危機?

メキシコは、経済成長率が直近2四半期連続でプラスを達成できないなど、景気後退の危機にひんしています。原因はロペスオブラドール政権の経済政策にもあるようです。

元々世界的に景気は悪くなり始めているので、政治だけが悪いわけではないですが、ロペスオブラドール政権で投資環境が混乱している上、緊縮策に固執し公共事業などを削減している事が景気をさらに押し下げている事は間違いないとマーケット関係者は考えているようです。

メキシコ政府は支出削減に躍起になってきました。

大統領専用機や公用車を廃止したほか、自身を含めた政府幹部や高級官僚の給与をカットするなど、目に見えやすい形の支出削減策は、貧困層を中心とした支持基盤へのただのアピールです。

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そんなものをカットした所で、実質的な効果は限られますので。。。

主要公約である年金や奨学金の拡充、開発の遅れる南部へのインフラ投資などにばらまきこそが一番の元凶で、それをやめた方が国の為になるのですが、それはポピュリストなので出来ません。

ただ、批判されているのは分かっているので、2019年予算で基礎的財政収支をGDP比1%の黒字確保を約束しています。

実際、財務公債省によると今年1~7月の公的支出はペニャニエト前大統領の任期最終年度だった前年同期と比べ4.5%も減少しました。

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この支出削減は現時点で財政規律の維持につながっているものの、「副作用」もあります。

新空港の建設中止などによる混乱で民間投資が落ち込み経済成長が停滞するものの、必要な公的支出が絞られているので景気がもっと悪くなっているのです。

緊縮策の影響は経済面だけでなく、日々の国民生活にも影響が出ています。

例えば医療分野。

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病院の設備や医薬品の購入が削減されたり、2年前の大地震からの復興も殆ど行われていなかったりする地域もあるようです。

自分の好きな政策をとにかく最優先し、本当に必要な事には目を背ける。。。

そんな姿勢の象徴が、債務超過が続く国営石油会社ペメックスの救済でしょう。

2019年2月に約1千億ペソの財政支援を発表したのに続き、7月には3年間で総額2690億ペソの支援を打ち出しています。

使途は政府からの直接の資本注入や税金減免です。

注意

しかし、この投資は公共投資のような経済効果はほとんどなく、むしろ国家財政への悪影響が懸念されています。

政府は2020年予算案に関しても「緊縮策と財務規律の維持が柱」としていて、2020年も現状方針が取られる見込みです。

現在の経済状況を半ば放ったらかしのまま、我が道行くロペスオブラドール政権ですが、このまま行くと、景気停滞ではなく、後退局面になりそうです。

今からメキシコに投資をするのは少し様子を見てからにした方が良いかもしれません。

2020年度の予算案を連邦議会に提出

2019年9月9日、メキシコ政府は2020年度の予算案を連邦議会に提出しました。

2020年度の予算案概要

  • 19年度比で1.5~2.5%の経済成長を前提とする
  • 歳入が今年度予算より+0.4%
  • 歳出は同+0.8%
  • 基礎的財政収支はGDP比で0.7%の黒字を目指す

連邦議会はこれを議論し、11月15日までの可決を目指します。

エレラ財務公債相は予算案について、

  1. 社会福祉の拡充
  2. 治安改善
  3. 国営石油会社ペメックスの支援

により大きな優先度があると説明しています。

今年度に引き続き増税はしないとも明言しました。

税収の柱として期待されるペメックスによる原油生産は、

落ち込みは底を打っており、今後は計画通り増産が見込める

と説明しています。

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どこまで信用できるかは分かりませんが。。。

ロペスオブラドール政権のまずい経済政策によって民間投資は落ち込み、雇用や消費にも影を落としている状態です。

政権に対する海外投資家の目は厳しく、財政規律を維持しながら、景気刺激を含めた必要な施策をどう実行していくか、若干の諦めを持ちながら、政権のかじ取りを見ていく事になりそうです。

2019年7月

250億ドルの景気刺激策を発表

2019年7月29日、メキシコ政府は総額250億ドル強の景気刺激策を発表しました。

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直ちに効果をもたらすとの見方を示すなどかなり強気ですが、今回の刺激策による経済成長率への影響について見通しは示していません。

