ここでは、インドネシア・ルピアに的を絞って見ていきます。
インドネシア国債やインドネシア株式に投資をする際も、通貨ルピアの動きは極めて重要です。ジョコ政権の政策や金融政策と合わせてチェックしていくと良いでしょう。
インドネシア全般については、インドネシアルピア 失敗しないためのポイント!
インドネシアの金融政策については、インドネシアの金融政策のまとめ2019年4月~
インドネシアの経済政策については、インドネシア・ジョコ政権の経済政策のまとめ
インドネシア・ルピアのチャート
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【インドネシアルピア・日本円のチャート直近5年間(出所:TradingView)】
2023年9月
ルピアが徐々に下落傾向
インドネシアルピアが徐々に下落傾向になっています。
インドネシア中銀の高金利政策などを背景に年前半はある程度好調でしたが、米国の金融引き締め姿勢によってそれが崩れ、下落傾向に転じています。
インドネシアのインフレ率もかなり落ち着いてきており、政策金利の引き下げも考えられますが、その一方でルピア安を抑制するため、当面は政策金利の据え置きという可能性もかなりあると思われます。
【直近1年のUSD-IDRの推移(出所:TradingView)】
2022年10月
2年半ぶりの安値圏
インドネシアのルピアが対ドルで2年半ぶり安値圏で推移しています。
FRBがインフレ対策のため6月から3会合連続で0.75%の大幅利上げに踏み切ったのと並行して、ルピア安が進行しているのです。
直近は1ドル=1万5200ルピアを上回り、年初から6%安い水準にあります。
【直近3年のUSD-IDRの推移(出所:TradingView)】
2020年9月
ルピアに下落圧力
インドネシアの通貨ルピアが下落圧力にさらされています。
背景
中央銀行の独立性を低下させる与党による法改正の動きが表面化し、中銀が財政赤字穴埋めに利用される懸念が金融市場で強まっているためです。
足元のルピア安は主に与党内の中銀法改正の動きが表面化したことに起因しています。
財務相を議長とし、経済担当相、中銀総裁らが加わった「通貨委員会」を設置し、中銀の政策の決定や執行への監督強化をめざす内容です。
ルピアは対米ドルで弱含み、9月28日時点で月初対比2%以上下落しています。
ジョコ大統領は「中銀の独立性は維持する」と法改正に否定的な姿勢を示し、与党案と距離を置いていますが、市場ではジョコ氏の別の発言がルピア安の材料になっています。
中銀が景気刺激策を含む政府のコロナ対策を支援するため財務省と合意した財政負担の分担が来年以降も続く可能性を示唆した事です。
引き続きルピアは政治に翻弄され続ける可能性が高そうです。
ルピアのボラティリテイ抑制のために介入
インドネシア中央銀行は、ルピアのボラティリティーを抑制するため、外国為替市場に介入したようです。
中銀高官が明らかにしました。
中銀はスポット市場への介入のほか、国内のノンデリバラブルフォワード市場で入札も実施したようです。
中銀はルピアの下落について、米中間の緊張の高まりや、イギリスの合意なきEU離脱の可能性、新型コロナウイルスワクチン候補の臨床試験に関するネガティブなニュースなどを受けた世界の金融市場のリスクオフ地合いが要因だとの見解を示しています。
中銀の独立性を脅かす法案でルピアが急落
インドネシア銀行(中央銀行)の独立性を脅かす法案が提案されており、懸念が広がっています。
金融政策における政府の権限を高めようとする法案を国会議員が提案しているのです。
専門家から成る委員会が用意した法律の試案は1999年の中銀法を抜本的に変更するよう求めていて、国会内のさまざまな委員会で審議されようとしています。
中銀の責務を経済成長・雇用支援に広げるとともに、政府との政策協調を図るため財務相が率いる新たな金融審議会を設置して、中銀の政策決定委員会に複数の閣僚を加えることが柱です。
この動きを受けて、インドネシアルピアは1.6%安と5月以来最大の下落となりました。
2020年6月
当面は安定した動きを期待
2020年6月下旬現在から考えた今後のルピア相場ですが、堅調にいく可能性が高いと思われます。
支援材料として挙げられるのが、国債への資本流入、相対的に高い金利、慎重な金融政策、といった所です。
特に国債への資本流入については、2月下旬から3月末にかけて国債市場から約140兆ルピアの資本が流出した後、一旦買い戻されたものの、その買い越し額は6月下旬現在で10兆ルピア強にとどまっており、まだ流入余地がかなりあります。
もちろん、ここ数か月短期間に急反発し相場の割高感も目不立ち始めたルピアが短期的に軟調になる可能性は十分あります。
ただ、上記の通り、相対的に高い実質金利、慎重な金融政策、国債投資資本の流入余地など支援材料がある事に加えて、米中対立激化に関するリスクもルピアは比較的感応度が低く、中長期的には保有し続けても問題なく、多少の下落相場は想定されるものの、基本は底堅く推移する可能性が高いと考えられます。
