ここではメキシコの金融政策や中央銀行のスタンス等についてまとめていきます。
中央銀行の考え方や金融政策はメキシコペソの動きにも直接影響を与えます。メキシコへの投資を検討されている投資家の方、または既に投資をされている方の参考ツールとしてお使いください。
メキシコの本ブログは↓
メキシコに投資すべきか? メキシコペソ・メキシコ株の投資ブログ
ロペスオブラドール氏の政策については↓
メキシコ ロペスオブラドール新大統領の政策についてまとめてみた
2024年9月
追加利下げ
メキシコ銀行が9月26日、政策金利を0.25%引き下げ10.50%にしました。
利下げは3月、8月に続いて2024年に入って3度目となります。
【2009年以降のメキシコの政策金利の推移(出所:TradingView)】
インフレが再燃する懸念が後退したとみて、2会合連続の追加利下げに踏み切ったのでしょう。
メキシコ中銀は当面、利下げを続ける意向のようです。
2024年8月
政策金利を10.75%に下げる
メキシコ銀行は8月8日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.25%引き下げて10.75%とすると発表しました。
同日朝に発表された7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は5%台とインフレ再燃の懸念が広がる中、景気の下支えを優先したと見られます。
引き続き利下げ局面ですが、5カ月ぶりの利下げにくわえて今後の追加緩和も示唆しました。
【2017年以降のメキシコの政策金利の推移(出所:TradingView)】
2024年6月
金利据え置き
メキシコ銀行は6月27日、政策金利を11.00%に据え置くと発表しました。
据え置きは2会合連続となります。
インフレ再燃への懸念に加え、6月2日の総選挙で与党が想定以上に議席数を伸ばしたことで、司法制度改革による行政府への権限集中や年金制度改革による財政悪化が懸念されて金利が急騰し、メキシコ・ペソも急落していたため、通貨防衛の意味もあるでしょう。
2024年5月
金利据え置き
メキシコ銀行は5月9日開いた金融政策決定会合で、政策金利を11.00%に据え置きました。
3月の会合で3年ぶりの利下げに踏み切っていましたが、インフレの終息には時間がかかるとみて追加緩和を見送ったようです。
【2010年以降のメキシコの政策金利の推移(出所:TradingView)】
2024年3月
金利引き下げ
メキシコ銀行は3月21日、政策金利を0.25ポイント引き下げ11%としました。
同中銀は政策金利を7会合連続で11.25%に維持していましたが、今回2021年以来の利下げとなりました。
もちろん背景はインフレの鈍化です。この決定はほぼ予想通りの結果と言えます。
【2010年以降のメキシコの政策金利の推移(出所:TradingView)】
2024年2月
金利据え置き
メキシコ中銀は24年2月の金融政策決定会合で市場予想通り政策金利を据え置きました。
ただ、次回以降の会合での利下げ開始を示唆しました。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
景気の動向を見て、金利据え置きが内需へ悪影響を及ぼすと懸念されているためです。
他方、利下げ開始を抑制する要因もあり、まだどうなるか分かりません。
2023年9月
金利据え置きを決定
メキシコ銀行(中央銀行)は2023年9月28日に金融政策決定会合を開催し、市場予想通り政策金利を11.25%で据え置くと発表しました。
インフレ率は低下傾向ですが、引き続きその水準は高いとして、据え置きを決定しました。
2023年8月
金利据え置き
メキシコ銀行は8月10日、金融政策決定会合を開き、政策金利を11.25%で据え置くことを決めました。
据え置きは3会合連続です。
メキシコではインフレ率が低下しており、市場には中銀が2023年末までに利下げに転じるという見方も出ています。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
インフレ率は2年4か月ぶりの低さ
8月9日発表された7月の消費者物価指数は、前年同月と比べて4.79%上昇しました。
2年4カ月ぶりに5%を下回りました。
インフレの減速が続くなか、市場にはメキシコ銀行が8月10日に予定する次回の金融政策決定会合で政策金利の据え置きを続けるという見方があります。
【2018年以降のインフレ率の推移(出所:TradingView)】
2023年6月
政策金利据え置き
メキシコ銀行は6月22日、金融政策決定会合を開き、政策金利を11.25%で据え置きました。
据え置きは利上げを停止した前回から2会合連続です。
メキシコではインフレ率が低下しており、市場には中銀が当面政策金利の据え置きを続けるという見方が多いようです。
2023年5月
メキシコ中央銀行は5月18日の会合で、政策金利を11.25%に据え置くと決めました。
予想通りの結果で、約2年に及んだ15会合連続の利上げサイクル(合計で7.25%引き上げ)が終了したことになります。
政策金利は長期にわたり現行水準に維持されるとも表明しています。
これの背景は物価目標の中心値である3%に近づくのが2024年10-12月期であると予想していることがあります。
物価安定の目標が達成できるのはまだ先の話で、メキシコの名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利は大幅なプラスで、景気押し下げ、物価抑制に寄与すると考えられるため、さらなる利上げの可能性は低いと考えられるわけです。
2023年3月
金利を0.25%引き上げ
メキシコ銀行は3月30日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.25%引き上げて11.25%にすると発表しました。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
15会合連続の利上げとなりました。
前回まで2会合連続で0.5%の利上げでしたが、足元のインフレ率の低下を受け、利上げ幅を縮小しています。FRBに追随したという事でもあるでしょう。
2023年2月
金利を0.5%引き上げ
メキシコ銀行は2月9日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%引き上げて11%にすると発表しました。
