インドの選挙関連ニュースのまとめと経緯(2018年~19年)

この記事ではインドの選挙(2018年~19年)ニュースについてまとめていきます。

もちろん来年の本選挙がそのクライマックスですが、それまでの州ごとの選挙にも注目していきます。

インドでは上院議員の大半を各州議会が選ぶため、地方選の結果は国政に直接影響するからです。

モディ政権は難しい戦いを迫られている2018年の暮れですが、モディ首相の経済政策が投資家にとってはとてもインドへの投資妙味を膨らませてきたところもあるので、どの様になるかは非常に注目すべき所です。

インドは元々ポテンシャルが高いので、誰が次のリーダーになっても引き続き投資スタンスは変えませんが、それでも投資リターンに直結する政治ネタですので要注目です。

他の記事同様に、上から新しいものを追加していく形で随時更新していきます!

本ブログは↓をご参考!

短期的な下げがあってもインド・インド株への投資!

2019年インドの選挙に関する簡単なおさらい・まとめ

インド総選挙の議席数

今回の総選挙による議席数は545です。

モディ政権が安定的な政権運営をする為には過半数である273議席以上を取る必要があります。

前回の2014年時の選挙の時はモディ氏率いる与党が単独でこの議席数を確保しました。今回それを維持できるかがポイントですが、どうでしょうか。

2014年時のインド選挙おさらい

インドでは5年に一度、連邦議会下院(ローク・サバー)の総選挙が行われます。

前回は2014 年でした。

モディ人気が凄かった

前回の総選挙では、シン前政権の末期にかけてインド景気が減速感を強めたことに加え、西部グジャラート州首相として同州の高い経済成長を実現するなどの手腕を背景とする『モディ人気』を追い風に、モディ首相のインド人民党が大勝利を収めました。

モディ首相のインド人民党(BJP)が四半世紀ぶりに過半数を単独政党で上回る

インド人民党は10 年ぶりの政権奪還を果たしましたが、これによって議会下院で単独過半数の議席を獲得し、四半世紀ぶりに単独政党が半数を上回る議席を有する事となりました。

モディ首相はこうして安定的な政権基盤を構築することに成功し、『メイク・イン・インディア』をはじめとする構造改革にまい進することが期待されたのです。

モディ首相の功績と課題

モディ首相は海外の投資家からするとそれなりに人気なのではないかと思いますが、近年は国内においてその人気に陰りが見えていました。

↓の記事にモディ首相の功績と課題について改めてまとめてみましたので、ご参考ください。

インドの2019年総選挙に関するまとめ モディ首相の功績と課題

インド選挙の対立軸 改革か財政拡大か

モディ首相率いるインドの与党 インド人民党

インドの与党は構造改革を進めてきたモディ首相率いるインド人民党(BJP)を中心に、国民民主連盟(NDA)が形成されています。

これまで行ってきた改革等は本ブログの中でご紹介している通りです。

不正資金撲滅を目指した高額紙幣の廃止や物品サービス税(GST)導入等の改革を実践などです。

ガンジー総裁率いる野党 統一進歩同盟

一方の対立野党は、インド国民会議派などを中心とした統一進歩同盟(UPA)です。

ラフル・ガンジー総裁率いる国民会議派は農村を精力的に回るなどして支持を拡大しています。

既にこのブログでもご紹介の通り、2018年11~12月に行われた5州の州議会選挙では国民会議派が躍進しました。

今、総選挙に向け、農家などに手厚い支援を約束したこと等で更なる支持を伸ばしています。

インドの総選挙のスケジュール 開票日は5月23日

2019年3月10日に発表された所によると、今回の総選挙の開票日は5月23日になるとの事です。

投票日は4月11日から5月19日の間に7日設け、有権者は選挙区ごとに定められた日に投票します。投票所は2014年の前回選挙に比べ10%多い約100万カ所設ける予定とのこと。何しろ有権者が9億人なのでとてつもないスケールの選挙になります。

