【最新】インド株式の動きとまとめ

ここではインド株式の動きについてフォーカスしてみていきます。SENSEXなどインド株式指数の動きなどを中心に定点観測していきます。

金融政策や政治的な動きについては別の記事でご確認ください。

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インド経済の基本的な強み

インドは世界的に見ても有数の潜在力の高い国と言えます。

  1. 人口13億人の経済規模
  2. 生産年齢人口が増加する人口ボーナス期にあること
  3. モディ首相が推し進める一連の構造改革(インフラ投資・整備、税制・財政改革、メイクインインディアによる製造業育成)
  4. 海外からの直接投資の増加による製造業の拡大
  5. 国際競争力の高い業種・企業の存在(IT、医薬)

など、中長期的なインド経済の強みはざっとあげるだけでもこれほどあります。

力強い内需と海外からの直接投資を原動力として、インドは持続的な高成長を遂げることが期待されています。

2022年10月発表のIMFの世界経済見通しでも、少なくとも今後5年間、インドの実質GDP成長率は6%を上回る高水準で安定的に推移すると見込まれています。

今後は5年以上連続でインドの経済成長が中国を上回り、世界経済の成長の中心地の1つになることを示しているという事です。

インドの株式指数(チャート)の推移

インドの代表的株式指数、SENSEXの推移です。


2024年8月

MSCIのリバランスで需要増?

8月30日に予定されているMSCIのリバランスでは、インドの比率拡大が目立っています。

MSCI新興国指数におけるインド株の比率は、約0.3%拡大し、20.1%になる見込みです。

指数に追随するパッシブファンドによる資金流入は約43億米ドルになると想定されています。

当然のことながら、これはプラスであり中長期的なマーケットの安定性が期待されます。

ただ、引き続き割高感のあるところがあるので、今このタイミングで投資をより強気に降るのはやめたほうが良いでしょう。

若干の停滞

インド株の上昇にブレーキがかかっています。

最高値更新が続いた主要株価指数のSENSEXは足元では節目の8万割れの水準が続いています。

インド政府が株式取引の過熱を抑える政策を打ち出したほか、リスクオフに傾いた海外投資家の動向によるものと思われます。

2024年7月

インド株は引き続き好調

インド株は、SENSEX指数が5週連続で過去最高値を更新するなど、好調です。

同指数は節目の80,000を超え、好パフォーマンスを継続していますが、今は新たに仕込み時期というよりは様子見でしょう。

また、Nifty50指数で言えば、7月下旬までに7週連続で最高値を更新しています。

7月中旬以降に起こった、日本や米国等を含む世界的な株価急落の場面でも、インド株は底堅く推移しています。

インド株が先進国株をアウトパフォームする場面は2022年後半などでもみられました。

インド株はまだまだ新興国のイメージで株価指数が下に大きく振れやすいイメージがありますが、近年は米国株が下落する場面で、インド株がより安定的な推移を見せる場面も結構あります。

2024年6月

IPOが活況

IPO市場が活況を呈しています。

韓国・現代自動車のインド子会社、ヒュンダイ・モーター・インディアは、6月14日にインド証券取引委員会にIPOを申請し、もしこれが承認されれば、インド史上最大の約30億米ドルの調達が見込まれています。

これ以外にも新たな銘柄が新規上場しており、好調なマーケットを印象付けています。

選挙結果公表後、インド株上昇

6月5日のインド株式相場は急反発しまた。

モディ首相率いる与党連合「国民民主同盟(NDA)」の結束への期待が広がったことが背景のようです。

6月4日開票の総選挙(下院、543議席)でモディ氏が率いるインド人民党(BJP)は単独過半数を割ったものの、、同じくモディ首相が率いる与党連合NDA(国民民主同盟)は、下院過半数となる272議席を上回る293議席を獲得し過半数を維持しています。

