2019年4月、ジョコ大統領の再選が決まりました。
ここではスポット記事として、ジョコ大統領のこれまでの実績とこれからの課題を見ていく事で、今後の長期的な視野に基づいた投資の一助にして頂ければ幸いです。
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ジョコ大統領再選、これまでの実績とこれからの課題
ジョコ大統領一期目の功績
ジョコ大統領の一期目の実績についてまず簡単に触れていきます。
燃料補助金の削減
かねてから海外投資家の懸念だった財政赤字の縮減に寄与したものと言えます。ただ、まだ道半ばでしょう。
インフラの整備の加速
工業化や物流コストの低減を企図して積極的に進めてきました。
ジャカルタでインドネシア初の地下鉄が正式に開業し交通渋滞を緩和した事は記憶に新しいですが、これ以外にも、ジャワ島の横断道を含む約950キロメートルの高速道路や19の港湾、10の空港を新たに整備しました。
物流コストが下がり物価の安定に貢献したほか、所得などの地域格差もやや縮小したとジョコ大統領は主張しています。
景気対策
上記のインフラ整備自体が多額の財政投融資なので景気対策の所がありますが、それ以外にもあります。
- 事業許認可の簡素化⇒国内でのビジネス勃興の補助と海外投資の誘致を企図した景気対策の一環
- 法人税の一時的免税⇒景気対策の一環
といった所でしょうか。
ジョコ大統領の主な選挙公約
ジョコ大統領の主な選挙公約は以下の様なものです。
- 教育制度改革を通じた高度人材の育成
- 情報通信技術の活用によるデジタル経済への対応
- 海外からの投資を積極的に受け入れ、持続的発展が可能となる法整備
また、一期目と二期目とで変わらないものとしては、
- インフラ整備、
- 海外資本積極導入、
- 物価の安定、
- 汚職撲滅
といった所でしょうか。
一期目の最初は期待通り規制緩和や補助金削減などの改革を断行したものの、選挙が近づくと改革は鈍化どころか逆行している一面も出てきました。これについては下記で指摘します。
今後の課題と問題
以下の政策を推進して経済力アップとファンダメンタルズの改善が望まれます。
外資規制の緩和拡大
外資規制を積極的に導入する事によって国内産業のアップグレードを行っていく必要があります。
しかし、これについては以下でも触れている通り、ジョコ政権の保守化によってうまくいくかどうか懸念されています。
輸出産業の育成
より付加価値の高い産品を輸出する事によって経常赤字の縮減又は黒字化をしていく事が必要です。
これまでインドネシアは資源国として有名でしたが、結局そういった一次産品を輸出しているだけではいつまでたっても先進国に追いつくことは出来ません。
今はITサービスなど第二次産業を飛ばして第三次産業が一気に広がりそうなところもありますが、いずれにせよ地に足の着いた稼げる産業を育てていく必要があります。
イスラム教徒の付き合い方
ジョコ大統領が今回副大統領候補に選んだマアルフ・アミン氏は同国のイスラム教指導者の最高団体「インドネシア・ウラマー評議会」の議長で、生粋のイスラム教徒であり、他のイスラム教徒への影響力も相当です。
世俗的な現実主義者としてジョコ大統領は一期目はやってきたわけですが、保守的なイスラム教徒の陣営と手を組んだことで、アグレッシブな開放政策や経済政策を展開しにくくなる可能性があります。
人気取りの政策と実際とのギャップの埋め合わせ
また、大統領選挙の人気取りの為に、近視眼的な政策に走ってしまったのも事実で、しっかりと軌道修正が出来るかもポイントです。
詳細は↓の記事の「とん挫するジョコ大統領一期目の改革」をご参考ください。
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