内容は、インフラ整備、投資促進、民間消費の促進等による景気浮揚。

ここ最近のメキシコ経済

メキシコはここ最近、ロペスオブラドール氏のまずい政策もあって、景気後退に入ったとされているため、景気浮揚が急務です。

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財政は大丈夫なのでしょうか。。。

景気刺激策には税控除や今年の政府支出の加速、2020年に計画されていたモノとサービス購入の前倒し、インフラ基金の資金活用が含まれるとしていて、景気刺激策による予算への影響は想定していないと述べています。

メキシコの財政目標

メキシコは基礎的財政収支で対GDP比1%の黒字達成を目指しています。

ロペスオブラドール氏、経済が思うようにならずメディアに八つ当たり??

2019年7月11日、ロペスオブラドール大統領はイギリスのFTに対し、「メキシコ国民に謝罪すべきだ」と述べました。

FTが同氏の経済政策を批判する記事を掲載したことに対する反論のようで、経済が低迷する中、海外メディアとの対立姿勢が目立つようになっています。

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同大統領は、FTが10日に掲載した記事で、「ロペスオブラドールは経済の実態を受け入れる必要がある」という内容について反論したもののようです

海外投資家の多くは、FTが正しい事を分かっているでしょう。

新財務大臣、市場の疑念払しょくに努力

2019年7月9日、エレラ新財務公債相はウルスア前財務公債相が重視した財政規律を維持する意向を表明し、市場の懸念払しょくに努めました。

エレラ氏は、ウルスア氏が掲げた対GDP比1%の基礎的財政黒字という目標から脱線することはないと強調し、2020年予算案でも似た目標となると述べました。

MEMO
これまで市場の信頼を裏切った政策を行ってきたロペスオブラドール政権において、ウルスア前財務大臣の財政規律へのコミットメントはプラスと受け止められていました。

エレラ新財務大臣はこれを意識して大きく路線変更するわけではないと表明したものと思われます。

経済政策への不満から財務大臣が辞任

2019年7月9日、メキシコのウルスア財務公債相が同日付での辞任を表明しました。

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ツイッター上などでもロペスオブラドール氏の政権運営の手法を痛烈に批判しています。

経済政策などを巡る意見の不一致が辞任理由であるのはほぼ間違いないでしょう。

国民の人気取りばかり優先してしまい、現実的な政権運営等がおろそかになっている可能性があります。

MEMO
ロペスオブラドール大統領の下で閣僚級が辞任するのは3人目で、前社会保険庁長官も政権運営を批判して政権を去っています。

後任はアルトゥロ・エレラ次官が就く予定です。

貧困対策などに不満高まり、少しずつ支持率低下か

ロペスオブラドール大統領の支持率は依然高いものの、直近の調査ではピークからは低下し、66%となりました。

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ピーク時は2019年2月の83%です

ロペスオブラドール氏が掲げる貧困や治安、汚職対策といった主要分野の政策で、国民の不満が高まっているようです。

ロペスオブラドール氏は、汚職や治安悪化、格差問題で前政権を徹底批判して当選した経緯があるので、ここで結果を出せないのは致命的です。

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実際、殺人事件件数は過去最高だった昨年を上回るペースが続いているほか、貧困問題も年金倍増などのばらまき政策だけで、十分な効果を上げられていません。

ロペスオブラドール氏は、こうした問題は前政権までの責任だと主張しているようですが、それだけで納得させることは難しいでしょう。

大統領就任から7カ月も経過している中で、そろそろ結果が求められてきているわけです。

もし、このまま主要政策で国民の不満が高止まりすれば、支持率のさらなる低下は避けられないでしょう。

2019年6月

ポピュリズム的な「ムダ」削減も限界か

ロペスオブラドール大統領の、人気取りを狙った歳出削減策も、少し疲弊感が出てきて、限界が見え始めているようです。

もちろん、緊縮策は貧困層へのアピールのためだけではなく、年金や若者向け奨学金の拡充、国営石油会社ペメックスの救済、ユカタン半島の観光鉄道敷設といった主要公約を実行するための予算捻出策でもあります。

