ここでは、ベトナムの経済データについてフォローしていきます。
2025年1月
2024年のGDPは7%増
1月6日、2024年の実質国内総生産(GDP)が前年比で7.09%増だったと発表されました。
年初目標の6.0~6.5%を上回りました。
輸出がけん引し、東南アジア主要6カ国で最も高い成長率になったとみられます。
このほか、海外からの活発な直接投資を受けて総固定資本形成が高い伸びを示したことや、サービス業を中心に民間消費が底堅く推移したこと、などもGDPの高い伸びに寄与したと思われます。
2024年10月
GDP、7.4%増
10月6日、7~9月期のGDP成長率が前年同期比で7.40%になりそうだと発表しました。
2年ぶりの高成長となります。
台風の影響で農林水産業の伸びは鈍化したものの、製品輸出の好調などが寄与したようです。
【2010年以降のGDP成長率の推移(出所:TradingView)】
2024年6月
GDPは前年同期比6.93%の成長
ベトナム統計総局は6月29日、4〜6月期のGDPが前年同期に比べて6.93%増になりそうだと発表しました。
【2005年から直近までのGDP成長率の推移(出所:TradingView)】
輸出が10%以上伸びたことで、成長率は1〜3月期(5.87%)を大幅に上回りました。
政府は目標に掲げる年6.0〜6.5%の成長に向けた景気回復をアピールしています。
2024年3月
GDP成長率が予想を下回る
ベトナムの1-3月期実質GDP成長率が市場予想を下回りました。
前年同期比+5.7%となり、景気回復の鈍さが出たと言えます。
ただ、3月の輸出はそこそこ好調で前年同月比+14.2%となり、今後は輸出主導で景気回復が行われると見られます。
【2019年から直近までのGDP成長率の推移(出所:TradingView)】
2023年12月
年間の成長率は5%強
12月29日、2023年のGDP伸び率が前年比で5.05%になる見通しだと発表しました。
当初目標だった6%超に届きませんでした。
なお、同年10-12月の年率成長率は6.72%でした。
景気は足元では回復傾向ですが、企業を取り巻く事業環境はなお厳しく、本格回復には時間がかかりそうな印象です。
【2019年から直近までのGDP成長率の推移(出所:TradingView)】
2023年9月
振るわないGDP成長率
9月29日に発表された2023年7~9月期のGDPの伸び率は前年同期比5.33%でした。
新型コロナウイルス禍から緩やかに改善していますが、主力の製造業の回復が鈍く、輸出はマイナスが続いています。
【2018年から直近までのGDP成長率の推移(出所:TradingView)】
ベトナム共産党が目標とする年率6.5~7.0%の達成は厳しい情勢と言えそうです。
2023年6月
GDPは低水準
6月29日に発表された2023年4〜6月期のGDPは前年同期比4.14%増でした。
観光などサービス部門が回復し、成長鈍化が鮮明になった1〜3月期からはやや改善した数値ですが、新型コロナウイルス禍前の力強い経済成長には見劣りします。
ただ、ここ最近は株価は堅調で、上昇トレンドのようになっています。
株式投資としては今は良い状況と言えそうです。
【2018年から直近までのGDP成長率の推移(出所:TradingView)】
景気懸念の数値
ベトナムで景気後退の懸念が強まっているようです。
米国経済の減速で輸出産業が落ち込み、電力不足なども影響しているようです。
政府は公共投資を増やして経済を下支えする方針のようですが、先行きは不透明です。
2023年3月
1-3月期は3%成長
3月29日に発表された2023年1〜3月期のGDPは前年同期比3.32%増でした。
【2018年から直近までのGDP成長率の推移(出所:TradingView)】
伸び率は新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が急減速した20年1〜3月期(3.21%)以来の低さとなりました。
要因は個人消費が回復傾向にあるものの、けん引役の輸出が前年同期を1割以上下回っていることです。
強みの電子機器輸出が振るわず、不動産市況の低迷が鉄鋼業など幅広い産業に波及しています。
政府・中央銀行は連続利下げで景気の下支えに躍起ですが、政府が掲げるGDPの年6.5%成長の目標達成は難しいとの見方が大勢です。
2022年12月
実質8%成長
12月29日、2022年のGDPが前年比8.02%増だったと発表されました。
厳格だった新型コロナウイルスに関連する移動制限が緩和され、個人消費が大きく回復した事が背景です。
四半期(9-12月)の成長率は年率で5.92%です。