ただ、連立を組む地方政党との協力関係は盤石とはいえず、政権の安定性が揺らぐ可能性はあります。

2024年5月

利食い売りが出やすい

インド株は引き続き最高値近辺で推移しており、利食いとみられる売りが断続的に出やすくなっています。

今月には、中銀がプロジェクト・ファイナンスに対して規制強化の検討をしていることが分かり、インフラやメタル等のセクターが売られました。

2024年4月

好調を維持

インド株の好調が続いています。

SENSEXは4月30日に一時7万5000台を付けており、最高値圏で推移している状況です。

モディ政権の安定さが経済成長につながるというシナリオで幅広い銘柄に買いが入っているようです。

2024年3月

注目されるインドの選挙

3月16日、5年に1度の連邦議会下院の総選挙の日程が公表されました。

インドの18歳以上の有権者約10億による直接選挙で、モディ首相が「3期目」に入るかが決まる選挙です。

投票は4月19日から6月1日にかけて7回に分けて行われる予定です。

その後、6月4日に一斉に開票し、下院議席の過半数を制した政党あるいは政党連合の指導者が、大統領によって首相に任命される予定です。

高いパフォーマンスで最高値

インド株式は最高値を記録し、世界の株式市場でインドの存在感が高まっています。

人口増加に加え、所得の向上余地が大きいインドは高成長を続ける市場と評価され、中国の投資リスクを嫌気した海外マネーが流入しているようです。

所得水準が向上したインドの個人の積み立て投資もけん引し、主要指数が最高値圏で推移しています。

ここで気になるのが割高なのか否かといったところですが、SENSEX指数の12カ月先PERをみると21倍程度と、過去5年平均の20.0倍を若干上回る水準に留まっており、数値的には顕著な割高感はないと言えそうです。

目立った懸念材料は今のところないのですが、新たに大きな金額を投資するのは少し待って、調整が入ってからにしたほうが長期的なパフォーマンスは上がるでしょう。

【直近5年のSENSEX指数の推移(出所:TradingView)】

2024年2月

与党が躍進して株価に追い風

2月27日に上院245議席中の56議席が改選されました。

与党インド人民党が予想以上の勝利を収めたことで、4-5月に行われる下院総選挙でモディ政権を支える与党BJPの優勢観測が一層強まっています。

また、与党連合NDA(国民民主同盟)は、上院過半数まで数議席に迫り、近い将来の上院での過半数獲得も視野に入ったとのことです。

ねじれ国会の解消や中長期的な改革推進への期待も高まっており、株式市場の追い風になると見込まれます。

2024年1月

外国人投資家が利食い売り

海外のセンチメント悪化による外国人投資家の利食い売りが膨らんでいます。

指数構成比で最大のHDFCバンクの決算を嫌気した1月17日の売りが株価指数下落のきっかけとなり、外国人投資家の利食い売りも増えました。

ただ、同社のファンダメンタルズが大幅に悪化したわけではなく、このほかにインド国内において目立った懸念材料はないため、現状大きな懸念もありませんが、これまで上昇続きであったため、調整が入ってもおかしくないですし、一気呵成に買いに行くようなタイミングではありません。

2023年12月

一旦利食い売り

SENSEX指数は中旬まで最高値を更新した後、その後利食い売りに押されています。

中銀が商業銀行に対し投資会社経由でのオルタナティブファンド投資について規制強化したことで、投資会社銘柄が下落しました。

ただ、規制強化は投資加熱を防ぐための措置とみられ、健全な銀行システム維持に寄与すると期待されています。

史上最高値を更新し続ける

インド株の上値追いが続いています。

SENSEXは12月8日に史上最高値を更新して未踏の7万台に肉薄し、その後も上昇しています。

FRBの金融引き締めが終わったとの見方から、新興国など高リスクとされる市場に資金が流入していることが背景です。

インド株高もその流れの中で説明がなされていますが、政治の安定など国内の独自要因がさらなる買い安心感をもたらしているとも言えるでしょう。

与党が選挙勝利で株価上昇

インドで、5つの州議会選挙が12月3日に実施され、与党インド人民党が勝利したことで、株式市場は上昇しました。

今回の州議会選挙の結果が、モディ首相の人気を一段と高め、2024年4-5月の総選挙で与党が単独過半数を維持するとの期待につながったことで、SENSEXなどの株式指数は上昇し、SENSEXは最高値を更新しました。

