NAFTA再交渉の経緯 まとめ

2018年3月

NAFTA交渉 年内妥結は難しいとの見方

NAFTA交渉について、関係国は2018年7月の大統領選までに合意を目指す予定でしたが、お互い選挙(メキシコは大統領選挙、アメリカは中間選挙)があるため年内の合意形成は難しく、妥結は2019 年にずれ込む可能性が高いという雰囲気が出てきています。

メキシコについては、NAFTA の行方が定まらないことで設備投資が抑制され、当面の経済状況に若干の悪影響を与えるかもしれません。

アメリカ アルミ・鉄鋼輸入の制限措置を表明

2018年3月にアメリカが正式決定した輸入制限措置については、今後どのような影響が出てくるか注視が必要です。

メキシコはNAFTA再交渉は今回の制限措置と無関係であり、独立して進められる旨の声明を発表しました。

声明では「20年間、北米の鉄鋼・アルミ産業は地域での統合の度合いを高めてきたものであるが、供給過剰が問題であるとも認識しており、長期的な視点での解決に取り組んでいる」と言っています。

2018年2月

7回目の交渉

メキシコとの交渉は2018年2月下旬から7回目の会合が行われていますが、目立った成果は上げられなかったようです。

元々は1月に行われる予定だったものですが、2月に延期されており、今回はお互いの主張をぶつけ合う従来のものと同じだったようですね。

2018年1月

アメリカ一般教書演説ではNAFTA脱退に触れず

2018年1月のトランプ米大統領による一般教書演説で、NAFTAから離脱する意向を表明する事はありませんでした。


いつも声高にNAFTA脱退を掲げているため、演説の中にも盛り込まれるとの予測がありましたが、そこまではいきませんでした。

NAFTA脱退には、トランプ支持層からも反対の声

米国は協定離脱も辞さない姿勢で早期合意を目指し、再交渉期限を2018年3月末としていましたが、ここに来て米国側の態度が軟化し、期限を延長させる可能性も出てきました。

背景にはNAFTA離脱によりトランプ大統領の支持層にも雇用が奪われる等の悪影響が心配され、批判が高まっていることもあるようです。

カナダ・メキシコは苦慮

アメリカの「米国第一主義」にカナダ・メキシコは反発し交渉は難航しています。

2017年はアメリカの貿易赤字の削減の明確な成果はなかったので、アメリカとしては2018年こそは、と思っているかもしれません。

また、カナダとメキシコにとっては、米国の強硬姿勢のみならずTPP11(包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定)交渉も同時に行っているので、より状況が複雑なのです。

NAFTA脱退があったとしたらどうなっていたのか

交渉が始まる前から脱退については懐疑的な見方が強かったようです。

NAFTA脱退が実現したとしても、米国はWTO加盟国である為、最恵国待遇税率としてメキシコから輸入される乗用車には日本と同率の2.5%の関税率が適用されます。


もちろん、WTOさえも脱退したらまた話は変わってくるのでしょうが、影響が大きすぎます。

メキシコの安い労働力や地理的優位性を考慮すると、メキシコの強味は十分に残ります。NAFTAによってメリットを得ているのはほかならぬアメリカなのです。

結局、トランプ大統領がどこまでNAFTA脱退というシナリオを真剣に考えていたかについては定かではありません。

しかし、アメリカがメリットを受けている貿易相手国はメキシコだけではありません。

純粋に貿易協定から得られるメリットを考慮すれば、政治的パフォーマンスとのバランスを考えて、一定程度予想できる範囲内で落ち着くと考えると良いでしょう。

中国の場合は、貿易もさることながら、覇権をめぐった戦いの色合いもあるので、メキシコとの交渉の経緯がどこまで役立つかは分かりません。

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