【2017年から直近までのGDP成長率の推移(出所:TradingView)】
今回の成長率は公表データで遡れる2009年以降で最も高い成長率となりました。
また、最近は中間所得層も厚みを増しており、個人消費などの最終消費支出は7.18%増えました。
2022年9月
GDPが13%以上の成長
9月29日に発表した2022年7~9月期のGDPは前年同期比13.67%増でした。
対米輸出が前年と比べ2割以上のペースで拡大し、個人消費も伸びています。
【2017年から直近までのGDP成長率の推移(出所:TradingView)】
新型コロナウイルスの影響でマイナス成長になった前年同期の反動で高い伸びを記録しました。
四半期ベースで成長率が2桁を超えたのはデータが遡れる09年以降で初めてです。
4~6月期の7.83%から成長が加速しました。
ベトナムは新型コロナの流行による厳格な移動規制の影響で21年7~9月期のGDPが6.03%減になりましたが、その後は規制を段階的に緩めており、経済の回復基調が続いています。
ムーディーズ、ベトナムを格上げ
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ベトナム政府の長期発行体の格付けをBa3からBa2へ1段階引き上げました。
力強い経済成長や、世界的なサプライチェーンでの地位向上、慎重な財政政策等による財政基盤の向上などが評価されたようです。
2022年8月
経済指標は引き続き好調
ベトナムの8月経済指標は、絶好調な景気状況を示しています。
懸念されていた輸出は前年同月比+22.1%へ加速し、鉱工業生産も製造業を中心に同+15.6%となり、世界的な景気減速の影響は現時点ではみられません。
2022年7月
主要経済指標が好調
7月29日に発表されたベトナムの7月主要経済指標は、多くが好調でした。
小売売上高の前年同月比は、比較対象の2021年7月に広範囲のロックダウンが実施されたこともあり、+42.6%と上振れし、鉱工業生産も製造業などが好調で、同+11.2%。
また、物価上昇率は+3.1%と抑制され、マクロ環境は引き続き良好です。
【翌週のVN指数の推移(出所:TradingView)】
©Trading View
2022年6月
第2四半期の成長率がポジティブサプライズ
ベトナムの4-6月期GDPは前年同期比+7.7%と2009年以来の高水準となり、ポジティブサプライズとなりました。
ベトナム統計総局が6月29日に発表した2022年4~6月期のGDPは前年同期比7.72%増でした。
- 最大輸出先の米国向けが高い伸びを続けていること
- 新型コロナウイルスに関する規制が撤廃され、個人消費も回復してきたこと
などが背景です。
ただし足元では原油価格の高騰でインフレ圧力が強まり、高成長を持続できるかは不透明ですが、政府の2022年の成長目標である「6~6.5%」が上振れする可能性も視野に入ってきました。
因みに、4~6月期の成長率は四半期としては09年以降で最も高く、1~3月期の5.05%からさらに成長が加速した形です。
ベトナム経済は外需依存度が比較的高いなか、中国経済の正常化は景気の追い風になり得る一方、中銀のタカ派傾斜は欧米など主要国経済の不透明要因となり得ます。
2021年12月
2021年は2.5%成長
12月29日、2021年のGDPが前年比2.58%増だったと発表しました。
政府は21年通年で6.5%の経済成長を目標に掲げてきたが、大幅な未達になり、2020年実績(2.91%増)も下回ってしまいました。
具体的な数値としては、
- 輸出は堅調だったものの、新型コロナウイルスの感染拡大で移動制限が長引き、個人消費が大きく低迷。
- 2021年通年の輸出額は今夏までの生産が比較的好調だったこともあり、前年比19%増加。
- 10~12月期の小売売上高(サービス含む)は前年同期比2.8%減少。
ベトナムは今春までコロナ対策の「優等生」でしたが、7月以降、デルタ型の感染拡大に見舞われました。
封じ込めのため、一部地域で工場内に従業員をとどめる「工場隔離」を企業に義務付け、その結果工場の停止や減産が相次いでしまいました。
政府は10月以降、厳格な外出規制を段階的に緩和してきたため、新規感染者が増えています。
足元ではアジア最多の連日1万5000人前後に上っており、本格的な経済再開の足かせになっています。
IMFは2022年の成長を6.6%成長と予測しています。
ベトナムは米中貿易戦争の激化による中国からの生産拠点の移転を追い風に、19年まで2年連続で7%成長を実現してきました。
ただ、医療体制が脆弱なベトナムでコロナの感染拡大が長引けば、周辺国よりも厳しい防疫措置を再導入する必要が出てきます。