【直近1年のSENSEX指数の推移(出所:TradingView)】

2023年10月

海外勢が売り越し

インド株が伸び悩んでいます。

SENSEXは9月中旬に過去最高値を更新した後、海外投資家らの売りに押されています。

世界的なリスクオフとともに、シーク教指導者の殺害事件を巡るカナダとの外交問題からインド投資のリスクが改めて意識されているようです。

2023年9月

最高値圏へ

インド株が最高値圏で推移しています。

経済成長に伴う内需拡大から消費関連株がけん引し、代表的な株価指数であるSENSEXは9月15日に7月以来の史上最高値を更新しました。

【直近3か月のSENSEX指数の推移(出所:TradingView)】

中長期的に見ても、インド株は強くなっています。

過去5年間のパフォーマンスを比較するとインド株式が米国株式を上回りました。

インド株式のEPSは、2018年以降増加基調にあり、企業業績は好調と言える状況であり、中朝的な目線で引き続き保有していて良いアセットだと考えられます。

2023年8月

外国人投資家が少しずつ戻る

インド株式に少しずつ外国人投資家が戻り始めているようです。

海外の投資家は中国に代わる投資先を探しており、その候補先の一つが、インドの株式市場のようです。

正直、このタイミングにおいては割高感も消えないわけですが、銘柄選定をしっかりしながら参戦しているようです。

海外投資家におけるインド株式市場のポイントは、中国から経済圏が切り離されていること、グローバルな製造業拠点として台頭していること、健全な消費者ベースを抱えていること、などのようです。

2023年7月

連日最高値を更新

インドの主要株価指数が連日史上最高値を更新しています。

その一方で、MSCIインド指数の予想PERは、過去5年平均の20.3倍に対して、21.4倍に留まっており、割高感は強くないようです。

短期的にスピード調整の可能性はあるものの、好調なファンダメンタルズを背景に資金流入が続きやすいと予想されます。

ただ、こういう時すぐに一つの悪いニュースで利益確定の動きが出やすいので注意です。

2023年6月

SENSEXが最高値を更新

SENSEXは6月28日、前日比499.39ポイント高の6万3915.42と、21日に付けた過去最高値を上回りました。

人口や所得の増加を背景に、多様な企業の業績拡大が続くとの期待が投資マネーの流入につながっています。

中国などの地政学リスクを踏まえた分散投資の需要も株価を押し上げているようです。

ただ、また通常の景気循環や株価循環の中で調整局面に入る可能性が高いため、新規投資は少し控えめにして、下落したときにしっかり仕込めるようにしておきたいものです。

【年初来から2023年6月末までのSENSEXの推移(出所:TradingView)】

最高値圏で推移

インドの株式市場は最高値圏で推移しています。

中国に代わり人口が世界一となるインドは内需拡大が期待でき、海外からの資金流入が増えています。

2022年12月1日に、Nifty50とSENSEXがともに史上最高値を更新した後、アダニ・グループの問題や欧米先進国の銀行不安等があり、インド株は一旦渋い動きが続きましたが、再び史上最高値を塗り替えました。