0.5%の利上げは2会合連続で、事前の市場予想だった0.25%よりも高いものです。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
これまで、メキシコ中銀はアメリカの利上げに追随して利上げをしてきたため、今回は利上げ幅を縮小すると思われていました。
しかし、今回はFRBが引き締めペースを0.25%に減速させたにもかかわらず、0.5%の利上げペースを維持したのです。
インフレ率の高止まりを受け、利上げ幅の維持を決めた。
2022年12月
政策金利、10.5%に
メキシコ銀行(中央銀行)は12月15日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%引き上げて10.5%にすると発表しました。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
利上げ幅は4会合連続で続いた0.75%から小さくなっており、こうした利上げ幅減速は今回の利上げ局面で初めてとなります。
インフレは高止まりが続くものの、経済的なつながりが強いアメリカが利上げを0.5%に縮小したことに足並みをそろえたと思われます。
今後はインフレやFRBの動向をにらみつつ、中銀は当面利上げを継続するものと思われ、政策金利は来年には11%まで引き上げられるものと予想されます。
2022年11月
政策金利を10%に
メキシコ銀行は11月10日に金融政策決定会合を開き、政策金利を9.25%から10%に引き上げました。
【直近5年の政策金利の推移(出所:TradingView)】
利上げは12会合連続です。
高水準が続くインフレへの警戒に加え、FRBの動きにも追随したという事でしょう。
堅調な景気や高止まりが続くインフレ動向を踏まえ、中銀は12月の次回会合でもFRBと同幅の追加利上げを実施すると予想されます。
インフレ率、8.41%で利上げの観測強まる
11月9日発表された10月の消費者物価指数は、前年同月と比べて8.41%の上昇でした。
【2017年以降のインフレ率の推移(出所:TradingView)】
食料品を中心とした大幅な物価上昇が続いており、市場ではメキシコ銀行が11月10日に開く金融政策決定会合で利上げを続けるという見方が強まっています。
市場を見ても、政策金利を0.75%引き上げて10.0%とする以外の予想が殆どです。
FOMCが直近も0.75%の利上げを行った事で、仮に米国より小幅な利上げ幅とした場合、通貨ペソの下落圧力となり、物価には上昇圧力となることが懸念されるため、やはり子の利上げ幅になると思われるのです。
2022年9月
0.75%の利上げ
メキシコ銀行は9月29日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.75%引き上げて9.25%にすると発表しました。
利上げは11会合連続となります。
【メキシコの政策金利の過去10年間の推移(出所:TradingView)】
国内で加速するインフレやFRBによる金融引き締めを受け、3会合連続となる0.75%の利上げを決めました。
メキシコ中銀はインフレ見通しを上方修正するとともに、ピークを後ずれさせました。
前回の会合ではインフレのピークを22年7-9月期の8.1%と見込んでいましたが、今回の声明ではピークを22年7-9月期と10-12月期の8.6%としており、物価上昇への警戒感が示されています。
2022年8月
0.75%の利上げ
メキシコ銀行は8月11日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.75%引き上げて8.5%にすると発表しました。
利上げは10会合連続です。
FRBの金融引き締めとインフレの加速を受け、2会合連続で0.75%という大幅な利上げに踏み切りました。この水準は過去最高です。
中銀は米FRBと600bpの金利差を維持する姿勢を見せたのかもしれません。
中銀が民間銀行など38機関の予測をまとめて8月1日に公表した調査では、22年通年のインフレ率の見通し(中央値)は7.8%と前回の7.5%から上方修正となっています。
また、中銀は、インフレ率が目標上限である4%を下回る時期は23年7~9月期になるという見方を据え置きました。
【メキシコの政策金利の推移(出所:TradingView)】
©Trading View
インフレ率、約22年ぶりの高さ
8月9日発表された7月の消費者物価指数は、前年同月と比べて8.15%上昇しました。
2000年12月以来の高水準です。
食料品を中心に価格が上昇しており、メキシコ銀行(中央銀行)は8月11日に開く金融政策決定会合で0.75%の利上げを続ける見通しです。
【メキシコのインフレ率の推移(出所:TradingView)】
©Trading View
2022年6月
FRBの利上げ幅拡大を受けて、0.75%の利上げへ
メキシコ銀行は6月23日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.75%引き上げて7.75%にすると発表しました。
利上げは9会合連続となります。
FRBの急速な金融引き締めと世界的なインフレの加速を受け、これまで0.5%だった利上げペースを引き上げました。
ただ、この動きはある程度金融市場の想定通りでした。
利上げペースを引き上げた背景には、米国での急速な金融引き締めがあると思われます。
FRBは6月15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを決めました。
メキシコ中銀は23日の声明で、利上げの理由について、FRBが将来の利上げを予告しており、他国でも利上げを続ける中銀が増えている、と説明しています。
メキシコ中銀は次回会合での大幅利上げを示唆するなど追随する動きをみせており、先行きも国際金融市場の動向に揺さぶられやすく、不透明感がくすぶるなかで厳しい展開が続くかもしれません。
2022年5月
0.5%の利上げ
メキシコ銀行は5月12日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%引き上げて7.0%にすると発表しました。
利上げは8会合連続です。
メキシコではインフレ率が約21年ぶりの高水準となっています。
世界的に金融引き締めの動きが広がるなか、前回と同じペースの利上げを決めたという事です。
5人の委員のうち4人が0.5%の利上げを支持しており、1人は0.75%の利上げを主張したようです。
中銀は5月12日の声明で