コロナ対策と経済再開の難しいかじ取りが必要となります。
2021年9月
初のマイナス成長
ベトナム統計総局が29日に発表した7~9月期のGDPは前年同期比6.17%減でした。
新型コロナウイルスの感染拡大で、個人消費が大きく低迷しました。
流行地域のホーチミン市など南部を中心に従業員が敷地内などで寝泊まりして働く「工場隔離」が厳格に運用されたことが影響したようです。
現地メディアによると、四半期ベースで統計を遡れる2000年以降で初めてのマイナス成長になりました。
やはり周辺国と比べて厳しい行動制限が、経済に大きなインパクトを与えているようです。
2021年6月
経済の回復進む
ベトナムでは新型コロナウイルスの流行が再燃する中、経済の回復が続いています。
29日発表された4~6月期のGDPは前年同期比6.61%増でした。
4月下旬から変異ウイルスが流行し、行動制限を強化しているものの、対米輸出が年初から前年同期比で4割強増えていることが成長をけん引しました。
足下では企業マインドに大きく下押し圧力が掛かっている上、人の移動も鈍化するなど景気は減速が避けられなくなっているようです。
政権は表面的に落ち着いていますが、批判が強まる懸念もあり、監視国家色を強める新たなリスクも出てくるかもしれません。
2021年3月
1-3月は4.48%増
ベトナム統計総局が3月29日発表した1~3月期のGDPは前年同期比4.48%増となりました。
同国は新型コロナウイルスの感染拡大を基本的に抑え込んでおり、底堅い成長を続けています。ただ、政府予想(5.12%)をやや下回っています。
成長率は2020年10~12月期の4.48%と同じ水準でした。
2020年12月
2020年の実質GDPは2.91%のプラス
ベトナム統計総局は12月27日、2020年のGDPの増加率が実質で2.91%だったと発表しました。
パソコンや電子部品関連など最大の輸出国である米国向け輸出が24.5%増えた事が主因です。
新型コロナウイルスの感染拡大で周辺主要国がマイナス成長に陥る可能性が高い中、輸出主導でプラス成長を維持しました。
10~12月の成長率は前年同期比4.48%でした。
ベトナムは新型コロナの封じ込めが上手くいき、外出制限措置の期間を4月の約3週間にとどめることが出来ました。
これによって経済への影響が比較的軽く済み、また、周辺国からの代替生産需要も取り込むことに成功しました。
米中貿易戦争による米国からの制裁関税を避けるため、グローバル企業による中国からの生産シフトも続いています。
対米黒字が日本越え
アメリカが12月16日にベトナムを制裁措置の対象となる「為替操作国」に認定しました。
中国の代替先として製造業が集積した結果、対米輸出が急速に膨らみ、アメリカの警戒を招きました。
外資誘致を軸に経済発展を図ってきたベトナムの国家戦略に影響を及ぼす可能性があります。
2020年11月
ベトナムがコロナ禍で独り勝ち
東南アジア経済でベトナムが一人勝ちとなっています。
既報の通り2020年7~9月期のGDPはプラス成長を維持し、ベトナムは2020年中に名目GDPでシンガポールなどを上回る見通しです。
新型コロナの感染拡大で東南アジアの主要国が軒並みマイナス成長に陥る中で、新型コロナの抑えこみに成功したベトナムは成長を続けています。
中国などから生産拠点の移管が増え、輸出が拡大しているのです。
IMFは、ベトナムが20年中に名目GDPでシンガポールやマレーシアを抜き、ASEAN4位になると予想しています。
2020年9月
第3四半期GDPは加速
ベトナムの統計当局が発表した第3・四半期のGDPは、前年比2.62%増加し、数十年ぶりの低い伸びとなった第2・四半期の0.39%増(改定値)から加速しました。
ただ、伸び率は、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の前年同期(7.31%)を大きく下回りました。
改定前の第2・四半期成長率は0.36%でした。
それ以外のデータとしては、
2020年6月
4-6月期のGDPはプラスを維持
2020年6月29日に発表となった4~6月期のGDPは前年同期比0.36%増となりました。
新型コロナウイルスの感染拡大でアジア周辺国が1~3月期時点でマイナス成長になる中、早期の対策が奏功しプラス成長を維持しました。
1~3月期の3.68%増からは減速しましたが、一部でマイナスになると予想されていた1.3%減は上回りました。
ADBは20年通年のベトナムの成長率予想を4.1%としています。
東南アジア主要国では比較的高い水準です。
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