ここではインドの通貨、インドルピーの動きにフォーカスを当てていきます。
インドは成長著しくぜひとも投資をしておきたい国の一つ。基本的には中長期的な視点で時間分散をしながら投資をしていくべきです。
タイミングを計って、大きく下げた時に買い足していくのでも良いでしょう。インドルピーの最新の動きを調べるためのツールとしてお使いいただくと幸いです。
インドルピーのチャート
2020年10月
4月以降はおおむね堅調なルピー
世界的な新型コロナウイルス感染拡大初期の4月ごろ迄ルピー安が進行していましたが、その後ルピーは概ね回復傾向です。
コロナ感染がひどいほどその国の塚は売られやすいと思われますが、ルピーに限っては反対の動きとなっています。
インドのコロナ感染は、累計感染者数は700万人弱で米国に次いで世界第2位、新規感染者数は7万人超とアメリカを上回るなど厳しい数字が並んでいます。
しかし、2020年10月時点では新規感染者はピークアウトしているようですし、インドの感染者は回復率も高く、また感染者死亡率も低いなど、マイナスを打ち消す面も見られます。
インドの景気回復も下支え要因でしょう。
インドのPMIは8月には50を超え、4月には5.4と普段見られない低水準に悪化したサービス業PMIも9月には50をほぼ回復しています。
GDPの数値は4-6月期で前年同期比マイナス23.9%となるなどかなり悪い数値ですが、それでもインド株式市場は3月を底に足元まで上昇傾向です。
対外ポジションの改善もルピーの下支え要因でしょう。
貿易収支は内需(輸入)減少を背景とした消極的な理由ながら改善傾向にあります。
また、海外からの株式投資は、短期並びに長期投資に改善が見られます。
金融政策が比較的タカ派でインフレ率上昇の抑制に向け政策金利の据え置きを景気回復が鈍い中でも続けていることもルピーの下支え要因かもしれません。
ドル安という新興国通貨に共通する下支え要因があっても下落する通貨がある中、インドルピーはここまで堅調だったのは以上の様な要因がありそうです。
2020年7月
インド準備銀行に上昇を抑えられるルピー
インドルピーは他のアジア通貨と比べて軟調さが目立っていますが、その裏には中央銀行の政策があると思われます。
インドの外貨準備は2020年初より6月にかけて約490億ドル増加しています。
RBIは、資本流入に伴って国際収支が黒字となりルピー高圧力が高まる局面ではドル買い介入によって外貨準備を増強しつつ相場の上昇を抑制しているようです。
一方、資本流出が起こった局面では大規模なドル売り介入は行わずに相場の下落を容認しています。
この背景には、流入した資本の逆流を懸念し、そのときに相場の急落を抑えられるように外貨準備を増強するべきという考えがある模様です。
ルピーは既に割高と見られており、これ以上の相場の上昇は好ましくないという判断もあるのでしょう。
ただ、今後のルピーを考えると外貨準備は5,000億ドルの大台に乗っています。
今後も直接投資流入が続き、都市封鎖解除に伴って株式資本の流入が見込まれる中で、相場には上昇圧力がかかると考えるのが普通です。
ルピーはRBIの介入に上昇速度を抑えられつつも、底堅く推移していく可能性があります。
2020年3月
最安値を更新
インドルピー相場は、2020年に入ってから軟調が続いており、3月は最安値を更新しました。
背景
IMFによるインド経済見通しの下方修正や国籍法改正にともなう混乱の継続、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響を懸念したリスク回避などが背景です。
こうして3月下旬には過去最安値を更新する動きとなりましたが、その後政府の経済対策や中銀の緩和的な金融政策などを受けて安値圏でうごめく展開となっています。
ただ、政府による新型コロナウイルスに対する経済対策は、ルピーの下支え要因になると思われます。
ただ、コロナショックによって金融市場の値動きは当面荒い状況が続くと思われ、何かあるとリスク回避により新興国通貨が売られやすい事に変わりなく、ルピーは当面やや弱含みでの推移するかもしれません。
2019年8月
軟調気味のインドルピー
最近インドルピーが軟調です。
invstem.com
FRBが2019年7月31日に利下げを決めてから、1ドル=68ルピー前後で推移していたルピーは70ルピー台に急落し、8月7日も71ルピー近くに下がるなど、2018年10月に付けた史上最安値(74ルピー台)に迫っています。
【2019年8月8日までの直近1年間のUSD-インドルピーの動き(出所:TradingView)】
インドは原油の8割を輸入に頼っており、通貨安が進むことで経常赤字の拡大が一気に膨れ上がる可能性があります。加えて、通貨安でエネルギーや輸入素材の値上がりでインフレ率の上昇を招く恐れもあります。
そういう中で、2019年8月7日、中央銀行は政策金利を0.35%引き下げました。

利下げは資本流出のリスクと表裏一体ですから、中銀は金融緩和がかえって経済に悪影響を与える可能性にも配慮する必要があります。
足元では海外マネーが流出しています。
2019年2~6月は海外機関投資家による株式や債券の買い越しが続いたものの、7月は4億ドルの売り越し。
新興国通貨が売られている事は世界的なものでどうしようもない所がありますが、注視が必要です。
ただ、こういう時こそ長期的な観点で「買い」です。しっかりと少しずつ時間分散で仕込んでいくのが良いでしょう。
2019年5月
アメリカのイラン産原油禁止措置を受けた原油価格の上昇で、インドルピーは1ドル=69ルピー台後半と、対ドルで約1カ月半ぶりの安値圏を推移しています。
インドはイラン産原油の大口輸入国で、アメリカのイラン産原油禁輸の適用除外を受けてました。
しかし、この5月での除外措置撤廃が決まり、原油価格が上昇する中で貿易収支の悪化が想起されルピー安となりました。
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