特に、アジア株が中国景気への懸念で軟調に推移している中で、インド株は6月16日、20日と1週間で2度、終値ベースで史上最高値を更新しています。

これの背景は外国人投資家の資金ですが、外国人投資家は3月以降足元まで4カ月連続でインド株を大きく買い越ししています。

【直近1年間のNIFTY50の動き(出所:Tradingview)】

2023年5月

5月は好調に推移

5月のインド株式市場は、堅調に推移しました。

上旬には良好な経済指標の発表や、米金融引き締めへの警戒感が後退したことなどが好感されて上昇しています。

中旬は、4月のCPI上昇率が低下した事と予想を下回る水準だったことなどから利上げ観測が後退したことや、良好な決算発表などがあったことから続伸しています。

一方で、米債務上限交渉を巡る不透明感などは相場に冷や水を与えています。

下旬には、アダニグループの不正会計問題をめぐって、インド最高裁判所が任命した委員会が、株価操作の決定的な証拠はないとする報告書を公表したことを受けて関連株が上昇したことや、米ハイテク株が上昇した流れを受けてテック系の株が上昇しています。

2023年4月

戻り基調のインド株

インド株が戻り歩調にあります。

アダニ・グループの不正会計問題などで、外国人投資家の売りが広がっていましたが、ここ最近アダニ・グループの株価は下げ止まっており、ようやく株式市場に安定が生まれつつある楊ようです。

ここに加えて、インド準備銀行が4月6日に市場予想に反して政策金利を6.5%に据え置いたことも追い風となったとみられます。

【2023年4月下旬から直近半年のNIFTY50の動き(出所:Tradingview)】

2023年3月

出遅れつつも、今後も期待大

2023年に入ってからインド株の出遅れが目立っています。

インド株が世界株に対して上昇率が劣っているのは、相場全体がリスクオンとなった事で、低迷していた市場へ資金シフトが起こったことと、アダニ・グループに対する不正会計疑惑の浮上で、外国人投資家の売りが広がったことが挙げられます。

【直近半年のSENSEXの推移(出所:TradingView)】

ただ、3月1日発表の予算案は株式市場にポジティブな内容と評価され、金利上昇局面も最終フェーズであり、再び上昇していくことが期待されます。

2023年2月

横ばいながらもアダニショックが尾を引く

2023年2月のSENSEX指数は前月末比-0.4%でしたが、引き続きアダニ・グループ問題が市場で嫌気されています。

このほか、米利上げ早期終了の期待が後退し、再び米金融引き締めへの警戒感も下落圧力となったと思われます。

【2023年2月のSENSEXの動き(出所:TradingView)】

【2023年2月のSENSEXのWTI先物の動き(出所:TradingView)】

ただ、その一方で原油価格の値下がりや、中央銀行が少しずつ利上げモードを見直し、緩和方向へ舵を切るのではないかとの見方が相場を支えました。

2022年12月

利益確定と世界市場に引きずられて下落

12⽉のインドの株式市場は、下落しました。

⽶雇用統計によって、⾦融引き締めの⻑期化懸念などから、世界的に株式市場は調整しました。

これによって、インド株式市場も史上最高値を何度も更新してきたこともあって、利益確定売りが増えました。

また、RBI(インド準備銀⾏)も市場の予想通り政策⾦利が引き上げられました。

もっとも、インドの11⽉CPI上昇率は11ヵ⽉ぶりにRBIの許容範囲に収まったものの、やはり欧⽶市場の調整が、インド株式市場んも影響して軟調に推移しました。スタグフレーションの可能性低く、相対的な優位性が続く

足元米国をはじめ世界の株式市場で懸念される景気後退と物価上昇が同時進行するスタグフレーションが、インドでは相対的に低く、優位性があると言えます。

IMFの見通しによれば、インドの実質GDPは2022年の6.8%成長に続き、2023年も主要新興国を凌ぐ6%以上の高成長が期待されています。

また、インフレを示す消費者物価指数は、2022年のピーク時も米国の同8%台より低く、2023年1-3月期以降はインフレ・ターゲット(同+2-6%)の範囲内へ低下するとインド中銀は予想しています。

