習近平についてのまとめと研究

党機関紙から習近平の文字が消えた

その後2018年7月9日と15日、党機関紙『人民日報』のトップページに「習近平」の文字が消えました。

1週間のうち何度も習近平に言及しないトップ紙面が組まれるのは実は政権成立以来はじめてのことだったらしい。凄い。

メディアも習近平に追従しながら、面従腹背な所もあるのでしょうね。習近平のメディア統制も相当凄いという事ですので。

加えて、同じタイミングで新華社のウェブ版が「華国鋒は誤りを認めた」という過去の歴史記事を突如として再配信したのです。

習近平と同じことを試みた華国鋒

華国鋒も実は習近平と同じことを試みた人だったのです。



彼は1970年代後半に党主席に就任した後、習近平と同じように自分を崇拝する様に仕向けました。

しかし、結果的には政治力が足りずに失敗。経済の失策もあって、鄧小平から批判を受けて最終的に失脚します。

新華社の記事はすぐに削除されたようですが、習近平を揶揄する目的があったのは明らかです。

精華大学教授の習近平に関する論文

習近平の母校である清華大の教授が2018年7月下旬、指導者への個人崇拝を厳しく批判した論文を発表しました。

その中で国家主席の任期復活や民主化に関する意見を発表したのです。

もちろん、どちらかというと体制側の知識人が、この様な形で中国共産党指導部に物申すのは異例です。

任期撤廃に関しては「改革開放(の成果)を帳消しにし、恐怖の毛沢東時代に中国を引き戻し、滑稽な、指導者への個人崇拝をもたらすものだ」と非難し、任期制に復帰するよう求めています。

許氏の論文については賛同者も沢山いるようですが、その一方で許氏の安全を危惧している人も同じくらいいます。言論の自由がない国ですからね。



因みに、中国本土では許氏の論文がネットで閲覧できなくなっているようです。

知識人の公然とした習批判

また国務院発展研究センター金融研究所総合研究室副主任の高善文が2018年7月28日、ある証券会社の講演会で、習近平批判を行ったと伝えられています。

習近平が鄧小平以来続いてきた外交戦略を放棄したことが、米中関係の破壊の原因だと指摘したと伝えられています。

体制内の知識人がはっきり習近平批判できるのは、それだけ党内、体制内に反習近平派が多いということを暗示しています。

こうした党内世論を完全に無視できず、習近平サイドも何かしら手を打ってくるかもしれません。

ゴシップ的なものも含めればメチャクチャ多い反習近平ネタ

ある報道によれば、江沢民・胡錦濤・朱鎔基ら党のOBグループが習近平個人崇拝に不満をつのらせ、何とか習近平を失脚状態に追い込めないか画策する動きがあるなんて話も。

本当かどうかは流石に分かりません。しかし、米中貿易摩擦で習近平に対する不満が顕在化し、これをチャンスとして攻撃に出ようとしている勢力は沢山いるでしょう。

2018年の北戴河会議

北戴河会議とは、河北省の保養地・北戴河で毎年開かれる党の長老および現役幹部らが一同に会する秘密会議の事を言うのです。


秘密会議なので、中国共産党はこの北戴河会議の存在を公式には認めていません。

今年は、党の長老によって習近平の手法が批判され、習近平も軌道修正を余儀なくされるのでは?といったうわさが流れていました。

江沢民ら長老が外交・経済政策見直しを求める意見書を提出?

この会議に先立って、2018年7月には江氏らが習近平に対し、外交や経済政策の見直しを求める意見書を提出したとの噂が広まりました。

また、北戴河に王滬寧(オウ・コネイ)という重鎮の姿がないなどの報道が、反共産党系中国メディアからも噴出していたりしています。

この序列5位の王氏、「3つの代表」「科学的発展観」「中華民族の偉大なる復興」など、江沢民、胡錦濤、習近平という国家主席3代の重要理論の起草に関与し、中南海の“知恵袋”と言われてきた人です。

なんでも第2次習政権は、ここ最近の反習近平の勢いが凄くて、イメージ転換を図るためにこの王氏に一連の政策失敗の全責任を負わせようとしているというのです。

どこまで上記が本当なのかは分かりませんが、こうした事からも、習近平の地位が100%完璧というわけではなさそうです。


この様な事があるからこそ、長老たちも自分たちの影響力を排除させないように北戴河会議という秘密会議の廃止に強く抵抗するのでしょう。

会議の内容は秘密で推察しかできない

この会議は秘密会議なので、内容が公表されることはなく、従って色々な記事や要人のコメントから内容を推察するくらいしか出来ないのですが、色々と出てきている情報を見ると、どうやら習近平を攻撃するといった事はなかったようです。