「国際的な金融引き締めと不確実性の高まり、地政学上の紛争、中国での新型コロナウイルスの感染再拡大によるインフレ圧力を考慮した」
と指摘しました。
インフレ率が目標上限である4%を下回る時期は2023年4~6月期以降になるという見方は維持しています。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、世界的にエネルギーや食料品の価格が上がっています。
メキシコ政府は穀物の生産量を増やすために肥料を無料で支給する対象を広げるなどインフレ対策に乗り出していますが、加速するインフレを抑えられるかどうかは不透明です。
中銀の今後の方針については、一段の強力な措置を検討するなどタカ派傾斜を強めるものと思われます。
2022年3月
0.5%の利上げ
メキシコ銀行は3月24日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%引き上げて6.5%にすると発表しました。
利上げは7会合連続です。
高止まりが続くインフレや米国など海外の主要中銀による利上げの動きに対応した政策決定となりました。
24日発表された3月前半の消費者物価指数の上昇率は前年の同じ時期と比べて7.29%でした。農産物やエネルギー価格を除くコアインフレ率は前年の同じ時期と比べて6.68%上昇しました。
0.5%の利上げは3会合連続です。
金融市場では事前に0.5%の利上げを見込む声が多く、ほぼ予想通りですが、問題は景気です。
メキシコ経済は順調な雇用拡大を背景に回復基調を維持していますが、高水準のインフレやサプライチェーンの混乱による下押し圧力が顕在化してきています。
中銀は24日の声明で、世界的な金融引き締めの動きと地政学リスクによるインフレ圧力の高まりを考慮したと利上げの理由を説明しましたが、景気について注視する必要があります。
また、中銀は同日、インフレ率が目標上限である4%を下回る時期は23年4~6月期以降になるという見通しを示しました。また、コアCPIの高止まりに対する警戒感を強めた上で、インフレ見通しに関するリスクは依然として上振れ方向だとも指摘しています。
2月時点では23年1~3月期に目標上限を下回ると予測していましたが、後ずれさせました。
2022年2月
政策金利を50bps引き上げ
メキシコ銀行は2月10日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%引き上げて6.0%にすると発表しました。
利上げは6会合連続です。
メキシコはGDPが2四半期連続で縮小するなど経済が低迷しており、さらなる利上げは新型コロナウイルスからの回復の足かせになりかねません。
5人の委員のうち4人は0.5%の利上げを支持し、1人は0.25%の利上げを主張しました。
金融市場では事前に最低でも0.25%の利上げを見込む声が多かったようですが、よりタカ派の0.5%の利上げとなりました。
0.5%の利上げは2回連続です。
中銀は10日に出した声明で「インフレ圧力が予想以上に大きく、長く続いている」と利上げの理由を示しました。
新総裁になっても、路線は一応変わらない事が確認されたと言えそうで、市場が予期していた通りとなりました。
一方で、今回の会合は無難に乗り切ったものの、就任の経緯や中銀総裁としての経験・実績不足への懸念は根強いことから、今後の政策運営いかんでは市場の疑心暗鬼を生みかねず、その動向には注意が必要です。
今後数カ月間、インフレ率は目標値を大きく上回るとみられ、中銀は今後数カ月間にさらに50bp上げを3回実施し、政策金利を7.50%に引き上げるとの予測を示しました。
ただ、過去の経験則や現在の金融政策スタンスから考えて、そのペースは米国の金融政策に大きく依存する可能性があります。
米国の金融引き締めペースが想定よりも速くなり、米ドル高・メキシコ・ペソ安圧力が高まるような事態となれば、メキシコ銀行もそれに追随して利上げを進めることで、通貨安に起因するインフレ圧力を抑制しようとするでしょう。逆も同じことが言えます。
こうした金融政策運営により、為替相場は予断ができません。
2021年12月
50bpsの利上げ
メキシコ中央銀行は16日の金融政策決定会合で、政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き上げ、5.50%としました。
市場予想は25bpの引き上げでした。
インフレ率上昇抑制に向け、中銀は 6 月以降断続的に利上げを実施しており、今回 も5 会合連続の利上げを決定しました。
利上げ幅も 50bp に引き上げ、タカ派姿勢を強めています。
メキシコの11月のインフレ率上昇は予想以上に加速し、2001年初め以来の高水準となる7.37%を記録しています。
メキシコ中銀のインフレ目標は3%で、上下1%ポイントの許容範囲を設定しています。
5人の政策委員のうち4人が50bpの利上げ、一人が25bpの利上げを提案したようです。
中銀は、FRBが14ー15日に開いたFOMCでテーパリング加速を決定し、利上げの下地を整えたことに言及し、他の新興国も金融引き締めに動いているとの認識を示しました。
来年も利上げを行い、6%台まで上がることを予想しているマーケット関係者もいます。
2021年11月
ロペスオブラドール氏が女性初の総裁を指名
ロペスオブラドール大統領が、次期中央銀行総裁人事で、財務副大臣のビクトリア・ロドリゲス氏を総裁に起用することを発表しました。
同国の女性中銀総裁は初めてになります。
ロペスオブラドール大統領から6月に次期中銀総裁に指名されていたエレラ氏は23日、ロペスオブラドール氏から撤回されていました。
今回の人事は、多くの政府当局者にとっても寝耳に水の展開です。
市場では金融政策運営の先行き不透明感が強まり、通貨ペソは一時対ドルで2%強も下落しました。
IHSマークイットによると、メキシコ国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)5年物のスプレッドは112ベーシスポイント(bp)に拡大、対米国債利回りスプレッドは10月初め以来の大きさとなる365bpに達しました。
また、ロペスオブラドール氏の人気取りしか頭にない政策で周囲が大混乱です。
ロドリゲス氏の手腕は未知数の上、中銀の独立性に対する懸念もくすぶっています。
中銀総裁人事を撤回
ロペスオブラドール大統領がメキシコ銀行の次期総裁にエレラ前財務公債相を起用する人事を白紙にしたことが23日までに分かりました。
ロペスオブラドール氏は人事案の変更について発言していません。