こうしたことが相対的にインド株式市場の優位性を際立たせ、世界からの資金流入がより期待できるようになってきているのです。

2022年9月

中旬以降は軟調な展開に

9月中旬にかけ比較的堅調に推移していたSENSEX指数は、各国金融当局が利上げを継続する姿勢を示し、景気減速への懸念から投資家のリスク回避姿勢が強まり軟調な展開となっています。

低下基調にあったインド10年国債金利は、米長期金利の大幅な上昇を受けて、一時7.4%を付ける水準まで上昇しています。金利が上がることで株価は下がりました。

どうしても欧米金利の動向をうけて金利が上昇しやすい環境が続くことが想定されます。

引き続き堅調なインド株

インド株の堅調さが際立っています。

今年に入り、インフレ鎮静化のためアメリカをはじめとする世界の中央銀行が利上げを相次いで行ったため、世界の株式市場は大きく調整しました。

結局9月になっても世界株の値動きは荒い状況となっていますが、インド株は過去最高値に迫る堅調な展開となっています。

年初来のリターンは、MSCI全世界株指数の▲15.9%に対し、インドの代表的な株価指数のSENSEX指数は9月時点で+3%を超えています。

堅調な背景には、ここ最近の原油安の傾向と相対的に高い経済成長への期待があるとみられます。

原油安でインド株式が上昇

アジアの株式市場はまちまちな動きながら、原油価格の下落を受け、インドの上昇が目立つ展開となっています。

【直近3か月のSENSEXの推移(出所:TradingView)】

【直近3か月のWTIの推移(出所:TradingView)】

©Trading View

2022年8月

0.5%の利上げも、株式市場は反応せず

インド準備銀行は8月5日、政策金利(レポ金利)を0.5%引き上げて5.4%にすると発表しました。

インフレ抑制とともに通貨ルピーの防衛を図る目的です。

今回で、政策金利のレポ金利は0.5ポイント引き上げられ5.40%となり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前と同水準となりました。

中銀は、2022年通年のCPIの伸び率が⽬標レンジの「4±2%」を上回ると⾒込んでおり、これでは中銀の責務(3四半期以内にCPI伸び率を⽬標レンジへ回帰させること)が果たせないこと
となります。

そのため、インフレ抑制へ断固とした引き締めを⾏う姿勢を⽰す必要があったわけです。

インド国債相場は下落する一方、ルピーは上昇しました。

【直近半年のインドの政策金利の推移(出所:TradingView)】

©Trading View

利上げは3会合連続です。

インド中銀は新型コロナで打撃を受けた経済の回復後押しが求められる一方、足元で許容範囲を超えるインフレに直面しており、苦渋の対応を余儀なくされています。

【直近1か月のSENSEX指数の推移(出所:TradingView)】

株式市場は大きく反応はしなかったようです。

2022年7月

【2022年7月のSENSEXの動き(出所:TradingView)】

©Trading View

他の新興国に比べて上昇率高い

SENSEXの7月の月間騰落率は前月比で9%高となり、中国の上海総合指数(4%安)やタイのSET指数(1%高)など他のアジア新興国と比べて上昇が目立ちました。

インドの自動車の販売台数は新型コロナウイルス禍前の水準にまで回復している状況で、大手のマルチ・スズキが7月27日に発表した2022年4~6月期の純利益は前年同期比2.2倍に拡大しています。

IMFによるインドの実質経済成長率見通しは22年に7.4%、23年に6.1%と中国(22年3.3%、23年4.6%)など他の新興国と比べても大きくなっており、元々期待値が高い国だけあって、懸念が払しょくされると大きく上昇します。

2022年6月

【2022年6月のSENSEX指数の推移(出所:TradingView)】

©Trading View

利上げ局面で上値重い

6月も利上げを行うなど、インドは金利上昇局面となっており、株価の上値は重くなっています。

6月8日の利上げを受けて、SENSEX指数は、下落基調となっています。

金利上昇に加えて、インフレ率の高止まりが景気減速を招くとの懸念が重荷となっているとみられます。

インフレ鎮静化の兆しがみえるまで上値の重い展開が想定されます。

海外投資家は足踏みも底堅い

インド株式は今年に入り、FRBの金融引き締め加速観測や、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格の上昇、中国のゼロコロナ政策によるロックダウンなどを受けて、上値の重いやや軟調な展開となっています。

