少しだけ風向きが変わる??
2018年も後半に入ると、少しだけ違う動きが出てきます。
米中貿易摩擦を契機に??
恐らく、米中貿易摩擦の問題以降、習近平の言っている通りにやって上手くいくのか?的な思いが少し大きくなったのではないかと思われます。
米中貿易摩擦に関しては↓をご参考!
習近平の側近である劉鶴副首相が交渉してうまくいかなかった対米交渉
今回の貿易摩擦に関する対米貿易交渉は、習氏の経済ブレーン、劉鶴副首相が担当してきました。
しかし、2018年5月に訪米した劉氏がまとめた制裁の棚上げ合意はほぼ反故にされて貿易戦争に突入したのです。つまり習近平チームの機能不全と見られつつあるのです。
ここをついて、反習近平の人たちが一斉に攻撃しようとしているのではないかと思われます。
進まぬ米中交渉を逆手にとれるか 繰り返して使う「自力更生」という単語
習近平は2018年9月26日、視察先の黒竜江省で「貿易保護主義の台頭が中国に自力更生の道を歩むよう迫っている」と語っています。
「自力更生」という言葉は建国の父である毛沢東が掲げたスローガンでした。
他国の力に頼らず、自らの努力で困難な状況を克服することを意味しています。旧ソ連が中国への技術支援を打ち切った際などに唱えられてきたらしいのですが、1978年に鄧小平氏が外国の資本と技術を大胆に導入する改革開放にカジを切って以降は、あまり使われていません。
米中貿易戦争が長期化するのを見据え、独自技術の開発を加速するために「自力更生」のスローガンを掲げたとみられますが、それと同時に毛沢東になぞらえる事で自身の権威づけにも使いたかったのでしょう。
もっとも、これについては逆の見方も可能です。
毛沢東を使わないといけないくらい、今の習近平は追い詰められている、と。毛沢東の経済政策では中国に未来がない事はみんな分かっています。
習近平もそれは分かっています。それでも、毛沢東の経済政策以外の威光を少しでも借りたいという習近平の焦りなのか、、、
「自力更生」とは「中国製造2025」につながる
自力更生という言葉自体は、いきなり出てきたわけでもありません。
これは、中国の製造業、特に色々な製造業のコア技術を中国が牛耳って世界を支配するという戦略を記した中国製造2025と通じるスローガンと思われます。
ただ、これが最初に使われた2013年ごろは対米関係の悪化等全く起こるとは思われていなかったので、普通に中国が自らコア技術を作っていきましょうというくらいの言葉であったのに、トランプ大統領が対中強硬策を採ってきたので、これらに対する国民鼓舞のスローガンとして使い始めたのだと思われます。
ICPO現役総裁の拘束に見られる習近平指導部の切迫感
2018年10月7日、一つのニュースが流れました。
現役のICPO(国際刑事警察機構、通称インターポール)総裁である孟宏偉が法に違反した疑いで中国内国内で拘束されたというものです。
フランスのリヨンに残る孟宏偉の家族が仏警察当局に届け出て発覚しました。中国政府から自発的にそういった発表はもちろんありません。
その後、孟宏偉はICPOの総裁を辞職します。
この事から何が言えるのでしょう。
習近平を中心とする中国指導部は、国際警察組織の大混乱を全く気にすることなく、自らの都合だけでICPOの現職総裁をいきなり拘束したわけです。国際常識から考えてありえません。
国際社会から批判を浴びるリスクを犯してでも、それを決行すべき事情があったのでしょう。
それは「反腐敗」の嵐を再び吹かせて、2022年の党大会の人事で自らの立場を引き続き安泰にしたいとする習近平指導部の思惑、といった所でしょうか。もちろん推察に過ぎませんが。
こんなに早くその様に動くのは目下の米中貿易摩擦や一帯一路に関する国際的な批判といった、習近平指導部の責任が問われかねない事象が起きていて、その対処に四苦八苦しているからと見る事も出来ます。
習近平はとても不安なのかもしれません。
大学の壁に書かれた「新聞」
最初にニュースになったのは、2018年5月でした。
北京大で「毛沢東は個人崇拝を推し進めた結果、・・・・人民は無数の災禍を経験した」「習氏は個人崇拝を大々的に推進している」「我々は警戒を強めるべきだ」といった壁新聞が出現したのです。
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