選挙情勢

2019年2月時点では与党優位だが、過半数は取れず

現地紙の報道によれば、与党のNDA237議席に対し、UPAは166議席となっていて、与党の方が数では圧倒的に優位です。

しかし、インドの議席総数は545議席であるため、現在の与党連合では過半数に達しない恐れがあります。

前回2014年の選挙ではBJPが単独過半数を獲得していたので状況が違っています。

モディ陣営は、選挙で勝利を確実にする為に、成長を実感できない有権者層へアピールする必要に迫られています。

農村などに向けた政策を与党はアピール

そこで2019年2月1日に発表された予算案に注目すると、モディ政権も農家や中間層への支援策を盛り込みました。

ただ、その一方で、構造改革を掲げるモディ政権としてむやみやたらな財政拡大には歯止めをかけたいというジレンマに直面しています。

どの様な調整を政府がしていくのか注目されます。

モディ政権又は与党にとってのプラスとマイナスポイント

今回の選挙で与党NDAに有利に働くのは、

  • 国防問題への関心の高まり
  • モディ首相支持者の多い若年有権者の増加
  • モディ首相率いるBJPによる連立工作の進展

などでしょう。

一方で不利に働くのは、

  • 農村部の困窮とそれに伴う支持の不拡大、
  • 地方政党の連立による候補者一本化の動き

等でしょう。

インドの選挙関連ニュースの経緯(2018年~19年)

下院の次は上院での過半奪取がポイント

モディ政権にとって選挙関連で悩ましいのが上院の存在です。

モディ氏がやり遂げたい改革の中でも、国有企業の民営化、行政・司法改革などの関連法案の成立には上院での可決も必要ですが、与党連合は上院(定数245)では112議席と半数に届いていません。

中でも優先順位が高いのが、土地の所有者を明確にして譲渡しやすくする「土地改革」と、雇用の柔軟性を高める「労働法制改革」ですが、これは1期目の時に、関連法改正が、上院の壁に阻まれてきています。

この上院での勢力を、今回の総選挙の圧勝でどこまで変えられるかがポイントです。

上院議員は州議会の投票で選ばれ、各議員の任期切れに合わせて順次選挙があります。

与党連合への高い支持が続けば、2020年中に上院でも過半数を確保できる可能性もあります。

モディ陣営が農村部で盛り返せた理由

モディ陣営の農村での苦戦は予想されていましたが、ふたを開けると農村部でも一定の支持があり、それが同陣営の地滑り的勝利につながりました。

背景は、トイレや電気の普及といった地道な生活基盤の改善策だったようです。

農村部でのトイレ普及 過去4年半で5億5000万人から500万人まで激減
電力網への接続 2019年3月末までに国内のほぼ全世帯で達成
調理用プロパンガスの普及 世帯普及率も5割から9割まで上げた

今後は低迷する消費をいかに盛り上げるのか、失業率をどうするのか、多くの課題をどう解決していくかです。

モディ首相続投確定の後の注目点

モディ氏の歴史的勝利のあと、次に注目されるのは、

  • 選挙後の連立工作(特に上院)
  • 閣僚人事
  • 修正予算の内容

といった所でしょう。

特に修正予算の内容には注目が集まるでしょう。

2019年2月提出の暫定予算案では、小規模農家に対する最低所得保障制度の導入を謳いました。

今後は、

  • BJPの公約に沿ってその拡充が行われ農村地帯における所得向上を目指す
  • 低所得層向け住宅、上下水道の整備も進展する見込み
  • 物品サービス税(GST)の簡素化
  • 非課税品目の縮小
  • 直接税の簡素化

といった所がポイントとなり、どういった方向性で政権を運営するのかを知る上で、2019年7月の修正予算に注目が集まるのです。

2019年5月23日、モディ氏勝利宣言、予想外の歴史的勝利

2019年5月23日に開票が始まったインド総選挙で、モディ首相の与党インド人民党の勝利が確実となったようです。

しかも選挙管理委員会の公式結果によると、542の改選議席のうち、少なくとも与党が302議席を獲得し、下院の過半を握るのに必要な272議席を大幅に上回りました。

これは2014年選挙で獲得した282議席からさらに積み増した形です。

元々与党一党での過半数越えは厳しいというのが大方の一致した意見でしたので、これは与党にとってはうれしい誤算でしょう。

単一の政党が連続して過半数を獲得すれば、1984年以来となる快挙です。

与党は票読みにかなり慎重

出口調査では与党勝利の観測が強いようですが、与党BJPは与党連合の獲得議席が(下院の4割の)220議席を下回る可能性にも言及するなど、極めて慎重のようです。

今後地方政党との連立協議を加速させ、無所属議員にも参加を促していく事も検討しているとの事です。

出口調査ではモディ氏優勢

2019年5月19日、メディア等各社の出口調査結果が相次ぎ発表されました。それによればモディ首相率いるインド人民党(BJP)の与党連合が、議席の過半数を獲得するとの予想が多いようです。

