【2019年8月時点】ブラジルレアルの状況と見通し

ここではスポット記事として、2019年8月時点のブラジルレアルの現状と見通しを記述します。

最新のブラジルレアルの見通しは以下でご確認ください。

【2020年7月】中長期的に見れば買って良いブラジルレアルの現状と今後の見込み

この記事は、2019年8月時点がどうであったかを後から確認するためのものとして残しております。

ブラジルレアル全般について現状を整理しつつ今後の見通しなどを展望します。このほかブラジルレアルの年金改革のスケジュールやボルソナロ政権の状況についての簡単な説明をします。

ブラジルレアルの現状と動向

2019年8月時点のブラジルレアル

1BRL=26~28円

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ここ最近は27~29円でウロウロしている感じです。8月は少しボラタイルです。
2019年8月20日追記

8月に入ってから、なんとなくブラジルの内政(改革の進展など)などよりも米中摩擦の激化やアルゼンチンペソの急落といった外部要因でブラジル経済が危ぶまれる感じが強くなっています。

引き続き内政の状況には注意しながらも外部要因でレアルがどうなるか注意する必要もあるでしょう。

レアル円のチャート推移(2019年7月末までの直近1年)

【2019年7月末時点のレアル円のチャート】出所:TraingView

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チャート的にはずっと下り坂なので、もう少しで上昇トレンド?と思いたくなるところです。。。

ドル・レアルのチャート推移(2019年7月末までの直近1年)

【2019年7月末時点のドルレアルのチャート】出所:TraingView

2019年8月14日追記

8月に入ってから、米中貿易摩擦や中旬に起きたアルゼンチンペソの急落を受けて、ブラジルのみならず多くの新興国通貨が軟調です。

時間と資金が許すのであれば、大きく落ちた所で拾っていく位の視野で臨みたい所です。

口で言うのは簡単ですが。。。

2019年8月15日追記:アルゼンチンペソ急落の影響

2019年8月11日、アルゼンチンは大統領予備選で左派が勝利した事で、通貨ペソが急落しました。

この混乱は隣国であるブラジルにも波及しています。

例えば、8月14日にはブラジルレアルは対ドルで5月下旬ぶりに1ドル=4レアル台に下落、レアル=円でも26円台に落ちています。

ブラジルとアルゼンチンは経済関係も深く、通貨レアルも弱含む傾向にありますが、どこまで悪影響が広がるかはまだ8月中旬時点では分かりません。

注意しておくべきでしょう。

注目されたボルソナロ政権の年金改革は大詰め

注目されていたボルソナロ政権の年金改革は2019年8月時点では道筋が見えている段階で、期待感が膨らんでいます。

年金改革法案、これまでの流れ

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ここで、年金改革のスケジュールを確認しておきましょう。結構長いのです。
2019年2月
ボルソナロ政権、年金改革法案を提出

ここがスタートです。

2019年4月
下院憲法司法委員会

色々ありましたが、無事通過 

2019年7月
下院特別委員会

ここでの議論もそれなりにありましたが、無事通過 

2019年7月中旬
下院本会議

二回投票がある中で、7月は第一回の投票だけ行われ通過しました。 

2019年8月~9月
下院本会議第二回の投票

第一回は改革法案の前文について、第二回は法案内容についての承認です 

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しかし、これで終わりではありません。上院でも同じプロセスが存在します。。。
1.下院本会議
2.上院の憲法司法委員会
3.特別委員会
4.上院本会議

といった感じです。

MEMO

2019年7月中に下院で1回目の採決が行われたので、関係者は2019年中に本改革法案が成立する可能性が高いと見ているようです。

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議会での勢力があまりないボルソナロ政権にとって、この法案の成否を占うリトマス試験紙とみられていたのが下院の第一回目の採決でした。

下院本会議の1回目の投票で、賛成が圧倒的多数でした。

このため、今後の投票についてもこの流れが続くと見込まれていて、上手くいけば10月頃までに上院での採決が行われる予定です。

MEMO

ボルソナロ政権と議会のやり取りが順調に行くかが、年金改革の行方を左右し、マーケットもそのやり取りに一喜一憂してきたのです。

年金改革法案の進捗については下の記事で最新状況をフォローしています。ご参考ください。

ブラジル大統領ボルソナロ氏の経済政策に関するまとめ

年金改革法案が通るとどうなるの??