4会合連続で利上げ
メキシコ銀行は11日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.25%引き上げて5%にすると発表しました。
中銀による利上げは今年6月以降4会合連続となり、高止まりが長期化しているインフレへの中銀の警戒感を示す結果となりました。
エネルギーや食料品の価格が世界的に上がっており、メキシコもインフレ率が中銀の目標上限を上回る状況が続いています。
当局によると、10月の消費者物価指数は前年同月比6.24%の上昇でした。
中銀の目標上限(4%)を8カ月連続で上回っている状況です。
エネルギー価格が高騰しているほか、食用サボテンや畜産品など食料品の価格も上がっている事が背景です。
中銀は2022年1~3月の物価上昇率見通しを6.3%としています。
9月末時点の5.6%から大幅に引き上げています。中銀の目標範囲内に入る時期は22年7~9月期としています。
中銀が11月上旬に民間銀行など39機関の予測をまとめた調査では、21年の実質経済成長率は6.0%と10月公表(6.2%)から下方修正されました。
メキシコを訪れる観光客は9月に前年同月比2.1倍の125万人と19年並みの水準に回復しました。
一方で半導体不足の影響で自動車の生産台数は前年から大幅に落ち込んでいます。
今後ですが、インフレ高止まりの長期化から、中銀は今後も金融引き締めを継続するものと思われます。
政策金利は来年にかけて更に1%引き上げられ、2022年中には6.0%まで上昇すると予想されています。
2021年9月
3会合連続の利上げ
メキシコ銀行は9月30日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.25%引き上げて4.75%にすると発表しました。
これで利上げは3会合連続ですが、決定は4対1で、全会一致ではありませんでした。
新型コロナウイルスの感染はおさまっていませんが、食料品やエネルギーの価格が上がっているのに対応しました。
中銀は声明で
- 物価押し上げは一過性と見られるものの、
- その種類、規模、影響の範囲を踏まえると、価格形成とインフレ期待に対するリスクがある
- そのリスクを回避するために利上げが必要と判断した
と説明し、中銀のインフレに対する警戒感の強さが示されました。
また、メキシコ銀行はインフレ見通しの上方リスクとして「通貨安」にも言及しています。
直近では米国の金融政策正常化などが意識され、メキシコ・ペソが対米ドルでやや下落していますが、メキシコ銀行の為替レートを注視しながら政策運営にあたる姿勢は、通貨の安定につながると期待されます。
夏場に足踏み状態となったメキシコの景気回復は、新型コロナウイルスのデルタ型の感染拡大が足元で急速に収束しつつあることに加え、米国景気の拡大継続、国内の雇用の改善、そして出稼ぎ労働者による本国送金の増加など、ポジティブな面もたくさん出てきています。
しかし自動車産業を中心に企業マインドが悪化している所もあり、物価高と金利高の共存を受けて家計部門のマインドにも下押し圧力が掛かってきそうなので、注意は必要です。
メキシコペソは、景気の再加速や金融引き締めの継続による短期金利の上昇から、短期的には堅調な推移が期待できそうですが景気がどこまで長続きするかが中長期では注目ポイントとなりそうです。
2021年8月
2会合連続の利上げ
メキシコ銀行は12日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.25%引き上げて4.5%にすると発表しました。
これで利上げは2会合連続です。
新型コロナウイルスの感染状況は悪化していますが、食料品やエネルギーの価格が上昇しているのに対応しました。
今回は、5人の委員のうち3人が利上げを主張して多数決で決めました。
前回6月の会合で2年半ぶりの利上げを決めましたが、この際も3対2の多数決の決定で、2会合連続で全会一致とはなりませんでした。
7月の消費者物価指数は前年同月比5.81%の上昇となっています。
中銀の目標上限(4%)を上回るのは5カ月連続で、1年前は新型コロナの感染によりエネルギー価格が下がっており、その反動の影響はあるものの、インフレはおさまっていません。
特に食料品の価格が干ばつの影響等で上昇している事が日々の生活に影響を与えています。
ワクチンの接種を完了した人々を中心に行き来も増えており、航空券も値上がりしているようです。
中銀は声明で、インフレ期待が上方に動いており、中長期で目標を上回っていると指摘しています。
中銀は2021年10~12月期の物価上昇率見通しを5.7%に引き上げています。因みに6月時点では4.8%とみていました。
中銀の目標範囲内に入る時期は22年4~6月期と予想されています。
今後ですが、予想を超えるインフレ高止まりの長期化と順調な景気回復を勘案すると、年内にまた数回、計0.5ー1%の追加利上げが実施される可能性が高そうです。
2021年7月
インフレの高まりは中銀にとって予想外のレベル
7月8日に発表された金融政策決定会合の議事要旨には、一時的と考えていたインフレ率の上ぶれが予想に反して長期化していることへ強い警戒感を持っている事が窺われます。
経済状況が改善しつつあることに加えて、エネルギー価格だけでなく、人件費の高騰を背景に消費者物価のコア指数も中銀の許容する水準を上回って推移していることもあり、メキシコ中銀は年内にも追加利上げを実施する可能性が高くなっています。
2021年6月
2年半ぶりの利上げ
メキシコ銀行は24日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.25%引き上げて4.25%にすると発表しました。
利上げは2018年12月以来、2年半ぶりです。据え置きを予測するエコノミストが大半だったので、サプライズと言えるでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大で経済状況は楽観視できませんが、インフレが加速しているのに対応しました。
5月の消費者物価指数は前年同月比5.89%の上昇で、中銀の目標上限(4%)を上回るのは3カ月連続です。
1年前は新型コロナの感染が広がり、エネルギー価格が大幅に下がっていたため、その反動の影響もあると思われますが、今はインフレへの警戒が広がっています。
中銀はこの日公表した声明で「インフレ見通しへの悪影響を避けるために金融政策のスタンスを強めることが必要」と、利上げに動いた背景を説明しています。