さすがに、前回2014年の選挙と同じレベル(336議席相当)を得るという予想はないようですが、おおむねモディ氏がかなり優勢という形で今回の選挙を総括している所が多いようです。

景気減速指標がモディ陣営優勢にどこまで影響するか

4月の新車販売が前年同月比15%減少、2018年12月まで52カ月連続で2桁増が続いた国内航空旅客数も3月は横ばい、、、

景気浮揚を切望するモディ政権にとって嬉しくないニュースが5月の投票最終日まで続いています。

世論調査ではモディ氏の与党インド人民党が引き続き優勢ですが、前回下野したラフル・ガンジー氏が率いる最大野党国民会議派も巻き返しに必死です。選挙結果は全く予断を許せる状況ではありません。

期待外れの雇用創出や足元の経済指標の悪化は、有権者の投票行動に影響を与えそうで、最後まで目が離せません。

モディ首相陣営、経済でなく安全保障を前面に出してラストスパート

モディ氏と同氏が率いるBJPの優勢が報道されているインドの選挙ですが、モディ陣営はラストスパートを安全保障という国民のエモーショナルな部分を刺激して走り抜けたいと考えているようです。

マニフェストが発表されたのは既報の通りですが、冒頭に来たのは安全保障分野でした。

近時のパキスタンとの小競り合いなどを念頭に、軍事・警察力の増強や、不法移民の取り締まり強化を列挙しています。

これはモディ氏が経済改革を前面に打ち出して圧勝した2014年の選挙と全く違うアプローチです。

経済での実績をつつかれるとなかなかしんどいとモディ陣営が思っている事の証左でしょう。

だからこそ、もしモディ首相の続投が決まるなら、経済政策でもっと思い切りよくやってもらいたいと思う所ですが、議席数の大幅減が見込まれる中、どうなるか分かりません。

インド株に投資をしている投資家としては、最悪のシナリオではないものの、少し頭が痛い結果となりそうです。

選挙戦終盤でもモディ氏優勢

選挙戦終盤でもモディ氏が優勢のようです。

2019年2月以降のパキスタンとの対立で強硬姿勢を示した所から支持を広げ、世論調査によるとインド人民党(BJP)主体の与党連合が議席の約半数を握るとの予想が多く出ています。これによってモディ氏が続投する可能性が高まっています。

各種世論調査によると、2019年1月に44%だったモディ氏の支持率は3月に53%に上昇し、さすがにBJP単独での過半数は厳しそうですが、開票後に地方政党などを取り込み与党連合で安定多数を確保できるとの見方が多くなっています。

モディ首相のマニフェスト、インフラに160兆円投資計画

モディ首相は今回の選挙のマニフェストを公表しました。

2030年までにインドを世界3位の経済大国に引き上げるとし、2024年までにインフラ投資に100兆ルピー(約160兆円)を充てると約束しました。財源については不明ですが。

以下がマニフェストの主なポイントです。

  • 2030年までにインドを世界3位の経済大国に引き上げる
  • 2024年までにインフラ投資に100兆ルピー(約160兆円)
  • 2025年までにインドのGDPを5兆ドル(約560兆円)にする
  • 2032年までにインドのGDPを10兆ドルにする
  • 空港を5年以内の倍増させる(既出)
  • 再生可能エネルギーの発電能力の175ギガワットへ引き上げる(既出)
  • 農民所得の倍増(既出)
  • 農家向けのゼロ金利融資専用カードの導入(既出)

等です。

いずれも耳障りは良いですが、財源含めた現実的な対応をどうするかが次のポイントです。

モディ勢力の過半数超えは農村部の支持がカギ

現状、パキスタン空爆で少し支持率が回復しているものの、引き続きNDAの予想議席率は過半数前後となっています。

もし、NDAの議席が過半数に足らなかった場合は、連立野党の統一進歩同盟(UPA)が他党と連携して政権を奪還する可能性も否定はできません。

ポイントは与党NDAへの農村部の支持がどこまで広まるのかでしょう。

何しろ有権者の7割近くが農村部にいるのです。

そして彼らの多くが困窮しているという現状。

もちろん、その困窮は天候不順や主要作物価格の低迷がによるものですが、現NDA政権が経済の安定化に成功した副作用として農村部が厳しい環境にあるという面も否定できないと考えられるのです。

