アメリカとメキシコの貿易・移民問題2019

この記事では、アメリカとメキシコの貿易摩擦について見ていきます。

アメリカとメキシコの貿易問題という意味では新NAFTAがありますが、ここではそれ以外の貿易摩擦問題について見ていきます。

メキシコへの投資にあたっては対米関係も頭に入れておくことが大切です。

新NAFTA、ロペスオブラドール氏の政策と合わせてご確認ください。

メキシコの基本事項に関するブログは↓

メキシコに投資すべきか? メキシコペソ・メキシコ株の投資ブログ

新NAFTAに関する経緯とまとめは↓

NAFTA再交渉の経緯 まとめ

ロペスオブラドール氏の政策については↓

メキシコ ロペスオブラドール新大統領の政策についてまとめてみた

2019年9月

ロペスオブラドール氏、メキシコの対応をアメリカは評価

2019年9月11日、ロペスオブラドール大統領は不法移民対策を巡るアメリカとの会合を受けて「追加関税の可能性は遠のいた」と語りました。

つまり、アメリカによって不法移民対策の成果が認められた、という事でしょうか。

ロペスオブラドール氏は

「両国の会合では、不法移民対策の効果が十分に出ていると認識された」

と話しました。

不法移民は56%減少、メキシコ自信

2019年9月6日、メキシコのエブラルド外相はメキシコに流入する不法移民が56%減少したと発表し、その結果に自信を見せました。

この56%減というのは対策開始前の5月と直近の8月の実績とを比較したものです。

9月10日にアメリカ側に実績を報告する予定だが「もう関税で脅しをかけてくることはないだろう」と交渉に自信をみせました。

逆にこれだけ自信を見せて、アメリカの反応が芳しくなかった場合、相当マーケットは動揺するでしょう。。。

90日の評価期間終了

2019年9月5日、ロペスオブラドール大統領はエブラルド外相をワシントンに派遣すると発表しました。

9月5日はちょうど6月7日から始まった評価期間の期限日です。

今回の訪問は不法移民対策の成果を報告する為です。

メキシコ外務省によると、エブラルド氏は10日にワシントンでポンペオ国務長官と会談する方向で調整しています。

メキシコはアメリカとの間で6月7日に、関税発動を無期延期にする代わりに、不法移民の流入をくい止めるように警備を強化することなどで合意していました。

その合意から90日間で状況を評価することになっていて、9月5日が90日目にあたるわけです。

既にトランプ大統領は9月4日に好意的な評価のコメントを発表しています。

問題は、アメリカ政府がメキシコ政府にアメリカへの難民申請手続きの実施国になるように求めたものの、メキシコが拒絶したいう事が6月にありました。

今後、アメリカが再び同じ要求をする可能性もあり、再び関税発動も含めて両国間で緊張が高まる可能性もあります。

2019年8月

9月10日に90日の評価期間に関する会合を実施

2019年8月26日、ロペスオブラドール大統領は9月10日に米メキシコ両政府で移民問題について会合を持つことを明らかにしました。

ここでメキシコ政府が約束した不法移民対策の成果が評価される予定です。

注意

アメリカの評価次第ではメキシコは追加対策を強いられたり最悪の場合は付加的な関税をかけられる可能性もあります。

会合は、不法移民対策を約束したのが6月で、9月5日に90日が経過するため、当該会合が開催されます。

関税発動回避のため、メキシコ政府は新設した治安部隊や警察など2万人以上を動員した体制で移民対策を行っています。

直近ではアメリカ政府側からメキシコ政府の対応に否定的な発言はありません。

しかし、かねてからアメリカ政府は不法入国の温床になっている言われる難民申請をメキシコ国内で行うように求めており、メキシコ政府はこれについて前政権からずっと拒否しずっと続けてきたという経緯があります。

この問題は再び出てくる可能性は高く、関税発動と絡めて難しい交渉になりそうです。

2019年7月

メキシコ、「安全な第三国」になる事は受け入れられず

2019年7月29日、ロペスオブラドール大統領はアメリカへの難民申請者に対する「安全な第三国」になることは受け入れられなかったと表明しました。

ロペスオブラドール氏は、移民問題への最善の対応策は経済発展への協力であり、メキシコは既にそれを実施してきたと述べています。

この件については、中米グアテマラが「安全な第三国」になることに合意しています。

メキシコと

2019年7月27日、メキシコ政府はホンジュラスで年内に2万人分の雇用を創出する計画を援助し、コーヒー農家を支援する方針を明らかにしました。

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もちろん、アメリカへの移民流出を抑制することが狙いです。
ポイント

