2018年5月
2018年5月の金融政策決定会合
2018年5月現在の政策金利は6.50%。過去に比べれば相当低くなっていますが、引き続き持っているだけで金利収入が入ってくるわけで、こんなに良い事はありません。
利下げ打ち止め時の中央銀行の思考
中央銀行の声明にはありませんが、近隣のアルゼンチンがペソ安で大変な事になっているのも、据え置きの意思決定に影響を及ぼした可能性があります。ブラジルは大統領選挙の動向が依然不透明です。新興国市場では政局動向が不安定な国の通貨の売り圧力が高まる傾向が見られますので、これも影響しているかもしれません。
利下げをしてきた中央銀行 利下げ打ち止めか、追加緩和継続か
その後2018年5月に発表されたインフレ率も、前年比のインフレ率は依然として中央銀行のインフレ目標レンジの下限である3%を下回っています。
更なる引き下げがあるのかどうか、ですが、2018年3月下旬に公表された資料によると、①次回5月会合での追加利下げ、②翌会合(6月)からは当分それまでの緩和効果を評価(様子見)するため政策金利を据え置くと述べています。
中央銀行が様子見する理由ですが、①インフレ率を押し下げてきた要因が減りつつあり、来年のインフレ率を4%台と見込んでいること、②米国の金融政策の先行き(利上げペース)が不透明なこと、③政治動向が不透明なこと、等があるでしょう。
2018年5月15日から16日にかけて開催される金融政策決定会合において、市場では、政策金利を0.25%ポイント引下げて6.25%とすることを見込んでいます。
現在のインフレ率は依然として物価目標レンジを下回っていますが、通貨安の進行とそれに伴うインフレ期待の上昇から、今回の利下げをもって利下げを停止する可能性が高いと思われますが、まだ分かりません。
ストライキの影響
ブラジルでは、燃料価格の高騰に抗議するトラック運送業者らが2018年5月21日に始めた大規模ストライキの影響から、同月28日にかけて株価が下落したほか、ブラジル・レアルも急落しました。
燃料代については、ルセフ前政権などが価格統制を行っていた事から財政赤字が拡大したため、昨年から国際原油市況や為替の変動などに応じて燃料価格を毎日決める制度や財政健全の為の燃料税引き上げがありました。
近時の原油相場やブラジル・レアル安などを背景とした価格高騰を受け、トラック運送業者らがストライキに入ると、インフラが機能しなくなり公共サービスの混乱につながるなど、影響が大きく拡がってしまいました。
この事態を受け、国営石油会社および政府は、軽油価格の引き下げ、燃料税額の実質的な免除などの対応策を23日から27日にかけて示し、事態は沈静化に向かっています。
直近実施の世論調査では、ストライキに約87%もの支持が集まり、国民の政治不信の強さが裏付けられた格好です。
しかしこれによってポピュリズム的な政治家が大統領になりやすくなってしまうと、再び財政悪化懸念が市場で台頭し、ブラジルレアルやボベスパは下落する可能性が高まってしまいます。
2018年4月
大統領選の状況
2018年4月下旬現在の大統領選に関する世論調査ですが、ルラ氏が大統領選に出馬できるとの前提の下では、同氏が依然として30%以上の高い支持率を保持しています。
一方、同氏が出馬できない前提では、極右勢力の支持が厚いボウソナロ氏と、環境主義者のマリナ・シルバ氏がそれぞれ10%台の支持率を確保しており、頭一つ抜け出た形となっています。
彼らも少しずつ経済に関する発言をしだしています。どの様な主張なのかはしっかりと注目する必要があるでしょう。
また同じく2018年4月下旬頃より、大統領選に向けた政党間の提携の動きも少しずつ活発化しているようです。
テメル大統領(民主運動・MDB)は中道勢力の結集を目指すため、民主社会党の大統領候補であるアルクミン氏に対して、メイレレス前財務相(民主運動・MDB)を副大統領候補とした提携を提案した等の報道が出ています。
大統領選まで半年を切りどんどんこうした動きは活発化していくものと思われます。
ブラジルレアルの動き(2018年初頭)
2018年4月はアメリカが発動した鉄鋼関税を契機とした鉄鉱石価格の下落などを受け、対米ドルで10カ月ぶりの安値水準まで下がっています。加えてレアルは、2018年10月の大統領選挙を控えた政治の不透明感が強いこともあり、上値の重い展開となっています。
ルラ氏の票
まだ理屈上は大統領復帰の芽が残っていますが相当難しいものと思われます。
しかし、有罪判決後の2018年4月現在でもルラ氏は根強い人気を見せており、彼が大統領選に出馬しないとき、それらの支持者がどこに流れるかは分かりません。
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