モディ政権はこのことをよく分かっているので農村部へのバラマキ等を行って支持率拡大をもくろみますが、どこまで良く作用するかは分かりません。

2019年3月 モディ首相の思惑通り、パキスタン空爆で支持率拡大

インド軍がパキスタン領域内で空爆を実施したことを受け、モディ首相の支持率が急上昇しているようです。

モディ首相の狙い通りといった所でしょうか。

野党側は攻撃の実効性は疑問だと与党批判を繰り広げるていますが、その戦術も裏目に出ています。

パキスタンとの衝突が起こる前は、景気減速、農村部の低所得、雇用創出に関する政府の無策などを背景に、首相率いる与党インド人民党が過半数獲得するのは難しいと思われていました。

しかし新しい世論調査会社によると、首相の支持率は足元で上昇しているようです。安全保障の問題やパキスタンがらみではどうしても感情的になってしまい、強硬策に出る方に支持が集まるからです。

2019年3月 モディ首相、パキスタンとの紛争を選挙キャンペーンに活用??

2019年2月28日、インドのモディ首相は与党インド人民党(BJP)の会合で「インドは一丸となって戦い、共に勝つ」とビデオ越しに語りました。

インドとパキスタンの空爆合戦の直後で、パキスタンのカーン首相はインドに対話による解決を呼びかけちるものの、インドは対話に応じない構えです。

外国に対して強気の姿勢を貫くリーダー像を演出している可能性も垣間見れ、近視眼的な戦略で突き進んでしまうと事態を思わぬ方向へ導いてしまう可能性もあります。

もちろん、泥沼化すればするほどインドへの投資家にとっては良くない事は言うまでもありません。

2019年2月 モディ氏、人気回復狙い、所得減税拡充へ

インドのモディ政権は、その人気に陰りが見える事に焦りを感じているのかもしれません。

政権は、2019年2月1日、2019年度(19年4月~20年3月)予算案の公表にあわせて所得税控除枠の倍増計画を発表しました。

4~5月に予定する総選挙を経て続投が決まれば実施するというものです。

具体的には、

  • 現在年25万ルピー(約38万円)が上限の個人所得税の控除枠を50万ルピーに引き上げる
  • 2軒目の家の購入に絡む税金を免除
  • 1億2千万世帯の低所得農家を対象に年6千ルピーの所得補助を出す

等です。

こうした人気取り政策を発表する背景には、最近の政権支持率の低下があるのは間違いありません。

直近のモディ氏の支持率は2016年2月以来の低水準である46%に落ち込んでいます。また、前政権与党で現在の最大野党、国民会議派のラフル・ガンジー総裁は34%となっていて、モディ氏との差を縮めています。

因みに、支持率低下の発端は高額紙幣廃止による混乱がきっかけと言われています。

インドの野党国民会議派、人気者の総裁妹を選挙キャンペーンに駆り出す

モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)に挑む国民会議派のラフル・ガンジー総裁は、新たな一手として国民に人気の高い妹を応援に駆り出しました。

その妹とは、プリヤンカ・ガンジー・バドラ氏です。

バドラ氏は曽祖父と祖母、父がいずれもインドの元首相であり、ピカピカの政治一家の女性。

母のソニア・ガンジー前国民会議派総裁と兄ラフル氏への助言など、これまでも影で様々な政治的役割を果たしてきました。

彼女はウッタルプラデシュ州の東半分の地域で選挙運動を監督する予定です。

ここはインド最多の人口を抱える州で、ここの選挙結果は全体の結果に大きな影響を及ぼします。

ただ、妹の投入で同州の選挙結果に自信が持てるかどうかは、意見が分かれているようです。そんなに簡単ではない、と。

総選挙まであと4か月です。

中央銀行の新総裁により、モディ首相のバラマキがエスカレートか??

2018年12月に、中央銀行の総裁が突如辞任した事は別記事でもご案内したとおりですが、これがモディ首相の来年の選挙に向けたバラマキ政策のアクセルを踏ませる要因になるかもしれません。

ご参考↓

短期的な下げがあってもインド・インド株への投資!