SENSEX指数は、FRBの金融引き締め加速を警戒した世界的な株安を受けて、3月上旬に53,000ポイントを割り込みました。

その後60,000ポイントを回復したものの、米国株が大きく下落したことを受けて、インド株も同様に下がり、ボラティリティの大きい展開となっています。

インド株下落の背景は、米国の金融引き締め加速を受けて海外投資家が新興国への投資を引き揚げていることがあるでしょう。

実際、インド株市場への海外資金フローをみると、今年に入ると大幅な売り越しになっています。

ただ、それでもインド株はそれなりに底堅く推移しているのです。

元々のインド経済のポテンシャルに加えて、最近では、中国によるゼロコロナ政策の長期化や台湾有事などのリスクを懸念して、世界の有力資本が中国から流出する動きがみられる事や、物価高と金融引き締めが続くなかでも景気拡大が継続するとの予想があることから、上値は重いながらも底堅く推移する可能性があります。

2022年4月

【2022年4月のSNSEX指数の推移(出所:TradingView)】

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インフレ率が想定以上に上昇し、下落

4月中旬のインドの株式市場は、3月のCPIが前年同月比+6.95%と市場予想以上に加速したことを受け下落しています。

食品価格の上昇が気がかりな材料ですが、燃料価格については政府補助金やベース効果を受け、前年比伸び率が低下しています。

2022年2月

【2022年2月のSENSEX指数の推移(出所:TradingView)】

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海外マネーが離反するものの、国内投資家の買い意欲は強い

インドのモディ政権が財政赤字を穴埋めするために国営保険会社の上場を計画するなか、海外投資家によるインド株売りが世界的な金融危機以降の最高水準に達し、優良企業の株価が下落しています。

インド株式の売越額は1月だけで45億ドル(約5200億円)にのぼり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まって以降で月間最大の規模となりました。

インドの代表的な株価指数SENSEXは2022年の年明けに世界の主要株価指数で最高レベルのパフォーマンスを示していましたが、その上昇分のほとんどが消えました。

インド株式市場で海外投資家の売却により売り越しになったのは1月で4カ月連続で、その期間中の売越額は93億ドルに達しています。

この金額は世界的な金融危機のさなかに売りが膨らんだ7カ月間に記録した過去最高の99億ドルに迫っています。

2021年にSENSEXは22%上昇したものの、今はその時の投資家の手じまい売りが主流となっています。

SENSEXは2月1日、インド政府の予算案発表を受けて1%以上上昇しました。

モディ政権は4月から始まる22年度の予算案で、対GDP比6.4%まで膨らむ財政赤字を削減するため、国営生命保険会社ライフ・インシュアランス・コーポレーション・オブ・インディア(LIC)の上場を計画しています。

国内のトレーダーが注目しているのは政府予算と月内に始まる主要4州の地方議会選で、いずれも1~3月期のインド市場の流れを決めるとみられています。

インド政府はLICの株式売却で得た資金を4月から始まる年度の財政支出計画に織り込みたい考えで、その上場時期が重要になります。

LICの正式な評価額は目論見書を待つしかありませんが、政府はこれまで最大2030億ドルと推計していました。

LICの上場において、政府は少なくとも5%の株式を売り出す必要があるとマーケットでは指摘されています。

5%を売り出せば調達額は102億ドルを超える見込みになるという事で、決済サービスPaytm(ペイティーエム)を運営する金融テック企業が昨年11月に上場した際の調達額25億ドルの4倍に相当します。