メキシコのインフレ水準は、今後も暫くは中銀の許容する水準を上回って推移するものと見込まれ、今後は景気の回復傾向が鮮明になる中、中銀は年内にも追加的な利上げに踏み切る可能性があります。
メキシコでは新型コロナ感染が始まる前の19年8月から金融緩和の局面が続いていました。
今年2月の会合で利下げを決めた後、直近2会合は金利を据え置いていました。
銀総裁にエレラ公債相
ロペスオブラドール大統領は9日、メキシコ銀行の次期総裁にエレラ財務公債相を任命すると発表しました。
2021年末に任期満了を迎える現総裁の後任となります。
後任の財務公債相には、民間シンクタンク代表のロヘリオ・ラミレスデラオ氏が就く予定です。
中銀総裁は大統領が任命し、上院が承認します。
エレラ氏は世界銀行や財務公債省次官を経て、19年7月から財務公債相を務めています。
ラミレスデラオ氏は、ロペスオブラドール氏の長年の側近で、経済政策を助言してきたという経緯があります。
2021年5月
中銀総裁を再任せず
ロペスオブラドール大統領は21日、メキシコ銀行のディアスデレオン総裁を「再任しない」方針を明らかにしました。
ロペスオブラドール氏は後任について具体名はあげませんでしたが「倫理的な経済に好意を示すエコノミストになる」と言及しました。
ロペスオブラドール政権は新型コロナウイルス対策で、財政出動にはほとんど動いてきませんでした。
結果として金融政策に比重がかかり、ディアスデレオン氏はこうしたロペスオブラドール氏の偏った政策に批判的な姿勢を示していました。
ディアスデレオン氏は中銀職員出身で、副総裁から昇格した人です。
ペニャニエト前政権下で任命され、2017年12月に就任しました。
通常中銀総裁の任期は通常は6年ですが、前総裁の任期を引き継いだため、21年末に任期を迎えます。
中銀総裁は大統領が任命し、上院が承認する仕組みになっています。
金利を据え置き
メキシコ銀行は13日、金融政策決定会合を開き、政策金利を4.0%で据え置くと決めました。
据え置きは2会合連続です。
新型コロナウイルスの感染拡大で経済は厳しい状況が続きますが、インフレ率が上昇しているのに配慮しました。
金融政策決定会合後の声明でもインフレへの懸念を滲ませており、更なる政策金利の引き下げは躊躇せざるを得ない状況にあります。
4月の消費者物価指数は前年同月比6.08%の上昇と、2017年12月(6.77%)以来の高い上昇率となりました。
新型コロナ感染が広がり始めた20年4月にエネルギー価格が大幅に下がっていた反動の影響が大きいものの、中銀の目標上限(4%)を2カ月連続で上回っています。
財政は健全で、与党への高い支持率から政局も安定し、更に頼みの米国経済も力強い回復が期待されることから、メキシコのファンダメンタルズは良好と言えるでしょう。
ロペスオブラドール氏の市場経済を無視した政策の動向が気になりますが、基本的にはメキシコペソは堅調な推移が見込まれます。
2021年4月
インフレ率が2年ぶりの高水準
4月8日発表された3月の消費者物価指数は、前年同月比4.67%上昇しました。
これはアナリストの予想中央値と一致しています。
前月比では0.83%上昇です。
メキシコ銀行は、インフレ目標を3%からプラスマイナス1ポイントに設定しています。
中銀総裁は、今後の政策決定では統計重視の姿勢を取ると説明しており、今後の対応が注目されます。
中銀は3月25日の会合で、政策金利をほぼ5年ぶり低水準の4%に据え置くことを決定していました。次回会合は5月13日です。
2021年3月
金利据え置き
メキシコ銀行は3月25日、金融政策決定会合を開き、政策金利を4.0%で据え置くと決めました。
全会一致で決定しました。
新型コロナウイルスの感染拡大で1~2月にビジネス活動の制限は広がっていましたが、足元でインフレ率が上昇しているのを考慮しました。
中銀の声明ではインフレ率の上昇が指摘されました。
3月前半のインフレ率は中央銀行の目標上限である4%を上回り、2021年末のインフレ見通しが上方修正されました。
中長期的には3%を上回る水準で安定するとの見通しを維持しましたが、今後数カ月はインフレ率の上昇が続くことが予想されます。
メキシコは新型コロナによる景気悪化に対応する利下げ局面にありますが、利下げ余地に乏しいことから政策金利は当面据え置かれるとみられます。
前回2月の会合では3会合ぶりに0.25%の利下げを実施していました。
なお、中銀は3月3日、21年の実質経済成長率見通しの中央値を4.8%と発表し、3カ月前の前回(3.3%)から大幅に引き上げました。
また、2022年の中央値は3.3%と見込んでいます。
インフレ率が加速
メキシコの3月前半のインフレ率は伸びが加速し、中央銀行の目標レンジ上限を上回ったようです。
3月25日の金融政策決定会合を控え、利下げを予想していたエコノミストらに見通し変更を促す内容となりました。
中銀はインフレ目標を3%からプラスマイナス1ポイントに設定しています。
エコノミスト23人のうち約半数が2019年8月以降で13回目となる利下げが行われると予想していました。
中銀、アメリカの経済政策や金利の状況を見極め
メキシコ銀行のディアスデレオン総裁は、米国の追加経済対策や利回り上昇が幅広い市場で再調整を促しましたが、インフレ率や経済成長に対する影響は今のところ不透明だとの見方を示しました。
2021年2月
利下げを決定
メキシコ銀行は2月11日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.25%下げて4%にしました。
利下げは3会合ぶりです。
市場の一部では政策金利の据え置きを予想する向きもありましたが、大方の事前予想に沿った決定となりました。
ただ、副総裁は4月以降の利下げを示唆していたので、これとは反しています。
中銀は足元でインフレが落ち着いたと判断し、新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込む経済の下支えを優先しました。
これで金利は2016年6月以来の低い水準となりました。
追加利下げは4月以降か
メキシコ銀行のジョナタン・ヒース副総裁は、中銀が追加利下げを検討するのは4月より後になるとの見方を示しました。
同副総裁は金融政策委員会メンバー5人の中でハト派寄りと言われています。
実際に11月と12月の会合で0.25ポイントの利下げを主張したようですが、中銀は両会合とも政策金利を4.25%に据え置いています。
9月の会合までは11会合連続で利下げを実施していました。