元々、2019年5月までに実施予定の次期総選挙を見据えて、モディ政権は様々な『バラ撒き』政策を志向していました。

しかし、その一方で財政上の制約がその足かせとなる状況も続いており、政府は中央銀行に対して余剰準備金の国庫納付を求める圧力を掛けたほか、銀行融資拡大に向けて国営銀行に対する融資規制の緩和を求める動きを強めており、パテル前総裁はそうした政府の姿勢に反発を示してきたわけです。

これが結果として政府と中央銀行の関係を悪化させ、モディ政権は中央銀行の総裁人事を巡っては、中央銀行の独立性を重視する学識経験者ではなく、官僚出身者など実務者を充てることで円滑な財政運営を図ろうと考えたのです。

中央銀行は、その後政策スタンス自体は変更しなかったもの、モディ政権が求める金融市場へ流動性供給拡大に向けた実質的な緩和姿勢を打ち出しています。

重要な州選挙で敗れたモディ政権にとって国民の人気取り政策は必須。中央銀行というそれまで歯止め役になっていた所が実質的に政府に屈服した事で、モディ首相の思惑は通りやすくなったと言えます。

しかし、これが中長期的な観点でインドのプラスになるかどうかは分かりません。

2018年12月13日 モディ首相のインド人民党、州選挙で全敗

2018年12月11日に開票された5州の地方議会選の結果は、モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)の全敗でした。

2019年4~5月に予定する総選挙(下院選)で勝利し、2期目入りをめざしてきたモディ氏にとって大きな逆風となるのは必至でしょう。

BJPは2014年の総選挙で議席数の過半を獲得し政権交代を実現したわけですが、実はインドの下院議席の過半を一政党が掌握するのは30年ぶりの事だったのです。

このこともあり、モディ氏は連立政党への配慮に振り回されることなく、安定した政権運営が可能だったわけです。

もし2019年の総選挙で混戦模様となれば、政策が停滞するリスクが高まり、海外投資家にとっては少しネガティブでしょう。

2018年11月 モディ首相、選挙対策で統計の数値を修正??

インド統計局は2018年11月28日、2004~11年度のGDP統計の改定値を公表し、3年連続で9%超の高成長を記録した05~07年度を8%前後に下げるなど、05年度から7年度分の成長率をすべて下方修正しました。

目的はやはり選挙対策なのではないかと思います。

2014年発足のモディ政権下の経済成長はシン前政権に比べ減速したと指摘されてきたわけですが、今回の改定で差が縮まった格好です。

「政府は統計をオモチャにしている」。モディ氏が率いる与党インド人民党(BJP)を2018年4月に離党したヤシュワント・シンハ元財務相はその様に述べ、7年度分を軒並み下方修正するのは不自然だと批判しています。

2018年9月 総選挙に対するインド人民党の焦り??

モディ氏の与党インド人民党(BJP)は2014年の前回総選挙で下院の単独過半数を得て政権を担当しています。

しかし、インフレと通貨安の悪循環で国民の生活が少し厳しくなり、足元の情勢では次回選挙で単独過半数を維持できるかどうか微妙な状況です。

インドではインフレの度合いが有権者の投票行動に大きく影響すると言われています。

野党側は2018年9月、インフレ懸念が強くなりつつあるこの機会を逃すまいとBJPへの攻撃を強めています。ただ、野党も物価安定の具体的な政策を示しているわけではありません。

BJPはこれまで「通貨安は国内要因でなく(トルコ危機など)世界の動きが原因だ」などと指摘していあしたが、インド政府は2018年9月10日、ガソリン税やディーゼル燃料税を引き下げました。

BJPやインド政府の姿勢に変化がみられるようです。

2018年5月 インドカルナータカ州選挙の結果

2018年5月15 日に開票が行われたカルナータカ州の州議会選挙においては、モディ首相が率いるインド人民党が事前予想を上回る104 議席を獲得し、州議会で第一党となりました。

しかし、その一方で野党連合には得票数で敗北し、過半数を握れず多数派工作も失敗しました。

党内からは、来年4~5月に予定する総選挙(下院選)を不安視する声も聞かれ始め、2018年の残る地方選でも負けるかもしれないと懸念の声も上がっています。

一方でインド人民党の最大のライバルである国民会議派も従来の122議席から78議席に後退しています。選挙後、国民会議派は、新連立政権を発足させるために、38議席を得た地域政党のジャナタ・ダル(世俗派)を無条件に支持すると発表しました。

カルナータカ州知事は第1党となったインド人民党に新政府樹立を指示しましたたが、同党が推す新首相が宣誓を終えても政情の混乱は続いているようです。

盤石な基盤があってこそ、思い切った経済政策も打てるものです。投資家にとっては引き続き注視していくニュースだったと思われます。

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