元々、経済界や市場は同大統領の公約をすべて実行すれば財政赤字が拡大すると疑念を持っていました。

大統領はその疑念を払拭するために、自身の主要公約以外の予算をとにかく削りまくるというやり方をしているわけです。

これまでの実績(2019年1-4月)としては、

  • 教育省:185億ペソ(約1020億円)、
  • 通信・運輸省:168億ペソ、
  • 農業・農村開発省:156億ペソ

など、大半の省庁で2桁の減少率となっています。

これは職員の削減や各種の施策のストップで捻出したようです。

これで財政赤字は増えず、懸念された財政規律の緩みは今の所みられていません。

しかし、このやり方は様々な弊害を生んでいます。

例えば、財務省が社会保障庁の予算執行を妨げていることで、病院で必要な診察や投薬ができなくなったり、主要産業の観光業では、広告宣伝向けの基金が廃止され、経済省所管で海外からの投資や貿易拡大の旗振り役だったプロメヒコもなくなった結果、2019年に入って観光客は伸び悩み、外国からの投資は前年同期比で2桁減が続いています。

また、緊縮策に加えて、原油生産の減少や税収不足で予算が予想よりも大幅に減っているため、様々な必要なインフラ投資が出来なくなっていたりします。

ただ、貧困対策や庶民派アピールでロペスオブラド-ル氏の支持率は依然として高く、直近の調査でも支持率は7割を超えています。

このまま景気悪化が続き、雇用や家計に一段と響いてくるようになると、国民の気持ちも変わるのかもしれませんが、当面の間、メキシコは投資対象として海外投資家から忌避されることになるでしょう。

2019年5月

大企業への税優遇を廃止

2019年5月20日、ロペスオブラドール大統領は国内大企業への税優遇措置を廃止すると発表しました。

大統領は、前政権が導入した大企業を対象とした約2000億ドル規模の優遇措置が乱用されていると批判し、この決断胃に立ったと説明しています。

政府によれば優遇措置を受けている企業のうち58社は株式市場に上場しており、ベンチマークの株価指数IPC指数に採用されている3分の1近くの企業が税優遇措置を受けているとの事です。

どの企業が優遇措置の対象となっているか大統領は明らかにしていませんが、当該税優遇措置がまるでパイプラインからガソリンを盗む組織犯罪のようになっているとしています。

ロペスオブラドール氏の石油ナショナリズム、格付け危機でどうなるか

ロペスオブラドール氏の「石油ナショナリズム」政策。

この構想には、総工費80億ドルを投じた新たな精製所の建設、既存の精製所の改修、減少する原油生産の回復などが含まれていますが、これを遂行する会社ペメックスの巨額の負債が問題になっています。

今、格付け機関は、費用のかかる上記計画を警戒し、ペメックスの社債に対する評価を「ジャンク」に引き下げると警告しています。

ペメックスの上記事業は国家プロジェクトなので、ペメックスの格付けが下がり、その遂行が危ぶまれるとメキシコ国債の評価にも関わります。

フィッチやS&Pは、ペメックスの評価を切り下げて見通しはネガティブとしました。

ペメックスの長期対外債務格付けはフィッチが「BBB-」、ムーディーズが「Baa3」で、いずれも、ジャンク級の1つ上に当たります。

主要格付機関3社のうち2社がジャンク級に格下げした場合、同社の社債を売却せざるを得なくなる機関投資家は多いと予想されます。

その場合、あるレポートでは830億ドル相当のペメックス社債のうち、160億ドル分が放出されるという事です。

メキシコ政府は2019年5月13日、ペメックスの負担軽減に向け

  • 段階的な減税、
  • 25億ドル規模の債務リファイナンス、
  • 銀行3行による既存与信枠の拡大

等の対策を発表しました。

ただ、どれもマーケット関係者の懐疑的な見方を払しょくする事はありませんでした。

前政権によって実現した、外資にも開かれたエネルギー市場自由化の流れは、ロペスオブラドール大統領によって完全に中断されてしまいました。

同大統領は2019年5月、民間事業者では要求通りの予算や3年の期限を守れないとして、新たな精製所はペメックスが建設することになると発表しました。

因みに、その精製所は大統領の地元、タバスコ州に建設される予定です。

ムーディーズはこの決定を批判し、計画よりも工期が延び、コストも50%超過する恐れがあると警鐘を鳴らしています。

ただ、国民の石油ナショナリズムをたきつけて、とにかく人気取りに邁進するしか、今の政権には頭にないのかもしれません。

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