ムダを廃して出来た新たな財源を、様々な経済政策に振り向けることが出来るようになります。

ブラジルでは社会保障関連支出が大きく、基礎的財政収支は2014年以降5年連続で赤字となっています。

今回の『年金改革』により、財政収支が改善すれば、新しい経済政策や景気刺激策を行う余地が生まれ、ブラジル経済を支えることができると期待されています。

これはもちろんブラジルレアルを上昇させる一つの要因となりうるでしょう。

2019年8月9日追記

2019年8月7日に、ブラジル下院は年金改革法案の2回目の採決を実施し、賛成多数で可決しました

このまま順調にいけば、9月頃に上院で採決が取られる見込みです。

下院を通過した事は年金改革法案実現に向けた重要なステップです。

国有企業改革も前進か

2019年8月21日、ブラジル政府は郵政電信公社など国営・国有17社を2019年末までに民営化すると発表しました。

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ボルソナロ政権の「小さな政府」路線の目玉政策の一つです。

肥大化した国営・国有企業の経営効率化と政府保有株の売却で財政再建を加速させますが、まだこれでは終わらず、国営石油会社ペトロブラスも含めたさらなる民営化案も浮上しているようです。

ただ、これまでは、政府が民営化を提案しても、既得権益を守りたい議員の反対で、骨抜きされるケースが多くありました。

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最近で言うと、、、

2017年にはテメル前政権がエレトロブラスや造幣局の民営化を提案しましたが、議会の賛成を取り付けられず、失敗に終わったという経緯があります。

この民営化改革が上手くいけば、もちろんレアルにとっては追い風となるでしょう。

弱い経済指標で、ボルソナロ政権への風当たり強くなる?

色々なムダを廃してブラジルを復興させるというのがボルソナロ大統領のビジョンなわけですが、足下の経済指標で色々な所から攻撃されたりするのはどこも同じ。

2019年5月30日に発表された1~3月期の実質経済成長率は前期比で▲0.2%と、9四半期ぶりのマイナス成長となりました。

背景としては、

  • 企業の設備投資減退
  • 輸出低調
  • 消費減退

等です。

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一喜一憂する必要もありませんが、この数値が改革を進めるボルソナロ政権に対する批判となって、彼の改革の足かせとなってしまうと、海外投資家としては嫌な所です。
2019年8月26日追記 アマゾン森林火災について

2019年8月に発生したアマゾン森林火災への対応を巡って、世界があボルソナロ政権を批判しています。

批判されるだけならまだ良いですが、代償として色々なペナルティが起きてしまう可能性もあります。

例えばフランスのマクロン大統領はEUとメルコスール(南米共同市場)との自由貿易協定締結に悪影響がでると語っているほか、現在EUの議長国を務めているフィンランドからは、「ブラジル産牛肉の禁輸措置も検討すべき」との声も上がっていたりします。

アマゾン森林火災を巡る動向にも注意が必要と思われます。

ブラジルレアルの金利はどうなるか

2019年8月時点の政策金利 6.0%

2019年7月31日、ブラジル中央銀行は政策金利を約1年4カ月ぶりに引き下げることを決めました。

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アメリカの利下げに追随した形です。
MEMO

すでにアジア、オーストラリアで利下げの動きが出ており、世界的な流れになっています。

利下げは2018年3月以来です。

ブラジルのこれまでの金融政策

これまでブラジルは、景気が悪いながらも通貨安を警戒し政策金利を維持してきました。

中央銀行は、ボルソナロ政権の改革の行方と、物価上昇が落ち着きつつある中で、アメリカが利下げに踏み切ったこともあり、金融緩和が可能な環境が整ったと判断したようです。

今後の見込み

中央銀行は弱いインフレ見通しに伴い、一層の緩和が可能になるとの認識も示唆してます。

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利下げする事は通貨安につながるのでは?

確かに、追加利下げへの思惑が通貨を下押しする可能性はありますが、それ以上に年⾦改革法案の進展期待が通貨の上昇材料になると考えられます。

世界的な金融緩和の流れの中で、引き続き相対的に⾦利の高いブラジルレアルには資⾦流⼊が増えるという可能性があり、そうなればブラジル・レアルの上昇を後押しすると考えられます。

ブラジルの政策金利の推移は↓

【最新】ブラジルの政策金利と金融政策の推移とまとめ2018~

外貨準備を活用したレアル買い介入を実施(2019年8月15日追記)