1-3月(第1四半期)に追加利下げが行われるにはヒース氏の票が必要となる可能性があります。
2月11日に行われる次回会合では、
「緩和的なサイクル継続への機会が再び訪れるのか、それともインフレ率が再び上昇し始めているため緩和サイクルの停止を続ける必要があるのかがポイントだ
と同副総裁は述べています。
2021年1月
インフレ率は7か月ぶりの低水準
1月7日発表された2020年12月の消費者物価指数は、前年同月比3.15%上昇でした。
野菜や果物の伸びが抑えられ、7カ月ぶりの低い水準となりました。
中央銀行の政策目標の上限である4%を2カ月連続で下回っています。
これで、次回2月会合では利下げを再開するとの声が強くなっています。
2020年12月
金利据え置き
メキシコ銀行は12月17日、金融政策決定会合を開き、政策金利を4.25%で据え置くことを決めました。
これで2会合連続の据え置きです。
引き続き新型コロナウイルスの感染拡大による経済へのダメージは大きいですが、インフレの先行きが不透明だと判断したようです。
11月の消費者物価指数は前年同月比3.33%上昇と、中銀の目標上限である4%を下回っており、10月の4.09%からも大幅に下がっています。
2020年11月
政策金利、4.25%で据え置き
2020年11月12日、メキシコ銀行は金融政策決定会合を開き、政策金利を4.25%で据え置くことを決めました。
新型コロナウイルスの感染拡大は経済に深刻な打撃を与えていますが、インフレ率が中銀の政策目標の上限を上回って推移していることを考慮しました。
決定は多数決で、5人の委員のうち1人の委員は0.25%の利下げを主張しました。
金融市場の事前予測では、利下げ継続と金利を据え置くとの見方で割れていました。
中銀は声明で
「経済活動は新型コロナの感染拡大前の水準に戻っておらず、不確実性や下振れのリスクがある」
と指摘しています。
なお、2020年の実質経済成長率はマイナス9%超が見込まれています。
中銀は前回9月の会合まで11会合連続で利下げを実施してきました。
2019年8月からの今回の局面での累計利下げ幅は4%に達している状況です。
ロペスオブラドール大統領は10月23日の会見で
「さらに利下げすべきだ」
と主張していましたが、中銀は異なった判断を示したわけです。
次回の金融政策決定会合は12月17日に予定されていますが、金利をどうするかは物価動向次第となるでしょう。
10月の消費者物価指数は、前年同月比+4.09%と、中央銀行の政策目標上限(4%)を3カ月連続で上回りました。
中央銀行は、物価予想を引き上げたものの、1~2年先の予想インフレ率は3%程度との見方を維持しており、11月の物価が低くなれば、中銀が再び利下げに動くとの見方も金融市場にはあるようです。
2020年9月
11会合連続の利下げ
2020年9月24日、メキシコ銀行は金融政策決定会合を開き、政策金利を0.25%引き下げて4.25%にすることを決めました。
利下げは11会合連続です。
これで2016年9月の水準に並びました。
中銀は声明で
「6~7月にかけて経済は回復を始めたが、不確実性や下振れリスクがある」
と利下げの理由を説明しました。
ただ利下げ幅は前回会合までの0.5%からは縮めました。
これはインフレ率が中銀の政策目標(2~4%)の上限を上回って推移し始めたためです。
9月前半の消費者物価指数は、前年同月比4.1%上昇しました。保存食の需要拡大から加工食品や飲料品の価格が上昇した為です。
19年8月からの今回の利下げ局面で、累計の引き下げ幅は4%に達しており、次回の会合(11月12日)では、利下げ継続と金利を据え置くとの見方で、マーケットは割れています。
中銀が民間銀行などの予測をまとめて1日に発表した調査では、2020年末の政策金利の予測は4.2%です。
8月のインフレ率は4.05%でターゲットの上限を突破
2020年9月9日発表された8月の消費者物価指数は、前年同月比4.05%の上昇でしたが、マーケットでは9月の利下げが予想されています。
2019年5月(4.28%)以来の高い上昇率で、中央銀行の政策目標の上限である4%を上回っています。
新型コロナウイルスによる経済停滞でインフレ率は4月にはいったん2.15%まで下がりましたが、5月以降は上昇率が4カ月連続で拡大しています。
飲料品や農作物の価格上昇が目立っています。
メキシコ銀行は物価上昇率の政策目標を2~4%に設定しています。
景気下支えのため、8月まで10会合連続で利下げを実施し、政策金利は4.5%となりました。
次回会合は9月24日に予定されており、インフレ率は高いものの、0.25%の利下げになると予想されています。
2020年8月
9月の利下げを示唆
2020年8月26日、メキシコ銀行総裁は、9月24日予定の次回の金融政策決定会合で11会合連続の利下げに踏み切る可能性を示唆しました。
問題は利下げ幅で、どの程度の余地があるかで判断すると語ったようです。
また同日、中央銀行は2020年の実質成長率が最悪でマイナス12.8%に落ち込むとの見通しを示しました。
0.5%の利下げ
2020年8月13日、メキシコ銀行は金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%引き下げて4.5%にすることを決めました。
利下げは10会合連続で、2016年9月以来の低い水準です。
新型コロナウイルスの感染拡大で経済が落ち込んでいるのに対応したわけですが、2019年8月からの累計の引き下げ幅は今回で3.75%に達しています。
中銀はこの日の声明で今後の政策運営について、利下げ余地はインフレとインフレ期待の動向次第だと指摘しています。
7月の消費者物価指数は、前年同月比3.62%上昇しており、中銀の政策目標(2~4%)の範囲内ではあるものの、今年2月以来の高い上昇率となりました。
2020年6月
0.5%の利下げ
2020年6月25日、メキシコ中央銀行は金融政策決定会合で、政策金利を0.50%引き下げ、5.00%にすることを、全会一致で決定しました。
市場の予想通りの結果です。
背景
- 経済の余剰(スラック)の急拡大が、経済成長の下押しリスクを著しく高めていること、
- スラックの拡大と世界的な物価の下押し圧力がインフレ率の下振れリスクとなること
などを指摘しています。
今回の会合後の声明において、緩和サイクルの打ち止めは言及されませんでした。
2013年以降、利下げを見送る直前の会合では、次回会合で利下げを行わないことを必ず示唆してきた点を考慮すると、緩和サイクルは継続となる公算が大きいとみられます。