中米では貧困と暴力により、集団で国を脱出し、米国を目指す人々が増加しています。

アメリカによる中間評価始まる

メキシコがアメリカからの追加関税発動を避けるため不法移民対策を強化し始めて、7月22日で45日が経過します。

これからアメリカによる「中間評価」が始まります。

既報の通りポンペオ国務長官は一定の評価をしているものの、2020年の大統領選挙で不法移民対策を目玉にしたいトランプ氏を納得させることができるかは不透明です。

アメリカは不法移民対策について一定の評価

2019年7月21日、アメリカのポンペオ国務長官はメキシコシティでエブラルド外相と会い、メキシコ政府が実施している不法移民対策などについて一定の評価をしたようです。

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不法移民が直近の45日間で36%減少したようです。

アメリカ政府はこれから本格的な評価を実施することになっていて、必要に応じて追加対策を求めたり、場合によっては再び関税措置が発動される恐れもあります

メキシコ、不法移民対策でアメリカにアピール

メキシコ政府が不法移民の摘発に躍起になっているようです。

1~6月の拘束者数は前年同期比で6割増えて、10万人を超えたそうです。

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7月下旬の米政府による移民対策の中間評価に向けて実績をアピールする為です。

このままいくと、7月下旬にはアメリカ政府による評価が実施され、もし効果が十分でないと判断されれば、関税発動か、又はそれと引き換えにさらなる対策が求められる可能性もあります。

メキシコの不法移民対策で混乱

メキシコ政府は2019年6月30日までに、不法移民がアメリカ入りを阻止するため約2万6千人の警備体制を敷きました。

これはトランプ米政権との合意に基づく取り締まり強化の一環ですが、不法移民の流れが止まらないうえ、移民の受け入れ体制が整わず、混乱が広がっているようです。

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不法移民流入対策を巡り、トランプ大統領は合意に反して流入が減らない場合はこれまでよりはるかに厳しい「フェーズ2)」に入ると警告しました。

状況が改善して、再びアメリカとの間で不和が生じない事を祈るばかりですが、国民の耳障りの良い政策で支持率を維持してきたロペスオブラドール氏が、こうした現実的な状況にどの様に対応していくか見ていくと良いでしょう。

トランプ大統領、メキシコは「素晴らしい仕事をしている」

2019年7月1日、トランプ大統領はメキシコの取り組みに対して「素晴らしい仕事をしている」と評価し、対メキシコ関税は検討の対象にないと述べました。

『制裁関税』の最終的な結論がなされるのは9月になるとみられていますが、7月の中間評価も含め、どうなるか見ものでしょう。

注意
定量的な目標はなく、あくまでアメリカ側の「判断」によりますので、どうなるか最後まで分かりません。

2019年6月

メキシコとエルサルバドルが移民対策を協議

メキシコと中米エルサルバドルが移民問題について首脳会談で話題にするとの事です。

首脳会談は6月20日に行われる予定です。

両首脳は経済振興を通じて中長期的に移民を抑制することなどで協力体制を確認しあうとみられます。

トランプ大統領、実績なければフェーズ2、メキシコに警告

不法移民流入対策を巡り、トランプ大統領は合意に反して流入が減らない場合はこれまでよりはるかに厳しい「フェーズ2)」に入ると警告しました。

ただ、フェーズ2の具体的内容が何なのかは明らかになっていません。

トランプ大統領は、不法入国が急減すると考えている節がありますが、これは政権当局者でも難しい事だと考えているようです。

そのため、トランプ大統領が近いうちに不満を爆発させ、対メキシコ関税の脅しを再開させるのではないかとの見方が増え始めています。

メキシコ、南部国境への警備隊展開を開始

2019年6月12日、メキシコのエブラルド外相は、南部国境への国家警備隊の展開を同日から開始すると発表しました。

前の週にアメリカと合意した不法移民対策として、速やかに部隊を展開するものです。

アメリカとメキシコの合意内容

今回のアメリカとメキシコの合意内容は以下のようです。

  • グアテマラとの国境付近に「国家警備隊」を派遣し、不法移民を取り締まる
  • メキシコから不法入国して難民申請をした移民をメキシコ国内で待機させる
  • 共同で中米地域の支援策を進める
  • 合意した不法移民対策は45日間で中間評価される
  • つまり、45日後に関税リスク再燃の可能性を示唆
  • 具体的な数値目標はない
  • 最終的には90日間で追加関税の要否の結論が出される
  • 対策の十分・不十分はアメリカの評価次第の所がある
  • 45日間で不十分な効果しか出ていない場合は、国連などと追加の対策を実施