一部のマーケット関係者はLICのIPOが3月末までに実施され、同社の時価総額がインド企業有数の規模に達すると見込んでいます。

海外投資家によるインド株売りが続いているものの、インドの個人投資家は22年最大のIPO案件で一斉に動くとみられます。

国内投資家のインド株への投資意欲は今も非常に強く、個人投資家が株に注目しているのは、インドの実質金利がマイナス圏にあるためだと思われます。

2022年1月

FRBの年内利上げでハイテク株下落

FRBの年内の利上げ方針を受け、インドのハイテク株への逆風が吹いています。

これはインドに限った話ではなく、東南アジアでも同様です。

成長期待で買ってきた投資家が巨額の赤字を厳しく評価するようになっているようです。

2021年のインド企業のIPOに伴う調達額は171億ドルと過去最高でした。

東南アジア企業の調達額も154億ドルと、前の年の2.1倍に達していました。

インドのネット通販大手スナップディール、インドネシアの配車大手ゴジェックとネット通販のトコペディアが統合したGoTo(ゴートゥー)など、22年も大型案件の上場が見込まれていますが、にわかに不透明感が増しているようです。

中長期にアジアのネット通販市場や金融市場の成長余力が大きい点について、投資家の肯定的な認識は変わっていません。

しかし、赤字企業でも成長期待から買われてきた局面が終わり、今後は個々の企業の収益力や市場支配力の強さに焦点が移るかもしれません。

2021年11月

オミクロン株出現で軟調

11月26日に南アフリカでオミクロン株が確認されたこと等によりインド株式は調整色を強めつつあります。

インドのGDP発表日当日の株式及びインドルピーは前日比ほぼ横ばいで推移しており、成長率がRBIの予想を上回ったことの影響は限られたようです。

やはり、当面、株式やインドルピーはオミクロン株の感染力等に左右されるかもしれません。

2021年10月

CPIの伸びがインド株式の高パフォーマンスの背景の一つ

足元のインド株式が史上最高値圏で推移する一方、新興国株式は2021年5月頃を境に下落傾向となっています。この違いを生んだ一つはCPIの動向かもしれません。

10月中旬時点のインド株式の年初来のパフォーマンスは+25%程度と、同期間の新興国株式(MSCI)の-3%程度を大きく上回っています。

これはCPI動向の違いも影響しているものと思われます。

主要新興国のCPI(前年同月比)動向を見ると、低下基調にあるインドに対し、多くの国は上昇傾向となっています。

IPOブームに沸く

楽観的な景気見通しと個人投資家の資金流入を追い風に、インドの株式相場が活況です。

SENSEXは過去最高値を何度も更新し、インド企業が市場で資金調達する絶好の機会ともなっています。

投資家に株を売りつけようとしているのは民間会社だけではありません。

インド市場では今、大富豪やベンチャーキャピタル、インド政府までが株式売却にいそしんでいます。

インド政府は国有企業のIPOを計画しています。

ライフ・インシュアランス・コーポレーション・オブ・インディア(LIC)の政府保有株を10%まで売り出して9000億ルピーを確保し、インド最大のIPOとなる見通しだ。株売却で得た資金は社会保障の不足分に充て、悪化する財政のてこ入れを図る予定です。

インドの財閥もIPOブームの波に乗っています。

アディティヤ・ビルラ・グループは傘下の投資信託事業を上場させましたし、アダニ・グループもシンガポール企業と合弁で設立した食用油の会社の上場申請を済ませました。

インドで時価総額最大のリライアンス・インダストリーズを率い、国で一番の富豪でもあるムケシュ・アンバニ氏はIPOを2社予定しています。

グーグルやフェイスブック、プライベート・エクイティ・ファンドのKKRも投資する同社の携帯電話会社リライアンス・ジオと小売部門のリライアンス・リテールです。

専門家からは一部の銘柄が極端に割高との指摘もあります。

SENSEXのPERは31倍程度とITバブルや1990年代半ばに比例する水準で高止まりしています。

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