ここではスポット的に2020年5月の中国全人代に絞って記事をまとめます。
中国は世界第二位の経済大国として、その景気動向が世界全体に影響を与える為、注目されています。
もちろん、中国株式に投資をしている人はもちろんのことだと思います。
全人代は毎年の成長目標を示すなど投資家として注目のテーマがあったりするため、一つの記事としてまとめ直す事としました。
昨年の全人代に関する記事は【2019年3月】中国全人代に関するまとめ
2020年の中国全国人民代表大会(全人代)に関するまとめ
全人代とは
年に一回開催される、中国の国会にあたるものです。
今年も第14期全国人民代表大会(全人代)が2020年3月に北京で開催されます。
詳細の説明は↓に記述してありますのでご確認ください。
開催が延期された2020年全人代
中国の全⼈代の常務委員会は2020年2月24日、新型肺炎の流⾏が続いていることを受けて、第13期全⼈代の延期を正式に決定しました。
3月5日に開幕する予定でしたが、新型コロナウイルスによる肺炎の患者が湖北省を中心に増え続けており、感染拡大の封じ込めを優先するためです。
重要政治会議の延期は極めて異例です。
中国の憲法は全人代を「最高の国家権力機関」と明記し、毎年1回開催すると定めています。
開幕日には李首相が施政方針に当たる「政府活動報告」を説明し、2020年の経済成長率などの目標を示す予定でした。
全人代は1998年以降、毎年3月5日に開幕しており、3月以外の開幕は84年まで遡ります。
5月22日からの開催に決定
2020年4月29日、新華社が全人代を5月22日から北京で開くと報道しました。
国政助言機関である人民政治協商会議(政協)が5月21日に会合を計画との報道もあったが、全人代などの開催期間や形式への言及はありませんでした。
コロナウイルス対策
リーマンショックの時と同じ様な大規模な経済政策は可能か
新型コロナウイルスで傷んだ経済の立て直しへ、全人代でも財政出動を含んだ対策が話し合われるでしょう。
しかし巨額の対策は債務拡大を伴い、警戒も強いと思われます。
リーマンショック時は4兆元対策(当時の為替レートで56兆円)で世界経済の回復をけん引したわけですが、なかなかその再現は難しそうです。
中国も、リーマンショック時の経済対策によって中国の経済派V字回復し、各国から称賛され、中国の国際的な地位が大きく向上した事は良かったと思う一方、産業の構造転換が始まったばかりの中国経済に過剰債務の重荷を負わせ、構造改革を難しくしたという思いもあり、それの再現をするのはハードルが高そうです。
2020年の成長目標
成長目標は設定しない
2020年の全人代ではGDPの目標を成長率の数値ではなく文章化して発表しました。
昨年の目標は6ー6.5%でした。一方で、今年の成長率の予想値は1.5~1.8%となっています。
中国指導部が成長率の数値目標発表を見送るのは、少なくとも過去20年で初めてです。
但し、以下に示す通り、財政赤字のGDP比が3.6%以上と設定されたことから逆算すると、名目GDP成長率は+5~6%程度、GDPデフレーターを+1.5%と想定すると、実質GDP成長率は+3.5%~4.5%程度に設定されたと推測されます。
国際通貨基金(IMF)は20年通年の実質成長率を1.2%と予測していますが、それを上回った目標という事です。
その他のポイント
これ以外に今後の政策のポイントの一つと見られているのが生産要素配置の市場化というものです。
生産要素配置の市場化の中身は、①土地、②労働力、③資本、④技術、⑤データの5つの領域で、市場原理の導入を強化していこうというものです。
土地の市場化の焦点
土地の焦点は、農村部での規制緩和と言われています。
中国では都市部と農村部で規制が大きく異なっています。
中国において農地は農業以外の土地活用のみならず自由な売買すら難しい状況です。
このため、農業以外の活用が進まず、特に都市近郊では、都市計画の妨げになると共に、農村の収入機会も奪ってきました。
今の中国は都市住民が既に全人口の6割となっており、都市の内部にも農村地域が混じる現状では都合が悪くなっています。
規制緩和によって、農村の土地活用範囲が広がり、土地区画の整理も進むと期待されます。
労働力の市場化
中国では戸籍が農村部か都市部かで居住場所の制限がありました。