むしろ、長老たちが反習近平派をなだめて、党内融和を図った、みたいな事も言われています。

長老も、今のアメリカのやり方が、中長期的にはアメリカ自身の力をそぎ、その結果相対的に中国の世界における影響力を高めると見て、今習近平をどうのこうのするのは得策ではないと判断しているのかもしれません。

国営の新華社が、共産党幹部の北戴河入りを異例報道

何度も繰り返しますが、北戴河会議は公には開催が認められていないものなので、共産党支配下にあるメディアも、その内容や状況について報道する事はありません。

しかし、2018年については習氏を含め具体的な人物4名の北戴河入りを明らかにしたのです。

今年の北戴河会議が少し特別なものであることをにおわせるし、習近平のメディア抑圧を内心では快く思っていない新華社の人たちが、少しでも反習近平のサポートになればと考えてあえて報道しているなどという邪推も働いてしまいます。

習近平を個人攻撃しても共産党の為にならない。しかし、むやみな暴走は抑える

対米貿易戦争で習近平がアメリカと上手くやり過ごして、少しずつ中国の対米輸出を減らしたらどうなるのか考えると面白くありませんか?


対米貿易でアメリカに妥協するという事は、アメリカへの輸出を減らすということ。それは中国での生産が海外に行くという事も意味しているので、当然中国での雇用は少なくなるでしょう。そうすると、中国経済は苦境に立たされてしまいます。

ここまで共産党が人民に支持されてやってこれたのは、共産党支配下でそれなりに経済成長の果実を享受できて来たから。

それが出来なくなった時どうなるか。

対米貿易戦争でどういう結果になるかは共産党支配の中国においてかなり政治的な意味合いも持つわけです。

長老もそれは分かっていて、今習近平を攻撃する事でアメリカに隙を見せ、その結果なし崩し的に良いようにやられても、共産党の正統性をむやみに傷つけるだけ。

となると、むやみやたらな習近平攻撃も意味がない。むしろ一致団結して習近平をそれなりにサポートしてやった方が良いのではないか、という結論に達してしまいます。

ただ、一方で北戴河会議に代表される党長老による支配を少しでも弱めようと、憲法改正までした習近平です。

長老も黙っていてはやられてしまうので、一先ず習近平のむやみやたらな独走に楔を打って2018年の北戴河会議は終了したといった所でしょうか。

全ての責任を習近平に転嫁させて共産党の延命をはかる?

これまで、経済成長をその正統性のよりどころとしてきた中国共産党。

しかし、成長を続ける事は出来ません。無理にそれを続けようとするとどこかでひずみが発生して、いつか破裂するのです。


今のシャドーバンキング等の問題から発生する金融恐慌の危険性が、米中貿易摩擦によってエスカレートすると、反習近平派にとっては、絶対権力を持つ習近平は都合が良いはずです。

数々の問題を習近平の責任に転嫁する事が容易になる。

憲法上は可能となった「終身国家主席」ですが、実はまだ習近平を生涯絶対権力者にさせない規制はあるのです。

共産党の内規です。

実は68歳引退が共産党の党規約なのです。それを理由に習近平の生涯絶対権力者化を止めることはそこまで難しくないかもしれません。

共産党が経済政策で失敗しても、全部習近平のせいにして、反習近平が次の新しい共産党の権力を握る、といったシナリオもあるでしょう。

一帯一路戦略の行方

中国が資金援助を行い、各地のインフラ整備を行って、シルクロード経済圏を作るという「一帯一路」戦略も、2018年後半になってから少しずつ雲行きがおかしくなりつつあります。

※一帯一路についての詳細は↓

習近平についてのまとめと研究

どんな国家もインフラ建設は経済成長になくてはならないもの。だから早く整備したい。そこに中国の甘い声がささやく。

一帯一路周辺国、特に発展途上国は中国と協働してインフラ整備する事で借金漬けとなり、その結果中国の言いなりに陥ってしまう事を警戒し始めています。


例えば、中国からの債務返済に四苦八苦するトンガのポヒバ首相は、中国が国家資産を差し押さえる可能性について警戒しています。

同首相が念頭に置いているのはスリランカ。

スリランカは2017年12月、債務返済が難しくなって、その結果、自国の戦略港湾の長期運営権を中国に譲渡しています。これは安全保障上も懸念が生じるのでオーストラリアのメディアも懸念を表明しました。

トンガのポヒバ首相は太平洋島しょ国が共同で中国に債務の帳消しを巡り協議しているとメディアに語っています。それが上手くいかなければ、第二のスリランカの様な国が出てくるかもしれないと同首相は言っています。

こうして、確実に習近平肝いりの一帯一路戦略は各国の懸念をあおる形になっています。

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