2020年5月
0.5%の金利を引き下げ
2020年5月14日、メキシコ銀行は政策金利を0.5%引き下げて5.5%にすることを決めました。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済落ち込みに対応しました。
利下げは8会合連続です。
次回会合は6月に予定されていますが、金融市場では利下げ継続を見込む声が多いようです。
4月のインフレ率は2015年以来の低水準でより利下げの可能性高まる
2020年5月7日に発表された4月の消費者物価指数は、前年同月比2.15%の上昇でした。
2015年12月(2.13%)以来の低い上昇率となりました。
新型コロナウイルスの感染拡大で、ガソリンや観光関連の価格が下がった事が要因です。
政策金利は現在6%となっていますが、引き続き利下げトレンドは続きそうです。
マーケットでは年内に4%台まで利下げが行われると見込まれています。
2020年4月
臨時の金融政策決定会合で0.5%の利下げ
2020年4月21日、メキシコ銀行は臨時の金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%引き下げて6.0%にしました。
利下げは7会合連続となります。
利下げに加えて最大7500億ペソ(308億ドル)規模の流動性・貸出支援策も発表しました。
政策規模は既に発表済みの政策と併せると、最大で2019年の国内総生産の3.3%に相当する金額に及ぶとのことです。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、その影響を考慮してのことと説明しています。
今後の見込み
まだ政策金利は6%と、追加緩和余地が十分にあるため、引き続き利下げ局面が続くと考えるのが普通です。
また、アメリカに対する金利差が依然として大きいため、金利差を狙うキャリートレードで最も利ざやが稼げる新興国通貨の1つであるでしょう。
マーケットでは2020年末までに政策金利を4%台まで引き下げると予想しているようです。
2020年3月のインフレは落ち着き
インフレ動向をみると、2020年初から2ヶ月連続で加速した消費者物価上昇率ですが、3月は前年同月比+3.25%とやや鈍化しました。
エネルギー価格の大幅な低下が、インフレ率を押し下げたとみられます。
ただ、インフレ率は依然として中銀のインフレ目標レンジ(3±1%)内で推移しています。
2020年3月
臨時金融政策決定会合で0.5%の利下げ
2020年3月20日、メキシコ銀行は臨時の金融政策決定会合で政策金利を現状から0.5%引き下げて6.5%にしました。
元々は26日に定例会合が予定されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で経済への深刻な影響が懸念され、会合を繰り上げて開催した形です。
これで利下げは6会合連続となります。
メキシコはただでさえロペスオブラドール氏によるまずい経済政策によって経済活動が低迷していましたが、新型コロナ感染拡大の影響でそれに拍車がかかって悪化が懸念されています。
民間機関では、2年連続のマイナス成長が避けられないとの見方が広がっています。
2020年2月
追加利下げを示唆
2020年2月17日、メキシコのエレラ財務公債相が追加の利下げを示唆しました。
同氏はインフレ目標を昨年達成した後で、同国に利下げを継続する余地があるのは明白だと述べ、IMFの高官も同じことを言っていると述べました。
政策金利を0.25%引き下げ
2020年2月13日、メキシコ銀行は政策金利を現状から0.25%引き下げ、7%にしました。
利下げは5会合連続となります。
2019年の成長率は低迷する一方で、ペソや物価上昇のペースは安定していて、金融緩和を続けやすい環境となっています。
利下げを続ける背景
経済成長が落ち込んでいることが一番です。
メキシコ銀も声明でそのことに言及しています。
中銀は声明で
「2020年の経済成長率は中銀が昨年7ー9月の四半期報告で示した見通しを下回ると予想され、リスクは下向きに傾いている」
と指摘しています。
2020年1月
インフレ率低く、追加緩和観測高まる
2020年1月9日、メキシコが公表した12月の消費者物価指数は2.83%上昇し、2016年8月の2.73%以来最も小幅となりました。
前月は2.97%で予想は2.7%台の上昇でした。
一部農業・エネルギー製品のインフレ圧力低下が押し下げ要因となったようで、これにより、中銀による利下げ観測が強まりました。
中銀のインフレ目標
中銀のインフレ目標は3%ですが、ここ数カ月はこの水準を割り込んでいます。
つまり、利下げ余地が生じているわけです。
中銀は12月の政策決定会合で、政策金利を4カ月連続で引き下げ、7.25%としていますが、ここから更に下がるかもしれません。
2019年12月
金利を0.25%引き下げて7.25%に
2019年12月19日、メキシコ銀行は定例の金融政策決定会合で、政策金利を現状より0.25%引き下げ、7.25%にすることを決めました。
これで利下げは4会合連続となります。
4会合連続利下げの背景
ロペスオブラドール氏のまずい政策もあり、経済の停滞が続き金融緩和の必要性が高まっており、物価上昇や通貨ペソの動きも安定していることから連続利下げしても良いという判断になったようです。
因みに、今回の利下げはほぼ予想通りです。
加えて、今後についてもすぐに経済が良くなるとはあまり考えられておらず、更なる利下げが続くものと思われます。
2020年末の政策金利予想は6.5%
2019年12月13日にメキシコ銀が発表した民間機関による経済予測によると、2020年末の政策金利の水準の中央値は6.50%でした。
USMCAは再び関係国で合意していますが、すぐにメキシコ経済に効果が出るわけではないですし、何よりもロペスオブラドール大統領のまずい経済政策の下、当面は経済の停滞が続くとみられており、さらなる利下げをしないと、経済が持たないと多くのマーケット関係者が思っているようです。
2019年11月
追加利下げの可能性を示唆
2019年11月28日、メキシコ中央銀行が11月14日の政策決定会合の議事要旨を公開し、そこで経済活動が予想よりも弱く、インフレも想定より高くない為、追加利下げの可能性が示されていたことが分かりました。
中銀は11月の会合で政策金利MXCBIR=ECIを7.5%に引き下げています。
