ブラジル イベントヒストリー

2018年2月

利下げ

2018年2月の金融政策委員会においても、政策金利(Selic金利)を0.25%引き下げ、6.75%にすることを決定しました。

因みにこの6.75%というレベルは同国で過去最低です。

今回の利下げは市場の想定通りでした。背景には、直近のインフレ率(2017年12月のインフレ率は2.95%)が物価目標(+4.5±1.5%)の下限(3%)を下回っている事や、S&P社による格下げ後も、為替市場をはじめ金融市場が落ち着いている点が挙げられます。

因みにインフレ率については中央銀行は「望ましい状態が続いている」とコメントしています。

インフレ状況

2018年2月現在の環境が継続すれば、次回会合で政策金利が据え置かれる可能性が高いと思われますが、2018年2月に発表されたインフレ率も未だ3%を切っており、そうなると更なる緩和策も必要だとの声も聞かれ始めました。

2018年前半の外部環境の変化

国際金融協会がインドやブラジルなど主な新興8カ国の株式、債券市場を対象に集計したところ、外国人の投資資金は2018年1月末以降、流出超過に転じたそうです。

とりわけ2018年の2月5日~9日は約60億ドルの流出超過となったようです。

これはブラジルに限った事ではありませんが、今まで先進国から新興国に流れていた資金が金利上昇の結果先進国に戻ってしまうと、新興国の資産は売られるという事になります。

新興国の通貨などはそれを受けて当然下落圧力にさらされます。2014年1月には米金利上昇を受けてアルゼンチン通貨ペソが急落していたりします。

大統領選候補 ボルソナロ下院議員

2018年2月時点の直近の世論調査では、過激な発言で「ブラジルのトランプ」と呼ばれる極右候補、ボルソナロ下院議員が首位に立ったようです。しかし、彼は同性愛者や女性、黒人蔑視の発言を繰り返し、弾圧や拷問を繰り返していた時代の軍部を擁護している等、リベラル層には嫌われている傾向があります。

ブラジルの金融市場が相対的に安定

2018年2月現在、世界的な市場の動揺が続いていますが、ブラジル金融市場は安定を維持しています。興味深い事ですが、主要先進国との金融政策サイクルの違いが背景にあるのでしょう。因みに、経済環境の改善等から、ブラジル国債の信用リスクは2014年の大統領選挙前後の水準へ低下しています。もちろん10月に大統領選挙に向けて再び何が起こるのかは分かりませんので注視は必要です。

2018年1月~2月にかけての史上最高値の理由

政治的な要因(ルラ氏の大統領選挙出馬が困難になった等)もありますが、主にはブラジル企業の業績回復があると思われます。実際、主要ブラジル企業の2018年の純利益は前年比17.8%の増加が予想されています。海外投資家のブラジル株式の買い越しも拡大し、新興国株式ETFを通じたブラジル株式への資金流入も増加している状況です。

金融政策委員会の議事要旨 構造改革の進展についての言及

2018年2月下旬に発表された金融政策委員会の議事要旨においては、構造改革が進展した場合の利下げの余地を残した文章となっており、当初の声明文に比べて緩和姿勢をにじませた印象があります。

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