アメリカ政府は、メキシコ政府が嫌がる、いわゆる「安全な第三国」として、アメリカへの難民申請手続きをメキシコ国内でさせる仕組みを受け入れるように求めてくる可能性も出てきます。

アメリカとメキシコが移民対策で合意、制裁関税回避

2019年6月7日、不法移民対策を巡りアメリカとメキシコが合意したようです。

これによってメキシコ製品への制裁関税が回避されました。

マーケットは近日中の合意を期待

6月6日に両国は2日目の協議を行いました。

マーケットは両国が近く合意に達するとの期待感を持っているようです。

ただ、移民流入阻止に向けたメキシコ側の提案が関税の発動見送りにつながるかどうかは不透明です。

メキシコ、グアテマラ国境への部隊派遣を提案

メキシコが移民流入阻止に向けてグアテマラとの国境に最大6000人の治安部隊を派遣することをアメリカ側に提案したようです。

不法移民対策としてメキシコが提案する内容にアメリカがどうリアクションするかが問題です。

関税適用延期を検討との報道あるも、アメリカは否定

2019年6月6日、対メキシコ関税の適用先送りを検討する旨の報道があり、マーケットもそれに反応したようですが、ホワイトハウスの報道官は同日、10日からの適用に今の所変更はないと明らかにしました。

5日までの協議は不発、6日も継続協議

アメリカとメキシコの協議は5日までに折り合うことが出来ず、6日も協議を継続する事になったようです。

なかなか打開の兆しが見えてこないようです。

メキシコが報復リストをロペスオブラドール大統領に提出

メキシコのロペスオブラドール大統領は、アメリカが制裁関税を課した場合の報復関税対象リストを受け取りました。

ただ、リストは提出されただけで、何も決定されていません。

米共和党、対メキシコ関税を支持しない可能性も

2019年6月4日、アメリカの上院共和党員らが、対メキシコ制裁関税について、同党が支持しない可能性に言及しました。

民主党も、関税発動の手続きが進められれば、議会で関税無効化の決議採択を行う可能性を指摘しています。

ロペスオブラドール大統領、関税期限前に移民問題解決可能と楽観視

2019年6月4日、メキシコのロペスオブラドール大統領は、移民問題についてアメリカが設定した6月10日の期限より前にアメリカと合意が得られるとの見通しを示しました。

ただ、どういった根拠があるのかはよく分かりません。

トランプ大統領、改めて関税賦課に意欲

2019年6月4日、トランプ大統領は、対メキシコ関税の実施に改めて意欲を示しました。

ただ、議会では反対論が浮上していたりと、どうなるかは見通せません。

メキシコ政府も関税の回避に向けてアメリカの議員と協議したり、駆け引きが激しくなっているようです。

3日、高官協議開始

メキシコとアメリカは6月3日にワシントンで協議を行うようです。

トランプ大統領が移民流入の問題を巡ってメキシコに制裁関税を課す方針を示したことを受け、両国は今週、貿易摩擦拡大の回避を目指す一連の協議を開始します。

このままメキシコが何もしなければ、関税率は7月11日に10%、8月1日に15%、9月1日に20%、10月1日に25%に引き上げるとしています。

ゴールドマンサックス、対メキシコ関税が実行される確率は70%

2019年6月3日、ゴールドマン・サックスのエコノミストは今回のアメリカの対メキシコ関税が6月10日に発動される確率は70%であると予測しました。

この問題を巡っては、最終的にアメリカに出回る幅広い商品の価格上昇につながる懸念があり、金融市場は今後の行方と影響範囲に注目しているようです。

USTR代表も対メキシコ関税に反対

アメリカのUSTR代表であるライトハイザー氏も、今回のメキシコへの関税方針に反対していることが分かりました。

というのも、この関税が新USMCAを台無しにする可能性がある為です。

ライトハイザー氏は、今回のメキシコへの関税がUSMCAの批准の見通しに悪影響を及ぼすと主張しているとの事です。

アメリカ農業団体も警鐘

2019年5月の対メキシコ関税は、既報の通りアメリカ最大の経済団体のみならず、農業団体も反対ののろしをあげています。

全米豚肉生産者協議会は、アメリカの豚肉生産者は最大の輸出市場からの報復関税に堪えられないとしています。

推計によれば、メキシコと中国の関税によって米豚肉生産者にもたらした負担は25億ドルに上るとの事です。

アメリカの産業界、トランプ政権を提訴?