ブラジル中央銀行は8月に起きているレアル下落圧力を抑制するために2009年2月以来の、米ドル売り介入策を行うと発表しました。

8月21日から29日の間に最大で38億ドル程度の米ドル売り加入を実施するというものです。

ただ、今回の介入は新規の米ドル売り介入という事ではなく、既存の通貨スワップ介入残高の一部を米ドル売却と引き換えに解消するというものであり、通貨防衛を狙ったものとまでは言えなさそうです。

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ブラジルの外貨準備高は大丈夫でしょうか。

ブラジルの外貨準備は直近で3800億ドル強あります。

今回の為替介入のレベルはたったの1%なので、特に心配はないと思われます。

ブラジルレアルの今後の見通し

今後の見通しを考える場合、まずは直近の最下限はどこなのかを知っておく必要があります。

それは、

2018年9月10日 1米ドル=4.24レアル台
2019年8月25日 対円で1レアル=25.3円で史上最安値を更新

の二つでしょうか。

注意!2019年8月26日追記

2019年8月26日、対円史上最安値が更新されました。。。

25.4円程度となっています。

ただ、外部要因もかなりあり、ブラジル自体の要因というわけでもないので個人的には様子見です。

資金に余裕がある人は、時間分散を意識しつつしっかりと仕込んでおくと良いでしょう。

まずは、このラインが今後レアルが急落した時の一つの心理的ポイントとなるはずです。

因みに、2019年7月末現在は

1米ドル=3.8レアル
1レアル=28円

となっています。

ビッグマック指数(≒購買力平価)で考えた場合のBRL

もう一つ、通貨が割安か否かを考える時のツールであるビッグマック指数と実際のレートを検討してみましょう。

ビッグマック指数の説明等は↓をご参考ください。

割安な新興国通貨はどれだ??購買力平価(ビッグマック指数)で考える簡単チェック

日本のビッグマックは390円、ブラジルでは17.5ブラジルレアル(2019年7月現在)。

1BRL 22.28円(2019年7月末時点)

が購買力平価説を基にした簡易的なブラジルレアル・円の為替レートになります。

こうした所からすると今の為替レートは高めになっているという事ですね。

ブラジルレアル安の理由は様々だが、政治の混乱である事が多い

2015年に史上最安値を更新した背景として、政治の混乱がありました

当時ブラジルレアルが回復したのは、ルセフ前大統領が辞職し、テメル大統領代行の大統領昇格となった後、政治機能の回復が見られたためです。

現状、ボルソナロ政権はおおむね安定的に政治運営しており、喫緊のリスクとして政治リスクを意識するほどではないと思われます。

まずは年金改革の行方を注意、上手く行けば1レアル=30円台は超えるか

やはり、ブラジルはファンダメンタルズの弱さがありますので、それをいかに計画的になくしていくか、という事でしょう。

その意味で年金改革が順調に進むか否かはかなり重要です。

政治は最後までどうなるか分かりません。

ただ、年金改革は今年中に遅くても決着がつくはずです。

また、年金改革法案に加え、税制改革などの構造改革の進展や、ブラジルの景気動向も注目ポイントとなるでしょう。

年金法案などが決着した後だとすぐに上昇してしまう可能性もあるので、それまでは不安定な状態でも、5~6%くらいの金利をもらうつもりで少しずつ仕込み、来たる上昇に向けて準備しておいても良いかもしれません。

おすすめの投資信託やETF

個人的にお勧めするのは、やはり外資系の運用会社の商品か、国内の運用会社でもしっかりとした海外のブラジル運用に強い運用会社に外部委託している商品です。

ポイント
外資系の運用会社や外部委託をしている投資信託は、信託報酬が若干高くなる傾向にありますが、信託報酬の高さばかり気にして、肝心のリサーチ体制やパフォーマンスを置き去りにしてはいけません。

パフォーマンスは1年などの短期ではなく、なるべく長めのもののほうがパフォーマンスの差がしっかり出ます。

また、純資産が最低でも10億円はあるものが良いと思います。

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あまりに純資産が小さいファンドは、運用会社も入ってくる信託報酬が多くないので繰り上げ償還(途中でファンドの運用をやめてしまうこと)をする可能性が高くなってくるからです。

加えて個人的に重視しているのはレポートの充実です。

投資する前も投資した後も質の高いレポートがたくさん出ている事は大切ですね。特にしっかりと相場観を記している所は重宝するものです。

加えて、これは完全に個人の経験によるもので、何か科学的なデータがあるわけではないのですが、販売手数料のない商品(ノーロード)のものより、手数料かかる投資信託の方が何となくパフォーマンスが良いような気がします。。。いつもそういうわけではないのですが。。。

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