3月以降は反発の展開
ルピア(対米ドル)相場は、3月下旬の安値から反発していますが、今後はもみ合いとなる可能性。
3月以降の安値から、4月上旬に中銀がFRBとの間で600 億ドルのレポ取引枠を確保したことなどから反発しました。
その後も中銀が4月、5月の会合で利下げを見送った事でルピアは上昇しました。
6月に行われた利下げについても事前に予想されていたため、為替市場での反応は限定的だったといえるでしょう。
今後のルピア相場については、為替介入の実施を含め中銀の為替安定への姿勢は、通貨の下支えポイントになると思われます。
ただ、新型コロナウイルスの感染動向によっては、ルピアも大きな影響を受けるかもしれません。
そうするとルピアは結果的に当面もみ合いとなる可能性が高いかもしれません。
2020年3月
史上最安値を更新
2020年3月23日、インドネシアルピアの対ドル相場が1ドル16,625ルピアと史上最安値を更新しました。
新型コロナ・ウイルスの世界的な感染拡大や原油価格の暴落などで、世界的なリスク資産の換金売りが進む中で、インドネシアの資本市場からも多額の資本が流出し、ルピア相場は大きく下落してしまいました。
インドネシアは元々経常赤字の6-7割程度を証券投資資本によって調達しています。
高金利の国債には多額の資本が流入しており、昨年末時点の外国人保有比率は39%に上っていました。
その一方で国内為替市場の流動性は低く、海外資本の流出が加速すると一気に国債売りとルピア売りに伴って国債価格とルピア相場が同時に下落するという構造的なもろさを抱えているのです。
もちろんこの弱さをよく知っているインドネシア金融当局は、市場の安定化に向けた政策を複数導入してきましたが、今回の市場混乱を抑えることはできず、史上最安値の更新となってしまったのです。
コロナウイルスの影響でルピアが軟調
新型コロナウイルス感染拡大を巡る懸念が強まる中で、インドネイアルピアは2018年の新興国市場混乱時以来となる1ドル=15000ルピア台となりました。
2020年3月17日現在、ルピアは1ドル=15015ルピアと、18年11月以来の安値となっています。
投資家はドル資産に避難していて、海外ファンドはインドネシア債を今年これまでに41億ドル相当売り越している状況です。
2020年2月
利下げでやや軟調
これまで上昇する事が多かったルピアも、2020年2月に入ると中国などでの新型肺炎の感染拡大への懸念からやや軟調な展開となりました。
ルピア(対米ドル)相場は、2019年10月の利下げ以降、米中通商協議の「第1段階の合意」などを受けて世界的にリスク選好の動きが強まる中、上昇する展開となっていました。
2020年1月には中銀高官のルピア高容認発言などもあり、1月下旬には2018年2月以来のルピア高水準をつけました。
2月の金融政策決定会合前には、予想が0.25%の利下げと据え置きに割れていたこともあり、今回の利下げを受けてルピアは弱含みました。
今後のルピア相場は、新型肺炎の感染拡大がルピアの上値を重くすると思われます。
ただ、中銀やジョコ政権による景気下支えへの期待に加え、下落時には為替介入も実施されると見込まれることなどが、ルピアの下支え要因にもなると思われます。
2019年8月
7月と打って変わって8月は軟調に
2019年8月に入ってからインドネシア・ルピアが軟調です。
インドネシア・ルピアは2019年7月に対米ドルで+1.6%と主要アジア通貨最大の上昇率を記録しましたが、8月に入ってから軟調になりました。
【インドネシアルピアー日本円の直近1か月間の動き(出所:TradingView)】
7月に流入した資本が逆流し相場を押下げた形です。
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- 米利下げ期待による先進国長期金利の低下
- 6月のG20で米中摩擦が緩和されたこと
- 人民元相場の安定化に伴うルピアの変動性の低下
- キャリー取引の活発化
- 5-6月の貿易収支の改善
- 5月末のインドネシア国債の格上げ
といった所があげられるでしょう。
しかし、その後の7月末のFRBの利下げが長期的な利下げの始まりではないと発言した事やその後の米中貿易摩擦の激化で、世界的にリスクオフとなり、インドネシアルピアも同様の下落となってしまったのです。
7月に中央銀行は利下げを開始したわけですが、今回のリスクオフがどう影響するか、インドネシアルピアを見る上で大切なポイントとなるでしょう。
2019年5月
2018年12月以来の低水準
インドネシア・ルピアは2019年5月22日、対ドルで0.28%下落し、昨年12月28日以来の低水準となる1ドル=1万415ルピアをつけました。
これに対してインドネシア中央銀行の高官は、ルピアを安定させるために「市場にいる」と述べ、今のルピア安が、輸入のための(ドル)需要と配当の資金還流のために起こっているもので、心配するに足らないとコメントしています。
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