2019年5月31日、アメリカ最大の経済団体である全米商工会議所は今回のメキシコ製品への関税発動に反発し、差し止めを請求するためホワイトハウスを提訴する検討に入りました。

資金面で共和党政権を支えてきた同商議所が、そうした措置を取ればかなり異例の事態です。

トランプ大統領の相次ぐ貿易制限策に、アメリカの産業界の不満もかなり高まっているようです。

全米商工会議所はアメリカ企業300万社が加盟するアメリカ最大の経済団体で、年1億ドル近いロビー資金を投じる、政治影響力の極めて強い団体です。

伝統的に共和党寄りとされてきものの、対中制裁関税などのトランプ政権の貿易制限には強く反対してきました。

2019年5月

アメリカがメキシコに5%の関税、不法移民問題で

2019年5月30日、トランプ大統領は6月10日以降メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を課すとしました。

これはメキシコからの不法移民の流入が止まるまで継続させるとの考えを示しています。

メキシコの新NAFTA批准の動きや、ロペスオブラドール氏のリアクションに注目が集まります。

メキシコがアメリカの鉄・アルミ問題で新しい報復??

メキシコはアメリカによる鉄鋼・アルミニウムへの関税に対して新たな報復措置を検討しているようです。

これは鉄鋼とアルミの輸入増が安全保障上の脅威になっているとして、日本や中国などに続き、2018年6月からEU、カナダ、メキシコにも輸入制限措置を広げたものです。

鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課していて、メキシコはすでに報復措置を発動させている状況です。

カナダも同様の動きを見せており、USMCAの批准作業にも影響が出るかもしれません。

2019年4月

自動車関税に関する追加報道

2019年4月5日、トランプ大統領はメキシコを通してアメリカに密輸される違法薬物を巡り、関税措置とは別の経済制裁の導入を検討していることを明らかにしました。

トランプ氏は前日、移民、違法薬物密輸問題への対応でメキシコが引き続き米国に協力しなければ、メキシコからの輸入する自動車に関税を課すことも辞さない構えを示し、関税をかける場合は税率は25%に設定すると表明しています。

今回はツイッターで、メキシコが不法移民の拘束や本国送還をやめれば、国境閉鎖も辞さない構えを改めて示しました。

トランプ大統領は「メキシコを通して密輸される5000億ドルの違法薬物に対する経済制裁を検討している」と表明し、薬物流入で米国民が死亡し、多くの家庭が崩壊したとの認識も示しました。

これらがどこまで本当に実現するのかは分かりませんが、メキシコにとってアメリカとの関係は通貨を見る上でも株式に投資をする上でも重要なのは確か。

ただでさえロペスオブラドール氏はポピュリストで国民に耳障りの良い事ばかり行って本当に大切な事を避けようとします。そこにアメリカからの経済制裁が加わればかなり痛手となるかもしれません。

メキシコ、経済と移民問題の引き離しを

アメリカとメキシコ間の移民問題で経済的に影響が出るか懸念されています。

トランプ大統領が不法移民を巡りメキシコからの輸入自動車に関税を課す可能性があると発言したことに対し、メキシコのマルケス経済相は「通商と移民は別に協議すべきだ」と話してけん制しました。

もちろんそうなのですが、ずっとその原則を振りかざしていてもあまり意味はなさそうです。

マルケス氏は米側が不法移民対応による人手不足として米メキシコ国境間の通関担当者を減らしたことで、輸出に影響がでていると指摘しています。

ロペスオブラドール氏は経済や政治的な原理原則を無理したポピュリズムで支持を集めていますが、アメリカに対してどのような手腕を発揮するのか注目されます。

アメリカ、メキシコ車に関税も?

2019年4月4日、トランプ大統領はメキシコが薬物密輸阻止に向け追加策を講じなければ、同国からの輸入車に関税を課すことも辞さない構えを示しました。

これまでのメキシコ国境閉鎖に続き、関税の可能性に言及したことで新たな攻勢に出た格好です。

ただ、この措置には一年の猶予を与えるとも加えています。

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