これは都市部への人の大量の流入を抑制するために作られたのですが、2014年に廃止が打ち出されており、2020年中には、都市戸籍か農村戸籍かという制限はなくなる見込みのようです。
各都市ではそれ以外にも収入や学歴で線引きをしたりなど色々な移動の制限がありましたが、昨年までに常住人口300万人以下の都市では撤廃されています。
今後は、北京、上海など常住人口1,000万人を超える超大型都市を除き、その他の都市で同様な規制緩和に踏み込むことが想定されます。
政府活動報告の内容
以下、5月22日に行われた経済政策関連の活動報告概要です。
2019年全体
貿易摩擦の深刻化で国内経済には下押し圧力が強まったものの、「小康社会」の全面的な完成に向けて決定的な基礎をつくることが出来た。
GDPは99兆1千億元(約1500兆円)に達し、6.1%のプラス。
失業率は5.3%以下に保たれたほか、消費者物価は2.9%上昇。
新型コロナウイルスについて
20年1~3月期は経済のマイナス成長などの大きな代償を払う事となった。
既に90項目の政策措置を打ち出し、生産再開を効果的に促進させた。
2020年の経済目標
都市部の新規就業者数の目標は900万人以上とし、失業率は6%前後とする。消費者物価の上昇率は3.5%前後とする。経済成長率の年間目標は示さず。
今年のGDP伸び率は2ー3%程度と前年の6.1%から大幅に鈍化するとの予想もあるようです。
但し、以下に示す通り、財政赤字のGDP比が3.6%以上と設定されたことから逆算すると、名目GDP成長率は+5~6%程度、GDPデフレーターを+1.5%と想定すると、実質GDP成長率は+3.5%~4.5%程度に設定されたと推測されます。
国際通貨基金(IMF)は20年通年の実質成長率を1.2%と予測していますが、それを上回った目標という事です。
財政
20年の財政赤字のGDPに対する比率は3.6%以上とし、財政赤字の規模は19年比で1兆元増加とする。
但し、緊急時の特別措置として感染症対策の特別国債を1兆元発行する。
減税
中小・零細企業の失業や労災保険で企業負担分の免除など、6月に適用期限が終了となる減税政策のすべてを20年末まで延長する。
これによって見込まれる企業で年間の負担軽減額は2兆5千億元以上となる予定。
金融
預金準備率と金利の引き下げなどを総合的に活用し、広義のマネーサプライなどの伸び率が19年の水準を上回るよう促す。
中小・零細企業で融資の元金と利子の支払い猶予を21年3月末まで延ばす。
インフラ及び消費
地方特別債を2019年より1兆6千億元増やして3兆7500億元。プロジェクトの資本金として使用できる特別債の比率を引き上げ、中央政府の予算枠内の投資を6千億元に。
そのほか、都市部の古い住宅地の改築、鉄道建設の資本金を1千億元増加。
政府活動報告で打ち出された財政刺激策の規模はGDPの約4.1%に相当するようです。
市場開放及び貿易戦争
外資参入を制限する分野を定めたネガティブリストの項目を大幅に減額。
一帯一路の建設も質の高さを保ちつつ進める。
中日韓の自由貿易協定などの自由貿易交渉を推し進めるほか、米中貿易合意第1段階を共同で徹底。
香港の自治問題
全人代の最終日である28日、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針を採択しました。
中国が国家安全に関する機関を香港に設置して直接取り締まりができるようになる法律です。
言論の自由も制限され、高度な自治を認める「一国二制度」が形骸化するとして、香港の民主派のみならずアメリカも反発を強めています。
香港株は下落
この発表を受けて香港株は下落し、値動きの激しい展開となりました。
ハンセン指数は前日比0.7%安の23132.76で終了しています。
一時2.2%安となった後、下げを消しました。中国企業株が上げたことで、本土のファンドが買いに入ったとの観測が生じたようです。
閉幕後の首相会見
5月28日、李克強首相は全人代の閉幕を受けて記者会見しました。
李氏は経済について、雇用の維持などを実現し一定のプラス幅で経済の安定をめざすと語りました。
中小零細企業の支援を強化し、雇用の維持に全力を挙げる方針を強調しました。
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