議事要旨によると、インフレ率が中銀目標の3.0%に低下しているほか、経済活動が停滞し、マイナスの需給ギャップが引き続き拡大されると指摘され、世界中の中銀が金融政策を緩和していて、更なる金融緩和も正当化される旨のコメントがあったようです。
3会合連続の利下げ
2019年11月14日、中央銀⾏は政策⾦利を0.25%ポイント引き下げ、7.50%とすることを決定しました。
これで利下げは8月、9月に続いて3会合連続であり、市場ではほぼ利下げが予想されていました。
メキシコ銀⾏は声明文で、
- 国内経済の先⾏きは慎重に見なければならない、
- インフレ率の鈍化
- ⽶中貿易摩擦やBREXITなど外部要因のリスクは幾分後退したとしつつも、引き続き世界経済への下⽅圧⼒となっている
事等に⾔及しています。
メキシコの金融政策はアメリカに追随する傾向があり、今回の利下げも10月のFOMCで利下げを実施したことに追随した動きと考えられます。
⾦融政策の先⾏きについては、メキシコの経済状況やインフレ鈍化傾向を考慮すると、次回(12月)においても追加利下げを⾏う可能性が⾼いと考えられます。
2019年9月
ロペスオブラドール氏、更なる緩和を要求
2019年9月30日、ロペスオブラドール大統領が、中央銀行に対して経済成長を意識した金融政策を、と求めました。
同大統領は物価上昇だけでなく「経済成長にも配慮すべきだ」と話しましたが、まずは自身の経済政策で景気が悪くなっているのではないかと、自省すべきかもしれません。
invstem.com
ロペスオブラドール氏は金利引き下げについて「すばらしい決定だ」と称賛した上で、物価上昇だけでなく経済成長への配慮もすべきだと注文をつけ、さらなる引き下げを暗に求めた形です。
政策金利、0.25%引き下げて7.75%に
2019年9月26日、メキシコ銀行は定例の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き下げて7.75%にすることを決めました。
これで利下げは2会合連続となります。
invstem.com
- 経済活動が停滞していること
- 直近のインフレ水準が目標の範囲内まで低下してきていること
- 他国も金融緩和を促進しており、通貨防衛を過度に意識しなくていいこと
といった所でしょうか。
インフレ率については、メキシコ銀が目標とする3%±1%である中、2019年9月前半の物価上昇率は2.99%と、水準に入ってきています。
2019年8月 5年2か月ぶりの利下げ
政策金利を0.25%利下げし8%に
2019年8月15日、メキシコ銀行は定例の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き下げて8%にすることを決めました。
invstem.com
ロペスオブラドール氏のまずい経済政策や、世界的な景気低迷への懸念から金融緩和による景気刺激が求められる中、アメリカの利下げ実施やインフレ水準がメキシコ銀の目標範囲内に収まってきていることなどが決定を後押ししたようです。
メキシコ中銀の利下げは2014年6月以来です。
これまでは通貨防衛やインフレ抑制のため、2015年12月から政策金利を引き上げてきました。
7月の物価上昇率はメキシコ銀が目標とする2~4%内に収まり、通貨ペソもアルゼンチンを巡る混乱があったものの、1ドル=19ペソ台を維持しています。
メキシコ銀も利下げしたとしても、それによる負の影響はないと判断したようです。
2019年6月 政策金利は4会合連続の据え置き
政策金利、8.25%で据え置き
2019年6月27日、メキシコ銀行は金融政策決定会合で、政策金利を現行の8.25%のまま維持することを決めました。
invstem.com
恐らく背景は、
- 経済成長の鈍化で金融緩和の必要性が増している
- アメリカによる追加関税発動の恐れがある
といった所でしょう。
ここ最近、メキシコ経済はあまり良いニュースがありません。
- ロペスオブラドール大統領のまずい経済政策による経済成長の鈍化
- 経営不振が続く国営石油会社ペメックスのまずい救済策
- 上記に伴うメキシコ国債の格付けが引き下げ
- アメリカ政府による追加関税
invstem.com
ただ、その一方でメキシコ中銀は利下げに慎重姿勢のようです。
背景として、
インフレ率が依然メキシコ中銀の上限での推移となっている
事があります。
invstem.com
メキシコのインフレ率を左右する通貨ペソにも不安定要因がありそうです。
ペソが不安定になる要因として、
- 米国の通商政策による不確実性
- 不法移民への対応等の対米関係の不安定化
があります。
invstem.com
そうした中、今回のメキシコの金融政策決定会合の据え置きは全会一致となりませんでした。
上記の様な背景があるのに利下げ支持の声があがったのは市場でもややサプライズだったようです。
しかし、そうした利下げの声がいきなり過半数になるというのは少し時間がかかるでしょう。従って、当面メキシコの金利が下がる事はないと予想されます。
2019年5月 引き続き政策金利は据え置き
政策金利を8.25%で据え置き
2019年5月16日、メキシコ銀行は金融政策決定会合を開き、政策金利を現行の8.25%のまま維持することを決めました。
これで据え置きは3会合連続となります。
ロペスオブラドール氏のポピュリズム的政策もあって経済成長のペースは急速に鈍化していますが、物価上昇が再びメキシコ銀の目標を超える水準になってきているため金利の据え置きを決めたという事です。
2019年4月 金融政策は様子見
2019年4月、インフレ率落ち着いており当面メキシコの政策金利は据え置き?
2019年3月の消費者物価指数は前年比4.0%と、市場予想通り前月から小幅上昇しました。
ただ、これは引き続き中央銀行の物価目標の範囲内(2~4%)に留まっており、政策金利は当面据え置かれるとみられます。
2019年3月
金利据え置き
中央銀行は2019年3月28日の金融政策決定会合で、政策金利を8.25%に据え置くことを決めました。
据え置きは2会合連続となります。
物価上昇が急速に鈍化していて、中央銀行の目標範囲内に入ってきています。
また、アメリカの利上げが遠のき、通貨ペソも安定した値動きが続いている事を受けての措置でしょう。
むしろ、市場では景気減速の動きが鮮明になっていることもあり、年内の利下げを予想する人も出ています。
中央銀行がまとめる民間機関の予想平均では、年末の政策金利が8.10%となっています。
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